ストーンヘンジがまばらに並ぶ、荒涼たる大地。彼方に広がる地平線。
この世ならざる景色の中、ギン、ギン、と剣を打ち合う音が響く。
「――せいっ!」
女性のものと思われる高い――それでいて凛々しい声が、短く響いた。
彼女の剣に相手の剣は弾かれ、そのまま大きく右手を振りかぶった形になり、致命的な隙を晒した。
「王手、です」
その隙を見逃すほど、その女性は呑気ではない。彼女は相手の喉元に剣を突きつけ、にっこりと笑って自身の勝利を告げた。
「たは〜……」
相手の男は、参ったとばかりに乾いた笑いを浮かべる。その手には、彼女と打ち合っていた剣――霊波刀が具現化していた。
――もはや、言うまでもないことであろうが――
女性の名は小竜姫、男の名は横島忠夫、そしてこの場所は、妙神山修行場の異界空間であった。
『二人三脚でやり直そう』
〜第四十三話 思わぬ再会、そして本人の知らぬ間に逃した魚〜
「それでは、今日の剣術修行はこの程度で切り上げましょうか」
チン、と神剣を鞘に収め、小竜姫は修行の終了を告げた。
「もうっスか? いつもはもっとシゴかれるのに……」
告げられた横島の方は、意表を突かれた表情になった。
もっとも、「いつも」とは言ってもそれほど頻繁に訪れるわけでもない。今日ここに来たのは、あくまでもGS試験に備えてのことである。
「それについては、理由があるのでお話します。……それとも、もっと続けたいですか?」
「い、いえっ! 滅相もないっス!」
挑戦的な視線を向けてきた小竜姫に、横島はこれ以上怪我したくないとばかりに慌てて首を振った。
根性の欠片も見えないその様子に、小竜姫は呆れたようにため息を漏らす。
「まったく、あなたという人は……まあいいでしょう。霊泉で汗を流してください。居間でお待ちしてます」
「ういっす」
小竜姫の言葉に頷くと、彼女はきびすを返して異界空間を後にした。後に残された横島も脱衣場へと戻り、くぐった扉の向こう側が異界空間から霊泉へとシフトするのを確認してから、服を脱いで再び扉をくぐった。
烏の行水とばかりに軽く汗を流し、さほど時間もかけずに脱衣場へと戻る。服を着て宿坊へと向かい、板張りの廊下を歩いて居間へと向かった。
勝手知ったる他人の家とでも言うべきか。その足取りは淀みなく、居間へはすぐに辿り着いた。
「早かったですね」
「まあ、男の入浴なんてこんなもんっスよ」
そんなやり取りをしながら、横島は既に座っていた小竜姫と対面する形で、ちゃぶ台の前に座った。
入れ代わりに小竜姫が立ち上がり、台所に向かう。一分ほど待つと、彼女は急須と二人分の湯飲みを乗せたお盆を持って戻ってきた。
お盆をちゃぶ台の上に乗せ、腰を降ろして正座で湯飲みに茶を注ぐ。
「どうぞ」
「どもっス」
湯気を立てる二つの湯のみ。小竜姫は一つを横島の前に、一つを自分の前に置いた。
「さて……今回の修行を早めに切り上げたのは、あなたの戦い方に関係します」
「へ?」
そう切り出した小竜姫の言葉を、横島は間の抜けた声で返した。彼女は構わず続ける。
「しばらく修行に付き合い、あなたの戦い方を見せてもらいましたが……どうやらあなたは、正面からぶつかる正攻法よりも、好機が訪れるまでひたすら逃げに徹したり、罠を仕掛けて敵を嵌めたり、あるいは相手が思わず脱力してしまうような言動で調子を崩したり、予想もつかない行動で相手の裏をかいたり……良く言えば奇抜な、悪く言えば邪道な戦い方に適正があるようです」
「あー……」
言われ、横島は視線を逸らして頬を掻く。
まさしくもってその通り――と言うか、自分より遥かに実力が上の連中と戦うことが多かった横島にとって、そうやって相手の裏をかく以外に生き残る方法がなかったと言った方が正しい。
また、生来の臆病で卑屈な性格も、その戦闘スタイルを築く要因であった。そんな彼が正々堂々と真正面から戦ったことなど、片手で数える程度しかない。
「正直に言ってしまえば、私はあなたに、正々堂々とした戦い方を身に着けてもらいたいものです。実際、あなたの師として、あなたに私の戦い方を伝授するのは……まあ、時間はかかりますが、難しいことではないでしょう。
しかし、本来の戦い方と正反対のものを身につけようとすれば、あなた本来の持ち味が殺され、結果として中途半端な形で終わってしまいます。ましてやあの美神さんの元で働くとなると、人間の限界を遥かに超えた妖怪や魔物、果ては魔族まで相手にすることも多いでしょう。自然、正攻法では対応しきれない状況が当然のように発生します」
正攻法、正々堂々真正面から。
それは結局のところ、力と力、技と技のぶつかり合いでしかない。そうなれば、力や技の勝っている方が勝つのは当然のことだ。
そして人間は、総じて妖魔の類に比べて地力で劣る。その壁を乗り越えるためには、想像を絶する修練と、類稀な才能が必要である。それ無しでは、良くても中途半端な力しか身に付かず、結果として下級の妖魔を相手にするので精一杯という程度が限界といったところだろう。
パイパーやメドーサといった強力な魔族とまで戦う機会のある横島に、それでもあえて正攻法を教える――それがどれ程危険なことか、小竜姫は考える以前に、武神の本能で察していた。
