闇が空を支配する深夜の道路、不気味に光る光の中でヘルメットを被り大型のバイクに乗ったライダーが呟く。
「オレハ捕マラナイ・・・絶対ニ逃ゲキッテミセル・・・」
ドルン、ドルルルルルルルル・・・
公道であるにもかかわらずそのバイクはどんどん加速して、時速130キロをも超えて走る。そのバイクに気付いた人は慌ててハンドルをきったり、ブレーキを踏む。それでも間に合わず、バイクが去っていった場所には追突、車線を越える、衝突など様々な事故が多発していった。
あるところに一人の男がいた。小さいころから速い乗り物が好きで特にバイクに興味を持っている男であった。レーサーを志すもチームに所属することすらできない。そんな彼のたまりに溜まった欲求は公道で解放されてしまう。
「ははははは!もっとだ、もっととばすぜ!!」
最初は湾岸沿いの道、山道などの車が少ない通りを選んで走っていたのだが、いつしか道を選ばず車の通りが多いところでも走るようになってしまう。そんな彼には当然のようにパトカーに追いかけられるも、いつも振り切っていた。
「俺は速いんだ!見る目のない奴らだぜ!」
ナンバープレートを外し、塗装を変え、パーツを交換し、様々な方法で警察から逃げていたのだが、ついに彼にも悲劇が訪れる。
「へ!つかまるもんか!?」
いつものようにパトカーに追いかけられていた彼。前方の信号は黄色から赤に変わろうとしていた。彼はそんなことに構わず直進して通り抜けようとしたのだが、ちょうど横から青信号に変わったので走り出した車がきてしまい。彼は横から吹き飛ばされる。
災難なことにその車は大型のトラックであり、吹っ飛んだ先で反対車線の車にも轢かれたことだった。それにより彼は即死してしまったのだった。
旅行から帰ってきた忠夫達は翌日から教習の最終授業を受け、ついに次は実技試験と相成った。
「では、番号が呼ばれた人から始めます」
忠夫の他にも受験する人が数人いる。忠夫は3番目であった。ふと、隣を見ると令子が車に乗り込んで外に走っていくのが見える。どうやら、令子も路上試験が始まったようだ。それを見送った後、忠夫は視線を戻す。すると、早速一番目の人がバイクのところに移動を始めている。
「では、自分の好きなタイミングで始めてください」
事実上、実技試験の始まりの合図である。バイクの横で立っている状態からのスタート、またがるまでの過程も審査の対象だからだ。
受験者はやや緊張した面持ちでバイクにまたがり走り出した。教官はその後ろについて走る。緊張しているのはこれが”試験”だからだろう。忠夫も自分の番ではないのに緊張している。
「えっと〜忠夫君は〜?あ〜!いたいた〜!!」
「お、本当ね。ん?なんか緊張してない?アイツ」
教習所内では窓越しにエミと冥子が忠夫の実技試験を見に来ている。冥子は純粋に応援で、エミはその付き添いである。ちなみにエミはすでに大型二輪の免許を取得していた。なぜなら、彼女は学科が免除されているので忠夫や令子よりも早いペースで教習を進めることが出来たからだ。
エミは落ち着いているのに対して、冥子はまるで自分が試験を受けているように緊張していた。まぁ、他人から見ると全然緊張しているようには見えないのだが、親友のエミだからわかるのだ。
「どうやら、間に合ったようね」
「うん〜、合格するかしら〜?私まで緊張してきちゃったわ〜」
「ま、大丈夫でしょ。なんとかなるって」
ソワソワと落ち着きが無い様子の冥子に『心配しすぎよ』と思いながら苦笑するエミ。
いよいよ忠夫の番というところで、エミと冥子に声をかける人物が現れれる。
「なんだ。あんたたちも来てたの」
それは、実技試験が終った令子であった。最初だったせいで試験を終えると待合室で待ってなさいと言われ、戻って来たところでエミ達を見つけたようだ。
「なんだとは何よ?別に私は冥子の付き添いできただけよ」
「ふ〜ん・・・来たくなかったら来なければいいのに」
「首筋に刃物を突きつけられても平気ならそうしてるわね・・・」
「ごめん、私が悪かったわ・・・」
令子は正論で返したはずなのだが、遠い目で語るエミを見ていると反射的に謝ってしまう。瞬時にその光景が理解出来てしまったのだろう。
