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「光と影のカプリス 第93話(GS)」

クロト (2007-08-23 19:14/2007-08-27 20:03)
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 横島とカリンが屋敷の居間に戻ると、当然ながら峯に文句をつけられた。

「横島さん、せっかくお話してたのに何の用があったんですか?」

 もう少しでまた今度会う「約束」を取りつけるところまで行ったのに、彼の横槍のせいでうやむやになってしまったのだ。彼女が不機嫌になるのは当然であろう。
 しかし横島には横島の都合があったからジャマしたわけで、ここで峯に詫びを入れるはずはない。

「ん? だからプライベートな相談事だよ。どーしても知りたかったら、クノイチらしく色仕掛けで聞きに来るんだな。つーか来い!」
「誰が行くかーっ!」

 峯はとりあえず手に持っていたぶどうの皮を投げつけた。今のは横島が悪いのだし、これくらいなら「仲たがい」したことにはなるまい。
 しかしさっきまでは感じなかった、いや意識してなかっただけなのだが、横島から霊気を感じるのは何故なんだろう。影法師を出している間は霊的に無力になるはずなのに。
 簡易結界とかで外付け的に身を守っているのではない。どんなトリックを使っているのか、間違いなく彼の体内に強い霊気が存在しているのだ。一般人並みに抑えているから今まで疑問に思わなかったのだが……。

(やはりカリンさんの本体だけのことはある、ということでしょうか?)

 まあ、色仕掛けして聞き出したいと思うほどの謎ではないのだけれど。カリンともっと仲良くなってから彼女に聞けばいいのだし。

「……って、このドジっ娘百合忍者め! 1つならともかく手に持ったぶん全部投げるこたねーだろが!」
「いちいちドジとか百合とか言わないで下さい!」

 横島が顔をぬぐいながらわめけば、峯も負けじと真っ赤になって言い返す。何とも低レベルな争いだったが、放っておくと収拾がつかなくなると見たキヌとカリンが仲裁に入って来た。

「ま、まあまあ2人とも落ち着いて下さい」
「そうだな。人さまの家でお世話になってるのだからおとなしくしろ」

 キヌが横島を、カリンが峯をなだめている辺りなかなか芸が細かい。

「そうだ、TVも終わったことですしみんなでカードゲームでもしませんか!?」

 キヌのさりげない提案に、横島は両目をきらーんと輝かせた。またしてもカモが自分からネギしょって来てくれるとは!

「おおっ、さすがおキヌちゃんいいこと言うな。それじゃさっそく、若いモンだけで脱衣トランプでもするか?」
「変態ーーーっ!」

 と峯が速攻でツッコミを入れるが、横島はその拳を手のひらで軽く受け止めると、ニヤリと唇の端を歪ませて言い放った。

「ほほぅ、千鶴ちゃんはカリンの脱衣シーンが見たくない、と?」
「……ッ!?」

 悪魔の誘惑に峯の動きがぴたっと止まる。お風呂はお流れにされてしまったが、これもなかなか素晴らしそうではないか。
 普段は武道の達人のように凛としているカリンが、1枚ずつ服を脱がさせられて恥ずかしそうに身を縮めるところなどこちらが身悶えするほど萌えそうだし、この際だから脱ぐのを手伝ってあげて「つい」手がすべって胸を撫でてしまうとか出来たら、もー我が生涯に一片の悔いもない!

