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「光と影のカプリス 第125話(GS)」

クロト (2007-12-08 19:09)
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 魔鈴たちが女性用のドアから入った向こうは、横島たちが入ったロビーとまったく同じ構造だった。奥に続く扉が2つあるのと2階に続く階段が1つあるのも同じである。
 ただ魔鈴たちはルールを守ったからか落とし穴は作動せず、無事ロビーの中央まで進むことができた。

「さて、どうしましょうか?」
「ゲートは玉座の裏にあるんですよね。なら上の階に行くべきだと思いますけど」

 魔鈴の問いかけに神野がそう答えたのはまことに妥当な意見だったが、遠藤はそれを「甘い!」と鼻で吹き飛ばした。

「こういう時はちゃんと1階から探索して、経験値を稼いでおかないとラスボスには勝てないのよ。
 それにさっき魔鈴さんがお宝があるって言ってたでしょ。霊能グッズは高いんだから、ここで探して行かない手はないわ」

 相変わらずアグレッシブ一直線、というか二次元に毒されてるっぽいその主張に、今度は峯が突っ込みを入れる。

「あんたゲームのやりすぎ……っていうかお宝には番人がいるのよ。宝探しなんて危険だと思わないの?」
「GSがそんなこと怖がっててどーするのよ!?」

 と遠藤は女だてらに実に勇敢であったが、彼女はキョンシー使い、つまり自分自身はあまり泥をかぶらずにすむ霊能スタイルだという事は認識しておくべきだろう。

「それに私たちって基本的に実戦経験少ないでしょ? いい機会だと思うのよ」
「そりゃそーだけど、何も1年のうちからそんなに気張ることないんじゃない?」

 六女霊能科のカリキュラムは1年生のうちは基礎固めをメインにしており、除霊実習でも「何が起こるか分からない」ような危険な現場は避けていた。だいたい技能も知識も足りない者に軽々しく「実戦」をやらせるなど、教育者にあるまじき乱暴な行為である。
 ゆえに峯の意見は十分客観的な正当性を持つものだったが、神野の主張はどちらかというと彼女の個人的な事情にもとづくものだった。

「てゆーか、私と氷室さんはオートマタ(自動からくり人形)には手も足も出ないんだけど」
「そんなこと言ってたらGSになんてなれないわよ。何のために霊的格闘の授業受けてるのよ」

 などと六女組はさかんに論戦していたが、タマモ・キヌ・愛子の霊能部組は沈黙していた。こんな状況に対して自分たちがいい意見を出せるとは思えないので、年長の魔鈴と正規のGS教育を受けている峯たちに委ねているのである。
 そんな中で魔鈴が下した結論は、「まず1階を深入りしない程度に探る」というものだった。実は彼女もこの城やお宝に多少の興味はあったし、閉められた扉の鍵などが置いてあるという事も考えられるからだ。とはいえタマモたちをケガさせるわけにはいかないので、強い敵や危険そうな罠が出てきたらいったん退く、という方針である。
 玉虫色っぽい方針ではあったが、それだけに日本人には受け入れられやすかったようだ。特に反論する者もなく、一行は魔鈴と峯を先頭にしてまずは右側の扉の先に進むことになった。

(まるでブラドーさんのお城に入った時みたいですね)

 扉の先に伸びていた石造りの通路を見て、キヌはそんなことを思った。ただあの城はかなり古くて朽ち果てた感じだったが、ここは人が住んでいる気配こそないものの壁も床も崩れたりひび割れたりはしていないのが、生身の体で生き返ったキヌにとって気分的にいくらか安心できる状況であった。
 あの時一緒だった横島とピートは男性側に行っているので、今は思い出話はできないけれど。
 通路は一本道になっていて、しばらく進むと左側に大きな扉があった。
 探索に来たのだから、入らない理由はない。魔鈴たちは例によってキョンシーに扉を開けさせて中に入った。

「更衣室……かしら」

 そこはかなりアナクロな感じではあったが、旅館や銭湯にあるそれに似た場所であった。案の定部屋の奥の扉の先は広い浴室になっており、峯やキヌたちは思わずへえっと小さな声をあげた。
 大理石か何かで造られた床はなかなか高級そうな感じだし、中央に穿(うが)たれた円形の浴槽に湯を入れるための蛇口は水がめをかかげた女神の像という凝りようである。こういう立派な洋風の風呂を見るのは初めてだった。

