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「光と影のカプリス 第126話(GS)」

クロト (2007-12-11 19:05)
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 横島たちが1階の元の場所に戻ってみると、2階へと続く階段のすぐ手前に、身の丈5メートルはありそうな人型の石像がうずくまっていた。
 といっても浴場にあったような優美なものではない。鎧兜に身を固めたいかめしい兵士の像である。
 最初に来た時にはこんなものは見当たらなかった、という事は落とし穴が作動した時にこれもどこかから運んで来たのだろう。ずいぶんと念の入ったペナルティではあった。
 こいつが味方という事はありえない。

「……2人とも気を抜くなよ」

 とカリンに言われるまでもなく、横島とピートも軽く腰を落として臨戦態勢に入っていた。だが石像の目がピカッと光りゆっくりと顔を上げると同時に、横島は泣き出しそうな声で悲鳴をあげた。

「こ、こいつもしかしてあの古代中国石像か!?」

 以前横島が誤って強力ホレ薬をかけてしまい、そのため命がけの追いかけっこをするハメになった相手である。最後は令子がバズーカ砲で破壊してくれたけれど、あの時は本当に生きた心地がしなかった。

「……!? おおっ、そこにいるのは横島どんではごわさんか!? いつかきっと会えると信じていたでごわすーー!」
「や、やっぱりかー!?」

 横島が真っ青になって絶叫する。確かに壊れたはずなのに誰が直してここまで運んで来たのか、というかあのホレ薬まだ効いていたのか!?
 石像はよく見ると修繕の際にパーツがいくらか失われたのか、単に天井の高さの都合なのかサイズが一回り小さくなっていたが、そんなことは横島が勇気を出して立ち向かう、あるいは責任を取る理由にはならない。

「横島どんーっ、愛してるでごわすーー!!」
「嫌じゃーーーっ!」

 というわけで横島はジャケットを放り投げ、回れ右して天井の隅の方に逃げた。しかしここの天井の高さは約6メートル、つまり石像はちょっと腕を上げれば簡単に横島の居場所まで手が届く。
 とはいえ横島は逃げにかけてはエキスパートだ。伸びてきたでっかい手をゴキブリのような飛び方で回避する。

「横島どん、なぜ逃げるでごわすか!?」
「死にたくねえからに決まっとろーが! つーか男の愛などいらんわ!」

 横島の主張はまことにもっともであったが、超強力ホレ薬でトチ狂っている相手には正論も邪論も通用しなかった。

「むうう、何とつれない……しかしさすがは横島どん、この程度の求愛になびくほど軽い男じゃないというわけでごわすな!? おいどんますます燃えてきたでごわすよ!」
「違うわーーーっ!」
「……。わめいてる場合か!」

 カリンは横島と石像のおバカなやり取りにかなり力が抜けていたが、はっと気を取り直すと石像の真横から飛び込んで側頭部に強烈なドロップキックをくらわせた。
 頭蓋を揺らす一撃にさしもの巨像も一瞬動きを止めたが、すぐに憤怒をあらわにしてカリンにつかみかかる。

「ぬう、小娘が……おいどんの愛を妨害する者は許さんでごわす!」

 と両手を思い切り打ち合わせてカリンを叩き潰そうとしたが、影法師娘は素早く上に飛んで避けた。石像は霊力は持っていないのだが、燃え上がる愛のパワーのおかげか精神力で霊体に干渉できるようになっていたので、カリンは彼の攻撃を壁抜けで無効化することはできなかったのだ。

「まるで百合子殿のような……まったく厄介な!」

 しかもその頑丈さは並じゃない。空中からの攻撃では効き目が薄いと悟ったカリンは床まで降りてしっかり足で床を踏みしめ、石像の太腿に腰の入ったパンチを繰り出した……が。

 ―――ぐき。

 石像の硬さは影法師娘の想像を上回っていたようで、彼女の手首は殴った反作用に耐え切れずあらぬ方向に曲がっていた。いつぞやマネキンを殴った時と同じように。

「くぅっ……これは本格的に硬いな」
「いってぇぇぇぇ!?」

 カリンが顔をしかめて痛めた右手首を左手で押さえ、横島も空中で七転八倒する。
 一方石像の方は(彼主観での)部外者に2度も邪魔されたことに腹を立てたらしく、ふんがーっ!と鼻から荒い息を吹いてカリンに殴りかかった。