「誰が見せるかっ!!」
「「痛ぁっ!?」」

 怒ったカリンに脳天をどつかれて、違う意味で身悶えする横島&峯。
 ピートはその漫才じみたやり取りを眺めながら、全身の力が抜け切ったかのようなどよんとした声で呟いた。

「……横島さんの『若いモンだけ』ってのは、やっぱり僕を外すためなんでしょうねぇ……」

 彼は外見も精神年齢も人間の17歳相当だが、実年齢は700歳にもなるのだ。表面的には特に不審は感じない参加条件だが、それを念頭に置いてのことなのは疑いない。
 別に脱衣トランプに参加したいわけではないが、こうもあからさまにハブられるとちょっとばかり哀愁が漂ってしまう。
 愛子も深々とため息をついて、

「そうでしょうねぇ……まあそれだと私も外してもらえるんだけど……」

 彼女も見た目は女子高生だが、実は当年とって32歳の付喪神である。横島たちと比べれば明らかに「若い者」ではないから、邪悪な狼から逃げる口実にできるはずだ。彼のことはさっきので吹っ切れたから、今さら進展はないと分かってるのに肌を見せても仕方ないし。
 ちなみに正昭と静江はもう諦めたのか、自分たちと娘2人に危害が及ばぬ限り口出しをするつもりはないようだ。

「でもそろそろ止めた方がいいんでしょうか?」

 良識派のピートとしては、友人の両親の前であまりバカ騒ぎされるといささかバツが悪いのだが、愛子はそれほど気にかけてはいなかった。

「大丈夫じゃない? 私たちが言うより……ほら」

 と愛子が顎で示した先では、怒った早苗が横島に巫女さんダッシュパンチをくらわせていた。返す刀で同罪の峯にも巫女さん当て身を叩き込む。
 ふにゅう、と変にかわいい悲鳴をあげて2人は仲良く沈黙した。

「おキヌちゃん、こんな変なのと付き合ってると病気がうつるだ! こっちで父っちゃと母っちゃに東京の話でも聞かせるべ」
「ああっ、お姉ちゃん……!」

 淡い想いを寄せている相手をこき下ろされた上に引きずり離されたキヌは心中で落涙したが、横島がここに来てからの行動を見れば文句も言えない。ただでさえいい所が見えにくい男なのに、峯との掛け合いでおバカな所ばかりクローズアップされていたからなおさらだ。ひょっとして実家をダシに使おうなんてズルいこと考えたからバチが当たったんだろうか。

(っていうか、もしかしてここに私の味方なんていないんじゃ……?)

 タマモと愛子はどちらかと言えばライバルっぽい感じがするし、カリンもこちら方面では助けてはくれなさそうだ。峯はただのお邪魔虫だし、ピートが当てになるとは考えにくい。もしかしてこれが漢文の授業で読んだ四面楚歌という状況だろうか。

(へーん、私1人じゃどうにもなりませんよう、横島さはーん!)

 と心の中で叫んでみても、目を回してぶっ倒れている煩悩バカに聞こえるはずもなく。
 こうしてキヌは翌朝までがっちり早苗にホールドされて、眠れぬ夜を過ごしたのだった。
 ―――まあそれでも霊能部設立の見込みは立ったことと、この恋に味方はいないと理解できたことは収穫と言えるかも知れない。


 明けて翌日の朝。
 早苗のご託宣で愛子の机の中で寝た横島と、その見張り役を仰せつかっていたピートがのっそりと異空間から這い出してきた。机自体も女性陣が泊まった客間とは別の部屋に置かれていた辺りに早苗の警戒心の強さが窺える。
 ちなみにカリンは横島が机の中に入るときに体内に引っ込めていた。「煩」マーク入り竜珠を得た今なら24時間出しっ放しにしてもほとんど弊害はないのだが、そうすると峯たちの部屋に寝かせることになるので、あえて「霊的に無防備になる」ということにして引っ込めたのだ。
 そのとき峯がその台詞を疑ってきて一悶着あったので、その当てつけにカリンは引っ込めたままにしておこうかとも思ったが、ケンカになったら早苗が怖いのでやはり呼び出すことにした。
 さっそく現れた影法師娘と朝の挨拶をかわす。

