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▽レス始

「てんしと!そのに(GS+オリジナル)」

がぶの実 (2007-05-23 09:10)
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どうやらこの【天使】の名前は、何故か【てんし】に決まったらしい。
おいおいそんな簡単で安易な名前でいいのか?と思ったが、いまだ無邪気に走り回る「てんし」を見て、俺は
(本人は喜んでるみたいだし、ま、いいか。)
と納得した。

しかし、俺ってなんだかガキに縁が有る気がするなあ〜。
「なまえはてんし〜♪」
と歌いながら駆け回るてんしを見ながらふと、そんなことを思う。

(そういや天竜のときは、イームとヤームに捕まってあげくにメドーサに事務所ごと爆破されそうになるし、美神さんがバイパーに子供にされたときは、観覧車が倒れてきてあと少しで死にかけるし、過去から来たれーこちゃんのときはハーピーごと車に轢かれそうになったうえ(いつものことだが)囮にされるし、化け猫のケイのときなんか成り行きとはいえよりにもよって、美神さんと戦うはめになったうえ、東京に戻ってから拷問されるし、パピリオにペットにされて連れ去られたときは檻に入れられて、下働きさせられて、そのまま隊長に逆天号ごと沈められそうに・・・)


あれ、俺いつの間にか泣いてるよ?


        てんしと!
   いちにちめ そのに てんしとただおとしょくぱん


横島が過去を思い出し、涙を拭いていると、先ほどまで部屋中を走り回っていたてんしが突然、部屋の真ん中でバタッと仰向けに倒れこむ。

「ハァ、おい…今度はどうしたんだよ?」
横島がため息をつきつつそう聞くと、てんしは「う〜」と唸り
「ただお〜…、てんしのここがへんだ」
と自分の体の中心・・・お腹を指差す。
「腹がどうかしたのか?」
そう聞きながら、横島はてんしに近づき様子を見る。
「ここ、{はら}っていうのか?」
てんしがそう聞き返す。
「おう、お腹(おなか)ともいうな」
横島が教えてやるとまた「う〜」と唸って、
「てんしよりなまえがおおい〜」
と顔をしかめる。
「自分の腹に文句言うなよ…そんで腹がどうしたんだ?」
横島が呆れたようにそう言うのとほぼ同時に「キュ〜キュルルル」とてんしのお腹がなる。
「なんだ。腹が減ったんか?」
横島がちょっとほっとした感じで聞く。
「はらがへったってなんだ〜?もうてんしはだめなのか〜?」
と珍しく弱弱しい声で横島に尋ねる。頭の上のわっかも少し点滅してるように見える。
(カラー○イマーかよ…)と心の中でそっとツッコミながら、
「別にダメじゃねーよ。あー、腹が減ったんなら腹に物を入れて膨らませばいいんだよ」
横島はてんしに分かるように伝えようとする。
「どーするんだ?」
てんしが聞き返すと、
(そ〜いや俺も腹減ったな)と考え、
「ちょっと待ってろよ」
とてんしに言ってから意外にもきれいな台所(自分ではあまり使わないうえ、おキヌがご飯を作りに来た際に、ついでとばかりに掃除していくため)の下の棚をごそごそあさりだす。
(そーいや昨日飯買うの忘れてたな。いや、まてよ?たしかこの辺に…)
そんなことを考えながら棚に頭を突っ込み探し続ける。
「お、あった、あった」
そう言いながら横島が取り出した三つの袋。
(ふっふっふ。三日ほど前に近くのスーパーで特売してた、一袋(六枚入り)100円、三袋で250円のこの食パン。買っといてよかったぜ。)
以前に比べれば、まさにケタ違いの給料をもらっている現在の横島ではあるが、何故か食生活だけはそれほど向上したように見えない。(まあ以前のように、食うに困るというほど困窮はしないが)その理由の大部分は部屋のふすまを開ければ何故かすぐに分かってしまう。

とにかく、食パンの袋三つを、部屋のちゃぶ台に置く。ついでに自分もちゃぶ台の前に座ると、一袋を破り、食パンを一枚取り出して、
「ほらよ」といまだに仰向けで倒れこんでるてんしに渡す。
それを受け取るとやっと起き上がるてんし。
そしててんしは受け取った食パンを床の上に置き、しゃがみこんでジーッと穴が開くほど見つめている。ちなみにてんしは横島に背を向けているため、しゃがみこむと、もこもこした白い下着が丸見えになっている。しばらく見つめ続けた後に横島のほうに振り向き、
「ただお〜、なんだこれ〜?」とやはり聞いてきた。
「これは食パンて言うんだ」と答える横島。
「しょくぱんをどーするんだ?」とまた聞いてくるてんしに
「この{食パン}を{食って}{減ってるお腹}を膨らますんだよ」
と教える横島。頭に?のマークを浮かべながら首をかしげるてんし。
「いいか。よく見てろよ」といって袋から一枚食パンを取り出す。
そして両手で食パンを持ち、そのまま大きく開けた口に運ぶ。パンが口に入るとそのまま口を閉じ、さらに歯で食いちぎる。横島のその一連の動きを、てんしは瞬きもせずにジーッと見つめている。その後、横島は大げさに口を動かしてパンを噛み、これまた大げさにゴクンと飲み込み、
「こうやって食うんだ」
とてんしにいう。すると目をまん丸にしたてんしが「お〜」と言いながら手をたたく。その様子に横島は苦笑しながら
「ほれやってみろ」
とてんしを促す。何度かコクコク頷いたあと床に置いていた食パンを拾い上げ、先ほどの横島と同じように口を開く。口の中にパンを含むとにっこり笑い「ん〜♪」と声を出しながらパンを噛みだす。そしてごくりと音を出して飲み込むと、これでいいのかといわんばかりに横島のほうを向く。
横島が苦笑しながら頷いてやると、てんしはにっこり笑って残った部分にかぶりつく。

