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「想い託す可能性へ 〜 じゅうろく 〜(前編)」

月夜 (2007-08-10 18:22/2007-08-13 19:51)
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 ※前編は絡みはありますが十五禁です。

     想い託す可能性へ 〜 じゅうろく 〜 (前編)


 (時空震を感知っ。 空間歪曲を観測! 空間歪曲周辺に結界を展開!! って、あ……)

 人工幽霊壱号は自分の中に時空震を感知して、直ぐ様結界を空間が歪曲している周りに展開した。

 結界が展開し終わった瞬間、空間に穴が開いたと思ったらその中から男が勢い良く吐き出されて、結界に貼り付いた。 “べちゃっ”という音が聞こえそうな光景だった。

 「ぐぇ……。な…なんでこんなとこに結界がっ」

結界に沿ってズルズルと落ちた忠夫は、顔を両手で抑えながらゴロゴロと床を転がる。

 しばらく痛みに転がっていた忠夫は、ようやく痛みが引いてきたのかむくりと立ち上がって室内を見回した。美女や美少女がいないと、回復は瞬時とはいかないようだ。

 それでも、常人よりも回復が早いのはさすがと言おうか。

 (イテテテ。あれ? なんで事務所? 確か俺は、令子の病室をイメージして文珠を発動させたはず。なんでだ?)

 『お帰りなさいませ、横島さん。   どうされましたか? 不思議そうな顔をしていますが?』

 人工幽霊壱号は、結界にぶち当たった忠夫を無かった事にして、彼に話しかけた。それでも動揺しているのか、言葉始めに女性口調が出てしまっていた。

 執務室のテレビの画面にでっかい漫画汗が浮いているのは、彼女の焦りを表しているのだろうか?

 「ん? ああ、いやなんでもない。どうやら文珠の制御をミスって、出現場所を間違えちまったようだ。って、こうしてはいられないっ。人工幽霊壱号、令子はまだ病院か!?」

 『えっ? ええ、そうです。オーナーは白井総合病院にまだ居られますよ』

 「そうかっ、ありがとな! んじゃ、行ってくる!!」

 『あ、ちょっと……。行ってしまわれましたわね。どうしたというんでしょう?』

 人工幽霊壱号の答えに忠夫は破顔すると、彼女の制止の声も届かない素早さで部屋を出て行ってしまった。

 『とりあえず、オーナーには連絡を入れておきましょう』

 プ・プ・プ・プ・プ・トゥルルル・トゥルル・チャ 『はい、美神です』

 『オーナー、私です。今、旦那様が白井総合病院へ向かって疾走していきました。なんだか焦っている様にも見受けられました』

 『そう。ついに戻ってきたのね。分ったわ、ありがとう。今夜は多分泊まりになるかもしれないから、留守番お願いね。事務所に戻るようなら連絡するから』

 『かしこまりました』

 令子の言葉に了解した人工幽霊壱号は、先程の横島の様子に無い首を傾げつつ主の言い付けに従い留守番モードになった。

 「やっと帰ってきたか。ここからだと、病院まで十五分かな? 間に合えば…いえ、間に合わすわよっ」

 現在位置から目的地までの所要時間を瞬時に思い浮かべ、忠夫が走って向かったと言う情報を基に自分と忠夫が目的地に到着する時間差を弾き出した答えに顰め面をしながらも、令子は気合を入れてコブラを病院へと向けた。

 ちなみに、エミとの舌戦は引き分けに終わった事を追記しておく。その舌戦の煽りで、虎とそのフィアンセは救急車で病院へと運ばれて行った。前者は重体で、後者は傷一つ無く付き添いとして。

 虎は重体ながらも、護るべき者を護りきった笑みを浮かべていたという。


 事務所を出た忠夫は、白井総合病院目指して爆走する。

 「うおおおおぉぉぉぉぉ〜〜〜、令子ぉぉおお〜〜」

 はた迷惑な叫びを街中に撒き散らしながら。

 過去の世界で馬券を当てた金があるにも拘わらず、タクシーを使わないのは長かった貧乏生活のせいなのか。まぁ、渋滞にハマったタクシーよりは速いので走っているのかもしれない……と、思いたい。

 (ちっ、信号が点滅してやがる。間に合うか?)

 キキーーーー ドカン!

 んぎゃーっ!!

 進行方向の歩行者信号が点滅している事に気を取られた忠夫は、横合いから左折してきたタクシーに撥ね飛ばされてしまった。

 「う、うわわ。やっちまったー! 今日一日頑張れば、個人取れたのにー!!」

 忠夫を撥ねたタクシーの運転手が、交差点脇に車を止めて跳ね飛ばされた忠夫を見て喚く。

 周囲でこの事故を目撃した通行人達は、忠夫の様子にドン引きしている。なぜならそれは……

 「て、てめぇ……。人撥ねといて言う事はソレかー!!

 「ひぃっ、ゾンビ! は、放せー!!」

 そう。頭から血をダクダクと流しながら、己を撥ねた運転手を運転席の窓から襟首掴んで文句を言っているからだ。

 「ちくしょー、急いでいるっていうんに…たくっ! 令子とヤル為に残しておいた文珠を使うしかないか」

 そう言って、懐から取り出した<忘>と文字が入った文珠を取り出してイメージを思い浮かべながら念を篭める忠夫。

 過去の世界で、令子から返してもらった文珠に入っていた字が、<忘>から<直>に書き換わった。文珠の文字が変わったのを確認した忠夫は、無造作にタクシーのボンネットに文珠を放った。

 文珠から煙が噴出しタクシーの前部分を覆ってしまってから十秒後、煙が晴れたそこには傷一つ無く直ったタクシーのボンネットが現れた。

 その光景にポカーンとする運転手や周りの野次馬達。

 「ほら、これでイイだろ。俺は急いでるんだ。白井総合病院まで乗せてくれ。さすがに今の状態じゃ、回復に霊力を回しているせいで走れん。い・い・よ・なっ」

 運転手に殺気を篭めながら睨んで相手がコクコク頷くのを確認した忠夫は、後部座席のドアを自分で開けて乗り込んだ。

 「行けよ」

 「は、ははいー!!」

 忠夫の一言に怯えきった運転手は、可哀想なほど声を震わせて車を発進させた。

 (あー、くそっ。ミスったー。こんな所で撥ねられるとは思わんかった。しかし、なんで身体が硬直したんだ? いつもなら、撥ねられる事無く避けられたはずなのに。なんでだ? とりあえず、血清のビンが割れてなくて良かった)

 タクシーの後部座席で不機嫌そうに足を組んで座っている忠夫は、傷を霊力で回復させながらスーツのポケットに入れていた試験管が割れていないのを確認すると、さっきの事故の瞬間を思い浮かべる。

 銃弾でさえ撃たれた後に避けられる彼の動体視力と反射神経を以ってすれば、先ほどのタイミングでも避ける事は出来たはずなのだ。

 それがなぜか身体が避けようとはせずに硬直してしまい、撥ね飛ばされてしまった。

 そう、忠夫は目ではタクシーを認識していて、避けようとさえしていたのだ。それなのに、身体が思い通りに動かなかった。

 しかも傷を回復させ始めて気付いた事がある。妙に霊力の制御が甘くなっているのだ。そのくせ、なぜか霊力の出力が上がっている気がしてならない。

 (なんなんだ、コレは? 過去の事務所から戻る時にはギリギリの霊力量だったはずなのに、なぜか霊力が回復していやがる。しかも、感覚からして今すぐに文珠を二個ほど出せそうな感じだ。運転手がいるから試す事は出来んが、理由無く霊力が回復している事が腑に落ちん!)