「おはよう、カリン」
「ああ、おはよう。横島、ピート殿」
「おはようございます、カリンさん」

 とそこまでは何事もない朝の風景だったのだが、横島の携帯からメールの着信音が聞こえたことで微妙に雰囲気が変わった。

「お、所長からか。ひょっとして俺と会えないのが寂しくなったのかな? むふふ、モテる男はつらいぜ!」

 軽口をたたきつつ本文を開く横島だが、カリンの眉が少しだけ引きつっていた事には気づかない辺りが罪深い。
 もっとも彼自身も、すぐに同じような表情になってしまったのだが。なぜならその本文は、

「Nグループの件で相談したいことがあるので、東京に帰ったら事務所に来て下さい」

 という、ラヴな情緒など微塵もないシリアス一辺倒なものだったのだから。Nとはもちろん南武のことで、誰かに覗かれた場合に備えての配慮である。

「どうかしたんですか? 横島さん」
「……あ、いや、何でもない」

 ピートが不思議そうな顔で訊ねてきたのに気がついて、あわててメールを閉じる横島。これはシークレット度AA+のミッションなのだから、軽々しく人に話すわけにはいかない。

「……そうですか、じゃあ顔を洗って居間に行きましょう」

 ピートは横島と違って紳士なので、たかが携帯メールのことをしつこく聞きただすようなマネはしなかった。あっさり話を切り上げて、女性陣と朝食が待っている居間に向かって踵を返す。
 そして食事を終えてひと休みしたら、楽しかった(?)合宿もお開きだ。正昭の車に乗り込もうとする横島たちを、静江と早苗が玄関の外まで見送りに来てくれた。

「それじゃおキヌちゃん、またな。いつでも来てくんろ。
 ……変態どもは歓迎できねーけどな!」
「誰が変態じゃっ!」
「気持ちはわかりますけど、こんなのと一緒にしないで下さいっ!」
「別に名前は言ってねえべ。反応したってことはやっぱり自覚があるんだべな!?」
「こんなのってゆーな! つか言われんでも顔と目線で分かるわあああ!」

 ……とまあこんな感じで、最後まで騒がしかったり新たな火種が蒔かれたり、あるいはフラグが立ったり倒れたりと忙しい旅行だったが、何とか所期の目的は達成してご帰宅となったのだった。


 横島とカリン・タマモが1度家に帰ってから小山事務所を訪ねてみると、なぜか玄関には「都合によりしばらく休業します」という張り紙がしてあった。
 首をかしげつつもとりあえずインターホンを押してみると、雇い主が普段通りの声色で答えてきた。

「はい、どなたでしょうか?」
「横島ですけど……」
「あ、横島さんですか。今カギを開けますからちょっと待ってて下さいね」

 横島の名前を聞いたとたんに小竜姫の声が少し弾んだように聞こえたのは、たぶん彼の気のせいではないであろう。
 しかし彼らを部屋の中に招き入れて事務所の応接セットに座って向かい合うと、さすがに表情を引き締めて真剣な話をする態勢に入った。隣には同じくらい真面目な顔つきのヒャクメもいる。
 どうやら情勢はかなり緊迫しているようだ。横島たちも緊張した面持ちで小竜姫が口火を切るのを待った。

「―――すいません、疲れてるところを呼び立ててしまって。でも急いで方針を決めなきゃいけない事態になってしまいましたので」
「いや、別にいいっスよ。それでその事態というのは?」

 それで臨時休業にしたのか、と横島は納得しつつ、小竜姫に話の続きを促した。それほど深刻な話だというならじらされる方が心臓に悪い。

「はい、実はですね。南武グループの茂流田と須狩、でしたか。彼らが美神さんに接触しようとしてるみたいなんです」
「今朝覗いてみたら、あの2人が美神さんに仕事を依頼するっていう話をしてたから急いで連絡を取ってもらったのよ」

 とヒャクメが友人の台詞を補足する。彼女が2人の会話を聞けたのはなかば偶然なのだが、それによって茂流田たちの計画を知ることができたのだ。
 森の中の旧華族の屋敷に仕込んだ心霊兵器の性能テストの相手役として、美神事務所を選んだということを……。

