想い託す可能性へ 〜 じゅうご 〜
(やっと二息目がつけるかな? おキヌちゃんの問題は片が付いたけど、後は宿六の事が残ってるわね。あいつがこの枝世界に戻ってくるのはいつ頃なんだろう? そもそもあの時、宿六はいつ頃時間移動で帰ったっけ?)
令子は一人で事務所へと戻ってきて感慨深げに執務机に座って天井を見上げていた。思考をまとめているのせいか、彼女の瞳の焦点は天井に合っていない。
彼女の服装は昨夜の露出の大きなワンピースとは変わっていて、青いサテン地のパンツスーツに着替えられている。さすがに融合する前の服装は、夜中ならともかく明るいうちでは着る気が起きなくなっていた。
どうやら戻ってきて直ぐにシャワーを浴びたようで、うっすらと彼女の長い亜麻色の髪が湿っているのが見てとれる。
(確か、あの事件が終わった翌日には帰ったはずなんだけど……。学生の方の横島クンが出勤してきたのって何時だったっけ? う〜ん……昼過ぎてたかしら? 少なくとも陽が高かった事だけは憶えてるんだけどな。あまり考えている時間も無いか。仕方ないわね、あいつに関する世界の認識を調べないといけないし、まずは先生の所に行くかな。西条さんとは顔を会わせ辛いし……)
横島に対しての世界の認識がどうなっているのか気になった令子は、その情報が最も手早く分かる隣のビルにあるオカルトGメンではなく、唐巣神父の所へと向かおうと考えた。
西条には悪い気がする令子ではあったが、それでも忠夫を諦める気は髪の毛の一筋ほども無かった。
だけど、令子は忘れていた。時間移動で元の時空に戻る時は、普通過去へ飛んだ時の時刻を思い浮かべる事を。時間移動を片手で数えるほどの経験しか無い令子には、その辺の感覚が美智恵ほどには思い浮かべる事が出来ないようだ。
(今なら西条さんに気を許した訳も判るわね。皆が出て行って、ただ寂しかったんだわ。でもそれを認めたくは無かったから、良く知っているつもりだった西条さんのアプローチに乗っかったのね。わたしはただ、縋りたかっただけなんだわ)
『オーナー、どうかなされましたか? 妙神山から戻ってきてから三十分ほどですが、上の空のようですけど?』
事務所に戻ってきてからモロモロの雑事を終わらせて執務机に座るや、ぼ〜っと上の空でいる令子を心配して人工幽霊壱号は控えめにだけど優しく聞こえる軽やかな声で尋ねた。
ワンボックスカーに憑依していた人工幽霊壱号は妙神山に置いていかれていたけれど、小竜姫の転移によって令子と一緒に戻ってきていた。
転移の際にワンボックスカーは、以前元始風水盤事件の時に鬼門達が助っ人を運んだ時に使用した入れ物に入れられた。
その時の人工幽霊壱号の感想は『二度はイヤですぅー!!』だった。彼女の口調が幼児退行している事から、よっぽどあの入れ物の中は居住性が悪いとみえる。
「うん? ああ…そうね……。昨夜から今までに起こった事を思い返していたのよ。それと、自分自身の気持ちの整理をね。(お兄ちゃんには悪いけど、やっぱりわたしは宿六を諦められない)」
以前の聞き慣れた低く男性的な声とは違った女性の声に軽く驚いて、令子は人工幽霊壱号の問いかけに答える。
「(人工幽霊壱号の声に違和感を覚えるのはどうして? まぁそんな事より、今は忠夫の事が先だわね)人工幽霊壱号。これからわたしは出掛けるから、何かあったら携帯に連絡を入れて頂戴」
世界によるこの辺の記憶の刷り込みが効いていない事に彼女は軽く疑問に思ったが、それよりも優先度の高い忠夫の情報を得る事に思考を切替えた。
『了解しましたわ。でも、どこに向かわれるのですか?』
「ん……そうね、最初は先生の所かな。その後はまだ決めてはいないわ。あ、それと宿六…って、言ってもあんたには分んないか。ま、いいわ。横島が多分ここに時空転移してくると思うの。その時は慌てずに、白井総合病院にわたしが居る事を伝えなさい。あ、そうそう。伝える時は今の女言葉じゃなく、男言葉でそれも声色を男性にしてから話すのよ?」
『承りましたわ。でも、なぜ男言葉で話さなくてはなりませんの? 忠夫様はオーナーやおキヌさん達の旦那様ではありませんか。何も口調を変えずとも、よろしいように思われますけど?』
「(あれ? 人工幽霊壱号が宿六をわたし達の旦那と言ったわね。世界の認識がまた変わったみたいだわ) ごめん、今は時間が無のよ。それは落ち着いてからちゃんと説明するわ。だからお願い、今言った事をやって頂戴。それと、その時は忠夫様ではなく、横島さんと言うのよ。じゃないと、あいつが混乱するから」
