横島たちが妙神山から東京に帰った翌日の木曜日。煩悩少年と狐娘がいつも通り(?)学校に行くと、昼休みの霊能部のランチタイムに机娘から訊ねられた。
「横島君にタマモちゃん。テスト前に2日も休んで、またお仕事だったの?」
「「!?」」
その冷厳な、しかし横タマが完全に忘却していた事実に2人は瞬間冷凍された鮮魚のように凍りついた。
具体的には2学期の期末テスト、来週の月曜から木曜までである。そう言えば学生生活にはそんなイベントもあるのだった。むろん霊能部の活動も、今はこのランチタイムと妖気封じの結界のメンテナンスだけになっている。
ちなみに愛子が朝1番で訊ねなかったのは、仕事関係だと一般生徒に聞かれたくない事もあるだろうと思って控えていたからだ。
「うおおおお、忘れてた! 修業なんて別に期限はないんだから、テスト明けにしときゃ良かったよ!」
「ま、まずいわね……」
横島は床を転がり回って悶え、タマモも少々青ざめていた。2人とも普通の進学や就職をするわけではないから成績はそれほど気にしていないのだが、補習はいやだし留年はさすがに困る。
「し、仕方ない……テストが終わるまでバイトは休ませてもらうことにしよう。まだ営業再開してないし、そんなに問題ないだろ」
小山事務所でGS免許を持っているのは横島だけなので、除霊の現場に行く時は必ず彼が同行しなければならない。よって横島がテスト休みを取ったら事務所は開店休業状態になってしまうのだが、今すでに臨時休業中なのだからそれほどの痛手にはならないと思う。
さっそく携帯電話を取り出し、事務所に電話して1週間休みを取る旨の了承をもらうと横島はほうっと大きな息を吐き出した。
「ま、これで赤点は避けられるか……留年なんかしたら親父はともかくお袋が怖いからな」
「横島のお母さんってそんなに怖いの?」
とタマモが小さく首をかしげると、横島はぶるっと身震いして、
「そーだな。何もないときはごく普通の主婦だけど、何かやり出す時はかなり強引だし、本気で怒ったら親父の3倍くらい恐ろしい謎の生命体だ」
実の母親に対してずいぶんな言い草だが、横島的にはキヌや愛子たちの前だからむしろ控えめに表現したつもりである。
「おまえに出てけとかそーゆーことは言わんと思うが、もし会うことがあったら応対はくれぐれも慎重にな」
「……うん」
と不得要領ながらもこくんと頷くタマモ。父親は変人だったが母親まで普通じゃないとは、いやそのくらいでなければこんな男は生まれて来ないだろうと思えば納得はできるのだけれど……。
「ところで横島さん、修業って何なんですか?」
「ん? ああ、妙神山に行って来たんだ。今回は長期合宿じゃなくて、美神さんがやったみたいな一発勝負のやつ。
俺は最初は行く気なかったんだけど、言いだしっぺが雪之丞だったから日程をそっちに合わせることになっちゃってな」
箸を止めて訊ねてきたキヌに横島がそう答えると、バラの花の精気を吸っていたピートが話に加わってきた。
「ああ、そう言えば昨日雪之丞が言ってましたね。お互い新技に慣れたころに再戦したいって。
僕ともときどき組み手してるんですけど、横島さんは何をしでかして来るかわからないから面白いんだそうです」
新技に慣れるというのは、雪之丞が魔装術の装甲の強さを確かめるとか、横島が上手に空を飛ぶ練習をするとかそういった事である。お互いに自分の能力を使いこなせない状況で組み手をしても仕方がない、と雪之丞は思っているのだ。
しかし横島の方はそもそも自分が強くなるために修業を受けたわけではないので、そんなことを言って来られても迷惑なだけであった。
「あああっ、やっぱりかあのバトルオタクー!」
と頭をかかえてうめき出す。横島のこういうオーバーリアクションは特に珍しくもない事なので誰も止めたり宥めたりはしなかったが、それがおさまるとキヌが再び訊ねてきた。
「で、新技って何なんですか?」
「……ん?」
