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「託された思い 中編(GS)」

カジキマグロ (2007-05-24 16:27/2007-05-24 21:40)
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「そうだなって……。なんとかならんのか?」

「…………一つだけ方法がある。」

 横島が重々しく口を開く。

「坊主、お前が俺の依り代になってくれないか?」


          託された思い 中編


 なんていった、このおっちゃんは?俺が依り代それは………

「俺に取りつくんか?」

 少し緊張気味に横島少年が聞く。

「いや、お前がおそらく想像しているのとは少し違う。ようはお前の霊気を俺に少し分けてもらいたいんだ。見た限りお前はどうやら霊能力者としての能力があるらしいから一般人より遥かに高い霊力を保有している。それだけあれば俺も一ヶ月ぐらいで十分霊力を回復出来て、もといた場所に戻ることが出来るだろう。」

 横島少年がその話を聞き、ホッとしたのか胸を撫で下ろした。

「そうか……びっくりしたわ〜〜。ならいいぞ。」

「おい、やけにあっさりしてるな。本当にいいのか?」

「ああ、ええよ。おっちゃんなら俺に変なことせんやろうし。」

 その台詞に横島は少し驚いたが、すぐに表情を崩した。そういえばこいつは俺だな……何だかんだ言っても困っている奴は見捨てることが出来ない。

「分った。じゃあ、逝くぜ!!」

「あれ!!字が違うよね!!!?」

「何のことかな!?ア○ロ逝きま〜〜〜〜〜す!!!」

「聞けーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 その刹那に輝く閃光があたり一面に広がる。そのあまりの眩しさに、横島少年は思わず目を瞑ってしまう。すると体の中からジワジワと熱いものがこみ上げて来て、全身を熱で満たしていく、必死でその熱を押さえ込もうと努力はしてみるもののまったく効果が無く逆に少しずつ熱の温度が上がっていくような感覚がする。

(やばい!!!)

 本能かそれとも彼が持つ、第六感かは判断できないが、さっきから危険信号をずっと鳴らしている。でかいのが来る!それは巨大な津波の如く、自分の体を蹂躙していくだろう。とてもではないが耐えられない。なんとか津波が来るのを防ぎたいが、いかんせん自分には、なす術が無い。死。その言葉が脳をよぎろうとしたその瞬間。

「はい、終了。」

     ズコッ

 横島少年が豪快に顔面から地面にこける。そしてしばらくピクピクと痙攣していると、いきなりガバッと飛び起き、横島に食って掛かった。

「おんどりゃーーー!!!人が珍しくシリアスに決めてたのに、ありきたりな落ちをつけるなやーーーーー!!!!!」

「いや〜〜〜。すまん、すまん。」

 横島は乾いた笑みを浮かべ、横島少年をなだめる。その内心はドキドキしており、背中には冷や汗がだらだらと流れていた。

(なんなんや!?この坊主の存在能力のでかさは!?本当にお前俺か!!?……確認してみるか……)

「まあ、いいじゃねーか。無事に終わったんだからよ〜。ところで坊主名前は?」

「良くないわ!!まったく、俺の名前は横島忠夫や。」

(やはりか……まあ、ここまで引っ張って違う名前出されたら、いろんな意味でアウトだしな………しかし、何でこんなにも存在能力が高いんだコイツ?六道並み……いや下手したらそれ以上だ。いや、俺も煩悩全開すればそんぐらい有ったような気がするが………こいつはなんか違う気がする………。)

 横島がまた思考の海にダイブしていると、横島少年が時計を見て突然焦りだした。

「あっ!!やばい、もうすぐ門限だ。早く帰らんとおふくろに叱られる!!!」

 そして横島少年は回れ右をして全力で走り始めた。その顔は心なしか青い。

「あ……おい、待て。」

「ヤバイ、ヤバイで!!後10分で門限や〜〜〜!ここから家までどんなに走っても15分はかかる。もし少しでも遅れたら…………」

 横島が声をかけるも、横島少年は焦りに焦りまくってそれどころではない。今彼の頭の中ではこれから起こりうる未来の仮説が、ものすごい勢いで組み立てられていた。

(た………ただいまかえりました〜〜。)

(あら、お帰り忠夫。そこに歯を食いしばって立ってなさい。)

(あ………いや、マムこれには深い、海を突き抜けて地球の反対側にまで出そうなぐらい深い理由がありまして…………)

(問!答!無!用!!このバカ息子は何回目の門限破りか!!!!!)

