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!警告!壊れキャラ有り

「『最強の』後継者その14(GS)」

ラッフィン (2008-01-05 00:16)
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「フミさ〜ん、お話があるんだけど〜?」
「はい、なんでしょうか?冥奈様」

百合子から電話をもらった後、冥奈はフミを呼び出した。そして、百合子からの電話の内容を話して聞かせると。

何故か、嫌な予感が・・・冥奈様!私はこれで失礼します!」

話を聞いたフミはすぐさま部屋を出て行く。それを見た冥奈は確信する。

「百合子ちゃんの違和感は間違いじゃなさそうね〜」

そうのほほんとのたまいながら冥奈は動き出す。フミの未来予測にも匹敵する勘(忠夫の事柄のみ) までも利用する冥奈。実に恐ろしい・・・。
冥奈が動き出したころ、フミは愛車に乗り込みエンジンをかけていた。

「忠夫様!ただいまあなたのフミが参ります!」

ピキーン!

「こっちですね〜!!!!」

ゲゲゲの鬼○郎よろしく、髪の毛の束が一本立ち、それから何かを感じたフミは車を走らせる。彼女は一陣の風になった。


―冥子、エミ、令子―

「で、何よ?私達を呼び出したりして」
「それは私も聞きたいワケ。どうしたの?冥子」

令子とエミは突然、冥子に呼び出されていた。ちょうど近くを歩いていた二人はすぐに冥子と合流したのだが、冥子の様子が何かおかしいと感じる。

「実はね〜、さっき西条さんから電話があって〜」

西条から電話を受けた冥子は忠夫に代わってくれといわれて代わったのだが、忠夫とはあまり面識がない西条がなんのためにかけてきたのかが気になる。普通の学生に公務員の西条が頼み事をする可能性は限りなく低いし。そして、電話を切った忠夫から指定された場所を聞いた冥子はその疑念をさらに深めるのだった。
それを令子とエミに話してみせると二人ともその冥子の意見に同意する。

「確かに気になるわね・・・」
「けど、大丈夫なんじゃない?危ないことはないと思うけど」
「そうなんだけど〜・・・わかるでしょ?」
「ええ、なんか嫌な予感がするのよね?」
「そうなのよ〜」
「そうね、霊能力者の勘は馬鹿に出来ないからね」

普通なら危ないことはないだろうと思うが、3人が3人とも嫌な予感がして仕方なかったのだ。何かがあると思った3人は忠夫が呼び出された場所に向かうことにする。とちょうどそこに猛スピードで激走する車が。

「「「フミさん!?」」」

思わず叫ぶ3人。その車はフミの愛車であったのですぐにわかった。そして、フミがどこに向かおうとしているのかもすぐにわかる。あの激走は忠夫のピンチのときでしかしないからだ。

「メキラちゃ〜ん」

そして、3人の姿が消える。メキラの能力で3人はフミの車の後部座席にテレポートしたからだ。

「フミさ〜ん、どこに向かってるの〜?」
「冥子お嬢様、令子様、エミ様も!?とりあえず、こっちに忠夫様の気配があるのでそちらのほうに!」

突然現れた冥子達に驚くフミだったが、忠夫のピンチかもしれないのだ。そんなことに構っている暇はないし、冥子がいるということは十二神将を遣ったのだと状況をすぐに理解したために、冷静に簡潔な説明を現れた3人にしてあげる。
フミの言葉で忠夫のところに向かうことを確信した冥子達は忠夫が指定された場所を教えることに。

「わかりました!今いきますよ。忠夫様〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

明確な場所がわかった今。フミはさらに車を加速させる。あまりのGに冥子達は車のシートに体を押し付けられて呼吸すら困難な状況になったのは秘密である。
こうして四人は忠夫の場所に向かったのだった。