そう言われた時の忠夫の様子を想像したのか、苦笑しながらも令子は人工幽霊壱号にお願いした。
『分りました。横島さんが戻られましたら、オーナーが白井総合病院に居る事をお伝え致します。これでよろしいですか?』
声質を低くして、人工幽霊壱号は令子の要望通りに男口調で復唱を行って確認を取った。この辺は執事として令子に仕えている分、変わらなかったのだろう。
ただし忠夫に対して、人工幽霊壱号の接し方がどう変化しているのかは未知数ではある。先ほどの旦那様発言から多少予想はできるが、今は未知数である。
「ん、お願いね。じゃ、わたしは出るわ。後の事はお願いね」
玉座から立ち上がった令子は、執務机に仕舞っていた予備の神通棍と破魔札二十枚を取り出して、神通棍を腰の後ろに取り付けている鞘に差し、破魔札を両袖に隠したお札入れに十枚ずつセットすると、扉に向かって歩く。
『お気をつけて行ってらっしゃいませ』
人工幽霊壱号の言葉に令子は右手を上げる事で応えて、まずは神父の所へコブラに乗って向かった。
本宮の浅間大社で朝食を摂っている時に、今後の行動について令子達は話し合った。その結果、令子にとっていくつか重大な事が判明した。
なんと、おキヌちゃんに宿っているルシオラが生まれてこないと、彼女の旦那である横島の記憶と経験が失われて令子の良人だった忠夫との完全な融合が行われないというのだ。
その為に一刻も早くおキヌちゃんは、ルシオラを生む為にサクヤヒメの傍にいなければならなかった。サクヤヒメの傍でならば、おキヌちゃんと同質でしかもより大きな霊力を持っているので、ルシオラの復活がおキヌちゃん一人の時より早くなると令子は説明された。
それに加えてタマモとシロが回復しきってはいないので、癒しの術を掛ける為にも二匹はそのまま本宮へと残ることとなった。
小竜姫の提案によって彼女とヒャクメは一度、老師に今回の事件の顛末を報告する為に妙神山へ戻ることになった。
食事が終わった後にヒャクメが起きる事を期待して、小竜姫は自分の竜気を彼女に注いでみたのだが、いっこうに起きる気配が無かった。仕方が無いので、とりあえず彼女を残して小竜姫だけが戻る事になった。
その際、令子から人工幽霊壱号を事務所に戻したいと相談されて、小竜姫は令子の事務所と妙神山の間を転移する事を請け負った。
その結果が、冒頭の令子達のやり取りである。
令子は事務所を出ると、まずは人工幽霊壱号に言ったように唐巣神父の所へ向かっていた。
彼女は自分の見知った者達が持つ、忠夫に対する認識がどの程度になっているのかを知りたかったのだ。その事を一番把握し易いのは、GSの裏側を知っていてもなお裏表がほとんど無い神父が一番適任だった。彼ならば、GSの裏の情報も表の情報も知るパイプを持っているのだから。
それに、現在はICPO日本支部に勤めているピートに連絡を取って、そこからこの世界が忠夫に対してどのような認識をしているかの把握もできるだろう。
美智恵も把握に努めていると思われるが、彼女の手足となって動くピートの方が、より生の情報が得られ易い。そんな事を出掛ける前に考えていた令子だった。
(先生はいるかしら?)
除霊で教会にいないかもしれないと思い、令子は神父の所に電話を掛けた。
コブラを運転中なのに……読者の皆さんは真似しないで下さいね。
ピッ ピッ 『プ プ プ プ プ プ お掛けになった電話番号は、現在お客様の事情によりお繋ぎできません。こちらはN○○です。 お掛けに……』 プツッ
「先生〜。また電話料金払ってないわねー!!」
携帯電話から流れた音声に令子は、怒りのボルテージを上げて叫びながらハンドルをガンッと叩くと、腹立たしさも顕わにして乱暴に携帯を懐にしまった。
唐巣神父の教会の電話が止められている。この事態は、唐巣の生活レベルが壊滅している最終警告なのである。
なぜなら、唐巣神父の所に高額依頼が申し込まれるのは、大概が電話からである。その他は、除霊料金が払えない者の駆け込みが殆どだからだ。
その高額依頼さえ受けられない状態が今の料金未払いのアナウンスという事は、唐巣神父がここ最近除霊料が貰える依頼を受けていないという事を指すのである。
極まれに、唐巣神父が遠出をしていて電話料金が払えない時――なんと唐巣神父は銀行引落を利用していないのだ――があるが、それは年に数回あるか無いかであるから考慮に値はしない。
(餓死なんて、していないでしょうねー!)
