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「『最強の』後継者その7(GS)」

ラッフィン (2007-08-18 01:15/2007-08-18 01:17)
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「ん・・・ふぁ〜!!」
「おはよう。よく眠れたようね」
「ん。おはよう令子。って、なんでそんなにニヤニヤしてるのよ?」
「ふふふふ、自分の状態を見なさい。これが笑わずにいられるかってのよ」
「え?あ!!

眠りから目覚めたエミ。すると先に起きていたらしい令子から挨拶される何故かニヤニヤ笑いつきで。なんでかわからないエミだったが、令子から指摘され昨日のことを思い出す。自分が忠夫の腕に抱きついてその心地よさにいつの間にか寝てしまっていたことを。
慌てて腕を放し起き上がるエミ。

「ずっと抱いててよかったのよ〜?」
「う、うるさい!!」

さすがに今回は令子が有利であった。それから冥子も忠夫も起き、谷川さんが朝食を運んでくる。
旅行二日目はいかだに乗っての川下りの予定である。川下りといっても激流を降りていく過酷なものではなく、船頭さんが長い棒でゆったりと漕いでくれるものであるが。

「あ!魚が跳ねたよ!!」
「どこどこ〜?」
「ちょっと、あんた達。もう少し落ち着きなさい!!」
「子供かっての!」
「滝だ〜」
「水しぶきが冷たくて気持ちいいわね」
「あ、虹がかかってるよ」
「本当だ。綺麗ね」

騒がしいけど仲良く川下りを楽しんでいる忠夫達に船頭の人も微笑ましそうに船を漕ぐのだった。川下りを終えた後、魚料理を堪能し、午後一杯をまた川辺で水遊びをして過ごす。
釣りをしたり、笹で作った船を流したりといろいろ遊んだ。ここで活躍したのが忠夫だ。女性なので釣り経験が少ない3人にいろいろと教えてあげたり、笹船をバリエーション豊かに作り上げたりと3人を感心させる。
そんなふうに過ごしていたら、いつの間に夕方になっていた。楽しい時間は過ぎるのが早いとはこのことだ。旅館に戻り夕食をとるとお風呂へ。今回は忠夫と女性は時間をずらして入ったのは余談である。それについてホッと安堵する忠夫だったが、一緒に寝ることは回避不能であった。

「じゃ、おやすみ〜」

今日も令子は先に眠ってしまったようだ。冥子とエミは今日は忠夫も交えて談笑している。

「釣りは楽しかったね〜」
「たくさん釣れたからね」
「令子と同じ数だったのは悔しかったけど・・・」
「あはは。そんなこともあるよ」
「あんたは一番釣ってたわね?コツを教えなさいよ」
「コツっていってもね〜。ただ普通に釣りをやってただけなんだけどな」
「でも〜、たくさん釣ってたわよね〜?」
「そういう冥子姉さんだって結構釣ってたよね?」
「そういえば!あんたにも負けたのよね・・・」

ちなみに釣果は1位忠夫、18匹。2位冥子、13匹。3位同着で令子、エミ、5匹。という結果に終っている。そりゃエミが悔しがるのは当然の反応だ。
まぁ、釣れただけマシという意見もあるだろうが。

「忠夫く〜ん♪」

スリスリスリスリ・・・

「め、冥子姉さん!?」
「また、やってるわ。昨日もやってたのに・・・」
「昨日も!?ちょ、ちょっと冥子姉さんやめて!」
「私のこと嫌いなの〜?」
「いえ、好きです・・・」
「じゃぁ、問題ないわね〜♪」

スリスリスリスリ・・・

「うぅ〜・・・」

冥子の頬刷り攻撃の恥ずかしさを必死に耐える忠夫。その顔を赤くして俯きながら耐える姿は男は言われて複雑であろうが、可愛いの一言に尽きるのだった。
そんな様子をエミは呆れたように見ている。ただ、呆れているのは冥子の行動ではなく忠夫の言動であった。

