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「光と影のカプリス 第138話(GS)」

クロト (2008-02-15 19:46/2008-02-16 00:20)
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 横島たちは瞬時にして妙神山修行場の中庭に到着したが、そのとき小竜姫はタマモが持っている荷物の中にいわくありげな庭箒と鉄の棒が混じっていることに気がついた。

「タマモさん、その箒と棒は何なんですか?」
「あ、これ?」

 問われたタマモが現在の持ち主である横島に顔を向けると、煩悩少年はちょっと考えた後にぱっと笑顔をつくって、

「小竜姫さまへのお歳暮です。見た目はただの箒と棒ですけど、実はすごいマジックアイテムなんですよ。くわしくは後で説明しますから」

 棒はともかく箒を小竜姫に贈るのは彼の本意ではないのだが、どうせ贈るのなら気持ちよく贈った方が相手の受けはいいだろう。横島はもうすっぱり割り切っていて、その表情に未練はなかった。

「そんな、家族なんですからそこまで気遣いしなくても……でもせっかくですから、ありがたく頂いておきますね」

 小竜姫は横島とカリンの霊能と武術の師匠で、タマモのお揚げ道の元師匠なのだが、今はそれより横島の婚約者という意識の方がずっと強い。だから「師に対する」ものだと思われる挨拶の品を受け取るのは多少のためらいがあったのだが、せっかくの厚意を拒むのも何なのでこちらも笑顔をつくって受け取った。

「じゃ、宿坊に行きましょうか。横島さんもカリンさんもまた成長したみたいですし、お話を聞かせて下さい」

 ということで、今日泊まる建物に移動して靴を脱ぐ。そして小竜姫はお茶とお菓子をちゃぶ台の上に置くと、さっそく2人のレベルアップの件について詳しい説明を求めた。

「あ、はい。箒と棒のことも込みで話しますんで、質問とかは後でまとめてってことでお願いします」

 説明役は横島ということで、あらかじめ合意ができていたらしい。横島はまずそう前置きしてから、魔鈴の店でのクリスマスパーティからパンドジニウムの探索のことを時系列順に話していった。もっとも彼1人では話が脱線したり要領を得なかったり客観性を欠いたりするので、ときどきカリンがフォローというか突っ込みを入れていたけれど。
 タマモは説明に加わるつもりはないようだが、代わりにお茶のお代わりを入れたりしてやっていた。最後に自分の分を注ぎ終えると、アパートで食べかけになっていたお揚げコロネを口に運ぶ。それなりに上手くいったらしく、その表情は満足げなものだった。
 横島たちは一応修行という名目でここに来ているのだが、話はすっかり雑談調になっていて、何というか親戚のお姉さんの家に遊びに来た高校生グループ、といった雰囲気になっている。

「……とゆーわけで、せっかくなんで持って来たのがその鉄の棒です。カリンの解析によると名前を駄神鞭っていって、『駄目な神様を打ち据える』力がこもってるそーです。そりゃまー俺がダメ竜神だってのは否定しませんけど、まったく誰がこんな迷惑な武器つくったんですかねぇ」
「そ、そーですね」

 小竜姫は何と答えていいか分からず、とりあえずそんな相槌を打ってごまかした。横島たちの話ははっきり言ってヨタ話としか思えないのだが、彼らはウソを言っているようには見えないし、現に自分の傍らに置いてある箒と棒から相当高度な魔法の術式を感じる以上、信じざるを得なかった。

「……んで、俺もそのときの状況ははっきり覚えてないんですけど、カリンが言うには魔装術の暴走と同じことが起こったみたいです。まあ敵が敵でしたし、結果オーライでラッキーってやつですね」

 次は横島の肉体幽体化の話になったようだが、横島はもう済んだ事だからかかなりお気楽な調子で、お茶をすすりながらそんな説明の仕方をした。湯呑みが空になったのを見て、タマモが急須を取ってとぽとぽとお代わりを注ぐ。
 小竜姫は横島の脳天気ぶりに少々あきれたが、まあ今ここでどうこう言っても仕方ないので黙っていた。
 そして気づいたことがもう1つ。

(……朝横島さんに感じた変化はこのことだったみたいですね。カリンさんが「アポート」なんて超能力を使ってたのも)