(134回であります!!マム!!!)

(正直に答えてんじゃねーーーーーー!!!!!)


          北○百○拳!!!!!!


 以上今日これから起こりうる未来についての仮説、それもほぼ100%との……ヤバイ、非常にヤバイ。俺の体中のありとあらゆる秘孔が衝かれ、豪快に「ひでぶ!!」と言ってしまいそうだ。ガクガクブルブル

「なんだ?10分以内に家につけばいいのか?」

 後ろから暢気な男の声が聞こえる。

「なんだとは、なんだ!!?こっちは死活問題なのに……!」

「あ〜〜〜、分ったから落ち着け。いいか?今のお前なら5分は無理でも7分ぐらいで着くはずだ。」

「本当か!!」

「ああ、今のお前は少し存在能力が開放されて、体全体を覆う霊力が上がっているからな。」

「なんと!そんな美味しい得点つき!?ビバ!存在能力!!ありがとう幽霊!!「伊達だ。」へ?」

「俺は伊達って言うんだよ。」

「へ〜〜〜分った。んじゃ、よろしく伊達のおっちゃん。」

 そういうと横島少年はさらに走る速度を上げていく、無意識なのだろうか?荒いがある程度は霊力をコントロールできている。これならば門限までには家にたどり着くだろう……。
ユッキーすまん。ほかにパッと思いつかんかったから君の名前を勝手に使ってしまった。許せ!

「俺は風になるんやーーー!!!」

 さて、ちょっと力を手に入れたら、もう調子にのり始めた……やっぱりあれは俺の少年時代だな。と確信を持ちながら、ゆっくりと横島は少年の背を追いかけ始めた。


「た………ただいまかえりました〜〜。」

「あら、お帰り………ってどうしてそんなにぼろぼろなの?」

「いえ、別に。なんでもありませんよ。」

 家に門限までにたどり着いた横島少年は、体中に傷があり、服もところどころ破けていた。ついでに少し生ごみ臭い。

「あんた……ごみに突っ込むような趣味あったけ?」

「無いわ!!色々あるんや。年頃の男子には……」

「何を偉そうなことほざいとるんかこのバカ息子は、ほら臭うからさっさと風呂に入っておいで。」

「へーい。」

 そう返事をすると横島少年は、風呂場のほうへ歩いていった。しばらくして息子の姿が完全に見えなくなると、それまでじっと立っているだけだった百合子が首を傾げた。

「おかしいわね〜〜。クロサキ君の連絡では、門限までに間に合いそうにないって言ってたのに、忠夫いつからそんなに足が速くなったのかしら?」

 何気に一人息子を元部下まで使って監視している最強の母親でした。


 風呂から出た横島少年は自室に戻って布団の上にねっころがりくつろいでいた。

「あ〜〜、ひどい目にあった。」

「まあ、しょうがねえよ。初めてなんだから。」

「うわっ!!びっくりした。突然出てくるなよ。」

 いきなり自分の枕元に、胡坐をかいて座っている姿で現れた幽霊に横島少年は驚いて飛び起きてしまった。

「すまん、すまん。出てくるタイミングが、いまいち掴めなかったもんで。」

 頬をかきながらすまなそうに謝る横島。

「まあ、ええわ。ところで今まで何処行ってたんや?全然姿が見えなかったけど……」

「ああ、お前の中だ。」

「俺の中?」

「そっ、お前は俺の依り代になったから俺はお前の中に入って休憩、もとい霊力の回復に専念していたんだよ。こうやって外に出るだけでも少しずつ霊力を使うからな。」

「ふ〜〜〜ん。あれ?なら何で出てきたんや?」

「まっ、俺の現状の説明と、後は………」

 そこでいったん言葉を句切り真剣な表情で横島少年を見つめる。

「ちょっとした恩返しでもしようかな……っと思ってな。」

「恩返しって、美人なねーちゃんでも紹介してくれるんか?」

「お前には10年早い!そうじゃなくてな。俺が直々に霊力の使い方を教えてやろうという訳よ。」

 その言葉を聴くと横島少年は露骨に嫌な顔をした。体中からは遠慮しときます。的なオーラがプンプン出ている。いや、お前男子たるものこういった特別な力とか憧れない?ある漫画にも書いていたよ。男に生まれたからには一度は地上最強を夢見るって。

(そういえば……こいつは俺か…。あまりそういうのに憧れてなかったからな〜。我ながら淡白というか、面白くないというか……)