――時は少し遡り、横島家にて――
ピンポーン
「は〜い、どなたですか?」
「百合子母様〜、冥子です〜」
「ああ、冥子ね。今日はどうしたの?」
「忠夫君が〜、実技試験を受けにいくって聞いたんで〜エミちゃんと一緒に見に行こうかな〜って思って〜」
「わかったわ。ちょっと待っててね」
インターホンが切れ、しばらくすると玄関からエミが出てくる。ちゃんと起きていたようで服も着替えていたし、髪も梳かされていた。
「おはよ〜、エミちゃ〜ん」
「おはよ。で?何の用?仕事はなかったはずだけど?」
「んとね〜。今日は忠夫君の実技試験だから〜、一緒に見に行こうと思って〜」
エミは冥子に言われなくても見に行こうとしていたのだが(令子もやるといっていたのでからかいに行くのも含めて)、素直に行くのもどうかな?と思ってしまい、少し渋って見せた。
「ん〜、でもね〜。あいつももう子供じゃないんだしさ」
「いってくれないの〜?」
キラ〜ン!
目に涙を溜めて上目遣いで見つめる冥子。だが、エミの背後から首筋に鋭い切れ味を誇りそうな刃を当てている式神(アンチラ が鋭い耳を突きつけている)がいる。それは式神の意思か?それとも冥子の意思か?判別はつかないものの、ここで逆らってはいけないと思い素直に頷くエミであった。
「うっ!!誰も行かないなんて言ってないでしょ?」
「じゃ〜、いってくれるのね〜?嬉しい〜」
「あはははは・・・・ハァ」
もはやため息しか出ないエミ。嬉しそうにエミの前を歩く冥子に向かって聞こえないようにボソっと呟く。
「冥奈さんにそっくりだわ・・・」
何故か冥奈が朗らかに笑って「私の娘ですもの〜」と言っている幻影が見えたとか。
時を戻して、回想から現実に帰るとちょうど忠夫の番のようでバイクの横に移動したところが見えた。さっきまで何かをしゃべっていたはずの冥子が急に静かになったのがその証拠。エミも令子も何も言わずにただ見守るだけである。
「では、3番の方。実技を始めます」
「はい」
忠夫がバイクの横に移動する。そのバイクの後方で見届けようとしている教官は、もちろん。
「忠夫様、頑張ってくださいね?」
「うん、いつもどおりやってくるよ」
「その意気です」
そう、フミさんである。
忠夫は一言フミに返すと深呼吸し、気持ちを落ち着かせる。そして、今までやってきた教習を思い浮かべ、一つ一つを慎重に行っていく。
ガチャ、ブロロロロロロロ・・・・
ギアをローに入れ、走り出す。ここまでは序の口。試験はこれからである。後ろについていくフミも固唾を呑んで見守って・・・。
「カメラ良し!忠夫様の勇姿を至近距離からゲットだぜぃ♪」
いるわけがない!フミさんワールドが展開される。
バイクのハンドル部分の上、ヘルメットの脇に小型カメラ(六道製)を装着し、忠夫の後ろから運転しているところを撮影するようだ。もちろん、教習所のいたるところにカメラが設置されていて、ポイントごとに撮影できるようになっている。
「ふふふ、これを後で回収して編集すれば。また私の宝物、忠夫様コレクションが増えるわ。あぁ、なんて幸せ♪」
うっとりとしながらも忠夫の姿を撮っている手はしっかりとしていて、ブレがないのはさすがである。
そんなことをされているとは露知らず、実技試験の課題を一つ一つ丁寧に、慎重にこなしていく忠夫。それを見守っている冥子達も真剣である。
「よしよし。落ち着いていきなさい」
「そうそう、慌てない」
「忠夫く〜ん」
無意識に応援の言葉を呟いているが、それらに気付かないほど忠夫を見ることに集中している。冥子はともかく、令子やエミもなんだかんだいいつつ、ちゃんと心配していたようだ。
忠夫がストレートのコースに入って来たとき、事件は起こった。
ドルルルルルルルルルル・・・
教習所の隣に面している大通り、そこに一台の大型バイクが現れた。全身が漆黒色で威圧感はすごいのに存在感が薄いという不気味なライダーである。
「絶対ニ捕マルモンカ・・・」
ブオオオオオオオオオオオオン・・・
「うわ〜〜〜!!!」
「危ない!?」
「きゃぁあああああ!」
ききぃ〜〜〜〜〜!!ガシャン!