 文珠を作る所は事情を知っている親しい人以外の前では見せれない為に、霊力による回復を図る忠夫。

 しかし、霊力が借り物の様な感じがして違和感が拭えなかった。

 忠夫が撥ねられた所から十分後、タクシーは白井総合病院正門前に停まった。

 「釣りはいらんっ。それと、ちゃんと進行方向を確認してから曲がれよ。じゃねえと、個人なんてすぐに取り上げられちまうぞ。じゃな」

 スーツの右ポケットから一万円札を無造作に取り出してアームレストの所に放ると、自分でドアを開けて病院の敷地内へ走り出した。

 「令子―っ! 血清取ってきたぞ―っ!!」

 「お、お客さん! って、行っちまった。あんな若造に説教されるたぁ、俺もヤキが回ったかね。だがもう関わり合いにはなりたくねぇなぁ……」

 二十歳そこそこの若造に説教された四十代の運転手は、溜息を吐きつつタクシーを発進させた。

 病院の正門から大きな花壇を迂回して入口の自動ドアに近付いた忠夫は、足裏に展開したサイキックソーサーの摩擦を徐々に高めるという無駄に高レベルな事を無意識に使ってブレーキングを行い、横滑りしながら自動ドアに立った。

 ここから本物語の冒頭に戻る。


 (うぁぁああ、頭がイテー。何が起こったんや? あーでも、ジンワリと痛みが引いてきてるなー。右頬に柔らかい幸せな感触が。くー、このまま埋もれたいっ)

 右頬の幸せな感触に後頭部の痛みを忘れつつある忠夫は、本能に従って左手を幸せな感触がする場所より更に向こうにあると確信する魅惑の桃肉へと伸ばして擦りだした。

 忠夫が右頬を乗せている幸せな感触の持ち主がピクンと震える。しかし、それ以上は何も起こらなかった。

 (うーむ。このサテン地に阻まれているとはいえ、張りのある揉みごたえ抜群なコレはどこか懐かしい感じがする。誰だったか?)

 最初は擦るだけだった忠夫の左手は、反撃が来ないことを良いことに優しく揉みだしていた。

 忠夫が揉み込む度に右頬を乗せている幸せな感触が、ピクンピクンと跳ねるのだが彼は気にしていなかった。

 時折聞こえる押し殺した声が、忠夫の煩悩を刺激しているからだろう。後頭部の痛みも、最早気にならなくなっていた。


 (なっ! 久々に優しくしてあげるとすぐこれなんだからっ。あくぅ…ダメっ、くぅ……。なんでこいつに愛撫されると、とたんに受け入れちゃうのよ、私は!! 今の身体はまっさらなはずな……んぁ!

 びくくんっと、一際大きく身体が跳ねて思わず忠夫の頭を落としてしまった令子は、「んぎゃ」という声を聞きつつも身体を後ろに仰け反らせて快感を堪えていた。

 どうやら軽くイってしまったようだ。融合前の身体ならあり得ない敏感さだった。

 「イテテ、ひでぇなー。せっかく魅惑の感触を楽しんでいたのに弾き飛ばす…なんて……」

 令子がイッた際に落とされた頭の右側頭部を擦りながら、忠夫は上体を起して魅惑の桃肉を持つ人物を見て硬直した。

 彼の視界には、身体を仰け反らせて目をきつく瞑ってピクピク震えている令子が見えていた。しかし、彼の記憶に残る令子と、いま見えている令子が微妙に合わないのだ。彼の認識では令子が若返っているように見えた。

 「うぉっ! 令子が…令子が若返ってる!! タダちゃん感激〜〜!!!!

 座った状態からどうやったのか、いつのまにかスーツからトランクス一枚になった忠夫はそのまま令子を抱き上げて近くにあったベッドに寝かせようとした。

 気絶から覚めて、令子を見た忠夫の最初の反応がこれだった。

 (自分の為に過去に跳んで事件を解決して戻ってきた忠夫を、このわたしが優しい気持ちで膝枕していたというのにこの馬鹿は雰囲気というものを読みなさいよねっ!)

 忠夫の声にヤバいと感じた令子は、力が抜けそうになる自分の身体を叱咤しながら冷静に忠夫の動きを読み、また愛撫をされる前に迎撃態勢を整える。― さっきのように彼に愛撫をされたが最後、今の彼女では拒めないからだ。過去に数度、そのせいで羞恥責めを受けている ―

 まずはヒールの踵で、忠夫の踵を抉る。痛みに身を起こす忠夫。良し、これで肩を押さえる力が弱まった。後は右拳に霊力を纏わせて、テンプルを打ち抜く!

 ガンッ! ドガ! ズズズズ  パタリ……

 人体を打撃した音とは思えない音が響いて、忠夫は壁にまで吹っ飛ばされて張り付いた後、ずり落ちて前のめりに倒れた。

 「い…痛いやないか、令子! これが、やっと帰ってきた夫に対する仕打ちかー!!」

 ガバっと起き上がって抗議する忠夫。

 流血も無しとは身体の耐久性も上がっているのか? いやでも、さっきの殴った感触は防御霊力の上から殴った感じだった。もしかしてサイキックソーサーで防いだ? と、思いつつ令子は股間のぬるみに眉を顰めて、忠夫を睨む。

 「雰囲気を読みなさいよ、このバカっ。ここは病院なのよ! 勢いで迫って撃墜されるのを何回繰り返すのよ!! 学習しなさい!!!!」

 「いや、つい……。さっきまで十年前の令子に会っていて、やっと戻ってきたら令子がどこにも居なくて呆然としていたら訳も分からず気絶していて、気がついたら目の前にまた若い令子が居て思わず飛び掛っちまった」

 でも、なんで若返ってんだ? と遅まきに疑問を感じながら言い訳をする忠夫。

 「(ギクッ 踵落としで気絶させたなんて言えないわね) はぁ〜、アンタは過去に行く前にも私に飛びついていたし、戻ってきたらこうなるって予測できたハズなのにね(まさか、私も無意識に期待してた!? いや、でも、うぅ〜〜)」

 内心で踵落しを気付かれないようにと思いながら、溜め息をワザとらしく吐いて答えるうちに自分が忠夫に抱かれる事を無意識に考えていたのかと思い至り、信じられない思いと抱かれた時の事が思い浮かんで赤面して身悶える令子。

 「ど、どうかしたか? 顔赤いぞ? まだ体調悪いんか?」

 令子が赤面して身悶えているのを見て、忠夫はまだ体調が良くないのかと勘違いをしてベッドで身を起こす彼女に近づいて自分の額で熱を測ろうとする。

 自分の想いに身悶えていた令子は、突然感じた額の熱に我に返った。

 ボッ

 目の前に心配する忠夫の顔を認識した令子は顔をさらに真っ赤に染めて、反射的に右拳が飛ぶ!

 (ハッ! わたしは何を……ダメッ!!)