 竜珠が壊れたのは残念だが、彼の言う通り敵が敵だったのだから命が無事だっただけでも満足すべきだろう。
 それにしても霊能に目覚めてたったの7ヶ月で、ド素人から完全無欠の成竜にまで成長するとは。婚約者としては鼻が高いが、一武神としては恐ろしささえ感じる。
 唯一霊力がまだ人間並みなのが玉に瑕(きず)だが、こちらも成長ペースは凄いものだし、竜神界に連れて行って皆に紹介できる日も近いだろう。
 小竜姫がその光景を頭に浮かべてにまにましていると、不意にカリンから声をかけられた。

「凛明殿、何をぼーっとしているんだ?」
「……へ? あ、いえ、何でもありません」

 訝しげな目で自分をみつめている少女の視線と声ではっと我に返り、あわてて頬の筋肉をぐいっと引き締めてごまかす小竜姫。
 カリンは深くは追及しなかった。そして横島がパンドジニウム探訪記の話を再開する。

「……で、これがそのときできた新しい竜珠です。玉竜さまが気に入ってくれてましたからねー、すぐ復活してよかったです」

 と横島が右手の上に出したオレンジ色の珠は、以前のそれと比べるとかなり存在感が薄かったが、それでも彼の「煩悩玉」であることは確かだった。
 むろん小竜姫にとっても喜ばしい話である。ただそれができたきっかけがよその女の、それも胸が立派な女性のハダカを見たことだというのがはなはだ気に入らないのだが、しかし横島が玉竜の気まぐれにまで配慮してくれている以上、今さら咎め立てすることはできなかった。

「で、こいつの機能は『霊的特性を強化する』ことなんだそーです。カリン、頼む」

 横島はこの辺りは自分で説明する自信がないらしく、あっさりと影法師娘に押しつけた。
 カリンが苦笑しつつも竜珠を受け取って先日横島にしたのと同じ説明を繰り返すと、小竜姫は横島をじろりと睨んで、

「……なるほど、なかなか面白い力を身につけたようですね。でも横島さん、それを口実にして彼女を増やそうなんて無節操なことは考えてませんよね?」
「や、やだなあ凛明さま。そんなこと当たり前じゃないっスか」

 横島は即答したが、その視線は泳いでいた。小竜姫は軽くため息をついて、今度はカリンの方に顔を向ける。

「カリンさん、ちゃんと見張ってて下さいね。横島さんを性犯罪者にしないためにも」
「ああ、分かってる。何かあったらすぐ相談しに来るから」
「……」

 横島、針のムシロである。そしてふとタマモのことが気になってその顔を盗み見てみたが、狐娘はそんな俗事には興味ないとばかりにお揚げコロネを食べ続けていた。それが本心なのか擬態なのかは分からなかったが……。
 そして話は再び竜珠の解説に戻る。

「……で、私の場合は単純に『霊能のスキルが上がる』という効果になるんだ。夕食の支度にはまだ早いし、少し実演してみせようか」
「……そうですね、お願いします」

 小竜姫にカリンの申し出を断る理由はない。素直に頷くと、少女の服がいきなりSFの宇宙戦艦か巨大ロボットのオペレーターのような服に変化した。
 何気にミニスカートで太腿を露出しているのは横島へのアピール……ではないだろう。先日「妙神山では小竜姫が優先」と言っていたのだから。

「たとえばこんな風に、いちいち横島の中に戻らなくても着替えができるようになるんだ。将来的には自力でできるようになると思うが、今はけっこう有り難いな」
「…………」

 小竜姫はそのトンデモ芸に口をぱくぱくさせるばかりで、まともな相槌すらおぼつかないようだった。いやこれこそが、「霊力源は煩悩」である男の影法師が行き着く究極の進化なのだろうか。
 しかしカリンは小竜姫の驚きぶりをスルーして、ごく平静な顔でプレゼンテーションを続けた。「能力を表現すること」が存在意義だけに、この実演は実は小竜姫への親切というより純粋に己の技を披露したいというのが動機なのだ。