いかにも興味津々な顔つきをしているキヌの様子に、横島はちょっとだけ考え込んだ。
ここにいる連中にはいずれすべてを明かそうと思っているが、今はそんな雰囲気じゃないし、何より令子、ひいては美智恵にも伝わる可能性が非常に高い。それはまだ早いと思う。
しかし空を飛ぶ能力は雪之丞も持っているし、キヌだってその気になれば幽体離脱して肉体をかかえて飛べる。それほどレアというわけじゃないし、カリンの竜モードもどちらかと言えば飛行機に近いフォルムだから見せるだけなら問題あるまい。
第一すでに雪之丞に見せてしまっているのだし。
「ああ、俺の自慢の煩悩玉で空を飛べるよーになったんだ」
これで女風呂覗き放題!と言いかけて、言葉になる前に口をつぐむ事に成功したのは彼にしては上出来というところか。だいたいそんな危険を冒さなくても、今は頼めば一緒に入ってくれる彼女が3人もいるのだから。
「じ、自慢の煩悩玉って……」
あまりにもアレすぎる表現にキヌと愛子は右肩を25度ほど落っことしたが、ピートは同性ゆえかそこはスルーすることに成功して飛行能力についての感想を述べた。
「へえ、それはすごいですね。けっこう使いであると思いますよ」
と特段驚いた様子がないのは、彼の知人には空を飛べる人物が割と多いからである。ピート自身やブラドー・雪之丞・タマモもそうだし、魔鈴も辻斬り事件のときは箒に乗って飛んでいた。横島当人がカリンにかかえてもらって飛んでいる所も見たから、それほど異常なことだとは思わなかったのである。むろん常識的に考えれば、まずは冗談だろうと突っ込むべき不思議現象なのだけれど。
使いでがあるというのは言葉通りの意味である。移動や偵察に役立つし、戦闘でも飛行能力も飛び道具も持たない相手なら反撃を受けずに攻撃することができるのだ。
「ああ、もはや日本に俺より逃げ足が速いGSはいないと言っても過言じゃないだろーな。
カリン、おまえも見せてやってくれ」
と横島はぜんぜん自慢にならないことを真顔で誇りつつ、影法師の方に話題を移して頭上に呼び出した。
「「きゃあ!?」」
「わあっ!?」
女の子が出て来ると思っていたところに飛行機(?)が出現したのでは驚くなという方が無理である。キヌと愛子はもちろん、ピートもびっくりして腰を抜かしそうになってしまった。
しかしカリンはすぐ人間の姿になって、ふわりと床に舞い降りた。
「驚かせて済まなかった。私の方も飛ぶ能力がレベルアップしたのだが、口で説明するより見せた方が早いからな。
あの姿だと揚力を利用できるから、重いものを運ぶのが楽になったんだ」
カリンは霊体だから基本的には空気抵抗を受けないのだが、わざと受けるようにすることはできる。そうすれば本物の飛行機が主翼で揚力を得るのと同じ原理で上昇する力を得られるから、速度は落ちる代わりに運搬力が大きく上がるというわけだ。
ちなみにカリンが想定している「重いもの」とは彼女の家族、つまり小山事務所のメンバーである。この近辺では魔鈴がけっこう頻繁に箒で飛んで出前をしているから、自分たちが空を飛んで仕事に行ってもそれほど奇怪がられることはあるまい。むろん毎回そうするつもりはないけれど。
カリンは事実のすべてを明かしたわけではないが、嘘は言っていない。なのでピートたちは特に疑問は持たず、
「なるほど……雪之丞は防御力が上がったと言ってましたが、横島さんたちは移動力が上がったというわけですか。何ていうか、らしいですね」
「トレーニングして成長……青春だわ!」
「そうなんですか、すごいですね。でも何となく、今の話はあまり人に教えない方がいいような気もします」
ただ3人の中でキヌだけが少し不安げな顔つきなのは、ひょっとして自分の雇い主のことでも思い浮かべたのだろうか。
「ああ、どういたしまして。あとはタマモ殿だな」
「え、タマモちゃんも修業したの?」
らしくない行動に愛子は驚いたが、タマモはごく当たり前といった風情で理由の1つを話してやった。
「うん、私も保護されっ放しじゃつまんないから。