令子は怒りながらも目的地を急遽変えて、通り道にあるスーパーへとコブラを向けた。
十分後。
結構な量の食材が入った自前の手提げ袋を抱えた令子がスーパーから出てきた。彼女はコブラの助手席にその手提げ袋を置くと、運転席に急いで座って神父の教会へと向かった。
令子が買い物用の手提げ袋など持つ訳が無いとお思いの読者諸賢もおられるだろうが、これは単に美智恵が持たせていたものである。
しかし、枝世界融合を起すまではほとんど使われる事は無かったのだが、今回は役に立っていた。備えあれば憂い無し? である。
怒ってはいても豆腐や卵などの崩れ易く割れ易い食材に気を使う令子の運転に、主婦としての令子が息づいているのが見られた。これは融合の結果と言えるだろう。
それから更に十分後。令子の姿は、教会の台所に見られた。
どうやら神父は生きていたらしい。あまりの空腹に除霊どころではなかったようだ。
まともに食事を取ったのは三日前が最後と言うのだから、その赤貧ぶりは自らが信仰する教義に悖(もと)ると思うのは筆者だけだろうか? 自殺の一つの形態に思えてならない。いや、神父自身は死ぬつもりはないのだろうけど。
「先生っ? あれほど生活できる最低の金額は受け取る様に言っていたのに、なぜ餓死寸前までになっているのよ! それより、生きた野菜達はどうしたのよ!? さっき見に行ったら何も居なかったわよ!!」
台所から食事の用意が一段落着いたのか、エプロンを掛けた姿で食堂に入ってきた令子は、机に前倒れになってうつ伏せている唐巣神父に怒鳴った。
ガスも止められていた為、カセットコンロで出汁をとるしかないのが令子の怒りに油を注いでいた。水道が止められていないのがせめてもの救いだった。
「ぃゃ〜ハハハ……。どうも最近立て続けに、生活苦に喘ぐご家族の依頼があってね〜。それに野菜達は、除霊も手伝ってくれていたおかげで、早くも世代交代になってしまったようでね。今度が七世代目だったかな? 今、彼らは種になっているんだよ。もう三日もすると、芽を出すはずなんだけどね……。実がなるのは更に四日後かな。たはは……」
令子の怒りの霊波と怒鳴り声に中てられながら、か細い声で何とか言い訳をする唐巣神父だった。
令子は神父の言葉に呆れて言葉を失う。また、あの野菜達が世代交代をしていたことも驚きだった。最初に令子が畑より生み出した野菜達は、なんだか妖怪のようにも見えたが、あれでも一種の精霊であったらしいのは判明していた。
いつも教会に来ると実が生っていて、虎視眈々と食べてくれるようにこちらを伺っていたから、まさか世代交代をしているとは思っていなかった。そんな事があるのなら、神父が飢えない様に今度宿六に頼んでピートに野菜の世代交代時期を訊かせようと令子は思った。
ちなみに、野菜達はそれぞれ精霊なので普通に霊への攻撃が出来るが、中でも玉蜀黍(とうもろこし)が一番攻撃力が高い。なぜなら、硬い本体が突撃した後に、実の一粒一粒が目標内で爆ぜて周囲にばら撒かれて爆発を起こすからだ。
ただ、玉蜀黍は実が成る本数が少ない為にトマトやキュウリ、カボチャが除霊の時は主に霊に対して攻撃を行っている。
さすがは攻勢霊力がずば抜けて高い令子が生み出したモノ達であった。
閑話休題
「先生がダンピング並みの料金しか取らないから、却って企業の方が先生を避けるのよ? ちゃんと正規の料金を貰っていれば、こんな倒れるようなことはないはずよ。そこんところ判ってます?」
「いやははは。心配掛けてすまないね、令子君。しかし、どうもこればっかりは性分でね」
令子の説教は毎回の事で神父も耳に痛いのだが、それでも生き方を変えるつもりはないようだ。
「ふーん、性分ねー? じゃぁ、先生はこの教会が無くなって、周辺の住民が困っても良いって言うのね? 二年前に起こったあの戦いの後に、ここに避難してきた住民になんの食事も出せなかった、あの状況をも容認するってことなのね? 先生って、自分さえ心の満足が得られれば周りはどうでも良いと考える人だったんですね。こんな人が先生だなんて、ママもわたしも浮かばれないわね」
苦笑する唐巣神父に令子は静かな怒りを覚えた。あの戦いの後に漏らした心情を、彼は忘れているようだから思い出させなければならい。
なので、意図的に声を冷たくして辛辣な言葉を令子は紡いだ。彼女の心に僅かな痛みが走る。
「令子君、いくら君でも言って良い事と悪い事があるよ。私があの状況を容認すると、本気で思っているのか?」
自分の現状さえ忘れて唐巣は令子の言葉に怒り、霊力が身体の隅々まで行渡った。
「あら、容認しているから、今の状態になったんでしょう? 今の先生からは、何を言われても説得力はありませんわ」
唐巣神父の怒りの霊波を向けられた令子はそれでも怯む事は無く、むしろ呆れた様にわざと敬語を入れて反論する。なぜなら、彼女はもっと深い怒りの霊波を彼から以前受けた事があるからだ。今受けているモノなど軽過ぎてちゃんちゃらおかしかった。
「…………分かった。では、ついてきたまえ」
空腹で頭が回っていないのか、令子の挑発に乗ってしまった唐巣神父はフラフラと立ち上がってどこかに彼女を誘おうとした。
「イヤよ。食事の用意も途中なんだから。それに、蓄えがあると見せたいんでしょうけど、先生の様子からだと先生が自分で管理を為しているとは思えないもの。多分、管理をしているのもピートなんでしょう? だったら行くだけ無駄だわ。それは先生の心構えとは言えないもの(こんなになってまでもその非常食に手をつけないんだから、筋金入りと言えば筋金入りよね)」
「ぐむ……」
唐巣がフラフラと立ち上がって二歩目で倒れそうになったのを支えて、令子は容赦無くそう告げる。
彼女の言葉に唐巣は何も言えなかった。彼女の言う通り、案内しようとした場所に蓄えている物はピートの管理下にあったのだから。
唐巣神父が把握している事は、蓄えの保管場所とピートから教えられていた三十人が二週間持ちこたえられるだけの備蓄量があるという事だけだった。
「さてと、そろそろ出汁が良い具合に取れたかな。じゃあ先生、そのままおとなしくしていてね」
あの食材って弱火じゃないといい出汁出ないのよねーっと言いながら、令子は唐巣をテーブルにつかせて台所に向かった。
(令子君の言葉に何も反論できなかったな。やはり令子君の言う通り、私の独りよがりなのだろうか?)
