横島は受話器を置くと、恋人2人に向き直ってタダスケとの話の内容を説明することにした。
「……つーわけで、やっぱタダスケさんを見捨てるってのは冷血すぎるんじゃねーかと思うんだけど……」
その態度がどこか人の顔色を窺うような感じになっているのは、ついさっきまでの経緯からして致し方のないことであろう。
しかしカリンも横で聞いていた話だけで大方の事情は理解できていたらしく、
「そうだな、私もタダスケ殿のことは失念していた。
すまない、ちょっと心がせまかったな」
とぺこりと頭を下げる。カリンにもタダスケの心情はよく分かるから、彼のためにというのなら報われないからどうこうなんて言うつもりはなかった。
そして横島としては分かってもらえればそれで十分だから、ここで少女を責めるつもりなど毛頭ない。
「いや、おまえをどーこー言えるほど俺は立派じゃねーからな。
つーかおまえが俺にヤキモチ焼いてくれるなんて感動もんだし」
「だっ、誰がヤキモチだ!」
カリンは速攻で否定したが、いつものように殴り倒すのではなく耳まで真っ赤にしてもじもじしているばかりでは、説得力などまるで無かった。というか以前とのギャップで凶悪的なまでに可愛い。
(くっ、何て破壊力だ……しかしいま押し倒すわけにはいかん、耐えろ、耐えるんだ忠夫!!)
まだ大樹対策の話は終わっていないのだ、欲望に負けてしまってはいけない。いやさっきはついダイブしてしまったけれど。
煩悩を解放するのは、大樹がナルニアに帰って心配事がなくなってからである。横島は深呼吸して気を落ち着けると、改めて対策の話を再開した。
「でだな。タダスケさんだけだと何かと不安だから、タマモに見張りを頼みたいんだが」
「そうねぇ……ま、しかたないか」
あまり面白い仕事ではないが、確かにタダスケと令子がデキてしまうのは非常に問題がある。この役目を果たせるのは自分だけだし、やむを得ないところだろう。
幻術で済ませるという手もあったが、これは術が解けた後のアフターサポートが面倒だ。やはり普通にデートしてもらう方が確実である。
「で、デートはどーゆースケジュールになってるの?」
「いや、それはまだ決まってない。何しろ待ち合わせの場所と時間もわかってない状況だからな」
「……タダスケ殿も大変だな。エクトプラズムスーツでも買ってやろうか」
これを使えば文珠《化》の分を節約できる。ちょっと心に負い目があったカリンがそんなことを提案したが、横島は賛成しなかった。
「いや、美神さんにそーゆーアイテム使うのは危険だ。それにそんなの厄珍堂にしか売ってないからな、後で足がつくかも知れん」
と、元丁稚だけあってやたら慎重だった。実際文珠ならともかく、普通の霊能アイテムで令子を騙すのはかなり危険な賭けである。
「つーか、たぶん俺たちじゃ買えんだろ。あの手のアイテムってむちゃくちゃ高いから」
「……そうだな。やはりタダスケ殿にがんばってもらうしかないか」
言われてみればもっともなことで、カリンはあっさり意見を引っ込めた。
「では、さしあたってはタダスケ殿の次の連絡を待つということでいいのかな?」
「そだな。つーわけでゴロゴロいちゃいちゃー!!」
さっきの決断はどこへやら、血走った目で2人に飛びかかる横島。しかし当然ながら、この状況でカリンがそんなことを許してくれるはずがない。
迫る鼻面を手のひらでブロックしてあっさり撃ち落とす。
「落ち着け、横島。今はそんな事してる場合じゃないだろう」
「うう……はひ」
しくしくと涙をちょちょ切らせながら、畳の上でのの字を書く横島であった。
そのころ当の令子は、美神事務所の応接室で母親と優雅に紅茶を飲んでいた。
美智恵が制服を着ていないことから、仕事の依頼ではなく私的な来訪であることが分かる。オカルトGメンは一応役所だから、基本的には日曜日はお休みなのだ。
ちなみにブラドーはGメンオフィスの彼の私室の棺桶の中で熟睡中である。
「ママが仕事以外でここに来るなんて珍しいわね。何かあったの?」
「別に何もないわよ。でも明日からまた忙しくなりそうだから、その前にあなたの顔でも見ておこうと思って」