「ねぇ、忠夫?」
うぅ〜・・・って何?エミ姉さん」
「あんたさっき好きって断言したわね。普通なら嫌いじゃないって答えるのに」
「あ!!///」
「(ニヤニヤ)ごちそうさま。まぁ、冥子は気付いてないというか、あまり効果がなかったみたいだけどね」

どうにもこの旅行では忠夫は姉達に振り回されっぱなしである。今回もエミにからかわれてしまったのであった。

「ふぁ〜。眠くなってきちゃったわ〜。私もそろそろ寝るわね〜」
「うん、おやすみ。姉さん」
「おやすみなさい〜」
「おやすみ冥子」

忠夫の腕を抱いたまま眠りにつく冥子。何を言っても無駄だと悟っている忠夫は何も言わずにいた。

「冥子も眠っちゃったし、私達も寝ますか?」
「そうだね。キリがいいしね」

冥子が眠ったのがキリがよかったのでエミと忠夫も眠ることに。ふと、眠りにつくために態勢を整えていたエミの手が忠夫に触れてしまう。

「あ・・・ご、ごめん」

何か照れくさくて慌てて手を引っ込めるエミ。そんなエミに忠夫は優しく笑いかけそっとエミの手を握る。

「別に手が触れたくらいで謝らなくていいじゃない。こうやって手を繋いでもいいしね」
「!?」
「そんなに固まらなくても・・・昨日も繋いでたんでしょ?」
「な!なんでそれを!?」
「うぃ!さっき令子姉さんから聞きました」
「令子・・・明日覚えてなさい!」

令子に復讐を誓うエミ。それはともかく今は寝ようと眠りにつこうとするが、忠夫の手が離れてないことに気付く。

「ね、ねぇ。手・・・」
「ん?手がどうしたの?」
「離さないの?」
「まぁ、たまにはいいじゃない。姉弟のスキンシップだよ」
「・・・まぁ、いいけどね」

忠夫の言葉に納得いかないように返すも、内心では何故かわからないが忠夫の手のぬくもりに妙に安心している自分に気付く。でも、それに気付かれるのは癪なので表には出さない。
本人はわからないようだが、これは幼いころに両親を亡くしてしまった事が影響している。親の愛情を受けて育つ時期に両親を亡くなってしまったため人のぬくもりに飢えているのだ。今でこそ、横島夫婦の愛情を受けているが成長してしまった今となっては素直に甘えられないでいる。なので、今みたいに手を繋いでいるときに普段意識しないでいることが湧き上がってきたのだろう。
そんなことには気付かずエミは不思議な安心感を抱きながら眠りにつくのだった。
そのころ、フミさんは?

ザッザッザッザッザッザッザ・・・

一人の黒服が必死の形相で走っている。いや、逃げ去っているといったほうがいいか?恥も外聞もなく男はただひたすらに逃げている。自分を追ってきているメイド服の死神から逃れるために。生きるために。しかし、現実は時として残酷だ。
音もなく忍び寄ったフミの一撃を背中に受けてすっ飛ばされる。

「うわぁあああああああああああああ!!」

だが、生存本能がそうさせたのか?鍛えられた実戦の勘がそうさせたのか?すっとばされた男だったが、地面を転がり素早く体を起こすと銃を乱射した。

ズガガガガガガガガガ!!!

しかし、すでにそこには死神の姿はなく銃声があたりに虚しく響くだけである。呆気に取られた男だったが、すぐに周りを警戒しキョロキョロと見回す。
そして、その姿を見つけることができたのだが、その瞬間顔が青ざめる。
なぜなら、見つけたのは男の目の前であり、その死神は態勢を低く構えていたのだ。つまり、死神の鎌を振り下ろされる直前であったのだ。その鎌は無慈悲に振り下ろされた。ただし、今死神が持っている得物はトンファーであるが。