自分が今のように倒れる事はこれまでも数回あった。
その都度、令子君や美智恵君らが助けてくれていたと考えて、その事に私は甘えていたのだろうかと結論しそうになった頃に美味そうな匂いが唐巣の鼻腔に届いた。
唐巣神父の身体がその匂いに反応して、口の中にはよだれが湧き腹がぐぅぅうううーーっと鳴り響く。
フラフラと顔を上げると、令子がキッチン手袋をはめて土鍋を台所から持ってきてテーブルの中央に置いた。
土鍋からは美味そうな匂いが湯気と共に立ち上って、さらに唐巣の胃を刺激する。彼の口の中はよだれでいっぱいになり、その目は爛々と土鍋の中に注がれていた。
令子は唐巣の様子に苦笑しながらお玉で土鍋の中身(六分粥状のおじや)をすくって小鉢に盛ると、レンゲを添えて彼の前に置いた。
「ああ、天にまします我らが主よ。子羊の前に糧を齎して頂けた事を感謝しますっ」
両手を組んで主に祈りをささげると、唐巣神父は猛烈な勢いで舌が火傷するのも構わずにかき込みだした。
カチャ ぱく ……バクバクバクバクッ ずぞぞぞぞーーー!!
「令子君、おかわり!」
おじやを凄い勢いで平らげると、ズビシッという感じで唐巣は小鉢を令子に突き出す。
「ああ、はいはい。そんなに急がなくてもいっぱいあるんですから、落ち着いて食べて下さい。いくら六分粥でも、喉に詰まらせちゃいますよ」
唐巣から受け取った小鉢におじやを盛って再び渡しながら令子は注意するが、唐巣神父は聞いちゃいなかった。
令子から小鉢を受け取ると、レンゲを使うのももどかしいのかそのまま口の中に流し込みだした。
三杯目までは何事も無く(?)食べ終わった神父だったが、四杯目でとうとう気管におじやが飛びこんで咽(むせ)てしまった。
ゴホッ ガハッ ゴホホ カハッ
「ああ、言わんこっちゃない。先生、大丈夫?」
神父から小鉢を取り上げて、令子は彼の背中を摩る。
ひとしきり咽た神父は回復すると、すまないねと言いながら再び食べだした。
(こんなに飢えるくらいなら、依頼人から除霊料貰えば良いのに)
その様子に呆れて嘆息する令子。
十八号土鍋いっぱいのおじやを食べ終えた唐巣神父は、やっと人心地ついたと満足気な様子で食後のお茶を飲んでいた。
「きっれ〜〜いに食べましたねー、先生?」
神父が食べ終わった土鍋を見て、呆れた調子で令子は言った。
普通なら六人前くらいはあったおじやは、すっかり神父の腹に収まってすっからかんとなっていた。
「いや、すまないね。本当に見苦しい所を見せてしまったよ。でも、君の料理を久しぶりに食べたがさすがだね、美味しかったよ」
恥ずかしそうに神父は、令子の視線から目を逸らして謝りながらも礼を言った。
「まぁ良いですけどね。先生が落ち着いたら、私の話を聞いてもらおうと思ってましたし」
はい、お茶と言いながら、おかわりのお茶を神父に渡して、空になった土鍋を持って台所に向かいながら令子はここに来た本来の目的を告げた。
「私に話を? どんなことだい?」
手渡されたお茶をずず〜っと啜りながら、神父は令子に聞き返す。
「ちょっと待っててください。土鍋を先に片付けますから」
すぐに終わりますと言って、令子は土鍋を洗い出した。
台所から聞こえる水流の音に、唐巣は令子の話はどんな話だろうと考える。
(最近はあまりGS活動をしていなかった令子君が私に話があると言う事は……もしや引退話なのか? しかし、今の令子君からは少し前の思い詰めた様な感じは見受けられない。じゃぁ、何の話なんだ? もしや…最近急に噂になってきた横島君の事だろうか? はて? なぜ急にと思ったのだろうか? なぜだ? そういえば、なぜ横島君の話題が今になって出てくるのだろうか? それも悪い噂ばかりが)
「お待たせしました、先生」
「あ、うん。……で、話とは何かね?」
考えに没頭していた唐巣は、令子の言葉に我に返って彼女の話を聴く為に尋ねる。
「まずは今まで心配を掛けていた事を謝ります。先生、すみませんでした。おキヌちゃんとは、ちゃんと和解出来ました」
令子は唐巣の対面にテーブルを挟んで座ると、おもむろに彼に対して頭を下げてから話しだした。
「ほぅ? それは良い報せだね。あんなに仲が良かった君達が諍(いさかう)のは、私も見ていて心苦しかったからね」
なんの力にもなれなかったがねと言いながら、唐巣は自嘲しながらも令子の言葉を我が事のように喜ぶ。
