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「光と影のカプリス 第75話(GS)」

クロト (2007-06-09 19:58)
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 蛟(みずち)はついに様子見をやめ、かって自分を封印した退魔師たちへの復讐を果たすべく、鎌首を上げたままずるずると地面を這ってきた。巨体のためかさほど動きは速くないが、あんなのに咬まれたり巻きつかれたりしたらひとたまりもあるまい。
 そのド迫力に慌てふためいた横島が、かなり崩れた表情でリュックから2つめの手榴弾を取り出す。手持ちはあと2つだけだが、どうせ今回の仕事はこれで終わりなんだし、ケチる理由はなかった。
 しかしそれを小竜姫から逃げながらでやれる辺り、この男もかなり器用なところがある。

「残り全部投げちゃいます! ……今だーっ!」

 2つ目は普通に投げただけだが、3つ目は狙っていた。蛟がさらに近づき、いよいよ先頭にいた鬼道と夜叉丸に喰らいつこうと顎を開けたその口の中に放り込んだのだ。

「……ッ、〜〜〜〜〜!!?」

 さすがにこれは効いたらしく、蛟が声もなくのたうち回る。巻き込まれないよう慌てて後退するGSたちだったが、タダスケはその苦しみようを見て敵の特性の1つを理解した。

「そうか、ヤツの鱗は確かに硬いが、その内側まで同じくらい硬いわけじゃないんだ。それなら鱗が溶けてるところを攻撃すれば効くはずだ!」

 横島はその福音を聞き逃さなかった。

「ほら所長、やっぱり俺の攻撃役に立ったじゃないっスか!
 だからその木刀は蛟に向けることにして、終わったあとは2人っきりで祝杯をんぎゃっ!?」

 しかしあほなことを叫んだせいで逃げ足が遅くなり、ついに追いつかれて肩口への一撃で地面に倒れた。それにしてもこの男、昨晩のことといいストッパーがいないともう好き放題である。
 唐巣がなるべくそちらを視界に入れないように注意しつつ、タダスケの方に駆け寄って声をかけた。

「しかしタダスケ君、アレは近づくだけでも危険だよ。攻撃する場所を選んでいる暇があるかどうか……」
「ええ、しかし……」

 タダスケもそれは分かっているが、他にあの怪物に有効打を与える方法を思いつかないのだ。普通に文珠の《浄》や《爆》を使ったところで、ダメージはさっきの手榴弾と大差なかろう。ストックを全部使えば倒せるかも知れないが、そんな事をしたら元の世界に帰る日がまた大幅延期になってしまう。
 ではどうすればいいのか、と2人が煮詰まっていると、今まで黙っていた冥子がそばに進み出てきた。

「じゃあ私が〜〜〜ビカラちゃんで〜〜〜押さえつけてみる〜〜〜。あのヘビさんもケガしてるし〜〜〜、何とかなるかも〜〜〜」

 最初に鬼道が言ったことを冥子は覚えていたようだ。その呼び出しに応じて、彼女の影からずんぐりした四つ足の獣が這い出してくる。

「なっ、冥子はん!? 無理……」

 それでも鬼道は止めようとしたが、1歩遅かった。蛟はビカラに見覚えがあったのか、急に眼をいからせると方向転換して冥子たちの方に躍りかかってきたのだ。

「ちっ、仕方ない! 文珠よ……!!」

 こうなったら本当に冥子に押さえつけてもらうしかない。タダスケは彼女がプッツンしたときに備えて手の中に隠していた文珠《封》を《錘(おもり)》に変えて蛟の頭部に投げつけた。
 イメージはギャグ漫画などでたまに出てくる「16トン分銅」である。さすがに16トンそのものは再現できないが、それでもいきなり異様な重みをかけられた蛟の頭ががくんと落下し、地響きを立てて土に埋まった。

「え、えっと〜〜〜もしかしてチャンス〜〜〜?」

 冥子には何が起こったのか理解できなかったが、今が蛟の頭部を押さえる好機だということくらいは分かる。すかさずビカラをその上にのしかからせ、その太い両腕で地面に押しつけさせた。
 これで蛟は動きが大きく制限されただけでなく、視界を閉ざされ牙で咬むこともできなくなった。圧倒的有利な態勢になったかと思われたが、蛟にとっては逆に不利すぎる状況だから必死になって抵抗するのは当然だった。全身の力をこめて頭を持ち上げようともがいている。

