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「横島さん家のホムンクルス!4話(GS)」

ワイ (2007-07-30 22:30)
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横島さん家のホムンクルス! 4話


さて、朝っぱらから家の当主が出血多量で死亡?
する事件が有ったが、俺は取り合えず無視する事にした。
大体、一々構っていたら切が無い。
やがてドアがノックされ一人のメイドさんが部屋に入って来た。

「凄い音がしましたが、いかがなされまし…た?」

メイドさんが見たのは部屋中に撒き散らされた血と倒れた当主
そして其処に座っていた俺であった。

…むう、これはイカン。何とか状況を説明せねば!
考えた末、俺は駆けつけたメイドさんに一言。

「ちんだ」と言った。

メイドさんは、俺が喋った事に驚きはしたが
当主が倒れている事には驚かなかった。
そして、俺の肩を抱き優しく話しかけて来てくれた。

「お嬢様怖かったでしょう? でも大丈夫ですよ。
 大樹様がこうなるのは『いつもの』事ですのでお気になさらずに」

と、微笑んでくれた。

「うにゅ」

表情が上手く変えれるのならば俺は困った顔をしていた事だろう。
と言うか、いつもこうなのか? その内、出血多量でマジに死ぬぞ?
何はともあれ、倒れた親父は適当に放置され俺はメイドさんに連れられて
食卓のある部屋に連れて行ってもらった。

上手く歩けないので抱っこしてもらったが…
俗に言う『お姫様抱っこ』と言うのは内緒だ。

くすくす…と、笑うルシオラの声が聞こえた。
しかたがなかったんやーー!! 自分で歩けないんやーーーー!!!(泣)


色々あったが、無事に俺は食卓に付く事が出来た。
倒れたはずの親父が、何故か俺が食卓に付く前に席に座っていた。

「おはようございます。お嬢様」

落ち着いた渋みのある声で挨拶してきたのは執事のセバスチャンだ。
本名は何ていうんだろ? 気になる…
それはさて置き、俺も挨拶する事にする。

「おあよー」

「おふん!!」

席の向こう側で又しても鼻血を噴出す親父。…興奮しすぎだ。

セバスチャンは一瞬驚いた顔をしたが
段々と初孫を見るお爺ちゃんの顔になり…

「流石お嬢様です、僅か一日で会話が出来る様になられるとは…
 このセバスチャン、苦労して睡眠学習枕をカタマイズした甲斐が
 ありました」

と満面の笑みで答えた。

…そんな枕で寝てたのか? 
でもゴメンな、セバスチャン。俺、何も覚えてないし聞いてないんだ。

俺はえびす顔で微笑むセバスチャンに心の中でそっと謝っておいた。

やがて食卓に食事が運ばれて来た。
トーストに目玉焼きとカリカリに焼いたベーコン。
そして瑞々しい野菜のサラダにホットミルク…

俺は涙が止まらなかった。

俺は…! 俺は、今! 夢にまで見た御馳走を手に入れようとしている!
幾度こんな朝食をとってみたいと思った事か!
幾度財布の中身を見て絶望に打ちひしがれた事か!
だが見よ! 今…まさに至高の朝食が目の前にあるのだっ!!
ああ! さらばだ! インスタントラーメン! 心の友よ!
お前の事は忘れないっ!!

俺は目の前に運ばれて来るそれらを、今か今かと待ち侘びた。

クスクスと笑う声。メイドさん達だ。
そして、近くに居たメイドさんが俺の近くに寄って来て

「お嬢様、涎が垂れてますよ?」

と、言いそっとハンカチで拭いてくれた。
しかたがないんや! もう涎で溺れそうなんやーー!!

「ふむ、じゃあ料理も出揃った事だし…食べるとするか」

と、親父が言ってくれた。
この時ばかりは親父が輝かしく思った。

「いただきます」

親父が手を合わせ食事に取り掛かる。俺もそれに習い後に続く。

「いたーきまふ」

ちゃんと言えなかったが気にしない。
至高の朝食が俺の胃に納まるのを待っているのだ!

「ぬふぅ!?」

ぶしゅーと奇妙な音が聞こえるが気にしない。

「直ぐに輸血を」

セバスチャンが何か言ってるがそれも気にしない。

「輸血パックが足りません!」

「ええい! 仕方ない! 足りない血は勇気で補え!」

「らじゃー!」

…いや、無理だろ。
と、心の片隅で突っ込みを入れながらも、俺は念願の朝食にありつけていた。

…うまい! こらうまい! こらうまい!!

美味すぎる! 思えば俺はなんと切ない食事をしていたのだろう。
朝食が水なのは当たり前、時にはその水さえも切り詰めなければならない
その情けなさ…
ああ…俺は今まさに幸せという食べ物を噛み締めている!!