実際、母親の美智恵からも相談されていただけに、唐巣は肩の荷が下りる思いだった。
「いえ、わたしを気にかけて頂いていたのは分かっていました。その事には感謝しています。ありがとうございました」
そう言って令子は、唐巣に向かって再び頭を下げる。
実際おキヌちゃんと袂を別っていた時はかなり落ち込んで、唐巣に愚痴を聞いてもらったりしていたのだから、令子は純粋に彼に感謝していた。
「君は私の弟子だからね。当然の事だよ。ということは、令子君の話というのはおキヌちゃん達との事かい?」
唐巣は令子の感謝を受け入れ、頭を上げなさいと優しく声を掛けてから話の先を促した。
「まぁ、関係あると言えば関係あるんですけど……。実は、や……っと、横島君の事なんですよ」
令子は言い難そうにしながら途中で横島の事を宿六と言いそうになり、言い直してから今回の訪問目的を話した。
照れて顔が赤くはなっているが、話の内容が内容だけに令子は真剣に唐巣神父の目を真っ直ぐに見つめる。彼の人柄では心配無いだろうが、今から話す事を男女の浮いた話とは取られたくは無かった。ただ、そういう浮いた話でも、彼は真摯に話を聞いてくれるだろうけど。と、令子は内心で苦笑しながら思う。
「横島君のこと? 彼に何かあったのかね?」
「ええ。ちょっとしたトラブルに遭っているらしくて、今、彼とは連絡が付かないんです。おキヌちゃんからも情報を集めて下さいって頼まれたので、先生なら何かしら噂を聞いていないかと思って来たんです。そしたら、空腹で倒れてたんですから、びっくりしましたよ」
タイミング良く令子に横島の事を訊かれ、唐巣は怪訝な表情を浮かべるも彼女に何があったのか尋ねる。
しかし、実際の横島の状況を話せない令子は、別の言葉で彼の現状を言い換えて話し、唐巣神父が持っている情報を引き出そうとした。
その為、唐巣に対して尋ねる事柄に少し時間的な矛盾が出てしまうが、その点は唐巣が倒れていた事を話題にして逸した。
「ハハハハ、すまないね。そ…それはそうと、横島君の事だったね。確かに最近、横島君に対して何かしらの悪意ある行動が取られるような噂を聞いた事があるよ。ただ、その噂の出所が信憑性に欠けていてね、私もまだ裏を取っていないんだよ」
空腹で倒れていた事に触れられて冷や汗を掻いた唐巣だったが、気を取り直してさっき考えに上った情報を令子に明かす。
(やっぱり、老師の言った事は本当だったんだわ。先生が出所を隠すという事は、政府関係筋と見て良いわね。あいつが居ない今は多分何も動きはないだろうけど、戻ってきた時が一番危ないわね。この枝世界が宿六を認識したとたんに、事態が一気に動く可能性があるかも。でも、どうしたら良いの? 文珠の事は国のトップには知られているはずだけど、今までは何もアクションは起こらなかった。それがなぜ、今になってそういうアクションが取られるのよ? 絶対何か要因があるはずだわ)
唐巣が明かした情報に、令子は背筋が寒くなる予感を覚えた。裏を取っていないとはいえ、彼の許に届いた時点でその情報はかなりの信頼性があるのだ。
唐巣自身は信憑性に欠けているというが、これは彼の性格による隠喩だった。また、彼は自分で裏を取らない限り、その筋から流れてきた情報は必ずこう言うのだ。彼と慣れ親しんだ者だけが分かる違いではあるが、情報を受け取る側にとっては重要な事だった。
なぜなら、言葉通りに取って根拠の無い安心感を持って動かない場合が、唐巣と初見の人間には多々見受けられるからだ。
それだけ唐巣神父の言動に信用が置かれている訳だが、初動が早ければ早いほど対処が比較的にだが楽なのは言うまでもない。だから唐巣の事を良く知っている人間は、彼が言葉にした時点で動くのである。
「横島君の事は私も気に掛けていたからね。この噂を聞いたのもつい昨日のことなんだよ。ただ、私も少し疑問に思っているのだが、この噂は前置き無く唐突に出てきていてね。普通は徐々に複数の情報源に広がってから私の所に聞こえてくるはずだが、今回の噂は複数同時に出てきているんだよ。令子君はどう思う?」
自分の情報を聞いた令子が考え込むのを見た唐巣は、情報が出た状況のおかしさを伝えて彼女の意見を訊いてみた。
(先生が持っている複数の情報源から同時か……。なぜこうも唐突に出てくるの?)
