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「想い託す可能性へ 〜 番外編そのいち 〜」

月夜 (2007-12-09 08:19)
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   想い託す可能性へ 〜番外編そのいち〜


 これはとある少佐の、新たな任地へ赴く前の訓練風景である。


 その訓練場所は、人間の考案した霊動シミュレーターの技術を応用した施設だった。

 その施設の機能によって原始の森に設定したフィールドで、とある少佐が四方八方から襲い来る敵性存在の攻撃を時には避け、時には反撃して激しく動き回っていた。

 しかし、少佐が常に注意を向けているのは、数多の敵の背後で隠れ動き回るある存在だけだった。

 その少佐が急な動きをする度に、軍服に押し込められてなお存在感を消す事ができない二つの魅惑の果実が揺れ、弾む。

 そう、その少佐は見目麗しい女性だった。

 彼女の身体の一部の動きに呼応するかのように、彼女が注意を向ける存在も徐々に近づき迫ってくる。

 そして、弾切れを起こした銃のマガジンを交換する一瞬の隙を突かれて、彼女はその存在に接近を許してしまった。

 「うーむ。どうしてもアイツのトリッキーな動きに、対応が一瞬遅れるな。五回に一回は、後ろを取られてしまう」

 ポツリと呟く彼女。

 彼女のすぐ背後には、いつの間に接近していたのか、手の平をワキワキと何かを揉む様な仕種をする青年が立っていたのである。

 しかし彼は、彼女に触れる事は出来なかった。

 なぜなら、彼女の左脇からは黒い銃口がにゅっと突き出されていて、正確に青年の眉間をポイントしていたからだ。

 だがその銃には、マガジンが入っていなかった。

 それを目敏く見つけたその青年は、そのまま襲い掛かる!

 が、一発の銃声が鳴り響き、彼女が持つ銃の遊底がスライドロックしとたんに青年の眉間に赤黒い穴が開き、盛大に血飛沫を上げて倒れていった。

 (偽物とはいえ、そう簡単に身体を触らせるものか。本物にさえ数回しか許していないのだからな)

 後ろの青年の眉間に銃弾を叩き込みながら、彼女は顔を赤くした。

 それは屈辱による怒りなのか、羞恥によるものなのか。それとも?

 「ジーク! 訓練は終了だ!」

 「はっ! では、シミュレーターを待機状態にします」

 彼女が虚空を睨みながら宣言すると、男の声がどこからか聞こえ、鈍く重い音が数瞬響いて周りの景色が一変した。

 原始の森だった周りの風景は、無機質な灰色の壁に囲まれたドームへと変貌したのだ。

 「お疲れ様です、姉上。やはり彼の動きには戸惑いますか?」

 タオルを差し出しながらジークと呼ばれた男は彼女を姉と呼び、先ほどから見ていた訓練の成果を訊いてみた。

 ジークと呼ばれた彼は名をジークフリードと言って、北欧神話で有名なドラゴンスレイヤーの英雄である。

 妙神山で交換留学生として派遣されていたが、先の大戦で魔族の中で生き残って“参加していた”という理由だけで昇進させられ、情報部に戻されていた。

 現在、彼の代わりに交換留学生として仮に決定されているのはパピリオである。彼女は良くも悪くも素直であり、彼女の生活レポートは妙神山の内情を如実に表していた。

 しかし、絵日記風なので、その解読には時間がかかってしまうのだが、魔界軍にはうってつけの人物がいたので今のところ問題にはなっていない。

 そのうってつけの人物とは、先頃までパピリオと妙神山にいたジークであるのは言うまでもない。

 「ああ、今までの奴のデータでさえ五回に一回は後ろを取られる。人間のスペックでこれだぞ。やはり侮れん。これで文珠使用まで認めた条件なら、更に背後を取られる回数が増えるんだからな」

 口では愚痴を言っているようでもあるのに、彼女の表情はどことなく嬉しそうに見えるのはジークの思い過ごしだろうか?

 (嬉しそうだな。だが、それを指摘すると後が怖いからなぁ……)

 以前受けたシゴキに身を軽く震わせて、ジークは彼女の言葉を聴いていた。

 「そんなに彼に出し抜かれるのが嫌なら、私が人界で見つけてきたある映像を見てもらえませんか? 彼対策なら、姉上にとってうってつけと思うのですが?」

 ジークは内心の感想をおくびにも出さずに目の前の彼女、ワルキューレにある提案を持ちかけた。

 そう、ジークが姉上と呼ぶ彼女は、魔界軍情報部特殊部隊所属のワルキューレ少佐だった。彼女もジークと同じ理由で、大尉から少佐へと昇進していた。

 この提案で被る不利益と、彼がいつも被る日々のストレスの溜飲を下げる利益とを天秤にかけた結果は、もちろん彼はシミュレート済みである。

 「映像? どんな物なんだ?」

 「姉上のような女性が、リボルバー片手に諸国行脚してトラブルを解決するものですよ。しかも特殊任務に就いてもいますから」

 (嘘は言ってないな。あの女性は、表面に現れる性格は姉上とは正反対かもしれないが、本質は一緒だし)

