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!警告!壊れキャラ有り

「善なる心と悪なる翼 -TWO- いざ行かん(GS+α)」

Lucifer (2007-10-18 22:57/2007-10-20 03:03)
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突然の作中冒頭での無礼をお許しください。
作者Lciferの独断で、今作から主人公を「壊れキャラ」と解釈して頂くことといたします。
読者様の数々のご指摘をいただきましたところ、作中の主人公には原作と異なるところが多々あり、今後の補完でもその全てを覆すつもりは無い為です。
今後は、原作とところどころ異なる主人公が、原作と近似した世界で生きる様を描く作品と思っていただければ幸いです。
まことに失礼いたしました。Lcifer


「うぅ〜ん・・・忠兄ぃ〜。」
『ぎゅ〜〜〜〜』
「う、うげぇ〜!う、ぐ!ちょ、やめ、はな、死っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(沈黙)」


少年の朝は早い。
放っておけば兄を窒息するまで抱きしめる妹よりもよっぽど早い。

「あ、あかん、このままじゃニ三日で死んでまう・・・。げ、まだ五時じゃん・・・。」

泡を吹いて白目をむいた状態から約二秒で復活した少年が呟いた。


善なる心と悪なる翼 -TWO- いざ行かん


「はよ〜っす」
先日、入学式を無断でサボった忠夫が堂々と教室に入る。
「よ、横島!?」
「何、横島だと!!?」
「そんな、横島が朝から学校に!??」
クラスメイトのこのセリフを聞くだけで、普段忠夫がどんな学校生活をおくっているかだいたいわかる。
「んだよ、高校生が朝から高校に来て何が悪い!」
「いや、だっていつも居ないじゃん、お前。」
忠夫の誰にともつかない問いに答えるのは、眼鏡をかけた悪友。あだ名はメガネ・・・安直だ。
「はいはい、どうせ俺は万年遅刻&欠席魔ですよっ。」
「事実だな。」
「その通りだ。」
「いや、まったく。」
忠夫の自虐に返ってくるのは周囲の何とも冷酷な肯定のみ。
そんな忠夫のほほを伝うのは一体何の液体だろうか。
「(仕方ないんだもんっ働かなきゃ金は手に入らないんだもんっ!)」
「そうだそんなことより横島、朗報だぞ!お前が来てない間にな、一年C組に転入生が来たらしいんだ。」
「そんなことって・・・まいいや・・・。へぇ、転入生か。入学式もこの間なのに、珍しい時期に来たもんだな。」
自信の自虐を『そんなこと』で流された忠夫がショックを受けるが、とりあえずは素直な感想を述べる。
「お前はその入学式にも居なかったけどな。珍しいのは今お前がここに居ることだ。」
メガネは学校をサボって尚留年しない忠夫に不満なのか、無駄につっかかってくる。
「わかったって、もういいだろ?んで、朗報の続きは?」
なかばうんざりしつつも先を促す忠夫。どうやらあまり頓着しないことにしたようだ。
「そうだったそうだった。それでその一年の転入生、どうやらかなりの美少女らしい。」
「へぇ、美少女か。どんな子なんだ?」
さほど気にした風の無い忠夫。美人の目の前に立って病気が発症しない限りは、こう言った事に対しては平凡な高校生なのだ。
「容姿なんだが、身長は155cm前後の平均タイプ。んでショートカットに黒髪、性格は天然でドジな面があるようだ。
顔は見てきたんだが、その辺のアイドルなんか目じゃないくらいに整ってた。
まぁ胸があまり無いのは少し残念だがまだ15歳、未来は充分期待できる。
俺様のメガネアイの情報によると、甘えん坊の妹系だ。」
甘えん坊云々までわかってしまうあたりかなり近寄りがたいが、メガネアイは信用できるのか、忠夫は素直に信じる。
「へぇ、ここらじゃ珍しいタイプみたいだな、機会があったらぜひお近づきになりたいもんだぜ。」
『ギランッ』
密かに聞き耳を立てていたクラスの女子の鋭い視線が、一斉に忠夫を突き刺す。
『ぞっくぅっ』
「な、なんか今物凄い勢いで変な汗でた・・・。」
忠夫は何かを感じつつも具体的にはわからず困惑する。
「お前にはその汗の意味がわからないのか?横島・・・。」
「え、何だそりゃ?メガネ、お前にはわかるのか?」
「いや何でも、はぁぁ〜・・・。」
変わらない友人の鈍さに密かにため息をつくメガネ。
「まいいか。しかしそんだけ美少女ならもっと知りたくなってくるな〜。ほかには何か知ってんのか?」
冷静に考えればその少女のことを自分が一番良く知っていることに気付きそうなものだが、鈍い忠夫は気付かない。
「あぁ、どうやらその子、大阪の○×市から転校して来たらしい。ん?・・・ぁ、そう言えばお前も○×市だったな?」
「・・・ぇ・・・?」
ここでようやく一つの可能性に辿り着いた忠夫。なぜか先ほど以上の変な汗を流す。
「だから、お前の実家だよ。彼女と同じだなって。」
「ァ、アア。タシカニソンナチメイダッタキモスルナ〜・・・。」
「どうしたんだ、横島?様子が変だぞ?」
「い、いやァ、なんでもないんだ、マジで!それよりも俺、ちょ、ちょっとトイレに・・・。」
席を立とうとする忠夫に、それを止めるメガネの手。
「まぁ待てよ。そんでな、彼女の名前・・・横島って言うらしいぞ?お前・・・何か隠してんだろ?」
徐々に黒いオーラを背負い出すメガネ。忠夫の汗はもはや滝のようだ。
「ん〜?隠すと為にならんぞ横島〜。」
「素直に吐いたら楽になるぜ〜。」
「何を知ってるんだ?横島〜。」
傍観していたほかの男子も忠夫に詰め寄る。
ここまでくればさすがの忠夫も、メガネがここまでわかっていて話していたことに気付く。
そして徐々にあとずさっていくと、教室に聞きなれた声が響いた。