「複数同時にというのが気になりますね。ただ、わたしの霊感ではその情報は正しいと感じます。だからその元凶を突き止めたいと思います。先生も手伝ってくれませんか?」
あごに手を当てて唐巣の質問から少し考えると、令子は自分の霊感に従って彼を頼った。
「それはかまわないよ。私達は横島君には返しきれない恩があるからね。この世界から彼に危害が及ぶ様な事は極力私達が排除しなければ、あの時に世界の命運を預けてしまった償いにはならないからね」
令子の要請に唐巣は当然といった調子で、しかし己に対しては戒めるように言葉に出して承諾した。
「ありがとうございます。では、先生には横島クンに対してどの様なアクションが起されるのか、その情報をママと一緒に集めて貰えないでしょうか?」
「美智恵君と? 彼女も何か掴んでいるのかね?」
「ええ。ママからもキナ臭い噂を聞いています。まだ詳しい事は判っていないようでしたけどね」
「そうか。分った、美智恵君と連携して情報を集めてみよう」
令子からの具体的な調査の内容の中で美智恵の名が出た事に怪訝な表情になった唐巣は、オカルトGメンでも何かを掴んでいるのかと思い彼女に尋ねたが、答えられた内容は芳(かんば)しい物ではなかった。
「ありがとうございます。では、わたしは次に行く所があるから行きますね。電気も止められているから作り置きをした料理は、ご近所さんに預けておくからちゃんと食べくださいよ?」
唐巣の了解を取った令子は立ち上がると、おじやを作るときに一緒に作った作り置きの料理の事を伝えた。
「分った。本当にすまないね。早速、GS協会にご近所さんから電話を借りて連絡を付けてみるよ。また、君達から小言は貰いたくないからね」
人好きのする笑顔で不器用なウィンクをして、唐巣は除霊の斡旋を受ける事を令子に伝える。
電話が止められているので、彼がGS協会に連絡を取るにはご近所に電話を借りなければならないのが情けない限りではあった。
「そうして下さい。それでは先生、また近い内に連絡しますね。今度はホントに連絡が付かないなんてこと、無いようにして下さいよ? それじゃ」
唐巣の言葉に再度令子は釘を刺して、部屋から出て行った。
(ふむ? 今まで見た事のない表情をするようになったものだね。柔らかくなったというか、より女性的になったというか……。ま、横島君絡みなのは確かだろうが。さて、令子君からも忠告されたし、協会の斡旋でも受けてくるか)
冗談めかしたように言いながら部屋を出て行った令子の後姿を見やりながら、唐巣は当面の生活費を稼ぐ為にご近所に電話を借りに部屋を出て行った。
(先生の所はこれで良しと……。さて次はどこ行くかな? …………やっぱりエミの所しかないか。あの焼きすぎヒス女に借りは作りたくはないんだけどな。どうやって攻めよう?)
教会から出てきた令子は、コブラに乗りながら今後の予定を考える。しかし、何か焦燥感みたいなものが彼女の霊感に響いていて、多くの場所を周れないなと予測していくつかの目的地を頭に思い浮かべた。
その中から情報の精確度が高くて、しかし心情的に二番目に頼りたくない商売敵をやむなく目的地に定めて令子はコブラを発進させた。
場面変わって、こちらは妙神山。
小竜姫は令子を東京の事務所に送った後、そのまま妙神山に戻り一度自室で着替えてから斉天大聖老師に見(まみ)えていた。
「老師。小竜姫、ただいま戻りました」
「うむ。して、首尾はどうじゃった? ヒャクメがおらなんだが、どうした?」
胡坐をかいてキセルをふかす老師の前で、正座をした小竜姫は事件の詳細を報告し始めた。
泰然自若として小竜姫の報告を聴く老師に、ヒャクメを心配している様子は無い。目の前の小竜姫が落ち着いて報告しているので、心配ないだろうと見抜いているのだろう。
小竜姫の報告が忌御霊との戦いの詳細を語り終える頃に、彼女の様子がかすかに変化した。
「どうした? 何か懸念でも生じたか?」
小竜姫の様子に迷いが見て取れた老師は、彼女に問う。
「はぁ。私もどう報告したら良いか、分かりかねる事があるのです。ヒャクメであれば、的確に報告できるのでしょうけど」