(うーん……どういうわけなんでしょう)

 しかしその光景に魔鈴は軽く首をかしげた。中世から近世のヨーロッパではキリスト教と伝染病の影響で入浴の習慣がとぎれた時代があったのだが、ここは時代が少しずれているのか、それともこの豪奢さから見て城主個人の沐浴場なのだろうか。どうやらこの城は軍隊を駐留させる砦ではなく、支配者の住居という色合いが強いみたいだし。

「あ、もしかしてお風呂屋さんだから入り口が男女別だったんでしょうか」

 キヌがそう言ってぽんっと手を叩いたが、中世ヨーロッパの公衆浴場は男女混浴だったというからたぶん外れである。それ以前に公衆浴場だとしたら立地条件が悪すぎるのだけれど……。

「入ってみますか?」

 という神野の提案は、今は探索の最中だしそもそも浴槽が空っぽだから、入浴しようという意味ではなく室内の調査をしようという事である。これにも異論は挙がらず、7人は一応靴だけ脱いで浴室の中に入って行った。

「ふーん、古ぼけてるけどなかなか立派じゃない。でも体洗う席がないわね、お湯につかるだけってことかしら」

 タマモなどはぺたぺた歩き回りながら気のない口調でそんなことを言っていたが、六女組はやはりというべきか、女神像の傍らでミーハーなやり取りをかわしていた。

「けっこういい感じの彫刻よね。やっぱここってもともと貴族のお屋敷だったのかしら。
 将来GSになったらこれくらいのお風呂作りたいわね」
「あんたんちって神社でしょ? 巫女さんがそんな洋風なぜーたくしていーの?」
「いーじゃない、少しくらい夢見たって!」

 神野は幻覚術使いだが、彼女自身も夢見る乙女であったようだ。
 一方峯は女神像をしげしげと眺めていたが、像がつけた額冠(サークレット、頭冠の一種)にはめられている赤い珠が今にも取れそうになっているのに気がついた。
 さっき遠藤が言っていたことを思い出して、

「あ、これもしかして取れるかも……」

 と珠に手を伸ばす。すると珠は「ぱきん」と軽い音をたてて額冠から外れ、どじっ娘忍者の指の間におさまった。

(カリンさんにあげたら喜んでくれるかも……)

 最初に思い浮かんだのがそんな妄想であっただけに、珠が取れたことを神野たちに教えようなんて考えは微塵もないようだ。しかしその報いはテキメンで、額冠は「ヴヴヴヴヴ……」と微音をたてながらカタカタ動き始め、ついで像から飛び上がった。

「侵……入……者……殺ス!」

 無機質な声でそんなことを言い終えた時には、額冠は強烈な霊気を放出して人型の霊体をつくり上げていた。剣と盾をたずさえた女戦士の姿だ。
 そいつは剣を振り上げると、ためらいもなく峯に切りかかってきた!

「きゃああああ!?」

 どびっくりした峯だが、悲鳴をあげつつもバックステップして女戦士の斬撃をどうにかかわしたのはさすがに実技トップというところか。
 しかし上着は斜めに裂かれていて、本当に紙一重だったようだ。下着が少し露出してしまったが、刃が体に届かなかっただけでも御の字というべきだろう。
 むろんこうなれば他の6人も異変に気づく。

「な、何こいつ!?」
「宝の番人ってやつでしょ、きっと!」
「てゆーか千鶴、あんたその手に握ってるの何? 人に宝探しは危険だとか言っといて何やってんのよ」

 遠藤の突っ込みはまことにもっともであった。峯はぐうの音も出なかったが、やってしまった事は仕方がない。
 女戦士が横薙ぎに斬りつけて来るのを再びバックステップで回避し、次の唐竹割りを横にかわしてカウンターで回し蹴りを繰り出す。だがその一撃は盾でがっちりブロックされていた。

「くっ、なかなかやる!?」

 女戦士は峯とほぼ互角の霊圧に加えて、剣と盾を持っている。1対1ではかなわないだろうが、今の彼女には強い味方が大勢後ろに控えていた。

「峯さん、下がって!」

 魔鈴が右手を前に突き出し、その指先に魔力を集めながらそう叫んだ。さっきのピートと同じで峯と女戦士がくっついていたら援護射撃ができないので、距離を取るよう促したのである。