……私は妖力が上がっただけだったけど、そっちはだいぶ強くなったから満足はしてる」
「……そう」
愛子はタマモと横島が恋人同士だと知っているから、そのひと言だけで狐娘の本心を推察できた。横島も幸せ者だと思ったが、この話題を続けると藪からヘビを出させかねないと判断してルートを変えることにする。
ちなみにキヌとピートは2人の関係を知らないから、単にプライドが許さなかったのだろうと解釈していたりしたが……。
「ところで横島君とタマモちゃんが休んでる間に、この前話してた霊能部の新しい活動内容を少し考えてみたんだけど、聞いてくれる?」
「ん? ああ、いいけど」
と横島が頷くと、愛子はノートに書かれたメモを読み上げてきた。
まずは今後入ってくるだろう部員の安全に配慮して、「一般的な」危険回避マニュアルを作ろうというものだ。霊能に目覚めたての人間はその中途半端さのため、まったくのド素人より逆に霊障を起こす危険が大きい。たとえるなら運動部に入ったばかりの生徒がミスしてケガをするようなものだが、それを回避するための方法論を整理しておこうというのである。
あくまで一般論だから横島やピートの責任にはならないし、ミーハーな気分で霊能部に入って来ようとする生徒への戒めにもなる。
「なるほど、言われてみりゃその通りだな。うん、それは来年度になるまでには作っといた方がいいと思う」
横島にもそれには異論なかった。今のメンツには不要のものだが、4月になったらひょっとして大勢来るかも知れない。彼らが無知のために霊障に遭うような事態は避けるべきだろう。
「あとね、人と人外の共存とか融和をめざすっていう案、ってゆーか除霊委員の不文律を文章にしようっていう話もあったんだけど、これがなかなか難しいのよ」
「ああ、おまえやピートが言うと自分のために言ってるみたいだからなあ」
もともと除霊委員は話し合いで何とかなる相手はむやみに退治しないという方針でやっていたし、これ自体はかって美智恵にも賛同されたことだから何も恥じることはないのだが、それを主張するのが当の人外では多少色眼鏡で見られてしまう可能性はあるだろう。
「まあ表現のしかたの問題だと思うから、もう少し考えてみるつもり。
……あ、そろそろチャイム鳴るわね。今日のランチはこの辺にしときましょうか」
と愛子が締めて、本日の霊能部の会合はお開きと相成った。
その日の放課後。横島とタマモが家に帰って仲良く試験勉強をしていると、どういう風の吹き回しか小竜姫がわざわざ2人の家を訪ねてきた。
「横島さんのテスト勉強のお手伝いでもしようかと思いまして。勉強はわかりませんけど、ご飯とかお掃除くらいならできますから」
「へえ? そ、それはすごくうれしいですけど、でも所長にそんなことしてもらうわけには……」
これにはさすがに横島も恐れ入って辞退しようとしたのだが、その程度で引き下がるほど小竜姫は弱気な性格ではない。
「そんなこと気にしなくていいですよ。妻が夫を助けるのは当たり前じゃないですか。
それにお仕事が休みですから退屈ですし」
「しょ、所長……くう、しょ、いや凛明さまは何ていい神さまなんだ」
思わず感涙にむせぶ横島。これはもう断る方が失礼というものだ。
「じゃ、お願いします」
と玄関から居間に招じ入れ、とりあえず挨拶ということで彼女の分のお茶を入れる。一拍おいた後、せっかくなので妙神山でカリンに言われたことについて訊ねてみることにした。
「ところで凛明さま、この前カリンに『竜珠に精神を乗り移らせれば今すぐにでも竜神になれる』って言われたんですけどどー思います?」
「…………はあっ!?」
小竜姫もこれにはたまげてしまった。まさか竜珠を竜の体として使おうなどとは、まったくこの2人はいつもながら奇抜なことを考え出す。
しかも落ち着いて検討してみればなかなかの良案であった。確かに今の横島では竜珠を人間型や竜型に変えるのは無理だろうが、そこは自分が手を加えて変形しやすいようにしてやれば、さしあたって人間型に固定してやることはできる。