「タダスケさんの話を聞いてたから、推測するのは簡単だったのね。なんでわざわざ日曜日にそんな打ち合わせしてたのかまでは分からないけど」

 これは茂流田たちがメドーサの慎重策でしばらく接触を控えることにしたので、その前に現在できている分のテストだけでもしておくために少々急いでいたからなのだが、ヒャクメも24時間彼らを覗いていられるほどヒマではないのである。

「そ、それでどーするんスか!?」

 そう訊ねた横島の顔は真っ青になっていた。どうやらここの南武グループもタダスケの世界の南武と同じ選択をしたようだが、こちらの美神事務所には「文珠使い」がいない。令子が殺されてしまう可能性は高かった。
 一方小竜姫にとって彼の反応はごく当たり前のものだったから、別に驚きもせず落ち着いた様子で説明を始めた。

「ええ、もちろん美神さんを見捨てるつもりはありませんよ。でもまだ対応策が決まったわけじゃありませんので、横島さんたちもいっしょに考えて下さい。
 ……まず1番簡単なのは彼女に性能テストのことを話して依頼を断ってもらうことなんですが、これだと南武は他のGSに依頼するだけですから、あまり意味はないですね」

 エミや冥子や唐巣辺りなら小竜姫が手を回して断ってもらうこともできるが、面識がないGSに依頼されたらどうしようもない。彼らは恐らく令子たちより腕が劣る、つまり死んでしまう可能性がより高いことを思えば、神族たる小竜姫としては避けたい方法であった。

「2つめは美神さんが仕事を受ける前にその屋敷を壊してしまうことなんですが、今は私が直接手を下すことはできませんからこれもダメですね」

 かといって横島やタダスケにやらせれば、小竜姫は彼らに犯罪をそそのかした事になってしまう。風水盤事件の時のように世界の命運がかかっているのならともかく、令子とキヌが危険というだけで横島たちを犯罪者にするわけにはいかない。

「なるほど、美神殿を南武から遠ざけてそれで良し、というわけにはいかないのか。面倒な話だな……」

 とカリンが難しい顔で唸った。現状ではオカルトGメンも手は出せないだろうし、南武グループの行動を封じ込めるのは無理のようだ。
 それでも1つだけ令子を助ける方法をとっさに思いつきはしたのだが、横島の影法師としてそれは言いたくなかった。いや、今の小竜姫ならもう考えついているだろうけれど……。
 案の定小竜姫は急に沈痛な顔つきになって、

「もう1つの方法は、私たちが美神さんの手伝いをするという形で、いっしょに幽霊屋敷に乗り込むことです。そうすれば人造魔族の件の証拠も手に入るでしょうし、その後で茂流田たちを捕まえればメドーサの隠れ家を喋らせることもできるでしょう。
 問題は、横島さんたちを危険にさらしてしまうことなんですが……」

 令子たちを守りつつ南武グループに「神罰」を下し、ついでにメドーサの情報も手に入れようという一石三鳥の策であった。
 ただし小竜姫はメドーサもしくはガルーダが出てくるまでは本来の力を使うわけにはいかないし、タマモはかって南武に狙われていた身だから連れて行けないが、タダスケの時は令子とキヌと10年前の彼で何とか生きて帰れたのだから、横島とタダスケが令子に協力すれば戦力的には十分だろう。しかし向こうには銃を持った傭兵もいる以上、普段の除霊仕事とは別種の危険があることは否定できない。
 ちなみに事情を知った令子が南武の依頼を断ると言ってきた場合は、南武が次に標的にするだろうエミたちに同じ話をもちかける算段である。
 さすがに横島たちは即答できず押し黙っていたが、ややあってカリンが苦虫を50匹ほど噛み潰しまくったような顔で口を開いた。

