インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始▼レス末

「心の声が いそぢあまりふたつ目(GS)」

寿 (2007-07-05 02:52/2007-07-06 00:58)
BACK< >NEXT

寒い・・・

ここは・・・どこ・・・

私はまだはっきりしない頭を振り払いながらあたりを見回した。

辺りにあるのは葉のちった樹と美しくも寒々しい白い雪の大地。

ああ、そうか。今は冬なんだ・・・

やっと動けるくらいの力がたまったから起きてきたのに・・・ついてない。

ふぅ・・・

ため息が出る。本当についてない。

とりあえずここじゃどうしようもないか・・・

あらためてあたりを見渡す。

ん?この山の下の方に光が見える。

どうやらこの時代の人間の住処のようだ。

ふむ・・・とりあえずお腹も空いたし、この時代の人間がどの程度のものか見るのもわるくない、か。

そう考えて山を降りて数日。

私は久しぶりに見る人間の世界に困惑していた。

どうしてこんなにも人間であふれているのか!? これでは身を隠すのも一苦労だ!

どうしてこんなにも臭いのだ!? 『くるま』とか言う人間の乗り物が吐き出す匂いがたまらなく臭い!!

どうしてこんなにも植物が無いのだ!? 寝床も見つけられない!!

限界だ!! 私は自分の考えに後悔した。

もう少し寝ていればよかった。

せめてもう少し力を蓄えてから起きれば動きようもあったのに・・・

私はそう考えながら身を隠していた人間の家の下から這出た。

山に帰ろう。

もう少し力を蓄えてからどうするか考えよう。

そう思って歩き出すが私はすぐに倒れてしまった。

ああ・・・そういえばここ数日ろくに食べてなかったからな・・・

水もろくに飲んでない・・・あんな汚い川の水なんて飲めない・・・

ああ・・・本当についてない・・・

「あれ? どうしたんだお前?」

人間・・・か・・・

「おい!? 大丈夫か!?」

うるさい・・・ほっといて・・・

「しっかりしろ!!」

その言葉とともに私は自分の体が浮いたのを感じた。

あったかい・・・

そのぬくもりから抱き上げられたのがわかった。

もうなんでもいい・・・どうとでもすればいい・・・

今はただ・・・このぬくもりの中で眠りたい・・・


「ヒャクメ!!」

「そんなに慌ててどうしたのね〜?」

俺が急いで部屋に戻るとヒャクメが何事かとよってきた。

「こいつを見てやってくれ! 頼む!!」

そう言って俺は腕に抱きかかえてきたものを見せる。

「子狐?こんなところで珍しいのね〜。どれどれ・・・」

ヒャクメはまじまじと俺の腕の中の子狐を霊視し始めた。

「ふむ。結構衰弱してるけど大丈夫なのね〜。とりあえず温かくして、気がついたらなにか食べさせてあげればいいのね〜」

「わかった。暖めればいいんだな!」

俺はヒャクメの指示に従い、毛布を持ってきて子狐を包んでやった。

「それにしても珍しいのね〜」

「ああ、俺も最初は犬か猫かと思った」

俺達はその子狐を囲みながら様子を見ていた。子狐はよく眠っているようだ。

「いや、そうじゃないのね〜。横島さん、この子の尻尾をよく見るのね〜」

「尻尾?」

俺はあらためて子狐を見た。

そこにはふさふさした金色の毛に包まれた尻尾が・・・9本

「9本!? 何だこりゃ!? 突然変異か!?」

「ちがうのね〜。この子は『妖狐』なのね〜。しかも九尾の狐。私も見たことは無いけどおそらく金毛白面九尾の狐の転生体なのね〜」

「なんだそりゃ?」

「知らないのね〜? 金毛白面九尾の狐は嘗ては中国、インド、そして日本に現れた妖怪でその時代の権力者に近づきやりたい放題やって混乱させて傾国の化け物なんて呼ばれてる強力な妖怪なのね〜」