 右拳が忠夫に当たる寸前で本当の意味で我に返った令子は、右拳をとっさに開き腕にこもる力を抜いた。

 パシンっと忠夫の左頬が軽く鳴り、そちらに気を取られた忠夫の視線が自分から外れるのを見た令子は、左手をそっと彼の右頬に添えて口付けをする。 

 暫く湿った水音が室内を満たす。

 令子は少し名残惜しく思ったが、やる事を思い出して忠夫から唇を離した。

 ツーっと二人の唇から唾液の架け橋がかかってすぐに途切れていく。

 「れ、令子?」

 突然キスしてきた令子にかなり戸惑った忠夫は、それでも唾液の交換や舌による彼女の歯茎や舌を愛撫して自らと彼女を昂ぶらせようとしたのに、彼女が離れてしまって機嫌を損ねたかと心配になった。

 「もう、大丈夫よ。わたしは死なない。アンタのおかげで毒も消えたわ。ありがとう。でも、この先はもうちょっと待って。アンタに伝えないといけない事がたくさんあるのよ。だから……続きは後で

 頬を朱に染めながら、それでも真剣な目をして令子は忠夫に話す。

 「……分かった。俺も過去に跳んだ事で話すことがいっぱいあるんだ」

 「時間があまり無いの。文珠を二つ出してちょうだい。お互いに伝える事を文珠に篭めれば、時間も短縮できるわ」

 「それもそうだな。分かった」

 令子の頼みに、忠夫はすぐに手を軽く握りこんで意識を集中する。数秒と経たずにその手の中に翡翠色の珠が二つ現れた。

 「あれ? なんでこんなに早く出来るんだ? 過去から戻ってくる時にストックを全部使ったから、生成にもう少し時間が掛かる筈なんだが……」

 自分が覚えていた感覚に、現実が合わない事に首を捻る忠夫。タクシーの中で感じた違和感が、彼の中で再び増していた。それでも、出来た文珠の一つを令子に渡した。

 「(融合して、基礎霊力が上がってるのかしら?) その答えは、わたしが伝える事に関係してくると思うわ。後ね、今のアンタは信じられないだろうけど、リアルタイムで記憶の改竄が行われているはずなのよ。多分もうすぐ、私を本妻としてではなく、アンタを取り巻く一人の女として認識すると思うわ」

 「悔しいけどね」と言いながら、文珠にこれまで起こった“おキヌちゃんサクヤヒメの分御霊として覚醒事件”の事や、二つの枝世界の融合の事を篭めながら令子は話す。

 「なんか色々あったみたいだな? それに、なんか変な感じがさっきからするんだ。俺が俺じゃないというか、さっきまで憶えていた事が違うような気がしたりとか……。これが令子の言う記憶の改竄なのか?」

 (この世界に取り込まれ始めているようね。記憶は気絶している時に文珠に写したけど、確実を期したい)

 忠夫の言葉に、彼がこの世界が用意する記憶を受け取り始めたことに気付いて、令子は少し心配する。

 「多分そうね。じゃ、はいコレ。知った事に対する質問は、妙神山に行った時に答えるわ。だから、今は無し」

 「分かった」

 互いに<伝>の文字が珠の中に浮かんだ文珠を交換し合い、忠夫は令子の言葉に頷く。

 「忠夫、わたしはアンタを今も変わらずに愛してるわ。そして、ごめんなさい

 令子はそう言って、手に持った文珠を発動させる。

 「何を言って? どうしたんだ? 令子のやつ」

 令子の言葉に疑問を感じて質問したのだが、文珠が発動してトランス状態に入った彼女からは答えがもらえないと気付くと、手の平にもう一つ文珠を生成して嘆息しながら<護>と篭めて発動させた。

 令子と忠夫を中心にして小さな、しかし強固な結界が展開される。

 「二人してトランス状態に入ったら、不測の事態に対処できんからな。片方ずつやれば良いのに、何をそんなに急いでいるんだろうな?」

 展開された結界に満足しながら、忠夫はブツブツと呟いて<伝>と文字が浮かぶ文珠を発動させた。

 彼は令子の視点で彼女に起こった事を体感していく。それにつれて、この世界に何が起こったかを理解していった。

 (しょ…小竜姫さまが生きてるっ!! あの南極決戦で亡くなられたはずじゃ!? なにっ! パピリオが生きてるだと!? おキヌちゃんがコノハナノサクヤヒメの分御霊だと!? ほへ? あのルシオラが生き返る? 俺がニニギノミコトの転生体だって?)

 令子から渡された<伝>の文珠に篭められた数々の驚愕の出来事に、彼の理解は追いつかなくなってきた。

 次々に伝えられる驚愕の事実。世界が融合し、令子と結婚していた事実が消え、おキヌちゃんと結婚している上にシロにタマモという人狼と妖弧の少女達と同棲している事実。今現在記憶している人生が、別の人生に書き換わっていく事実。

 ただ事ではなかった。令子が経験した自分が過去へ跳んだ直後からの一日は、話を聴いただけでは頭のネジが飛んでしまったか? と、疑いたくなるものばかりだった。

 (俺がアシュタロスを斃した? 違うっ。あいつは神魔の最高指導者に封滅させられたハズ……。それなのに、なんだこの寂寥感は……。俺の中にもう一つの感情が渦巻いている? ああ、そうか……これが俺と融合したという、あの横島忠夫の感情なのか?)

 令子から渡された<伝>の文珠が、忠夫の手から役目を終えて消えた。

 (そうか……ルシオラが復活しないと、あの敵に対抗できないと感じているんだな。だから急いでいたのか。しかし、これはきついな。俺の中で令子への認識が歪んでいく。これが記憶の改竄というわけか? おキヌちゃんやシロにタマモが俺の伴侶……。違う…俺の妻は令子で……いや、一人を選ぶなんて……しかし、しかしこの状況は、いよいよ俺の時代が来たというのかー!!

 微妙に記憶が混ざったっぽい忠夫は、途中から声に出して叫んでいた。先程まで余裕を持って令子に接していた忠夫は、今の時点ではその片鱗しか覗いていなかった。

 枝世界が用意した忠夫に対する記憶の刷り込みが、令子達に比べて早いのはどういったわけだろう?

 「やかましい! ここは病院だといってるでしょうが!! 恥かしい事を叫ぶんじゃない!!

 同じ様にトランス状態から戻った令子は、ぶつぶつと声に考えが漏れ出した忠夫を見て溜息を吐いていたのだが、彼が突然叫びだしたので思わず殴っていた。それはもう、人体が発するような打撃音ではないくらいに。

 「イテテ、それはないでしょう令子さん! やっと、やっと令子さんの魅惑のボディーが俺の物になるんだ。喜んでも良いでしょうが!!」

 ガンガンガンと、壁に頭突きをかましながら泣き叫ぶ横島。その姿に、先程までの忠夫としての余裕は、もう見られなかった。

 老師の予測とは裏腹に、枝世界が用意した記憶の刷り込みは急速に忠夫に反映されているようだ。

 令子は横島の「令子さん」発言に衝撃を受けていた。字面にしてたった二文字、“さん”と付けられただけで彼との心の距離が凄く離れたように感じてしまうのだ。それが無性に寂しく感じた。

 「うっさい! いい? 今度から私の事は名前で呼び捨てにしなさい! 分かった!?」

 なので強制的に令子と呼ばせようとしても赦して欲しいと、心内で思いながら横島を怒鳴る。

 枝世界の用意した記憶は、さっきまで忠夫であったのに今は横島となってしまった彼にはどうも親和性が結構高いらしく、令子の目の前でみるみると顔つきや態度が変わっていく。