「あのぉ、横島忠夫はいますかー?」

その人物は件の美少女こと、横島翼だった。
『ギンッ』
そんな擬音を付けたいほどに、男子の鋭い視線が忠夫に向けられる。
「おい邪ぁ(誤字にあらず)、お前彼女とどんな関係だ〜。」
「う・・・。」
「随分親しいみたいじゃないか〜、え〜?」
「ぐ・・・。」
「一体彼女に何をしたんだぁ?・・・さぁ吐け横島〜。」
「ぇえ!?」
問い詰められ、そればかりか突然少女に何かしたと決め付けられて忠夫は困惑した。
そんな折、答えを言ったのは話題の翼だった。


「どんな関係って、つばさ達一緒に住んでますからっ。」


『爆弾投下』


「野朗どもぉ!罪人横島をひっとらえろ!生死は問わぁん!!」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
メガネの咆哮と同時に、男子軍は吼えつつ一斉に忠夫に迫る。
殺しても良いというのはどうかと思うが。
「げえぇ!」
忠夫は一言うめくと一目散に駆け出す。
「覚えてろ翼あああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
哀れなり忠夫。
しかし哀れなのは忠夫だけではなかった。
「ふふふ、あなた横島君とどんな関係なの?」
「新入生のくせに良い度胸ね。」
「私達がいろいろ教えてあげるわ。」
「・・・手取り足取りね。」


「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
哀れ翼。
しかしこの学校にはまともな人間は存在しないのだろうか。
きっと学校の七不思議のひとつである。


『ダダダダダダダダダダダダダダダダ』
忠夫の運動神経はなかなかのもので、短距離走もかなりの俊足だ。
「待て横島ー!!」
「待てと言われて誰が待つかよ!」
クラスの男子ではなかなか追いつけない。
しかし男の怨念もなかなかの物。追いつけずとも大きく引き離されることも無かった。
そしてここは校舎内。地の理は最大の武器。
普段学校をサボっている忠夫と、怨念男子のトップに君臨する猛将メガネでは勝負にもならない。
正面から来る翼と、それを追いかける女子軍も同じことだった。
そして暫く、女子と男子が合流すると、忠夫と翼は簡単に取り囲まれてしまった。