「こ、このヘビさんすごい力だわ〜〜〜。ビカラちゃんでもそんなに長くは押さえていられない〜〜〜」
「そ、そんなに強いのか!?」

 文珠と式神の2重の重しでも押さえ切れないとは。タダスケは思わず目を剥いたが、たぶんビカラは体形上、真下方向へは力をかけづらいのだろう。

「仕方ない、胴体の方にもう1個使うか……!」

 何だか元の世界に帰る日がずんどこと遠のいていくような気がするが、皆の安全には替えられない。タダスケが2つ目の文珠《錘》を蛟の胴体の真ん中辺りに投げつけると、さすがの巨竜も体の前半分の動きが目立って鈍くなった。

「……タダスケ君? 君はいったい何を」

 唐巣の目には文珠そのものは見えなかったが、タダスケが何かを投げる動作をした直後に蛟の動きがおかしくなるのが2度も続けば、彼がどんな秘術を使ったのか気になるのは当然である。
 しかしタダスケとしては文珠はできるだけ使いたくないので、素直に教えるのは好ましくなかった。あまりにも便利で万能すぎるので、どうしても頼りにされやすいのだ。

「あ、いや。これは俺の隠し道具なんで、詳しいことは企業秘密っつーことで。それより早く蛟を」

 ちょっと早口でそうまくし立てながら、逃げるように唐巣のそばから離れるタダスケであった。


 一方カマイタチとの空中戦の方は、地上側にも増して苦戦していた。GS組3人の中で1番速いのはカリンなのだが、カマイタチたちはその彼女より若干速くて小回りもきいたのだ。
 それでも金縛りの術で何とか減速させてカマイタチ1号の前に回りこむのだが、そうすると2号と3号が別方向から襲ってくるので攻撃を当てる所まで行けないのである。逆にその反撃をかわしそこねて、引っ掻かれたり尻尾で叩かれたりしていた。
 ピートと雪之丞はカリンの半分程度のスピードしかないのでとても追いかけっこには加われず、聖句や霊波砲で牽制するのが精一杯だった。

「ちくしょう、こいつらでけぇ割に速ぇ……!」

 いい加減じれて来た雪之丞が2号に向かって連続霊波砲を乱射するが、2号は大きく距離を取って弾幕の密度が下がったところで楽々と回避する。身を守ることについては本能的な知恵があるのか、その戦い方は意外に頭脳的なものがあった。
 だがそれで2号がいったん遠くに離れたことは事実である。その隙にカリンは1号の正面から斬りつけると見せかけて、後ろにせまった3号に横薙ぎの一閃を振るった。
 その必殺の斬撃が、背中の刃ならともかく素手の鉤爪で受け止められようとは。

「なっ!? く、そこまで硬いのか!」

 確かに腕も爪も硬そうに見えるが、まさか青竜刀を受けられる程とは思わなかった。これは作戦の変更が必要かも知れない。
 が、さしあたっては3号につかまれた剣を引き抜かねばならなかった。いやそれより前に、1号が「後ろから」体当たりを仕掛けてくる―――!

「ぐっ!」

 背中に頭突きをくらったカリンの身体がのけぞり、痛みのあまり手が剣から離れる。まあそのおかげで多少は衝撃がやわらいだのだが、武器を失った少女に1号は容赦なく追撃に移った。
 かわし切れない。カリンはとっさに後方に加速したが、それでも腹に鉄槌がめりこむような重みで身体がくの字に曲がる。
 目がくらんで吐き気がしたが、しかしカリンは必死でそれをこらえると1号の顔を両手でつかんだ。

「……っく、やっと捕まえたぞ。ちと残酷だが悪く思うな……!」

 右膝に小竜気を集め、それで1号の顎の下を思い切り突き上げる。何かがひしゃげるような感触がしたが、かまわず今度は右肘を振り上げた。
 これでとどめ、のはずだったが、その横から3号の背中の刃がせまる。ピートがダンピール・フラッシュで追い払ってくれたが、カリンもいったん1号を放して距離を取らざるを得なかった。

「カリンさん、大丈夫ですか!?」
「……ああ、何とかな。しかしあのカマイタチ、私の剣が気に入ったのかな……?」

 血相を変えて近づいてきたピートに、カリンは苦しそうに手で腹を押さえながらも笑みを浮かべてみせた。
 しかしカマイタチ3号が青竜刀を握ったまま放そうとしないのは何故だろう。放り捨ててくれれば念波誘導で取り戻せるのだが、まさかそれを本能的に察知しているとでも言うのだろうか。