そして、現在・・・。フミは西条と対峙している。

「ちょ、ちょっと!待ちたまえ!何故闘うことになるんだい?」
「あなたが先ほど忠夫様にされたことを忘れたのですか?その年で健忘症ですか?理由は忠夫様にされたことで充分すぎます!」
「いや、あれは横島君を試しただけ・・・」
「なんですか?それ。資格があるのか試そうと戦闘をしかけて殺しかけてしまったが、資格がなかったから仕方ないこととでも言うつもりですか?そんなこと理由になるわけないでしょう!」
「しかし・・・」
「しかしもかかしもないでしょう!あなたはいくつですか?高校生相手に虐待するなんて恥を知りなさい!」

フミはそう叫ぶと一旦しゃがみこみスカートの中から武器を取り出すと腰を低く落し構える。もう、戦闘は避けられないと思った西条も愛剣を引き抜き構えたが、言葉を発し続ける。

「あれは男の戦いであって・・・」
「忠夫様は自分から闘いに同意するような人ではありません。もう、何を言っても無駄のようですね」
「メイドである君が僕に勝てるとでも?」
「その言葉、後悔しなさい・・・」

もはや戦うしかないことを悟った西条は最後に挑発めいたことを吐いてしまった。彼がフミの戦歴を知っていたら絶対に口にしない、否!出来なかったであろう事柄を。自分は正しいと常に自分の正義の下に行動していた西条だが、今回ばかりは正義ではなく感情が先走ってしまったために明らかに状況が不利になってしまったのだ。

「ふぅ・・・」

ユラ〜・・・ユラ〜・・・

フミはまるで川の流れのようにゆったりとした動きで西条の周りを回り始めた。西条からはフミの武器がなんなのか見えず、わからない。ただ、逆手に持っているところを見ると近接武器だということくらいしか予測できない。西条は油断なく構える。

「ふっ!」
「速い!?」

ガキィイイイイ!

ゆったりとした動きだったフミが突如視界から消えた。否、消えたのではなくスピードを上げたのだ。そのあまりに急激な速度変化に消えたように見えただけだったのだ。だが、油断なく構えていた西条はそれに反応し、剣でフミの攻撃を防ぐことが出来た。

「ふぅ。予想外に速い・・・くっ!?」

ゴオウ!!

一撃を防ぎきった西条は一息ついて落ち着こうとしていたが、直感に従い頭を下げた。そこにフミの問答無用の一撃が。間一髪、態勢を低くした西条の頭の上をフミの武器が通り過ぎた。

「危なかった・・・」
「外しましたか。次はありませんよ」

冷淡な声が聞こえたと思ったら、目の前に次弾が迫ってきていたので回避する。今度は連激である。

「はぁあああああああああああああ!!」

ゴア!

「くっ!まさか、トンファーだったとは・・・接近戦じゃ分が悪い!」

フミの攻撃を避けながら、武器がトンファーであることを確認した西条はすぐに戦術を切り替えた。トンファー相手に接近戦は分が悪い。あまり、女性には手を上げたくないのだが、相手が話しを聞いてくれそうにないので仕方が無い。

「すいません。でも、話を聞いてくれそうにないので多少強引に行きます。正義の弾丸!」

制服のベルトにかかっているホルダーからピストルを取り出して発砲する。ただし、狙っているのは足で急所には当たらないようにちゃんと考えて放たれていた。このピストルの弾丸にはしびれ薬が塗ってあり、接触するとその部分が麻痺して動かせなくなるのだ。
だが、その弾丸をフミは・・・。

「見切ったぁ!」

キン!キン!キン!キン!キン!キン!

「な!?全部はじききっただってぇ!?」

トンファーを旋回させてその弾丸を全てはじき落としていた。その人間離れした動きに驚愕のあまり動きをとめてしまう西条。それをフミを見逃さない!

「私の忠夫様に手を上げたことを悔い改めなさい!たぁ!」

掛け声とともにフミが宙へ高く舞い上がる。両手に持ったトンファーを高速回転させ、西条目掛けて上空からの襲撃をかける。

「せいやぁ!」
「うおああああああ!?!?」

正気に戻った西条は紙一重で回避することに成功する。が、その直後に外れたフミの一撃の威力を見て絶句する。何せフミのトンファーが地面についた瞬間。

ゴッ!

ビキビキビキ・・・・・・・ドゴォオオオオオオオオオン!

「嘘だろ?」

鈍い音の後、地面に亀裂が走り大きな穴が開いたのだ。そのとてつもない威力に思わず声をもらす西条。ついつい、その恐るべきフミの腕を凝視してしまう。
その腕は男とは違い、細くしなやかでとてもあの大穴をあけられるとは思えない。何故あんな威力が出るのだろう?とフミの不思議を考えていると西条の視線に気付いたフミがさらなる暴走を引き起こしてしまった。

きゃああああああ!なんて不埒な目で見てるんです!私の体は全て忠夫様のものです。あなたに見せるとこはないんですよ。それなのに私の体を凝視するなんて・・・ああ、忠夫様。私汚されてしまいました。でも、ご安心ください。フミの全ては忠夫様のものですよ。忠夫様になら私の恥ずかしい部分まで全てお見せしても・・・むしろ見てもらいたい。なんちゃって、きゃぁあああ///私ったらなんて恥ずかしい///

もう、想像がどんどんアレな方向に向かってしまっているフミ。「ああ、忠夫様!そんなとこまで・・・」とか「恥ずかしいです。そ、そんな綺麗なんて!」とか聞こえるが気にしてはいけない。いけないったら、いけない。
完全に忘れられている西条は攻撃していいのか、逃げていいのかと戸惑いを隠せないでいる。
触らぬ神に祟りなしである。

「今のうちに撤退するか」

撤退を選択した西条は、後ろを振り返り一歩歩き出そうとしたとき・・・。

ビシッ!ツー・・・

何かが頬をかすめて飛んでいった。思わず頬を押さえたが、そこから血が流れていたのを確認できてしまう。恐る恐ると振り返ると、そこには片手を頬に添え悶えながらも、もう片方の腕でトンファーを旋回させて下にある小石などを弾き飛ばしているフミの姿が映る。
その石が先ほど西条の頬を掠めていったのだろう。西条の額に冷や汗が流れる。
なんとも危険な女性である。しかし、それだけなら西条の技量をもってすれば警戒しながらであれば撤退することは可能だったろう。だが、西条が後退しようとすると今まで不規則だった弾かれた石が狙ったように西条に集中するのだ。その石の速度は不規則に弾かれていた石よりも数段早く、数も倍以上。さらには地面などに当たって軌道が変化する(それでも西条に直撃コース)ものまであるため、迂闊に動くことができなくなってしまった。なんとも危険な女性である。

「はっ!忠夫様は?」

そうこうしているうちに妄想から現実に戻ったフミ。小石は飛んでこなくなったものの、またフミを相手にしなければならない西条にとって、これは喜んでいいものか微妙なところである。

「くっ・・・私を惑わすとは、なんて狡猾な策。でも、もう通用しませんよ!」
「いや、策って・・・自分で妄想に耽ってただけじゃ・・・」
「覚悟ぉ!!」
「僕の話は聞いてないのか!?」

もうフミに何を言っても無駄だろう。すでに諦め気味の西条だったが、油断していると本当に命をとられかねないので気を抜いてはいられない。二人はお互いに得物を構えて再び合間見える。

「はっ!」
「せい!」

トンファーと剣の打ち合う金属音が響き渡る。接近されては不利になると西条は剣の間合いである中距離から斬撃を繰り出そうとするも、フミはフミで接近して必殺の一撃を当てようと懐に飛び込もうとするので、必然的に距離をとろうと西条は後退を余儀なくされる。そこに接近戦に持ち込みたいフミが懐に飛び込んでいくため、だんだんと壁際に追い詰められていく西条。そして、ついに・・・。

「せいあ!」

ガッ!

「うわあああああ!!」

ビリィイイ!?