「無駄無駄ぁあああああああああ!!」

ギュルンギュルンギュルン

トンファーを高速回転させて腕が唸る。下から突き上げるように。

「円殺(えんさつ)!轟鉤棍(ごうこうこん)!?」

「ぎゃあああああああああああああああ!!!」

その死神は倒した男を見向きもせずに次の獲物をしとめに向かう。死神―フミ―の戦いはまだまだ終らない。

――3日目――

用意された朝食を食べようとしたときである。谷川さんから近くの寺で行われる縁日の話がされる。

「縁日ですか?」
「そうよ〜。今日は近くの神社でお祭りがあるのよ〜」
「そうなんですか。予定は決まったわね」
「うん、祭りにいってみよう」
「私〜、わたあめが食べたいの〜」
「ま、いいんじゃない」

というわけで今日の予定は神社で行われている祭りにいってみることになった。
朝食を食べ終えたので谷川さんが食器の片付けにきたときのこと、ふと谷川さんが令子、冥子、エミ、忠夫の四人に話しかける。

「お客様〜?神社のお祭りに参加されるんですよね〜?」
「ええ、そう思ってますけど・・・」
「なら〜、ちょうど浴衣があるんですけど〜着てみませんか〜?」
「え・・・でも「遠慮なさらないで下さい〜。私の娘のお下がりですので〜。ただ〜、お下がりなのでお客様の好みに合わないかもしれないのでこちらのほうが申し訳ないと思いますけど〜」」
「そ、そんな。私達は貸してもらう立場なんです。贅沢は言えませんよ。それに浴衣って着てみたかったので嬉しいくらいです」
「そういってもらえると助かります〜。では〜、しばらくお待ちください〜。浴衣をお持ちします〜。それと着付けのほうもやらさせていただきます〜」

といって食器を持って部屋を出て行った。最初は至れり尽くせりなサービスに戸惑っていた令子達だが、わざわざ貸してくれるというので素直に好意を受けることに。それに浴衣を着てみたい気持ちはあるのだ。顔が緩むのは仕方ないだろう。

「うわ〜、綺麗〜」
「本当にいいんですか?」
「ええ〜、お下がりですもの〜」
「いや、これって新品にしか見えないんですけど・・・」
「大事な娘の浴衣ですから、大事に大事にしまって置いたんですよ〜」

数十分後に浴衣を持ってきた谷川さんが部屋へと入ってくる。持ってきた三着の浴衣はそれぞれ、黄色を基調として菊の花をあしらった明るい色合いのもの、青紫を基調としてアジサイをあしらった落ち着いた色合いのもの、薄ピンクを基調として藤の花をあしらった可愛らしい色合いのものの三着であった。
どれも新品のように皴もないし、変なシミもついてない綺麗な状態なのに不思議に思ったが一目で気に入ってしまい、谷川さんに手伝ってもらって早速着てみる。

「すご・・・似合ってる」

3人の浴衣を見ての忠夫の言葉である。その様子は唖然として時がとまったように固まりながらなんとか発した言葉であった。それほどまでに似合っていて、言葉では表せないようだ。つまり、忠夫は3人の浴衣姿に言葉を失ってしまっていた。
そんな忠夫の様子を姉3人は満足気に見つめるのであった。

「さあさあ〜、お客様〜、固まってないであなたも着替えるんですよ〜」
「え?俺もっすか?」
「そうよ〜、ただあなたのは私の夫のものになってしまうんですけど〜」
「いや、俺はいいですよ」
「お姉さんが浴衣姿なんですから〜、あなたも浴衣姿になんなきゃ〜」

忠夫の拒否の言葉をすっぱりと流して、少々強引ではあるが忠夫にも浴衣を着せていく谷川さん。夫のというだけあって、忠夫には少々サイズが大きかったようだが、着れないわけじゃないようで谷川さんのちょっとした工夫で問題なく着こなすことができた。
忠夫の浴衣については省略させてもらう。しいていえば、可もなく不可もなくである。

「さて、まずは何をしましょうかね?」
「食べ物って時間でもないしね〜」
「じゃ〜、射的がやってみたいの〜」
「ん?いいんじゃない?意見もないみたいだしさ」
「そうね」