「さぁ横島、もう逃げ場はないぞ〜。あらいざらい吐いてもらおうか〜。」
追い詰めた直後にメガネが悠然と言い放った。
「い、いや、翼はただの妹で・・・一緒に暮らしてるのは家族だから当然で・・・。」
事実である。事実であるが、ここで出てくればその場しのぎのセリフに早変わり。男子達は納得できるはずもない。
「信用できんなぁ〜大体それならなぜ逃げ出したんだ?」
「そうだ、それが本当ならあそこで逃げ出す必要は無いだろぅ。」
メガネの追求とそれに賛同する男子の言葉。
正論であるが、おそらくあそこで逃げなかったとしたらこの光景が一足早く広がるだけだっただろう。
だがそれでも忠夫に逃げ場は無い。
「い、いやそれはその・・・。ってか、何で女子は翼を追いかけてるんだ?」
セリフの途中に思い立ったのだろう。さっぱりわからないと言った表情で翼に問う。
「え?・・・つばさ知らない・・・。突然追いかけられたから逃げたんだよ?」
やはり翼自信もその理由には気付かなかったようだ。と言うかその疑問に辿り着いていたかさえ怪しい。
しかしその疑問に答えではない答えを返す者が居た。
「お前はその理由にも気付かんとは・・・それさえも万死に値する!」
もちろんメガネである。
「皆の者、かかれ〜い!!」
そして開戦の合図。どうでもいいがメガネの口調のおかしさに突っ込む人間は居ないのだろうか。
『ドカッ・・・ボコッボコッ』
「ぎゃ〜〜〜〜〜〜!!」
響き渡る暴行の打撃音と忠夫の悲鳴。
翼のことはもはやどうでもいいのか、なぜか女子も混ざって居る。
時々、「この外道が!」「死にさらせ!」「○○ちゃんを奪いやがって!」などと言う一部今回と関係ない男子の声と、
「浮気者!」「私と言うものがありながら!」「弄んだのね!」と言った、完全に間違っている女子の声が聞こえてくる。
「た、忠兄、忠兄ぃ!」
翼は心配しつつも手を出せないで居る。
そして忠夫の声もだんだん聞こえなくなって来た頃・・・。

「た・・・忠兄いじめちゃ・・・・・・

だめーーーーーーーーーー!!


『ドガーーーーーーーーーーンッ』


爆発した。


文字通り爆発である。
翼を中心にして校舎に衝撃が走る。窓は割れ、壁は崩れ、生徒はみな吹っ飛んだ。

叔父夫婦の家を崩壊させた、怒りと共に無意識に現れる翼の霊力暴発である。
やはり兄と同じくかなりの潜在能力を秘めているようだ。

あとには呆然とする翼と、ぴくぴくと痙攣する忠夫を含めた生徒達の姿があった。


「・・・ひどい目に遭った・・・。」
昼休みになってようやく誤解の解けた横島兄妹は共に屋上で昼食をとる。
「ごめんなさい忠兄・・・。」
「午前の授業全部生活指導で潰れちまったな・・・。」
刑事事件や災害騒ぎにならなかったのが不思議である。
「ははは・・・。」
なんだか赤貧にあえぐ老夫婦のような風情の2人。多分に霊力を含んだその負のオーラに近づく者はなかった。
かくして、初めて翼を交えた学校生活は波乱の幕開けとなった。(合掌)


「「ただいまぁ・・・。」」『ドサッ』
午後三時、家に着くと二人は一斉に倒れ伏した。
「あぁしまった・・・今日バイトの面接だった。倒れてる場合じゃない・・・。」
「ぇ・・・本当に今日行くの?」
翼はどうやら体を心配しているようだ。
「今日行かないと次会って貰えるかわからん・・・。」
忠夫は立ち上がり着替え始めると言った。どうやらやめるつもりはないようだ。
そうやって次から次に用事に取り掛かるから急展開って言われるんだぞ!
「うるさいお前の実力不足を俺のせいにするな。
だいたい何でもかんでももったいぶれば良いと思って、説明端折って場面端折って内容端折ってるから手痛い評価を受けるんだよ。」
『グサッ』忠夫が作者の急所を突く。
どことなくセリフに作品の言い訳を含んでるところ、作者のチキンぶりがうかがえる。
しかたないんだ〜!無力が、文章能力の無力さが俺を追い込むんだ〜!(涙
「自業自得。」
「そんな長ったらしい言い訳がさらに作品の品位を下げるんだ。」
2人は語る。
重傷な作者を慰める者はなかった。・・・・・・(滝涙