金曜日の夕方に六道女学院から電話があって、遺跡荒しがあった旨の通報を受けたのだ。封印されていた妖怪は退治したと聞いたからその場で出動する必要はなかったが、犯人を逮捕するのは警察機構として当然の仕事である。
「今回は人間の仕業らしいからあなたたちに何か依頼することはないと思うけど……妙にそわそわしてるわね令子、何かあったの?」
さすがに鋭い。令子は一瞬話してしまっていいものかどうか迷ったが、折りよく(悪く?)手焼きのクッキーを持って入ってきたキヌがあっさりばらしてしまった。
「そうなんですよー。美神さんったら、今夜はデートなんです」
美智恵の両目がきゅぴーんと光り、令子とキヌを交互に見渡す。その鋭い眼光はオカルトGメンの敏腕支部長……というか、井戸端で噂話に興じる主婦のそれだった。
それでも令子はもはや逃れぬところと悟ったのか、あっさりと口を割った。
「べ、別にそんな大層なモンじゃないわよ。助けてもらったお礼に食事に誘っただけなんだから」
「……あんたが? どういうこと!?」
美智恵も娘の人格はともかく、GSとしての能力は認めている。それが助けてもらって恩義を感じるほどの事態となれば看過できない。
その表情に真剣さが宿り、いよいよ令子はごまかしようがなくなった。
「ええ、まあ、ちょっと現場で意外な人に会っちゃってね。それで話をしてるスキに襲われたっていうか」
と昨日の村枝商事での顛末を洗いざらい白状する。さすがの美智恵も驚いたが、ここは親としてぜひ確認しておくべきことがあった。
「横島クンのお父さんとデートって……あんたまさか、不倫するつもりじゃないでしょうね?」
令子が横島の目の前で彼の父親を食事に誘ったということは、もはや彼を美神事務所に復帰させるつもりは無いと見ていい。美智恵は内心でガッツポーズを決めていたが、それとこれとは別である。
令子はバカらしそうに顔の前でぱたぱたと手を振りながら、
「んなワケないでしょ、仮にも横島クンの父親よ!? 私が興味もつわけないじゃない」
「そう……ならいいんだけど」
しかし「横島の」父親だからこそ気になる。美智恵はしばらく別の話をして間を置いたあと、トイレに立つふりをして携帯電話を取り出した。
「……あ、もしもし横島クン? オカルトGメンの美神ですけど」
かけた先は、何と横島の携帯電話であった。犬飼ポチの事件の時に聞いてあったのだが、まさかこんな事で役に立つとは。
息子ならば父親の性格は熟知しているだろう。唐巣のような人格者だったら「お礼の」食事ぐらいでとやかく言う気はないが、横島がそのまま歳食ったような助平男であれば何らかの手を打たねばならない。
さらにいうなら。横島とて父親が令子とデートとなればいろいろ気をもんでいるだろうから、ここで味方をしてやれば好感度アップ、すなわち将来彼がGメンに入ってくれる可能性も上がるというものだ。一石二鳥とはこのことである。
「え、支部長さん? お久しぶり……でもないっスね。もしかして何か急な仕事ですか? あいにくですけど今日はちょっと忙しくて……」
横島は突然の電話に面食らっている様子だったが、美智恵はいたって平静な態度を保ちつつ、
「その忙しいというのは、あなたのお父さんと令子がお食事することについてかしら?」
としょっぱなから直球勝負をしかけてみる。横島はさらに慌てふためいたようだったが、数秒ほどの沈黙のあと堰を切ったような勢いでまくし立ててきた。
「そう、そーなんですよ支部長さん! あのクソ親父、美神さんにまで目ぇつけやがって……そーだ支部長さん、支部長さんから美神さんに言ってやってくれません? あの淫獣だけはやめとけって」
「……え、えっと。あなたがお父さんのことをどう思ってるかはよく分かったけど、仮にも実の父親をそこまでこき下ろさなくても……」
美智恵は横島の気炎にちょっとたじろぎながらも、人の親として一応は少年をたしなめてみたが、横島は逆にますますいきり立って、
「いや支部長さん、奴を甘く見ちゃいけません。昨日成田空港に迎えに行った時だって、スッチーさん2人を右と左に侍らせてたくらいですから」
「ほ、ほんとに!?」