縁日にやってきた忠夫達。お昼にはまだ早い時間であったためにまずは遊ぶことになり、冥子の案で射的に向かう。
余談ではあるが、冥子、令子、エミの3人は神社についてから間もないうちに、そこに来ていた男達の視線を集めに集めまくっている。彼女持ちのはずの男や中年の親父の視線までも。この日を境に別れるカップルが急増すること間違いなしである。

「そこの美人のお嬢さん達、どうだい?射的で遊んでいかないかい?」

射的を求めて歩いていた忠夫達に声がかかる。ちょうど求めていた射的の店の人からだ。とりあえず、覗いてみることに。

「おう!5発300円だ。どうだい?遊んでいくかい?」
「ん・・・やってきましょうか」
「そうね」
「よ〜し!当ててみせるわ〜」

値段も悪くないというか安いので迷うことなくやってみることに。

パン!

パン!

パン!

パン!

パン!

「あや〜、残念だったねお嬢さん達。」
「やっぱ難しいわね・・・」
「もっと角っこを狙わないと落ちないわ」
「うぅ〜!!」
「令子、どっちが多く落とすか勝負よ」
「いいじゃない。受けてたつわ!」
「「おじさん、もう一回!」」
「私も〜!」
「あいよ!」

3人とも5発を撃ちつくすも賞品をゲットすることができなかった。
負けず嫌いである令子とエミはもう一度挑戦する。そして、冥子も欲しいものがあるらしく、珍しく悔しがって再挑戦することにしていた。だが・・・。

「3つか。こんなもん?」
「くっ・・・二つよ。で、でも!私のほうが大きいものだから私の勝ちね!」
「何言ってんのよ。令子。この勝負はどっちが多く落とすかよ?大きさは関係ないわ」
「ああ?そっちこそ何言ってるのよ!そんな小さいものなら誰だって取れるわ!」
「なんですってぇ!」
「ならもう一度やってみる?」
「やってやろうじゃない!今度は完膚なきまでに叩き潰してあげるわ!」
「言ってなさい。おじさんもう一回!」
「私もよ!」

一度やってみてコツを掴んだらしく令子とエミは2回目のトライには賞品をゲットできるくらいになっている。この二人は問題ないみたいであるが、問題は残りの一人であった。

パン!

「うぅ〜・・・なんで当たらないの〜?」

冥子は計10発を放ったが賞品を落とすどころかかすってすらいないのだ。それも一回もである。まぁ、それも当然だろう。令子とエミは幼いころに射的をやった経験があったのだが、冥子は初めてのことであったからである。さすがに横島家に預けられていたから縁日にきたことはあったのだが、専ら食べるばっかりで射的などは見てるだけ、欲しいものは大樹や百合子にとって貰っていた。それであるために冥子は撃つ態勢がただつったって銃を構えているだけというものであり、これでは当てるのは難しいだろう。
そんな冥子の様子に見かねて、忠夫が動く。

「冥子姉さん」
「忠夫く〜ん、当たらないの〜!」
「ん〜、姉さんは撃ち方が少し違うんだよ」
「そうなの〜?」
「うん、ちょっと構えてみて。俺がそれから姿勢を直してあげるから」
「わかった〜」

忠夫に言われてさきほどのように銃を構える冥子。その間に忠夫は店主のおじさんに300円を払い、弾をもらう。そして、弾を冥子の前に置くと自分は冥子の後ろに周った。

「た、忠夫く〜ん?」
「嫌かもしれないけど、少し我慢してね?」
はぅん・・・・嫌じゃないから〜大丈夫よ〜」
「そう?じゃ、欲しいものを狙ってみて?」
「ぽ〜・・・」
「ね、姉さん?」
「あ、う〜ん。狙ってみるわね〜」