フミのトンファーを辛うじて避けたはずだったのだが、制服の前に引っかかり宙へと浮かされてしまった。こうなっては西条に出来るのは衝撃に備えてガードを固めるだけである。フミはそのチャンスを逃すまいとトンファーを高速回転させ、渾身の一撃を叩き込むべく腕を振りかぶる。

「もらったぁあああ!」

目を閉じて来るべき衝撃を耐えようとする西条。フミの腕が一閃し、西条の体にとてつもない衝撃が襲・・・・わない?
何故かフミの腕は西条を撃退すべき上空ではなく、地面に伸ばされていた。

ドサ・・・

「ぐあ!?」

不思議なことにフミにトドメの一撃を放たれることのなかった西条はそのまま地面に落下。くると思っていた衝撃に耐えようと身を固めていたために、背中から落下して一瞬息が詰まるも、すぐさまに起き上がってフミのほうを向く。が、自分の目に映った光景に目が点になってしまった。

「こ・・・これは!?」

フミは西条の破れた制服を見ていた。否、西条の破れた制服の近くに落ちている何枚かの長方形の紙のようなものを見つめている。フミはそれを震える手で手にとって凝視する。それは写真であった。それも忠夫が写っているものばかりのである。

「こっちは学校にいる忠夫様・・・こっちは友達と遊んでいる笑顔の忠夫様・・・こっちは・・・」

そこにはあらゆる場面の忠夫の姿が写っていた。それは西条が探偵を雇ったりして集めた忠夫の情報の産物であった。その写真に見入っているフミの目は血走っている。瞬きすらも忘れるほどに凝視しながら。
不意にフミの視線が西条に向いた。

「・・・・のですか?」
「は?」

ボソっと呟いたフミの言葉。だが、西条には小さすぎて届かなかった。思わず聞き返してしまう西条。その血走った目が恐怖を誘うので若干引き気味であるが。その反応が気に食わなかったのか、フミは叫ぶ。

「写真はこれだけしかないのですか!?」
「え?え?」
「出しなさい!今すぐ!!」
「あの・・・」
「出さない気ですね・・・だったら、無理にでも出させるだけです!」

ちなみにこれは西条が状況を理解していないので返事が出来なかったわけではない。フミが西条の返事を聞かないままに一人で話を進めているだけである。
フミはそういうと散らばっている写真を一瞬でかき集め胸元に仕舞い込む。そして、再びトンファーを構え、西条に襲い掛かった。写真を得るために。

「な!消えた!?」

忠夫の写真というお宝を得るために覚醒したフミのスピードは、西条の限界値を超えて消えたように見えた。
消えたフミの姿を探し、キョロキョロとあたりを見回す西条だったが、それと同時に背後をとられないように壁際によることで、警戒範囲を絞り攻撃を防ぐことに集中する。しかし、覚醒したフミには無駄なことであった。

「写真を寄越しなさい・・・」

西条の耳元で、静かだが寒気のする声が聞こえたのだ。フミはなんと上から影に紛れての奇襲をしてきていた。まるでスパイダーマンよろしく、壁伝いに降りて来たフミはトンファーを一閃。左手のトンファーで剣を持っていた右腕を打ち、剣を落とさせると右手のトンファーで西条のズボンの後ろについているポケットを破く。さらに着地と同時に両手のトンファーを突き出し、ズボンの両側についているポケットを突き破り、とどめは体を回転させて、遠心力たっぷりの回し蹴りで西条の足を刈り、態勢が不安定になったところに高速回転させたトンファーを打ち込んだ。吹っ飛んだ西条は壁にたたきつけられてしまった。その際にフミは西条の胸ポケットを掴んでおり、トンファーで打った衝撃でポケットを千切っている。

「ごはっ!?」
ビリィイ!

「ふむ、ここにもなかったということはもうありませんね」

毟り取ったポケットの破片を握りながらフミは呟く。西条は無防備なところに打ち込まれたトンファーの衝撃と壁に叩きつけられた衝撃で呼吸をするのが精一杯といった状況だ。

「さて・・・忠夫様にした仕打ちの懺悔の時間ですよ?」

ポケットの破片を捨て、トンファーを構えなおしたフミがゆっくりと歩み寄ってくる。
何故かこういうときにはコツッ、コツッと別に鉄を打ちつけた靴でもハイヒールを履いているわけでもないのに甲高い音が響いてくる。
顔の半分以上が影で隠れてトンファーだけが不気味に輝いて見える。まるで、ホラー映画である。
西条、絶対絶命のピンチ!!


―忠夫―

車で病院につれていこうとしていた魔鈴、冥子とエミは困っていた。怪我をした忠夫本人が病院行きを拒否して、まだ西条との勝負を続けようとしていたから。

「忠夫君、病院に行きましょう?」
「もう、大丈夫だから!病院はいいって!?」
「我侭言うなっての!ヒーリングで治ったからって完治したわけじゃないんだからね!」
「そうよ〜・・・もし〜、忠夫君に何かあったら〜、私〜・・・ふぇ」
「わかった!わかったから!?泣かないで姉さん」

今までヒーリングで西条に負わされた傷を治した忠夫が駄々をこねていたのだが、いい加減しびれを切らした冥子が今にも泣きそうな顔になったので慌てて忠夫は意見を変える。冥子が泣きそうになったとき、若干エミも顔が引き攣っていたのは秘密である。やはり、女の子の涙には弱いものだ。別に冥子の暴走が怖いわけではない・・・はずだ。・・・たぶんね。

「・・・(いくら冥子のヒーリングが強力だからって傷が治るのが速すぎる)」

その中で、令子だけは異常なことに気がついて思考に耽っていた。忠夫達は病院に行く行かないの口論に夢中でその様子に気づくことはなかったが。
そんな思考も口論も壁に何かを叩きつけたような大きな音によって中断させられた。
真っ先に動いたのは忠夫である。

「あ、忠夫君!?」
「待ちなさい!」
「ただおく〜ん!」
「忠夫!?」

冥子達も忠夫に続いて駆け出した。

「フミさ・・・・」

「どうしたのよ?ただ・・・」
「どうしたの〜?」
「何を固まって・・・」
「あっ・・・」

駆けつけた忠夫達はその光景に思わず固まってしまった。
壁に叩きつけられて座り込んでいる西条に、ホラー映画よろしくゆっくりと歩み寄るフミというシュールな光景を見てしまったのだから。

「って、固まってる場合じゃないわ!」
「フミさん!ストップ!」
「フミさ〜ん!」

このままではヤバイと感じた令子達は固まってる場合じゃないと現実復帰してフミをとめようと叫ぶ。だが、そんな想いも虚しくその声はフミには全く届いていなかった。あの忠夫の声すらも届いていないのだから。これは体を張ってとめるしかないだろう。となると・・・。
令子は封印していたアレを解禁する決意をする。

「忠夫」
「何?令子姉さん?」
「アレをすることを許可するわ」

その言葉に冥子とエミが反応する。魔鈴は?顔だ。令子の奴、本気なのね・・・とエミは思ったとか。

「アレ?」
「お土産屋でフミさんを気絶させたアレよ」

令子の言葉にアレを思い出した忠夫だったが、同時に嫌なことにも思い至ってしまった。

「もしかして・・・フミさんを押さえつけないといけない?」
「当然!じゃないと止められないでしょ」
「ちょっと!!俺じゃ無理!とめられないって!?」
「俺じゃ無理じゃない、アンタじゃなきゃ無理なのよ!フミさんをとめられるのは忠夫しかいないわ」

その言葉に隣で聞いていた冥子とエミもうんうんと頷いている。普段なら危ないからやめなさいと止めるはずの姉達が今回は揃って賛同している状況に、もはや味方が一人もいないと悟った忠夫だが、最後まで足掻いてみた。

い、いやじゃあああああ!俺だってまだ死にたくないよ!」
「泣き言言うな!男だろ!ほら、いきなさい!!」

ゲシッ!

「ああああああ」

令子に蹴り飛ばされる忠夫。アレを知らない魔鈴は慌てて令子に言った。

「あ、あの・・・忠夫君が危ないと思うんですけど!」
「大丈夫よ。あのフミさんが忠夫を傷つけるなんてたとえ地球が滅んでもありえないから。だから、止めちゃ駄目よ」

そんな魔鈴の心配もなんのその。令子は自信満々に言い切り、魔鈴が忠夫を連れ出そうとするのをとめた。それでも心配な魔鈴は冥子とエミにも視線を送ったが、返ってくるのは令子と同じ目である。
というわけで魔鈴は一人はらはらしながら忠夫を見守るのであった。

「ハァ・・・助けはなしか。やるしかないんだろうな〜・・・よし!」

覚悟を決めた忠夫の雰囲気が変わる。頭の中で言葉をシュミレートし、フミに迫った。さっきは悶えていても西条の動きに反応したフミだが、忠夫が近づいてもまったくの反応を見せない。というかいつの間にか歩みまで止まっている。むしろ、自分から忠夫のほうに向かっていっているように見える。しかし、本人は至って無自覚である。
やがて、忠夫とフミの距離は0となり、忠夫がフミを後ろから抱きしめる形となった。

「フミさん、もうやめて。フミさんにそんな顔は似合わないよ。さぁ、こっちを向いていつもの綺麗な笑顔を見せてくれないかな?僕のフミ」

忠夫が囁いた直後、フミは見たこともないくらいの素晴らしい笑みを浮かべて倒れた。どうやら、あまりの甘い囁きに容量を軽く超えてしまったらしい。

「こ、これよ!これこそ私の求めていたものだわ!これこそ、本来の私の役割!忠夫様の真の恋人である私の!!ああ、なんて幸せ!メインヒロインは私よぉおおおおおおおおおお!!」

と内心で叫びながら気絶したのだった。その甘い囁きは令子達のほうにも届いたらしく、皆が皆頬を染め上げていた。

「ポ〜・・・」

もう、冥子は忠夫しか映っていないようで恍惚な表情を浮かべているし。

「だから、あれは弟なんだってば!」

エミは呪詛のように何度も『あれは弟』と自分に言い聞かせている。

「私はドキドキしていない・・・」

煽った令子までもエミと同じように自分に言い聞かせている始末である。しかし、一番影響が大きかったのは忠夫の技を初めて目の当たりにした魔鈴だろう。


ズギャーーーーーーン!!


間違った・・・。


ズキューーーーーーン!!


「はぅあ!?」

「(な、なんですか?この胸の高鳴りは・・・。なんだか、忠夫君を見てるとドキドキが止まらなくて、もしかして私、忠夫君に恋しちゃったんでしょうか?)」

魔鈴さんのハートにクリティカルヒットしたみたいです。忠夫は気絶したフミさんをお姫様抱っこで抱き上げ、車に運びました。冥子とエミはアレを見るのは二回目なのでしばらくすると回復して忠夫の後を追って車へ。魔鈴は自力では回復できなかったようでその場でぽ〜っと固まっていたが、結局忠夫に抱きかかえられて運ばれていき、忠夫の腕の中で再び固まったのだった。

「くっ・・・」

フミの一撃で壁に叩きつけられた西条は立ち上がることが困難なようで、壁を支えにして立ち上がろうとしていた。そこにすっと助けが。

「大丈夫?西条さん?」
「れ、令子ちゃん・・・」

助けたのは令子であった令子は冥子達と同じころに復活して西条のところにむかっていたのだ。令子の助けを借りて西条はなんとか立ち上がることが出来た。

「助かったよ。ありがとう令子ちゃん」
「別にいいわよ。でも、西条さんが忠夫にやったことは許せたわけじゃないからね」
「じゃ、どうして僕を助けてくれたんだい?」
「聞きたいことがあったから」
「聞きたいこと?」

令子はさっき浮かんだ疑問を晴らすために西条に話を聞きにいたのだ。理由がどうあれ、高校生をいたぶったのは事実なのだから許せないのは当然のこと。しかし、今はそんな気持ちよりも疑問を晴らしたいという欲求のほうが強かったために西条を助け起こしたのだ。

「忠夫の傷のことなんだけど・・・ヒーリングをかけたにしてはやけに回復が早いのよね。西条さん、何か知ってるかしら?」
「さすがだな。そこを見抜くなんて・・・」

はぐらかそうとしたが、令子の『ごまかしは通用しない』という強烈な視線を感じてやめた。正直に白状することにした西条は令子の観察眼の鋭さに感心するしかない。

「最初に言ったと思うけど、試したのは事実だよ。ただ、大怪我をさせるつもりはなかったから手加減はしてたさ。でも、それだと彼の実力が見れないと思ってね。外見は大怪我に見えるけど実際はそんなにひどくない傷をつけたのさ。ただ、最後の彼の言葉に思わずそんな考えなんて全部消し飛んで感情的になったのは確かだけどね」
「でも、あんなにしなくても・・・」
「令子ちゃん、彼はGSを目指していないにしても六道や霊能力者に関わっていたら必ず霊に関わることになるんだ。だから、今のうちに自分のことは自分で守れるようにしないと。そのときがきてからじゃ遅いんだよ?彼が死ぬようなことになったら君は悲しむだろう?全ては君のためさ」
「西条さん・・・」
「じゃ、僕はもう行くよ」

そういって西条は痛む体に鞭打って廃墟を後にした。それを暗い表情で見送る令子。西条に言われて気付かされてしまったのだ。忠夫は霊に関わる運命から逃れられないということに。


あとがき

あけましておめでとうございます。今年もよろしく御願いします。

お久しぶりでございます。ラッフィンです。

諸事情により、更新できなかったのですが。復活です。
忘れられている人もいるかもしれませんが・・・。

しばらく、この作品の執筆から離れていたためになかなか雰囲気が思い出せずに苦労しましたが、なんとか形になったと思います。

これから、リハビリのようになると思いますが早く元の雰囲気に戻るように努力しますので・・・。
さて、西条編も今回で終わりました。
次回はいよいよ!!


それは秘密ってことで!決して考えてないなんてことはありません。

本当ですよ?ちゃんとネタありますって!?

ただ、更新は以前のように頻繁には出来なくなってます。それでも2週間に1話は更新したいと思ってますので・・・。少なくとも一月に1話は更新したい・・・。
という状況ですが、これからもよろしくお願いします。


久々のレス返しですぅ!


ヘタレ様

はい、原作のように実戦に参加していない忠夫は戦闘能力が高いわけがありませんから。西条にボッコボコです。

そんな西条もフミさんにボッコボコですw

PS,今回冥子が暴走一歩手前でしたが。フミさんはきっちり暴走させましたw


FFF隊員No1様

西条、生き残りましたw

とりあえず、今回も素敵にフミさん大妄想ですw


Tシロー様

>嫉妬で暴走した西条
そんな西条よりも暴走したフミw


案山子のジョニー様

初めまして〜w

冥子は暴走するどころか惚けてしまいましたよw冥子だけじゃなかったけどw

そして、フミさんは相変わらずでございますw


秋桜様

フミさんなら初号機のS2機関を取り込むこともwwww
原作は実戦たたき上げで戦闘力高い、こっちは純粋培養で魅力高いですかね?

西条に土産をあげるんじゃなくて、フミさんが土産をもらっちゃいましたw


カシス・ユウ・シンクレア様

仮にもイギリスで認められてる男が相手ですから当然の結果ですね。

>六道家じゃなくて忠夫君専用のメイドになってるし
前から公言してますよ?フミさんの脳内では(笑)


シシン様

原作では銃をぶっぱなしていましたし、この話の方がマシってことでw
蝶ブラコン姉に見つかったら最後、逃げられないと心せよ!
>出番薄くて、影薄いけど余り怪我しない寅くん
>出番多いけどギャグキャラ決定的な西条さん
>どっちがマシなんですかねぇw
出番薄くてホ○キャラなバンパイアハーフよりはマシなんじゃないかとw


俊様

ご指摘ありがとうございます。

これがきっかけで忠夫の監視がキツクなりそうですけどねw


内海一弘様

思ったより西条はひどくなりませんでしたよw
フミさんの暴走はひどかったけどw


鹿苑寺様

西条は生きてますw
今回は全部フミさんと忠夫のアレに持ってかれちゃった感が強いんですけどw


風彌様

フミさん大妄想!!ご期待にそぐえたでしょうか?

パソコンは大丈夫ですか?

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