「そうですか、でもカリンさんはもうさがって下さい。傷ついた女性にこれ以上無理をさせるわけにはいきません」
「ピート殿? いや気持ちはうれしいが、あなたの飛行速度では……」
「なら盾になりましょう。大丈夫、僕はバンパイアハーフですから多少の傷は平気です」

 ピートがイタリア系だけあってフェミニストっぷり全開の台詞を吐きつつ、カリンの前に移動する。実際、カマイタチを捉えるにはあえて攻撃を受けてみせるくらいの事をしなければ無理だと今までの戦いで理解できていたのだ。

「なっ!? やめろピート殿!」

 カリンがあわてて制止する。確かに少し休みたいと思っていたところだが、それは危険すぎる。
 しかしピートは聞かず、再び襲ってきた3号の刃に自分から飛び込んだ。3号が前転して斬りつけようとする直前に、その鼻面にバンパイア・サマーソルトキックを叩き込む。
 反動で吹き飛ばされそうになったが何とか耐えて、空中でバランスを崩した3号の頭部に組みついた。

「まずは武器を奪う……ダンピール・フラッシュ!」

 動きが止まった刃の側面に霊波砲をぶつける。ぱりん、とガラスが割れるような音をたてて妖怪の凶器は根元からぽっきり折れた。
 もちろんこれは組みついていたからこその成果で、もしそうでなければ3号の体ごとはね飛ばすだけに終わっていただろう。

「よし、やった! もう1発……!」

 とピートは続けて2発目を妖怪の胴体に撃ち込んだが、敵もこのままやられっ放しでいるほどぬるくはなかった。前脚でピートの足をつかみ、強引に振りほどいて真下に放り投げる。

「くっ、ここで離されてたまるものか……!」

 しかしせっかく危険を冒して捕まえたのに、また距離を開けられてはかなわない。ピートがとっさに身体を曲げてその前脚をつかむと、3号もまたバランスを崩して空中でよろめいた。

「今だっ……!」

 ピートが3号の脚を掴んだまま、もう片方の手でダンピール・フラッシュを連射する。これはかわしようがなく、たちまち3号の顔に何ヶ所も深い傷ができた。
 これならいける、と勝利を確信したピートだったが、しかし敵はなお頑強であった。ピートが攻撃に気を取られている隙に、もう片方の足で持っていたカリンの剣を投げつける。

「ぐ……!」

 太腿にぐさりと刺さった刃物の痛みでピートの手から力が抜ける。離してしまった脚で蹴りつけられて、ピートは地面に墜落した。


「「きゃーっ、ピートさあん!?」」

 その痛そうな風景に見学中の女生徒たちが一斉に悲鳴をあげる。どうやら彼女たちは除霊活動そのものより、「ピートの」活躍に注目していたようだ。

「でもあの妖怪強いわね。カリンさんたちが3対3であんなに手こずるなんて」

 しかしその中でも峯は比較的冷静だった。もしアレがこちらに来たらと思うと、とてもうわついたことを考える気にはなれないのだ。いや級友たちもカリンや鬼道たちが本格的にせっぱ詰まってくれば、次は自分たちが襲われる番だと気づくだろうけど。

「せめてカマイタチがいるって最初から分かってたら、それなりの準備もできたのにね」

 その隣で峰が相槌を打つと、峯もこくんと頷いて、

「そうね。廟が壊されてるとか蛟が復活してるとか、想像もしてなかったし。先生たち無事で帰って来てくれればいいけど」
「そうだね。ところでピートさんとカリンさんはともかく、伊達さんが飛べるのってどーやってるんだろ」

 カリンは霊体だしピートは半吸血鬼だから分かるが、雪之丞と似た術を使う自分や弓は飛べないのに、彼はどういう原理で宙に浮かんでいるのだろう。昨晩の講演会の時はそれらしいことは何も言っていなかったが……。

「さあ、それは本人に聞いてみるしかないんじゃない? 私はどっちかってゆーと、何でカリンさんがあの横島さんとああも仲良くしてられるのかに興味あるけど」
「何げにヒドいっ!?」

 そりゃまあ確かに、あの煩悩一直線な横島さんと堅物っぽいカリンさんは相性悪そうに思えるけれどっ!
 しかしそれを口に出すか出さないかが、2人の慎ましさの違いであるようだった。