「はい!」

 峯は嬉しげに頷いて後ろに跳んだが、女戦士の方もオートマタのくせになかなか優秀な思考回路を持っているらしく、素早く前に踏み込んで間合いをせばめた。盾を魔鈴の方に向けてガードしつつ、峯の胸元めがけて剣を突き出す。峯はやむを得ず拳で剣を払ったが、おかげで手の甲に切り傷ができて血が吹き出した。

「痛ぅっ! くっ、これじゃ触手出してるヒマもないわ」

 傷口を手で押さえながら毒づく峯。彼女の特技、霊体の触手を出して女戦士の体に接続できれば彼女(?)の動きを封じ込めることができるのだが、剣で攻撃されている最中にそんな余裕などありはしない。

「あああっ、そーいえば前にもこんなことがあったよーな……」

 キヌはとりあえず後方に下がっていたが、いつだったかカジノ船に招待された時と違って投げつける物がないので手出しできなかった。ネクロマンサーの笛はポーチに入れて持っていたが、これは心を持たないモノには効かないのだ。
 愛子は初めから戦力外だし、タマモも魔鈴と同じ事情で攻撃できない。だが遠藤が操るキョンシーたちは殺傷力こそ低いものの、体が小さくて空を飛べるのでこういう場合の牽制役にはうってつけであった。
 キィィィーッ!と奇声をあげつつ、四方から女戦士を囲んで襲いかかる。

「助かったわ、香澄!」

 と峯はいったん跳び退いて態勢を立て直した。そしてふと手の中の珠を見て表情を暗くする。

(血がついちゃってる……これじゃカリンさんには贈れないかな)

 ところで峯は知らないが、この珠「ブラッディストーン」もまた魔力を秘めた品でありながら「赤玉」などと揶揄されていた哀れなアイテムだ。それに対して峯はいま己の血を捧げ、しかも「カリンには贈れない」つまり自分のものだと考えたことでその所有者たる資格を手に入れた。
 赤いエネルギーが腕の中にどくどくと流れ込んでくる!

「えっ、何? こ、これは……魔力!?

 ―――なじむ! 実に! なじむわっ!!
 うふふふふ、あははははは!」

「ちょっと千鶴、何いきなり高笑いしてるのよ!」

 せっかくサポートしてやった相手に突然奇行に走られれば腹が立つのは当然だろう。峯もはっと正気に返り、さすがに恥ずかしかったのか頬を赤くしながら額から2本の触手を伸ばした。

「……ってあれ? 赤くなってる?」

 以前は無色透明だったのだが、今は血のように赤くなっている。おそらくさっきの赤い魔力のせいなのだろうが、それよりも実体のあるロープのように丈夫になった感じがするのが心強い。
 色がついた分見切られやすくはなったけれど、鞭のように振り回してぶつけるという使い方も可能になったから。

(それにこれだったら触手プレイってやつもできるわよね。カリンさんに巻きつけて……ぶはぁっ!)
「ちょ、ちょっと千鶴、どーかしたの?」

 峯が突然鼻血を吹き出したのを見て神野が驚きの声をあげたが、百合っ娘忍者は単に妄想が過ぎてあっちの世界に逝ってしまっていただけだから、すぐ現実に戻ってくると手のひらを友人の方に向けて無事であることを示した。そして改めて霊体の触手を女戦士めがけて飛ばす。

「ふッ!」
「―――!」

 女戦士はしつこくまとわりついてくるキョンシーたちに閉口していたが、それでも蛇のようにうねりながら飛んで来た触手2本を素早く剣で払いのけた。いや彼女自身は切断しようとしたのだが、峯の新たな触手はその斬撃に耐えたのである。
 峯は触手を払いのけられた勢いのまま空中で旋回させて、女戦士の右足と腰の辺りに接続した。