おそらく飛行機の中で口説いたのだろうが、勤務中のスチュワーデスを2人同時に落とすなど尋常ではない。令子は恋愛には奥手な方だし、もしかしたらあっさり騙されてしまうかも知れない。
横島の口調では大樹のナンパは遊び感覚で、口説いた女性と誠意を持って交際するというタイプではなさそうだ。今の妻と離婚してでもというのならともかく、遊びで不倫をされては困る。
かと言って、20歳にもなった娘に何もしないうちから止めさせるというのも強引だ。
「―――ねえ横島クン。横島クンもお父さんの不倫はやめさせたいと思ってるわけよね?」
急に低くなった美智恵の声に横島は一瞬ちびりそうになったが、恋人2人の前という状況にかんがみて、決死の思いで虚勢を張った。
「ハ、ハイ。息子トシテ、父親ノ悪事ヲ知リナガラ放置ッテノモ問題アルト思イマスシ」
それでも声がちょっとばかり裏返っていたが、一応はまともな返事をしたのだからむしろ褒めてやるべきであろう。一方美智恵はその返事に満足したのか、声色も表情も元に戻して、
「じゃ、共同戦線組まない? 私も娘を傷物にされるのはイヤだけど、令子ももう20歳だからいきなり頭ごなしってわけにもいかなくて」
「は、はい……それはいいですけど、具体的にはどのよーな?」
「一緒に2人の後をつけるのよ。単なるお食事で終わるならよし、妙なことになったら即座に踏み込んで止めさせるの」
「うーん、それはどうでしょう。俺もそれは考えたんですけど、親父もただ者じゃないですから、下手に尾行なんかしたら多分バレますよ。ナルニアじゃ武装ゲリラと何度もやり合ったそーですから」
「そ、そんなにすごいの!?」
この子にしてこの親ありというところか。さすがの美智恵もたまげたが、それでもすぐさま代案がひらめく辺りやはり稀代の女傑であった。
「なら外での見張りはブラドーさんのコウモリにやらせるわ。建物に入ったらタマモさんの超感覚で会話を盗み聞きするの。うまく行ったらまた朧寿司に連れて行ってあげるわ」
「な、なるほど……それなら親父や美神さんでも俺たちだとはわからないっスね」
しかしよくこんなことをとっさに思いつくものだ。しかも直接関係のないタマモに対しては報酬を用意してモチベーションを上げることも忘れないとは、何とも恐ろしい策士っぷりである。この女性と友好的な関係を築けていることを、横島は神(小竜姫?)に感謝した。
「ところで今私、令子の事務所にいるのよ。だから長話はできないからまた後でかけ直すわ。横島クンはいつでも出られるように準備しておいてね」
「はい、わかりました」
と横島が頷いて電話を切る。
こうして大樹妨害作戦は新たな段階に入ったのだった。
その後横島がタダスケに電話して美智恵からの話を伝えると、タダスケはあっさり自分の作戦を放棄すると答えてきた。
美智恵の目の前で大樹のフリをする度胸などないし、彼女が前面に出てくるなら自分がかかわる必要もないからだ。令子以上の強者である美智恵の前に出るのは危険だし、引っ込んでいれば文珠も使わなくて済む。
「つーわけで、頼むなタマモ」
「うん、わかった」
横島に任務の変更を告げられたタマモは、特に異議も出さずに了承した。内容的にきつくなったわけではないし、報酬がついたのだからタマモにとってはむしろ好ましい展開である。
「あとカリン、おまえにも何か出番があるかも知れないからな。服はあるけど、帽子とかサングラスとか無かったから買っとくか?」
変装と監視のためのグッズである。かってタダスケも清掃員の服やらビデオカメラやらを買い込んでいたが、ここでも多少の出費は要るようだ。
ちなみにカリンは下着のデザインは変えることができるが、上着のチャイナドレスはもともと剛練武(ゴーレム)からできた防護服なので、彼女の意志ではどうにもならないのである。
「そうだな、では早めに行っておこうか」
とカリンが立ち上がりかけた所で、またしても電話のベルが鳴った。
「何だ、またかよ……あ、今度はおキヌちゃんか」
発信者番号を見た横島が、今度はうれしそうな顔つきで受話器を取る。しかし話が進むにつれて、だんだんとその表情はこわばっていった。
