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「光と影のカプリス 第85話(GS)」

クロト (2007-07-16 19:27)
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 横島たちが竜神化関係の話をひと通り終えてお茶を飲んでいると、約束通り愛子が机をかついでやってきた。
 傍で見ているとかなり重そうに見えるが、当人にとってはさほどでもないらしい。
 すぐに面接に入ったのだが、横タマカリンが同席すると私情が混じりそうなので、今日はもう帰るか外で待っているように言い渡されてしまった。

「じゃ、屋上で待ってます。面接ったって20分かそこらで終わるんでしょう?」
「そうですね。人格的なことはもうわかってますから、実務的なことや能力などを訊ねるだけですから」
「じゃ、終わったら携帯で呼んで下さい」
「いえ、すぐそばですから直接そちらに行きますよ」
「わかりました」

 ということで屋上に登る3人。今日の夜空は一応晴れてはいるものの、どこかよどんだ感じで月以外に見える星は数えるほどしかなかった。
 横島がふとカリンを顧みて、

「俺は別に気にならねーけど、おまえは星がいっぱい出てる方が好きなんだよな?」
「そうだな。おまえときれいな星空を見上げながら夜話でもできたら私はすごくうれしいが……昨日も言ったが、私のことは気にしなくていいからな」

 とカリンはやっぱり頑固だったが、しかし横島としては、そこまで言われると逆にはいそうですかとは答えづらい。

「いや、おまえも恋人なんだから気にせんってわけにはいかんだろ……ん?」

 台詞の途中で脇腹の辺りをつつかれた横島がそちらに目を向けると、タマモが黙ったまま彼の顔をじーっと見上げていた。

「わ、わかってるって。おまえの希望もちゃんと覚えてるから、そんな物欲しげなまなざしで上目づかいをしないでくれーっ!」

 その仕草が心のどこかにクリティカルヒットしたのか、横島がうずくまってごろごろと転げ回る。
 そしてそんな横島を眺め下ろしてニヤソと笑みを浮かべるタマモ。さすが傾国の美女、幼生とはいえターゲットのツボはしっかり把握しているようだ。
 横島は30秒ほど七転八倒してようやく心が落ち着いたらしく、ふらりと立ち上がると妙に感慨深げなため息をついた。

「しかし俺が竜神サマになれるって……何かまだ実感わかねーな。子どものころは普通のガキだったし、美神さんとこじゃ単なる荷物持ちだったからなあ。
 小竜姫さまがああ言うんだから間違いはないんだろーけど」

 それからたったの半年足らずしか経っていないのに、気がついたらずいぶんと成長していたものである。
 それでもカリンや百合子、あるいは令子や美智恵辺りにはまったく勝てそうな気がしないのだが……。

「……って、実はたいしたことねーのかも!?」
「いや、今のおまえはまだ人間なんだし、比較対象が悪すぎるだけだと思うが……」

 また頭をかかえて悶え始めた横島に、カリンが額に縦線効果を入れつつもフォローを入れる。まことに世話の焼ける本体だった。

「……しかし何だ。小山殿がいくつか案を示してくれたが、竜神になるのならやはり宮司がいいと思うぞ。1度小山殿の正式な部下になってしまったらもう後戻りできないし、完全に向こう側の住人になってしまうからな。
 その点宮司なら人間社会との縁は残るし、状況次第で小山殿のところに行くなり、また別の生き方を探すこともできるのだから」

 カリンが言っているのはあくまで「竜神になった後の進路」についてであって、竜神になること自体を勧めているわけではない。本音はもう知れ切っているのだが、相も変わらずこの少女は実に生真面目であった。
 すると横島がむっくりと体を起こして、

「そだな。いきなり向こうに引っ越すってのも気が引けるし、ワンクッション置いた方がいいかも知れん。
 妙神山の麓だったら破魔札つくれば売れるだろーから、金には困らんと思うし」

 狙いの客層は普通の参拝客ではなく、修業場に来る霊能者なのだ。何しろ神サマ直筆のお札だから、最初の1人が見つけてくれさえすれば後は口コミで噂が広まっていくだろう。
 小竜姫によれば神族が理由もなく人間にあまり強いアイテムを与えてはいけないそうだが、パワー押さえめの消耗品なら問題あるまい。普通のお守りの類と違って単価がやたら高いから、年に10枚も売れれば十分やっていけるわけだし。
 横島は口の中だけでそんなことをごちながら、床に手をついてふらっと立ち上がった。また顔を上げて光のない空を見上げる。