「やった、くらえっ! ……ってあれ? 思考波が流れて行かない!?」

 この技は触手を通じて思考波を送りつけることで相手の体のコントロールを奪うというものだから、たとえ精神がない敵でも霊体を持っていれば通用する。しかしこれもさっきの魔力のせいなのだろうが、体を乗っ取るための思考波を送り込むことができなければそれこそ単なる触手としてしか役に立たない。
 だが峯もこれを「特技」と称しているだけあって、「送信」はしづらくなったが「受信」はやけに簡単にできそうな事にすぐ気がついた。

「こんな感じかしら……はあっ!」

 深呼吸で思い切り空気を吸い込むような感じで、触手を接続した先にあるものをぐいーっと引っ張り込む。
 すると予想通り、女戦士の霊力が峯の方に流れ込んできた。しかも触手の中を通っている間に洗浄されて、彼女の額に届いた時にはニュートラルなものになっていたという高性能ぶりである。
 それでも頭に霊力が流れ込んでくるというのはあまり気分の良いものではなかったが、そこはすぐ体の下の方、あるいは手にでも流してやれば済むことだ。

「これはいけるわ……全部吸い尽くしてやる!」

 と喜び勇む峯だったが、敵もそうのん気してはいない。霊力を奪われていることに気づくと、すぐ剣をふるって彼女の触手を振り払った。跳躍して再び間合いを詰めてくる。

「くっ、しまった……!」

 峯は一瞬青ざめたが、さいわいキョンシーたちが女戦士に組みついて動きを止めてくれたので突撃はくらわずに済んだ。そこへ狐娘が鋭い口調で作戦らしきものを提示してきた。

「峯さん、そいつの右手を押さえて!」

 右手というのは女戦士が剣を持っている方の手である。たとえそれを封じたところで峯とキョンシーたちが格闘戦をしている状況では狐火などは打てないだろうが、今までの接触で感じた限りでは彼女は戦いに関してそこそこ良いセンスを持っている。
 ゆえに峯はタマモの要請を聞き入れることにして、触手を2本とも女戦士の右腕に絡みつけた。全霊力をこめて締め上げ、何とかその動きを止めることに成功する。
 もっとも彼女の左手と脚はまだ自由に動けるので、キョンシーたちは盾でぶっ叩かれたり膝で蹴飛ばされたりとひどい目に遭っていたけれど……。

「うん、それでいーわ! えいっ!」

 とタマモが頭を振って前方に振り出したのは、ご自慢のナインテールをまとめていつもより長くしたものだった。その長いムチの先端についた硬い球が猛禽類のような勢いで女戦士の顔面に迫る。
 つまりタマモが剣を封じさせたのは、自分の攻撃をそれで切り払わせないためだったのだ。盾で受けられるのは痛くも痒くもないけれど、剣で斬られたら尻尾の先を切り落とされることになるから慎重になっていたのだろう。
 女戦士はとっさに首を傾けてかわそうとしたが、タマモのナインテールは元は尻尾で、今は彼女の思うままに動く武器だ。避けたかいもなく球が額冠を直撃し、本体を打ち砕かれた女戦士はあえなく機能を停止して消滅した。


「はああーっ、お、終わったあああ……」

 周囲の霊気が完全に消えたのを確認すると、峯はぺたんと床に尻をついてへたり込んだ。さっきの戦いは心の準備を全くしていなかった上にけっこう危なかったので、精神的な疲労がかなり深いのだ。あの赤い珠はポケットにしまったが、これについて深く考える余裕はなかった。
 キヌが傍らでケガした手の甲にヒーリングをかけてくれている。傷の痛みがあっという間に消えていく感じで、ヒーラーというのもなかなか有り難いものだと思った。

「もういいわ、ありがとう氷室さん」
「いえ、戦いでは役に立てませんでしたからこのくらい当然ですよ」

 言うことも神野と違って慈愛の心に満ちている。後で爪の垢でももらっておこうと思ったが、ヒーリングが終わった2秒後にはそれを待ち受けていたかのように遠藤がずずいと仁王立ちで迫ってきていた。

「まったくもー、抜け駆けなんてズルいじゃない。まー今回はあんたが1番体張ってたから何も言わないけど、この先はあまり欲張ったことしないでよ」

 遠藤の口調はきついものだったが、言い分は正当である。女戦士は「侵入者」という言葉を使っていたから、彼女が起動したのは必ずしも峯が珠を取ったせいではないかも知れないが、峯が魔鈴などに相談して慎重にことを進めていればあるいは起動を防げた可能性もあるのだ。
 遠藤自身もキョンシーを使って支援したから、このくらいの要望を述べる資格はあるだろう。