用件は彼の、というかタマモの予想通り助けてくれたお礼に食事でもというお誘いだったのだが、これから妨害作戦に出かける、ましてカリンの告白をOKした直後にキヌと2人で外食などできるわけがない。
「……ぐくく、気持ちはうれしいんだけどおキヌちゃん、今日はちょっと急な仕事が入ってて忙しいんだ……!」
と血の涙を飲みながら断る横島。そのいかにも残念そうな様子はキヌにも伝わったから少女はむしろうれしそうにしていたが、その分だけ横島の後ろにいるカリンとタマモは不機嫌になっていた。
「ずいぶんと悔しそうだな横島。私たち2人だけじゃ不足なのか?」
「そうね。せっかくお昼は記念に2人で裸エプロンであーんしてあげようかなって思ってたけど、いらないかも」
当然横島は血涙ばかりか鼻血まで大噴射して号泣した。
「な、何でじゃー!? ちゃんと断ったろ、あれ以外にどーすればよかったんだよ。おキヌちゃんを冷たく振り払えとでもゆーのかッ!?」
すると目の前の美少女2人はくっくっと人の悪そうな笑みを浮かべて、
「冗談だ。私たちのことは秘密なのにおまえがおキヌ殿に冷たく当たる方が変だからな。『仕事』というのも嘘じゃないし、理想的な答え方だったと思うぞ」
「てゆーか、いつ呼び出されるかわからないのに誘惑なんかするわけないじゃない」
「……」
からかわれていたのだ。横島は一瞬ガラス細工のように硬直したあと、
「チクショー、どーせそんなこったろーと思ったよ!!!」
負け犬のように哀しく空しい叫びをあげた。
そんなこんなで夕方、日も落ちて来たころ。今日は休みのはずの村枝商事のビルから出て来る人影が1つ。
「さーて、仕事は片付いたし女房はいない! 楽しいデートといくかああっ!」
大樹は気力も体力も十分のようだ。
しかし数匹のコウモリが上から彼を見下ろしていることには気づいていない。人間の監視には注意を払っているが、まさか動物に見張られているなどと誰が想像できようか。
「つーかこれだけのメンバー集めて、やることは浮気の監視って……」
と少し脱力したような声で呟いたのは、近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら待機していた横島である。カリンとタマモと美智恵も同じテーブルについていた。
彼とカリン自身はともかく、幼生とはいえ九尾の狐、日本最高のGS、そしてここにはいないがコウモリを操って大樹の動向を見張っている真祖の吸血鬼。何かもう無敵っぽい?
すると美智恵が「何見当違いなこと言ってるの」と言わんばかりの顔つきでちっちっと指を振ってみせた。
「相手をあなどって投入する戦力をケチるような真似はしない。それがGメンのやり方よ」
―――仕事か? 仕事なのか?
確かに横島たちにとっては「朧寿司」を報酬に引き受けた仕事といえなくはないが、美智恵にとっては絶対に違うはずだ。
しかし横島も我が身はかわいい。余計なツッコミを入れるのは避けて沈黙を守った。
「ところで昨日は横島クンも令子を助けてくれたんでしょ? でもあの子ったらまともにお礼も言わなかったらしいから、代わりに私から言わせてもらうわ。本当にありがとうね横島クン」
いろいろと思惑はあるが、これは親として当然果たすべき義理である。
そしてそれを果たし終えたら、あとは何に気兼ねすることなく行動できるというものだ。
「それで横島クン。あなたそのとき口から火を吹いたそうだけど、新しいアイテムでも開発したの?」
令子は大道芸みたいだったと言っていたが、実際に悪霊にダメージを与えた以上単なる火吹き芸ではない。手榴弾の開発の時はいろいろ協力してやったのだから、自分には知る権利があるはずだ。
が、横島の回答は美智恵の予想を華麗に裏切った。
「いえ、あれはアイテムじゃなくて俺の新しい霊能力です。名づけて横島バーニングファイヤメガクラッシュ、俺の燃えたぎる正義の心を炎として具現化したものとでもいーますか」
昨日と話が違っているが、気にしてはいけない。
そしてそれを聞いた美智恵の感想はといえば。
(ほ、欲しい……ますます欲しくなったわ!!)