老師の問いにどう表現したら良いか分かりかねる小竜姫は、自分の中で今回の戦いの最後で得た情報を処理しきれないもどかしさを無意識に視点を定まらせない事で表しながら答えた。
「小竜姫が見聞きし、感じたままを報告するがよいて。ヒャクメでは分からぬ、武の観点があるやもしれぬ」
「あ、はい。その……今回の戦いの最後でニニギノミコト様の神格に触れる機会があったのですが、その時は封印の人形が壊れかけていて、封印の術式の隙間から神格から発せられる波動を感じたのです。その波動を認識できた時、なんと言いますか安らぎと恐れを同時に感じたのです。そして巨大な力なはずなのに、其処にあるのが当然の様にも感じました。その直ぐ後にイワナガヒメ様が応急の封印を施しましたので、ごく短時間だけの接触ではありました。あの感じをなんと言えば良いのか……。イワナガヒメ様は他言無用と申されましたけれど、私ではあの力を恥ずかしい事ですが脅威であるとは判断できなかったのです」
小竜姫は、己が抱くニニギノミコトの神格に対する感覚をどう表現したら老師に伝わるかと、迷いながらぽつぽつと話した。
実際、あの時小竜姫は、神格から発せられる波動にずっと包まれていたいとも感じていた。ただ、ずっと包まれていると自分の中で何かが変わってしまうかもしれないという恐れもあって、だから戸惑っていた。
あまりにも巨大な力なハズなのに、自分など簡単に消滅させられる力なのに恐さを感じない。自分に向かってあの力が振るわれる事が想像できないのだ。確固たる確信も無く信頼している自分に小竜姫は混乱していた。
「ふーむ。巨大な力が其処にあるのに、当然と感じてしまう……か。まるで我らが住まう、この世界のようじゃのう」
老師は小竜姫が戸惑いながら報告する様子を見て、己が予測したニニギノミコトの神格についての考察が外れていない事を確信した。
その褒美として、老師はいまだ心揺れる不肖の弟子を落ち着かせるべく、ヒントを小竜姫にほのめかす。
(ふん……。天と地の狭間に生まれたワシと似た様なものじゃな。その規模が違うだけじゃが。アマテラスの嬢ちゃんも扱いかねたのじゃろうて)
自分の所業によるお師匠様の苦労と心労を慮(おもんぱか)りながら、天照大神が被った苦労を苦笑する老師だった。
「私達が住むこの世界のようですか? それはいったい?」
老師が出したヒントに、彼が言うような規模では済まないような気がする小竜姫は小首を傾げる。
「それは自分で答えを出すことじゃな。お主の蒙が開けばおのずと理解するじゃろ。精進することじゃ」
「はい」
老師の言葉に小竜姫は落ち込む。何をどうすれば理解に繋がるのか、皆目見当がつかないからだ。
「しょうがない奴じゃの。横島がこの時空に戻ってきたら暫くは行動を共にせい。さすれば理解する端緒にはつけるだろうて」
悩む娘を見るような目で老師は、ヒラヒラと一枚の紙切れを振りながら言う。
「あの、それはなんですか?」
老師が何処からともなく出して振り出した紙に嫌な予感を覚えた小竜姫は、尋ねたくはない感情をねじ伏せて尋ねる。
小竜姫には、老師の顔が楽しい物を見つけた子供の笑顔に見えてならなかった。しかもヒラヒラと見せられている紙は、神界の辞令書に見えるのでなおさら不安が募る。
「お主の蒙を開く書じゃ。ありがたく受け取れ」
そう言って老師は、手に持った紙を小竜姫に手渡した。
「はぁ……? こ…これは!?」
手渡された紙に書かれた文字を読み進めた小竜姫は、驚愕に目を見開きながらパクパクと声にならない声を上げて手元の紙と老師を交互に見る。
その紙にはこう書かれていた。
辞令
発:天界軍統合軍令部
宛:天界軍 統合竜神隊第一司令部所属
人界東方拠点妙神山管理人 小竜姫 殿
上の者。妙神山管理人の任を、先の大戦の功労者 横島忠夫の当時空への帰還時点を以って解く。
その後、次の任務に付くことを命令す。
一つ 横島忠夫を心身共に彼の者を害する事柄より護ることを任ずる。
一つ 任務期間は、別命あるまでは横島忠夫が消滅するその時までとする。
一つ 魔界より派遣される護衛と協力する事。
以上
「なんじゃ? なんぞ不服でもあるか?」
小竜姫の様子を面白そうに見ながら、老師はからかう様に質問する。
いつの間にこの様な手配を老師はしていたのだろうか?