「もちろん霊視もレベルアップするぞ。とりあえず、この部屋を視た映像を出してみることにしようか」

 とカリンがちゃぶ台の上の空間を指さすと、そこに例のスクリーンが現れた。この部屋を斜め上から見下ろした映像が映っている。
 小竜姫はさすがにもうこの程度の芸では驚かなかったが、しかしカリンもこれで終わらせる気はない。画面の左上に駄神鞭の拡大図がウインドウ表示で現れ、さらにその右下に名前や推定製造年月日、材質、機能までもが映し出される。

「さっき横島があの棒を『駄神鞭』だと紹介したが、あの名前はこの霊視で判明したんだ。最初に見つけた時は術式が難しくて解析できなかったんだが、この竜珠はできた経緯のわりには役に立つ」
「何かもーどこぞの仮面マッチョばりの眼力っスよね」
「……」

 カリンは誇らしげに、横島は相変わらずのゆるい口調でそんなことをのたまっているが、小竜姫はそれどころではなかった。単なる遠視ではなく霊視の結果を映像として解説付きで映し出すなど、一応は調査官を務めているヒャクメだってパソコンを使わないとできないというのに。
 そして小竜姫がそんな他事を考えている間に、話はとんでもない方向に進んでいた。

「ふむ? そうだな、では凛明殿の3サイズでもスキャン……」
「いきなり何を言い出すんですかカリンさんーーーっ!」

 当然ながら小竜姫が絶叫してその悪謀を止めに入ると、影法師娘は特に驚いた様子もなく、淡々と謝罪の言葉を述べてきた。

「いや、冗談だ。すまない、家族とはいえちょっとデリカシーがなかったな」
「……まあ、分かってくれてればいいんですけど」

 ぜーぜーと肩で息をしている小竜姫に対して、カリンは至って平静な様子である。横島はちょっと残念そうにしているが、さすがにここで余計な口を利くほどの激バカではないようだ。

(カリンさんはまじめで親切な方なんですけど、たまにこういう悪ノリをするんですよね……)

 しかし1人で興奮していてもお間抜けなだけである。小竜姫は深呼吸して心を落ち着けると、改めて話題を霊視の件に戻した。

「それでカリンさん……失礼ですけど、何でそんなことできるんですか?」
「何でと言われてもな……まあ、横島だからかな?」

 小竜姫にまじまじと見つめられてカリンも少々首をひねったが、筋の通った説明は思いつかなかった。確かに横島はキヌが不良娘に憑依したのを見抜いた事があるし、タダスケにも似たようなエピソードがあったが、それは霊視というより直感に近いものだし。

「まあ……そう言ってしまうとミもフタもないのですが」
「しかし私の霊視は射程距離が短いからな。人の心や前世を読むこともできないし、そこまで凄いというわけじゃない。
 ここにいる3人以外にひけらかす気もないし」

 小竜姫も「横島だから」と言われて何故かひどく納得したような表情を浮かべたが、そこに横島が唐突かつ空気を無視して素っ頓狂な声を出した。

「んー、凛明さますら驚かすとはさすが俺のカリン。惚れ直したぞー」
「わあっ!?」

 ……だけではなく、いきなり後ろから抱きすくめた。といってもこの時点では純粋に称賛と親愛の情を表現しようとしただけなので、カリンも逆らいはしなかった。
 「横島の脚の間」というポジションはほぼタマモの専用席になっているので、たまには自分もそこに座ってみたいという気持ちがあったのかも知れない。

「まったく、いきなり何を言い出すんだおまえは……しょうがないやつだな」

 そんなことを言いつつも、横島を力ずくで振り払ったりせずその腕の中で微妙に顔を赤らめるカリン。やはり恋人同士だけに仲良しだったが、そんな2人の向かい側で小竜姫はむーっと小さく頬をふくらませていた。
 横島とカリンとタマモがアパートで何をしていようと、それについては気にしない。しかしここに来た時だけは、自分を1番に扱ってほしいという気持ちがあるのだ。もっとも今までの経過で3人がそれを理解してくれている事は分かっているから、あまり声高に要求するのも心が狭いような気がして言えなかった。
 もっともそれならちゃぶ台の「向かい側」などに座らず彼の隣に座ればごく簡単にスキンシップができるのだが、客を迎える立場なのでやはり3人の正面に座らざるを得ないのである。

(……ふふっ。凛明殿も「女の子」なんだな)

 横島はカリンのカラダのあったかいのやらやーらかいのやらいー匂いやらで気づかなかったが、カリンの方はしっかり気づいていた。くくっと悪戯っぽい笑みを浮かべると、予告もなく小竜姫を横島の真横にアポートさせる。

「……!?」

 いきなり瞬間移動させられたことに小竜姫は驚いたが、誰がどういうつもりでやったのかはすぐ理解できた。カリンの術など小竜姫が抵抗する気になればまったく通用しないのだが、小竜姫自身が「横島のそばに行きたい」などと思っていたら完璧に効いてしまうのだ。
 礼を言うべきなのかも知れないが、さすがにそれは気恥ずかしい。背中に横島の腕の温度を感じつつもどう反応しようか考えていると、不意にその腕がもぞっと動いて抱きしめられてしまった。

「いや、大丈夫ですって! 凛明さまにも惚れてますから」

 惚れるというのは普通1人の異性に夢中になることを指すのだが、この辺りは横島なので仕方がない。

「ええ!? あ、あの、その、ええと……っきゃあ!?」

 小竜姫は人界での修行で精神的にも大きく成長したのだが、どうやらこうした状況はまだ不慣れのようだ。あわあわしている間に、煩悩少年に胸をさわられてしまった。「揉む」とか「つかむ」という表現にはならない辺りが物悲しい。

「ひゃんっ!?」

 横島が小竜姫の乳房を撫でさすりつつ、首筋に顔を近づけて髪の匂いをかいでいる。小竜姫は横島とはもうヤることはヤっている仲なのでこの行為自体に仏罰を下す気はないものの、カリンと比べられるのは嫌なのでやはり手を離してもらおうとしたのだが、それを一瞬早く察した横島がその耳元に殺し文句をささやいた。

「何てゆーか、凛明さまの胸ってやさしい感じがしますね。さわってるとこう、ほんわかしてくるとゆーか」

 ほんの数ヶ月前の彼だったら、「大丈夫ですよ凛明さま。貧乳はステータスです、希少価値です!」などとおバカなボケをかましていたところなのだが、この男も彼女が3人もできて多少は成長していたようだ。
 小竜姫が顔中をぼっと真っ赤にほてらせて、

「も、もう横島さんったら。あっ、そ、そんなこと言われたら怒れないじゃないですかっ、あっ、んっ、あぁん」

 横島は実際にはそれほど大したことを言ったわけではないのだが、日頃との落差が大きいためかかなり効いていた。この部屋にいるのは自分と彼の他には奥さんズの先輩だけということもあって、あっさり抵抗を止めてしまう。つつましやかな胸をやさしく撫で回されて、びくんと体をよじらせた。
 ところで横島が小竜姫の胸をほめるのは、本人も喜んでいることだし大変良いことである。しかしこの場で彼女だけをほめるのは片手落ちというものであった。

「こっ、こらぁ横島……それじゃ私の胸はやさしくないとでも言うのか? あぅんっ、こ、これだけ揉んでおいて……あン」

 そう、横島はいつの間にかもう片方の手でカリンの胸も揉んでいたのである。こちらは「揉みしだく」とか「こねくり回す」といった表現も可能な立派な乳房だった。

「ん? そんなワケねーだろカリン。おまえが俺のこと想ってくれてるのはちゃんと分かってるから」
「……」

 横島が何か調子のいいことを言っているが、カリンはそれが嬉しかったのかそれ以上の追及はしなかった。くたっと体の力を抜いて、少年の愛撫に身を任せてしまう。

「……んっ、ふ、あ……。はぁ……あ、よ、横島……んんっ」
「はあ、はあ……あ、あの、横島、さん。あっ、ふ……そ、その、み、右胸だけじゃ」

 2人とも感じやすいのか、艶っぽい喘ぎ声に加えておねだりまで始めている。横島は当然喜んでその右手を小竜姫の腿の間に持っていったが、1人取り残されたタマモはあまり面白くなかった。

(ここにいるときは凛明さんに譲る、ってゆーのは別にいーんだけど……)