「……そんな戦いにそんな状態で臨めば、ろくな結果にならないのは明白です」
その様子をまざまざと思い浮かべたのだろう。小竜姫は目を伏せ、小さく首を横に振ってそう結論付けた。
「えーと……つまり、生……生……生なんとかは怪我の元……ってやつですか?」
「生兵法は怪我の元、のことですか?」
「そうそれ」
「まあ、そんなところですね……そういうわけで、私はあなたには剣術の基礎といった最低限のものしか与えず、残りは実戦で磨き上げてもらう方向で教えることにしました。今日、早めに剣術の修行を切り上げたのは、そういった理由です。
……ああ、そうそう。基礎といえば、霊力の基礎もまだ十分に教えていませんでしたね。最初は二週間という限られた時間の中でしたから」
「そういやそーでしたね……」
言われ、横島は自分が基礎さえ教えてもらっていないことを初めて思い出した。
考えてみれば、平行未来では美神からは霊能力の基礎など教えてもらえず、実戦に次ぐ実戦の中で、独力で自分のカタチを模索していた。そして逆行後は、一刻も早く死津喪比女を倒しておキヌを解放しようと、基礎を飛ばして実戦訓練で実力をつけたものである。
とはいえ、基礎をおろそかにするどころか知りもしない状態でここまで実力をつけた自分が、どれほど規格外であるか――それを自覚しないのが、横島が横島たる所以とでも言うべきか。
「ですから横島さんは、今後は霊力の基礎を重点的に、霊波刀での戦法に関しては、私の剣術の型を基本形だけ覚えてもらいます。残りの時間は実戦訓練になりますね」
「はあ……」
小竜姫はそれまでの説明を踏まえて今後の方針を決め、締め括った。そして、目の前の湯飲みを口元に運び、中身を一口喉に流す。
「ところで……横島さん。あなたに……コホン」
と――小竜姫が、唐突に話題を変えようとし、何故か切り出しづらそうに空咳を一つした。その頬が桜色に染まっているのは、一体何故だろうか?
「……あなたに……渡したいものが……あります」
一言一言、喉の奥から搾り出すように言って、彼女は懐の中から何かを取り出した。
そしてそれを、コト、と音を立ててちゃぶ台の上に乗せた。
「ブレスレット……ですか?」
目の前に出されたそれを見て、横島がつぶやく。それは、龍の鱗の模様が入った緑色の腕輪で、中央に真円を描く球形の宝玉が埋め込まれていた。
「これは……竜神族が扱う基本的な装備品で、『龍環』と言います。成人した竜神が目覚めたばかりの神通力を制御するための補助具で、言わば赤ん坊の歩行器のようなもの……これから霊力の基礎を学ぶあなたにとっては、この上ない助けになることでしょう」
「……いいんスか? こんなの貰って」
「それは……私、が……昔使ってたものですが、問題は……ん〜……ありません」
「いや何かすっごく問題ありそうな間が、言葉の端々に入ってるんスけど?」
「……気のせいです」
額に冷や汗を一筋垂らして突っ込む横島に、小竜姫は顔を赤くしたまま、しれっと切って捨てた。
「ともあれ、それは既に制御力を身に付けた竜神にとっては、無用の長物ですから。それに……これは、竜神王陛下と天龍太子殿下からの褒美でもあります」
「へ?」
「以前あなたが御二人にしてくださったことで、彼らはいたく感謝していらっしゃってました。そして、改めて褒美を賜りたいとのことで、この腕輪をあなたに与えるよう、私が申し付かったのです」
「いや、それよりも……天龍『太子』って……? 確か『童子』じゃなかったっスか?」
「ああ、言ってませんでしたか……殿下は既に成人なされたので、天龍童子という呼び名を改めて天龍太子と呼ばれるようになりました。いずれ御父上の後を継がれる時になれば、天龍王と名を変えることになるでしょう」
考えてみれば、外見はともかく一応は成人したのだ。いつまでも『童子』扱いでは締まりがないだろう。
「まあ、その辺は人間であるあなたには関係のないことです。それよりも、その腕輪を身に付けて霊力を発露させてみてください」
「あ、はい」
言われ、横島はその通りにブレスレットを手に取り、右腕に通す。そして立ち上がり、試しに栄光の手を発現させてみた。
が――横島はその手応えに、首を捻る。
「……特に何か変わった気はしませんが……」
「やっぱり……」
その答えに、小竜姫はため息を漏らした。
「先ほども言った通り、それは『神通力』を制御する補助具です。人間の霊力には、おそらく対応していないのでしょう」
「……それじゃ、意味無いんじゃないっスか?」
「心配は無用です」
呆れ顔になった横島に、小竜姫はそう答えて立ち上がり、横島の正面まで移動した。そして、ブレスレットを嵌めた右腕を取る。
彼女はそのまま床に膝を付き――
……チュ……
おもむろに、そのブレスレットに口付けした。
それはあたかも、忠実なる騎士が敬愛する王女の手の甲に口付けをし、永遠の忠誠を誓っているような構図であった。
――もっとも、小竜姫が騎士の位置なのはともかくとして、横島が王女の位置にいるのは果てしなくミスマッチであったが。
「しょ、しょしょしょしょ小竜姫さま!?」
「……私の竜気を腕輪に吹き込み、少々細工してみました。これで、神通力と人間の霊力の質の違いは、誤差として修正されるでしょう」