身体に慣れるまで多少とまどう事もあるだろうが、食事は普通にできるし、カリンとの関係も今までと同じだ。人間として暮らすのにさほどの不都合はあるまい。
自分の見立てでは、横島が肉体をエネルギー化して完全な竜神になるには5年から10年かかる予定だった。しかしこの方法なら準備と経過観察も含めて数日で終わってしまう。
まことにめでたい話だったが、これには1つだけ問題があった。
(でもこれをやると、竜珠が竜珠じゃなくなってしまうんですよねえ。どうしたものでしょうか)
竜珠が持っていたほかの機能、つまり結界とか天候操作とかについても横島自身の能力として再構成されるから無くなってしまうわけではない。しかし自分やカリンが貸してもらって使うことはできなくなってしまうのだ。
いや別にそれが寂しいというわけではないが、今はメドーサとの戦いが控えている。月から奪った魔力でパワーアップしてくるだろう彼女に対抗するには、自分が竜珠を借りて超加速を強化するしかないのだ。
(横島さんに超加速を教えればいいんですけど、それだと彼を矢面に立たせることになってしまいますし)
カリンならともかく、横島を最前列に据えるのはさすがに危険すぎるだろう。まあ横島に通常版の装具を貸した上で自分との竜気共鳴を行うというあの手を使えば、メドーサがどんな小細工をして来ようと恐れることはないのだが……。
「―――あの、凛明さま? どーかしました?」
「……え?」
思考に没頭していた小竜姫は、横島に名前を呼ばれてはっと我に返った。いけない、ちょっと集中しすぎていたようだ。
「ああ、すいません。えっと……そうですね。私がお手伝いすれば、その方法で人間の姿を持った竜神になれますよ。竜の姿になれるようになるのはもうちょっと先になると思いますけど。
ただ術をかけるのに少し時間がかかりますし、横島さんもおととい老師さまの修業を受けたばかりで魂がまだ安定してないと思います。今度の土日か、あるいは横島さんの学校のテストが終わってからの方がいいと思うんですが、どうでしょう」
「え!? あ、は、はい。全然OKっス」
横島は軽い気持ちで相談してみただけで、今すぐどうこうしてもらおうなんてまったく思っていなかった。小竜姫の返事にかえって恐縮してしまい、微妙に間違った日本語でへこへこと頭を下げる。
しかしまさかこれで本当に「俺は人間をやめるぞ!」ができるとは。竜の姿なんてどうでもいいが、千年ハーレムが完成するのはたいへん喜ばしいことである。
もっとも今現在最優先すべきことは他にあるわけで。
「じゃ、俺そろそろテスト勉強しますんで」
「え? あ、はい。それじゃ夕ご飯の材料でも買って来ましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
横島がそう答えると、小竜姫はにっこり頷いて部屋を出て行った。
夕食の後はちょっとひと休みということで、横島とタマモがTVでも見ようと座布団に腰を下ろすと小竜姫がおずおずと話しかけてきた。
ちなみにカリンは皿洗いをしている。彼女の記憶は横島には引き継がれないので、テスト勉強の代わりに家事を引き受けているのだ。小竜姫が来なければ夕食も彼女がつくる予定だった。
「あの、横島さん。……ひざ、貸してもらっていいですか?」
「は?」
意味がよく分からなかった横島が聞き返すと、小竜姫はますます恥ずかしそうに頬を染めて、
「あの、えっと。老師さまの修行の時にタマモさんが横島さんに膝枕してもらってるの見てて羨ましかったものですから。もし良かったら私にもしてもらえますか?」
「そりゃもー、喜んで!」
横島は小竜姫の台詞が終わる前にばっと左脚を伸ばした。むしろこちらから頼みたいほどの嬉しい話である。
小竜姫は横島の太腿の上に頭を乗せると、ころんと床に横たわった。横向きになって背中を丸めたその姿は、もはや凶悪的なまでのかわいらしさである。
横島はきれいな女神さまのこんな可愛い姿を独占できることに感動を覚えつつ、そっとその髪と頬を撫でてやった。
「ん……何だか気持ちいいですね。タマモさんがよくねだってたのがわかる気がします」
「ホントですか? こんなことで良かったらいつでもしますよ、っつーかさせて下さい」
嬉しすぎる感想に横島はますます感銘の度を深めつつ、タマモにしたように小竜姫の首すじも撫でてみる。さらに調子に乗って肩や背中にも手を伸ばしたが、小竜姫は怒るどころか気持ち良さそうにのどを鳴らした。
「ふあ……横島さん、撫でるの上手ですねぇ……」
小竜姫はこのまま眠ってしまいそうなほどリラックスした表情をしている。横島はいっそこのまま寝かせてやってもいいかと思ったくらいだったが、そこになぜか右腿にもぐいっと重みがかかった。
「タマモ、おまえもか!?」
「うん」
びっくり顔の横島にタマモは当然のように頷くと、横島の承諾も待たずに横になってしまった。小竜姫があまりにも気持ち良さそうにしていたので嫉妬したのかも知れない。
しかし横島としても特に拒む理由はない。小さくため息をつきつつも、少女の髪をやさしく撫でてやった。
「んー、横島……好きよ」
「そっか。……俺も好きだよ、タマモ。
あー、えっと。もちろん凛明さまもですよ」
目線は合わせずに、いや合わせてないからこそ自然にラヴトークをかわす横タマだったが、左腿の辺りで微妙に気配がしたのに気づいてあわてて言葉を追加する。だがその直後、今度は真後ろにも気配を感じた。
「……。また右も左も埋まっちゃったけど、どーしよーか」
皿洗いをしてもらったあげくまた仲間外れでは悪い、と横島は思ったのだが、彼の背後に現れた影法師娘はまことに寛大であった。
「いや、私はおまえの分身というアドバンテージを持ってるからな。埋まってるなら後回しでいい」
何という理解ある態度であろうか。普通なら感謝感激されるべき台詞だったが、横島はそこに一片の欺瞞を感じた。
すかさず少女の腕を引っ張って、両脚の間に座らせる!
さらに両手でしっかりと抱きかかえて脱出を封じた。
「よ、横島!? いきなり何をするんだ」
当然のように出された抗議に、しかし横島は弾劾者の口調で言い返した。
「フッ、甘いぞカリン! 今のはそーゆーことを言えば俺が申し訳なく思ってかえってやさしくなるという作戦だろう。しかしこの横島がその程度の策を見抜けないとでも思ったか!?」
「な、何!? ど、どこをどう推理すればそんな結論になるんだ」
とカリンは容疑を否定したが、どもっていたり顔が少し赤かったりする辺りがやはり怪しい。
少なくとも横島はそう解釈して、いきなり有罪の判決から刑の執行まで宣言した。
「とゆーわけで、本体をたばかろーとした罪は重い! いつもお仕置きしてくれてるお礼、今からたっぷりと返してやるわ。うはははは」
「はあ!? ちょ、ちょっと待て横島、んっ、きゃう」
カリンが妙な声をあげたのは、横島が彼女の胸をさわったからである。彼が女の子にお仕置きをするとしたら、その内容はそういう事しかあるまい。
少女の大きな乳房をさわさわさわっと撫でた上、指をうずめてその豊かな弾力を味わう。
「いいかげんにしろっ!!」
しかし仮に少女に横島が邪推したような内心があったとしても、ここまでされるいわれはない。横島は鼻っ柱に頭突きをくらって、ついでにタマモと小竜姫からもアホを見るような視線を浴びながら床に倒れるのだった。
その後小竜姫は9時過ぎに横島家を辞して帰っていった。実は泊まってもいいと思っていたのだが、彼女が横島家に泊まるのは横島たちが小山事務所に泊まるのとは意味が違うので、世間体を考慮してやはり帰宅することにしたのである。
その判断は確かに正しかったのであるが……実は最初の1歩のところでミステイクがあったことを「横島が」翌日思い知ることになるのであった。
―――つづく。
