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「光と影のカプリス 第139話(GS)」

クロト (2008-02-21 19:44/2008-02-21 20:06)
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 魅力アピール兼組み手修行、と称したお仕置きで小竜姫は気分すっきり、ついでに横島の成長具合もおおむね把握できたが、それでも夕食にはまだ少し時間があった。

「せっかくですからカリンさんも少しどうですか?」
「そうだな、では一手お願いしよう」

 とカリンはぶっ倒れて白煙を上げている横島をタマモに任せ、自分はすたすたと小竜姫の前に歩いて行った。
 冬山の昼は短いからもう暗くなっていたが、武芸者たる者たまには夜戦の訓練も必要である。2人の動作や表情にためらいはなかった。
 カリンは竜珠を預かったままなので、すぐに修行用の服に着替えることができる。今まで着ていたオペレーター風の服が一瞬ブレた直後、少女はピシッと折り目のついた剣道着を身にまとっていた。
 防具をつけていないのはカリンがスピードタイプであることと、力試しの組み手とはいえ軽い気持ちで臨んでいるわけではないという意志表明である。
 小竜姫にもそれは理解できたが、それよりやっぱりこの着替え芸は反則だと再認識せざるを得なかった。

「……。つかぬことを聞きますが、やっぱりその技で横島さんと色々してたりするのですか?」

 横島が起きていたらとても聞けない質問だが、幸い今は気絶している。それでもかなり頬を赤くしながら小声で訊ねる小竜姫。
 一方カリンは逆にごくあっけらかんと、

「ん? ああ、この前駄神鞭のお代がわりにタマモ殿といっしょにメイド服でサービスしたが……それがどうかしたか?」
「え? ああ、そういえばタマモさんもそういう事できるんでしたね……」

 彼女の場合服どころか体そのものを好きに変えることができるから、その気になればどんなサービスでもできるだろう。タマモ、恐ろしい子!
 メイド服でサービスというのが具体的にどういう行為なのか小竜姫にはよく分からなかったが、えろえろでべた甘で横島の煩悩直撃な代物に違いないということは何となく想像できた。

(や、やっぱり私も何かしないとまずいんでしょうか!?)

 横島に振られるとか飽きられるとか、そういう心配はまったくない。しかし自分の部屋に来る頻度が下がるということは有り得る。それは単に寂しいというだけのことではなく、女のメンツにも関わる一大事だ。
 今まで考えもしていなかった危機の出現に焦燥の色を浮かべる小竜姫。カリンはやれやれと苦笑して、

「いや、凛明殿はそういうことはしなくていいと思うぞ? 横島にとってあなたは『女神さま』だからな、どうせアピールするなら高潔さとか清楚さとか、そういうものにしておいた方がいいと思う」
「へ!? あ、いえ、別にそーいうわけでは」

 思い切り考えが顔に出てしまっていたことに気がついて、小竜姫がはっと表情を引き締める。今さら取り繕っても遅いような気がしたが、素直に認めてしまうのはさすがに恥ずかしいので。カリンの忠告はしっかり記憶に刻んでおきはしたけれど。
 そこへ折りよく(?)横島が目を覚まして起き上がる気配を感じた。

「……ごほん。それでは雑談はこの辺にして、修行を始めましょうか」
「……フフッ、そうだな」

 と2人が竹刀を構えて、ようやく組み手が始まった。


「では、いくぞ!」

 カリンがぱっと地を蹴り、同時に飛行能力も駆使して高速突進する。ここからさらに前方に体をひねって片手突きを繰り出すのがこの少女の得意技だ。

(―――速い!)

