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「それでも時は進みだす−彼と彼女のココロ内−(GS)」

氷砂糖 (2007-05-28 00:08/2007-05-28 12:43)
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 心地よい夜の風が窓から流れてくる。

 露出した鎖骨から腰にかけてまで冷たい何かがゆっくりと這う、体をくすぐる感触に忠夫は身を震わせ目をうっすらと開けた。

 ベットの上で仰向けの寝ている忠夫の上に人影が腰を下ろしている、人影は這わしていた細い指先をのけ顔にかかっていた髪をかき上げた。

 霞がかった意識の中カーテンを夜風が揺らす、波のように揺れるカーテンの隙間から朧げな月明かりが忠夫の上に腰掛けた人影を照らした。

 肌蹴た着物、すらっとした腰、白い乳房、艶めかし鎖骨、肩にかかる髪は月光の中髪自体が光っているように見えた。

中世の時代、ヨーロッパ女性の髪は男性を魅了し堕落させるものとして伸ばすことを禁止したこともあったと言う、その話を世界史の教師から聞いた時はそんな馬鹿なと思ったが、
なるほど確かにこれは男を魅了し堕落させる、まるで男専用の媚薬だ。

ああ、なんて綺麗なんだろう。

視界に入る瑞々しい白い肌と対照的に艶のある黒い髪が脳を焼く。

ゆっくりと人影の体が忠夫の引き締まった胸に向けて落ちてくる。

絶対の服従を示すために足に口付けるように、

あるいは神聖なものに跪くように、

角度が変わったことで月明かりが人影の顔を照らす。

その顔は………


それでも時は進みだす
―彼と彼女のココロ内―
presented by 氷砂糖


「私たちも今日からここで暮らすことになったから」

 鬼が逃げ出す表情の令子、今にも泣きそうなおキヌ、霊波刀を必死の表情で構えるシロ、
挑発的な表情のタマモ、そしてすまし顔の千夜。

 十人十色の態度に忠夫は逃げ出そうとするが、場の雰囲気がそれを許さないし後が怖いし。

「ここここここここ、ここで暮らすとはどーゆうことでしょうか!!」

「決まってるでしょ、あんたが千夜に悪さしないように見張るためよ」

 普段なら何も考えず大喜びするのだがそれはできなかった。

空気が重低音を立てて渦巻く、巻き込まれたら磨り潰されそうなぐらいに。

「す、するわけないじゃないですか!もしお袋にばれたら後でどんな折檻されるかわからんですし!!」

 忠夫は令子事を納得させる為に百合子を引き合いに出すが、今回に限りそれは効果がないどころか逆に悪化させる。

 何故バイト先の所長の視線がさらにきつくなり事務所の良心が目の両端に溢れんばかりの涙を湛えてるのだろう?自分にとって最狂の手札を切ったのに、二人も知っているはずだ自分がそんなことをすればあのGMが動くことを。

 忠夫は知らないその母が今回のすべての状況を作りだしたことを。

「これを横島百合子から預かりました」

 状況を無視して千夜が忠夫に袂から取りだした一通の封筒を取り出し忠夫のすぐ側に立って手渡した。

 近い!近い!近い!近い!近い!近い!!!

忠夫は千夜がただ封筒を渡すだけなのにこんなに至近距離にきたことに混乱している、なんか良い匂いもするし。

怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!!!

まあ即座に令子の殺気にそんなことを考える余裕はなくなるのだが。

「横島、速く読んでよ」

 タマモが進まない話を嫌ってか、それともさらなる混乱を望んでか忠夫に手紙を早く読めと言う。

「あ、ああ」

 忠夫は救われたと思ったが、即座にその希望は打ち砕かれる。

他でもない母親の手紙によって。

「横島君どうしたの?早く手紙を読んじゃってよ、声に出して」

「そうですよ横島さん早く読んじゃてください、声に出して」

 忠夫の様子に何かを感じたのか声に出して読めと令子とおキヌまでもが促す。

「………………………………………………………………………読まなきゃだめっすか?」

 忠夫は泣きそうになりながら懇願するが世の中は冷たい。

「却下」
「だめです」
「駄目でござるな」
「はやく」

 四者の否定に目の前が暗くなる。

キーやん俺何か罪になる事をしましたんでしょうか?
あえていうなら鈍感は罪だ。

目の前が暗くなる、だが読まなければいけないのだろう。
視界の端に千夜がもう既に自分の席に戻ってたりするのが見える。

「も、もし手を出したなら………」

声が震える、だが誰が彼を攻められるだろう?

