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「リスタート 第十八話 (GS)」

(´ω`) (2007-06-07 00:31)
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――唐巣教会


「そういえばピートは次のGS試験は受けるのか?」

「いえ、高校の試験勉強もありますし、もう少し先生に
師事してからにします」


小学生向けの書き取りドリルに向かうピートの眼は若干
血走っていた


「お前日本語書けなかったんか……」

「……読む方は完璧です……出来たっ!」

ノートを覗いてみる


ぴエトろ・ド・ぶらドー


「………」


少笠原エ三


「………」

「どうですか?大分書ける様になって来ましたよね?」


自信有り気に聞いてくるピートの瞳に何故か罪悪感を感じてしまう

しかし……


「……頑張れよ……試験は今年だけじゃないから、な?


――後輩」


目尻に薄っすらと光る何かを滲ませながら横島はピートの
肩を優しく叩いた


――リスタート――
  第十八話


「このゴーストスイーパー美神令子が極楽に
――行かせてあげるわっ!!」

構えた神通棍を一閃する――


ガアアアアアァァァ……


工事現場に現れ、破壊活動を繰り返した凶暴な悪霊は
令子の神通棍の一撃で調伏された。

「ふう……はい、おしまい」

「お疲れ様っす美神さん」

後ろでルシオラと待機していた横島がタオルを令子に差し出す。

「あら、ありがと横島クン。気が利くじゃない♪」

「どこかお怪我はありませんかっ!?不肖横島忠夫、
早速人工呼吸と全身マッサーじょべぷっ!」


後頭部に直撃した工事用ヘルメットにあえなく撃沈した
――犯人は推して知るべし

「あらあら……横島クン大丈夫?だれがこんな酷い事をしたのかしら?
心当たりありません?

――ルシオラさん」

「ヨコシマ大丈夫?だめよこんな所でオイタしちゃ。
帰ってから私とゆっくり……ね?ヨコシマ♪」


令子を無視して撃沈した横島を犯人ルシオラは優しく介抱する。


――ピクッ

「弟子を虐待するのは感心しないわねルシオラさん?」


自分も負けじと横島の頭を奪い取る令子。


「虐待だなんて心外だわ。他所様に迷惑をかける前に恋人師匠としての
止むを得ない緊急措置よ?」


更に奪い返したルシオラと令子の間に紫電が疾る。


「――霊力レベルBの悪霊を一撃だなんて……この実力ならすぐにでも
事務所構えて商売繁盛間違い無しよ♪
――明日にでも協会に届けてこようかしら?」

「いえいえ……まだ卒業まで時間がありますのでじっくりと
教えを乞いたいものですわ♪」

――バチバチッ……!


ホホホと笑い合う美女2人だが、お互い決して瞳は笑っていなかった。
正に一触即発の空気であるが……

不幸な事に横島少年は空気を読むのが苦手だった


美神さんが……あの美神さんがっ!!
なんというポジションっ!
なんという絶景っ!

制服のスカートから微かに覗く眩しいまでの純白っ!!
正に日本三景っ!
正に漢の浪漫っ!
ありがとうっ!誰だか知らないけど本当にありg
きゅぅ…」


極めて強力な麻酔をダイレクトに打ち込まれた不幸な少年は
今度こそ叫び声を上げる間も無く沈黙した


「……除霊も終わったし引き上げましょうか」

「……横島クンったら……バカ……」


般若もかくやという表情のルシオラに対し、
耳まで紅くしながらも令子は怒りではない、
どこか照れたような表情で沈黙した横島にそう呟いた


「……ずいぶん嬉しそうな表情ね?美神さん?」


「……わりとね?」


――芦心霊相談事務所


「……流石は美神さんですね」

夜も更け、何時もの如く視察遊びに来た小竜姫を相手に
ルシオラはワイングラス片手に愚痴世間話に華を咲かせていた


――因みに横島はアレからずっとお休み中である


最強で最凶な最恐の敵なだけの事はあるわ……
しかも以前ならエルボーで制裁するような場面であの反応……
くっ……計画のスケジュール修正も考えなきゃいけないかも」

計画とは?と聞きたい小竜姫だったが恐らくまだ口を割る事は
無いだろうと判断し、喉まで出掛かった疑問を御神酒(大吟醸)で
胃に流し込む。

「話には聞いていましたが……あの美神さんが横島さんに
意地を張らないなんて……ああ、想像できません」

「事実よ、受け止めなさい」

どこぞの特務機関のおばさんお姉さんの台詞を拝借している
事実に気付く筈も無く、ルシオラはやや苦い表情でグラスの
白ワインを空にした。

「遠からずヨコシマは陥落すると見て間違いないわ……
高校卒業位までは大丈夫と思ってたけど流石は美神さんね」

危険度SSSSSじゃ足りなかったかも

「……ルシオラさんは」

「え?」

「ルシオラさんはいいんですか?その……横島さんが他の
女性にも心を向けてしまうというのに、なんというか……
ルシオラさんからは何処か余裕の様なものを感じてしまう
のですが……」

言外に自分が横島に対してどう思っているのか知っている
筈なのに何故そんな余裕を持てるのかと小竜姫は美神を
ダシに聞いてしまう。

グラスにワインを満たすルシオラは何も言わずにグラスを
傾ける。若干頬に赤みが差しているのは酔いの所為だろうか?


「……ヨコシマの右隣に立つのは私だけ。これだけはたとえ
美神さんだろうと貴女だろうと絶対に譲らない。……でも」

「でも?」

「――ヨコシマの左隣なら……しょうがないって思ってる。
たとえそこら辺の女の人をナンパする事を諦めてもヨコシマ
が美神さんを諦める、なんて不可能としか思えないし想像
できない。それにヨコシマはね……美神さんや私や貴女……
それにおキヌちゃん、愛子さん、小鳩ちゃんetc……
それぞれの女の子をそれぞれに特別だって思ってる。
ちょっと、いえ物凄く悔しいけどそんな所を含めて私は――


――横島忠夫っていう男の子を私は愛してる


――だから私はその特別な女の子の中でも特別に特別な
女になる。なって魅せる。その自信が私にはあるから……かな?」

「…………」


開いた口が塞がらない

なんという堂々とした愛の告白であろうか

一体この自信は何処から来るのか?

何処まで想い詰めてみたらここまで言い切れるのか?


翻って小竜姫は馬鹿馬鹿しくなった

ここまで言い切る相手に何を遠慮する必要がある?

遠慮する余裕がある?

自分は其処まで思い上がってはいない


傍らの御神酒を瓶ごと喉に流し込む流し込む流し込む――

「……ふう」

「神様にしては荒っぽい飲み方ですね?」

「飲まなきゃやってられません」


拗ねたようにプイと横を向けた耳が真っ赤に染まっている


「……そこまで言い切るなら私も遠慮する
必要は無いみたいですね」

「あら?随分余裕だったんですね」


微かな笑みをルシオラはグラスで隠した


「それも今日までです。覚悟して下さい」

「半端な覚悟なら火傷しちゃいますよ?」


貴女の敵は「ここまで言いきる女」なのだから


「私は竜神族です。竜神族の女の情の深さと篤さを
見縊られては困りますね。


――私は横島忠夫という人間を愛しています!


負ける心算はありません。覚悟してくださいね」


竜神族の女だから、ではない。
その想いの深さと篤さは間違いなく小竜姫という
個人故の深さと篤さである――


ルシオラは彼女の布告から正しい答をを導き出した


「……張り合いが出できたわね
――望む所よ」

ワインで満たされたグラスを小竜姫に翳す

小竜姫も御神酒で満たされた杯をルシオラに翳した


視線が交差する

そして想いも――


「「恋敵に」」


グラスと杯を空けると互いに顔を見やる

耳まで赤い

酔いの所為か想いの所為か

それとも両方か

兎に角2人の顔は可笑しな程に赤かった


「……真っ赤ですよ小竜姫さん」

「ルシオラさんこそ」


「「――ふふっ……」」


どちらからとも無く笑いがこみ上げてくる

おかしな話だ

神族と魔族

相容れない存在の筈の両者が1人の人間を挟んで共存している


そのたった一人の人間が互いの存在を認め合わせた

たった一人の人間を愛したが故に

コインの表と裏は互いを認めあったのだ


「美神さんより先になるかもね」

「そのつもりです」

そう、もう遠慮はしない。覚悟も出来た


「後は実行あるのみです」

私は小竜姫。逃げも隠れもしない

敵に背を向けるなど言語道断


こんな胸が躍る戦いに背を向けてなるものですか


「そろそろヨコシマも目を醒ます頃ね」


では行きましょうか


生まれて初めての素晴らしき戦場へ


続く


皆様お久しぶりです
(´ω`)でございます

え?久しぶりじゃない?

いや何の事やら(ry
つい先日までトイレがライトイエローに
染まる生活だった私にそんな暇などありません

それはきっと小人か天狗の仕業です
そういう事にしておいてくださいお願いします


それはさておきリスタート第十八話をお送りいたします

美神メインと思わせておきながら
実は小竜姫様の話になってしまいました
美神さんのファンの皆様ごめんなさい

以前ハーレムにするかどうかという話題がありましたが
結局はこうなりました。
ルシオラって結局の所は魔族ですのでそういう方面での
倫理観を人間のしかも現代日本人のそれに当てはめるのは
いかがなものかというのが主な理由です
日本だって江戸時代には側室や妾さんというのは極普通
だったというのを考えると魔族のルシオラをそれに
当てはめるのは少し苦しいと思いました

勿論このSSのメインは横ルシですのでルシオラーの
皆様はご安心下さいませ
これからもルシオラはガンガンいきます

さて次回は美神さんがゴニョゴニョでモゴモゴの予定
ですがもしかしたら飛ばして横島君のGS試験編かも
しれません


ではまた次回のあとがきでお会い致しましょう

お休みなさいませ


温かい励ましのお言葉は大変励みになりました
この言葉がSSを書く原動力であると確信しておりますので
どうぞお見捨てなきようお願い申し上げます

この場を借りて感謝の意を表させて頂きます

本当にありがとうございました

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