「ま、確かにいい話だとは思うけど。でもそもそも俺は何をやりたいんだろうな……?」

 以前は「美人の嫁さん手に入れて退廃的な生活をしたい」ぐらいの考えしかなかった。いいかげんかつ人生をナメているが、実に自分らしい願望だと思う。
 そしてその趣旨でいくなら、カリンやタマモの希望通り竜神になって妙神神社の宮司になるのがベストである。人間として生きるよりずっと長くらぶらぶライフを楽しめるし、2人も喜んでくれるだろう。その上うまくすれば小竜姫ともオトナの関係になれるかも知れないし、普通に就職先として考えてもかなり良い部類だと思われる。
 ―――それなのに今すぐ決断できないのはなぜなのか。何か他にやりたい事でもあるのだろうか?

(……そーゆーわけじゃねーよな。GSになるかどうかさえ決めてなかったし、だから大学行こうって思ったんだから)

 つまりそれをいきなりあと数ヶ月と期限を切られてしまったからとまどっているんだと思う。
 しかしいつまでもうだうだ悩んでるのは自分のキャラクターじゃないような気もする。考えてみれば美神のところでバイトを始めた時も唐巣教会に行った時も小山事務所開業を勧めた時でさえ、ほとんどその場の思いつきみたいなノリで行動していたのだから。
 まあ今回の選択はそれらとは重みが違うが、情報はそろったのだからそろそろ決めてもよかろう。

(ここは俺のフォー……じゃない、霊感を信じてみるかな)

 未来予想図を頭の中に思い描いてみる。妙神神社で宮司をしている自分、小竜姫の部下として修業場に控えている自分、人間としてGSをやっている自分、GSをやめて普通のサラリーマンになった自分……。
 その中で1番心にしっくり来るものはどれだろうか。

 …………。

 ……。

「よし、決めた!」

 と横島が憑き物が落ちたようなすっきりした顔で振り向くと、カリンとタマモはその声の大きさに一瞬びっくりして身をすくめた。

「「な、何を!?」」
「身の振り方のことに決まってるだろ。竜神になって妙神神社の宮司になることにした。
 明日……いやあさってになっても気持ちが変わらんかったら所長に報告するよ」

 その表情に迷いはまったく見て取れず、おそらく明後日になっても決意は変わらないだろうと思われる。少女2人にとっては自分たちの希望通りのことだし、彼の顔を見ればまじめに考えた上での結論だと分かるから、文句を言ったりチャチャを入れたりはしなかった。

「そうか。決めたからにはがんばるんだぞ、横島」
「うん。私も手伝いくらいはしてあげるから」

 それでも諸手をあげて喜んだりはしないのは、小竜姫に報告するまでは確定事項ではないから、その辺に配慮しておとなしめにしているのだろう。
 横島は2人が自分の決断を支持してくれたことに安心して、

「ああ。これからもよろしくな、2人とも。
 ……つーわけで、前祝い代わりにここで1発3(ピー)をー!」
「「アホかーーーっ!!」」

 お約束通りダブル突っ込みで撃墜された。


 それから10分ほど後、小竜姫と愛子が屋上にあがってきた。
 心なしか沈んだ顔をしているところを見ると、愛子は不採用になったようだ。
 横島が気は進まないながらもそう訊ねてみると、

「ええ。横島さんには悪いと思うんですが、残念ながら……」
「私の中の空間って、案外不器用なのよね……」

 愛子の机の中の異空間は「時間の概念はあまり意味がない」場所だが、愛子がそれを操作して「普通に時間が流れる場所」に変えることはできないのだった。たとえば中で会議をしたり学校の宿題をした場合は、その記憶や字を書いたノートを持ち帰ることができるが、32年いても歳を取らない場所でいくら修業しても、その成果が身につくことはないのである。
 愛子自身にもどういう原理になっているのか分からないのだが、とにかく小竜姫の希望をかなえる事はできなかった。
 小竜姫にも愛子を雇ってやりたい気持ちはあるのだが、必要ないと分かっていて雇うのは逆に彼女を傷つけることになると考えたのだ。

「……そっか、まあ仕方ねーよな。んじゃ今日は俺が学校まで送るよ」

 だから横島にしてやれる事はこのくらいしかない。愛子も素直に頷いて、

「うん、ありがとう。それじゃ小山さん、失礼します」

 と横島たちと一緒に小山事務所を辞して学校に帰って行った。


 その2日後。やはり決心は変わらなかった横島は、小山事務所で小竜姫にその旨を伝えていた。
 小竜姫にとっては最善ではないが次善の結論だし、横島が本気だというなら言うことはない。

「そうですか、わかりました。せいいっぱい応援しますから、横島さんもがんばって下さいね。
 ……ところで、妙神神社の祭神(神社で祀る神)というのは私じゃないとダメなんですか?」
「へ? いえ、別にそんなことはありませんけど……」

 最初のカリン案では、小竜姫か彼女の師匠となっていた。ただ横島たちはその師匠のことは何も知らないので、小竜姫を祀るということで話が進んでいただけである。
 横島としては名も知らぬ男神より、憧れの竜女神さまを祀る方が100万倍良かったし。
 ちなみに正式に宮司になるには、普通は神道系の大学に進学するなどして神職の資格を取らねばならないのだが、妙神神社はいろんな意味でバッタもんだし、小さな神社では専属の神職がいなかったりする場合もあるので、横島はその辺はあまり気にしていなかった。どうせ人間やめるんだし。URYYY!とか言って。

「あれから私ももう1度考えたんですけど、元人間とはいえ同じ竜神と九尾の狐に祀ってもらうというのはやっぱり憚りがありまして」

 いくら小竜姫が西海白竜王の孫娘とはいえ、これはやはり分を越えた行いであるらしい。ましてや彼女の上司であり師匠である斉天大聖でさえ、数多くの廟で祀ってもらっているとはいえそこにいるのは人間だけなのだから。

「ですので、妙神山自体を神体にするということにしていただけばいいかと思います」

 妙神山の実態はまさに山岳信仰を受けるに相応しいものだし、直接斉天大聖や小竜姫を祀るのでなければ2人とも表立った関わりは持たずに済む。むろん非公式的には激しく積極的に関与するつもりだし、たぶん斉天大聖も「ねっとげーむ」とやらをやりに来ることだろうけど……。
 さしあたっては、神社を建てる時にお祝いとして妙神山の金庫から建築費を出してやってもいいだろう。任務に役立つ人材への先行投資、という大義名分もあることだし。
 部下でなければ妙神山に括られることはないから、風水盤事件のような日本国外での任務では逆に有利になるのだから。
 ―――妙神山に住んでいた頃の彼女には考えられない計算能力である。人界での再修業を卒業する日も近いようだ。

「わかりました。それじゃこれからもよろしくお願いします」

 と横島がぺこりと頭を下げる。普通ならここで「それじゃさっそく、煩悩全開(小竜姫Ver)の解禁をー!」などと叫んで飛びかかるのがパターンなのだが、さすがにこの席の重要性を考えて煩悩は抑えているようだ。
 小竜姫はにっこり微笑んで、

「はい、こちらこそよろしくお願いしますね。『あれ』以外の修業と特訓の内容が決まったら、またお話しますから。
 ……それじゃお仕事にしましょうか。今日は依頼は来てませんけど、破魔札がなくなってきてますから3人でいっしょに書きましょう」
「はい」

 というわけで、GS横島忠夫は正式に竜神への道を歩むことになったのである。


 その数日後の放課後。横島は学校の屋上で除霊委員の人外組に妖気制御の稽古をつけてやっていた。今日は小山事務所が休みなので、時間を気にせずにつきあってやれるのだ。

「これも青春のため! 絶対身につけてみせるわ」
「そうですね。オカルトGメンをめざす僕が、自分の体質のせいで人に迷惑をかけるわけにはいきません」

 このような明確な動機があるので、愛子とピートは実に熱心だった。タマモも態度には出さないが真剣に取り組んでいる。
 キヌには不要な技術なので練習はしないが、「私も除霊委員ですから」ということで自主的に出席していた。

「でもいいのか? 意味もなく油を売っていたら美神殿に怒られると思うが」
「大丈夫ですよ、美神さんだってそこまで心の狭いひとじゃありませんから。
 でも今やってることって除霊委員っていうより霊能部っぽいですよね。やっぱり部活動にしませんか? そしたらこんな吹きさらしの場所で練習しなくてもよくなりますし」

 心配するカリンにそう答えたキヌだが、これが前にタマモ・愛子と魔鈴の店に行った時に考えたことだった。除霊委員が用なしになっても、部活動になれば横島(たち)と大っぴらに一緒にいる事ができるから。
 すると愛子がすかさず尻馬に乗ってきた。

「そうね。悪霊が出なくなったら、素人が除霊に関わったらどーのこーのなんて言う必要ないんだし。横島君が卒業するまでに私に霊能の基本を仕込んでおいてくれたら、その後のことは私が引き受けるから」