 6日前の試合の時よりさらに速くなったその突進に小竜姫は驚いたが、それでも何とかその剣尖を払うのは間に合った。だがカリンはそこで止まらず、さらに1歩踏み込んで小竜姫の顔面に肘打ちを叩き込む。あの付喪神のレモに食らった技の応用だった。

「……っく!」

 しかし小竜姫はそれをも右掌で受け止めていた。腕にぐっと力をこめてカリンを押し返すと同時に、自分も後ろに跳び下がっていったん間合いを広げる。

「すごいことをしますね……初対面だったらまともに食らっていたところです」

 と小竜姫は油断なく竹刀を構えたままながらも、正直なところを口にした。カリンとは何度も手合わせしているし、霊力が上がっていたことで用心もしていたからしのげたが、そうでなければ突きと肘打ち両方くらっていただろう。
 師匠に褒められて、カリンはちょっと嬉しそうに微笑んだ。

「そうか? なら今日はちょっと頑張ってみるかな。1度くらいはちゃんとした1本を取ってみたいしな」
「そうですか。なら私も手加減はしませんので、存分にかかって来て下さい」

 もっとも本気になるのはあくまで技量の面だけで、パワーについてはカリンよりやや強いくらいに抑えているのは言うまでもない。小竜姫が8万マイトをまともにぶつけたら、たかが130マイトのカリンなど一撃で消し飛ばされてしまうから。

「ああ。では……いくぞッ!」

 とカリンが再び竹刀をかざして間合いを詰める。今度は普通の面打ちから胴薙ぎ、小手狙いと息もつかせない連続攻撃だ。
 並みの剣士や妖怪程度では反応すらおぼつかない苛烈な攻めだったが、しかし小竜姫はさすがに的確かつ精妙な剣捌きで受け止めていた。だけでなく少女のわずかな隙をついては鋭い反撃を繰り出している。

「うーん、やっぱ2人とも凄ぇなあ……タマモ、おまえはどっちが勝つと思う?」

 のほほんとした声でそんなことを訊ねたのは、ようやく回復して縁台に座っていた横島である。タマモはその背中に抱きつくような形で組み手を見物していたのだが、彼の質問に対する答えは素っ気ないものだった。

「そんなの私に分かるわけないじゃない。凛明さんの方が押してるっぽいのは分かるけど、カリンは金縛りとかブレスとかまだ使ってないし。てゆーか何で使わないんだろ」
「それはアレだな。金縛りとブレスはこの前見せたから、今日はそれ以外の技で勝負しようってことじゃねーか? 剣でやるのも久しぶりだし。
 ……でもそろそろ負けそーだけど」

 横島の指摘通り、剣術だけで戦っていたカリンはだんだん小竜姫の剣を受け切れなくなり、徐々に後ろに下がり始めていた。

「どうしました? 他の技も遠慮なく使っていいんですよ?」

 小竜姫はそんなことを言いつつも、カリンに精神集中するヒマを与えず矢継ぎ早の斬撃で攻めまくる。カリンはもう受けるのが精一杯……のように見えたが、不意に空中に飛び上がって距離を取った。

「さすが凛明殿、やっぱり普通の剣技じゃまだかなわないな。でもこういうのはどうかな?」

 カリンは感嘆の声をあげつつもニヤリ笑うと、再び竜珠の力を借りて服と得物を作り変えた。今度はいつものボディスーツに長さ2.5メートルほどの棒……ただし服に白のラインは入っていないし、棒も真っ黒である。

「……なるほど、そういう手で来ますか!」

 今度は小竜姫がうーむと喉を唸らせた。
 小竜姫は剣術がメインだが、「斉天大聖孫悟空」の弟子だから棒術も一通りは習っている。よってカリンもそこそこの腕は持っているのだが、棒は剣に比べてずっと間合いが広いし、服も得物も真っ黒となれば夜間は非常に見えにくい、つまり圧倒的に有利である。

「では行くぞ、凛明殿!」

 カリンはおもむろに地上に降りると、棒を構えて小竜姫に躍りかかった。もちろん剣の間合いになど入らず、槍と同じような闘法でチクチクと連続突きを入れる。ビシッ、バシッ、と棒と竹刀がぶつかり合う音が断続的に響き渡った。

「くっ、この、やっ!」

 ほとんど視認不可能な攻撃を前に、それでもカリンの視線や打ち気を読んで何とか防ぐ小竜姫。そこにカリンが「見えにくい」という利点をさらに生かすべく、足を止めずに縦横無尽に駆け回って撹乱戦術に出る。