相変わらずここの横島君は好き勝手しておりますが、次回辺りで人誅が下る……かも知れません。「かも」ですけどー(ぉ
ネタバレになりますが、カリンが竜神横島の中に戻っても同期合体にはなりませんです。そこまで都合のいい設定はちょっと(^^;
といってもそれなりのメリットはあるわけですが、詳しくは先をお待ち下さいませー。
ところで神魔族の体の構造ってちょっと謎なんですよねぇ。ルシベスパピは病院で壁抜けをしましたけど、その前に食べたであろう砂糖水や蜂蜜はどうなったのか。小竜姫さまはGS試験編でウーロン茶を飲みましたけど、もしあの後角モードになったら飲んだお茶はどこに行くのか。
素直に考えるなら、壁抜けモードに入ったと同時に体の外に落ちるんでしょうけど……絵面的にあまり考えたくない光景でありますな(^^; 3姉妹以外の神魔族には冥界からのエネルギー供給がありますから、人間的な食事の必要性は薄いでしょうし。
ちなみにカリンの場合は横島君の影法師なので、飲食の必要は初めからありませんです。横島君が完全竜神化した後はワンダーホーゲルよろしく地脈のエネルギー、あるいは大気中のマナを吸収する、という設定にしておきましょうかー。
ではレス返しを。
○遊鬼さん
ああ、確かに横タマが組んで戦うのは久しぶりでしたねぇ。人狐一体は2人の愛の証ですから、ここで使うのは当然でありました(ぇー
パワーアップが見た目で分からないというのは、むしろ好都合なのであります。いろいろ目をつけて来そうな方々がいますのでー。
でも全部隠しておくわけにもいかないので、なかなか兼ね合いが難しいところであります。
猿神は……紹介されずとも(以下ネタバレにつき削除)。
○KOS-MOSさん
毎度お褒めいただき感謝しておりますですー。
>修行
もともとタマモは横島君との愛の力で乗り切る作戦でしたから、今回の結果はまさに彼女の思惑通りといったところでしょうか。
2人のラヴを感じていただけたなら幸甚ですー。
>カリンに起こった新たな変化
はい、そのお方と同じビジュアルであります。
武器の絵面も似てたりしますw
もちろん移動にも使えます。風防があれば満点だったのですが。
>VSユッキー
本文中で横島君が思い切り断言しておりますww
○風来人さん
南武編ではタマモの影が薄かったので、復権させることができて筆者も一安心してるところです。
>カリン竜形態
は、それで正解であります。
>ジーク
ただでさえ既出の登場人物を活躍させ切れていない状況なので、たぶん出ることはないでしょうorz
○HALさん
前回はテキスト量的には1.5話分くらいあったので、もう少し伸ばして2話にしようとも思ったのですが、これを引っ張るとじらし過ぎになるかと思いまして。難しいものですね。
>横島君の結界〜〜〜
前に少し描写しましたが、これはたわんだり吹き飛んだりすることで衝撃を逃がせる構造になっておるのですよー。棒による殴打に対しては相性が良いのですな。
逆に剣とか槍とか切断・刺突系の攻撃には相性悪いです。何かサイキックソーサーの反対って感じがします(^^;
>この話見てると狐火が猿神に粘りつくような感じに見えますのですがー
は、その通りであります。横島君への攻撃を少しでも防ぐために、猿神の動きを鈍らせようとしたのですよー。まさに愛の奇跡(ぉ
>狐火のバリエーションが増えるというのも〜〜〜
なるほど、コントロールの修行が進めばそういうことが出来ても不思議ではありませんな。今すでにお揚げ型にできてることですし(ぉ
使わせていただくかも知れませんです。
>猿神が帰った理由
仮想空間にいる間はともかく、組み手してる間の小竜姫さまの顔色とか修行後の挨拶とかで見破れた可能性は十分ありますな。
GM来襲の前振りもしましたし、DF降臨と横島君の完全竜神化とどのイベントを最初にするか悩んでおります。
>追記
ラヴっていいですよねvv
○通りすがりのヘタレさん
>ようやく主役らしく成長してきたか?