忠夫は冥子の腰に腕を回し、銃の引き金を引くほうの腕を取り冥子を前傾姿勢にする。いきなりのことに冥子は驚いたが、すぐに身を任せた。忠夫の言葉が耳元で囁かれ、その吐息を感じてしまい艶っぽい息を吐いてしまったのは秘密である。
背中に感じるぬくもりと回された腕の逞しさにドッキドキであるが、対する忠夫もいっぱいいっぱいであったりする。
女の子特有の柔らかさと甘い香りにクラクラしてしまう。さらに後ろにいるため普段は見えない冥子の白いうなじが見えてそれが色っぽく見えてしまい忠夫の心を一日目の混浴のとき同様に追い詰める。だが、ここは縁日である。見知らぬ人が大勢いるために忠夫はなんとか本能を抑え、冥子に射的のコツを教えることができたのだった。

パン!・・・ポトッ

「きゃ〜♪取れた〜!!」

そして、忠夫の教えを受けた冥子は8発目にして初の賞品ゲットをしたのだった。
ちなみに令子とエミの勝負はというと。

「どうよ。4つよ!」
「はん!私なんてゲームをとったのよ!!」

「大物ゲット〜!!私の勝ちね!」
「甘いわ!私はパーフェクトよ!」

ということで結局引き分けというか決着をつけることができなかったのである。
それから、食べ物を食べ歩いたり、くじ引きで運を試したり、輪投げで遊んだりと縁日を満喫する忠夫達。そこで再び令子とエミの戦いが勃発する。今回は何故か忠夫と冥子も巻き込まれながら。

「次はこれで勝負よ!射的、輪投げと引き分け続きだったけど・・・これで勝負を決める!!」
「金魚すくいね・・・望むところよ!私が勝つ!」
「いってなさい!!」

今まで2回の勝負をして、2回とも引き分けで終っている二人は燃えていた。二人とも負けず嫌いである上にはっきりしないことは嫌いであるために決着がつかないことに納得がいかないのだろう。
そんな燃えている二人の横で、冥子は純粋に金魚すくいを楽しみにしている。しきりに忠夫に金魚すくいのコツを教わっていた。忠夫も過去にやった金魚すくいを思い出し冥子にコツを教えている。今回、忠夫も結構やる気になっていた。

「そこ!!」

「もらったわ!!」

「それ〜!」

「あらよっと!」

四人が金魚すくいを始めた後、その店には人が集まり野次馬がすごい数になっていた。その原因は忠夫達であるのは言うまでもないことであるが、別に令子達の美貌に惹かれてきたわけではない。では、何故か?それは青い顔をしている金魚すくいの店主が全てを物語っている。

「よっし!28匹目!!」

令子は大胆に!

「甘いわ!私は29匹目!」

エミは鋭く!

「やった〜!またとれた〜!」

冥子は柔らかく。

「おりゃ!」

忠夫は慎重に。

「あわわわわわわわわわわ!!」

瞬く間に金魚が減っていく、それに伴って忠夫達のおわんには金魚が増えていく。店主はもう真っ青を通り越して土気色になっているが、忠夫達はとまらない。ちなみにおわんに入らなくなったので新しいのをもらい、すでに3つ目に突入していたり。こんなに取ってどうするんだ?という意見もあるだろうが、彼女達は負けず嫌いだ。故に勝つまでやめられない、否。やめるわけにはいかないのだ。忠夫と冥子はただ、純粋に取れたことが楽しいので破れるまではやめないだけであるが。
そんな凄腕の金魚すくいの達人にいつしかギャラリーも増えに増えて大所帯になっていた。

「すげぇ!なんだよ、あいつら?」
「おお!また取ったぞ!!」
「おい、見ろよ。店主が泡吹いて倒れやがったぜ」
「衛生兵!衛生兵〜〜〜〜!?」

ついには店主は泡吹いて倒れてしまったが、忠夫達の手はとまらない。すくい上げた金魚はすでに50匹を越す。残っている金魚も片手で数えるほどしかいないときたもんだ。それをたった一回のチャレンジでやられたもんだから店主としてはたまったものではないだろう。倒れてしまったのも頷けるというものだ。