「くっ!」

 影法師娘がとっさに横に跳んで避ける。彼女が一瞬前まで立っていた床に石像の拳が埋まり、深さ10センチほどの穴を開けた。

「パワーは落ちてないな……1人ではかなわないか」

 カリンは少しだけ悔しげにそう呟くと、横島の傍らに飛んで行って声をかける。

「分かれた状態じゃ勝ち目はなさそうだ。いったん戻るからオーラをまとう形にして呼び直してくれ」

 打撃力という点だけで見れば、カリン自身のパンチより横島の拳に彼女の霊力を乗せてぶつけるというやり方のほうが上なのは明らかだ。彼の体が吸血鬼並みの強靭さを得た今なら尚更である。

「わ、わかった」

 カリンの渾身のパンチがまったく通用しなかった以上、炎のブレスもピートの霊波弾も効き目はあるまい。となれば横島が自分で戦うしかないわけで、悲壮な顔つきながらも頷いて全身に竜気をまとわせた。
 妙神山でタマモと試合した時と同じ、人型のドラゴンがオレンジ色の輝きとともに顕現する。

「こーなったら仕方ねえ。この俺みずから、てめーのかなわぬ恋路に幕を降ろしてくれる!」

 横島はとりあえず床に降りると、石像に指を突きつけてそんなことをのたまった。ことの発端は彼自身の悪謀にあるのだが、そんな些事(さじ)はとっくの昔にはるか遠くに棚上げ済みである。

「俺が欲しかったら力で奪ってみせろというわけでごわすな? 望むところでごわす!!」

 意志疎通ができたのかできてないのかは不明だが、とにかく石像は歓喜の声をあげて横島に躍りかかった。それにしても種族の差も性の差も関係なしに惚れさせるとは、何ともすさまじい効果を持ったホレ薬である。

「どわーっ!」

 つい数秒前の勇ましい発言はどこへやら、横島は悲鳴を上げながらジャンプして石像の愛の抱擁、という名のぶちかましから逃げていた。まあ身長5メートルの動く石像と素手ゲンカをする勇気がある人間などそうはいないから、横島の行動は必ずしも臆病だとは言えないかも知れないが……。
 ちなみにピートは少し離れて様子をうかがっている。自分の攻撃は効きそうにないので、せめて呼ばれた時くらいはすぐ動けるようにと待機しているのだった。

「どすこーい!」

 石像が手のひらを広げてものすごい張り手を繰り出してくる。横島は必死で加速して避けたが、次の手刀はかわし切れず両手でガードせざるを得なかった。

「ぐおおっ!」

 石像のパワーと重さはすさまじく、受けた横島の足元の床にびしりとヒビが入る。殺す気でやってるとしか思えない迫り方だったが、どうにかそれに耐えている横島もたいした成長ぶりだった。
 しかしその腕も脚もぶるぶる震えていて、押し潰されるのは時間の問題のように見えた。

「ピート殿、バンパイアミストを!」

 だがそこに影法師娘が意外な機知で助け舟を出す。横島とカリンの霊力なら破ることはできる術だが、受け入れて霧にしてもらうこともまた可能なのだった。

「は、はい!」

 ピートが横島のそばまで降りて来て、2人いっしょにぼんっとドライアイスのように気体化する。石像の手刀はそのまま床に落ちて縦一文字の穴を穿った。

「むう、横島どん、どこに行ったでごわすか!?」

 石像がきょろきょろと辺りを見渡すと、横島とピートはちょうど彼の真後ろで再び固体化するところだった。

「横島どん、逃がさんでごわすよーーー!!」

 と石像は言ったが、実際に張り手をぶつけたのはピートにだった。彫刻のくせに生意気にも、フェイントなんて小手先の芸も使えるらしい。

「ぐふっ!」

 ピートはその不意打ちをかわす事も霧化で逃げることもできず、両腕をクロスさせてブロックするのが精一杯だった。体重の差は歴然で、5メートルほども吹っ飛ばされて背中を壁に激しく打ちつける。半吸血鬼だけに命に別状はなさそうだが、口から吐血しておりすぐには動けなさそうだ。いや、後頭部も壁にぶつけて気を失ったまま床までずり落ちてしまっていた。

「ピート!」
「ピート殿!」

 横島とカリンが同時に声をあげたが、彼らが今やるべきことは友人のそばに駆け寄ることではない。横島はいったん上昇して天井を蹴りつけ、その反動を利用して石像の額に急降下かかと落としを食らわせる。
 石像は巨体の分こうした小回りの効いた動きは苦手らしく、横島のかかとはまともに眉間にヒットした。一般人なら頭蓋が砕けていた、というか石像の額も直径3センチほどへこんでいたが、それでも愛に燃える巨像はまったく効いていないと言わんばかりの勢いで横島の背中に両手を回し、力いっぱいに抱きしめた。