 カリンと2人でいるのならさびしくないが、彼女も向こうに行ってしまったら孤独である。それはつまらないので、タマモは仔狐の姿になるとひょいっと横島の頭の上に飛び乗った。

「ん、タマモか? そっか、1人じゃつまらんもんな……」

 と横島もタマモの心情を理解できたのは良かったが、それに続いて出て来た台詞はまことに彼らしい自爆チックな物であった。

「うーん、手が9本とは言わんけどせめて4本出せたら、おまえともー1人加えて前後左右に女の子抱っこする天国プレイができるんだけどなあ」
「―――」

 その駄弁にカリンとタマモは何も反応しなかったが、小竜姫だけはぴしりと体を硬直させていた。ついで横島の手をがしっと掴み、おどろおどろしい声で訊ねかける。

「横島さん……その『もー1人』とゆーのはやっぱり魔鈴さんのことなんですか?」
「ひいっ!?」

 横島はさっきまでの幸せ心地が一瞬にして消失し、氷雨に打たれた子犬のように身を震わせた。魔鈴を特別に意識しての発言ではなかったが、それを主張したところでまったくの無駄であることをさとったからだ。
 小竜姫も今の失言1つでここまで怒るほど心の狭い女性ではないのだが、新生竜珠ができた経緯とか横島が簡易式神ごときの胸に執着していたことなどが腹に据えかねていたのだろう。

「確かに私も魔鈴さんは魅力的な方だと思いますよ。でも横島さんが私たち以外の女性に目を向けてしまうのは、私たちの魅力が横島さんに十分伝わってないからだと思うんです」
「……!?」

 しかし小竜姫の次の言葉は横島にとって意外なものだった。とはいえ確かに理屈は通っており、もしかしてこの前のカリンとタマモのようなサービスを彼女もしてくれるのかと期待したのだが、やはり世の中そこまで甘いものではなく、

「なので、さっそく私の魅力をアピールすることにしました。私の武人としての心意気、存分に見て下さいね」

 と横島の手をつかんだまま中庭に引きずっていく小竜姫。要するに組み手をするということだ。
 小竜姫は武の神であるから、その人間性、いや神性が最も分かりやすく表現されるのはやはり戦いの場であろう。だから彼女の言い分はさほどおかしなものではないのだが、今彼女から放散されているオーラからはとてもそんな殊勝な考えは感じられなかった。伝わってくるのはただ1つ、浮気者に対する怒りとお仕置きの念だけである。
 むろん横島もその真意が分からないほど鈍感ではない。

「いや凛明さま、それは激しく違いますから! ヘルプミー、ドンキルミー!」
「何が違うんですか? 明日とあさっての修行の前に横島さんがどんな変化をしたのか確かめておきたいですし、夕食前の運動にもなるじゃないですか」
「NOーーーーー!」

 しかし今さら和風な英語で泣き言をいっても通じるはずがなく、横島はドナ○ナをBGMにしながら中庭に連行されていった。タマモはそれを黙って見送っていたが、2人の姿が見えなくなると人間の姿に戻ってカリンに話しかける。

「うーん、半分は私のせいみたいだし、助けてあげた方がいいのかしら?」
「……いや、いらないだろう。あれくらいで横島が凛明殿を悪く思うはずがないし、失言癖も少しは治るだろうからな」
「……そーね」

 見るからに憮然とした様子のカリンの冷たい返事に、タマモはあっさり同意した。2人並んで、横島と小竜姫に意識されない程度の距離を保ってついていく。

「いてっ! 痛いっス凛明さま、も、もー結界ないんですからもう少し手加減を」
「そうですか? 結界がなくなった代わりに体は頑丈になったんですから、このくらいなら平気だと思ったんですが……じゃあもう少し強めに打ってみますね」
「何でそーなるんですかあああ!?」
「フフッ。痛いのが嫌なんでしたら、きっちり見切ってかわして下さい♪」