「残り少なくなってきたわね」
「見た限り数は同数・・・つまり、ここが正念場!」

令子とエミはここが勝利への鍵になると悟る。しかし、あらかたすくい上げてしまった現状では残っているのは令子達の手を逃れた金魚だ。つまり令子達の手が届かないところを泳いでいる金魚しかいない。そのために勝負を掛けたくても手が出せないのだ。さっきまでの怒涛の連続すくい上げから一転して、静寂と集中が支配する緊迫感溢れる場と化してしまった。見ているギャラリーまでもその少女達の一挙手一投足を見逃さぬように集中し、静まり返る。全ては金魚の泳ぎに委ねられたのだ。
そして、何時間にも感じられた緊迫感あふれる場が動き出す。

「「もらった〜〜〜!!!」」

残りの金魚達が思い思いの方向に泳ぎだしたのだ。金魚の泳ぎから進行経路を予測して腕を動かす。先に動いたのはやはり令子とエミであった。
射程内に入ろうかという金魚めがけて二人の腕が唸る。
反応、初動作、速さ、全てが同時、同速。唯一違うのは予測した金魚の進行経路だけ。よって勝敗を決めるのは?金魚だ。
あおの金魚は令子の予測した方向に向かう。それを見た令子は”勝った”と思い、エミは”しまった”と思った。見ていたギャラリーも黄色の浴衣の美女の勝ちだと思っただろう。しかし、勝負は最後までわからないものである。

「「え?」」

令子の予測通りに進んでいた金魚が突然反転したのだ。その予想外の事態に呆然としてしまい、腕をとめることも忘れてただ金魚を見送ってしまう。そして、その金魚は・・・。

「とった〜」

隣でじ〜っと金魚が来るのを待っていた冥子にとられたのだった。ちなみに腕をとめるのを忘れた令子は?

バシャ・・・ビリ!

「あっ・・・」

見事に紙を破いてしまっていた。もちろん、令子と同時に腕を出していたエミもである。そして、冥子が金魚をとったとき。この冥子達が来るまでは何十といた金魚は一匹残らずすくい上げられたのだった。
さて、気になる勝負の結果は・・・。

1位忠夫、57匹
2位冥子、55匹
3位同着、令子、エミ、54匹

である。冥子は最後の一匹をとったから令子、エミより多いのはわかる。でも、忠夫は?という疑問が浮かぶ人もいるでしょう。しかし、前の文を読めばわかるとおり、”片手で数えられる数”の金魚が残っていたのです。つまり、一匹だけではなかったのですよ。勝負はちゃっかりと残りの金魚をとった忠夫の勝ちであった。

「また、勝負がつかなかった・・・」
「しかも、冥子に負けてるし・・・」
「楽しかったわね〜。忠夫く〜ん」
「そうだね。結構、熱くなっちゃったな〜」

意気消沈している令子とエミを背に、忠夫と冥子は仲良く楽しげに旅館へと帰る。こうして3日目が過ぎていったのだった。


「これで最後です!」

フミは六道SSの最後の一人、リーダーを倒した。時刻はすでに深夜を回っていてどんなに急いでも到着は早朝になってしまうだろう。それが2日目や3日目だったらまだいい。現実は4日目、つまりは忠夫達が帰る日なのだ。愚痴の一つも言いたくなる。

「全く、あなた達のおかげで私と忠夫様の甘く淫らな旅行計画が台無しじゃないですか!乙女の恋路を邪魔するなんて、女性に嫌われますよ?実際、私はあなたが嫌いですが」

こっちも好き好んで邪魔をしているわけではない!と叫びたいが鳩尾をトンファーで強打されているために呼吸が困難になっていてまともに言葉を発することができない。そう、彼らはプロである。どんな困難なことを言われても達成しなければならないのだ。そうでないとお金がもらえないから。でなきゃ、こんなことなどしない。
そう言いたかったが、彼がなんとか紡いだ言葉は別のことであった。

「あなたは・・・乙女って・・・年・・・じゃ・・・あ!」

弁明よりも先に本音が出てしまった。己の失態を悟ったリーダーは咄嗟に口を閉じるがもう遅い。しっかりとフミの耳に届いてしまっている。第三者がいたら、リーダーの肩に手を置いて素敵な笑顔を浮かべてサムズアップをしている死神が見えただろう。