そのバイクは突如現れたかと思うと、急に加速し磁束130キロを超えるスピードで車の間を強引にすり抜けていく。そのあまりにも強引な割り込みに運転を誤るドライバーが多発。大惨事を引き起こすのだった。
「うわ!事故った!誰か、救急車を!?」
「中の人は平気か?」
「なんなんだ?あのバイクは?」
近くで事故が発生したようで、人が集まっていく。その大きな音に教習をしていた人たちもみんなが事故が起こったほうをむくが、忠夫は見た。教習所のわき道を走り去ろうとしている大型バイクを。
その方角から推測するに、事故の原因を作ったライダーで間違いなさそうである。それに、忠夫の霊感に何かひっかかるものを感じたのだ。
忠夫は試験途中であるにもかかわらず、方向を転換する。
「逃がすか!!」
走り去る大型バイクを迷うことなく追い始める忠夫だった。
ききぃ〜〜〜〜〜!!ガシャン!
「うわ〜、近くで事故があったみたいね」
「私達の仕事が増えないことを祈りましょうか」
忠夫の実技を見ていた令子達も当然、事故の音は聞いていた。こういう事故が起こり死人が出た場合、その死者が霊となって現れて自分達のようなGSに除霊してくれと依頼が来ることがあるのだ。出来れば、死者は出て欲しくない、助かってくれと祈るばかりだ。そんなとき、冥子が別の方向を向いたまま令子とエミを呼ぶ。
「令子ちゃ〜ん、エミちゃ〜ん。あれ〜!」
「「ん?あれは!?」」
冥子が指差した方向に、大型バイクに乗っているライダーを見つけた。令子達は一目見た瞬間にそのライダーが幽霊であるとわかった。しかも、方角からいってどうやらさっきの事故と関係があるらしい。「面倒なことになった」と思いながらもそのままにしておけず、令子とエミ、冥子はその霊を祓うべく動き出した。それは忠夫が方向転換をしたときとほぼ同時に。
冥子は教習所に備えられていたヘルメットを取ると叫ぶ!
「忠夫く〜ん!!」
そして、冥子の姿が消えた。
「エミ!」
「わかってるわ!」
令子とエミは冥子と同じくヘルメットを取るとあまっているバイクの場所に走りよる。走りながらメットを被るとエミはすぐにスタンドを上げ、バイクにまたがるとエンジンをかける。令子はエミの後ろに飛び乗り、走り去るバイクを見失わないように監視している。
「行くわ!」
「バイクはさっきの道を左に曲がったわ!」
「了解!とばすわよ!」
「ちんたら走るんじゃないわよ」
エミの乗るバイクが唸り、幽霊バイクを追うために急加速した。
「速いな、アイツ。追いつけるかな?・・・あれ?追いついてどうしよ?」
幽霊バイクを追っている忠夫はその速さに舌打ちするも、追いついた後のことを考えてなかったことに気がつき悩む。その迷いが走りを鈍らせ、差が広がってきてしまっていることに気付かぬまま。そんな忠夫に強力な助っ人が現れる。
「こら〜!離されてるわよ〜!」
「冥子姉さん!?」
いつの間に忠夫の後ろに冥子が座っていたのだ。実はメキラの短距離瞬間移動でテレポートしてきたのである。冥子は忠夫の腰に腕を回して叫ぶ。
「追いついたら〜私がなんとかするわ〜。忠夫君は〜追いつくことだけに集中して〜」
「了解!」
冥子の言葉を信じ、バイクを加速させる忠夫。彼にもう迷いはない!忠夫のバイクが少しづつ、確実に追いつき始める。
そんな忠夫の後方に一台のバイクが追いかけてきているのに、幽霊バイクを追いかけている忠夫と冥子は気付けなかった。
「忠夫様、素敵です。ああ、真剣で凛々しい顔の忠夫様・・・はふぅ♪ってなんで冥子お嬢様が後ろにいるんですか!?な、なんて羨ましい!?私だって後ろに乗せたことしかないのに!!私だって、忠夫様の腰に腕を回して、あの広い背中に頬刷りしたり、忠夫様のぬくもりを思いっきり堪能したり、忠夫様の・・・(以下略)」
忠夫が方向転換し、幽霊バイクを追いかけ始めた直後、フミも忠夫を追いかけていたのだ。
『あ〜ん、速すぎてこわ〜い』
『じゃ、もうちょっと速くしようか?』
『え?きゃ〜!忠夫様のいじわる〜!』
『あはは、フミさんが可愛いからいけないんだよ』
『そんなこといっても許してあげないんだからね〜!』
「なんちゃって、なんちゃって、なんちゃって〜♪」
バイクは安定しているのに上ではフミがギュインギュイン体を捩っている姿が、すごいというか不気味というか迷う光景が展開されている。
ギュギュギュギュ!
「逃がすか!」
ギャギャギャギャギャ!!
強引にタイヤを滑らせ急角度コーナリングをきめる幽霊バイク。忠夫も急に曲がった幽霊バイクを追いかけるために自分もドリフトをして急カーブに対応する。
「ナイスシーン!!」
パシャパシャパシャ!!
妄想世界にいっていたフミは瞬時に現世復帰を果たし、カメラをどこからともなく取り出し、自分もカーブをしながら忠夫のドリフト姿を激写する。忠夫の幽霊バイク追跡は続く。(フミの忠夫追跡も)
――令子、エミ――
バイクを加速させ、教習所を後にするエミと令子。幽霊バイクを見つけてすぐに追いかけ始めた忠夫と違い、彼女達は見つけた後、バイクに乗り込んでから追いかけ始めたのですでにターゲットの姿が見えなくなっていた。
「ヤバイわね・・・」
「最初のロスが痛かったわ」
そんな二人の元に空から助っ人が来る。
「エミ!上!?」
「あれは、冥子のシンダラ!?」
飛行能力を持つシンダラが二人の真上をクルリを一回周ると「ついてきて!」というように先導し始めた。その意図を瞬時に見抜いた二人はシンダラの後についていく。
「冥子のおかげで助かったわね」
「本当ね」
親友兼ライバルの活躍に嬉しさと悔しさを感じるも、気持ちを素早く切り替えバイクの追跡に集中する。
「マダマダ俺ハ捕マラナイ」
「くっそ!無茶な走りをしやがって!!」
幽霊バイクと追いかけっこをしている横島はなかなか追いつけずにいた。それというのもその強引な割り込みを繰り返し常に自分の最善の道を突き進んでいる幽霊バイクに対し、多少強引に割り込むことはあれど、他の車の迷惑にならないように気をつけながら曲がっていて二人のりである忠夫では勝負にならないのだ。
少しづつであるが離されていく忠夫。
「くそ!」
「頑張って〜!」
「ああ、じれったそうにしているお顔もいいです♪」
冥子も必死に応援するが距離は離されていくばかりである。忠夫も諦めずに追うが追いつく可能性は薄いだろう。冥子のインダラを使えば?という意見もあるのだが、インダラは確かに早く走ることはできるが、小回りが聞かないために強引に割り込みをかけ方向転換を行う幽霊バイクにはあまり適さないだろう。それにインダラのみなら追跡できるかもしれないが、それに人を乗せるとなるとまた状況が違うことになるためにインダラは使えないのだ。
このまま逃げられてしまうのか?