「あんぎゃあああああ!?」

 ここで横島の体が上下真っ二つにちぎれなかったのは、ひとえに「琥珀のドラゴン」の作用で頑丈になっていたおかげであろう。だがこのままベアハッグを受け続けていればいずれそうなるのは明らかで、横島は必死で石像の腕を押しのけようと力をこめたが、彼の腕はまるで万力のようで微動だにさせることができない。

「横島どん、やっと捕まえたでごわす! 愛してるでごわすよーー!」
「だったら力をゆるめろってんじゃこのホモ野郎ーー!」

 横島の主張は正当、というより命がかかった切実なものだったが、石像はスルーした。盲目な愛とは恐ろしいものである。

「くぬおおおーーーっ、離せぇぇぇ……」

 仕方なく横島は自力で脱出すべく再び腕に力をこめたが、そのとき邪魔にならないよう黙っていた影法師娘がかなりあせった声で警告を発してきた。

「横島、あまり霊力を高めるな……さっきのダメージが思ったよりひどいみたいでな、今負荷をかけ過ぎると煩悩玉自体が壊れる」

 正確にはそれに加えて横島自身の霊的なパワーが上がったためでもあるのだが、今そんな細かいことを言っても仕方ないのでカリンは省いていた。横島が自粛さえしてくれれば済むことだし。

「な、何ぃぃぃ!?」

 この期に及んで何てことだ。泣きっ面に蜂とはまさにこの事だったが、横島はこの一瞬、自分の棲み処たる大事な竜珠にぴきりと亀裂が入るのを確かに感じていた。
 横島は肉体が真っ二つになっても死なないと言えば死なないのだが、そんな痛みを味わうのは絶対嫌だ、というかピートや魔鈴たちの手前はなはだまずい。かと言って竜珠が割れてしまうのはもっとまずいのだが、それよりベアハッグの激痛のせいで思考がうまくまとまらない。

「……! いや待て、これはむしろいいかも知れん。賭けだ横島、思い切り霊力を上げてみろ……!」
「今さらそんな器用に力出せるかあーーっ!」

 カリンがどういうわけか急に料簡を変えてパワー全開を勧めてきたが、横島としては今さらそんな方針についていく余力がなかった。だが石像の次のひと言でそんな悠長なことは言っていられなくなる。

「横島どんとこんなに激しい抱擁ができておいどんは幸せでごわす! ではいよいよ愛の証、熱い口づけを……」


 ……ぶち。


「嫌じゃーーーーっ!!」

 横島はキレた。窒息するまで口をふさがれるとか石に顔を押しつけられたら潰れるとか、そんな事はこれっぽっちも関係なく、横島は魂の底からの叫びをあげていた。だってこれはそういう肉体的なレベルの苦痛の問題ではなく、恋人がいる身でむさいおっさんの像に力ずくでキスされるという魂の痛みの問題なのだから。
 そしてその次の瞬間、竜珠はぴしぴしとひび割れていくつかの小さな破片に砕け、横島自身は体が風船のようにふくらむのを感じた直後―――目の前が真っ暗になった。


「……はっ!?」

 横島がはっと気がついた時、視界はやたら広く、体の感覚は異様に大きくなっていた。竜の首が何本も見えるところからすると、どうやら九頭竜の姿に変身してしまったようだ。
 はっきり言ってこの姿にはまだかなりの違和感があるのだが、悪い気分はしなかった。何というか、狭い部屋から広い平原に出た時のような晴れやかな感じすらある。
 ただ何が原因でこうなったのかは正直いってさっぱり分からないのだが、この不思議事態に石像が面食らっている今こそ攻撃のチャンスだった。

「横島、今だ!」
「おう!」

 横島はカリンの呼びかけに元気よく応えると、9本の首を伸ばして石像の両腕両脚にそれぞれ2本の首で咬みついた。1本余った分は兜の上にある変な突起である。

「おおおおおっ、横島どん!?」

 事態をまだ把握しきれていない様子の石像がとまどった声をあげたが、横島は無視した。9つの顎に力をこめて、石像を空中に持ち上げる。
 いかに剛力を誇る古代中国石像といえども、こうなっては実力の半分も発揮できない。どうやら最期のときが来たようだった。