「……へぶしっ! うーん、誰か噂でもしてるのか?」

 相変わらず妙なとこばかり鋭い霊感を発揮しつつ、横島は冥子の傍らで小さく呟いた。
 今は戦闘には参加せず、冥子のお守りに徹している。もともとそれが仕事だし、ときどき体に激しい痛みが走るので、とても前線には出られないのだ。

「しかもいつ来るか分からんってのが拷問ぽいよな……かと言って上ばっか見てるわけにもいかんし」

 横島に痛みが来るのはカリンが攻撃を受けた時だから、彼女を見ていればその瞬間の心の準備はできるのだが、それでは冥子や蛟から目を離すことになってしまう。

「……って、ちょっと待てよ。俺が痛いってことは、あいつも同じだけ痛いってことだよな。ちくしょー、俺の女に何てことしやがる」

 本人に聞かれたら全力で否定されそうな台詞だが、ともかく横島は何とかしてカリンを助けてやろうという気になった。しかし彼に直接空中戦を支援する方法はない。

「ここは1発、煩悩全開でもかますしかねーか……って、いってぇぇえぇ!?」

 突然横島の背中に鉄バットでぶっ叩かれたような衝撃、ついで腹に岩でも落とされたかと思うような鈍い痛みが走る。もはや立っていることもできず、うずくまってぜーぜーと荒い息をついた。
 冥子がその絶叫に驚いて声をかけてくる。

「横島クン〜〜〜、どうかした〜〜〜?」
「え? あ、いや、何でもないっス……」

 冥子もビカラを操るのに必死なのだ、余計な気遣いをさせるべきではない。横島は残った理性で何とかそう答えつつ、よろよろと立ち上がった。
 しかしこの痛みでは、妄想に精神を集中するのは難しい。

(せめて何か目に見えるオカズでもあればなぁ……って、おお、そーだ! こーなったら後のことなんて考えてられん、やるしかねー!)

 横島はぱっと表情を明るくすると、冥子のそばから少し離れて大声で小竜姫を呼び出した。


「何ですか、横島さん? 今はお話してる場合じゃないんですけど」

 何度かの呼び出しのあとようやく来てくれた小竜姫は、当然ながらかなり不機嫌そうだった。戦況はむしろこちらが有利といえる程だったが、冥子が蛟を押さえている間に倒し切らねばならないのだから、雑談している暇など1秒だって有りはしない。

「はい、すんません。先に謝っときます」
「……?」

 90度近く頭を下げてきた横島の態度はまことに不審だったが、小竜姫がその理由を思い知るのはすぐだった。


「じゃあ行きます。煩悩全開(小竜姫さまVer)ーーッ!!」
「え!? あ、きゃあぁぁあぁ!!」


 小竜姫の全身がびくびくびくっと痙攣し、そばにあった木にもたれるとそのままずるずるしゃがみ込む。
 これは煩悩全開の特殊なパターンで、出演女優を小竜姫1人にしぼると彼の持つ小竜気を媒介にして(今はカリンを出しているが、ヘアバンドがあるから竜気は残っている)小竜姫とテレパス回路がつながり、一種の共鳴現象が発生して普通の煩悩全開よりはるかに強いパワーを発生させることができるのだ。
 ただその代償として小竜姫に横島の邪念がもろに流れ込んでしまうため、そのおぞましさで彼女が行動不能になってしまうのであるが……。

「よ、よこしま、さん。そ、それは、ダメって、言った、で、しょ、う、ん、くうっ!!」

 小竜姫は必死で止めさせようとするが、実力行使どころかまともに喋ることすらおぼつかない様子だった。封印でパワーが下がっているため、精神汚染への抵抗力も弱くなっているのである。

「はっ、はあっ、ん、くっ!? な、何ですか、この、感覚、は、あっ、んんぅっ!」

 ということで、小竜姫は少しずつ侵蝕されてきたらしい。おぞましいという感触はいつの間にか消えていて、代わりに全身が熱くほてって頭の中まで溶けてしまいそうだった。
 ぼうっと潤んだ瞳が横島をみつめているが、彼を責める力などまるで残っていなさそうである。いやそんな意志すら無いようだ。