 横島が小さくため息を吐く。しかし、今回ばかりは諦める訳にはいかなかった。この少年の存在能力は高すぎる。ほって置いたらいずれ大変なことになるだろう。今日だって最終的には調子に乗りすぎて、力の制御を間違えカーブを曲がり切れずに壁に突っ込んだのだ。そのときは運よくごみ置き場だったから、それらがクッションとなり衝撃を弱め、たいした怪我をせず助かったのだが、次もそうなるとは限らない。もっとも、こいつも横島忠夫だからそのまま壁に激突してもすぐに復活するだろうが……。それはあくまでもギャグ的要素を含んでいるときのみに発生する超回復だ。シリアスでは発揮されない。

(あの超回復が万能ならばいいのにな〜〜。)

 そんな設定にしたらお前が最強になるので却下。さて、という訳で横島はなんとかして少年に霊能力の扱い方の基礎ぐらいは教えておきたい。そしたら後は自力で何とかしていくだろうし、彼の両親もまた、彼を全力で守護してくれるだろう。そうすればよっぽどの事が無い限り(六道とか)大丈夫であろう。

(すまんな。嫌なのは分るがお前の将来のためだ。悪く思わないでくれ。)

 そう心に決めると、横島は脳内で目の前の少年を打倒する方法を考え始めた。

(幼いことは、幼いがこの少年は横島忠夫だ。そして煩悩大魔神と言わしめたこの俺の予兆がこの少年にも確かに存在する。よって脳内シミュレーションの結果!!この少年を落とすもっとも確実かつ効果的な方法は………エロだ!!!)

 突っ込みどころ満載な思考を終えた横島が少年の顔を見つめた。その表情は絶対なる自信をかもし出しており、ちょっと不気味だ。少年がその表情を見て引いたのはしょうがないことである。

「なあ、忠夫?もう一度言うが俺に師事を受けんか?」

「い……嫌や。俺は痛いのとか嫌やもん。」

「そうか………。」

 そこで横島が言葉を句切り、肩をすくめる。何処までもその仕草がワザとらしいのは言うまでもない。

「いや〜〜〜、残念だ。お前は結構才能あると思ったんだが、じゃあ仕方がない。」

「別に才能なんて……どうでもええし……」

「そうか、俺は残念でしょうがないぞ。お前なら千里眼とか極めれば出来そうだったのに……。」

「千里眼?」

 食いついてきた!!横島は表情には出さず心の中でニヤリと笑った。

「そう、千里眼だ。聞いたことぐらいあるだろ?ものすごく目がよくなって、遠〜〜〜くまで見える奴だ。まあ、それだけでは無いんだが。」

「へ〜〜。」

「いや〜〜〜〜。本当に遠〜〜〜〜くまで見えるんだこれが、具体的に言うと露天風呂とか?女湯とか?更衣室の中とか?」

「!!!!!!?」

 それまで適当に聞いていた。横島少年の目にギラリと光が宿る。ふっお前はもう俺の罠から逃げられない。横島が心の中で勝利を確信した。

「それも、一般人に対してはまずばれることは無い。分るか同士?合法的に覗きが出来るんだよ。千里眼があれば……」


「おお!!!!」

 横島少年が声を上げる。きっと彼に尻尾があればぶんぶん横に振っているだろう。それはそうだ男のロマン(父親談)である覗きを合法的に(覗きの時点で違法。)出来るというのだ。すばらしきかな千里眼!!

「さあ!どうする横島忠夫!!俺の弟子になるか!?そしてすばらしい男のロマンの世界にルパンダイブしてくるか!!?」

「今日からあなたのことを先生と呼ばせてください!!」

 二人がガシッと握手をする。今ここに二人の間には歳を越えた厚い友情が芽生えた。二人の目標はただ一つ合法的に覗きをすること!!