「う、あ……せき、責任は」

 手が振るえる、国会の証人喚問に呼ばれた証人のごとく。

「責任は?」

「責任は、………取ること、ヒ、ヒッイ!!」

 殺気が鬼気が殺る気が忠夫にぶつけられる。

 バチバチ音を立てる神通棍、息を吹き込まれる寸前の笛、馬鹿でかい霊波刀、最大火力の狐火。

 そういえばお父んが言っていたなあ女が怒ってる時はとりあえず謝れと、

ちなみにそのとき大樹は壁に埋もれていたが。

「なぜか分からないけどごめんなさい!!」

 直後忠夫は吹き飛び気絶した。

 諸君らに問おう忠夫は何か悪いことをしただろうか?


「つまり千夜ちゃんが来たのは御家再興の為と?しかもお母ん承認済みの」

肋骨五本の粉砕並びに頭蓋骨の陥没、三半規管および海馬の麻痺、右太ももから膝にかける筋肉の切断、体表面の皮膚の75%の炭化。

以降の症状からわずか二分足らずで復帰した忠夫は事の次第を初めて説明された。

「よく考えると俺はしばかれることは何もやってないじゃないすか?」

「そうですね、横島忠夫には一切責はないですね」

 千夜が即座に肯定すると事務所組みの四人は一斉にひるむ。

 忠夫の普段の行動を鑑みれば仕方ないのかもしれないが、知らない人間から見れば八つ当たりでしかない。

「あなたは何故このような場所で働いているのですか?」

 純粋に疑問に思ったのだろう、千夜の身もふたも無い質問に今の自分の状態を忠夫は思い浮かべた。

 安い時給、朝は強制フルマラソン、弱みを握られては狐うどんを奢らされる、こんなんセクハラでもやらにゃあ割に合わんと覗きをすれば最近は全員から袋叩き。

 本となんでこんな所にいるのだろうか?

 それはやっぱり、

「確かにひどい扱いな気がせんでもないが、居心地がいいからか?」

 真剣な表情で聞いていた令子は思う、あの事件があって忠夫がGSを辞めると思っていたが彼は決してGSを辞めようとはしなかった、その理由の一つに自分はなれたのだろうか?

「それにほれ、ここには綺麗どころが多いいし」

 とりあえずしばこう。

「そうですか」

 目の前で繰り広げられる阿鼻叫喚に千夜は一切触れなかった。

「とりあえずこの馬鹿は部屋に放り込んで今日は疲れたからもう寝ましょう、もう全部後に回しましょう」

 折檻が一息ついたのか令子はそういってぼろきれと化した忠生をほうり捨てた。

「そうですねもう夜も更けてきちゃいましたしお風呂に入って寝てしまいましょう」

「私が先に入っちゃていい?汗かいちゃから」

 忠夫の折檻で汗をかいたのか今日一日のことで汗をかいたのか令子が先に入っていいかと聞、それにおキヌはどうぞと答え、千夜はうなずくことで答えた。

 ちなみにシロは忠夫にヒーリングをしていてタマモはそれをつまらなそうに見ている。

「ありがと」

 令子がお風呂場に向かったそのとき。

「お背中お流しいましょーーーーーーー!!!」

 ヒーリングの結果かはたまた慣れたのか馬鹿が復活を果たしてお決まりのせりふをはくが、

「そうですかでは私のときにお願いします」

 千夜がそうのたまい忠夫の手をとった。

「え、いや、その、へ?」

 忠夫は混乱しいている。

「なななな、何をいってるんですか、そんなんお駄目に決まってます!!

「何故ですか?」

「横島さんが何をするか分からないからです!!」

「私はそれを望んでいるのですが?」

 一番おキヌ、アウト!

「駄目に決まってるでしょ!そんなの横島のほうが望んでなかったらどうすんのよ!?」

「逆に聞きます、こういう場合において横島忠夫が望まない可能性は?」

「そ、それは………」

二番タマモ、アウト!!