胸の前で両手を組み、目をキラキラと潤ませている。
彼の駄弁はどうでもいいとして、やったことはおそらく念力発火、いやドラゴンのブレスだろう。たった1度竜神の波動を受けただけでそこまで成長するとは、あるいは自分や娘を上回る霊能者になるかも知れない。
しかも影法師使いだから定員1名の枠で2人分働けるし、今回のように妖狐の協力も得られる。六女の林間学校でもずいぶん活躍したようだし、これは三顧の礼を尽くしてでもGメンに迎えたい逸材だ。
……が、あせってがっついてはいけない。今の段階では、小竜姫が「卒業」した後の次の就職先に選んでもらえるよう、地道なアピールをするにとどめておくべきである。
「そう、横島クンもがんばってるのね。
ところで蛟と戦った時にあの手榴弾使ったんでしょ。どんな感じだった?」
美智恵が横島に現代型霊能アイテムについて手ほどきしてやったのは単なる親切とか先行投資だけではなく、Gメンの装備品の開発という側面もあった。正式に報酬を出して依頼するというほどではないが、この少年はミニ四駆とやらの全国大会で3回連続優勝したというだけあってモノをつくる才覚と器用さはかなりのもので、「もしかしたら何か面白い物ができるかも」くらいの皮算用は持っているのだった。
「はい、あれはとにかく硬いヤツで、2個使っても直撃したところの鱗を溶かすくらいのダメージしか与えられなかったです。口の中に放り込んだらさすがに暴れてましたけど」
「でも暴れただけで致命傷を与えたわけじゃないのよね? 威力はもう十分だと思ってたけど、まだ足りないのかしら?」
「いえ、ヤツが特別なんだと思いますけど……それにあんまり威力を上げると効果範囲が広がり過ぎちゃいますから」
手間さえかければまだ威力を上げる余地はあるが、威力があればいいというものではない事はいつかの妖毒グモの時に学習している。
「先に結界をつくってから爆発させるっていう仕組みも考えたんですけど、むちゃくちゃ難しそーで今の俺には無理ぽいですし」
「そうね。閉じた空間で爆発させれば巻き添えの危険はなくなるし威力もさらに上がるけど、技術的にはちょっと無理があるかしら。
結界は別の道具でつくるっていう手もあるけど、それだと使いづらくなっちゃうしね」
「……」
横島と美智恵はわりと楽しそうにしているが、こういう話になるとタマモは退屈になってくる。
しかし幸い、そんな時間は長くは続かなかった。美智恵の携帯電話にブラドーからの連絡が入ったのだ。
「ターゲットが現れたぞ。今建物から出たところだ」
「わかったわ、ありがとう」
どうやら大樹が仕事を終え、職場のビルから外に出てきたようだ。美智恵がさっと表情をひきしめ、レシートを持って立ち上がる。
たかが「助けてもらったお礼の食事」だけのことのはずがすっかり大ごとになってしまいつつ、事態はいよいよ最終局面に入るのだった。
―――つづく。
今回はタダスケさんに救いの手を差し伸べてみました。
そして美神側のGMが参戦であります。代わりに令子さんとおキヌちゃんの影が薄くなっちゃいましたがー!
ではレス返しを。
>カリン
なるほど、確かに初恋成就ってことになりますねぇ。私は意識してませんでしたが、祝福いただき有り難うございますー。
いあ、一部横島君への嫉妬の声も聞こえておりますが(^^;
>小竜姫さま
現在のカリンとタマモの心境では小竜姫さまの3号化(超マテ)容認は難しいところですが、その辺は先をお待ち下さいませ。
横島君自身は何かHぽいイベントがあれば本能のままにダイブしちゃいそうですがー! そして責任を取れと迫られて今度こそ修羅場に(ぇ
もしくは横島君が完全に竜神化した辺りが転機になる……かも?
>おキヌちゃん
カリンやタマモ以前に本人が4号(ぉぃ)を承知するかどうかが問題……というかそんな扱いは令子さんとか早苗お姉ちゃんとかが黙ってないような(汗)。
果たしておキヌちゃんの明日はどっちだ!
○KOS-MOSさん
>恋人(タマモ)による二股承認(カリンならおーけー)
前回は器の大きいところを見せましたが、今回は小悪魔っぷりを発揮して横島君を翻弄しておりますw
>幸せすぎる、幸せすぎるぞォオオオオオ!!!!!!
今回は何もいい思いをしてないので許してやって下さいませー。
>絶対いろいろと確実に吸われているであろうタダスケ
横島の幸福度が減ってる今回、タダスケの不幸度も減ってるようですw
○アラヤさん
はじめまして。これからもさらに萌えていただけるよう精進しますので、今後ともよろしくお願いしますです。
小竜姫さまについては上記を参照して下さいませー。
>そうかw カリンは中にいるから すぐばれるw
はい、横島君は絶対に浮気を隠しておくことはできないのです。
というか二股公認の上にまた浮気って、外道にもほどがありますな(ぉ
○@okiさん
>新 生 横 島 家 爆 誕 ! !
してしまいました。あまりただれた家庭にならないといいんですがー<マテ
>二股という関係なのに、とってもさわやかな感じがする! 読んでて気持ちいいですね!
ありがとうございます。みなさまに受け入れられる二股(ぉ)めざして頑張っていきたいと思います。
○このそさん
>覚悟…しててもぜったい懲りずにやるんだろうな〜w
横島君の煩悩ダイブは本能というか条件反射ですからねぇw
だがそれがいい……かどうかはともかく、それでこそ横島君ですから!