否!ここで強力な助っ人が現れる。
「!?」
突如、幽霊バイクが大きく右折する。それに気付いた忠夫も追いかけるも、どうして幽霊バイクがそうしたかがわからない。そんな忠夫の左側から声が聞こえて来た。
「もっと気合入れなさい。逃げられるわよ」
「エミ姉さん、令子姉さん!」
そう、幽霊バイクが右折したのは前方からエミ達が迫って来たからである。では、何故逃げたのか?それはエミが乗っていたバイクに原因があった。教習用のバイクなので外からギアの種類が見分けられるようにランプがたくさんついているのだ。それを白バイなどにあるランプと勘違いしたために横に逃げたというわけだ。
「追うわよ!」
「うん!」
エミと忠夫は協力して幽霊バイクを追跡する。車線の左右に別れて追跡を開始した。さきほどまでと違い、割り込みをかけないでただ真直ぐ走るだけ。曲がるのは幽霊バイクが曲がって道を変えたときのみなので追跡しやすくなる。
勝機が見えてきた。
「クソ!マダツイテクルノカ?ダガ、コレナラドウダ!!」
距離が縮まって来たことを自覚したライダーは道を変更。それは進むにつれ車どおりの少なく広い道へとなっていく。
「これなら周りの車を気にしなくてもよくなるね」
「ええ、一気に追いつくわよ!」
「そんな顔もいい!」
エミと忠夫はチャンスとばかりにスピードを上げるが、ここで一つ二人は認識を間違っていた。
それは、バイクの性能である。
「追イツケルト思ッタカ?」
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
「「速!?」」
そう、幽霊バイクの性能は忠夫とエミが乗っているバイクの性能より遥かによかったのだ。瞬く間に離されていく。
さきほどの道では割り込み割り込みでスピードを抑えていたのである。もう、駄目だ・・・と思ったら間違いだ!
ここは幸いなことに、ほぼ直線で曲がり道が滅多にないところである。幽霊バイクが災難だったのは冥子がいたことだろう。
「まかせて〜!」
「「冥子(姉さん)!?」」
「インダラちゃ〜ん!」
高速で移動できるインダラを召喚すると冥子はインダラの背に乗り、首にしがみつくと。
「あのバイクを追って〜!」
とインダラに頼む。その頼みをインダラは忠実に実行した。
ヒヒィイイイン!!
力強い鳴き声を上げ、インダラは幽霊バイクを追いかける。幽霊バイクよりも数段はやいスピードで駆け抜け、さきほどの追いかけっこが嘘のようにあっさりと追いつくとアンチラを召喚し、その鋭い耳で幽霊バイクのタイヤを切り裂いた。
ギャギャギャギャ〜!!ガシャアアアアアアアン!
タイヤを切り裂かれたことにより、バイクは激しく転倒し道路を滑っていった。
そこに忠夫達も追いついてくる。
「捕マッテシマッタカ・・・」
言葉とは裏腹にライダーの声は晴れやかであった。
「アリガトウ・・・」
そして、彼は成仏をしていったのだった。
「なんか勝手に成仏していったわね」
「あの子は〜、本当は捕まりたかったのよ〜」
「どういうことよ?」
「捕まって〜、自分がレースチームに入れなかったことを納得したかったのよ〜」
「ふ〜ん。ってなんであんたはそんなこと知ってるの?」
「どうして〜、こんなことしたのかな〜?って倒れたときにハイラちゃんで調べちゃった〜」
あっけらかんとして言う冥子。冥子の手際の良さにまたしても驚かされるのだった。
「でも、冥子姉さん。シンダラ使って追跡すればもっと簡単に成仏させられたんじゃない?」
「あ〜!?」
でも、やっぱりどこか抜けている冥子だった。
おかげでエミと令子は『冥子は冥子だった』と呆れと安堵したのは秘密だ。
かくして、無事に幽霊バイクを除霊することができたのだった。
――ちなみに
この事件の後、実技試験を途中で放棄し、あまつさえ公道でレースを繰り広げたことが問題視されたものの、令子、エミ、冥子がGSライセンスを見せて緊急事態で除霊に協力してもらったと証言したおかげで不問になったが、実技試験の途中だったということでもう一度受けないといけないことになってしまう。だが最悪、犯罪者になるところだったことを思えば些細なことだと言えるだろう。