都内の某教会。
忠夫は時々ここを訪れる。
「すいませ〜ん。」
「おや、横島君かい?」
中に居たのは、最近頭髪の後退が見られる若干冴えない中年の神父。
しかしこの神父、見た目とは違いかなりの実力者。GS協会にもなかなかの影響力を持つ唐巣神父だ。
なぜ忠夫がこの神父と顔見知りかと言うと、答えは昨年、忠夫が上京してきた頃に遡る。


「うおぉ〜〜〜!!」『ダダダダダッ』
大阪から乗った新幹線を降りてすぐ、忠夫は巨大な霊団に追われていた。
霊能力を持った人間は霊に好まれると言う。
長い間人とかかわることもできず、自分を認識することができる者を好むのか、
はたまた霊力による存在維持を求めるのか。
どちらにしても、そう言った雑霊たちは自分を拒絶する者を祟る。
忠夫は今まさにそう言った状況にあった。
霊能力を手にしたと言っても、霊的戦闘のキャリアは皆無。自分に襲い来る霊団を拒絶するのは当然だった。
必死で逃げるが、地面を走る忠夫と宙を駆け抜ける霊団。どちらが速いかなど愚問だった。
路地裏。行き止まりに差し掛かり、ついに忠夫は追い詰められた。
「く、・・・ここまでか・・・。」
霊団の中枢から、忠夫の体に達する。

刹那。

「邪悪なる者よ、退け!」
『ボボボーンッ』

突如横から出現した、霊波による鋭い攻撃。
集合体ではなかったのか、霊団はその攻撃で一斉に霧散する。

「・・・す・・・すごい・・・。」
忠夫はその人物の姿に、純粋に憧れを覚えた。
「やぁ、大丈夫だったかい?」
攻撃の主。その中年男性が忠夫に言う。
「ぁ・・・は、はい。ありがとうございました。」
「どうやらかなりの霊能力を持っているようだね。それに、霊によく好かれる体質のようだ。」
冷静な分析力。これだけでも只者じゃないことが伺える。
「はい・・・あの、あなたのお名前は?」
「おっと、悪いね。失念していた。私は唐巣、この近くの教会で神父をやっているんだ。唐巣神父と呼んでくれたまえ。」
「はい、あの・・・本当に、ありがとうございました。」
「なに、礼には及ばないよ。仮にも神父、困った人を見捨てるようでは神には仕えられないさ。」
やさしい表情。忠夫はこの人は良い人なのだと理解する。
「それじゃ、私はこれで。この近くだから、また何か困ったら教会まで来ると良い。きっと力になるよ。」
そう言うと早々に去っていく神父。
「・・・・・・はい・・・。」
忠夫はそのまま暫く呆然とする。しかし何かを決心した顔で再び神父に向き直ると言う。
「ま・・・待ってください!」
「・・・?ど、どうしたんだい?」
神父の問い。忠夫の狂気にも似た様子に、僅かな驚きを示す。
「お願いします・・・力が・・・。俺も、・・・力が欲しいんです!!」
神父に詰め寄るとすがりつくように叫んだ。その顔はまるで怒りと絶望が入り混じったような複雑な表情だった。
「・・・・・・・・・。」
神父はしばし沈黙する。
「・・・とりあえず教会に行こう。着いて来ると良い。」
そうして忠夫は、神父に言われるまま教会へと向かった。