「いえ…その……。質問してもよろしいでしょうか?」
「許す。なんじゃ?」
「あの、どうして私が選ばれたのでしょうか?」
辞令書を穴が開くほどに真剣に見つめて、自分の中で湧き上がる様々な感情を必死で抑え込みながら小竜姫は老師に問うた。辞令書を持つ彼女の手が微かに震えている。
「この任務は、護衛対象の消滅まで任が解かれる事は無い。ならば気心が知れた武官が向かえば要らぬ摩擦が減るであろう?」
「(別の摩擦が起こると思うのですけど) では、この魔界から派遣される護衛はどなたでしょうか? あと単独ですか? それとも隊を組んでいるのでしょうか?」
老師の言葉に内心でおキヌちゃんやシロ・タマモ。それに美神令子の顔が思い浮かび、頭にでっかい漫画汗が垂れる思いを押し殺して魔界から派遣される人員について訊いた。
「魔界からの連絡はワシの所にまだ届いておらん。ま、推測する事はできるがの。お主が選ばれておるのじゃ。必然的に対象は二柱しかおらぬのう。いや三柱かの?」
老師はころころ変わる小竜姫の表情を楽しみながら、彼女の質問に答えていく。小竜姫は表情を隠せていると思っているようだが、老師には丸分かりだった。
ただ、小竜姫の様子を楽しみながらこうも思っていた。
(それにしても変わったものだわい。あの堅苦しく生真面目だったこやつが、たった三年足らずで命令とはいえ妙神山を離れる事に抵抗を見せないのだからのう)
「そうですか。 これで最後です。パピリオはどうなるのですか?」
なんとか昂ぶりそうになる気を落ち着け表情を引き締めて、この妙神山で預かっている現時点では彼の義妹として振舞っている蝶の化身について訊いた。
「保護観察の管轄が神界より魔界へと移る。後は魔界の処遇によるであろうな。その先は、ワシにも判らぬよ」
「そんなっ。 では、最悪の予想もあるのではないですか!?」
「ワシらが送った報告書を悪意無く受け取っておれば、その懸念は無いとは思うがの。まぁ、心配するのも分かる。ワシもゲーム仲魔が居なくなるとレベルアップの効率が悪くなるし、処遇の詳細が判るまでは向こうに渡しはせんよ」
「そうですか」
なにげに俗世間にまみれた意見を言う老師。彼の言葉にホッとしながらも小竜姫は呆れ顔だ。
「任務の拒否はできないんですよね?」
「したいのか?」
老師の問いかけに、「いえ、聞いただけです」と答えた小竜姫は少しのあいだ逡巡すると、おもむろに平身低頭した。
「我、小竜姫の名に於いて謹んで命令を御受け致します」
「うむ、承認する。ま、仏道に帰依しているとはいえ、堅苦しくするなというのがワシからの餞じゃな。何事も中庸で中道を進めば良いのじゃ。ワシのお師匠なんぞ、破戒の限りを尽くしていたしのう。ワハハハハ」
老師は昔の旅を懐かしみながら小竜姫に助言めいたことを言って、呵呵大笑した。
それは中庸ですか? と、疑問に思った小竜姫ではあったが、上体を起こして言葉にはせず冷めた目で老師を見続ける。
小竜姫の視線に、老師は彼女に見えないところで冷や汗を垂らしながら、それでも笑っていた。その笑いが乾いたものになるのも時間の問題だろう。
「それでは次の任務の為に私物を整理してきます。失礼致します」
軽く溜息を吐いて気分を切り替えると、小竜姫は立ち上がって老師に礼をして自室へと下がっていった。
(さて、これがあやつにとって、良い経験になれば良いがのう。それはそれとして、アシュタロスの行動に対する揺り返しがやはり起こるか……じゃが、させぬ!!)
老師は小竜姫の背が見えなくなるのを待ってゲーム機器を出しながら、彼女の行く末を少し案じる。また、彼の許に届いた情報に不穏な動きがある事が含まれていて、二度と横島に同じ様な業を背負わせない事を老師は決意していた。
忠夫に対して人界に不穏な空気が流れる中、天界と魔界よりそれぞれ彼に護衛が付く事になった。だが、これが人界の雰囲気が悪くなった為の処置とは思えない。不穏な動きがまた、起ころうとしていた。
続く
こんばんわ、月夜です。想い託す可能性へ 〜 じゅうご 〜 をお届けします。
小竜姫さまの人界派遣が決まっちゃいました。魔界からは誰を向かわせるかな。簡単に決まったように見られますが、老師の許に届いた情報により竜神界が動いた結果です。これには天龍童子が関係しています。成人したから童子というのも変ではありますけど。
では次回、ついに奴が戻ってきます。多分……桃色です。
誤字・脱字、表現がおかしいと思われた所はご指摘下さい。
それではレス返しです。
〜アミーゴさま〜
毎回のレスありがとうございます。小竜姫さまの痴態に喜んでいただけたようで何よりです。次回、頑張ります。
>一体どんな夢見てたんすかーw
横島に○○○を○められてた所でしょうか。でも実際、小竜姫さまは今後どうなるやら。
>ダ女神〜〜扱いがぞんざいだなぁ
彼女の性格が凄くギャグに使い易いからでしょうね^^ヾ 今回の戦いでは、文官なのにホント頑張ったんですけど(笑)
>ちなみその後会社で……
大丈夫ですか? 戻しちゃうと体力激減するんですよね。お酒入らなければ、私は大丈夫ですけど。
〜読石さま〜
毎回のレスありがとうございます。今回のお話がご期待に副えたものであれば幸いです。前回のお話の引きは、どう使おうかな^^
>西条さん……
どこかで彼には報いてあげたいですね。原作でもどこか報われていませんでしたし。
>次に何時活躍できるか……
そうですよねー。習慣とは恐ろしいものです。まぁ、そういう扱いが習慣化するヒャクメにも困ったものですけど(笑)
>電話通じるんですよねぇ
神道真が美神の事務所に来た時に受験生に追われていましたから、電話でも繋がると思いました。また、この様な描写をどこかで出したいですね。
次回投稿は夏休みを使って早く仕上げたいと思います。桃色、反応怖いな