突然のことに混乱してどもる横島とは対照的に、小竜姫は何事もなかったかのように落ち着いた態度を見せる。
――もっともそれは態度だけで、その顔がしっかりと耳まで赤くなっているのは、ほんのご愛嬌というものであるが。
「……とりあえず、それでもう一度霊力を発露させてみてください」
「は、はい」
言われ、横島は再び栄光の手を発現させる。
すると――
「……お?」
薄い緑色に光る栄光の手が、今までは輪郭をぼやけさせていたのを、はっきりとした輪郭を持った状態まで収束されていた。また、手の甲にある宝玉っぽい部分に、爬虫類の瞳のような縦長の瞳孔が現れた。
(……これって……)
それを見た横島は、ある一つのことを連想した。
それは――
「だいぶ洗練された形になりましたね」
「え……? あ、そうっスね」
小竜姫に話しかけられ、横島は思考を中断させた。
……まあ良いかと、横島はそのまま思考を放棄した。そのことは、後でいくらでも考える時間はある。
「今後は、それがあなたの基礎を築く助けとなるでしょう。これからも精進してくださいね」
「ういっす。頑張ります」
にっこりと告げた小竜姫の言葉に横島は頷き、改めて座ると、目の前の湯飲みを一口喉に流し込んだ。
小竜姫も横島の対面に戻り、腰を降ろした。
「……ところで小竜姫さま、一つ聞きたいんですが」
「はい?」
ことん、とちゃぶ台の上に湯飲みを置き、横島は小竜姫に質問する。
「今の俺の霊力って……美神さんと比べて、どれぐらいなんでしょうかね?」
「美神さんと比べて……ですか」
その質問に、小竜姫は少し困ったように眉根に皺を寄せ、「うーん」と考え込む。
「……自惚れたりしません?」
「へ?」
予想外の返答が来て、横島は思わず目を丸くした。
「いえ……実はですね、先のメドーサとの時点の美神さんとの比較になるんですが……横島さんの霊力は、かなり美神さんの霊力に近付いているんですよ」
「ええ……っ!?」
その答えに、横島は絶句した。栄光の手は取り戻せたし、それなりに成長している手応えは感じていたのだが、まさかそこまでとは……
「初めてここを訪れた時と比べれば、格段の進歩と言えます。現在の横島さんが霊力の成長期真っ只中であることを考慮に入れてすら、その成長速度は破格のものです。これで、あなたがもっと修行に力を入れたならと思うと……正直、神の身でありながら畏怖を感じずにはいられません」
額から一筋の冷や汗を垂らして言う小竜姫に、言われた方の横島は――
喜ぶでもなく、慢心するでもなく。
(……やばい)
ただ――その危機感に、言葉を失った。
小竜姫が続けて口にした、「だからと言って慢心してはいけません。慢心は油断となり、油断は隙を生み、隙は死に繋がりますから」という忠告も耳に入らない。
そして――
「れ……」
「?」
彼がかろうじて搾り出した声に、小竜姫は頭に疑問符を浮かべて耳を傾ける。
「霊力を上げないまま強くなる方法ってありませんっスか、小竜姫さま?」
「修行を何だと思ってるんですかあなたはっ!」
横島の果てしなく都合の良い言葉に、小竜姫は即座に怒号でもって返した。
――ちなみにその後に再開された修行は、何故か若干厳しめになっていた――
その日の深夜――横島は、疲れた体を引きずり、自宅へと戻っていた。
「…………」
道中、ずっと考えていたことがある。彼は珍しく真剣な表情で、右腕に嵌ったブレスレットを見ていた。
――パタン。
玄関の扉を閉め、暗闇となった部屋の中を進み、手探りで明かりのスイッチを探す。ややあって中空にある紐を探し当てると、それを掴んでくいっと引っ張る。
カチ、と音がして、蛍光灯の明かりが部屋を照らした。カップ麺の空カップや雑誌類が雑然と散らばってる汚い部屋が、そこにあった。
「さて……」
つぶやき、横島はブレスレットに視線を落とす。
そして――
「そこにいるんだろ?
…………心眼」
――静かに。
横島は、ただ静かに、そう語りかけた。
すると突然――ブレスレットに嵌った宝玉に、爬虫類の瞳のような縦長の瞳孔が現れ、横島と目を合わせた。
『……やはり、気付いておったか……』
ブレスレットから、感心したような声が漏れた。
――心眼――
それは、横島にとって最初の相棒。横島の霊力を引き出し、使い方を教えてくれた師匠。
そして彼の盾となり、その命を散らせた……最初の『傷』。
彼といた時間は、たったの半日(もっとも、正しくはその前日からいたのだが)にも満たない程度だった。感情移入が出来るほど、長く、そして親しく言葉を交わしていたわけでもないし、それだけの時間もなかった。
事実、彼が散ったその瞬間は、彼の身よりも自分の身を案じていた――その程度の感情しかなかった。
しかしその日は、横島がGSとしての道を歩むことになった忘れ得ぬ運命の日であり、彼はその一日に深く関与していたのだ。
忘れることなど……できはしない。できるはずもない。
横島がこの人生の転機の日を思い出すたび、彼が存在していたことに対する感謝の念は、大きくなる一方だった。最初は自覚さえしてなかった喪失の傷も、思い出すたびにちくりと痛み、その痛みは時間を経るごとに少しずつ、本当に少しずつ、大きくなっていった。
「まあ、な……」
その彼が再び現れたことに驚く素振りもなく、横島は静かに――しかし感慨深く頷いた。