「……わかってるわよ。ってゆーかもーそんな気力ないし」

 と峯が憮然とした顔ながらもその要望を受け入れると、今度は魔鈴が隣にしゃがみ込んできた。

「ところで峯さん、その珠というのを見せてもらえませんか? もしかしたら変な魔法がかかってるかも知れませんし」

 たとえば呪いがかかってるとか浴室から持ち出したらまた番人が現れるとか、そういうトラップが仕掛けられていないとも限らない。魔鈴は現代の魔女と言われるほど魔法に詳しいだけあって、そういった悪意の術が存在することも知っているのだ。

「あっ、はい。これです」

 峯も特に断る理由はなく、ポケットから珠を出して魔鈴に手渡した。魔鈴はそれを受け取ってためつすがめつし始めたが、その間霊能部組の残り2人は暇そうに浴槽の脇で雑談していた。

「お風呂にまでワナが仕掛けてあるなんて、やっぱりここって貴族のお屋敷だったのかしら? 1番無防備になる場所だから警戒してたとか。あんまり青春ぽくないわねー」
「えらいヒトの世界なんてそんなものなんじゃない?」

 タマモは前世でとはいえまさにその渦中にいただけに、相槌の打ち方もシニカル&ドライで情緒というものがなかった。だって今のラヴで気楽で美味な暮らしと比べれば、保護の求め先を間違えたとしか思えないドロドロな世界だったのだから。ただそれでもさっさと逃げ出さなかったからには、相応の良いこともあったと思うのだけれど。
 愛子はその素っ気なさに少しびっくりしたが、彼女も青春チックでない話題は好きではないのですぐ方向転換した。

「でもこんな立派なお風呂だったら1度入ってみたいわね。バスタオルは私の中にあるから、お湯さえ張ってあったら入れるのに……」

 中にある、といっても筆記用具や黒板の類と同じで愛子の一部だから机の外に出すことは出来ないのだが、着替え自体を机の中でやれば問題ない。しかし湯を出す方法が分からないのではどうしようもなかった。

「そーね。私はお湯を沸かすことはできるけど、水がなきゃ無理だし」

 タマモはガス代節約、もとい狐火コントロール修行の一環として、風呂の水を沸かすというトレーニングを時々やって(やらされて)いた。湯船の上から加熱するのは難しいが、だからこそ修行になるのである。もっとも今は沸かすべき水がないのだから、やはりどうしようもないのだけれど……。
 そして2人がそんな話にもあきた頃、魔鈴の方も珠の鑑定を終えていた。

「うーん、よくは分かりませんけど魔法の品であることは確かみたいですね。邪気は感じませんから持ってても大丈夫だと思います。
 帰ったら専門家に見てもらった方がいいかも知れませんね」

 どうやら現代の魔女の眼力をもってしても、器具なしでは表面的なことしか分からないらしい。むろん珠が強力なマジックアイテムであることは間違いないので、鑑定料を支払う価値はあるだろう。
 厄珍のようなボッタクリでなければだが。

「……それじゃそろそろ行きましょうか。
 でもみなさん、これからは怪しいものを見つけたら触る前に私に知らせて下さいね」

 と魔鈴が立ち上がって出発を促す。それと同時に、建物か壁の類が崩れるような派手な轟音が7人の耳に響いてきた。


 ―――つづく。

 峯さんはまさに女版横島の道を逝っております(酷)。
 パワーアップ(?)石はあと1つですので、誰が地雷を踏むのかwktkしながら見守ってて下さいませ。
 ではレス返しを。

○ねこさん
 雪之丞とのバトル……思い切り嫌がりそうですなw
 体の強度は前回カリンが言った通り、原作ブラドー編で吸血鬼になった時と同じくらいであります。
 令子のフルパワー攻撃くらってもケガらしいケガもしないのですが、あの表情は死ぬほど痛そうでしたから、やっぱりユッキーとの組み手は逃げそうですw