「ふ〜ん。凄いんだな」

「まあこの子を見る限りまだそこまでの力は無いみたいだからきっと最近転生したんだと思うのね〜」

ヒャクメの言葉が終わると同時に子狐が眼を覚ました。

あたりを窺うように見ている。

「あ、起きたのね〜」

「よし、ちょっと待ってろ!」

俺はそのまま台所に向かい、冷蔵庫から子狐が食べそうなものを持ってくる。

「いいのがあったぞ〜」

俺は皿にハムとウインナー、そして油揚げを乗せて子狐の前においてやる。

子狐はそれを確認すると少し警戒するようにこちらを見た後、油揚げにかじりついた。

「お、食べてるのね〜。この様子なら大丈夫そうなのね〜」

「ああ、一安心かな。しかし本当に狐って油揚げが好きなんだな」

「それは妖狐だからなのね〜。ほら、全国にある稲荷神社の入り口に狐の像があるのね〜?狐は稲荷神の使い、あるいは眷属として考えられているのね〜。そこに狐の好物とされる油揚げが供えられたのが始まりなのね〜」

「へ〜へ〜」

ただ今のト○ビアは2へ〜です。

「あれは妖狐の中でも白狐(びゃっこ、はくこ)と呼ばれる者なのね〜。九尾はそれの更に上にいる者だけど多少は影響を受けてるはずなのね〜」

ヒャクメの豆知識が終わると子狐は食事を終えたようでこちらをじっと見ている。

「なんだ? おかわりか?」

子狐は俺の言葉に特に反応せず、まっすぐに俺のもとに来ると俺の膝の上で丸くなった。

「??」

「あらら、なつかれたのね〜」

ヒャクメはそれを見て笑いながらそう言った。

「たぶんこの子は力を回復させたいのね〜」

「? それはいいがなんで俺の上で?」

子狐は再び寝てしまったようでぴくりともしない。

「横島さんは普通の人より霊力が強いのね〜。たぶんそれを少しでも吸収して回復に努めてるんだと思うのね〜」

「そっか。まあそれで元気になるんならいいけどな」

「さて、それじゃ今度は私達のご飯を作るのね〜」

「そうだな。確かに腹が減ったよ」

そう言ってヒャクメは立ち上がり台所に向かう。

俺は膝の上の子狐のおかげで一歩も動けなかったが。

そして小竜姫様を加えて夕食を食べた。

小竜姫様も子狐を見て驚いていたが、俺の格好を見ると微笑ましそうに笑っていた。

そして夜も更け、布団に入る。

「さて、お前はどうするか?」

流石に膝に抱えたまま寝るのは勘弁して欲しかった。

俺がそういうと子狐は眠そうにふらふらしながら俺の布団に入っていった。

「それじゃ一緒に寝るか?」

子狐は布団から顔だけ出すと再び寝てしまった。

「ははっ、それじゃおやすみ」

俺はその姿に少しだけ笑うと自分も布団に入り、電気を消した。


横島さんが妖狐を拾った翌日

「キャーーーー」

その朝はおキヌちゃんの悲鳴から始まった。

「ど、どうしたのね〜!?」

私と小竜姫は慌てて横島さんの部屋になだれ込む。

「あ、あれ・・・」

おキヌちゃんはぷるぷると震えながら指さしていた。

そこには寝ている横島さん。そして・・・・一人の小さな女の子。

「な、なにしてるのね〜!?」

「うお!? な、なんだヒャクメ!? いったいどうしたんだ!?」

私は横島さんを激しくゆすって起こす。

「どうしたじゃないのね〜!! こんな小さな女の子を布団に連れ込むなんて何考えてるのね〜!?」

「横島さん!! いくらなんでも犯罪です!!」

私とおキヌちゃんが横島さんに詰め寄る。

「女の子? なんのこ・・・・ってなんじゃこりゃーーーー!?」

横島さんは私達の言葉を聞いて自分の隣を見ると大声をあげた。

「私が何しても手を出さないと思ったら・・・横島さん、そんな趣味だったのね〜」

「ちがう!!」

「じゃあ、ロリコン?」

「それはストレートに言っただけだ!!」

「今流行の妹萌えって奴ですか?」

「おキヌちゃんまで・・・違うってば・・・」

「ウラジミール・ナボコフ?」

「くどい!!」

「う〜ん。うるさいわね〜」

私達の声に眠っていた女の子が眼を覚ます。

その子は美しい金色の髪をしていて幼いながらにどこか神秘的な美しさを持っていた。

「あなた、昨日横島さんが助けた妖狐ですね?」

それまで黙っていた小竜姫が落ち着いた声でそう問いかけた。

「ええ、そうよ。しかしあんた凄いわね〜。まさか一晩でここまで回復できるとは思わなかったわ」