○whiteangel199さん
>くぅ〜〜〜〜〜!(ToT)目から汗が・・・・
横島のくせに(以下略)ですね(o_ _)o
○通りすがりのヘタレさん
>ついに実を結んだ(むしろ結んでしまった?)影法師との恋&二股
は、まさに「結んでしまった」でありますな。しかし二股の相手が傾国の美女とフィードバック効果付き娘とは、これで横島君の夜の生活はすばらしく(中略)なものになりそうです。
>彼の息子とは思えないほど色情魔っぷりに歯止めが掛かっている
単に令子の報復とかカリン&タマモのヤキモチとかを恐れてるだけという説もありますがw
>タダスケと殴り合って色々とタダスケのフラグをたたき折ってやるんだ!
あの不幸なタダスケさんをこれ以上不幸にしようなんて、貴方はどこまで鬼ですか(笑)。
>彼女には幸せになってほしいですが、きっと千鶴嬢の魔の手が忍び寄ってきますでしょう!
むろん寄って来ます(笑)。
果たして横島は恋人を守り切れるのか、それともさらに道ならぬ道を歩むのか!?
>横島君にすら心配されてしまったタダスケに憐れみの目を向けつつ
うーん、どっちが本心でありましょうか(笑)。
○Tシローさん
>ある意味職場はすでにそんな感じですぜ
大樹の職場はもっとすごいですよねぇ。ある意味横島の理想像かも(ぉ
>そ、それはつまりナニの時は横島よりタマモンのほうが先にへば
何せ煩悩魔人ですから!
>GM
横島側は地理的な問題で登場できませんが、美神側にご出陣願ってみましたー。
○遊鬼さん
>まさかそこまで好意を持ってるとは思いませんでした
最近好感度UPイベントが続いてましたからねぇ……。
>あと、タマモのリアクションもイイですね
や、そう思っていただけて良かったです。何せ二股承認ですから(^^;
>ついでに「3(ピー)」は伏せ字の意味が…(笑)
だってわざとですし(ぉ
>タダスケ
今ごろどうすればさっさと元の世界に帰れるか、悩みぬいていることでしょう。
>大樹の尾行
オカルトGメンが正式に出動する事態にまでなりました(笑)。
○とるさん
すいません、やっぱりそういう方もいらっしゃいますよねぇorz
今後どういう展開になるかはまだ未定ですが、楽しみにしていただけると嬉しいです。
○ばーばろさん
>タマモンはもう身体で払ってるって
いあいあ、愛で結ばれた関係にそういう取引的発想は存在しないのですよー。なぜなら2人とも幸せなのですから!
>いぁ、この程度しか役に立たないんだから、使えるところで使ってやらないと・・・
ひどい(笑)。
まあヒャクメがいなくても、隊長さんが出張ってくればどうにでもなってしまうのですがー。
>番外編でピンクの3(ぴー)
ピンクかイエローか3(ピー)か1人ずつ2回は分かりませんが、番外編は書く予定です。
……こんなこと書いて大丈夫か自分(ぉ
>GM
果たして大樹は生きてナルニアに帰れるのでしょうか!?
○読石さん
>おお、ついにカリンが告白した!
実に長い道のりでありました。
いや最初からこうするつもりだったというわけではないのですが。
>タダスケ
何だかんだ言って妻を大事にしてる方ですから、横島君も文句は言えなかったのでしょうねぇ。
>タダスケさん文珠創りに山ごもりしたらって言うか、GSメンバーから離れた場所で生活したら直ぐに貯まりそうな気がします
やっぱりそう思われますか(^^;
○チョーやんさん
>だいぶいい感じに成長してきましたねぇ、横島
ありがとうございますー。
今回もちょこっとだけがんばっております(笑)。
>彼女達の『愛』の力
もう向かうところ敵なしという感じですな(^^
>ピンク
上記を参照して下さいませー。
○鋼鉄の騎士さん
うーん、お待たせしましたというべきなんでしょうか(^^;
楽しんでいただけたようで良かったです。
>でも成長した横島だからこそ愛されてますねぇ・・・昔の横島なら撃墜確定なのにw
そうですね、「成長した」という事実自体もうれしいでしょうし。
今後とも彼の成長にご期待下さいー。
>そしてタダスケが何処まで不幸になるのかもw
ひどい(笑)。
○趙孤某さん
そういえばハーレムって何人ゲットすればそう呼ばれるんでしょうかねぇ。
筆者的には3人以上、つまりおキヌちゃんか小竜姫さまを落として初めてハーレムになるのかなー、なんて認識しておりますが<超マテ
>もう何かアシュとかほっといて、このまま三人でゴロゴロいちゃいちゃしてろと思う俺はどうなんでしょう・・・?