○B・Bさん
 文珠は消耗品ですから、たぶん無理であります。
 式神ケント紙も消耗品ですが、これは他人がつくれますから。

○紅さん
 お褒めいただきありがとうございますー。林間学校の時も引っ張りましたが、今回も引っ張りますんで(ぉ
>横島君
 トータルで見ればマイナスというほどではないのですが、彼の主観では激しくマイナスという感じですねw

○遊鬼さん
 横島君がかっこよくなれるのは、好きな女の子を守るときくらいなものだと思うですよ。それでもせいぜい二枚目半ですね(酷)。
>パンドジニウムの効果
 ただでさえお間抜けなやつですからねぇ。そう簡単にいい思いをできるはずがないのですw
>パワーアップ
 たまには趣向を変えてみるのも良いかと思いまして。
 霊圧も上がったので、一応成長と言えるでありましょう。
>女性陣
 さっそくドジをかましましたw

○cpyさん
>横島は殴られること自体がいやそうだから
 セクハラのお仕置きでいくらシバかれても懲りないやつですけど、その割には痛いの嫌いなタイプですからねぇw 涙が出るほどのマイナスチェンジでありました。
>今回のネタ
 同じネタが2度通じないのは常識ですから!(何)
 DI○様には名言がたくさんありますし。
 あ、今回かぶってるのはわざとですのでー。

○ルシィファーさん
 横島君の血……むしろ毒でしょう!
 ヒドラの毒ほどじゃないですが、人格に多大な悪影響が出そうですな(酷)。

○通りすがりのヘタレさん
 横島君のセクハラが失敗→お仕置きというのはGS美神のデフォですから(酷)。
 カリンが乱入しなかったのは、引っ込んでる間は眠ってるようなものなので、自力で外に出られないからなのですよー。出て来たあとはまとめてお仕置きするわけですがw
>強敵
 当然出て来ますですよー、いろいろと。
 そこで横島君が活躍して新フラグゲット! ……になる可能性はかなり低いのですがw
>ピート
 まあ父親がアレですからねぇw

○ばーばろさん
 今回はちゃんと女性陣編ですよー。分かりやすい伏線も張りましたのでw
>ヨコシマは人間であった頃からそんなモノ無いから
 それだとますます死ににくくなるのでは?w
>200話
 この進行の遅さを見るに、150話ではとても終わらなさそうな気配がひしひしと……。
 どうする気なんだ自分(^^;
>強化された肉体の方が有効
 逃げて避けるよりは「逃げなくて済む」方が横島君的にはマシであったみたいですw
>作者にまでドジの神が降臨
 いあ、それはいつものことですし(ぉぃ

○KOS-MOSさん
>結界
 便利すぎて逆に物語展開上の……げふんげふん。
>GMが結界突き破る勢いで殴ったら
 横島君のことなので命だけは無事でしょうw

○風来人さん
>ピート
 彼は日光が平気だとか善良だとか吸血鬼っぽくない面がありますからねぇ。
 DI○様化……望まれているのだろうか?<マテ
>シメサバ丸とかアヌビス神とか
 妖刀としてはスタンダードなスキルですからねぃ。
 もっと突き抜けたワザとかがあると面白いんですがー(ぉ

○Februaryさん
>女性陣
 魔鈴さんにも頑張ってもらうプロットを考案中であります。
>耐火性能
 いあ、横島君は火竜じゃないので火炎耐性はありません。麻痺とか毒とかには強いのですが、この物語の中で役に立つ機会はなさそうな気がしますw
>ヒャクメの立ち位置は「望遠鏡」ってトコですかね?
 カリンが遠隔霊視を会得するまでの話ではありますがー!(ぉ

○Tシローさん
>便利な術を失った横島くん
 あんまりバリアーが強くなると横島君が攻撃を受けるシーンが書けなくな……げふんげふん<マテれ
>女性陣
 むしろこっちの方に力を入れて書きたいものですな!