そんなてんしから視線をはずし、あっという間に一枚目を食べてしまった横島は、二枚目を取り出しながら考え込む。(しかし、なんか状況に流されて一緒に飯食ってるけど、これからどうしたもんかね〜?)
いつもなら迷うことなく美神やおキヌ等に相談するところだが、残念ながら現在、いつものメンバーはそれぞれ里帰りや家族サービス?などで近くにはいないのだ。


横島はちらりとてんしの方に視線を向ける。てんしは相変わらず「ん〜♪」と声を出しニコニコしながら食パンをほうばっている。その姿を見ながら横島は考える。
(そもそもコイツはほんとに【天使】なんか?)
やはり最初にその疑問が浮かんでしまう。なんだかんだいってもかなり特殊な体験をしている横島。幽霊に妖怪や神族さらには魔族にも知り合いがいる横島だが、残念ながら【天使】には今日初めて会ったたため明確に判断はできない。さらに何故だか【てんし】自身からはあまり【霊力】を感じないのだ。

…だが
(なんか変なんだよな〜)
彼は【てんし】から別のチカラというべき何か?を感じているのだ。【霊気】とも【魔力】とも【竜気】とも違う何か。それが【天使】が放つものなのか、それとも【てんし】だけのものなのか?今の彼にはわからない。

さらにもうひとつ横島にとって大きな疑問がある。それは…

(俺はコイツ…【てんし】を知っていた…のか?)そんな感覚が横島を襲う。
横島とてんしは初対面のはず。少なくとも横島はあったことはない。だが、なにか知っている気がする。そう…自分は…何かを…

(イヤイヤイヤ!それはないだろ!)うつむいて頭を振りながら自分の考えを否定する。(と、とにかく!コイツを今後どうするかを考えんと…)考えを切り替えて相談すべき頼れる人を考えていく。

アイツは嫌だコイツもダメだと試行錯誤した末に(俺のまわりで頼りになりそうなのは…やっぱ神父かな?)そう結論づける。横島の頭に幸せも額も薄そうな穏やかな笑顔の中年を思い浮かべる。彼ならば…知識、経験ともに豊富な唐巣神父ならば【記憶を失ってしまった、天使の格好をした少女】をどうすればいいか打開策を授けてくれるかもしれない。横島の中で神父の評価がかなり上がっていく。


(いや、まてよ?それよりも)横島はうつむきながらさらに考える。
(てんしが本当に【天使】なら神族とかに相談したほうがいいよな?そうなると妙神山にいくべきだよな〜)そこまで考えてあっという間に横島の脳裏から唐巣神父は消滅し、妙神山の面々が思いだされる、ていうかパピリオと小竜姫のみ。


(よし、やはりここは小竜姫様に愛に会いに行くか!ふははは!小竜姫様!!この横島忠夫があなたの元に、天使をお共にすぐ行きますからね〜!)すでに当初の目的を忘れ去った横島はそう結論を出し、顔を上げるやいなや
「てんし!今から遊びに行くぞ!パン食ったらすぐ行こう、はよ行こう、さっさと行こう!!」
と早口にそう言いながらてんしの方に顔をむけると・・・


パンをのどに詰まらせ顔を真っ赤にして倒れてるてんしがいました。


「い、逝くなぁぁぁぁぁぁ!!!!」


なんか頭のわっかがものすごい勢いで点滅してました。


続く


あとがき


皆様こんにちわ。がぶの実でございます。
第二話なんですけど、横島の部屋からなかなか出れません(汗)
予定ではいちにちめがあと一話で終わるはずだったんです。これはどうやら、もうちょっとかかりそうです。(涙)


感想をくださった方ありがとうございます。
できるだけがんばりますのでこれからもよろしくお願いします。


レス返しです。


趙孤某様
>【てんし】・・・なんか無邪気でいいなぁ
ありがとうございます。意外にも【てんし】が好評で私としてはうれしい限りです。
>でも、事務所のメンバーとの対面とかはどうすんでしょ
え〜と実はですね、事務所メンバー出す予定はないんですよ。すいません。ただ、プロローグに出なかった【狼】と【狐】はエピローグに少し出す予定です。

スケベビッチ・オンナスキー様
>大人になったら筋肉ムキムキ、てかてかマッチョの美青年、とかだったら嫌です

私も嫌です(笑)てんしは一応女の子ですよ。


アミーゴ様
>DBの悟空を連想してしまった俺がいる

そういや彼もわっかありましたよね〜。羽は…


DOM様

>ジャムのある雪国の寝ぼすけ幼馴染の口癖かと…
実は指摘されてはじめて気づきました。狙ったわけでは無いです。
・・・ホントですよ。(笑)


東雲様

>周りの人たちの反応も楽しみです。
今のところGSの人たちほとんど出てないんですよね(汗)
もちろん数人は出す予定ではありますが。


話がなかなか進みませんが、次回も精一杯がんばりますのでよろしくお願いします。

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