「その後のこと」というのはむろん霊能部の運営のことだが、より具体的には事故が起こった時の後始末のことを指している。愛子は書類上は学校の備品ということになっているから、普通の生徒と違って卒業ということはしないので。
 もっとも霊能部に入部する後輩がいなければどこか別の部活を物色するつもりなのだが、今は妖気の制御を習っている身だから霊能部に所属するのがやはり自然であった。

「なるほど、それもそうだな。素人の遊び半分ならそんなにひどい事故は起きないだろうし、部のルールで禁止事項でもつくっておけば大丈夫か」

 愛子の発言はそれなりに筋が通っていたので、今回はカリンとしても頭から反対する理由はなかった。前にこの話が出た時は指導につぶす時間を惜しんでいたが、今はどっちみちやらねばならないのだし。
 だが彼女の本体である横島の方には、断固反対すべき理由がまだ1つ残っていた。

「しかしピートに群がって来る女の子連中はどーすんだ?」

 これを解決しないとまともな部活動にはならない。前も危惧されたことだが、この難問に対しても愛子はしれっと答えてのけた。

「それは大丈夫よ。横島君が部長の霊能部と、ピート君が部長のオカルト研究部とに分ければいいんだから」
「そ、それはちょっとヒドくないですか!?」

 いきなりハブられたピートが本気で顔色を変えたが、愛子はひらひらと手を振って、

「ごめんごめん、冗談よ。まだ具体的には考えてないけど、何か条件つけるとか試験するとかすればいいんじゃないかしら」

 と一応は謝りつつ真っ当な意見を述べる。すると横島たちが反応する前に再びキヌが割り込んできた。

「あ、そういうことなら私のお姉ちゃんに聞いてみませんか? お姉ちゃんは霊媒体質で、学校で霊能部に入ってるって言ってましたから。
 霊能部の合宿で氷室神社に行くっていうのはどうでしょう。いえ、まだできたわけじゃないんですけど」
「「へえっ!?」」

 この連携のみごとさは事前に打ち合わせでもしていたのか、それとも乙女の底力か。しめて5組のびっくりまなこがキヌの顔に注がれる。

(……ふむ、これはチャンスかもな)

 しかしその中で、カリンだけは比較的冷静にキヌの案を内心で検討していた。除霊委員を霊能部にするかどうかはともかく、キヌを祀っていた神社の宮司なら、妙神神社のあり方について参考になる話を聞けそうではないか。

「いい話なんじゃないか? 愛子殿の電車代くらいは私……横島が出せるし、まだ部活になってないから顧問の先生に来てもらう必要もないからな」

 むろんキヌの両親と姉が承知すればの話だが、それは氷室家の事情であってカリンがどうこう言うことではない。しかし除霊委員の内部では、カリンがいいと言えばだいたいそれが結論になってしまうわけで。
 そしてほんの数分ほど後には、除霊委員の旅行会は全会一致で可決されていたのだった。


 やがて夕日が沈みかけたころ。今日の修業を終えた横島たちは愛子を残して学校を出たのだが、例の合宿のことを話しながら校門から30メートルほど離れたところで、不意にブレザー姿の少女が滑るような足取りで飛び出してきた。
 横島が見覚えのあるその顔に驚いてはっと目を見開く。

「おおっ、あんときのドジっ娘パンツ!!」
「誰がパンツですかーーーっ!!」

 すさまじく不名誉な2つ名で呼ばれたブレザー少女―――本名峯千鶴はとりあえず横島をぐーぱんちで殴り倒した。
 彼の恋人であるカリンとタマモもさすがに峯を責めたり横島を助け起こしてやったりする気にはなれず、呆然と事態の推移を眺めている。
 やがて横島が立ち上がって、

「いてーな、いきなり何すんだよ……つーか何であんたがここにいるんだ?」
「それはこっちの台詞……いえ、今は用件を話すのが先ですね」

 峯はまだ握り拳を震わせていたが、その指先にぐっと力をこめてガマンしたようだ。ふひゅーっと蒸気を吹くヤカンのような吐息を1つつくと、呼吸を整えてカリンの方に顔を向ける。

「林間学校で試合したとき、もう1回手合わせして下さいってお願いしましたよね。そのことでお話しに来たんです」

 実は昨日小山事務所に電話してバイトに雇ってもらおうとしたのだが、今は従業員の募集はしていないとあっさり断られてしまったので、直接当人にアタックすることにしたわけだ。ちなみに小竜姫が面接もせずに断ったのは、「小山竜姫」の正体を知らない者を雇うのは何かと面倒だからである。