どっちみちこのSSにアシュ編なんてありませんし、いいのではないでせうか(ぉ
○HALさん
>カリン攻略でパワーアップした横島の煩悩を受け止めきれない2人が3人目の犠牲者を引きずり込む
ひどい(笑)。
でも経緯はどうあれカリンを味方にすれば、小竜姫さま陥落はすぐのような気も致します。がんばれ横島<マテ
>個人的にハレムの価値は数より質だと思うので
まったくですな。どう考えても横島君にはもったいないですヾ(´ー`)ノ
>大樹
次回には帰らされるのではないかと。
○アミーゴさん
>それでこそ横島の親父殿
何しろGMでも浮気を「やめさせる」ことはできないというド根性中年ですからねぃ。
>こりゃ、横島くん=ヨコシマ星の住人説が信憑性を帯びてきたぞw
つまり大樹はヨコシマ星で悪の限りを尽くして地球に追放された悪の宇宙人というわけですな(ぇー
>お前まだいたのか
それひどすぎ(^^;
>魚と蟹の不遇っぷりといったら
立場は同じでも扱いは同じにできませんからねぇ……orz
○内海一弘さん
やはり横島とタダスケの間には幸福量保存の法則が働いているようです。何せ同一人物ですし(ぉ
>父子攻防戦
また次回に続いてしまいましたorz
○Februaryさん
>タダスケvs大樹の勝負
タダスケの代わりに隊長さんが登場するという、大樹にとってより厳しい展開になりました。
それでも大樹なら……大樹なら(大嘘)。
>「姫に代わって仏罰じゃ〜」とかですかwww
実際に吐いておりますその台詞w
>呪い返し
ああ、人を呪う時はちゃんと自分の安全を確保してからにしませんと(o_ _)o
○巨大なヒトさん
>究極の自慰行為ですな(笑
まさにその通りでw
筆者もぜひ体験してみたげふんげふん(ぉ
○ルーエンハイムさん
はじめまして、よろしくお願いします。
>ぶっちゃけカリン陥落が最終回なんじゃないかと思っていた
なるほど、そういうラストもアリだったかも知れませんね。
いや、小竜姫さまやおキヌちゃんでそうなるわけじゃないですよ!?
>これで究極の自己愛が完成したのですね
これを機にさらなる精神的成長を遂げてほしいものでありますな。えっちばかりじゃいけませんよ横島君!
>なんたって某六女の忍者女がいるからね
彼女にバレたらとっても厄介なことになりそうで大変楽しみです<マテ
○風来人さん
今回はギャグ調ですが、大樹が帰ったらまた甘い話になる予定ですー。
>そういえばカリンは大樹と百合子の実の娘って事になるんですよね?
そういうことになりますねぇ。大樹さん間違ってナンパしなければいいんですが(^^;
○HEY2さん
お久しぶりですー。
>「親父は翌朝ナルニアへ帰りました」でいいよもう
ひどい(笑)。
しかしそういうわけにもいきませんので、もう少しだけ妨害作戦にお付き合い下さいませ。
○凛さん
はじめまして、よろしくお願いします。
お察しの通りこのSSにルシオラルートはありませぬ。
タダスケがいればアシュともやり合えるでしょうけど、彼もそこまでこの世界に居たくないでしょうし(笑)。
○逃亡者さん
>まさか二重トラップだったとは!!