「小竜姫さまにかわって仏罰じゃーーーっ!!」

 と横島は久々に得意の決め台詞を吐きつつ、石像を思い切り壁に向かって叩きつけた。ものすごい轟音がとどろいて分厚い壁にでっかい穴が開き、石像の頭の上半分が砕け散る。さすがの古代中国石像も思考中枢が破壊されてはこれまでのようで、瓦礫の下に埋まったまま二度と立ち上がることはなかった。


「ぜーぜー……か、勝った……のか!?」

 横島はとりあえず人間の姿に戻ると、体力も霊力も使い果たしたのか冷たい床に座り込んで荒い息をついた。さいわい服は破れていなかったので特に慌てる必要はなかったから。
 するとカリンが彼が放り捨てたジャケットと意識のないピートの体をかかえて歩いてきて、

「そうだな。さすがに今回はきつかったが……道具もなしでアレに勝っただなんて、私たちもずいぶん強くなったものだな」

 とそれらを床に下ろしながら相槌を打つ。

「ピート殿にヒーリングをかけてやりたい所だが、今のおまえじゃ無理みたいだな。話すこともあるし、しばらく休んでいくか」

 横島のヒーリングは「自動再生能力のお裾分け」という形なので、自分がケガしていたり疲れ切っていたりする時には実行できないのだ。ましてここは異世界、つまり妙神山からのエネルギーが届かない場所だから尚更である。
 ただこの2人には、いたってお手軽に霊力を回復できる手段があった。

「そだな。何かやたら疲れたし……」

 カリンはそう答えた横島の真後ろに回ると、そっとその胸板を抱きしめた。煩悩少年の背中に豊かな双丘がむにむにと押しつけられる。

「おほぅっ!? カリンさん、こ、これはいったい!?」
「ん? ああ、ここの敵は手強いからな。ピート殿は寝てることだし、少しでも早く回復したいと思ったんだが……いやか?」
「滅相もないっ!」

 夜はもっとすごい事をしたりしてもらったりしているのだが、シチュエーションが違えば刺激も違う。横島はだらけた顔になって目つきも怪しく血走っているが、代わりに霊力の方は急速にチャージされていった。

「まったく、霊力源が煩悩だなんて我が本体ながら非常識だな……便利といえば便利なんだが。
 っと、そうそう。大事な話があるんだった」

 とカリンが急に口調を改めると、横島の方もさっき色々と不可思議なできごとがあったからか、少しだけ表情を引き締めて話を聞く姿勢になった。

「こんな状況だから簡潔に言うぞ。おまえはさっき九頭竜の姿になったが、あれは肉体が完全に幽体化した、つまり完全無欠の竜神になったからなんだ。もともとあれが本来の姿だからな。
 竜珠が壊れたことで、魔装術の暴走と同じことが起こったみたいだな」
「……そっか」

 影法師娘の説明はかなり要約したものだったが、横島は自分に起こったことだけに理解はできた。竜珠には小竜姫の手がだいぶ入っているから、魔装術の契約でさずかる「霊核(コア)」と似たような作用を果たしたのだろう。カリンが操る竜気を体にまとうというのは、形態的には魔装術にそっくりだし。
 カリンが「賭けだ」と言ったのはこういう事か、と横島はようやくその真意が腑に落ちた。以前この件について話した時に「小山殿と契約すれば安全に肉体を幽体に変えることはできると思う」と言っていたから、そんなにオッズの高い賭けでもないわけだし。
 横島がそう言うと、カリンはちょっと驚いたように目をしばたたかせたが返事はすぐに返ってきた。

「よく覚えてたな、まあそういうことだ。
 竜珠が壊れるなんて考えたこともなかったが、機能の方はおまえ自身の能力として残ったから安心しろ。ブレスと同じ感覚で使えるはずだ」

 九頭竜の水を操る力にせよヒドラの再生能力にせよ、アイテムに頼って行ったことではない。つまり横島はよりそれらの有名な竜たちの域に近づいたとも言えるわけだが、煩悩少年には1つだけ気にかかることがあった。

「ああ、それは俺も感じてる。けど玉竜さまは煩悩玉気に入ってたからな、せっかく残せる方法考えてもらったのに悪いことしたかな?」

 横島は男の感情を気遣うほど殊勝な性格ではないのだが、相手が舅かつえらい竜神様となると話は違うらしい。しかし影法師娘はクスッと悪戯っぽく微笑むと、横島の胸板を撫でていた手を離してその右手の甲を指さした。

「それも大丈夫だ。さっき言ったろう、『機能は残ってる』って。
 霊核(コア)もちゃんと残ってるから、何かきっかけがあればまたできるはずだ」

 そう言われて横島が己の手の甲を見てみると、彼の竜珠の象徴、「煩悩」2文字が何かの紋章のようにくっきりと刻印されていた。
 確かに力というか「術式」の存在を感じるから、いつかは復活するのかも知れないが、

「むちゃくちゃ恥ずかしいな、これ……」

 いくら自分が自他ともに認める煩悩魔人とはいえ、これはあまりに恰好が悪すぎる。激しく脱力して肩を落とした。
 カリンもさすがに可哀そうだと思ったのか、

「まあそう気を落とすな、外に出る時はばんそうこうでも貼っておけば隠せるだろう。明後日になったら小竜姫殿に相談もできるしな。
 それにこれはただのカンだが、竜珠はわりとすぐ復活するような気がする」
「……ホントか?」

 と横島がちょっとだけ気を取り直して顔を上げる。ただのカンと言っても、霊能者のそれは予知とか啓示とかそういう神秘的なものであったりするのだ。
 早期に竜珠が復活すればまた何か新しい力、はともかくこの恥ずかしい紋章を誰かに見られることもないし、玉竜への体裁も立つ。

「ああ、だから元気を出せ。それよりそろそろヒーリングが使えるようになったと思うが」

 ピートを治してやれ、という意味である。彼は横島のせいでケガしたようなものだから、手当てくらいしてやるのは当然だった。
 カリンが背中から離れると横島は名残惜しそうな顔をしたが、それでも友人の傍らに膝をついて手のひらをかざすと、念をかけてリジェネレーションのエネルギーを注ぎ込み始める。やがてピートは目を覚まして体を起こしたが、まだ意識が朦朧(もうろう)としているらしく頭を手で押さえて焦点のさだまらない視線をふらふらさせていた。しかし横島がそばにいることに気づくと、その頭を見つめながら不思議そうに質問してきた。

「横島さん、その頭のツノみたいなの何なんですか?」

 ……と。


 ―――つづく。

 古代中国石像は原作ではマリアが投げ飛ばしたのですが、このSSではマリアは出て来てないので令子さんが壊したことになっております。
 あと少しだけネタバレしておきますと、横島君は人間モードでは角を引っ込めておくことができます。今回はドジ城のせいでそれをやり忘れたということで(ぉ
 ではレス返しを。

○cpyさん
 やっぱり野郎どもより可愛い女の子たちの方が情景を想像するのが楽しいですよねぇ(ぉ
>入浴シーン
 あの状況でお風呂にお湯が張ってあるとか入浴するというのはさすがに無理があるのでやりませんでした。
 しかしワケもなく浴室を出したわけではありませんのでー!
>百合っ娘忍者
 横島ウイルスは感染力絶大ですからねぃ。
 峯さんにも素質はあったわけですがw

○Tシローさん
>峯さん
 横島君と同じリアクションしてたと知ったら暴れるでしょうねぇw
 触手は縛ってから吸収という手もありますので、練習すれば前より強力になる可能性はあるですよー。

○ばーばろさん
 入浴シーンについては上記の通りであります。
>峯さん
 本人は「女ヨコシマ」なんて絶対認めないと思いますが、付き合いが続いたらヤバそうですなw
 触手はただのロープじゃなくて峯さんの意志で動くので、乳尻太腿をいじくったりとかいろんな使い道があるのですよー<マテ

○風来人さん
 横島君が2人……我ながらカオスですなw
 入浴シーンについては上記の通りであります。
 ラスボスとか魔鈴さんの活躍については先をお待ち下さいませー。
>なんかもう腹違いの兄妹なんじゃないかと疑っちゃいます
 確かに大樹ならば大いに有り得る話ですな。実際大樹隠し子ネタはいくつもありますし。
 しかもそうなると横島君と峯さんが一緒に住むという展開も可能なわけで……うわ、面白そう過ぎる(爆)。

○ソウシさん
 千鶴ちゃんは京香ちゃんとは別のキャラということで、ひとつご理解をお願いしますですo(_ _o)

○遊鬼さん
>峯嬢
 また1つ伝説が築かれましたw
 女性としてそれでいいかなんて、そんなこと気にするほど半端な覚悟じゃありませんから(ぇー
>合流
 すいません、いつもながら進行が遅くてorz

○紅さん
 ありがとうございますー、峯さんはかなりはっちゃけさせてるのでそう言っていただけると安心します。
 もちろん今後とも出張りますのでー!

○ロイさん
 ねぎらいのお言葉ありがとうございますー。
 パワーアップ石はいい事ばかりじゃないので、おキヌちゃんが取っても愛の手になるとは限らないのがネックであります<マテ
 黒キヌちゃんにする予定だけはありませんがー!
>峯さん
 横島と薫は兄妹だという説もありますしねぇ。
 確かに周りをリラックスさせる才能は十分ぽいですw

○whiteangelさん
 実は薫と3人兄妹だったりしたらもう収拾つきそうにありませんなw

○HALさん
 3つ目のパワーアップ石の種類は分かる人には分かるのですが、そんな人ほとんど居ないだろうという罠なのです<マテ
>タマモ
 横島君と一緒にいると退屈しないというおまけもついてますしねぇ。
>秒速30m弱の強風
 横島君は小竜姫さまとの逢瀬のためなら平気で耐えそうな気もしますが(笑)、やっぱりカリンの視界範囲内テレポートの方が良さそうですねぃ。会得したばかりなので遅めに見積もって、30秒ごとに2キロ飛ぶとしたら……時速240キロって、こっちの方が速そうですな(ぉ

○KOS-MOSさん
 毎回お褒めいただきありがとうございます。
 スピードやパワーが3倍というのは無さそうなので、やっぱりドジが3倍になるしかなさそうですね(酷)。
 でもその分クラスで人気者になれると思うのです。

○鋼鉄の騎士さん
 パンドジニウムの呪いは今回も健在でした。
>赤
 しょせんドジ城ですからねぇ。ご愁傷様であります(酷)。
>峯さんの父親の名前
 うーん、横島君と異母兄妹だという説が順調に広まりつつありますのぅ。
 いや原因つくったのは筆者なんですが(ぉ

○通りすがりのヘタレさん
 激励のお言葉ありがとうございますー。
>思いっきり(エロ)漫画のキャラじゃね?
 むう、もしかしてそういうキャラが他作品にあるのですか?
>峯嬢
 カリンと会うたびに惹かれているようです。
 金色って……うわー、それはさすがに思いつかなかったですよw
>女性陣
 横島君たちと合流すると彼女たちにもペナルティが行きかねないので、難しい判断を迫られそうであります。

○Februaryさん
 お風呂については上記の通りでありますo(_ _o)
>峯さん
 一応はパワーアップっぽい、というのがドジ城らしく微妙なところなのですw
>ドラゴンモード横島も似たようなこと言ってませんでした?
 女版横島ですから(酷)。
 本人が知ったら大暴れしそうですがw
>ますます彼女は役立たず?
 それでこそヒャクメだと思います!

○読石さん
 峯さんが横島君と同じことしてるのは、彼女が筆者のお気に入りだからとでも思っていただければ<マテれ
 たとえ吸血鬼っぽかろうと横島道だろうとも!

○山瀬竜さん
>繰り返しネタ
 やっぱり基本は大事ですものねぇ<マテ
>煩悩全開百合っ娘Ver
 お兄さんと一緒にやられたらカリンが悶絶しそうですなw
>百合サキュバス化フラグ
 うーん、煩悩のために人間やめるなんてそんな横島君みたいな……って、あれ?(ぉ
>三つ目のパワーストーン
 出るのは次の次くらいになりそうな気がひしひしと(^^;

○トトロさん
>女版横島
 いあいあ、元祖を越えるには煩悩全開を上回る奥義が必要ですのでw
 横島君の立場はまだまだ安泰でありますよー。

○UEPONさん
>「あの人」
 目的のためなら手段選ばないタイプですしねぇ。
>男性陣と合流した時どうなるか
 むう、さりげない伏線をしっかり読み取られてしまいましたか(ぉ
>ジャケットの内側
 背中側ならだいぶマシだと思うのですが、やはり寒いですかねぃ。
 で、風の盾ですかー。確かに有効そうですがそこまでするくらいなら速度を落とした方が楽、いや横島君なら一刻も早く到着するために風盾でも何でも作り出すかも知れませんねぇw
>カリンの竜モード
 何しろ横島君の分身ですから、数百年も修行すればセ○リュートの域に達するのも不可能じゃないと思うのですよー。
 でも人間体が立体映像だと横島君は泣きそうですなw
>横島君ならスライムとかの実績がありますし
 それじゃなおさら阻止しないと危ないじゃないですかw

   ではまた。

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