「ええい!女人足るのもつつしみを持つべきでござろう!!」

「御家の建て直しのためです」

「クウ〜ン」

 三番シロ、アウト!!!

 そもそもシロよ、お前がつつしみを口にしても効果はない。

 混乱の渦から復活したのか忠夫は真面目な様子で千夜の両肩に手を置いた。

「愛が無いと駄目なんだ」

 真剣な声でそうのたまった。

「私相手なら愛が無くて良いと言うのかーーーーーーーー!!!」

 直後令子のドロップキックが忠夫の延髄にめり込み吹っ飛んでいく。

 令子よそれは忠夫の愛が欲しいと言っているように聞こえるぞ。

「それ部屋に詰め込んでおいて」

 令子はそう言い放つと肩を怒らせお風呂場に向かっていった。


 時はしばらくたち今日の件でよほど疲れてしまったのだろう、すぐに全員が寝静まってしまった様だ。

キィ

部屋の扉が開く微かな音が響いた。

……ペタ、……ペタ、……ペタ、……ペタ、

フローリングの床を裸足で歩く音がする、その足跡の主にこれからすることに対しての表情は何も浮かんでいない。

興奮も、羞恥も、恥じらいも、何も無い、

まるで心を何処かに置いて来たかの様に、表情に仮面をかぶせかの様に。

そして歩をある扉の前で止めた。

猛獣注意 Tadao`s Room 扉のネームプレートにはそう書かれてあった。


 部屋の中、窓に近い場所にベットはあった。

ベットの上で眠る忠夫は気絶からそのまま眠りに移行したのだろう、安らかな表情で眠っていた。

 寝苦しかったのか忠夫は無意識のまま上に着ていたTシャツを脱いでいる。

 そんな忠夫を見つめる瞳には未だ何も浮かんでいなかった。

カラカラカラカラ、

人影は部屋の空気を入れ替えるためか部屋の窓を開けた、その時風にカーテンが揺れ月明かりが人影を照らした。

まだ肌寒い風もカーテンから漏れる月明かりも人影の感情を揺らすことはなかった。

 人影はゆっくりとベットの上に登るとそのまま寝ている忠夫の上に腰掛けた。

 人影は忠夫のむき出しになった上半身を見る、鍛えてあるのだろうか脂肪の一かけらも見当たらない。

 気まぐれを起こしてかゆっくり指を這わせる、鎖骨、胸、腹、臍、腰、

 腰まで指を這わせたところで指をのける、微かな違和感をわき腹の部分で感じたからだ。

 部屋が暗くて忠夫の体はよく見えない、その時夜風が吹きカーテンを揺らし月明かりが忠夫を照らし、忠夫のわき腹には何かが貫いた後が微かに残っていたるのが見えた。

 下を向いていたせいか顔にかかっていた髪をかきあげると袂に手をかけるとゆっくりと着物を下ろしていき腰帯の所で止めた。

 忠夫は目を覚ましたのだろうか、いや目を開いているが意識は完全には覚醒していないようだ。

 人影は忠夫のお腹に両手を置くとゆっくりと体を忠夫の方に倒していく途中で月明かりが人影の顔を照らした。

 その顔は………


 意識が完全に戻った、目の前に千夜の顔が迫ってきている。

「な!」

「動かないで」

 千夜の言葉に忠夫の動きが止められる。

 チュク、チュ、チャ

「う、……あ」

 首筋に千夜の小さな唇が添えられそこに暖かい何かが這い粘着質な音が響く、その感触に忠夫はうめき声をもらすことしかできなかった。

 そんな忠夫の反応にも興味を示さないのか千夜は気にせずに起き上がり忠夫のお腹に置いていた手を胸のほうへとずらす。

「千夜、やめ!」

「何故です?」

 忠夫の慌てた様子にも千夜は冷たく聞き返す

「くあ、…う」

 その間にも千夜は忠夫に触れる手を止めようとはしない、胸に、腰に、わき腹に、咽に、
むき出しになっている場所の全てを触れるように。

 千夜の指先が触れるたびに感覚が流されその感覚が忠夫の身を溶かす、忠夫の心を溶かす、忠夫の全てを溶かす。

「あなたは私を受け入れるだけでいい、あなたが望んで私を抱きなさい」

ドクン!俺は、

―もっとお前の心に残りたくなっちゃうじゃない―

ドクン!俺は、