 ワルキューレの質問に答えながら、映像に映っていた女性を思い浮かべるジーク。

 「ほう? 少し興味あるな。戦場では不利なリボルバーを使って、どのような戦いをしているのか……。よし、ジーク。見せろ(潜入任務モノかもな)」

 「はい。ではこちらへ」

 興味を持ったワルキューレは、ジークが持ってきた映像がどの様な物かを思い浮かべながら弟を促して壁の扉へと向かい、ジークは彼女の後に続いた。


 その映像を見たワルキューレは、自分が想像していた物と現実のモニタに映る映像のギャップの激しさに顎をカックーンと落としていた。

 (うん、これは中々見る事ができない表情だな)

 この表情を見れただけでも、ジークには快哉ものだった。隣の姉に気付かれないように部屋に設置したカメラを操り、録画していくジーク。

 ジークは常々、姉は固すぎると思っていた。

 なのであの手この手で物腰や雰囲気を柔らかくしようとしていたのだが悉く失敗し、父親のオーディーンにも婚期が遅れてしまうという理由で急かされていたのである。

 それがある青年と出会って、急激に彼女の雰囲気が解れてきたのだ。コレを使わぬ手は無いと、ジークは情報部に戻ってきたのを良い事としてアレコレとワルキューレに提案していた。

 彼は、まずはワルキューレの性格から勘案して、人間界の青年に訓練を施すようにしむけた。

 青年はかなり嫌がったが、ワルキューレも彼の煩悩は承知していたので己の身体を賭けの対象として訓練を受けさせた。

 その結果、物凄い執念を発揮して青年はワルキューレの背後を取り、彼女の胸を揉みし抱くという快挙を三回も成し遂げたのである。五十回も挑戦しての成功ではあったが、ワルキューレ自身が終盤でかなり本気を出していただけに、彼女のショックも大きかったらしい。

 そこにジークの次なる提案が持ちかけられた。曰く『彼のトリッキーな動きを取り入れれば戦術の幅が広がる』と。

 その時からジークによる姉の性格を少しずつ変えていくプロジェクトが始まった。その是非はともかくとして。

 例をあげると、青年を対象として料理をする事を提案することもあれば、彼の煩悩を刺激する服装(例えば女教師・警察官・弁護士・OL・看護師・巫女にメイドなど)での訓練を提案する事もあった。

 特にワルキューレが着た巫女とメイドの衣装の時の青年の反応は物凄かったらしく、訓練が終わった後の彼女の顔は羞恥に染まり、ジークが受けた腹いせのシゴキは苛烈を極めるほどだった。


 しかし、ジークは諦めない。それによって被るシゴキは出来れば勘弁してもらいたいが、父親の命令は絶対だったし、何より姉の性格が少しずつ変化していったのだから。

 ただし、ジークは父親の思惑通りには行かないだろうと確信を持ってもいたが。


 「こ…ここここ……こ、これ……これを私にやれというのか!」

 肩を震わし声を震わせドモリながら、ワルキューレは隣に立つジークに怒鳴った。

 彼女が見るモニタの中では、見目麗しい女性が胸元の大きく開いた服を着て、所狭しと動き回りながら銃撃していた。

 その映像で特筆すべきところは、女性が撃っているリボルバーが弾切れを起こすと、なんとたわわに実った双乳を上下させてその胸の谷間から弾丸を上に飛ばし、リロードしている場面だった。

 確かにこのやり方ならアイツには有効だろう。コレをやる度に、のこのこと目の前に来ることが、彼女には容易に想像がつく。

 (アイツが……私だけを見るのか? 良いかもしれない……)

 脳裏に思い浮かぶ胸を使ったリロードを行う自分に、先ほどシミュレーターで彼女の背後を取っていた青年がわき目も振らずに自分に迫り凝視してくる光景に、ワルキューレは我知らず頬を朱に染める。

 (こ…この動きをやるには、胸元に亜空間背嚢を隠さないといけないが、ふむ……だとしたら今のイヤリング型では見た目におかしくなるな。
 いや、背嚢ではなく亜空間ポーチの方が良いかもしれない。アレなら脱がされて見られても、おかしくは映らない。
 フフ…フフフフ……この動きを取り入れた私でさえ超えるようなら……フフフフ…………)