『小竜姫さまが腕輪に口付けした時からか?』
「いや、栄光の手を発現した時に、宝玉っぽい部分にお前の目が現れたから」
『すぐに気付かなかったのか……鋭いようで、微妙に察しが悪いな。……まあ良い。久しぶりだな、横島』
「久しぶり……? ってことは、まさか?」
ブレスレット――心眼の発した言葉に、横島は目を見開いた。
『うむ。そのまさかだ。私は、お前の盾となって散った、あの心眼だ』
なんでもないような態度で、横島の疑問を肯定する。
だが、この心眼があの時の心眼であったのであれば、横島の霊力制御の補助としてはこれ以上ない適任者であろう。おそらく、今日彼を生み出した小竜姫自身にさえ与り知らぬことであろうが、その実績が彼にはあった。
「なんで……」
困惑しつつ問う横島。だが彼は、困惑する一方で、今再び彼の指導を受けられるということに、妙な感慨深さを感じていた。
心眼は、そんな横島の困惑を受け、その疑問に答える。
『私は元々、お前の霊力が小竜姫さまの竜気を受けて心格を得た存在なのだ。でなければ、お前の霊力をあれほど自在に操れるわけがなかろう。バンダナという媒体を失った私は、あれ以降お前の中に戻っていただけに過ぎん』
「ってことはお前、ずっと俺の中で……?」
『そういうことになる。もっとも、今日再び小竜姫さまに生み出されるまで、意識などあってないようなものであったがな。一応、お前の中にいたことには違いないゆえ、私が消滅してから今まで、おおまかではあるが何があったのかは把握している』
心眼はそう言って、一旦言葉を切った。そして、おもむろにまぶたを閉じ――少し黙考してから、ゆっくりとまぶたを開く。
『…………よく、今まで頑張ってこれたものだ。私はお前を、誇りに思う』
「そんな……大したもんじゃねえよ」
心眼の賞賛の言葉に、しかし横島は苦々しげに顔を歪めた。
「何にも知らねえガキが一人でいきがって、結局一番護りたかったもんを自分で犠牲にした……それだけだよ」
『だがお前は、それでも戦い抜いた。そして、それほどの喪失を経験してすら、歪むことなく変わることもなく、今なお成長している』
「成長……してんのか? そりゃないだろう」
心眼の言葉に、しかし横島は自嘲気味に苦笑してかぶりを振った。
「今だってオカルト知識は頭に入らないし、戦いの場に立つと怖くて足が震えるし、痛いのが嫌で思わず逃げ出したくなる。美人のねーちゃん見れば、敵だろうと味方だろうと赤の他人だろうと、思わず目が行ってセクハラしちまうしな。結局俺はまだ、戦う怖さを乗り越えられない、馬鹿で臆病でスケベなガキなんだ。何も変わっちゃいない……変われてな『くだらんな』いんだ――って、え……?」
まるで的外れなことを言われたとばかりに、心眼は横島の言葉を最後まで聞くことなく、呆れさえ含んだ声音であっさりと切り捨てた。
『くだらん、と言ったのだ。変われてない? それがどうしたというのだ』
「けど……」
『いいか横島』
なおも何か言おうとする横島を、心眼はぴしゃりと黙らせる。
『変わる必要はない。無理に性格を変えようとする必要はないし、そんなことはするべきではない。なぜなら人は、持って生まれた性格というものがあるからな。たとえお前が過ちから反省し、馬鹿で臆病でスケベなマイナス部分を矯正しようとしたとしても、急激な変化は必ず元の性格との齟齬を起こすものだ。
そうなれば、先に待つ未来は三つ……結局変化を放棄して元の性格に戻るか、人格が分裂して多重人格症に陥るか、精神崩壊を起こして正常な判断能力を失う――いわゆる『狂う』と呼ばれる状態になるか。大部分の場合は生じた無理に耐え切れずに一番目の結果に落ち着くが、それでも無理を通そうとした場合は後者の二つになる可能性がある。
あの事件からそれほど時間の経っていない現在で性格が変わっていれば、そちらの方が危ういぞ。結局、性格を変えようと思うのならば、無理をせずに時間をかけ、少しずつ磨り合わせて慣らしていくしかないのだ』
「そういう……ものなのか?」
『そういうものだ。それに……』
言いながら、横島の目を見る心眼の視線が、わずかに柔らかくなった――ような気がした。
『変わらずに成長するということは、変わることで成長するよりも難しく、そして貴重なことだ。お前は先ほど、戦う怖さと言ったな? だがその怖さは、昔と今とで違うはずだ。昔は怪我の痛みに対する怖さ、だが今は……喪失の怖さだ。違うか?』
「……んなこと急に言われても……」
『わからんか? まあ良い。それは一例に過ぎぬが、たとえお前が無自覚でも、お前が成長していることは変わりないのだからな。
だが、これだけは覚えておけ……変わることで却ってくだらん人間になった例など、人の世には腐るほどあるということをな。安易に変わろうとするな。私が言いたいのはそれだけだ』
「そうかなー? どんなになっても、俺って人間はこれ以上くだらん奴にはならんと思うが」
『そう思ってるのはお前だけだ。というか……本気で言ってるわけではあるまい』
「かもな」
声音に少々棘の入った心眼の言葉に、横島は苦笑で返した。
そう。本当に自分のことをくだらない人間だと思っているなら、その自分に惚れて命を投げ出した彼女は何だと言うのか。