―お前の思い出になりたいから―――部屋にいくわ………―

ドクン!俺は、

―ホレた男と結ばれて終わるのも悪くないわ―

ドクン!俺は、

―私は逃げたりしないから、ね?―

ドクン!俺は、

―私お前が好きよ。だから…お前の住む世界守りたいの―

ドクン!俺は、

―一緒にここで夕日を見たね、ヨコシマ……昼と夜と一瞬の隙間――――――短い間しか見れないから…………きれい…………―

俺は!!

 忠夫は千夜を自分の上から押しのけていた。

「俺にお前は抱けない」

 泣きそうな、哭きそうな、忠夫の声が響いた。

「…何故です?」

 忠夫の性格、人となり、どの点から考えても忠夫がここまできて躊躇う事は無いはずだ。

 確かにそれは本当の事だろう、彼女のことが無ければ。

「俺にお前は抱けない」

 忠夫は同じことをただ繰り返すだけで疑問に答えようとしない、いや答えれない。

 それは彼の罪、それは彼の傷、それは彼の悲しみ、そして彼の絶望、

「…私は、高島の家を続けねばなりません、…………それなのに、何故?」

 千夜の顔に今宵初めて表情が浮かんだ、その表情は困惑と悲しみだった。

「……何故?」

「済まん」

 千夜は疑問を重ね、忠夫は俯きただただ謝るだけ、それだけで時間は流れていった。

 そしてこの状況を打ち破る因子が参上した。

「先生!朝の散歩の時間でござる!!」

ドパーン!!!

 現在午前三時朝の散歩にしては少々早すぎる気がするが今はそれどころではない。

 想像してほしい、上半身裸の男とその上に乗る着物を腰帯まで肌蹴させた女、さてここから生み出される答えは?

 決まっている。

「せ、先生が千夜殿と同衾を!!!」

 見事に半径3キロに響きわたる大声でシロが答えてくれた。

 直後響き渡る足音、忠夫の明日は来ないのかもしれない。


 どうも氷砂糖です。

 すみません出した!!!後半あそこまで行く気は無かったのですが……
一つだけ宣言させてください、それ時はピンク表示にはいたしません!!
ええ無理ですから。

 今回忠夫をいじるシーン、書いてて指が止まりませんでした。

 真面目に後半やってたのに落とすなんて、とお思いの方も折られるかも知れませんが
GSは落として何ぼと………

 最後に私心ですが最近マクロス7ひはまってます、分かる人にだけわかるネタですが、ギギルーーーーーーーー!!!


 今回お読みいただいてありがとう御座いました、以降レス返しです。


 February様
そうですか萌えていただけましたか、今後千夜の性格は忠夫に触れて変わっていく予定です。
ルシオラのことは今回出てきましたが、やっぱり簡単には行かせません。
誤字報告ありがとう御座いました、今回タイトルまで……
次回もご期待ください。


 尾村イス様
修羅場ですよ〜〜〜w
千夜とラブラブですか、今回はちと違いますがもしかしたらあるかもしれません。
今後に期待してみてください。


 やっほう様
誤字指摘ありがとう御座います、
できれば内容に関してのレスも一つ………


 ASH様
すみません今回少し遅くなりました、誤字は何度見直してもなくならくて、
しかもたまに増えたり……
楽しみにしていただけると幸いです次回も楽しみにしていてください。


 アミーゴ様
句点に関しては後で読み直して自分も思いました、今回は変えてみたつもりです、どうでしょうか?
タマモは落ち着いての発言ですよ(待て
つつしみですか、本当は持ってるんですがこの件に関してだけは……
あまつさえ今回は………
はい愛のムチあえて受けさせてもらいます、今後もよろしくお願いします。
次回お楽しみに。


 趙孤某様
GMはまだまだこんなものではありません!!
いい感じの恋愛どころか前途多難な雰囲気が………
次回も楽しみにお待ちください。
ヴァンパイア楽しみに待ってます。

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