 「なんでっスか? 今までそう呼んだ時は、問答無用で俺を殴ってたじゃないっスか。それがなんで……」

 納得のいかない横島は口を尖らせてそういう。しかし、彼が令子を呼び捨てに出来ない理由は別にあった。

 横島には、令子に対しての劣等感があまりにも大き過ぎるのだ。美神さんから令子さんに変えるのにも、多大な努力が必要だった。確かに呼び捨てで呼びたいとは思う。だけど……と、横島は思うのだ。

 「わ、わたしは、あ…アンタの物なんでしょう!  だったら、呼び捨てにしなさい。良いわね!!」

 変わっていく目の前の彼を見ていて、寂しいやら悲しいやらアンタの物発言で恥かしいやらで、令子も自分が何を口走っているのか半ば分からない状態だった。

 なので後に我に返ってこのやり取りを思い浮かべる度に、令子は恥かしさで身悶えてしまうのだった。

 「う、ウス。分かりました令子さ(ギヌロ) 分かりました令子」

 「敬語も必要ない!」

 「わ、わかり……分かった」

 思わずさん付けで呼んでしまった横島は令子に殺気を篭めて睨まれて言い直すが、敬語も交えての呼び捨てはおかしく、それも直されてしまった。

 「よしっ。じゃ、さっき私が伝えた事は覚えているわね? アンタの記憶の改竄が落ち着いたら文珠を出して。それで妙神山へ行くから。まずは屋上に先に行ってて。わたしは後から行くから」

 「なんで?」

 「いいから、とっとと行きなさい」

 「はいぃーー!」

 令子に怒鳴られた横島は、条件反射で屋上に向かって走っていった。

 (言えるわけ無いじゃない! アンタに愛撫されて濡れてしまったショーツが気持ち悪いから穿き替えるなんて)

 令子はベッドの傍らに落ちていた自分のショートバッグを拾うと、中に着替えが入っているのを確認してそそくさとトイレに向かった。

 女子トイレの個室に入って令子は、ショートバッグをトイレットペーパーを敷いた便座蓋の上に置いて、着替え用の白レース(クロッチ部分しか隠さない、スケスケの総レース)の勝負下着を取り出しながら先程の事を思い浮かべる。

 (ああ、もう。やっぱり抵抗できなかった。雰囲気作られてたら、絶対に拒めなかったわね)

 「うわっ、糸引いてる……。我ながらこらえ性無いわね……。それにしても、パンツスーツはこんな時不便よね」

 一旦ズボンを脱いで畳んでから便座に置くと、今まで穿いていたショーツを脱ぐ令子。途中で自分の大事な所からショーツのクロッチ部分に繋がる愛液を見て、顔を赤らめた。

 「うー…、なんであいつにお尻揉まれただけでこんなに感じちゃうんだろう。絶対、アイツの手からはなんか変な霊波が出てるんだわ。自分で触る時は、あんな感じ方しないもの。お尻なんて、自分じゃほとんど感じないのに」

 秘所のぬめりをトイレットペーパーで拭い、ショーツのクロッチ部分にトイレットペーパーを当ててからショーツを脱いだ令子はぶつぶつと呟きながら新しいショーツを穿くべく広げた。

 (それにしてもさっきのあいつ。なんか性格が高校生の時のような感じがしたわね? どういう事かしら? でもまぁ、取りあえずは老師の結界にアイツを放り込まないと始まらないわね)

 勝負下着であるショーツを穿いてお尻がちゃんと包まれているか確認した後にズボンを穿き、汚れたショーツはビニールに包んでバッグにしまうと、令子はトイレの個室を出て屋上へと向かった。

 忠夫と付き合うと決めた時から、令子はこういった着替えを常備するようにしていた。


 その頃、横島はトボトボと階段を使って屋上へと上がっていた。

 「はぁー。いきなり名前を呼び捨てにしろって言われてもなぁー。確かにみか…令子……さんと、夫婦になってたって記憶はまだ残っちゃいるが、もう実感なんて彼方に飛んじまってるし。……でも、グフフフ。あのナイスバデェがとうとう俺の物にっ! ときめくトキメクぞー!!」

 最初のうちは落ち込んだ様子だったが、途中から妄想で煩悩が刺激されてきたのか叫びだした。

 「あっと、いつの間にか屋上か。っと、風つえ〜な」

 屋上の扉をギィ〜っと押し開けながら横島は屋上に出た。そこはかなり風が強く吹いていて、彼の黒髪を激しくなぶっていく。

 「しっかし、なんか腑に落ちないんだよな。なんっか、俺が俺じゃないような気がしてならん。なんか記憶があやふやというか、おキヌちゃん達が俺のモノって分かっちゃいるんだが、イマイチそれも信じきれないないんだよな〜」

 屋上の中央に歩み寄りながら、横島は自分に起こった事が信じられずに首を捻るばかりだった。

 「それにしても、さっきの令子…は可愛かったなー。こう何というか、普段の気の強い所とのギャップがもうっ!」

 「どやかましい!!」 ドガッ

 「ぶべろっ。 い、イテー。何すんスかっ!」

 「うるさいっ。声に出して恥かしい事言うな! それより文珠は出したんでしょうねっ?」

 さっき押し倒していた時の令子の様子を思い出して煩悩によって霊力を高めていると、その当の本人に背中を蹴たぐられた横島は彼女に抗議する。

 しかし、令子は顔を真っ赤にしながらも横島を見下ろしながら問答無用とばかりに怒鳴って、文珠を出したか問い詰めてきた。

 「えっと、すいま(ギロッ)…すまん、まだ出してない(あ〜、くそ。なんか違和感が拭えん!)」

 思わず敬語で答えようとしたら、また殺気を篭めて睨まれたので言い直した横島だったが、なんだか自分の言葉じゃないように感じて違和感ばりばりだった。

 (なんか忠夫の顔をした別人のような感じだわ。やりにくい……)

 横島の様子に令子の方も、彼に対してどうやって接するか戸惑っていた。

 「んじゃ、作るっス」

 横島は右手に先程から妄想によって高めていた霊力を集めていく。

 彼の右手の平に膨大な霊力が集まって一点に収束し、小さく縮んでいく。霊力の光が収まると、そこには直径二センチほどの大きさの丸い翡翠色の珠が出来ていた。

 「あれ? あんた文珠の作り方を忘れたの? そのやり方だと霊力が拡散するから、効率が悪いって言ってたじゃない?」

 横島が手の平に霊力を集めて文珠を作る様を見て、令子は何気なく質問した。

 「へ? 何言ってるんっスか。これが俺の作り方っスよ。握りこんで出す時は、予め作っておいた時だけっスよ?」

 令子の質問に、横島はキョトンとした様子で答えた。どうも、令子の言ったやり方は試した事も無いような口ぶりだ。

 「そう(なんだか、わたしが知る忠夫がどんどん消えていっているみたいね)。じゃ、次は握り込んだまま作ってみなさい。私の言っている意味が実感として判るわよ」

 「わ 分かった。やってみるっス」

 そう言って横島は、令子の言うやり方で文珠を作成しだした。

 (なっ!? なんだこのやり易さは!! たったこんな、握るという動作だけでこんなにも違うのかよっ。この感じだと、いつも作ってる感覚でやれば三個は作れるぞ。なんで文珠使いじゃない令子が、こんな事知ってんだ!?)