「……冗談でも言うべきじゃなかったかな」
先ほどの発言が彼女を貶めることに繋がっていたと気付き、横島は自嘲した。
『それだけわかってれば十分だ。以後気を付けろ。私としては……お前が変わることで、お前が持つ美点が失われることの方が、余程恐ろしいからな』
「……サンキュ。世辞でも嬉しいよ」
心眼の言葉に、横島は鼻の頭を掻いてくすぐったそうに苦笑した。
「ところで、さ……心眼。一つ、相談事があるんだが……いいか?」
『何を今更。私はお前をサポートするために生み出されたのだ。何を遠慮することがある。……これからのことか?』
「ん、まあな……」
頷き、少し言いづらそうに語尾を濁す。
「……なあ。怒らないで聞いてくれるか? 真剣な話なんだが……」
『何を言いたいかは、おおむね察しているが……言ってみろ。怒りはしない』
「んじゃ、聞くけどさ。霊力を上げずに強くなる方法ってあるか?」
それは、昼に小竜姫にした質問と同じであった。だが、それを訊ねる横島の表情は、真剣そのものである。
『……小竜姫さまにも同じ質問をしたな。だが、彼女に怒られるのは当たり前だ。なにせ小竜姫さまは……お前の事情を知らんのだからな。怠慢と勘違いされるのも無理あるまい』
「俺の言いたいこと、わかるのか?」
『おおむね察していると言ったであろう……同期合体、だな?』
「ああ」
心眼の出した答えに、横島は首肯した。
同期合体――それは、二人の霊能力者が霊波の波長をシンクロさせて『一人』に合体することである。それによって得られる霊力は、二人分の霊力の加算ではなく乗算――その出力は、人の身で中級、ことによったら上級の神魔にすら匹敵するほどである。
だが、それには二つの条件をクリアしなければならない。合体する両者の霊力がまったく同じであること、そして霊波の波長を、一分のブレもなく完全にシンクロさせなければならないこと。
本来ならば机上の空論でしかなく、前者の条件はともかくとして後者の条件が実現不可能な技だ。しかし横島が使う――今はまだ使えないが――文珠であれば、誤差を修正して完全なる霊波のシンクロを実現することが可能であった。
だがそれも、両者の霊力が同等でなければならない。多少の誤差は文珠が修正するとしても、だ。
昼に小竜姫が言った通り、横島の潜在能力は並ではない。しかも現在、霊力の成長期の真っ只中である。対し、同期合体の相手として最有力候補に挙がっている美神は、既に霊力の成長期が過ぎている。そしてその両者の霊力は、思った以上に差が縮まっている。
このまま横島が成長を続ければすぐに追いつき、そしてアシュタロスとの決戦の前には、美神を追い越してしまうだろう。そうなってしまえば、霊力の成長期が過ぎ去っている美神が巻き返すことは、非常に難しい。
だがそれでは意味がないのだ。届かないのも追い越すのも、同様に意味がない。決戦の時に両者が同等でなければならないのだ。
小竜姫から美神との霊力差を聞かされた時に横島が感じた危機感の正体は、まさしくそれである。
「俺は……どうしたらいい? 修行をなるべくサボって美神さんとの霊力差を調整するべきか、それともいっそのこと修行に打ち込んで、俺一人で強くなるべきか……」
元来、へたれた根性の持ち主の横島である。面倒で苦しい修行が嫌だと思う心が、100%ないとは言えない。
だが、今回の場合、それはあくまでも本心の一部でしかなかった。その一方で、本格的に修行に打ち込む気概が生まれない怠惰な自分に対する苛立ち、そして「このままで良いのか?」という不安が日増しに大きくなっているのも、事実である。
現状維持か、更なる個人技能の研鑽か――どちらを選ぶべきかの岐路に、今、横島は立っていた。
『難しい問題だな……』
悩む横島に、心眼はつぶやいて黙考する。
未来の記憶を鑑みれば、同期合体でさえアシュタロスには通用しなかった。それを思えば、同期合体という切り札を捨て、横島一人で強くなり、個人で出来る選択肢を増やすというのも一つの道である。だが――それで新たに得られる選択肢は、どれを取ったところで同期合体以上の切り札にはなり得ないだろう。
たとえばアシュタロスの霊力を、希望的観測全開で100,000程度と仮定し、横島の霊力を100と仮定してみるとしよう。
横島が死ぬほどの修練を積んで倍の200になったところで、アシュタロスとの霊力差は99,900から99,800になるだけである。選択肢を増やしてどうこうという次元にすら到達しておらず、正直言って死ぬ気で修行するだけ無駄という気分にさえなる数字だ。
ところが同期合体で100×100の10,000になれば、どうにか差を90,000まで縮められる。10倍ならば、あるいは何かしらのプラスアルファがあれば覆せるかもしれない。
それを考えると、同期合体という技は、選択肢から切り捨てるには強力過ぎる切り札だった。無論、同期合体のみでどうこうできる相手ではないことは、横島自身の記憶が証明しているが。
『同期合体のために霊力を調整するのも、それを切り捨てて霊力をとことん上げるのも、どちらもメリットとデメリットがある。どちらを選ぶにせよ、今答えを出すには性急過ぎる問題だな……とりあえず今のところは、お前の言った霊力を上げずに強くなる方法というのを模索しつつ、どちらの方針を採るかよく考えておくべきだろう』