「落ち着いて、そこの椅子に腰掛けて。」
神父は自分の近くの椅子を示すと、自分もその隣に腰掛けた。
「それで、・・・きっと霊能力のことだと思うが、どうしてそんなに力が欲しいんだい?」
少しの間落ち着かせると、おもむろに問う。
「・・・・・・。」
そして充分間をおいて、忠夫は口を開いた。
「・・・十歳の頃、親父の転勤が決まって、妹とお袋と四人でナルニアに移住しに行きました。」
「・・・。」
重苦しい雰囲気に、神父はただ話を聞く。
「転勤の決定後にお袋が調べたところによると、
当時、親父の転勤はその六年後・・・つまり今年の予定と、親父の上司達は決めていたらしいんです。
ですがその年、会社の権限の及ばないところから圧力がかかり、すぐに転勤になったらしいんです。
その相手は未だに不明ですが、今では何か人為的な意図があった気がします・・・。
そして出発の前日、俺は妙な・・・言葉で表せないような不安を感じ、親父達に全力で反対しました。
今思えばあれは、覚醒前の俺の霊感がわずかにはたらいたのかもしれません。
でも当時俺は十歳、親に逆らう権限も、一人で暮らす力もありません。あったとしても、その時の不安を思うと日本に残ることはできませんでしたが。
そして結局、不安を覚えながらも飛行機に乗りました。
最初は飛行も順調で、不安は俺の杞憂だったと思って徐々に安心していきました。でもことは起こりました。」
そこからだんだんと、忠夫の体がわなわなと震え出した。
「突然だったんです・・・。機体が揺れたと思ったら・・・一気に落ちる感覚がしました。
俺は咄嗟に妹をかばいました・・・強く、強く抱きしめて、この大切な命を守りたいって・・・。
怖がらないように声を掛けて・・・不安にならないようになんども励まして・・・。
凄まじい衝撃で、機体は突き刺さるように縦に落ちました。けど妹は生きていました。気を失っていたけど目立つ傷も無くて・・・。」
そして段々と語気が荒くなる。
「俺は頭から血が出て、目が霞んでも・・・親父とお袋を呼びました・・・。
答えは返ってきません・・・。だけど認めたくなくて・・・不安を否定したくて・・・。
ひたすら呼びました・・・!きっといつか答えが返ってくるって!・・・そう信じて呼びました!
何度も!・・・何度も!!・・・・・・何度も何度も何度も!!!」
最後は既に叫んでいた。忠夫の頬にはとめどない涙が溢れ、その目には何が映っているかわからない。
「そして割れた窓からあいつが言ったんだ!!忘れもしない、あの鋭い目!あの裂けた口で!!
お前の親は答えないって!!自分が殺したんだって!!!」
「・・・横島君、どうか落ち着いて・・・。」
興奮する忠夫を神父が宥める。しかし尚も忠夫は、拳で壁をガンガン叩きつつ話す。
「俺にもっと霊感があったら!俺が親父達をもっと説得していたら!!俺があの悪魔を止められていたら!!
2人は死なずに済んだんだ!!!ちくしょーーーーーー!!」
忠夫の拳からは血が流れ出ていた。まるで涙のように儚い血が。だが尚も叩く事はやめない。
「横島くん!やめろ!やめるんだ!!」
見かねた神父が止めに入り、後ろから羽交い絞めにする。
すると忠夫は力を失ったように崩れ落ち、床にへたり込む。
そのまま静かな口調で喋り出した。
「それからのことは覚えてません・・・。糸が切れるように意識を失って、気付いたら病院のベッドでした・・・。」
喋る忠夫には覇気がなく、押したら崩れ落ちそうだ。
「それからは、きっと強くなろうって・・・大切な人を守れるようになろうって・・・。
・・・そう思ったのに・・・思ったはずなのに・・・未だに自分の身一つ守れません・・・。」
「横島君・・・。」
神父は心配のような、慈しみのような、微妙な表情で見つめる。
「もうあんな思いは嫌です・・・。目の前で助けられないなんてもう嫌です・・・。
お願いします・・・俺に教えてください!・・・皆を守れるようになるから!きっと強くなるから!!・・・だから!!」
そこまで言うと忠夫は、再び神父にすがりつき泣いた。
「すまない、横島君。」
『パァァンッ』
一言先に謝罪すると、忠夫の頬を思い切り叩く神父。
「・・・・・・。」
忠夫は呆然とした。
「自分の身も満足に守れないくせに、君は人のことを守りたい守りたいって・・・そのくせわめくばかりじゃないか!
・・・そんなことで他人を守るつもりか!甘ったれるな!!」
神父は怒鳴った。きっと彼を良く知る人物でも、こう言った一面を見ることは滅多に無いだろう。
「・・・これから毎日ここに来なさい。せめて自分の身を守る術だけでも、超特急で教えます。
人を守る術など僕にもわからない。だが自分を守れない人間に人を守ることなどできはしない。
とても険しい道だが、守りたいなら力をつけ、更なる高みを目指し進め。君ならきっと道が開ける。
・・・・・・こんなに純粋な心を持っているのだから・・・。」