 驚愕の表情を顔に浮かべながら、横島は右手に作られた文珠をまじまじと見つめた。さっき作った文珠と同じでありながら、作成に要した時間は三分の一に短縮されていた。

 「何を驚いているのよ? その方法は、あんたが妙神山で学んできた方法でしょうが。忘れるんじゃないわよ」

 呆れたような声音で横島に言う令子だったが、彼に表情を読ませないように少し俯き加減で近付いて、彼の右腕を掴んだ。

 「あ、あの?」

 「なによ? 早く妙神山に向けて転移しなさいよ(タマモの気持ち、今なら良く判るわ。泣けてきそうになるほど口惜しいわ)」

 頼りなさげに戸惑う声で令子に問いかける横島を、令子は極力感情を乗せないように努力して平板な声で、彼に転移を促す。内心では、妙神山でタマモ達と対峙した時の事を思い浮かべていた。

 「分かった」

 令子の態度が良く分からない横島は、二つの文珠に<転><移>と文字を篭め、妙神山の鬼門前をイメージして発動させる。

 眩い光が横島と令子を包み込み光が消え去った後には、病院の屋上に誰も居なくなっていた。


 小竜姫は自室の荷物を整理している時に、その感覚を感じていた。

 (横島さん? もしかして戻ってきた!?)

 下界で着る為の洋服を大きなカバンに詰め込んでいた小竜姫は、急いで畳んで仕舞うと自分が感じた方角へ向かって感覚を研ぎ澄ませた。

 「間違いない、横島さんだっ」

 無意識に声を弾ませながら小竜姫は、喜色を満面に浮かべてカバンをそのままに部屋を飛び出す。目的地は老師の所だった。


 (むっ? この感じは……横島か? それにしては何か気配がブレている様に感じるのう? これがキヌ殿が言っていた融合の結果かのう?)

 部屋で格闘ゲームから視線を外さずに老師は、横島の帰還を感じていた。

 隣にいる先程起きてきたパピリオの相手をしながらも、そのパッド捌きには微塵の翳りも見受けられない。

 「どうしたですか、サルじいちゃん?」

 パピリオは、隣で技を繰り出してくる老師の雰囲気が微妙に変わったのを敏感に感じ取り、こちらもパッド捌きになんら変化を出さずに訊いた。

 「うむ。そろそろ小竜姫がここに慌てて飛び込んで来るだろうと思うてな。決めさせてもらうぞ」

 「そうですか。でも、返り討ちですよ」

 二柱が操る格闘家達が互いの奥義を繰り出す!

 老師が操る男の格闘家は派手なエフェクトを背景に、素早くパピリオが操る女格闘家に迫った!

 パピリオは老師のキャラが迫るのを慌てずに、自分のキャラとの間合いを冷静に見極めると素早くコマンドを打ち込む!

 シュガッ ズン!

 パピリオが打ち込んだコマンドに従って女格闘家は、技を繰り出してきた老師のキャラに足払いを掛けたと同時に己の全体重を肘に乗せて敵の首筋に打ち下ろした!

 「な、なんじゃその技は! そんな技、そのキャラは持っておらんはずじゃぞ!」

 「へっへーん。情報が古いですよ、サルじいちゃん。つい最近、このゲームの裏技集が出たんですよ。ふ・ふ・ふ・ふ。これまで負け越してきたけど、これからはそうはいかないです」

 パピリオが操るキャラが勝ち名乗りを上げて、豊かな胸を強調して投げキッスをし、挑発するようなポーズを決めている。それを呆然とした様子で見る老師には、神としての威厳など、どこにも見当たらなかった。

 「老師〜〜。横島さんが、横島さんが戻ってきました〜〜〜」

 部屋の戸をスパーン! と、両手で勢い良く開けて小竜姫が騒がしくも室内に入ってきた。

 「横島が戻ってきたですか!? それで、いつこっちにくるですか!?」

 ガックリと項垂れる老師には目もくれず、パピリオは部屋に入ってきた小竜姫に飛びついて上目遣いで尋ねる。

 「いつというのは判りませんが、そう時間は掛からない筈です。美神さんも、ご自分の伴侶を失いたくは無いと思いますし」

 小竜姫は、抱きついてきたパピリオを優しく受け止めて、あやす様に答えた。

 二柱とも、傍らで燃え尽きている老師は無視する事にしているようだ。今の老師に関わると、ロクな事にならないと判っているからだろう。

 「横島さん達がいつ来ても良いように、お茶の用意をしておきましょう。パピリオ、手伝って下さいね」

 小竜姫は先程老師に言われたパピリオについての処遇を話す為にも、彼女と二人きりになる為に部屋から連れ出す。

 「分かったです。それにしても何か嬉しそうですね、小竜姫?」

 「そ、そうですか?(私としては普通にしているつもりなんですけど)」

 パピリオの言葉にそんなに表情に出ているのかと狼狽えながら、小竜姫は彼女と一緒に老師の部屋から出て行った。

 残された老師は、デモ画面になったゲームを虚ろに見つめながら、呆けていた。


 ヒュッ  タ・タ

 令子と横島は二人して、妙神山の鬼門前広場に現れた。

 「ふぇー? なんか転移するのも久しぶりっスけど、それにしちゃ霊力の消費が少なかったなー。お? よう、鬼門! 元気にしてたか!?」

 転移後の霊力消費量が少なかった事に首を捻った横島だったが、鬼門達を視界に入れると気軽に挨拶した。

 「おぅ、横島ではないか。ん? 美神ともどもという事は、老師に呼び出された件か?」

 「ああ、そうみたいだ。老師、いるか?」

 「ああ、居られるぞ。今あけ(ドバキッ グシャッうぎゃー!!

 横島の横にいる令子を確認して、右の鬼門は老師から言われていたように門を開けようとした。

 すると突然、右の鬼門が勢い良く開け放たれて、自分の身体に自分の頭を激突させて悲鳴を上げた。

 「ヨコシマー! 遅かったですよ!!」

 右の鬼門を裏側から勢い良く開け放ったパピリオは、そのままの勢いで横島に突貫した。

 「ごほぅー! げは・ぐは…バビリ゛オ゛っ、もう…ごほっ もうちょっと優しく抱き……ガクッ

 鳩尾にパピリオの頭突きを受けた横島は、咄嗟(とっさ)に自分から後ろに飛んだがダメージを逃がしきれずに仰向けに背中を地面に擦りながらも、彼女に一言言おうとして途中で力尽きた。

 「ヨコシマ? ちょ、ヨコシマっ。起きるです!」

 横島が気絶したのを見たパピリオは、彼の腹の上に跨って彼の胸倉を掴んで揺すりだした。

 「こら、パピリオ。それすると意識が回復するのが遠のくから止めなさい。それとも、とどめを刺したいの?」

 横島の横にいた令子は、パピリオが突貫してきたのを確認すると素早く飛びのいていたのだが、パピリオが彼を揺すりだのを見て、溜息を吐いてから彼の横にしゃがんで頬杖しながら呆れた様に言った。