「やはりそういう案になるか……私としては横島をこういう事にかかわらせたくないのだが、放っておいたら南武グループは美神殿だけでなく六道殿や唐巣殿なども実験台にするのだろうな……」

 実際は茂流田たちはそんなに大勢のGSをテスト相手にするつもりはないのだが、カリンも小竜姫もそこまで彼らの内幕を知っているわけではないから多少の考え違いは致し方なかった。

「……わかった。小山殿とタダスケ殿も参加するのなら、横島が参加することに反対はしない」

 この辺りがカリンにできる最大限の妥協なのだが、これは小竜姫としても納得できる条件だった。無言で頷いて、今度は横島の方に顔を向ける。

「え、お、俺っスか!?」

 びくっと身をすくめた横島だが、自分のことは自分で決めなければならない事はわかっていた。いや令子やエミなら自分の意向など聞こうとはしないだろうし、こんな機会をくれる小竜姫に感謝すべきところだろう。
 令子が南武の依頼を受けるかどうかは正直分からないのだが、もし小竜姫とタダスケが乗り込むというのなら、自分だけが訳もなく隠れてなんていられない。

「……わかりました、カリンが言った条件でいいです。
 タマモもそれでいいよな?」

 横島がそう言ってタマモを顧みると、狐の少女も不本意そうな顔つきながら頷いた。

「……うん、横島がそう言うなら」

 タマモも横島や小竜姫のことが心配ではあるのだが、安全策だけで済ませられない状況なのは分かるのだ。感情論で反対することはできても、じゃあどうすればいいかという建設的な意見はなかったし。

「……ありがとうございます。まだ美神さんたちといっしょに行くと決まったわけではありませんけど、くれぐれも気をつけて下さいね」

 と小竜姫が頭を下げて、これでこの話は終わりかと思われたのだが、そこでカリンが少しだけ表情をゆるめて発言を求めた。

「できればまだ言いたくなかったが、こんな仕事をするのなら仕方がない。小山殿にはちと耳が痛い話かも知れないが、落ち着いて聞いてくれ」

 と前置きしてから一拍おいて、

「私の竜珠のことだが、少しずつ天候操作系の術が使えるようになってきた。それと横島の『栄光の手』も私のとは違う機能を持った竜珠に変わったから、作戦を立てる時は参考にしてくれ。
 おそらく前のデザイアブリンガーと同じように、小山殿の霊力でも動かせると思うから」

 そう一気にまくし立てると、小竜姫とヒャクメは「はあ!?」と間の抜けた声をあげながら顎を10センチほど落っことして硬直した。
 よほど驚いたらしい。まあ無理もないが……。
 そして横島とカリンが実物を見せながら詳しい経緯を説明してやると、ヒャクメはすぐ諒解して感心したような表情を見せたが、小竜姫は対照的に椅子からずり落ちると床の上に「九」の字になって蹲った。
 返してもらったヘアバンドを手に持ったまま、だくだくと滝のような涙をこぼす。

「て、天候を操る力に術を強化する竜珠ですか……それもまだ生身の横島さんが……」

 全身にどどめ色のオーラをまとい、絶望に身をよじらせる小竜姫。人間、それもついこの前からの弟子に竜神としての格で完ッ璧に追い抜かれたのが相当ショックのようだ。

「うう、横島さんの素質がすごいのは知ってましたけど、これほどのものだったなんて。それに比べて私はいまだに……うう、やっぱりドジでのろまでヘタレな暴走小隆起な私に横島さんの師匠をする資格はないのかも……えぐえぐえぐ」

(ど、どーしたもんかな)

 いつかカリンの竜珠のことを話した時よりさらに深く落ち込んでいる雇い主の哀れっぽい姿に、横島とカリンは激しく居心地の悪さを感じたが慰めの言葉は思い浮かばなかった。しかし小竜姫は2度目ということで耐性がついていたらしく、涙を腕でぬぐうとピカリと両眼を光らせる。

(落ち着きなさい凛明(りんめい)、逆に考えるのです。
 横島さん自身に竜珠が発現したというのは、彼が完全に竜神になったとまでは言えませんが、少なくとも竜神の域に足を踏み入れた証……つまり私を娶る資格を得たということじゃないですか!!
 ついにオペレーションRを発動する日が来たのです!!!)