こうして忠夫は唐巣神父と出合った。
急で劇的な出会い。そして神父は、忠夫の人生を簡単に変えてしまった。
神父は自分では忠夫の師匠にはなれないと言う。
しかし忠夫にとって彼は、世界一尊敬する人物なのだ。


「神父、例の件なんですけど・・・。」
「あぁ、準備は整っているよ。ここに行くと良い。」
そう言って神父は忠夫に一枚の地図を渡す。
「ありがとうございます。」
「君の最初の門出だ。健闘を祈る。」
「・・・はい!」
こうして忠夫は地図に示された場所、美神除霊事務所へと向かった。

忠夫にとってはじめての、人生の門出。
期待と不安を胸に抱き、ついにチャイムに手を掛けるのだった。


なかがき


こんにちは、Lciferです。

前回一話の投稿で話が急展開、粗い、などの意見をいただいたので、今回はその当たりを念頭に置いて書きました。いかがだったでしょうか?
急展開の原因はやはり一話に詰め込みすぎの為に起きるのだと思い、少ないいくつかの副題に多めに肉付けする事によって回避を図ったのですが、これでよかったのかが心配です。
内容が足りないところは、当初の目的通り二話以降での補完にて行うことに致しました。今回は飛行機の墜落事件についてを唐巣神父との出会いの中の横島君のセリフで補完しましたが、わかりにくいところなど無かったでしょうか?あったらぜひご指摘お願いします。

内容ですが、今回は横島君の学校生活を前半に置き、後半には唐巣神父を登場させ、その出会いを描きました。
学校生活の方では、横島君の生活状況や、モテ度、性格、男子からの認識などが少しずつ伝わればと思い書きました。
翼についてはまたもあまり書くことができませんでしたが、今後ゆっくりと伝えることができればと思っております。
そして唐巣神父との出会い。
こちらでは飛行機事件の詳細の補完と、横島君の心中、真剣さ、唐巣神父の立場と意外な一面を描写しました。
うまく伝わっていればいいのですが、こちらも何かありましたらどうかご指摘お願いします。
ではまた、Lciferでした!


○だれかさん様

ご指摘ありがとうございます。
話が急展開になってしまうのは前々から課題にしていたことなのですが、なかなか思うように行かないのが現状です。今後とも努力を惜しまないつもりですので、どうか永い目で見守っていただければ幸いです。
妹キャラの翼ちゃんですが、やはり私も少なからず邪な期待を持たずにh(ry


○え〜に様

ご指摘ありがとうございます。
やはり端折りすぎなのは読み返してみてわかりました。
二話以降の補完の為に端折ったつもりだったのですが、かなり端折りすぎてしまったと私も思います。
今後はわかりやすい補完に力を注ぐ所存ですので、宜しくお願いします。
詰め込みすぎのこともつながるのですが、今後はできるかぎりかいつまんで進めるように尽力いたします。
そして、ハァーレム推進派団体番号2番に立候補いたします!!ノ