そして隊長登場&タダスケ逃走という三重トラップも用意しました(違)。
>カリンとの展開
意表を突けたようで何よりであります(ぉ
>しかしカリンまで横島とくっ付いたら事務所の中で小竜姫さまだけがマイノリティという事に
小竜姫さまも居心地悪い思いをすることでしょうねぇ……(^^;
果たしてどのような葛藤が始まるのでありましょうか。
○名無しのGSさん
>つ・・ついに。カリンさんも横島を好きになりましたか
ついになってしまいました。横島君の人外キラーぶりにも困ったものです。
やはり彼自身が人外じみてる分、同じ人外には相通じるものがあるのでしょう。そのぶん普通の女の子にはただのスケベ扱いされる、と(ぉ
>結婚すると魅力が出てくる男性がいますが、横島君はどうなんでしょう
タダスケさんを見る限り、あまり変わらないような気も致しますw
○ハグナスさん
はじめまして、よろしくお願いします。
>カリンが横島を好きなのは〜〜〜
彼も成長しましたし、ささえてくれる人もいますからねぇ。自信がついてくるのも当然かも知れませんな。
○yanさん
はじめまして、よろしくお願いします。
>もちろん他にはもてないとか言うわけではないけど、上手く行きそうな人たちはみんなそうだし
は、今作ではなぜかそうなっております。
その代わり、クラスメイトにコケにされたり峯さんにジャマがられたりしてますがー(笑)。
>一気に上手く行かずに、時間をかけて関係を熟成して行ってるのがすごくいいと思います
ありがとうございます。3人の愛の成長をご期待下さいませ。
○にゃむこさん
はじめまして、よろしくお願いします。
>こうなると横島君、皆と同じ時間を生きる為の修行・・竜族に、がそろそろ開始されるのでしょか?
その辺りは横島君以外にも考えてるキャラがいますので、近いうちにはっきりする予定ですー。
○UEPONさん
>いや〜、ついに風雲カリン城が陥落しましたね〜
実に堅固な城であったのですが、横島君の人外キラー攻撃はやはり苛烈でありました。
>でも前にイエローが出てたせいか〜〜〜
そこはそれ、削りの積み重ねがあってこそのKOですから!
>裏技はともかく寝技はド素人だと思う、けどカリンちゃんや横島君からはそうは見えないでしょうね
いあ、そっちの寝技じゃなくて(笑)。
そっちはたぶん横島君の方が上手かと<超マテ
>タマモちゃんならカリンちゃんの気持ちを察していたとしても不思議じゃないし〜〜〜
そうですね。いつもいっしょにいますし、勘も鋭いですから。
でもそれを先に言ってしまうような娘じゃないでしょうから、ああいう展開になりました。
>道ならぬのはタマモちゃんもですよ〜〜〜
うーむ、言われてみれば確かに。
するとカリン=自己愛or近親、タマモ=獣の上に道ならない、小竜姫さま=竜、愛子=机……って、普通の人間の相手がおキヌちゃんだけだとは横島君もアブノーマルなやつですな(爆)。
>タダスケさん
女のためならどんな打撃を受けようとも突っ走る、それが横島クオリティです!
でも今回は何とか文珠使わずに済みそうであります。宇宙意志もたまにはいいことしますねぇ(ぉぃ
○SIMUさん
タダスケの帰還は……本当にいつになることやら(^^;
文珠の生成が3日に1個とすると、15個作るのに1ヶ月半……練習も合わせたら他ごとで使わなくても本当に3・4ヶ月かかりそうですね。なんて哀れな……。
>横島とカリンの合体した竜気版魔装術、竜装術
小竜気全身装着は単に竜気をまとうだけで、「自らを魔物に変える」効果はありませんから、パワーは魔装術の方が強いですねぇ。2人がかりなら制御もしやすいですし……って、仰る通り前作とかぶっちゃうわけですが(^^;
今のところ小竜姫もカリンも横島に斉天大聖の修行を受けさせる気はありませんが、横島のことですから受けなくても会得しちゃうかも知れません(ぇー
>しかし、魔装術の姿が影法師に似るということは横島が竜装術を使うとカリンという女性の姿になるということに!?
当然なっちゃうでしょうなぁ。
むしろG行為に走ったりしないか心配です(ぉ
>横島が今後どのようにパワーアップするのか楽しみです
は、今後ともよろしくですー。
○蒼い月さん
>横島、殴っ血KILL!!
やっちゃって下さいヾ(´ー`)ノ
>美神さん、レッツサブキャラ街道
もはや主人公との接点がほとんど無くなっちゃいましたからねぇorz
しかし少しくらいそんなSSがあってもいいと思うのですよー。
>そしてタダスケさんは還るのがさらに遅くなりそうなw スロー過ぎてアクビがry
ヒドいw
○kaidaさん
はじめまして、よろしくお願いします。
>簡易式神でも放って監視くらい簡単だと思いますけど
なるほど、そんな手がありましたか。これは横島君じゃなくて筆者の見落としですorz
ただ簡易式神は独自の視覚を持ってはいるようですが、それを術者に送信できるかどうかは疑問なんですな。フィードバックは無いみたいですし、というかそんなことができたら横島君が覗きに使わないわけがない(爆)。
>令子に見つかれば簡単にバレルかも知れませんが
は、これを過大に警戒してると解釈いただければ幸いでありますー。
ではまた。