「……ふッ!」

 小さな息吹とともに、小竜姫の真横から3連突きを繰り出す。小竜姫はその最初の一撃を何とかしのぐと、必死で後ろに跳んで2撃目の間合いから逃れた。達人と称されるに恥じない技量ではあったが、今は反撃に移る余力はないようだ。
 カリンはそんな小竜姫をまっすぐには追いかけず、円を描くような動きで再びその横に回り込んで執拗に剣の間合いの外からの攻撃を続ける。

「カリンうまくやってるわね。このまま行ったら勝つんじゃない?」

 タマモが横島の首すじに抱きついたまま、のんびりとそんな批評を述べた。もっともタマモはカリンの動きが見えているわけではなく、小竜姫が防戦一方に追い込まれている様子からそう判断しただけなのだが。

「そだな。でも完全に勝っちゃうと凛明さまに悪い気がするし、ちょっと複雑だな」

 と横島は意外にも(?)小竜姫の心情を思いやるような台詞を口にした。むろんいつかは師を超えるのが真の思いやりなのだが、今超えるのはさすがに早すぎだろう。
 ……と言っても今ここで出来ることは何もないのだが。

「―――姿勢が崩れているぞ凛明殿!」
「……ッ!」

 しかし横島の思惑に反して、組み手はますますカリン有利に進んでいた。右脚を狙ったカリンの突きを小竜姫は何とか退いてかわしたが、少女がその棒を引かずに真横に薙いだため、左脚を払われてよろめいてしまったのだ。
 人間ならこれでチェックメイトだが、小竜姫は空を飛べるので空中で体勢を立て直すことができる。とはいえこの状況が大きな隙であることは否めない。

「もらった!」

 カリンが小竜姫の顔を突く、と見せかけて竹刀を払い、完全にその防御を突き崩す。だが今度こそ確実に突きを決めようと思ったところで、逆に自分の顔の前に何か細長いものが飛んできた。

「……ッ!?」

 反射的に金縛りの術でそれを停止させるカリン。今回は使わない予定の技だったが、かわせるタイミングではなかったのでつい使ってしまったのだ。

(箸……? そうか、ダートか!)

 小竜姫は投げ矢の代わりに箸を投げたのだ、とカリンはすぐに気づいたが、それと同時に腹に小さな痛みを感じていた。別の箸の先端がしっかり命中していたのだ。
 これで1本である。カリンははあっと息をついて棒を下げると、ちょっと悔しそうな、しかし清々しい表情で、

「なるほど、顔の前に投げたのは囮だったか。確かに目の前に物が飛んで来たらどうしてもそちらを見てしまうからな」
「ええ、でも今回は本当に危なかったです。もし横島さんとデートしてなかったら負けてましたね」
「それは褒めてくれてるのか、それともノロけられてるのかな?」
「ふふっ……両方だと言っておきましょうか。それじゃ2本目始めますか?」

 小竜姫もいったん竹刀を下ろしてにこやかに応答する。それでもまだ組み手は続けるつもりのようだったが、そこに気の抜けた声が割り込んできた。

「凛明さまー。いいかげん腹減ってきたんで、そろそろメシにしませんか?」
「…………。そうですね、そうしましょうか」

 そのあまりにも脱力的な、しかしどこか自分のことを思いやってくれているような声色に小竜姫はふうっと肩の力を抜くと、カリンの顔を顧みて修行の終了を告げるのだった。


 さて、つらく厳しい修行が終わったらようやく美味しい夕ご飯の時間である。何しろ神様の手づくりなのだ。精進料理ではあるが、味はもちろん栄養、霊気の面もしっかり配慮されている。
 カリンが食事をしないのはいつもの事だが、小竜姫の分もちょっと少なめで、タマモと同じくらいになっていた。といっても別に体調が悪いとかダイエットをしているというわけではなく、これからすることに備えてお腹が出ないようにしているだけである。横島の分にも当然肉や魚は入っていないが、なぜか大蒜とニラとえのきとほうれん草の炒め物という妙に精のつきそうな一品がさりげなく鎮座していた。
 カリンとタマモはその辺の女心はあっさり見抜いていたが、むろん口に出すような意地悪なマネはしない。一方当の横島は幸いにも(?)そんなことに気づけるような性格ではなく、