「そっか……」
『だが、答えは早めに出すべきだな。もし同期合体を切り捨てるのであれば、修行は早めに始めておかねばならん。奴を出し抜くには、生半可な修行では話にならんからな』
「……だな」
心眼の出した結論に、横島は頷いた。
そして――急に顔から力が抜け、次いで「ふぁ……」とあくびが出る。
『疲れたか? もう日もとっくに跨いでいるし、そろそろ寝たらどうだ?』
「ん……そうだな。腹は少し減ってるけど……今から食うのも億劫だな。我慢できないほど空腹ってわけでもないし、もう寝とくか」
言って、横島は服を脱いでランニングシャツとトランクスのみの姿になった。ブレスレット――心眼を外して枕元にコトリと置き、部屋の明かりを消すと、床に敷いてあった万年布団に身を横たえる。
布団をかぶるとすぐに、心地良い睡魔が襲ってきた。横島は抗うことなく睡魔に身を任せ、夢の世界に意識を埋没させる。
「……心眼」
その中で――横島は、枕元の心眼に声をかけた。
『ん?』
「これから……よろしくな」
『うむ。こちらこそよろしく頼む』
そのやり取りを最後に。
横島の意識は、眠りの淵へと落ちて行った。
横島の寝息が聞こえる、その枕元――
心眼は一人、考え事に耽っていた。
(…………気のせいだ。現に我らは、過去の世界に来ている)
横島には伝えていなかったが、彼には一つ、解せないことがあった。だがそれは、確信を持つには材料が少なすぎ、逆に気のせいであると断じるに足る材料ばかりが揃っていた。
(こんなことは、気のせい以外の何物でもないのだ。この現状が、それを証明している。ここが過去の世界であることは、疑いようのない事実だ。
そう。気のせいだ。あの時、横島とおキヌ殿が事故で意識のみの時間移動をした際――過去ではなく『未来』に飛んだ感覚がしていた、などということは)
何度も自分に「気のせいだ」と言い聞かせても――心眼の疑惑は、ずっと晴れることがなかった。
――時間は少し遡り、神界・竜皇宮にて――
竜神王の居城たるその宮殿では、玉座に座った竜神王の前で、天龍が恭しく跪いていた。
「天龍よ……余が与えた龍環の具合はどうじゃ?」
「はっ。神通力の扱いを覚えるのにこの上ない助けとなっております。これならば、すぐにでも神通力を使いこなすことができましょう」
「ふむ。それは何より。そなたの成長を日々見守るのは、余の楽しみでもある。精進を怠るでないぞ、天龍よ」
「はっ」
広大な謁見の間では、現在この二人と、門の両側に衛兵が二人いるだけである。親子とはいえ竜神界では最高位の地位を持つ二人なので、衛兵の前ということもあり、威厳を保つためにも、そのやり取りはある程度堅苦しくならざるを得ない。
「ところで父上。横島も今頃は龍環を受け取っている頃でありましょうか」
「うむ。今日は妙神山に顔を出したとの報告も上がっておる。我らの誠意、届いておる頃であろうな」
「横島とお揃いでございますな、父上」
天龍は嬉しそうに言い、自分の腕に嵌っている龍環に視線を落とす。
が――そんな天龍を見て、竜神王は唐突に悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ふっ、天龍よ……龍環は、我らが与える褒美のほんの付属品に過ぎぬぞ」
「……は? どういうことですか、父上?」
父の真意を図りかねた天龍は、顔を上げてその言葉の意味を問う。
「そうだな……お前も成人したことだし、そろそろ教えても良かろう。
その龍環は、親から子へと代々継がれる道具だ。それは本来、血族以外の者の手に渡ることはない。しかし、竜神族の誰の身内でもない横島がそれを受け取ることには、特別な意味がある」
「特別な意味……ですか」
「身内ではない者に、身内にしか渡すべきではない龍環を渡す――それは、その相手に『身内になって欲しい』という意思表示となる。そして、横島に渡した龍環は、小竜姫のものだ」
「ならば、横島が龍環を受け取るということは、小竜姫の身内に――まさか?」
そこで、天龍はようやっと、父の言わんとしていることが見えた。
「そう、そのまさかだ。竜神族にとって血の繋がらぬ他者に龍環を渡すということは、それすなわち求婚の意思表示。横島は小竜姫の龍環を受け取ることで、小竜姫の夫となることが確定する。
調べてみれば、あの横島忠夫という男はかなりの好色らしい……小竜姫ほどの者を妻に迎えることができるとなれば、二つ返事で承諾するであろう。つまり――我らが贈る本当の褒美は小竜姫ということだ」
「ということは、横島は晴れて正式に竜神族の一柱となれるのですか!?」
「うむ! しかも、小竜姫は貴族の出――その夫となれば、お前の側近として召抱えることに異論を唱える者も出るまい! 横島に褒美を与え、なおかつ竜神族に迎え入れ、お前の臣下とする――これぞまさしく一石三鳥!」
「す、素晴らしいです父上!」
はっはっはっと高らかに笑う竜神王。きらきらとした尊敬の瞳で父を見る天龍。
それはともかくこの二人、以前『竜神族になるのも横島本人の意志あってのこと』と言っていたくせに、餌で釣ろうと考えるのはいかがなものか?