「それでですね! 今ちょっと話を聞いてたんですが、合宿に行くそうじゃないですか。お邪魔でなかったら私もついて行きたいんですけど、ダメですか?」
「はあ?」

 相変わらず突飛なことを言ってくる娘だと横島もカリンも思ったが、現地で峯が悪事を働くことはあるまいし、今回の旅行は公式の部活動ではなく友達同士の私的なものだから、ついて来られても特段の不都合はない。彼女にしてみれば現役GS2人と「差し向かいで」話ができるチャンスなのだろうし。
 ただ横島的には峯はドジでパンツを見せてくれる良い娘なのだが、自分をのけ者にして影法師とだけ仲良くしようとする不埒者でもあるので、いわばプラマイゼロということでさしあたって自分から口出しをするつもりはなかった。
 よって返事をするのはカリンの役目になる。

「しかし行き先はおキヌ殿の実家だからな。やはりおキヌ殿が決めるべきだろう」
「え? でも私この人のこと知りませんし……」

 いきなり話を振られたキヌがとまどうのは無理のないことで、カリンもそう言われて峯を紹介してやる必要を感じた。

「それもそうだな。この人は峯千鶴殿といって、六道女学院の1年生だ。この前横島とピート殿が行った林間学校の仕事で知り合ったのだが……悪い娘ではないと思う」
「そうですか……」

 カリンの紹介は当人の目の前なので当たり障りのないものだったが、もし本当に「悪い娘」だったのならとっくに追い払っているだろう。見たところ横島が好きで参加を希望しているというわけではなさそうで、それならキヌに彼女の希望を拒否する理由はなかった。もともと不必要なほどにやさしい娘なのだ。

「わかりました。私は氷室キヌといいます、1年生同士仲良くしましょうね」

 とあっさり参加を承認する。そのあと皆で改めて自己紹介したあと別れたのだが、横島は峯のいかにもうきうきした様子の後ろ姿を眺めながら、

(しかしこんだけ参加者の思惑違ってて、ちゃんとした合宿になるんかなあ……?)

 と微妙な不安感に襲われるのだった。


 ―――つづく。

 というわけで横島君の進路は竜神化&妙神神社ルートになりました。
 次はイエローな修業シーン……なのかな??
 ではレス返しを。

○名称詐称主義さん
 横島君は今後さらに人外っぷりが強化されていきます。むしろ人間ぽいのは見た目だけ?(酷)
>横島神社
 は、カップル及び美形男子の参拝は自殺行為であります(笑)。
 もう他人をねたむ必要はないはずなんですが、そこが横島クオリティですから!
>新たな横島争奪戦や神格化や墜天・魔族化が横行しそうなw
 まさにカオスそのものですな(^^;
 トラブルメーカーぶりまで強化されるとは。
>まさしく迷走混沌極まりない作品になりつつありますが(いい意味でです)
 ありがとうございますー。今後も独自路線を突っ走りますので!

○チョーやんさん
 ご意見ありがとうございますー。まじめなご意見は歓迎です。
 今回決断して宮司ルートになりました。猶予はまだありましたけど、1ヶ月も2ヶ月も悩むキャラじゃなさそうですし、本文中でカリンが言っている通り完全に人界と縁切るわけでもありませんから。
>おキヌちゃん
 幽霊巫女として神社の名物になってくれるのではないかと(ぇ
 人外美少女巫女が3人も揃えば、参拝客なんて呼ばなくても来てくれるでありましょう。
>竜神化を選択した場合の反応が面白い事になりそうです
 大混乱まちがいなしですな。筆者も今からガクブルです(^^;
>気候が不安定(&台風接近)です、体調を崩されないよう気を付けて下さい
 わざわざありがとうございます。そちらさまもお気をつけて。
>この小竜姫様…お持ち帰りしていいですか?(マテヤコラ
 私のですからだめです(即答)。

○KOS-MOSさん
 毎回お褒めいただきありがとうございますー。
>竜神化の修行方法がソレなら半年といわずに3ヶ月くらいで竜神になっちゃいそうだなぁ。横島
>小竜姫が竜珠をもってない理由にはたしかにそうだとおもいました
 納得いただけて良かったです(ぉ
>今のままでも小竜姫さまより竜神っぽいカリンは即効で小竜姫さまに追いついてしまいそう
 小竜姫さまにとってメンツ丸つぶれなのか、それとも鼻高々なのか難しいところですな。
>習得スキル
 いつの間にかこんなに多芸になってしまいました。さすが妖怪(ぉ