 「み、美神!? じゃ、どうすれば良いでちゅか!」

 横から突然話しかけられたパピリオは驚いて、そちらを見て令子を確認すると涙目で訴える。

 どうも動揺すると、言葉使いが幼くなってしまう様だ。まだ喋り方が、定着していないのだろう。

 「取りあえず、揺らすのを止めなさい。そして、お腹にヒーリングでもしてあげれば良いわよ。それぐらいできるでしょう?」

 未だ彼の胸倉を掴んで揺らし続けるパピリオの手に自分の手を添えて止め、彼女に向かって取りあえずの処置を話す令子。

 「う、うん。やってみるでちゅ」

 処置のやり方を言われたパピリオは素直に横島の身体の上から退いて、彼に膝枕をするとヒーリングをしだした。

 「で? なんで飛び出してきたのよ、パピリオ?」

 「小竜姫からヨコシマが来たと聞いて、今までのヨコシマとどこが違うか確かめに来たです」

 「それで、こうなったと? 言葉使いや身長が少しは成長してきたから、精神面も成長していると思ってたんだけど違ったのかしら?」

 呆れた調子で、だけど内心ではパピリオに嫉妬しながら令子は、ちょっと意地悪な調子で彼女に飛び出してきた理由を訊いた。

 パピリオは悄然(しょうぜん)として、令子の言葉を聞き入る。彼女としても、ヨコシマに怪我を負わせたいわけではない。久しぶりに会う彼に、一緒に喜んで欲しいだけなのだ。

 「ごめんでちゅ」

 「まぁ、死ぬ事は無いと思うけどね。パピリオも忠夫と一緒に遊びたいなら、全力のタックルは止めなさい。こうしている時間がもったいないでしょう?」

 言い返してくるかと思ったら俯いて謝ってきたパピリオに、これじゃわたしがイジメてるみたいに見えるじゃないと口に出さずに毒吐(どくつ)いて、令子は取りあえず彼女の行動に伴うデメリットを教えてみた。

 「うぅ…反論できないでちゅ。でも、会えるのは本当に嬉しいんでちゅ」

 「はいはい、分ったわよ。次からは力の限り突っ込むんじゃなくて、抱きついてから力の限り忠夫の胸に顔を埋めてみれば? 新しい発見があるかもよ? って、何言ってんだろ、わたし」

 パピリオの様子に訳の分らない罪悪感を覚えた令子は、思わず自分がやってみた事を漏らしてしまって我に返った。

 「横島さんの胸に顔を埋める。ですか?」

 「そうよ。結果は今度確認しなさい。って、小竜姫! いつからそこに居たのよ?」

 いきなり横から話しかけられた令子は、思わず答えてしまってから驚いて声がした方に振り向くと、そこには小竜姫が前屈みで彼女達の様子を見ていた。 

 「パピリオ、羨ましい事をしてますね……」

 「は?」

 「いえ、何でもありません。それよりも、老師がお待ちです。中へどうぞ」

 思わず本音が漏れてしまった小竜姫は令子の疑問の声にかぶりを振ると、彼女達に門の中へ入るように言ってからパピリオの肩に手を置いた。

 「パピリオ、横島さんを中に運びます。先に中へ入って寝床の用意をして下さい」

 「イタ、イタタ! 痛いでちゅ小竜姫っ。……う〜〜、分ったです。用意してくるですよ」

 掴まれた肩にじょじょに力が篭められた事で痛みを訴えたパピリオだったが、仰ぎ見た小竜姫の目を見て少し渋った後に門の中へと飛んでいった。

 「なにアレ?」

 パピリオの行動が疑問に思えた令子は、横島を抱き抱えた小竜姫に訊いた。

 「はぁ…彼女の保護観察権が魔界に移る事を話したんですけど、内心複雑なようです。ただ、ここには残りたいようで、何とか上に撤回してもらうようにしてと、泣きつかれているのですよ」

 「なるほどね。で? その見込みはあるの?」

 「それが、後でお話しますが、魔界からの横島さんの護衛を引き出すための条件にもなっていて、今の所は難しいとしか……」

 令子の突っ込んだ質問に、小竜姫は歯切れ悪く答えるだけであった。

 「そう。んじゃ、詳しい事を聞きましょうかね(でも、パピリオには感謝かな。今の忠夫は、私にはきつ過ぎる)」

 「はい。では、急ぎましょう」

 一人と一柱は、気絶した横島を担いで門の中へと入っていった。


 「右のぉー、生きておるかぁー?」

 ズシンズシンと左の鬼門は己の身体を動かして、悲鳴を上げた後何の動きも無い右の鬼門を気遣いながら開け放たれた門を閉めた。

 そこには、身体が前のめりに倒れていて、門に貼り付いた鬼の口からは大量の吐血の後が見られた。

 「右の……。お主の死に様、しかと見届けたぞ「死んでおらんわっ」おぉ、生きておったか」

 「くっ、自分の肘で顔面に肘鉄してしまうとは、身体の位置を考えんといかぬな」

 どこから取り出したのか、手拭いで自分の顔の吐血跡をふき取りながら、右の鬼門は言う。

 「ヌシの落ち度では無いではないか。変えんでも……」

 「いや、以前に起きた殿下の脱走もある。内側からの干渉で、我らが怪我をしていては情けない限りだ。もっと精進せねばな」

 左の鬼門が気を使って言うが、右の鬼門は納得せずに己に更なる修行を課すつもりだった。

 「そうか。右のがそこまでの覚悟であるならば、我も共に精進しようぞ」

 「左のー!」 「右のー!」

 お互いの顔の前で、お互いの身体が右腕同士をガシィッと、クロスさせて誓っていた。

 強風吹く中、両鬼門の暑苦しい光景が展開されていて、久しぶりに来た修行者を怖れさせてしまい、誰にも気付かれずに下山させてもいたが。


 令子と小竜姫は、横島をパピリオが用意した寝床に寝かせた後、居間として使われている部屋で今の横島の事を話し合っていた。

 パピリオは老師を呼びに行っていて、この場には居ない。

 「美神さん、横島さんは記憶の改竄が始まっていますか?」

 チラっと横島を寝かせている部屋を一瞥してから、小竜姫は令子に問いかける。

 「ええ、始まっているわ。それも凄い早さで人格が書き換わって行くのを見たわ。わたしが“記憶の文珠“を使う前に小竜姫がわたしに詰め寄りかけた事があったけど、その苛立ちに近い物を、今わたしは感じているわ。わたしの夫だった忠夫が……目の前から消えていくのを見せられるって思わなかった……

 小竜姫の問いかけに令子は正直に答え、最後の方では声を震わせて俯いてしまった。

 「横島さんの“記憶の文珠”は作られたのでしょう?」

 小竜姫の問いかけに、令子は無言でコクリと頷いて答える。

 「では、老師の結界の中で、貴女が為されたように記憶を甦らせましょう」

 「ええ、それは分っているのよ。でもね今の忠夫って、何だか高校生の頃のような…私と袂を分った時の性格じゃない気がするのよ。あいつを早く老師の結界に放り込まないといけない気がするわ」