何をもって主役とするかによるかと(ぉ
>硬いヤツと斬れるヤツ
原作でも完全に前座でしたからねぇ。美神さんの時はあんなに手ごわかったのに(ノω;)
>猿神
は、彼のことはあえて深くふれなかったのでありますよー。先の展開のためにっ!(誇大表現)
>雪之丞
なるほどー、すると横島君は回避能力がさらに上がったということでまさにリアル系……いや、フィールド防御とか不死身とかマップ兵器とか持ってるしどっちつかずなのかなぁ(^^;
>鬼門
彼らは雛ガルーダの世話で忙しかったので出て来られなかったのです(ぉ
○晃久さん
>カリン
は、実はその通りだったのであります。
今回の竜神化を機に、人間形態時の服装もそちらに戻したというわけでした。
>千年ハーレムまで後一歩ですな
はい、もう日取りまで決まってきてます。くっ、このままでは(何)。
>小竜姫様は婚約を師匠に宣言できず
あるいは向こうから聞きにやって来るかも知れませぬ。
○紅さん
お褒めいただきありがとうございます。前回はいつもより長かったので少し不安もあったのですが、大丈夫だったみたいで安心しました。
>メドーサとの決着
横島君の竜神化がプラスになるかマイナスになるかは先をお待ち下さいませー。
結婚はさすがに高校卒業後になるでしょうけど(^^;
○ばーばろさん
>鬼門
上記の通りでございますー。
>見鬼くん
カリンはもともと霊体だから引っかかるのは当然として、横島君が引っかかったら怪しまれるでしょうねぇw
偽者だーとか言って釜茹でにされたりしそうですなww
>キッカケが三股ハーレムの存続だったなんて、龍神界でも史上初だろうなぁ
ましてやそれが玉龍三太子の娘のお婿さんと来た日には……ワクテカしちゃいますねぇ<マテ
>猿神
彼の思惑は上記の通り、あえて触れておらぬのですよー。
>ピンクの番外編の後編
横島君の完全竜神化の話がいま進んでますので、それがまとまった辺りで……たぶんorz
○チョーやんさん
ご意見ありがとうございます。確かに推敲不足の作品をぽんぽん粗製濫造するハメになってはいけませんからねぇ。自戒しますです。
しかしヨコタマンを読まれていたとは……読み込んでいただけてるようで嬉しいです。
ところで「+α」って……ヒドいw
>横島君の成長
そうですね、飛行能力の価値については本文中でも触れておきました。ただ原作では文珠というスーパー能力でしたので、それに比べるとどうしても見劣りしてしまいますから。
もっとも完全竜神化も間近っぽいので、今の時点から見るとそう悪くもないのですけれど。
いろんなことがバレる日も近そうなのですがー!w
>カリンの変貌
みなさまの予想を斜め上に外すのが趣味ですから<マテ
カリン、というか横島君の影法師はもともと加速した小竜姫さまに追いつくほどの飛行スピードが売りでしたから、成長の方向性はやはりそっち方面だと思ったのですよー。セイリュートがモデルでしたし(ぉ
>おキヌちゃん
は、お心遣い痛み入ります。詳しいお話はネタバレ禁止ということでよろしくです。
○シエンさん
ねぎらいのお言葉ありがとうございますー。
竜モードカリンのビームはまさにSFテイストな絵面ですので、見た人はびっくりすることでしょうねぇ。
なので仰るとおり、横島君も令子さんたちのことは警戒しております。もちろんいずれはバレるんですがー!
>人狐一体の利用価値が減少しますた
翼が要らなくなったので9本の尾で攻撃できますし、火力もタマモの方が上、さらに横島君の結界や金縛りでタマモを守れるので使いでが無いことはないのですが……今までよりは価値が下がったのは確かですねぇ。あうう(o_ _)o
>あれ? 霊能部に純粋な人間はあと・・
がんがれおキヌちゃんorz
>あれ? じゃあ飛べないの私だけ?(by愛子)
本当にそうなってしまいましたねぇ。しかしさすがに机が飛ぶのは無理でしょうし(ぉ
>「よし! じゃあさっそくリターンマッチといこうか!」
期末テスト中くらいは待ってくれそうですw
○whiteangelさん
横島君は真の竜神まであと半歩であります。
老師さまの思惑はまだ謎なのですよー。
○炎さん
>雪之丞
仮に気づいたとしても、他人の色恋ざたにまで首突っ込むタイプじゃなさそうですからねぇ。
>小竜姫さまの婚約者紹介
Xデーは近づいているようです!
○Februaryさん
>猿神修行編
テストはあえて描写を少なくすることで前座感を出してみました(酷)。
猿神自身との戦いは愛がメインでしたが(ぉ
>人孤一体ヨコタマン
上記の通りではありますが、そもそも2人がある程度広い場所に一緒にいるということが前提ですからねぃorz
>「フィンガー・フレア・ボムズ」
うーん、確かに気分的にはあんな感じだったかも知れませぬ。
>セイリュート知らないんですorz
お暇な時に3巻を立ち読みでもしていただけると、人間形態と竜形態と両方のビジュアルが見られますのでー(ぉ
○Tシローさん
人間やめたことをGMに知られたら……うーん、どうなんだろう。一般人には偉大な人物の考えは読めませんなぁ<マテれ
>今後竜神化した横島に小竜姫さまの許婚候補とかが闘いを
むう、有り得るかも知れませんなぁ。しかし現状ではパワーが低すぎて勝負にならない……ということで、姫様が代わりに戦って瞬殺とか(酷)。
○読石さん
恋人たちが愛の力でパワーアップするのはもうデフォルトですから!