 だから違法だって………


「よし!詳しい事は明日説明する。今日は俺も疲れた。」

「おっス!!」

 こうして二人の一日は終わった。明日からは修行が始まる。


「アッテンショーーーーーーーーーン!!!!!!これより第一回霊能力修行!めざせ千里眼、覗け合法的に女湯を始める!!」

「うおおおおおおお!!!!」

 町外れの森の中で馬鹿な男二人の声が響く、もう二人のテンションはさっきから、うなぎ上りで留まることを知らない。天を貫いて、宇宙の彼方までも行きそうな勢いである。

「まず、お前に言っておく千里眼とはかなり高度な霊気の操作が必要なものであり今のお前では絶対にできない。」

「ええええええ〜〜〜!!!」

 横島の発言に横島少年が露骨に不満な声を上げる。それはそうだ昨日からずっと楽しみにしていた千里眼がいきなりの無理宣言。これで不満に思うなというほうが無理がある。

「聞けい!!今は!と言ったのだ!お前には才能がある。努力を怠らず俺が今から教える基礎を毎日こつこつやれば数年後にはバッチリ千里眼を会得できる!!わかったな!!」

「了解ッス!」

 その横島の言葉に不満げな顔がパッと明るくなり、横島少年がビシッと敬礼をする。

「よろしい!ではまずはレッスン1だ!霊気の存在を体で感じ、頭で覚えろ!」

 その言葉に横島少年は腕を組み、首を傾げる。

「う〜〜〜ん、でも俺、霊気なんか今まで感じたことないし、よく分らん。」

「いや、お前は一度霊気を体で感じているはずだ。お前が俺の依り代になったときのことを覚えているか?」

横島少年が頷く。

「あのときお前は体中が熱いと感じたはずだ。あれが霊気だ。」

「おお!なるほど。」

「あのときは不可抗力的に感じたようなもんだが、今度はそれを自分の意思で感じて見せろという訳だ。」

「よし分った!………ところでティーチャー?なんで鉄バットなんて持っているのですか?」

 横島の手にはいつの間にか金属バットがしっかりと握られていた。ついでにロゴには「撲殺☆」と書かれている。

「ああ、どうせお前、霊気の感じ方なんて分かんないだろ?俺も説明とかあんまり上手くないし手っ取り早くいこうかなと………。」

「ドウイッタホウホウデスカ?」

「日本にはすばらしい言葉が有る。習うより慣れろ。獅子はわが子を谷に突き落とす。自分にやさしく人に厳しく。」

「ちょっと待てーーーーーー!!!最後のはあんたがダメ人間なだけだろ!?」

「問答無用!!この俺の猛攻を見事防いでみろ!そうすればそのうち本能というか自己防衛というか分からんが、無意識の内にもっとも効率のいい気の使い方を体が覚える!!」

「分からんがってなんだ!?意識しなければだめじゃないんか!!?」

「いちいち意識しながら霊気をコントロールしていたら実戦じゃあクソも役に立たんわ!!」

「言ってる事がメチャクチャだーー!!!」

 それから五時間後ろから、「迫る〜〜ショ○カ〜〜」とか歌いながら楽しそうに金属バットを振り回す幽霊に追いかけられました。あんた弱ってんじゃないのか?なんで無造作な一振りが地面をえぐったり、木々をなぎ倒す?てかその金属バット何よ?なんで壊れないの?えっ………特別仕様だから?そうですか。

 今日少年は一つ学んだ事がありました。師は選ぼう。自分の上に立つ人はいくらおいしい話を持ってくる人でも美人でも、理不尽な性格ではダメだと………。

「あら、忠夫あんたまたボロボロじゃない?車にでも引かれた?ドロだらけで汚いから早く風呂に入ってきなさい。」

 マム、こんな息子の姿を見て、車にでも引かれたと思って軽くスルーですか?僕は今日また一つ大人になりました。

 それから数日間毎日のようにこの修行(イジメ?)は続けられた。どうやら俺は無意識ながらもかなり効率のよい霊気の回し方を体が覚えたらしく、こと逃げることに関してはGS見習いクラスになったらしい。なんだ?その微妙な位置づけはといったら。見習いとはいえそれなりに鍛えてきた大人と10歳のガキが一緒なんだぜ?と苦笑された。むーそう言われればすごいのかもしれない……後目標とする千里眼への道のりなんだが、少しだけ進展があった。なんとか霊気の存在を感じることが出来たのだ。まだ意識して自分の体に回すことは出来ないけど(危険な状態で無意識なら可能)これで目標までの希望の光が強くなった気がする。ニヤリ。