 俯いていた令子は、手を握り締めながら顔を上げて小竜姫の言葉に頷いた後に、自分の懸念を話した。

 「そうですか。では、急ぎましょう」

 令子の言葉に小竜姫は立ち上がり、隣の部屋に寝かせている横島を老師の許へ運ぼうとう動いた。

 「いいの?」

 「躊躇(ためら)うなんて、美神さんらしくありませんね? どうしたのです?」

 「……ううん、なんでもないわ。そうよね、時間が経てば経つほどわたしにとっての事態は悪くなるのだから躊躇っている時間は無いわね」

 小竜姫が訝しげに問いかけてきたが、令子はちょっと考えると首を振って立ち上がった。

 令子の頭に一瞬、おキヌちゃんの夫としての横島が過ぎったのだ。けれど、タマモ達が惚れていた横島はさっき触れ合った彼では無いと思い出して動いた。

 そこにパピリオがタタタっと走ってきて室内に入ってきた。

 「小竜姫! 美神! サルじいちゃんが急いで来いって言ってるです。なんか切羽詰ってるみたい」

 「わかりました。     パピリオ、美神さん掴まってください。跳びます」

 「なんっ……」

 パピリオの言葉を聞いて、小竜姫は直ぐ様隣の部屋に踏み込み横島を抱えると、すぐに令子達を自分に捕まらせて転移した。


 「来たか。一刻を争う。ワシの近くに!」

 小竜姫達が転移してきたのを確認すると、老師は耳から如意金箍棒(にょいこんこぼう)を取り出して構える。

 「どうしたっていうのよ!?」

 令子は小竜姫達と共に老師の傍に寄って訊くが、老師は答えなかった。

 「むん!?」

 如意金箍棒を脇で抱き抱える様にして両手を自由に使えるようした老師は、複雑な印を物凄い速さで組みながらぶつぶつと何かを呟く。

 老師を中心にして、物凄い力場が令子達を包みながら広がっていく。

 「なに? 何が起こっているのよ!?」

 「(ギリッ)なるほど、私としたことが……」

 小竜姫は老師が何故こうも急いでいるのかを覚ったのか、歯軋りしながらも強く横島を抱きしめる。

 「どういうことですか、小竜姫! なんで、私達が神族に囲まれなければならないですか!」

 「訳は後です。美神さん、横島さんをお願いします。パピリオ、手出しなりませんよっ」

 横島を令子に預けた小竜姫は、戸惑いと向けられる敵意に苛立つパピリオを制して、身構える。

 いつの間にか複数の神族達が遠巻きにこちらを窺っていた。小竜姫が腰の神剣の柄に手を掛けるのを確認した神族達の間に、ザワリと狼狽するような気配が生まれる。

 その時を逃さず、老師は術を発動させた。

 時の楼閣!!

 老師の力ある言葉に、彼女達の周りに高まっていた力場が一気に膨れ上がって、空間と時の狭間へと隔離した。

 「ふー、間に合ったわい。小竜姫、良い判断じゃった」

 「いえ、申し訳ありません。油断しておりました」

 自分の腰をトントンと叩きながら老師は小竜姫を労ったが、彼女は構えを解いてから彼に謝る。

 「良い。それも経験じゃ」

 「はい」

 老師は小竜姫の肩に如意棒でコンコンと二回叩いた後、やれやれとその場に座り込んだ。

 「そろそろ説明してくれる? 何がどうなっているのよ?」

 「そうです、説明求めるです」

 横島を膝枕していた令子は、老師と小竜姫のやり取りが一段落するのを確認すると、二柱に説明を求め、パピリオもそれに倣う。

 「分っておる。それよりも、横島はまだ起きんのか? こ奴が起きん事には話にならんわい。小竜姫、気付けしてやれ」

 「分りました。美神さん、横島さんを座らせた状態にして下さい」

 「分ったわ」

 老師の言い付けに小竜姫はすぐに答えて、令子が座らせた状態にした横島の後ろに膝立ちして彼の肩を両手で持つ。

 「はっ!」

 気合を入れて、小竜姫が右膝を横島の背に添えて、彼の両肩を勢い良く引く。

 「ごほっ がはっ な・何が? ここは、どこだ!?」

 気付けを受けた横島は咳き込みながら目を覚まし、涙目で周りを確かめる。

 「ここは妙神山よ。アンタはパピリオのタックルを受けて気絶していたのよ」 

 「ごめんでちゅ」

 気がついた横島の前に屈んで、令子は場所を教えてあげる。その横でパピリオが、落ち込んだ様に俯いて彼に謝った。口調も幼くなってしまっている。

 「ああ、なるほど。気にすんなパピリオ。俺は気にしてないから。出来れば次からは、もうちょっと優しくな?」

 令子の説明に頷いた後、パピリオが今にも泣きそうになって落ち込んでいるのを見た横島は、立ち上がって彼女の頭をくしゃっと撫でながら優しく言った。

 「分ったでちゅ」

 頭を撫でられたパピリオは笑顔になってそういった後、横島に抱きついて彼の胸に顔を埋める。どうやら令子に言われた事を試しているようだ。

 (なんでちょうか。ヨコチマの匂いをを嗅いでると落ちちゅくでちゅ。安心するでちゅ)

 横島に抱きついたままうっとりとしているパピリオ。横島はパピリオの柔らかい感触に顔を赤くして狼狽している。

 「ただおー? 気持ち良さそうねー?」

 自分の横で抱き合う一人と一柱に嫉妬を覚えて令子は、横島にジト目で問いかける。

 「違うんやーっ、ワイはロリコンやないんやー! ドキドキなんてしてないぞ!!」

 とたんに狼狽える横島。パピリオの抱きつきにあったかいモノを感じていたのは確かだが、ドキドキとは違うと激しく否定していた。

 「ふーん。ま、いっけどね」

 自分も抱きつきたいのだが、小竜姫や老師、パピリオがいる前では恥かしくて出来ない令子は、やっかみをも含めて拗ねたようにプイと横島から視線を逸らした。

 「れ、令子?」

 パピリオを優しく自分から離して令子の方を見た“忠夫”は、拗ねている令子というレアな表情を見て我慢できなくなった。

 「くー、可愛いぞコンチクショー! 令子ぉー!!

 「うきゃぁ〜〜」

 目を逸らしていた為に、令子は忠夫の行動に反応するのが一歩遅れてしまった。

 屈んでいた事もあいまって、令子は忠夫の押し倒しに抗う事も出来ずに可愛い悲鳴を上げて仰向けに倒れる。

 令子の上に圧し掛かった忠夫は、彼女が立ち直る前にまずその唇を奪う。

 「んっ!」  むちゅ、ぴちゃ くちゅる

 ばたばたと身体を動かして、令子は一応抗う。だけど、その抗い方は本気とは到底見えなかった。

 彼女が本気で抗ったならば、忠夫の股間に膝蹴りを入れた後に体勢を入れ替えて、マウントポジションで殴り続けているだろう。

 令子の抵抗が無くなったのを見て取ると、横島はキスを止めて身体を起した。二人の唇の間に唾液の橋が出来て、直ぐにプツンと途切れた。

 「じーー……」 「す、すごいです」 「ウォッホン」

 三対の目が二人に注がれている。幼い一柱は興味深々で、一柱は後学の為にと目を爛々と輝かし、もう一柱はワザとらしく咳払いする。

 「うわたた! は、離れろ! こん宿六!