 妄想が止まらなくなっているのか、技術的な事まで考察しだすワルキューレ。終にはアイツが己の煩悩を刺激され煽られても制御でき、自分を超えた暁には……とまでに至っていた。

 彼女としては魔が刺したのかもしれない。それも関西弁の魔が。 『面白うなってきたでぇ〜』

 「あ、あねうえ?」

 怒鳴ってきたかと思ったらいきなり考え込んでしまった自分の姉に、戸惑いながら恐る恐るとジークは話しかける。

 決して、不気味に微笑む彼女が怖いわけではない。  たぶん。

 「ジーク。この映像はコレだけか?」

 「え? いえ、全話取り揃えていますが?」

 「そうか。後で私の執務室に届けておいてくれ」

 「へ? あの、姉上。まさか本気で?」

 姉の意外な反応に、これは予測できなかったとうろたえて、思わず聞き返してしまうジーク。

 彼としては、恥らう表情が録画できれば御の字と思っていたのだ。

 「そのつもりで、お前は私にコレを見せたのだろう? 何を呆けているんだ? 次の任務も迫っている。急げ!」

 「え…あ、いえ! 了解しました! すぐに持って行きます!」

 自分の姉の思いもよらぬ反応に呆けてしまったジークは、彼女の怒鳴り声に我に返ると急いで“映像資料”を取りに、保管場所へと駆けて行った。

 「さてこの動き、マスターせんとな。それには任地へ赴く予定日をずらして貰わねば……」

 一人残ったワルキューレはポツリと呟くと、踵を返して部屋を出て行く。

 その手には、先ほどの映像が記録されたCDがケースに収まってしっかりと持たれていた。

 それから一週間。人目につかない時間帯に、霊動シミュレーターで一柱の女魔族が特訓に励んでいたそうな。

 彼女が件(くだん)のワザをマスターしたのかどうか……それはコソッと訓練風景を録画していたジークのみが知るだけだった。


 こんにちは、月夜です。隣の板のらっかー様の作品に刺激されてしまい、思わずやっちゃいました。彼女にやらせてみたかったのです。後悔はしてません。 ジークが録画した訓練風景は、本編で出るかは未定です。
 ワルキューレにおっぱいリロードを! 鼻血物でした。
 以下、レス返しです。

 〜景文さま〜
 設定の拙いところをご指摘頂きありがとうございます。今回の番外編のような描写だと大丈夫でしょうか?
 共感が持てる感想が書けるほどじゃない物語と思いますが、読んで頂けている反応があるだけでも嬉しいです。
 またご感想をいただけたらと思います。

 〜aki@GTY+さま〜
 GTYの常連さんに読んでいただけているとは思いもしませんでした。嬉しい限りです。しかもレスまで頂いて望外の極みです。ありがとうございます。またご感想が頂けたら幸いです。
>古き神の転生たる……
 儚き逢瀬でしたが、文珠一つ分ではあれが限界でした。まぁ、その短い逢瀬でもキッチリとサクヤヒメを慰めるニニギでしたが(^^ゞ 今のところ再出演は未定です。
>ルシオラ復活や……
 筆が遅くまだそこまで至れていませんがご期待に副えるように精進します。ご期待くださいと言えないのが辛いですが><
>パラレルワールドという異なる時間軸までも……
 お褒め頂きありがとうございます。キャラクタを壊さずに成長した姿を書けるよう頑張ります。

 〜読石さま〜
 いつも感想を書いて頂きありがとうございます。今回は番外編ですが、本編も鋭意書いています。年末ギリギリには投稿できそうです。その時にまたご感想を頂けたら幸いです。
>冒頭のワルキューレとベスパの姿が……
 二次小説なのでこの辺を省く事も多いのですが、私の物語では初めての登場ですのでしっかりと描写しました。ルシオラ・ベスパ・パピリオの触覚はやっぱり感情表現にはもってこいですよね。
>小竜姫さまのお茶目な感じも……
 彼女は、多少堅い部分が解れてきているようです。それに今の忠夫は二十七歳の落ち着きで接してくるので、その辺も影響しているようです。お茶目な小竜姫さまは、今のところ出現確率がめちゃ低いですけど(^^ゞ
 パピリオは、滑り台を構成していた大勢の草木の精霊達と友達になれたのでご満悦です。これで日本限定ですが、彼女の術の幅が広がります。
>……ニニギさんの姿を
 ニニギノミコトは男の善の願望を体現した存在と思っています。まぁ、愛欲の権化でもあるのでエロスにも忠実です。ただ価値観が現代と離れすぎてますから、彼が街に出現すると横島大樹の強力版になっちゃいますが(^^ゞ


 では、次回の本編まで失礼します。

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