○水島桂介様

ご指摘ありがとうございます。
100点満点で5点ですか・・・。
正直ショックでしたが、そう評価を受けても仕方ないとも思いました。
文章の間やリズムのことは今回頭に入れて執筆したつもりですが、どの程度改善できているかは正直自分ではわかりません。せめてマイナス点でなければいいのですが・・・(汗
構成の前後の描写は、え〜にさんへのお返事にも書かせていただきましたが、端折りすぎなのはかなり痛感いたしました。あえて一話をそのままに、補完に努めたいと思います。
次にキャラクターの魅力。
これはかなり考えました。確かに記号的な描写以外しなかったのは致命的なミスだと思いました。翼が社会性皆無の幼児とはかなりアレですが、確かに読めば私でもそう思います。
横島君の性格も然りですね。しかしこれについては今後予定通りに進めることで、翼ちゃんのまともな性格と、横島君のセクハラ野郎脱却、きちんと挽回させていただこうと思います。
最大の問題点、「横島忠夫と言う名のオリキャラ」こちら、確かに具体的な描写無しに出せばそう認識されても仕方ないです。
ですが出自も育ちも家庭環境も全て、飛行機事故の前までは同じを想定しております。作中に私の認識違いがありましたらお手数ですがご指摘頂ければ幸いです。そして能力も基本的には同じを想定しておりますが、もしも今後を見ていただければそれもできるかぎり裏付けたいと思います。
性格ですが、セクハラをしていた状態では文字通り完全な「病気」だと思っていただいて結構です。要は、それ以外の面を横島君の人間性と捉えていただければありがたい。これは本当は若干ネタバレなのですが、重要どころをを伏せてここに記させていただきます。今後、彼が横島君であることをできるかぎり証明したいと思います。
戦闘でも、今の段階では斉天大聖と良い勝負ができている状態を描写したわけではないのですが、そう捉えてしまったのなら申し訳ありません。
そして次回を見ていただければ、横島君がまだそこまで強くないこともご理解いただけると思います。
私は批判には簡単にはめげませんよ!ぜひ次回もご評価下さることを願います。
・・・今作二話が何点だったのか気になります。


○あき様

ちがいます。


○夜叉王様

応援ありがとうございます!頑張ります!マジ頑張ります!!
ハーレム推進派団体番号二番Lcifer、頑張ります!!(感涙


○樹海様

ありがとうございます。詰め込みすぎは今後改善しようと思っております。
そして貴重なご意見、なぜナルニアに行く気になったかと言うことですが、具体例ありがとうございます。今作の作中で補完させていただきました。
うまく伝わっていなかったらアレなので一応補足させていただくと、
原作では親のナルニア転勤は高校生時代だったため、一人暮らしと言う選択肢があったのですが、本作では時期が大幅にずれ、忠夫が十歳の時となっています。つまり、子供の忠夫では両親に着いて行く以外の選択肢が無かったわけなのです。
神魔の指導者が忠夫に融合させた理由も、近日補完したいと思います。
今後とも宜しくお願いします。


○良介様

ご指摘ありがとうございます。
内容をとばしたのは狙いのつもりだったのですが、やりすぎて大失敗でした。魅力は今後の努力で引き出したいと思います。
加速空間に飛ぶのは確かに精神だけです。
しかし横島君がそんなこと知るわけ無いので筋トレさせて、強くなりたいと言う思いを暗示しました。適当半分でした(土下座
・・・甲殻機動隊知らないので何とも、すみません(汗


○益田四郎時貞様

分裂症は初期設定から全くその通りですが、不愉快に感じたなら謝罪いたします。
外道と言うのはどのシーンのことでしょう?
セクハラのことでしたら今後に挽回したいと思います。
熊のことでしたら、普通自分を襲ってきている生物をやさしくなでたりはしないと思います。
それとも鬼門のこと一点でそうなのでしょうか?
その場面は相手が鬼門と言うこともあってギャグから行きたかったのですが、伝わらなかったなら謝ります。しかしそれと大切な物を守る為に強くなりたいと言うのは関連があるのでしょうか?
批判に重点を置いて具体性を欠いたせいか、あなたの意見は私にはよくわかりませんでした。
しかし駄文に目を通していただいたことには感謝いたします。


○街路樹様

ご指摘ありがとうございます。
文を省きすぎて伝えられなかったのですが、
強すぎに関しては今後を見て判断いただきたいです。
翼ちゃんについては全力で手がけたいです。その為のオリキャラですから!
今後とも宜しくお願いします。


○タクミンタク様

はげましありがとうございます。
めげませんよ!がんばります!!
今後とも宜しくお願いします!

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