「そんなに死にたいんですか・・・なら、望み通りにしてさしあげます」

静かで、低く、暗い声が彼の耳にははっきりと聞こえた。リーダーを倒したときにトンファーをしまっていたのでフミは素手であるが、その手の関節を鳴らしながらゆっくりと近づいてくる。彼の心は処刑台に上る囚人のような心境かもしれない。せめてもと、彼はフミにこう囁いた。

「せめて苦しまないように一撃で決めてくれ」
「嫌」

だが、フミの返事は非情であった。彼の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。

「IT’S SHOW TIME」

フミは呟いた直後、リーダーの側頭部に手刀を叩きつけ、膝蹴りを連続で叩き込み、掌をもう一方の掌に重ね、掌底打ち抜き、相手の袖と襟を掴み、自分の腰を相手の腰の下に入れて浮かせた後、袖を引っ張り肩越しから真上に投げる。
さらに、落下してきたリーダーの胸部を肘を水平に打ち抜き、頭部に向けて打ち下ろし、アゴへと打ち上げる三連撃。そして、トドメとばかりに充分に勢いをつけた拳を上方から叩きつける。
リーダーは白目をむいて気絶していた。後に病院に運ばれたが全治8ヶ月の重症であったらしい。彼は退院すると速攻で辞表を提出し走り去ったという。

「おお、神よ!これも、忠夫様への愛を貫くための試練なのですか・・・」

男を倒したフミはそんなことを呟いていた。


あとがき

百合子の旧姓、紅井の読み方がわからない〜!!ラッフィンです。

今回は長くなってしまったために途中で切ってしまいました。本当なら旅行編は今回で終らせるはずだったんですけどね。予想以上に長くなってしまいまして・・・。

さて、最後にフミさんの放った技ですが・・・。
最初が空手の「手刀横顔面打ち」、次がムエタイの「連続ティーカオ」そして、中国拳法の「単把」、柔道の「背負い投げ」と続きまして、ムエタイの「ティー・ソーク」3種(トロン→ボーン→ラーン)、空手の「拳槌打ち」とつなげました。

では、次回は旅行編最終章!
果たしてフミは無事に合流できるのか?
全てはフミ次第だ・・・。の巻きw

一言、ゴスロリとメイド服ってなんか似てないですか?


レス返しです。


え〜に様

あれ?私の記憶が正しければお久しぶりのはずなのですけどw

フミさんはこの作品にはなくてはならないキャラですので帰ってきますw


meo様

すいません。まだ合流できません。

私の周りでは8きり上がりはありだったのでつい・・・。地域によってはルールが違うので混乱してしまいますよねw


鹿苑寺様

私自身はそのネタはあまり知らないのです。友人がそのネタが好きで詳しいのでそれを聞いているうちにちょこっと覚えた程度なので・・・。

私は振袖、浴衣属性です。
でも、+αってw


Tシロー様

谷川さんwどうでしょう〜www

私の書くフミさん=壊れ?
これはテストに出ますよ(笑)

今回は忠夫の冥子ちゃんは女の子♪という意識を高めるイベントにしてみました〜wいかがでしょ?


内海一弘様

ふふふふwどうでしょうね〜wwww

六道SS、意地を見せましたwしかし、彼には可哀想なことをしてしまったような・・・。
彼に幸あれw


DOM様

冥子のことだから、令子達と一緒に入るだろうと考えてあんな展開になっちゃいましたw

ゲシュペンストキックも考えたんですけどね。問題が一つだけあるんですよ。
スカートだから、ゲシュペンストキックやっちゃうと中身が丸見えにwこれは問題があるということで没になりました。


風彌様

>時速何舛覗ってるんだ
知りたいですか?

あなたはもうFFF名誉隊員だw

フリーズはとまりましたか?


HEY2様

谷川さんは・・・うふふふふw

フミさん合流はできませんでした。次回こそは!?


かぶお様

そうなんですか?知りませんでした。でも、変装なんで多少おかしくてもバレなければいいんです。

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