ヨコタマンは上記の通りですが、何とか出番つくりたいものですねぇ。
>撫でられてのどを鳴らすタマモさん
今回は横島君がさらに調子に乗っておりますorz
>カリンの竜形態
斜め上を行けたなら満足であります。
>横島君の竜形態
現在ヤマタノオロチ説が有力ですが、彼のことですから予断はできませんw
>老師に報告
まあ彼女の立場からすれば当然ですからねぇ。
横島君はまだ高校2年生ですから心の準備なんて出来てるわけないんですがw
○鋼鉄の騎士さん
横島君に神々しさ……うーん、ヒャクメくらいにはあるかも知れませんなw
母上様対策……「探さないで下さい」でしょうか(ぉ
○白鴉さん
>いわれてみればセイリュートっぽいなと思う白鴉です
おお、ありがとうございますー。
いやもちろん単なるモデルであって、クロスではないのですけれど。
>横島君の武器
栄光の手取り上げちゃいましたからねぇ。煩悩玉や手榴弾は武器というより道具ですし(^^;
難しいところですなorz
○山瀬竜さん
今回もわりと早めでがむばっております。
>カリン
はい、とうとう小竜姫さまを越えましたw
>横島君のパワーアップ
覗きとかハーレムとか、そんなことのために人間超えられる横島君に乾杯したいと思います(ぉ
しかしこの人を竜神界に入れて大丈夫かどうか、一抹の不安は残りますなw
○ロイさん
目指すは速さがとりえの兄貴といいますか<マテ
>のんびりゆっくりほのぼの
筆者も女の子かしずかせてまったりライフしてみたいです(ぉ
>加速空間にいた期間が原作とほぼ一緒なのは事前に事情が分かってても魂の問題だから関係ないってことですかね??
そうですね、そんなところであります。
>鬼門
彼らの場合、下手に出てくるとぶち倒されちゃいますからねぇ。雛ガルーダの世話してる方がマシという見方もあるかとw
○トトロさん
>カリンちゃんは、洋形の竜になっちゃたんですか?〜〜〜
うーん、洋物といえば洋物ですかねぇ。東洋の竜で翼があるのは「応竜」だけですし。あ、そういえば名前もカタカナでしたな(ぉ
胸は一応日本人の枠内ですが、「大きい」と表現されるキャラですから小隆起さまでは太刀打ちできません(酷)。
>このままだと、小竜姫ちゃんの「お姉さん」と「女(竜)神様」属性の有難味が半減ですね
むむ、確かに「お姉さん」はともかく「竜神様」属性はオンリーワンじゃなくなってしまいましたねぇ。でも今の彼女には「婚約者」のステータスがありますから大丈夫ですっ!
というかヒャクメに比べるのはいくら何でも可哀そうなのではないかと<マテ
○UEPONさん
>カッコいい名前の新技
横島君のネーミングセンスはアレですからねぇ……ヤツに任せておいたら絶対に無理なんですよね(ぉ
タマモもそういう事にはあんまり興味なさそうですし、小竜姫さまが無理やり改名させるくらいしか思いつかないorz
というか火炎狐ってブラウ(ry
>たぶん雪之丞がゲームでエキサイトしたんでしょうね
そう言えば原作でも雪之丞が興奮したのが原因でしたねぇ。
心に落ち着きがないひとは困ったものですな(ぇ
>大きくなったら中に乗れそうですね。メフィストも昆虫形態の中に乗れるし
ああ、そう言えばそんな技がありましたねぇ。家族一同乗っけて空の旅行とか楽しそうですな。
月まで行くのは無理ぽいですが(^^;
>カリンちゃんはあとは横島君から独立すれば完璧ですかね?
横島君が完全竜神化したら24時間独立行動しても不都合はなくなりますけど、彼の影法師であることは変わりませんですー。というか本人に辞めるつもりありませんし(ぉ
>横島君さり気なくロリ認定されてません?
いあ、単に愛が歳の差を越えておるだけのことですよー。
タマモン高校生Ver……必然性があればやるんですが、なかなか難しいところですな(^^;
ではまた。