「……。本当に助けなくて大丈夫?」

 目の前で繰り広げられる一方的な暴力シーンに、タマモがふた筋ほど冷や汗を垂らす。カリンもさすがにやりすぎだと思ったのか、

「そうだな。凛明殿の気持ちも分かるが、ああいうのは良くないな。仕方ない、もうちょっと手加減するように言ってくるか」

 と中庭に飛び降りて、哀れな本体と怒れる竜女神さまの仲裁に入るのだった。


 ―――つづく。

 このSSは横島君幸せ物語なのですが、まったく痛い目に遭わないのも横島君らしくないということで(酷!)。
 ではレス返しを。

○滑稽さん
 はい、横島君に折檻は付き物ですから(酷)。しかしこの程度で落ち着きが出るくらいなら原作の横島君は(以下略)。
>竜神界への訪問
 小竜姫さまも意識し始めてきましたが、唯一の問題は彼の人格なんですよねぇ。

○cpyさん
 今回の後半で溜飲を下げていただければとw
>映画
 そうですねぇ、横島君でなくてもああいうのはツラそうです。これを機に心を入れ替え……無理かw
>友人等
 1度インプットされたイメージはなかなか変わらないものですからねぇ。横島君のは特に強烈ですしw

○影法師さん
 女優のスカート破ってますしねぃw

○KOS-MOSさん
 毎度お褒めいただきありがとうございますー。
 監督はプロですからw
 今回も小竜姫さまメインで、甘々ばかりじゃ食傷するかなといった感じのお話でした(ぉ
>デザイアブリンガー
 なくなってしまってからもう1年経つんですよねぇ。月日の流れは早いものです。

○酒さん
 そのネタは知りませんが、楽しんでいただけたようで嬉しいです。

○紅さん
 は、小竜姫さまもこれほどのトンデモ芸を見せられては冷静ではいられませんでしたw
>砂糖分
 微えろ分とお仕置き分でバランスをとってみましたがいかがでしょうか(ぇー

○星の影さん
>映画
 横島君はもちろん恥ずかしかったのですが、お目々キラキラな小竜姫さまに押し切られてしまったのです。
 余計なことを言ったりやったりして自爆するのは横島君の特技ですから(酷)。
>デザイアブリンガー
 横島君を取り巻く状況は大きく変わりましたけど、作中時間ではほんの数ヶ月のことなので、性格の方はそうそう変わらないのですw

○通りすがりのヘタレさん
>中ボス
 あんな役で出てくれるGSが他にいるとも思えませんしねぇw
>幸せ加減
 しっ○団に拉致されないのが不思議なくらいですのぅ。
>映画
 まったくですな。果たして何人の知人友人に知られることになるのかw
>長期連載
 書き始めた頃は中編くらいの予定だったのがいつの間にか(^^;

○sinkingさん
 ありがとうございます、監督も喜んでおります(ぇ
 横島君は今回しっかり仏罰をくらいましたのでー。

○風来人さん
 せっかくくっついたからには、普通にデートの話も書きたいですからねぃ。いずれはカリン話とタマモ話も書きたいものです。
>大樹遺伝子
 は、少しずつ目覚めてきてるようです。女性陣ピンチですw
>映画
 横島君のキャラは分かりやすいですからねぇ。1人でギャグパート全部受け持ってくれる有り難いキャラだったんでしょうな(酷)。
 でも原作より扱いがよかったかどうかは微妙ですな。撮影中は主役だったわけですしw
>銀ちゃん
 は、これでいつでも出せるようになりました<マテ
 美神親子はあの映画では動かないでしょうな。あの役ではw
>200話突破
 実際ネタだけはあるのが困りものです(ぇ

○遊鬼さん
 横島君も小竜姫さまもデートは不慣れですからねぃ。初心者向けのコースの方が合ってたことでしょうな。映画は仰る通り失敗だったわけですが、なにぶん横島君なので最後まで失敗せずに決めるというのは至難なのです(酷)。
>ジュース一杯にストロー2本
 あまりにもベタですからねぇ(^^;

○whiteangelさん
>ジュース
 何も知らない小竜姫さまを、邪な横島君がだましたんですよー(ぉ
>共演
 あれは共演とは言いづらいような(^^;
 むしろピートの方が妬まれそうでありますが、どうなることやら。