 凛明というのは小竜姫の本名である(姓は敖)。普段名乗っている小竜姫という名は、斉天大聖に弟子入りしたとき彼につけられた、「小さな竜のお嬢さん」という意味の通り名なのだ。
 それでなぜその通り名を横島たちやヒャクメに対しても名乗っているかというと、彼女が属する竜神界は古代中国的風習を残していて、女性の本名は外に出さないという伝統があるからだ。他家の女性の名を尋ねるのは求婚と見なされるくらいで、日本の万葉集にもそうした求婚歌がある。
 つまりオペレーションRとは横島に自分の本名を訊ねさせ、それをもって彼が求婚したことにしようという作戦なのだ。慰安旅行の時ハダカを覗かれた件と合わせて責任を取れと迫れば、横島に断るすべはあるまい。彼はタマモと恋人同士ではあるが、自分のこともそれなりに好いてくれているのだから。
 むろん名を聞かれても嫌なら教えなくていいのだが、わざわざ問うよう誘導するつもりでいるのだから拒む気などはまったくない。

(横島さんに竜神界に住めとかタマモさんを追い出せとか言うわけじゃありませんし、構いませんよねえ。第一横島さんとタマモさんは法律婚はできないんですから)

 メドーサや南武グループのことなど完全に忘れ果てたっぽい小竜姫の明日はどっちだ!?


 ―――つづく。

 小竜姫さまの本名と通り名についての話は本作の独自設定ですが、創作上の都合ということでご了承下さるとありがたいです。
 しかし今回はギャグとシリアスが変な感じに入り混じってるような……まだまだ未熟ですなorz
 次は番外編03かな?
 ではレス返しを。

○風来人さん
>ピート
 彼は人格的にアクが少ないですからねぇ。横島も峯も早苗も濃いので、意図的に出してやらないとすぐ埋まっちゃいます(^^;
>幼なじみの彼女もライバルが多いと言っていましたし
 そうなんですよねぇ。つまり横島君は子どもの頃は人間に好かれてて、大きくなったらモノノケに好かれるようになったって……どこまで変なヤツなんでしょw
>カリンは横島君からどの位離れられるんですかね?
 具体的な距離制限は特にないですー。原作では幽体離脱で宇宙まで行ってましたし。
 まあカリンは心配性なので、用がなければあんまり遠くには行きませんけどw

○@okiさん
 は、横島君は順調に成長してます。またしても小竜姫さまを泣かせるくらいに(笑)。
>その統合と解放はあるのでしょうか?
 竜珠は2つとも横島君の一部ですからねぇ。フュー○ョンはあるかも知れませぬ。
>周りの皆がいるときは、はしたないので自重したほうが良いかもしれませんよ
 クラスメイトにバレたら大変ですしねぃww

○遊鬼さん
>ちゃんと宮司のすることについて聞いてます
 聞いてるのは横島じゃなくてカリンという所がミソですが(笑)。
>本格的に竜神化してきましたね
 すべては煩悩のなせる業ですな。
 筆者もそんな彼が大好きです(ぉ

○アラヤさん
>神になることはバレてないからバレたときの反応が楽しみですなー
 こっちはそう簡単に洩らしませんが、キヌや愛子はともかく美神親子が怖そうです(笑)。
>タマモが悔しがりそうな
 いあ、タマモはカリンにはあまり嫉妬しないですよー。横島の一部として見てやってますからw
>敗けるな小隆起さま
 ええ、雄々しく立ち上がりましたとも!