そのことを自覚しているのかいないのか、周りに止める者もいない二人は上機嫌に笑い合う。
「そういうわけで天龍よ、心せよ。お前も成人したからには、いずれ誰かにその龍環を渡し、妻を娶る時が来るであろう」
「妻……ですか。もっと先の話と思っておりましたが、成人した以上は視野に入れておくべきなのですね」
ひとしきり笑い合った後に言われた言葉に、天龍は感慨深げに自分の龍環を見る。
と――その時、扉の前に控えていた衛兵の片方が近付いてきて、竜神王に何事か耳打ちした。
「小竜姫が……? 噂をすれば影というやつか。よし、通せ」
竜神王が衛兵の報告を受けて命を下すと、彼は模範的な敬礼を返し、走って門へと戻って行く。ちなみにこの謁見の間、当然のごとく玉座は最奥部にあり、門からはかなり離れていた。走っているとはいえ、衛兵が行き来するのにはそれなりの時間がいる。
ややあって衛兵が門に戻り、ギィ……と重い音を立てて門が開くと、その先には小竜姫がいた。彼女は門が開ききるのを待ってから謁見の間へと足を踏み入れた。その後、衛兵たちが彼女の背後で再びその門を閉じる。
彼女は閉まる門を一顧だにせず、淀みない足取りで真っ直ぐに竜神王たちの前まで歩いて行く。そして、竜神王の眼前、天龍の左隣へと到達した時、膝を付いて深々と頭を下げた。
「妙神山管理人小竜姫、陛下の命を果たしたことをご報告に参りました」
「堅苦しい挨拶は抜きにせい。……して、首尾はどうじゃ? 横島はお前の龍環を受け取ったか?」
「……はい」
はやる竜神王の問いかけに、小竜姫は顔を赤くし、少し間を置いて首肯した。それを聞き、竜神王は破顔一笑する。
「そうか! よくやった! これで横島も――「ですが陛下。竜神族の慣わしのことは、伝えておりません」……なんじゃと?」
そして、機嫌良く労おうとした竜神王の言葉を遮り、続けて小竜姫の口から出てきた報告に、彼は眉根を寄せた。
「……すまぬが、もう一度言ってみてくれんか?」
「申し訳ありませんが陛下、龍環に関する竜神族の慣わしのことは、横島さんには一切伝えておりません」
「なっ……!? そ、それでは意味がないではないか!」
「そ、そーじゃぞ小竜姫! せっかく、横島を竜神族に迎え入れられるというのに!」
改めて小竜姫の報告を聞いた竜神王は、「何してんスかあーた!?」とばかりに叫び声を上げた。横にいた天龍も、それに便乗して小竜姫を責め立てる。
「いえしかし、横島さんは人間ですので――」
だがその二人に、対する小竜姫は眉根を寄せ、何かをこらえるような表情で反論しようとした。
が――
「ええい! ならばもう一度命ずる! 今一度戻り、龍環の意味を横島に伝えよ!」
「はよう行くが良い、小竜姫! 余は横島に竜神族の一員となってもらいたいのじゃ!」
そんな小竜姫の様子にも構わず、竜神王と天龍は、親子揃ってなおも彼女を追い立てる。冷静さを失っているのか、その内容はかなり自分勝手だ。
「いえ、ですから竜神族でない彼に我々の慣習を押し付けるのは――」
「なんなら押し倒しても良いぞ! 既成事実を作ってしまえばどうとでもなる! あやつも小竜姫が相手ならば喜んで間違いを犯してくれるであろう!」
「そーじゃそーじゃ! 父上の言う通りじゃ! 意味わからんけど!」
「きっ、既成……っ!? へ、陛下、何を――」
「構わん小竜姫! 照れることは――む……?」
いい感じにテンパってきた竜神王の台詞に、小竜姫は顔を真っ赤にしてうろたえた。
だがその様子を見て、竜神王はようやっと自分の言ってることを自覚したのか、唐突に自分の台詞を中断し、小さくうめいた。
「そ、そうか。そうだったな。すまんな小竜姫。年甲斐もなく少々はしゃいでしまったようだ。許せ」
正気に戻ったのか、竜神王は途端に態度を一変させ、それまでの言動のことで小竜姫に頭を下げた。
身分に関係なく、頭を下げるべきところではためらわない――上に立つ者として必要なことだが、実際に出来る者は少ない。直前の言動はアレだったが。
「い、いえ……陛下、どうかお顔をお上げください……」
しかし小竜姫としては、目上の、しかも自分達竜神族のトップに頭を下げられるのは、あまりに畏れ多い。どうにかして頭を上げてもらおうと、しどろもどろになりながらも諭そうとした。
――が。
「いや、非は完全にこちらにある。無理を言ってすまなんだ……確かに、その胸で色気を使えとは無理な相談だったわい」
――ぴしり。
……訂正。竜神王は、まったく正気に戻っていなかったようである。
失言以外の何物でもない竜神王の言葉に、ナニか致命的な音を響かせ、謁見の間の空気が凍りついた。
――その後の惨劇に関しては、この場では説明を控えさせていただく。
ただ、この日を境にして、竜神王と天龍太子が部下である小竜姫に対し、必要以上に言葉を選ぶようになったということだけを記述しておこう。
「……ともあれ、次の手を考えないといかんのう……」
「余はどうにかして横島を家臣にしたいですぞ、父上」
……それでも、懲りるということを知らない、全身包帯まみれの親子がそこにいた。
――あとがき――
皆さん大変長らくお待たせしました。ものっそ久しぶりに更新です。とゆーわけで、本人の知らぬ間に逃がした魚は竜でした。原作で言ってた「人と神の禁断の恋」が成就するチャンスだったのですがw
でも続けて次が投稿できるかは微妙。全体的な流れが決まってても、次の話の細部が思い浮かばない……そのくせ、その後の構成ばっかりが思い浮かんできます。誰かボスケテ。
前回の感想で色々ツッコミ入れられてしまったので、整合性つけようとあれこれ悩んだら、この先のプロットが微妙に変化してしまいました。それで練り直した結果、おキヌちゃんの話より先に、心眼復活の話を持ってくることに。
ちなみにこの休止期間で後付けされた設定の中には、今回の話は含まれていません。横島が真面目に修行しない理由も込みで、元々予定していた話ですから。どんだけ才能あってもただの人間でしかないのに、修行しただけでアシュタロスのような最上級神魔をどうにかできるようになるって展開は、私としてはさすがに認められませんしw