 「どぅああぁぁ。(ごろごろごろごろ)……イテテテ、何がどうなって……? うわっ、小竜姫さま! いつからそこに!!」

 老師の咳払いに令子は、快感に霞んでいた意識が一気に覚めて大慌てで忠夫を蹴り転がして、胸をかきあわせる。

 いつの間にか、令子の上着が肌蹴られていたからだ。恐るべし、大樹遺伝子。

 令子に蹴り転がされた忠夫は、頭と胸を抑えつつ身体を起して周りを見渡し、小竜姫を確認すると途端に慌てだす。

 (やばい! なんでわたし拒めなくなってるの!? このままじゃいずれ流されて……)

 忠夫の飛び掛りに、無意識の内に受け入れている自分に気付いて令子は身震いする。せめて初めては、衆人環視の中では嫌だった。

 「こん宿六が! 所かまわず盛るんじゃない!!」

 「うぎゃっ、ちょ! 令子っ、悪かった!! イテ、ぐぁぁあああ。神通棍でグリグリはヤメロー」

 慌てふためく忠夫に怒鳴った令子は、神通棍でシバキ倒し、最後は彼の背中に突き立てて折檻する。でも彼女の顔色は怒りではなく、羞恥で真っ赤のようである。

 「たくっ、じゃれあうのもいい加減にせいっ、話が出来ぬであろうが」

  ゴン ゴン

 「イテッ!」

 「イタッ、なんで私まで!?」

 老師に二人仲良く頭を如意棒で叩かれて忠夫は蹲り、令子は涙目で見上げながら抗議する。

 「黙れ! たくっ、おヌシ等はそれどころではなかろうが」

 「スンマヘン、スンマヘーン」 「悪かったわよ」

 米撞きバッタよろしく土下座を繰り返す忠夫の横で、令子はぺたりと正座を横に崩した格好でそっぽを向いて謝った。

 「ふぅ……。小竜姫、あっちの東屋に茶器がある。用意してまいれ」

 「はい、分りました」

 「あ、私も手伝うです」

 老師に言われた小竜姫は、パピリオを伴って彼に指差された東屋に向かった。

 「で、横島よ。おヌシの記憶は今、どうなっておる?」

 「へ? 俺? 記憶って…ありゃ? なんか妙に記憶が曖昧になってるぞ? 俺は令子と結婚してるはず…だよな? なんでおキヌちゃんと結婚している事になってるんだ? あれ? でも、令子とは最近恋人同士になって……なんだこりゃ、辻褄が合わない記憶ばかりだ」

 横島は老師に尋ねられて疑問に思ったが、思い浮かぶ自分の事がかなりわやくちゃで、戸惑いも顕わに頭を抱える。

 「ふむ。おヌシの主人格は、融合前のモノのようだの。所々混ざっておるが、取りあえずは間に合うたか」

 「けど、老師。ここに来る前の宿六は、何だかかなり変だったわ。おキヌちゃんと結婚した時の落ち着きが、ぜんぜん見られなかったもの」

 老師の分析に令子は、妙神山へ転移する前の横島忠夫の状態を話す。

 「ほぅ? しかし、ワシにも詳しい事は分らぬよ。可能性の世界樹が用意した記憶がどんなものかは、与り知らぬ事じゃ」

 「そう……」

 「ま、ワシの結界の中であれば、一時的にでもおヌシの伴侶であるじゃろうて。ただし、この結界も外の時間で三十分しか保たぬ。この中では二十四時間ではあるがのぅ。ちなみにワシとの魂の接続は、今回は行っておらん」

 老師の答えに令子は考え込む。そこに、怪我から回復した忠夫がおずおずといった様子で質問してきた。

 「あのー、老師? 俺って何がどうなっているんです?」

 「なんじゃ? 美神から聞いておらぬのか?」

 「いえ、ここに来る前に令子から、おキヌちゃんや令子達に何が起こったのかは伝えられてます。ただ、信じられなくて」

 「真実じゃし、事実じゃ。受け入れるほかあるまい」

 「そう…ですか。はぁ……。まぁ、努力します」

 「それに、おヌシの場合はちと特殊のようじゃしのぅ。融合したもう一人の記憶を思い出す為にキヌ殿の所に行かなければならんしの。そのせいで、枝世界が用意した記憶もおざなりになっておるのじゃろうて」

 「宿六の現状確認はその辺で良いわ。それよりも、さっきの神族達はなんなのよ?」

 自分の夫が目の前にいるので安心した令子は、老師が結界を張る前に自分達を取り囲んでいた神族達の事を聞いた。

 「あれらは…横島を確保か殺す為に来た者達じゃろうのぅ。どちらかにしても、横島を渡すわけにはいかぬから問答無用で結界で時の迷宮に閉じ込めてやったがの。小竜姫が咄嗟の機転でワシの所まで転移してくれて助かったわい。事前の通達無しで、あ奴らは来たからの」

 「なんで宿六がここに居るって知っているのよ?」

 「それは偶然じゃ。と、言うても、横島がこの時空に現れたからこそ動き出した運命かもしれぬがの」

 「どういうことよ?」

 「不穏な動きをしているのは、何も人間界だけではなかったという事じゃな」

 顎のひげを扱きながら、老師は令子の質問に答える。

 「ああ、もう。次から次へと厄介な事が起こるわね! 老師からの依頼も受ける事出来ないじゃない」

 「おぅ、その件もあったよの。取りあえずは、歪みを一つ直す度に千両箱一つでどうじゃろうの?」

 「今は契約金を詰める気分じゃないわ。取りあえずは、おキヌちゃんと合流するのが先だわ」

 老師の提示した契約金に少し心が動いた令子ではあったが、優先順位はきっちりとしていた。

 「ま、仕方なかろうて」

 老師も期待はしていなかったらしく、簡単に引き下がる。

 「皆さん、お茶の用意が出来ましたよ」

 そこへ小竜姫が、タイミングを見計らったように令子達を呼びに来た。

 「では、詳しい事はそっちで話すとしようかの」

 全員で東屋で用意されているお茶を飲みに、そちらへと向かった。


          後編へ続く


 こんにちは月夜です。想い託す可能性へ 〜じゅうろく〜(前編)をお届けです。後編も推敲は終わってますので、明日の夜頃には投稿できます。そちらは完全十八禁です。一週間で二話書き上げたのって初めてだ。
 私の作品って共感要素が足りないんでしょうか? もっと精進せねば。
 パピリオの成長した口調は”ちゅ”の部分を”す”に変えているだけだったりします。ネギまの夕映ちゃんみたいな喋りが近いでしょうか。
 うちの美神さん、なんだか忠夫が与える快楽に弱いようです。

 誤字・脱字、表現がおかしいと思われる箇所はご指摘下さい。

 では、レス返しです。

 〜読石さま〜
 毎回のレスに凄く感謝です。読んで貰えているって実感を噛み締めています。
>唐巣神父の世話を焼く美神さん
 不良だった頃も変わらずに真摯に接してきた神父だからこそ、多分もう一人の父親として見ているんじゃないかと思って書きました。
>凄いモノに超進化
 野菜達の超進化ですか。この世界にはサクヤヒメに覚醒したおキヌちゃんが居ますしね。出来そうではありますが……。
>寝姿の登場すらねぇ!?
 読石さまのレスを見て、よしっ! と、思いました。後々おキヌちゃん達パートでお楽しみを(゜-^)b

 〜アミーゴさま〜
 毎回のレスありがとうございます。感想を頂けるって、本当に執筆活動に影響するので感謝です。
>横島くん、もう何話ぐらい
 やっと戻って参りました。五話が最後でしたから、十一話分不在でした。戻ってきたら戻ってきたで賑やか此上も無いです(笑)
>あまりにもがっつき過ぎです
 三日間水だけでしたからねー。日曜の礼拝まではあと二日もありましたし、人が訪れなかったのですよ。神父の生命線はご近所によって支えられています(笑)
>起こす気満々のくせして
 小竜姫さまの心にどっかりと居座っちゃってますからねー。でも、彼女にとっては、どうやってタマモ達に認めさせるかが問題です。


   後編は明日の夜に投稿です。
 

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