○ばーばろさん
>額面どおりの言葉には受け止めないでしょ、峯さんは
 わざと曲解しますな、絶対w
 横島も自分が混じれるのならあまり文句言わないので、カリンはちょっとピンチかも知れませんww
>能力の使い道の方向を間違えてる気がしますが
 いあいあ、傾国の美女としてはまさに最も順当な能力の使い方なのですよー。
>小竜姫さまが泣くでしょ
 泣きました。考えてみればヒドい話ですからねぇ。
 でも小竜姫さまは強い子ですから、泣きっ放しでは終わりません!
>銀ちゃんも出番あり?
 は、どんな出方になるかはまだ決まってませんがー!
>ヘタな商業誌や駆け出しのお笑い芸人より面白いので
 過分なお言葉恐縮ですー! 今後とも精進するのでよろしくです。
 現在の目標は150話です。書き始めた頃は中編くらいの予定だったのですが(^^;

○whiteangelさん
>横島&タマモ関係がおキヌちゃんにバレタ?
 まだばれてはいませんが、もはや時間の問題かも知れませんです。
>仕事に逝かせればタマモ&カリンもLovePowerが上がるのに勿体無いなぁ
 もともと仕事のために会得した能力じゃないですからねぇ(笑)。

○KOS-MOSさん
>栄光の手を没収する方法がまったく違和感がありませんでした
 ありがとうございますー。唐突に取り上げちゃったんで反応がちょっと不安だったのですが安心しました。
>手に入れた竜珠をスカートめくりのために早速使いこなしているのはとても横島らしいと思いました
 子どもの遊びもやたら上手なヤツですからねぇw
>峯さん
 そのうちまた出て来ることでしょう。何しろ女横島の異名を持つ娘ですから。
>コレを小竜姫様が知ったたら,,,,,,,,,,タノシソウダネッ!!
 早くも知られました!
 果たしてこれはピンチなのかチャンスなのか(笑)。

○読石さん
 横島君は感情表現が素直で大仰ですからねー。安心して付き合えるってのもあるんでしょうな。セクハラにさえ気をつければ(ぉ
>今は伝説の妖狐と竜神一歩手前で格も十分釣り合うし、素で凄いな横島君
 おかげで小竜姫さまもその気になってしまいました。どうなることやら。
>ダメな意味でも凄いぜ横島君
 それでこそ横島ですから!

○Tシローさん
>横島くんが近接にこだわる理由はないですもんね
 カリンも前衛型ですからねぃ。彼自身もどつき合いは好きじゃないでしょうし(笑)。
>竜珠での援護も攻撃と防御の両方こなせそうですね
 使い方次第でいろいろできそうです。横島君に任せておくとロクなことしなさそうですが(^^;
>横島とカリンの同期合体
 すっげぇ凶悪なスペックになりそうですな(汗)。

○通りすがりのヘタレさん
>横島君の煩悩は、初見の能力すら使いこなす!
 何気に多才なヤツですからねぇ。両親の遺伝子を正確に受け継いでるようです。
>おキヌちゃん
 今回はフラグに変化なしでした。ライバルが増えて先行きは厳しそうですけど。
>彼女の魔の手からカリンは逃げ切ることが出来るのだろうか
 今回は逃げ切りましたが、戦いはまだ始まったばかりです!
>そういえば横島君は後衛タイプで育っていたことを思い出して驚きつつ
 影法師使いの本体は霊的に無力な上にフィードバックが来ますから、前衛で切ったはったするのは元々向いてなかったりするんですよね(^^;

○Februaryさん
>除霊部合宿、各地でフラグが立ったり折れたり、忙しいナァ
 そして終わったとたんに南武の仕事が入ってくるという、まさにトラブル引き寄せ体質です。
>ガンバレ峯さん!
 なんと、彼女にそんな応援団がいたなんて!
 調子に乗ってルパ○ダイブとかやり出したらどうするんですか(ぉぃ
>諜報員志望がそれじゃダメだよ〜 でも可愛いww
 彼女も煩悩で駆動するタイプですからw
>最早小竜火は「ツッコミ専用」なのですね
 言われてみれば除霊で使ったのはたったの1回……これでいいのか竜神様w