○Tシローさん
>進路
 おおかたの予想通りの結果になりました。
 おっしゃる通り横島君だけでは不安がありますが、カリンとタマモが見張ってれば何とかなることでしょう。
>竜神化することで、より一層神族や魔族に狙われそうですね
 最初の刺客が現雇い主だったりするわけですがー(笑)。

○たくらまきゃんさん
 はじめまして、よろしくお願いします。
 小竜姫は仏教に帰依したとはいえ如来や菩薩になったわけではありませんので、人界ではむしろ神として祀る方が妥当かと考えました。
 今回別の理由で却下されましたけれど。

○アミーゴさん
>横島くんが竜神化したら、やっぱり人の姿っていうのは仮の姿になるんでしょうかね?
 小竜姫さまと同じ霊気になるわけですから、そうなってもおかしくはないですねぇ。でも横島君のことですから、自分のことを「ハンサム」なんて言ったりはしないかと(笑)。
>よくよく考えれば横島くんが竜神になったら誰も止められないんじゃ?
 人界常駐の神魔たちでは無理ですな(ぉ
 たぶん猿神か小竜姫さまがカリンにお目付け役を頼むのではないかと。

○HALさん
「我を崇めよ」的な側面は何とかごまかすとしても、上司より格式の高い神社持っちゃうのは確かにまずいですよねえ(笑)。猿神なら神界屈指の実力者ですから格的にも問題ないかも知れませんが。
 そういうわけでこんな方向になりました。
>小竜姫様捨て身の決断
 横島君が襲っちゃったらハレムというか婿入り決定ですねー。何しろ相手はお姫様ですので、ヤっといて捨てたら殺されますから(笑)。
 そして修業シーンはどんな混沌になることやら(^^;
>日本は一応神仏混交なので〜〜〜
 そうですね。筆者的には上記のような解釈をしてました。

○ばーばろさん
>タマモンの妄想(暴走)っぷりに噴き出しました
 あそこで受けてくれた方がいてくれて良かったですー。
>小竜姫さまがカリンたんを見たときの落ち込みよう
 自分と同じ方向性での成長ですからねぇ。おいたわしや小竜姫さま。
 光速の寄せは肉を斬らせて、というか実際に(中略)なのですが、タマモンがその現場に踏み込んだ時どんな顔するかが今から怖いです(ぉ
>ヨコシマの都合云々よりも、すでに竜神化しているような
 横島の肉体はともかく、カリンの方は竜への変身さえマスターすれば完璧でありますw
>愛子
 すいません、展開の都合で前回は小山事務所まで来れませんでしたorz
 就職はできませんでしたが、学校では引き続き登場しますのでー。
>Inside the Park Homerun
 横島君の人外たらしっぷりにも困ったものであります。
>タマモンは小竜姫さまを警戒してますけど〜〜〜
 そこはそれ、乙女心はいろいろとあるのですよー!

○whiteangelさん
>神社を建てたらタマモやカリンは巫女姿で出てくるのかな?
 120%確実です!
>それにTVゲームやお揚げ道って、某猿と同じジャン!
 もともとタマモンはぐーたらですから(ぉ

○風来人さん
 横島君の原動力はスケベ心ですから、ヤればヤるほど強くなるのはごく自然な流れかと。
>そういえば栄光の手の特性と竜の牙の特性って似てますよね
 そう言えばそうですねぇ。人狼族の霊波刀は形は変えられないみたいですし。
 ひょっとしたら心眼を与えた時に何らかの影響があったのかも知れませんな。

○遊鬼さん
>なんだか竜神化のデメリットが思いつかない!?
 しいてあげるなら、美神親子とか六道母とかが騒ぎ出しそうな所でしょうか(笑)。
>特殊な修行
 小竜姫さまは純情ですから、あれが限度だったのです!
>普通に1〜2年くらい小竜姫さまの事務所にいれば竜神化間違いなしですねぇ(笑)
 つまり小竜姫さまはそれが待てずに(以下略)。

○通りすがりのヘタレさん
>竜の姫様に見初められた横島君。しかし彼には、玉藻の寵愛をうけていた!
 そう見るとずいぶん贅沢な状況にあるんですね横島君って(笑)。
 タマモと小竜姫さまの鞘当て……横島は喜ぶのか燃やされるのか、はたまたストレスで禿げてオールバックになるのか!?
>バージョンアップしたカリン嬢
 影法師としての戦闘力はともかく、女の子としての戦闘力は一気に上昇しました。横島のくせにー!(ぉ
>タイガーや雪乃丞
 ゆっきーは前回ちゃんと名前挙がってますよー。タイガーは日本に来てませんが!