○whiteangelさん
>○io様に対して無礼ですよ
 まったくですな。
 ズキュンズキュンとかやられないといいんですがw

○鋼鉄の騎士さん
>家系
 ポテンシャルだけなら上回ってそうですけどw
>期待を裏切らんのぉw
 ひどいww
>女性陣
 まずは予告編を出してみました。

○読石さん
>後衛系能力
 ドラゴンがパーティにいるとしたら前衛に置くのが普通ですからねぃ……ブレスなんてもろ前衛専用の技ですし。
 陰陽術とヒーリングは残ってるので、後衛も務まらないわけじゃないんですが……というか、横島君自身はますます前衛には出たがらなくなりそうな気がしますw
>致命的なドジアイテムの持ち主に成る可能性も高そうですが
 それゆえにこの城のアイテムは略奪されずに残っておるのですよー。

○斉藤さん
 励ましのお言葉ありがとうございますー。
 冒険はまだ続きますのでご期待下さいませ。

○ロイさん
 ドジ城にあるアイテムをドジ属性持ちが使うんですから、純粋にパワーアップだけなんて都合のいいことが起こるはずがないのです(酷)。
>竜神としての能力を使いこなせるようになってきてるのはいい事なんだろうけども
 必要は発明の母という感じではありましたが、それでもスケベ方面から離れられないのが横島クオリティなのであります。
>今回の身体強化
 筋肉とか骨とかが丈夫になったという方向でありますー。一般人として生きる分にはプラスの変化なんですがw

○チョーやんさん
 あの状況で思慮深く慎重な判断をする横島なんて偽者だと思いますw
>説教の時はシメサバ丸を使って下さい!
 そんなご無体なww
 でもどうせなら駄神鞭と二刀流にすればより効果が上がりそうですな<マテ

○山瀬竜さん
>シメサバ丸
 美女型の式神を使ったのが功を奏しましたねー。男性型だったら横島君も容赦なく空中から3人がかりで飛び道具とかしてましたから(ぉ
>ということはシメサバ丸が切ったんですか?
 最初の1体さえ用意できれば、あとはその式神を使って切れますから。平安時代編で道真や西郷が作ってた式神は見た目まったく人間と同じでしたから、ああいうレベルのものが作れる高級ケント紙なのかも知れません。
 で、その最初の1体を誰がつくったのかは……ドジ城7不思議の1つです<マテ
>みんなどこかしらドジっ娘属性があるような
 まずは筆頭である峯さんががんばってくれました。
 次はまだミニスカサンタルック中の魔鈴さんに何かやってもらわないと<マテ

○UEPONさん
>妙神山行き
 タマモンは大丈夫ですよー、狐の姿になって横島君のジャケットの内側にもぐっていれば良いのです。横島君? さらにタフになった事ですし大丈夫でありましょう。
 というか上空なら「視界範囲内テレポート」がすごく射程広いので、そっち使った方が早いかも知れませぬ。
 カリンの竜モードに乗り込むのは超高度なテクノロジーが必要そうなのでまだ先ですー。それとも魔鈴に魔法習った方が早いかな?
>すべての美女を我が物にしようとする
 そういえば「全裸美女で満員の日本武道館で〜〜〜」とか言ってましたねぇ。奥さんズも大変ですw
>妙神山でもう一度覚えなおしですかね?
 うーん、楽勝と分かってる相手では試練になりませんからねぇ……。
 壊れたことを逆利用する展開も考えてるのですが、実際にそうなるかどうかは未定であります。
>おおカッコいい! SFっぽくなりましたね〜
 ありがとうございますー。これでキーボードがついたら完璧かも<マテ
>カリンちゃんどんどん前衛から離れてるような
 もともとセイリュー○(立体映像)は前衛格闘タイプじゃな……もとい、今回の変化ではマイナスの影響はなかったので無問題でありますよー。
>式神術の勉強
 まあ急に熱心になったら怪しまれるに決まってますよねぇw
 奥さんズとしては作り物の式神に入れ込まれては困りますし、よこしまな修行は邪魔するんじゃないかと思うのですよー。
>魔鈴さん
 やはりあの天然さが勝因みたいですな。するとおキヌちゃん辺りも適性あるかも知れませんねぇ(ぉ

○HALさん
>ピートの前でドラゴンドラゴンと
 そこはそれ、文鎮にこめられてた魔力がドラゴンのパワーという意味ですからー!
 カリンもドジ城の魔力にとらわれてたという可能性もありますがw
>駄神鞭
 でもこっちがバレたら本格的にやばいですねぇ。ピートだけならともかく、おキヌちゃんとか峯さんとかに知られたら色々面白いことになりそうです(ぉ

   ではまた。

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