これには・・・。
「忠夫様との教習がもう一回出来るのですね!!」
とフミさんは密かに喜んでいたとか。そして、実技試験のときに忠夫のバイクの後ろに座って腰に手を回して採点していたフミさんがいたという証言があったが定かではない。
―某国の空港―
「日本に帰るのは何年ぶりだろうな」
大きいアタッシュケースを持った長髪の男がチケットを片手に呟く。これから日本に帰国するらしい。
「今、君はどうなってるかな?令子ちゃん・・・」
そして、男はゲートを抜けていく。
日本にいるある女性と会うことに胸躍らせながら。
―同じく某所の空港―
「日本か〜、懐かしいな。帰ったらおいしい日本料理が食べたいわ」
金髪を三つ編みにして束ねた魔女ルックの女性が呟く。金髪ではあるものの、彼女も日本出身のようである。
「そういえば、先輩も近々帰国するって言ってたわね。もしかしたら向こうで会うかも」
人差し指を顎に当て、思い出したように言った女性だったが。
「まぁ、いいわ。とりあえず、現地を下見しなくっちゃ。それとおいしいものを食べなきゃ」
割とどうでもいいことらしく、次の瞬間には忘れてしまっていた。
あとがき
だんだんとネタが苦しくなってきた・・・ラッフィンです♪
最近、このシリーズより新しい話のアイディアばかりが浮かんでしまい、ついつい筆が進まなくなってしまいがちです。
さて、今回ですが・・・久しぶりにフミさん暴走wでも、ちょっと中途半端(自分主観)そろそろ冥子さんががんばってきてますからね〜。このままエンディングに一直線かな?
では、次回にw
レス返しです。
kamui08様
たぶん、お久しぶりです。(すいません、私も記憶が曖昧で・・・)
忠夫君の悪戯心が起こしてしまった惨事、思わぬ効果に使った本人が一番びっくりw
FFF隊員No1様
性格が似てるなら、こういう手口も似ていいはず!と思って書いたんですけどね〜。
私のせいですか?
いや、違います!あなたにはその素養が最初から備わっていたのです!
私は軽くそこに導いただけ・・・って、やっぱり私のせいですかw
俊様
ご指摘ありがとうございます。
魔鈴さんもか〜・・・・いいかもw
今回はフミさんとラブラブになるはずが、途中で冥子がかっさらいましたw
HEY2様
忠夫の攻撃でとんでもないものが防がれました。
その防がれたものの名は『フミさん大暴走』という。
息の根をとめられました。フミさんはもう忠夫から離れられません
元からじゃん!ってつっこみはなしですよ?
内海一弘様
親の背中を見て子供は育つんですよ・・・。
見すぎって感じがしますがねw
秋桜様
乙女の秘密は無敵ですw
私も秋桜様に同感です。櫻井君のほうがいいと思うんですけどね〜。
韓流スターだったら、おばさま連中が撃沈されるでしょうねw
これで忠夫は男から(百合子風に)も女から(大樹風に)も値切る術を学んだことに・・・もう、彼に値切れないものはない!
スマイリー忠夫が出るとフミさんが最下位におちるんですけどねw
アシューデム様
ご指摘ありがとうございます。
大きな間違いでした・・・。
whiteangel様
命がけで調べてくださいw
私は無理です♪
謀略で冥奈さんに勝てる人っているのだろうか?
DOM様
大樹を育てた百合子さん。素敵過ぎますよねw
男は女で変わるってことですかね?
百合子と冥奈が組めば神魔も目ではないでしょうw
>明け方ヘンなもの(夢)を見てしまいました。
重症ですねw暴走機関車フミさんを見て癒されてくださいw
Tシロー様
大丈夫です!フミさんが敵を排除しますから!!
金魚ですが、冥子が可愛がって育ててますw
風彌様
壊れちゃいましたか・・・
フミさんの暴走がなかったばっかりに・・・申し訳ないことをした。
対フミさん暴走最終兵器『忠夫』になりました。
SS達からは神とあがめられるでしょうw