○山瀬竜さん
 横島君にあんな普通なデートができたとは筆者も驚きであります<マテ
 確かに煩悩は大きいですが、仰る通り原作と違って満たされてますからねぇ。それで自制できたのでしょう。今回は人目がなくなったせいかタガがちょっと外れてますがw
 あと小竜姫さまが可愛いのはデフォです。
>『人と神様の道ならぬ恋を〜』
 そうですねぇ。今後は逆の立場でロクでもない事しないよう監視が必要ですな。
 おキヌちゃんは厳しいですorz

○怒羅さん
 いくら真面目な性格でも、横島君の影法師という宿命からは逃れられないのでありましたorz

○スカートメックリンガーさん
>勇者
 つい先日くっついたばかりですからねぇ。いろいろ欲目が入っているのでありましょう。
 どっちがたぶらかして篭絡したかは難しいところですが、先にアプローチをかけたのは横島君ですから、やはり悪の根源は彼でしょうねw
>ここの横島は両方の意味でおいしいです
 まったくですな。えろすとバイオレンスもこなしてますし(ぉ

○Februaryさん
 姫様が可愛いのは摂理ですからー。まあ今回はちょっと恐かったですけどw
>ディレクターズカット完全版
 そういう欲がなかったからこそ人気を博したのですよー。
>一般ピープルたる横島が耐えられたのはすごいことかと
 本当は逃げ出したかったんでしょうけど、姫様と手をつないでいては出来なかったのですな。
>黒いたくらみに一票
 彼女も一応神族なんですがw
>貧乳好き
 むう、まさに漢ですな。

○ばーばろさん
 小竜姫さまの初デートに変なチャチャ入れたりしたら筆者に仏罰下りそうですしねぇ(ぉ
 まあ今回も前半は横島じゃないかも知れませんが、後半で気分すっきりしていただけるかと<マテ
>「ない事ない事」
 それだとヒャクメに仏罰が下りますがなw

○Tシローさん
 デートについては上記の通りということで(ぉ
 しかし横島君のマトモモードなんてそう長くは続かないのでありました。まる。

○読石さん
>横島君
 確かに映画が普通のラブロマンスだったりしたら、小竜姫さまも帰るなんて言い出さなかったでしょうねぇ……何て不埒な。
 学校でつるし上げに遭ってくれるといいですのぅ(ぉ
>「快感フィードバック娘」
 本人には何の責任もないというのに酷い話です<マテ

○食欲魔人さん
 初めまして、今後ともよろしくお願いします。
 筆者も書いてて羨ましいので、たまには仏罰を下してみました<マテ

○ロイさん
>昔の映画出演晒し
 は、筆者の頭ではあれが精一杯だったのですよー。今回も過去のあやまちでお仕置きされてもらいましたがw
>大樹
 どちらがより女誑しか、血を見ずには納まらない迷勝負になりそうです(違)。

○アラヤさん
 バトルの合間には日常的なお話も欲しいですからねぇ。今回はアレですがw
 こんな文章でも楽しんでいただけてれば嬉しいです。
>恐ろしいほどの成長能力
 さすがの小竜姫さまも驚いております。

○チョーやんさん
 甘いデートの次は当然……の前に、GSらしくお仕置きシーンを入れてみました(酷)。
>映画
 黙ってスルーすれば良かったのですが、横島君はそこまで機転回るタイプじゃありませんからねぇ。幸せの代償というやつでしょうか(違)。
 自省どころか外では抑えてた欲望を一気に放散しておりますがw
>お持ち帰りじゃね?
 状況的には、小竜姫さまの方がお持ち帰りしたという事になってしまうわけではありますが(^^;

○XINNさん
>テイクアウト
 筆者もぜひそうしたいのですが、仏罰が恐いヘタレなので出来ません(ぉ
 がんばっていつか姫様のハートを射止めて下さいねぇ。
>今回の小竜姫様は驚きの連続ですね
 引き続き色んな意味で驚かされましたw
>大気圏突破
 筆者も残念です(ぇ

○鋼鉄の騎士さん
 いあ、ちゃんと仏罰は下りましたのでご安心を。
>快感フィードバック娘
 カリンも難儀なモノに生まれてしまったものですヾ(´ー`)ノ

○tttさん
 はい、小竜姫さまはすっかり頭脳派になられました!

   ではまた。

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