○トトロさん
>横島本体まで小竜姫ちゃんを竜神として越えましたか
 おかげで小竜姫さま大ショックですw
>二柱ほど新しいハイスペックな竜神を育成したと言う事で
 そうですねぇ。旦那候補もできましたし、泣くことなかったかも知れません。
>タダスケさんが登場しないと、横島は痛い目に会うのですね
 どう成長したところで横島は横島ですから♪

○鋼鉄の騎士さん
>きっとショックのあまり殺られるぞ!
 小竜姫さまは横島君にめろめろなので、殺ろうなんて思いませんですよー。人生の墓場には連れてかれそうですが!
>あの頃の純真な小竜姫様カムバーーーーック!
 ほんとですよねぇ。すっかりスレてしまって筆者も悲しいです<マテれ
>感動の再会
 横島の方から見ると悔しさだけのような気も致しますがw

○ルーエンハイムさん
>おキヌちゃん
 今回は進展ありませんでしたが、霊能部もできる事ですしがむばってほしいものです。
>あの出会いは十分感謝してもいいんじゃないのか?
 確かに横島じゃなかったら逃げられるか祓われるかしてたでしょうけど、あの時は襲われてますしねぇ(笑)。
>銀ちゃん、夏子
 原作通りの出し方じゃつまりませんし、セットでというのも良いかも知れませんねぇ。
>竜珠の使い方
 文珠と違って消耗品じゃないので、さらにお気軽になっております。

○山瀬竜さん
>『最初にすることがスカートめくりかよ!』
 この行動はかなりインパクトがあったみたいですねぇ。物書きとして満足であります。
>霊能力を越えてなんか凄いって感じですね。
 恋人たちのためにもますます頑張ってほしいものですな。
>小竜姫様
 何かもうぶっ飛んじゃいました、いろいろと(^^;
>逆鱗を触られた横島君の暴走が、なぜかお姉ちゃんたちを追い掛ける姿しか思い浮かばないのは
 小竜姫さまは武神ですけど横島君は色情神ですからねぇ。
 背中に鋼鉄製の保護バンドとか付けられそうですw
>『武道館で美女に囲まれてジョニー・B・グッド』
「美人の嫁さん」よりさらに難度の高い夢ですよねぇw
 でも完全な竜神様になって農業団体とかに信仰してもらえばできちゃったりするかも知れませんな(ぉぃ

○UEPONさん
>数年後の話なら名前で呼ぶんじゃないかな〜とか思ったり
 うーん、確かにそれはありますねぇ。
 たぶん「忠夫(はーと)」なんて呼んだらその場で襲われるからじゃないでしょうか。
 いえ、そういうこと考えてなかったからじゃないですにょ!?
>銀一と夏子に出番はあるか?
 150話までには出してやりたいと思っておりますー。
>あと五つで七つ集ま(ry
 7つ揃ったらカリンが竜身変化を習得するということでしょうかw
>ヤマタノオロチは? アレも竜の一種ではないかと
 そういえばそんなのも居ましたねぇ。でもあれは剣を武器として使ってるわけじゃないですから(^^;
>最後のとどめはカリンちゃんが直接横島君にすればよいのですw
 なるほどー、そこまでやれば横島君も完全にKOですな。
 まあ彼のことですから、何回負けても3(ぴー)や4(ぴー)はやめるなんて言わないでしょうけどw
>タダスケさんが吸収して変換、文珠作成するはやさの方が重要だと思います
 うーん、この辺の具体的な所要時間までは設定してなかったですねぇ。
 まあタダスケさんは霊術もできる人ですし、半日もあれば15個作れるということにしておきますです(^^;

   ではまた。

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