「こら美味い! こら美味い!」

 横島は普段カリンとタマモがつくる美味しいご飯を食べているのだが、小竜姫のご飯はまた違うらしい。がつがつがつがつとむさぼるように食べている。マナーも何もあったものではなかったが、ここまで美味しそうに食べてもらえれば小竜姫も悪い気はしない。

「ふふっ、仕方ないひとですねぇ」

 小竜姫は小さく微笑みつつ、すっと手を伸ばして横島の口元についたご飯粒を取ってやった。そのまま自分の口元に運んで、ぺろりと可愛く舐め取る。

「横島さん、愛してますよ」
「へ!?」

 いきなり愛をささやかれた横島は動転して、口をもごもごさせるばかりだ。さらにそこへカリンがすっと顔を寄せて、

「私も愛してるぞ、横島」

 と少年の頬に軽くキスする。むろんこうなってはタマモも1人音無しの構えではいられず、

「私も愛してるわよ、横島」

 と反対側の頬に唇をつけた。

(な、何だか追い抜かれてしまったような?)

 私は先手を取ったと思ったら、いつの間にか返し技で一本取られていた。そんな気分の小竜姫は頭がどうにかなりそう……という程ではなかったが、ここでのヒロインとして抜かれっ放しではいられない。
 宙に浮かんでちゃぶ台を乗り越え、横島の頬を両手ではさんで無言でその唇を奪った。

「〜〜〜〜〜!?」

 横島は今度こそびっくり仰天して、眼を白黒させている。全身がかちこちに硬直して思考回路も完全停止、ただ呆然と目の前の小竜姫の顔をみつめていた。
 ただ小竜姫は基本的には貞淑で慎み深い女性なので、自分から舌をさし入れたり横島の手を自分の胸に押し当てたりといった更なる強烈なアプローチまではできない。普通に唇をかさねるのが精一杯だった。
 それでも効き目は十分だったようだが……。

「……はぁっ」

 やがて小竜姫が唇と手を離し、後ろに下がって自分の席に戻る。それで横島の脳はようやく再起動したが、しかし彼の恋愛スキルでは何と声をかけていいものか皆目見当がつかず、所在なさげに視線をうろうろ泳がせていた。
 むろん恥ずかしいのは小竜姫も一緒、いや2倍くらい上なのだが、こちらは黙っているわけにはいかない。
 顔を真っ赤にしてうつむいたままぼそぼそと、

「あ、あの、えっと。私だけキスしないわけにはいかなくて、でもほっぺたは右も左も取られちゃってたので……それに正面からだと他にする所がなかったので、つい。
 で、ですからえっと。さっき胸をさわられたお返しということで……」

 と言い訳じみた長台詞を並べ立てる。横島は別に小竜姫がふしだらだなどと思っていないし、まして怒ってなどいないのだが、恥ずかしそうに頬を染めている小竜姫のあまりの可愛らしさに思わず飛びかかりそうになって―――目の前に邪魔なちゃぶ台があったことと、左右にカリンとタマモがいたことで何とか自省した。

「そ、そうっスか。それじゃお返しのお返しということで、今夜は寝かせませんので……心の準備しといて下さいね」

 どのような意味で寝かせないのかは不明だったが、小竜姫は一瞬ぴくっと身を震わせると、ますます顔を赤くして、それでも微妙に嬉しそうな表情で頷いた。

「は、はい。お手柔らかにお願いします……ね」

 その傍らでカリンとタマモが砂糖をざざーっと吐いていたが、横島と小竜姫には見えも聞こえもしていなかった。


 晩ご飯の後は、妙神山の霊気をたっぷり含んだ温泉だ。何という素晴らしき温泉宿。
 横島は当然4人での混浴を望んだのだが、それは小竜姫の固い意志で手厳しくはねつけられていた。
 見るからにしょぼーんとした様子の横島が男湯の更衣室に入っていくのを見送った後、カリンが小竜姫に顔を向けた。

「何もそこまでかたくなになる事はないと思うのだが……」
「ええ、私も横島さんと2人で入るのならいいのですが……やっぱりカリンさんと一緒というのは、その」

 肩をすくめて言いにくそうにしているが、要するに胸のサイズを比べられるのが嫌なようだ。

「……」

 カリンもちょっと返事に困ったように肩をすくめた。
 確かに横島は貧乳より巨乳が好きなタイプだが、しかしさっきも小竜姫の胸を褒めていたし、そこまで意識することはないと思う。とはいえ体に関する悩みはデリケートなものだから、あまり突っ込んだ口をきくのは良くないだろうと思って口を閉ざしたのである。
 そこにタマモが軽い口調で話に割り込んできた。

「ま、いーんじゃない? たまにはじらすのもいいことだし」

 と、これは横島とのあっち方面での関係についての意見である。
 あまり簡単に受け入れてばかりでは向こうも手ごたえを感じないし、下手すると節操のない軽い女だと思われる危険があるということだ。といって拒んでばかりではダメなのも当然で、その辺のさじ加減は気をつけないといけない。
 この場合は、混浴を拒否したことを横島が残念に思ったのは確かだろうが、それでせき止められた分解放させてもらえた時の興奮はひとしおだろうという意味である。
 そこまで大げさな話じゃないかも知れないが……。

「いえ、別にそういうつもりで断ったんじゃないんですけど……」

 小竜姫は身内相手にそこまで策をめぐらすタイプではない。むろんタマモもそのくらいのことは先刻承知で、単にフォローを入れてやっただけなのだが、また別の問題に気がついたのかふっと顔を上げた。

「あ、でも今の横島って壁抜けもできるのよね。押しかけて来たりしないかしら」

 横島は人間のフリをしているので人前ではやれないが、この場でためらう理由はない。男湯と女湯はきっちり区分されているが、宿坊の施設は一部の家具を除いて霊的な加工はしていないので、神魔族や幽霊なら普通にすり抜けることができる。つまり横島はその気になれば、男湯と女湯をへだてている壁を通り抜けて女湯に侵入することができるのだ。
 するとカリンがちょっと首をひねってから、意外に楽観的な見解を示した。

「ふむ? ……いや、大丈夫だろう。確かに横島自身は壁抜けできるが、服までは持って来られないからな」

 ここでいう「服」というのは、綿やポリエステルなどでつくられた普通の服という意味である。小竜姫の胴着やヒャクメのボディスーツなどは幽霊が着ている服と同じく体の一部に近いもので、これは着たままで壁抜けしたり人間に憑依したりすることが可能だ。
 ちなみに食べたものについては、ある程度消化してしまえば壁抜け能力の対象にすることができる。

「あ、そっか……確かに全裸は恥ずかしいわね。でも横島って胴着出せるんじゃなかったっけ?」

 妙神山で竜神化の儀式をした時はそんな格好をしていたはずだ。しかしこれについても今は問題なかった。

「いや、あれは私が引っ込んでる時しか出せない。出し方もまだ教えてないし、どのみち今は無理だな」
「ふーん……でも顔だけ出して覗くって手もあるんじゃない? 一緒に入るのと覗くのとじゃ趣きが違うと思うし」

 とさすがにタマモは「傾国の美女」だけあって、男の浪漫が分かっていた。カリンもこれには返す言葉がなかったが、小竜姫が逆にかなり不安そうな顔つきで口を挟んできた。

「あの、カリンさん……横島さんの見張り、本当にしっかりお願いしますね。私だけじゃなくて竜神族全体の体面にかかわりますから……」

 小竜姫と婚約した上で完全竜神化を果たした今、横島は竜神の王族の仲間入りをしたと言っていい。それが全裸で覗きをして警察に逮捕されたりしたら、ただの不祥事なんて軽い話ではすまない。

「……そうだな。私もそこまで意識してなかったから、後で2人できっちり釘を刺しておくか?」
「……そうですね、そうしましょう」

 という横島にとっては非常に不名誉な、しかししごく当然のやり取りのあと、ようやく3人は女子更衣室に続く扉を開けたのだった。


 ―――つづく。

 次回、果たして横島は混浴やら「今夜は寝かせません」やらを実現することが出来るのか!?
 ではレス返しを。

○KOS-MOSさん
>駄神鞭
 これを使うと「修行」という名目が立たないので、たぶん普通の竹刀でやったのではないかと。
 今の小竜姫さまに対しては、ただの鉄の棒くらいの効き目しかありません。

○Tシローさん
 そんなあからさまに人の不幸を喜ぶなんてww でも今回はちゃんと幸福ですので(ぉ
 駄神鞭は次にヒャクメが来た時が活躍の時です(酷)。

○ncroさん
 はい、だからこそ小竜姫さまは横島君を毎週のように妙神山に来させておるのですよー(第119話参照)。その度にしごかれておりますのでご安心下さい(何を)。

○sinkingさん
 横島君が幸せなのは、そういうスタンスの物語なので仕方がないのです(o_ _)o
 でも五寸釘の呪いは横島君の方がエキスパートなので避けた方がよろしいかとw

○チョーやんさん
>幸せの味
 はい、文字通りかみしめまくっております。不幸系の話で気分がダウンした時などに読んでゆるーっと癒されて下さい。
 しかしなんでこんなに幸せなんでしょうねぇここの横島君は(ぉ
>駄神鞭
 仲裁と称してお仕置きに参加……なんてヒドいことはしませんですよカリンはw

○星の影さん
>成長
 第1話の頃に比べればかなりマシになってるはずなんですが、なにぶん元が元ですから(酷)。
>幸せ地獄
 まったくですな、今回は痛い目ゼロでしたし(o_ _)o

○紅さん
 は、今回は掛け値なしの幸せ者っぷり全開です。
 メ○ーサさん? 誰ですかそれ<超マテ

○cpyさん
 たまにはオチをつけないと横島君じゃなくなってしまいますからねぇ(酷)。今回はどうなるかまだ分かりませんけど。
>ここの横島はちゃんと次の年に進めそうですね
 はい、作中時間で4月になったらちゃんと進級しますです。
 いつのことになるかは分かりませんけど。
>映画
 筆者も映画のことは素人なので、その辺はスルーして下さるとありがたいですf(^_^;

○whiteangelさん
>横島君
 こんな非常識な修行者は妙神山始まって以来でしょうねぇ。色んな意味でw
>3サイズ
 乙女のプライバシーは内緒だそうですorz

○遊鬼さん
>成長
 139話も書いてるんですが、作中時間でいうと本当にそれだけなんですよねぇ。どんだけーって感じです(ぉ
>折檻とか駄神鞭とか
 残念ながら今回は平和でした。いずれは書きたい場面なんですがー(酷)。

○食欲魔人さん
 今回も甘めなので、糖分不足にはご注意下さいませ。
 しかし残念ながら仏罰はありませんでしたので、その辺は適宜脳内で補完してくださればと(ぉ

○スカートメックリンガーさん
>九頭竜
 横島君にとって九頭竜の価値はそういう事だけのようですw
>霊視
 ナルトは知りませんけど、横島君というかカリンの霊視はいろいろ先があるというのはその通りでありますな。
 横島君自身に使わせるとロクでもない事しかしなさそうですが(^^;

○Februaryさん
 誕生日おめでとうございますー。他にイベント……ありましたっけ?(ぉ
 横島君の幸せはまだ「絶頂」なんかじゃないです。この先もっと幸せになりますんで。実に妬ましいですな(ぇ
>駄神鞭
 早いところ理由つけて2人を人界に来させませんとねぇw
>貧乳
 無茶しやがって……(ぉ

○山瀬竜さん
>失言横島君
 昼間は小竜姫さまの初デートを成功させるために理性を振り絞ってたのですが、それにも限界があったというわけですw
>よく執念が強い人間が死ぬと強い霊になると言いますが〜〜〜
 まったくですな。
 そうなると原作の横島君も、未練を残して死んだらすごい色情霊になりそうで恐いですがーw
>峯さん
 百合なサキュバスとかにならないよう、きめ細かい指導が必要そうですなw
>横島神話
 横島君なら素でやりそう、いややらないわけがない!
 カリン達の責任は重大ですねぇ。日本の将来のためにもw
>妙神山一日目
 いよいよ夜が来てしまいました。このまま横島君が好き放題してしまうと思うととっても羨ましいです(ぉ