「はあ、はあ、よこ、しま、さん、だめ、ですって、ば……今は、おしご、と、ん、はあぁっ! くぅっ、はぁ、あふっ、うぅん……」

 それでも妙なことは止めさせて仕事に戻ろうという気はあったようだが、鼻にかかった甘い声で喘ぐように言ってもそれは逆効果であった。

「おおっ、所長が悶えてる? そっか、あの頃より俺に惚れてるから気持ち良くなるよーになったんだな!?」

 想像もしていなかった反応に横島が歓喜の声をあげる。昨晩のカリンに続いて、今度は憧れの女神さまの喘ぎ顔まで見られようとは!
 原因の解釈は思い切り間違っていたが、それはまあ横島だから仕方がない。

「ならば俺もそれに応えねばなるまい。ぬはーっ、燃えてきた、燃えてきたぞ!
 さあ、見せてやる! これが! これだけが! 俺の自慢の、煩悩だあーーーっ!!」
「自慢なんですか!?」

 小竜姫が一瞬正気に返って渾身のツッコミを入れたが横島はスルーした、というか聞こえていない。知る限りのあらゆるえっちでえろな展開を超々リアルに夢想する。

「萌えろーーーーッ!」

 横島の咆哮と同時に、空の一角で巨大な竜気が爆発した。


 ついさっきまでの何倍だかわからないほど強烈な霊力で身体を満たされたカリンは、さすがに少しとまどい気味ではあったが、すぐに己のやるべきことを思い出した。

「こ、このむちゃくちゃなパワーは……さては横島、あの禁じ手を使ったな。まったく、後でどうなっても知らんぞ。
 ……でもそれなら、こっちも全力を出さないとな。よく見ておけよ、私の速さを!

 ―――超加速!」

 その声とともにカリンの全身から目に見えない神通力が放射される。本来は韋駄天の技とされる、周囲の時間の流れを遅くする力だ。
 さすがに竜神の装具(通常版)を使った時のようなパワーは出せないが、それでも加速率20倍くらいならできた。単純なスピード勝負なら煩悩全開の分だけでお釣りが来るのだが、小回りのきくカマイタチを捉えるのはかなり面倒だし、何より横島とピートの行為に応えるためにあえて超加速も使ったのだ。
 横島は後でお仕置きされるのを承知で支援してくれたのだし、それが間に合ったのはピートがかばってくれたおかげなのだから。
 しかしこうなればもはやカマイタチなど敵ではなかった。3匹ともあっさり秒殺されたのだが、横島(と自分)を痛めつけた1号とピートに剣を突き刺した3号は、実害が比較的少なかった2号の3倍ほどたくさん殴られていたらしい。


 ―――つづく。

 何ともヒドいお話ですねぇ。小竜姫さまに幸あらんことを(ぉぃ
 ではレス返しを。

○アミーゴさん
>もうこうなったら、小竜姫様に変身してもらいましょ
 それって蛟より被害が大きくなるのでは(笑)。
>字が違う、なんてツッコミは野暮なんでしょうなw
 どう考えてもわざとですからねぇ。
 妄想はここでやりましたー。

○HALさん
>やっぱり聖なる手榴弾を使うためには〜〜〜
 むう、これに元ネタが存在することを知っている方がいようとは。
 まあ某フルメタにも出てましたけどー。
>小竜姫
 小山事務所の環境では横島君の影響を大きく受けますからねぇ。
 ずいぶんとすれてしまいました(ぉ

○ばーばろさん
 毎度感想ありがとうございますー。
>美智恵「おねえさん」?
 あの人に「おばさん」なんていう勇気がある男なんていませんからー!
>ところで「おねえさん」(←しつこいw)。萌えるのですか、それ
 脳内でいろいろと設定変更とかしてるのではないでしょうか。
>最後のヨコシマ&小竜姫さまが。。。
 今回もぶち壊しです。ひどい話ですねぇ(ぉぃ

○casaさん
>ナイスなクロト氏テイストが実に旨味です
 ありがとうございますー。ぜんぶ横島君のせいですけれど(笑)。
>しかし、神族なんだからおねーさんっつー年齢でも
 そこはそれ、竜神族基準では普通におねーさんだということでっ!
 でないと殺されますからー。

○KOS-MOSさん
>一部かなり、激しく小一時間ほど問い詰めたくなる語句がありましたが
 横島君にもいろいろと都合があったのですよー。
>もしくは、勉強するときにだされるご褒美のためにがんばったから?
 たぶんそんなところでしょうねぇ。横島君ががんばる動機なんて他にありませんし(酷)。
>VS蛟
 タダスケがけっこう頑張っております。元の世界に戻る日をがんがん先延ばしにしながら(ぉ
>VSカマイタチ
 素でカリンより速い敵というのは珍しいのですが、煩悩全開の前に破れ去りました。