○ぐだぐださん
 はい、実はカオス&マリアも来日してなかったりするんですorz
 あと西条も来てませんが気にしないで下さい(ぉ

○内海一弘さん
>横島は恋人たちとの関係をいつ話すんでしょうか
 タマモとのことはすでに話してあるんですが、カリンとのことはそう簡単には話せないでしょうねぇ。
 バレたらどんなカオスになることやら(^^;
>横島神社
 カリンとタマモの巫女さんはデフォです(笑)。
 老師と小竜姫さまも来るとなったら、まさに人界最強の拠点ですな。

○アラヤさん
>カリンが竜神になったら 即効で 抜かれそうですなw
 やはりそういう観測が主流のようですねw
 横島君は神社ルートを選択しましたので、その日も近いうちに来ることでしょう。
>幸せな彼女らを見ると こっちも 幸せになりそうですねw
 私の拙文で幸せを感じていただければこちらも嬉しいですー。

○Februaryさん
>新たなお色直しが完了したカリンたん・・・可愛いナァ
 ありがとうございますー。横島君もさらに幸せになれることでしょう。
>タマモ巫女
>見てぇ!ww
 誰かに描いてほしいですヾ(´ー`)ノ
>タマモが猿神の実情を知ったらどんな反応を示すのか
 ……サル? って感じでしょうかw
>へたれている姫様がメッチャ萌えっス
 姫様の新たな魅力に気づいていただけて嬉しいでありますw
>七つ集めt
 それは禁k(ry
>破術
 すいません、金縛りと破術は陰陽術に込みということにしました。
 同じように、横島君の自慢の拳とかカリンの八稚女竜気の爪も小竜気に込みになっておりますので、そのようにご理解いただけるとありがたいです。

○鋼鉄の騎士さん
 竜神化計画はいよいよ実施の段階に入りました。修行法がアレですから、挫折はまず有り得ないと思われます(笑)。
>ハーレムメンバー
 本当に人外巫女が神社の名物になりそうで怖いです。
>そろそろこの辺で強敵出現だろうか?
 ある意味とっても強い敵が出現しました!
>カリン可愛いよカリン
 ありがとうございますー。横島君も実に果報な男ですな。

○ウェルディさん
 うーん、妙神神社が建立される前ならありえそうな展開ですな。小竜姫さまが卒業したらヒャクメが来るというのは実際に考えてたネタなのですが、立ち位置で言えばジークの方が妥当なくらいですし。
 横島君的には非常に残念な展開なのですが(笑)。

○ルーエンハイムさん
 はい、時代がやっと横島君に追いつきました(違)。
>カリン
 は、もうすっかり尽くす娘になっちゃってます。
 できればもう少し相手を冷静に観察してからにした方がいいような気もしますがー!(ぉ

○ハシャさん
 原作香港編によると、小竜姫さまは雪之丞がGS協会のブラックリストに載ったのを外せるほどの影響力があるようなので、すでに業界ではそれなりの知名度があるものと思われます。
 その弟子にして本物の竜神がつくったお札なら売れるでしょうねぇ。
 むろん「スキル:商才」持ちの横島君がそれに気づかないはずがありませんとも。
>タマモのお揚げ専門店
 狐がつくったお揚げを神社で販売……こっちも売れますな。むしろド田舎でないと客が来すぎて困るくらいになりそうですね。

○読石さん
>うはぁ何か凄くカリン可愛いですな
 ありがとうございますー。まあ本体を平気で殴るところは変わりませんが(笑)。
>そして竜珠を出せるとは、将来的には「文珠」と同じような事が出来るように成りそうですね
 そう言えば名前も似てますねぇ。もともと文珠の素質を持ってる男ですし、原作アシュ編で出た2文字文珠に近い性能を持つようになるかも知れませんね。
 小竜姫さまもその時までに竜珠できてればいいのですが(ぉ
>横島神社は将来的も考えると凄く良い案な気がします
 この案はけっこう賛同いただけてるようで、筆者としても安堵してるところです。
 よかったよかった(ぉ
>「煩悩全開(小竜姫Ver)」の修行風景
 まさにカオスそのもの……描き切れるか自分!?