ぎこちないながらも、もりもりと食べ物を口に運ぶ俺。
口の周りに色々食べかすが付いているが、気にも止めない。
時々「もえー」とか聞こえるが、絶対に気にしない!
俺の向かいの壁が真っ赤に染まっているが、俺は見ていない事にする!!

俺が美味しそうに食べているのを見てか

「ふふ…美味しいですか、お嬢様?」

と、メイドさんが聞いてきたので俺は満面の笑みを作ったつもりで

「うまー」と答えた。

ぶしゅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

…オレハナニモキイテイナイ。ソシテナニモミテイナイ。

「ああっ!? 人類の希望がっ!!」

「シンクロ率低下! このままでは!?」

「ちぃ! まだ早すぎたというのか!?」

「液状のものなら、トマトジュースでもコンソメスープでも構わん!
 投与しろ! 大樹様なら自力でなんとかする!」

…それは、どうかと思うぞセバスチャン。
何気に無茶な介抱をされている親父を余所目に食事を満喫した俺。
思うように手が動かなかった為か結構こぼしてしまった。
…もったいない。

「ご満足頂けたようですね? お嬢様」

「うん!」

にぱっと笑えた。おそらく満面の笑みだろう。
俺はこの体になって、初めて表情が変わったのを感じた。
まともな食事にありつけ、エネルギーが満ちているから
表情を変化させれたのだろうか?

ぴくぴく

「ああっ!? 脈拍低下! 心拍数も危険位置に!!?」

「こ…このままでは!」

「仕方ありません秘孔『心霊台』を突きます。これで何とか…!」

どす!

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

…親父の髪が白く染まっていく。
壮絶な痛みと引き換えに死期を遅らせる経絡秘孔『心霊台』…
その余りの激痛に髪は白くなってしまうと言う。

…間違いなく親父を殺す気だろセバスチャン。

「あ〜死ぬかと思った」

って、死ななかったのか親父!?恐るべき生命力だな!?

…そういう俺も昔これより酷い目にあって死ななかったけ?
なんかちょっと、親父が昔の俺にダブって見えた。


騒がしい朝食を終えた俺達は、居間でゆったりと時間を過ごしていた。
と、唐突に親父が話を切り出してきた。

「我、娘よ! お前の名前を考え付いたぞ!」

…さっきから何やらブツブツ言ってたのは名前だったのか?
俺はてっきり、キャバレーのねぇちゃんの名前かと思っていたぞ!?

「セバスチャン!」

「こちらに」

親父が言うと同時に支度を終わらせているセバスチャン。
正直…何者ですか貴方? 人間業じゃありませんよ? 
と、声を大にして言いたい。

其処に用意されていたのは筆と半紙だった。
親父はおもむろに字を書いていく。

「できたぞ…! 見よ!」

バーン! と親父の後ろに効果音が字で見えるほどの勢いで紙を掲げる。
其処には…『瑠兎樹』と書かれていた。

ぽかーんと、俺はその字を眺めていた。
ふっ…! この横島忠夫! 伊達に高校サボってないぜ!
まったく字が読めん! なんて書いてあるんだ!?

「瑠兎樹と書いて『ルージュ』と読むのだぁ!!」

…当て字か? 当て字なんだな!?

「ほほう、中々しゃれた名前でございますな?」

とセバスチャン。

「ふふ…前の二文字は当て字だが最期の樹だけは俺の名前から取ったのだ!」

…やっぱり当て字か。
昔、俺の名前は誰が付けたんだ? と、聞いたらお袋が付けたと言っていた。
親父はどんな名前付けようとしてたんだ? と聞いたら困った顔して

「そうね頑駄無とか…後は男都呼とか…」

と、おっしゃってくれました。 
絶望的にセンスが無いという事が分かった十五の夜だ。

…にしてもルージュか、親父にしては頑張った方なのか?

「瑠兎樹と言う名前は、お嬢様の瞳の色から…ですかな?」

セバスチャンは俺の顔を見つつ親父に聞いた。

「ふっ、相変わらず鋭いなセバスチャン。その通りだ。
 娘のその美しい瞳を見た時から決めていた! これしか無いとな!」

高々と拳を上げる。
その姿は、この世を去る時の拳王様と同じポーズだ。
何かやり遂げた男の顔が其処にあった。

「良いお名前をお付けになられましたな」

と、うんうん頷くセバスチャン。

…どうやら本人の意思とは関係なく名前が決定してしまったようだ。


横島 瑠兎樹。

それが、この体の名前。

横島 忠夫。

それが、俺…魂の名前。

これからルージュと呼ばれる事になるだろうが
魂の名前…横島忠夫は、決して忘れないようにしよう。
元に戻れなくなったら嫌だからな!

と、固い決意を決めた食後の一時であった。


続く


レス返しです

・ソロモンの指環さん
 横島君は前途多難が運命付けられています。哀れですねw

・人形遣いさん
 今は赤ちゃん言葉ですが体に慣れていけば、その内ちゃんと喋れるように
 …なるかも?w

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