 だけどおっちゃんは別に修行だけを俺に教えてくれるわけでは無い。色々な遊びも教えてくれた。たとえばクレーンゲームの取り方。ミニ四駆の組み立て方(おっちゃんの言うと通り、組み立てたら以上に速くなった。)後は自然での遊び方だろう。特にこの分野の遊び方は詳しく、俺と銀ちゃんと夏子で作ったお粗末な秘密基地が1時間ぐらいでより本格的な秘密基地にリホォームされた。このときにおっちゃんを二人に紹介した、二人とも始めは幽霊ということで驚いていたもののすぐに慣れ、今ではすっかりなついておりミニ四駆の作り方など色々聞いている。俺はすごく充実した日々を過ごしていると思う。たしかにあの修行は厳しく、理不尽のように見えるが実際は絶妙な力加減で行われており、また不味い点があったら的確に注意してくれる。本人は教えるのが下手だといっていたがとてもそうは思えない。このことを銀ちゃんと夏子に話すと自分達も稽古を付けてくれと言い出し。今では三人ですることもある。しかし気のせいか?二人……特に夏子には以上に優しい。女か?女だからか?おっちゃんはロリコンか?っと言ったらその日の特訓が3倍になり、おっちゃんが心なしか赤かった………うむ、忘れようあの時は本気で俺を殺す気だったんだろう。後ろのほうから聞こえてくる。「俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない。」という声がちょっとしたトラウマになったのは仕方がないことだ。

 まあ、そんなこんなでとても楽しい日々を今俺は過ごしている。後数週間で終わるとは分かっていたけれどそれでもいい、後数週間もあるんだ。俺はそのときそう思っていた。でも、別れとは突然で、どういった形で訪れるのかは分からない。少なくともそのときの俺は想像できなかった。


 二人の男が森の中を歩いている。二人とも身長が175cmぐらいあり体格もがっしりして一目見て鍛えられていることが分かる。

「なあ、今日の依頼って森の奥にある洋館の除霊だろ?いったいどんな所なんだ?」

突然オールバックの男が隣を歩いている。ロン毛の男に尋ねた。

「ああなんでも、明治後期に建てられた洋館らしいんだが……どうやらそこで昔殺人事件が起きたらしんだ。犯人は前の持ち主、そして殺されたのがその妻らしい。」

 ロン毛の男がそう答えると、オールバックの男は肩をすくめた。

「はあ、ありきたりだな?浮気か?」

「ご名答。しかも浮気をしたのは夫の方……ようはあれだ、女も畳みも新しいほうがいい。新しい女と一緒になるのに邪魔だから殺したんだよ。」

「最低だな……そりゃあ。化けて出てくるぜ。」

「ああ、何でも発見されたのが最近らしいが今のところ主だった被害も無い。だから今の内に成仏させようかって話だ。」

「そうか、だったら。さっさと終わらせて帰ろうぜ。」

「応。」

 二人の男が森の中を歩いていく、彼らは同じC級のGSで見習い時代からよくチームを組んで行動していた。お互いの戦闘パターン、得意な獲物は知り尽くしている。彼らの心の中に不安は無い。今までだってこうやって仕事を完遂してきた。きっと今日も大丈夫だ。彼らの心に不安は無い。されど慢心はある。自分達なら大丈夫という。


 同時刻 

「おっす!銀ちゃん、夏子。」

「「おっス!よこっち。」」

「あれ、伊達さんは?」

 夏子が首を傾げ訊ねる。この中で一番彼になついているのは彼女だ。

「ああ、おっちゃんは遅れてくるで。なんでも、そろそろ家の両親と話がしたいんだって。」

「ええ!!伊達さん、まだ、よこっちのお母さん達に自分の事、話てなかったんや。」

 夏子が目を見開き驚く。

「うん、なんでも俺の世話が忙しいとか言ってな。」

「ふ〜〜〜〜〜ん。」

 ちょっと不満そうな声をする夏子、どうやら彼がいないことにご立腹らしい。

「そういえば、銀ちゃん。今日どっか案内したい場所が有るって聞いたけど、何処なんや?」

 なんとなく夏子の仕草に、というか彼女にそんな仕草をさせた元凶の幽霊にイラッとした横島少年が話題を変えようと銀一に尋ねる。すると銀一は待ってましたといわんばかりにニヤリと笑い。

「ふっふっふっふ。実はな、この前森の奥でな。変な洋館を見つけたんや。どや?二人とも今日はそこを探検せえへんか?」

 少年と幽霊の物語が最後の時を刻む。


 あとがき
 まずはここまで読んでくださった方々に感謝。後感想ありがとうございました。本当は一気に書き上げようと思ったのですが、少し量が多いかなと思い。急遽中編を作りました。さて、次回で少年と幽霊の物語が終わりますが
少年の成長と幽霊が得るものを上手く書けるように頑張りたいです。では、次回もどうか読んでいただけたら幸いです。


 レス返し

 >単三様
 感想ありがとうございます。稚拙な文章ですけど読んでいただけて嬉しかったです。

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