それにしても最後の竜神三人、予定では低レベルな口喧嘩でフェードアウトってシーンだったはずが、書き上げてみれば何故か小隆起発動。Why? なぜ? どーして? 教えて妖精さん。
ではレス返しー。
○1. 秋桜さん
タイガーって、活躍の場こそ少ないですが、考えてみればあの能力は結構シャレにならないですよね。GSは確かに致死率高い職業ですが、六道のOG全員がその道に行ってるわけじゃないと思います。オカルトアイテム製作とかオカルト研究とか、探せば色々ありそうですし。
○2. いりあすさん
私の中では、六道のおばさんはそんなに黒い印象ないんですよねー。娘の顔が一つ目になってたの見て気絶するぐらいですしw ちなみにおいしいところを全部持って行くのは、小竜姫さまじゃなくて小隆起ですw
○3. ぼえぼえさん
二次創作の横島は、アシュ編のを基準にされちゃってるせいか、変にかっこいいのが多いんですよね。悪いわけじゃないですが。だから捻くれ者の私は、コンプレックスと一緒に「夏なんかー! 夏なんかー!」と叫んでいるようなかっこわるい横島を書きたいと常々思ってます。それがきちんと反映されてると言ってもらえるなら、嬉しい限りですね♪
おキヌちゃんの活躍が本格化するのは、GS試験編です。それまでお待ちください。
○4. アミーゴさん
タイガーに明日はあるのでしょうかw
○5. 平松タクヤさん
タイマンはったらダチ、ですか……ちょっと元ネタわかりません(^^;
○6. wataさん
文珠生成を見られたところで、相手がオカルト素人のグレートマザーでは大した問題にはならないでしょう。それに、原作を見る限りだと文献にしかない伝説級の代物らしいので、発動する瞬間を見ない限りは『横島=文珠使い』だということを察することは難しいでしょうし。
○7. アイクさん
文珠の生成が出来るようになるのは、まだ後の方の予定です。GS試験には間に合いません(^^;
○8. 文月さん
美神相手だったら、殴るぐらいじゃ済まないでしょうねー。タイガーは美神事務所に入るのに勇気を出さないで正解だったかとw
○9. 捨てハンですごめんなさいさん
魔理が大樹に出会ったら、絵柄が荒木○呂彦になってしまう予感(マテ
魔理フラグはいずれ確定する予定です。どんな形になるかは未定ですが。
○10. 山の影さん
タイガーにはこれから頑張ってもらう予定です。魔理とのフラグはぽっきり折れてますが、新たに立て直すことはできるでしょうか? 美神さんの霊能力復活や鬼道のGS試験参加など、今後の展開にご期待ください。
○11. 内海一弘さん
タイガーは、作者も気付いたら存在を忘れてるようなキャラですw それがタイガー寅吉というキャラ付けなのでしょう……哀れ。横島の文珠は、GS試験にはまだ間に合わない予定です。
○12. Februaryさん
不条理な現象を体現する、それがGMクォリティw
○13. ぞらさん
そうですねー。エミの横島に対する評価は、さらに上がってることでしょう。……脱出の時ナニをやったかを知ったら、その限りじゃないでしょうけどw
○15. TAKAさん
なるほど。催眠術の効きは、そういう部分も影響するのですか。確かにそう考えると、エミの実力に対する美神の信頼は、かなりのものでしょうね。性格に関してはまるで信用してないでしょうけどw
○19. 霧島勇気さん
非常に厳しいコメントどうもありがとうございます。
一つ釈明をさせていただきますと、この物語の横島は、「前の世界でそうだったから最善だ」とか「ルシオラ以外のことが変わることは許さない」とか、そういったことは一切考えてません。おキヌちゃんにしてもそうです。ただ彼らは、ナイトメア編でルシオラが言った通り、「前と同じ流れの方がアドバンテージが取れる」という認識でしかないだけです。その結果、成功して先手を取れたものもあれば、失敗して予測不能な事態になったりもしてたわけですし。
タイガーと魔理に関しては、最終的にくっつける予定ではあるものの、強引なくっつけ方はしないつもりです。どのような過程を辿るかはまだ未定ですが、最悪な関係で始まったからこそ、それが逆転する過程が映えると思ってますので。「難しい→無理→このカップリングは破棄」などという短絡的な思考放棄を作者がしてしまえば、物語としての面白味はないわけで……最悪の出会いにしたのは、このカップリングを破壊するためではなく、むしろ逆なんですよ。
○20. ミュートさん
非常に厳しいコメントどうもありがとうございます。
ナイトメア編での式神に関しては、その感想で既にツッコミを入れられてました。あの時もレス返しで言いましたが、完全に私の認識ミスです。すみませんでした。……でも、原作では最後のプッツンでしっかり12匹全部出てたし、絶対出せないってことじゃないのかも……(汗
百合子の言動に関しては、確かに色々無茶ありました。行き当たりばったりで書くには理不尽なまでに強力なキャラでしたので、この辺で作者の力量不足が明るみに出てしまいました……猛省してます。ただ、この休止期間で、その辺の矛盾をどうにかするために色々考えてましたので、今後の展開でその辺が明るみに出るのをお待ちください。
○21. ジンさん
非常に厳しいコメントどうもありがとうございます。
上記のミュートさんに対するコメントでも書きましたが、その辺の設定の甘さは私の未熟さの現れです。この休止期間で設定を煮詰めなおしましたので、彼女の言動の矛盾に対する理由は、今後の展開をお待ちください。
○22. YamaMotoさん
初めまして。お褒めにあずかり光栄です。私の至らない力量でも人様にお楽しみいただけるなら幸いです。パイパー編がぐだぐだに長くなったのは、その「至らない力量」のせいです(^^;
○23. はに丸さん
はい。前話のタイトルを改定してから一週間経ってしまいましたが、一応最新話をお届けできました。次は……いつになるでしょうか? 胸を張って復活と言えないのが悲しいです(汗
レス返し終了。次の更新はいつになることやら……(滝汗
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