○炎さん
 は、珍しい幸せ横島君を楽しんでいただければ嬉しいですー。
 話の中での新年はいつになる事か分かりませんが(^^;

○XINNさん
>神聖な修業場
 もうすっかり新婚さんのいちゃいちゃ部屋に成り下がってます。けしからんです。筆者もやってみたいですがーw
>自身の素手で直接スキャン
 やればできるんでしょうけど、乳さわってる間はそんなほかごと頭にないのだと思われますw
 女性陣の3サイズは上記参照ですorz
>身外身の術
 そういえばそんな術がありましたねぇ。しかし横島君がこれで浮気しまくったら日本の将来が本格的にピンチですな。筆者も会得したいですー<マテ

○夢幻斎さん
 ども、楽しんでいただけてるようで嬉しいです。
 ルシは前作で主役を張ったので、今作で登場する予定はありませんです。なのでどうかご自由にお持ち帰り下さいませー(ぇ

○読石さん
 やっぱり横島君はオチがついてなんぼですよねぇ(酷)。
>本性出せばOKじゃ〜〜〜
 まったくですのぅヾ(´ー`)ノ

○風来人さん
 腕4本発言は特に元ネタはありませんですー。
 4人になれる吃驚技は上記の通り実際に使える方がいるわけですが、人界の治安という点で会得させるのは問題が多そうですなw
 3サイズは上記の通りということで(o_ _)o
>微糖、微エロ、微折檻
 次回は大エロかそれとも大折檻でいくべきか、悩ましいところであります。
>お揚げコロネ
 円錐形のパンの中にお揚げが入ってるという不思議料理です。
 本当に美味しいかどうかは知りません<マテ
>鬼門
 はて、そんなキャラいましたっけねぇ……(ぉ

○通りすがりのヘタレさん
 はい、カリンとヒャクメが組んだらもう何でも覗けます。メドさん戦で役に立つ……かも知れません。だってヒャクメですし(酷)。
>これが恋する乙女の能力か!
 はい、本当なら煩悩玉についてもっと突っ込んだ考察があってしかるべきなのですが、なぜかこんな展開になってしまいました。小竜姫さまって可愛いですから(ぉ
>お揚げコロネ
 伝統の技にはきちんと敬意を払いつつも、そこに留まらず常に新たな地平に挑戦するのがタマモのお揚げ道なのです!

○ばーばろさん
 横島君と小竜姫さまはフィアンセですから、むしろいじってあげないとお仕置きなのですよー。
 お揚げコロネはそんな所であります。今回は成功みたいでしたが、仰る通りいつも成功するとは限りませんw
>カリンたんの能力って、部分的にとは言えヒャクメを超えたの?
 超えちゃいましたねー、完璧にw
 覗き神もとい調査官のメンツ丸つぶれなので、次に妙神山に来たときは修行とかやらされそうですな。仰る通り駄神鞭での監督つきでw
>止める気は無いのね、カリンたん
 影法師として、本体の教育をする義務がありますから!
>ヨコシマの折檻
 次回もするかどうか考えてる最中ですw
>ですから駄神鞭の犠牲者第一号に
 ヒドいww

○鋼鉄の騎士さん
 自爆しない横島君なんて(中略)ですからねぇ。
 ヒャクメについては期してお待ち下さいーw
>仮面のメイドカリン
 はい、そのネタなのですよー。3サイズ云々は6巻のおまけ漫画からインスパイア(ぉ)しました。
 実際カリンは「振り返ればそこにいる、横島君の不可能ブレイカー」ですしw

○UEPONさん
>横島君なんだから彼女を増やそうとするのが『当たり前』ですよねw
 うーん、何という認識のすれ違いw
>例のスクリーン
 将来的にはそういうのも良さそうですねぇ。九頭竜とは全然イメージが違うところがまた良しです(ぇ
>匂い
 そこはそれ、横島君の影法師ですから! しっかりと女の子の匂いがするのですよー。でも花の匂いというのも良さそうですねv

   ではまた。

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