○直樹さん
 初めまして、今後ともよろしくお願いします。
>つまり竜神化するイコール、横島とカリンが同一人物になる?
 うーん、原作「ドラゴンへの道」編で小竜姫が影法師化してますが、あれを参考にすると、普段の姿では横島の人格、影法師化するとカリンの人格が表に出て来る、ということになりそうですなぁ。
 それはさすがにややこしいので、肉体をエネルギー化したものを竜神横島のボディにして、カリンは常時独立行動、という辺りに落ち着くかと思われます。

○ケルベロスさん
 どもお久しぶりですー。
>天地無用!の柾木神社
 世の中似たコンセプトを持った施設があるものなんですなぁ<マテ
>龍神を奉ってるのに入り口には狛犬の代わりに『九尾のお稲荷様』とかなりそうで
 タマモがいる以上そうなるでしょうねぇ。横島らしい無節操さが光ってます(ぇ
>老師
 修業場よりこっちに住みたがる可能性すらありますな(笑)。

○とおりすがるさん
 はい、今作はこの先も独自路線を行きまくるつもりですので、生暖かくお付き合いいただければ幸甚であります。
>じゃあ他の選択肢では友の死に立ち会わないのですかと(汗
 実は立ち会わないのです、本当に。
 小竜姫が出した4案のうち1と2は竜神界に行きますし、4もどこかの山奥などに引っ込むわけですから、人界での友人たちと連絡を取るすべは無くなってしまうのです。
 確かに普通に人間として生きていても友の死には立ち会うわけですが、竜神になった場合は「20年経っても見た目が変わらない」ので、自分が彼らとは違う存在であることをさらに深く思い知らされるという余計な痛みがありますから。
 小竜姫はこういう趣旨で発言したのですが、やはり文章を書くというのはなかなか難しいものですね。今後も精進致しますorz

○coma収差さん
 はじめまして。私の作品が書き込みのきっかけになったとは光栄であります。
 今回で妙神神社ルートになりましたが、本編でそこまで行くかどうかは分かりませんので、「妙神神社の1日」といった外伝はいつか書くかも知れませんです。
>閑寂なはずの境内はいつも賑やか!?
 ほんとに賑やかになりそうですねぇ(^^

○UEPONさん
>サイハイソックス
 むう、そんなものがあるのですか?
 ……調査中……なるほど、膝上のソックスにもいろいろ種類があるのですな。さっそく修正しました(爆)。
>竜珠の直径
 龍の置き物とかの手と珠の大きさの比率を見て、だいたいこんなものかなと設定しました。手で持ち運ぶ必要はないものですし。
>防護服が文珠の影響を受けたんでしょうか?
 あ、なるほど。そういう見方もアリですねぇ。上記の通り名前とかも似てますし、カリンはますます小竜姫さまを引き離しそうですな(酷)。
>7つ集めたりはしませんよね?
 それは禁k(ry
>横島君の煩悩が一応満足したから、カリンちゃんの想いが優先されるようになったんでしょうね
 愛のパワーは偉大であります。
>ラー○だけわからんかった〜〜〜
 バス○ードに出てくる○ーズ・ウルですー。
 ちなみにあれは単なるネタですので、今のところ武器入手イベントは考えてません。八房やシメサバ丸はダメですし、むしろここの横島君なら自分でつくってやる方がより愛が深まるかも知れませぬ。
>でも幽霊になると触れなくなっちゃうので〜〜〜
 竜神になれば霊体にも普通に触れるはずなので無問題です!!
>横島家の男子は上司の女性に追いつき追い抜いて結婚する血筋みたいですから
 うーん、確かに親子そろってそういう人生歩んでますねぇ。ここの横島君も小竜姫さまとよろしくしたい意向はあるようですし、追い抜いて逆玉というのは十分有り得そうですな。
 小竜姫さまのメンツはともかくとして(ぉ
>つか小竜姫さま横島君の煩悩浴び続けたら中毒になるのでは
 どう考えても人畜無害とは思えませんものねぇ。たぶん後でお札や聖水で治療するんじゃないでしょうか。
>断定しても良いと思う〜〜〜
 確かに状況判断でいうなら99%クロなわけですが(^^;
 雇い主で竜神さまなので、カリンも遠慮したのではないかと。
>10〜20年くらい人間のふりしてから竜神として働くのがベターではないでしょうか
 そうですね、普通に人界で暮らすとしても、小山事務所を継ぐなりGメンに入るなり就職先はあるわけですから。横島君の将来は明るそうです。
>鬼門に挑む前に修行者を試す妙神山入口道場みたいな所
 うーん、悪くはありませんが、それだと小竜姫さまの正式な部下ということになりそうですからねぇ。
 というか鬼門の出番が(以下人道的配慮により削除)。

   ではまた。

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