○遊鬼さん
>いやいや、小竜姫さまのイメージにピッタリ♪
 ありがとうございますー、筆者も見たいです!
 しかし今回はさらにヒドい目にあわされてますが、横島くん生きて帰れるのでしょうか。
>蛟も怒らせてしまったし、次回どうなってしまうんでしょう!?
 これでタコ殴りにして終わりなんて簡単な展開は避けたいところであります。

○内海一弘さん
>横島君…隊長に何か弱みでも?(笑)
 いあいあ、美しい女性に対する礼儀を守っているだけですよーヾ(´ー`)ノ
>タダスケは今回も活躍は難しいのか…?
 一応VS蛟側の6人の中では1番役に立っておりますが、果たして最後までそれを続けられるかどうか<マテ

○通りすがりのヘタレさん
>ストライプとは、なかなか初々しいじゃないですか小竜姫様
 小竜姫さまにはシンプルで飾り気の少ないのが似合うと思うです〜。
>ここは竜対決ということで小竜姫様の逆鱗に触れるのか横島君?
 違う意味で触れてしまったような気がします(^^;
>雪之丞&弓&一文字
 あとは蛟戦でユッキーが活躍して〜〜〜というのが王道ぽいですが、さてどうしたものでしょうねぇ。
>タダスケの出番が非常に危うくなってきているなあと邪笑しつつ
 ここでさらに活躍して男を上げるか、それとも横島チックにコケるか、まさに運命の分かれ道に来ております(ぉぃ

○鋼鉄の騎士さん
>なんて色々な意味で(マテ)危険なものを!?
 横島君も少しはモラルとか周囲への配慮というものを身につけてほしいものであります。
>とゆうか小龍姫様も随分俗世に染まられたようで・・・神界帰れるの?w
 いっそ帰らない方が幸せかも知れませんねぇ。
>タダスケの出番
 いやいや、横島流はパワーで勝てない相手にこそ真価を発揮するのですよー。
 かなりの高確率でコケますが(酷)。

○Februaryさん
>白の次はストライプ・・・OK、OKばっちこ〜い!!
 小竜姫さまも下着には気を使っておられるようです。
 何てかあいい<マテ
>VS蛟
 次回、タダスケの大活躍にご期待下さい!(嘘予告)
>年上の女性はみんな「おねえさん」と言わなければベレッタで撃ち殺されますよ?
 ましてや美智恵さんですからねぇ……ガクブル。
>聖なる手榴弾使用の際のきめ台詞
 はい、基本はあれです。なぜそうなのかはご想像にお任せするということで(笑)。

○読石さん
>文珠の《浄》と同じくらいの威力で軽傷ってどんな大妖怪なんでしょうか蛟さん
 つまりその防御力ゆえに、六道家のご先祖様たちも倒し切れなかったというわけなのです。おっしゃる通り浄化系は効果が高くないというのもありますけど。
>小竜姫さまのお怒り
 ここの小竜姫さまはもともとギャグキャラ……げふんげふん。
 うん、「おねーさん」という自称が示すように、横島君を身内並みに思うようになってきてるからでありましょう、きっと。

○whiteangelさん
 タダスケは一応既婚者ですし10歳も年上なので、横島君よりはマシだと思われます。きっと(ぉ

○UEPONさん
>お約束なシチュエーションですね
 封印が無事なままで終わっては盛り上がりも何もないですものねぇ。
 しかし! この事件はこれで終わりではなくて、ちゃんと前と後ろに関わりがあるのですよー。
>一発ギャグじゃなかったのか! しかも前回より威力UPしてるし
 ふふふ、脱力系だから一発ネタとは限らないのです!
>ミニ四駆で3年連続優勝した事のある横島君は〜〜〜
 そうなんですよねぇ。そのうえ体力抜群、霊能の素質があって商売もうまくて女の子にも好かれてるって、どこの最強キャラですかこの男は!
>日本一の霊具職人も目指せるかも。……本気でハマれば
 GS世界では除霊具ってかなり高いですから、収入もよさそうですしねぇ。もしかしたらGSになるよりいい選択肢かも知れませんな。
 タマモは横島に危険がなくなれば喜ぶでしょうし、カリンも戦闘だけが生きがいってわけじゃないし……あれ、ホントにいいかも!?

   ではまた。

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