「あ、ああ、そりゃ良かった」

横島さんの言葉を聞いた後女の子はあらためてあたりを見渡した。

「ふ〜ん。神族が二人に幽霊、か。それにあんたもなかなかの霊力を持ってるみたいね」

「? それがどうかしたのね〜?」

私の問いかけに答えず、女の子は再び横島さんに向き直った。

「あんた、名前は?」

「横島。横島忠夫だ」

「よこしま、か。うん、決めた。私はタマモ。しばらくやっかいになるわ」

タマモと名乗った女の子は当たり前のようにそう言った。

・・・これはいったいなんなのね〜?

私はあまりの出来事に混乱の極みを感じていた・・・


あとがき
さてさて、前倒しキャラはタマモでした。詳しくは次で。しかし初めてタマモを書きましたが微妙にキャラがつかめません。ツンデレは難しい!!ちなみに今回は妖狐について多少調べてみました。結局無駄知識臭いですが・・・ネタにしましたけどね・・・

追伸
俊様のご指摘により誤字を修正いたしました。
俊様、ご指摘ありがとうございました。


レス返し
始めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に感謝を・・・

俊様
誤字のご指摘ありがとうございました。西条さんは今後未定です。ほとんど美智江さんに出番が取られそうですし・・・悩みどころです。

February様
恋人候補はタマモです。今後ヒャクメ達とどう絡めようか悩み中です。ちなみにシロも書いたことが無い私・・・アシュタロス戦後の短編をいくつか書いているのに・・・ちょっと後悔してます。

チョーやん様
。、の使い方はお教えいただいてありがとうございます。訂正しなかったのは箇所が多すぎるため文章のバランスを崩しかねないと考えたためです。ご容赦ください。ちなみに
「妊娠しまして。」のくだりは「しまして」という言い方で妊娠したばかりであることを表すために使いました。「してまして」では妊娠発覚からしばらくたっているように感じるので訂正いたしませんでした。あらためて文章の難しさを感じております。

百目守様
ピートは高校にまだ行ってません。除霊委員会ネタはいつかやりたいですね。と言ってもそろそろ書くと思いますが・・・気長に待ってやってください。お願いいたします。

内海一弘様
西条さんはおそらく貧乏クジひくキャラになると思います。ただし原作と違い横島君は美神さんを狙ってませんからもしかしたら・・・なんてこともあるかもしれません。どうなるかは私もわかりませんが(マテ

那音様
・・・マジボケです。切腹!!
50話をこえてなおこのような初歩的ミスをする自分が大好き!!うそです。やけくそです。情けないです〜!!!

tama&medo様
那音様でも言いましたがマジボケです。申し訳ありません〜!!!美神さんとの関係は未定ですが美智江さんを使うと面白そうかなとか考えています。本当にどうしましょうか・・・悩み中です。

アイク様
ストレスで禿る・・・それも面白い!!ありですね〜。美智江さんは本格的に横島君取り込みにはいる前に一つバトルを考えてます。そのうちやりますのでお楽しみに〜。

鹿苑寺様
GMはいつだそうかタイミングを計っています。おそらく最後の方になるかもしれません。まあ自分で言うのもなんですがあんまりあてにはなりませんが・・・ちなみに夏子も立場的には未定です。一応幼馴染と思ってください。自慢じゃないですが私は幼馴染キャラは大好きです!!(主にセ○チの青森担当)

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭


名 前
メール
レ ス
※3KBまで
感想を記入される際には、この注意事項をよく読んでから記入して下さい
疑似タグが使えます、詳しくはこちらの一覧へ
画像投稿する(チェックを入れて送信を押すと画像投稿用のフォーム付きで記事が呼び出されます、投稿にはなりませんので注意)
文字色が選べます   パスワード必須!
     
  cookieを許可(名前、メール、パスワード:30日有効)

記事機能メニュー

記事の修正・削除および続編の投稿ができます
対象記事番号(記事番号0で親記事対象になります、続編投稿の場合不要)
 パスワード
    

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI