じーっとこちらを見下ろしている視線を正面から受け止めながら横島は考える。
(ん~何じゃこら?まだ夢見てんのか)
とにかく横島は目の前のモノにまず質問をすることにした。
「オマエはだ「なんだおまえ?」…」
訂正、質問をされてしまった。
てんしと!
いちにちめ その1 てんしとただおとなまえ
俺は目の前の幼女の質問をスルーしてゆっくりと起きあがり、布団の上に胡坐(あぐら)を書く。
幼女はその間も俺をジーッと見ている。俺も目の前の幼女を観察する。
(恐らく4、5歳ぐらいかな。背丈は座っている俺と同じくらい。さっきから俺を見ている瞳はきれいな緑色、いやエメラルドグリーンかな?髪は見事な金色で、欧米か!ってつっこみたくなるような色白な肌だ。服は純白の高級そうなシーツを頭からすっぽりとかぶせた感じっていうんか?)
まあここまでは良いとしよう。問題は・・・
背中に白い羽が生えており、且つ頭の上に黄色いわっかが浮いているということだ。
・・・見なかったことにしようかな?
どう見ても天使だよなぁ、コイツ。
はぁ~とため息をついて俺は【天使】に話しかける。
「えーっと、なんというか・・・聞いてもいいか?」
【天使】は視線を俺から離さずにコクコクとうなずく。
(やっぱここは直球ど真ん中ストレートに聞いたほうがいいな。うん)
以下 投手(質問者)俺 打者(回答者)【天使】
「お前は誰だ?」
「しらね~?」バシッ ストラ~イク!
「家はどこだ?」
「わかんね~?」バシッ ツーストラ~イク!!
「お父さんとお母さんは?」
「なんだそれ~?」バシッ ストライックバッターアウト!!!
さ、三球三振かよ。からかってんのか?
それとも、ど真ん中に投げたつもりだったが少し速かったか?
よし今度は、少し変化気味?に攻めてやる。
「ここにはどうやって入ったのかな~?」
フフ、先ほどと違い、とてもやさしい声&落ち着かせる笑顔という二つの変化が加えられる。さあ、これで君にも打てる(答えれる)はずだ!!
【天使】は少しだけ「うー」と首をひねるが、すぐに俺の後ろを指差す。
よし真芯で捉えたな!
わははは、俺にかかればガキの口を割らせるなんて朝飯前じゃーいと思いながら指差すほうを振り向くと、
そこには
飛び散ったガラスの破片と青空が見えました。
「なんじゃこら~~~~」
俺はともかく立ち上がり急いでストックしてあった文珠に<修><復>と込めて部屋の壁と窓を直す。
(しかし、朝からこんなことで文珠を二個も使うことになるとは(泣))
ていうか、何で気づかないんだよ俺。
【天使】は俺が文珠で壁を直すと「お~」と声を上げ手をたたいていた。
(こ、このガキは・・・(怒))
「いいか。壁を壊して人の部屋に入るんじゃ・・・」
ねー!!と続けようとしたときだった。
いきなり【天使】は楽しそうににっこりと微笑んだ。
それはまさに純粋な笑顔といえばわかるだろうか。
幼い子供が何の打算も下心も無く、本当に心から大好きなものに向ける笑顔。それをもっともっと綺麗に純粋に真っ白にした笑顔・・・というのだろうか?
それはともかく、その【天使の笑顔】をむけられた俺は一瞬見とれてしまった。
(ハッ!い、いや違うぞ!!見とれてなんかいないんや~!!俺は、俺はロリコンやないんや~!!)
(うおお!!とにかく正気に戻れ!!俺!)
壁に頭をぶつけようとする俺のすぐ近くにいつの間にか【天使】が近づいていた。笑顔のままで。
(だ、駄目だ!純粋すぎるこの笑顔は、すでに薄汚れた俺にはとても直視できん!)
ああ、もう駄目だ・・・浄化?されてしまう!と思っていたそのとき【天使】は笑顔をやめて、
「おまえはなんだ~?」と上目づかいに質問をしてきた。・・・俺の太ももをチョップしながら。どうやら俺になついてしまったらしい。
浄化されなかったことに安心しながら俺は答えを返す。
「い、いやなんだといわれてもなあ。とりあえず俺は横島忠夫っていうけどな」
苦笑しながらそう答えると【天使】は
「よ・こ・ま・だお?」
とたどたどしくしゃべる。どうやらうまくいえないらしい。
「いいか。よ・こ・し・ま・た・だ・お!」
とゆっくり説明するものの
「きゃはははは!だお~だお~」
すでに興味を失っているようだ。
「だれがだおじゃ~!せめてただおと呼ばんか~」
さてと、そろそろちゃんと聞かなくちゃな。
仕切り直すように俺はさっきと同じように布団の上に胡坐を書き
「なあ、俺はなんだっけ」
と【天使】に聞く。
すると満面の笑みで【天使】が答える。(俺はちょっと目を逸らした)
「ただお~。おまえはただおだ!」
俺も少し微笑んで
「そうだ。俺は【ただお】だ。じゃあ【おまえはなんだ】?」
俺は先ほどの質問をそのまま返す。
するとさっきまで笑っていた【天使】がうつむいて「う~」と唸りだす。
「おいおい、名前ぐらいあるだろ?」
と俺が苦笑しながらそう聞くと【天使】はこちらに顔を向けて
「なまえってなんだ?」
と聞いてきた。えっ、おいホントかよ!
「あ~名前っていうのは、う~んなんつーかな、その人を表わす呼び方というか、生まれたときにつけられるものというか、う~ん名前って何だ?」
俺が慣れない考え事をしていると今までと打って変わってしょんぼりとした様子で【天使】が
「なまえがないとだめか?」
と聞いてくる。その様子になんか罪悪感がむくむくと俺の中にわきでてしまう。
「い、いや駄目というか・・・ちょっとまてお前、も、もしかして名前もどっから来たかもわかんないのか!?」
しょんぼりしたままうなづく【天使】。
おいおい~!!本気か~!!
「お前きお・・・」
記憶喪失か?といいかけて止める。こいつのことだから「きおくそーしつってなんだ?」とか聞かれるのがオチだろう。
ふと見ると何かを言いかけた俺に対し【天使】はきょとんとした顔を向けている。
それを見て俺はふと思いつく。
「で・・・お前の新しい名前どんなんにするよ?」
【天使】は何言ってんだこいつとばかりに俺を凝視する。
俺は苦笑しながら
「お前名前がないんだろ?なら新しく名前をつけりゃいいじゃねーか」
お気楽にそういってやるとまたきょとんとした顔をする。
・・・数秒後やっと意味が分かったのかゆっくりと笑顔(さすがにちょっと笑顔になれてきてはいたが、やはり気を抜くと見とれそうになってしまう)になり
「じゃあ、なまえ【ただお】にする~♪」
と言いながら俺に抱きついてくる【天使】に苦笑しつつ
「それは俺の名前じゃ~!【ただお】の名は誰にも渡さんぞ~!」
そういいながら頭をなでてやる。
「じゃあどーするんだ?」
と【天使】が俺の腕に絡みついたまま俺に聞いてくる。少しは自分で考えろよと思いつつも考える。
「う~ん大体、天使の名前ってどんなんだっけ?」
確か「なんとかエル」ってついてったっけ?
「う~ん、天使、天使ね~?」
俺が頭を悩ませていると【天使】が俺の腕を引っ張る。
「なあ、【てんし】ってなんだ?」
考え込んでいる俺はつい
「いや、お前だろ」
と即答(ツッコミ)してしまう。
「【てんし】か?、(自分の名前は)【てんし】でいいか?」
「いや、だからお前は【天使】だろ」
「そうか。(自分の名前は)【てんし】か~♪」
「う~ん、【天使】の名前ね~?」
名前が決まったと(思いこんで)浮かれて部屋を走り回る【てんし】と
【天使】の名前を必死に考え込む俺。
こんな感じで【てんし】と俺の休日は幕を上げた。
続く?
あとがき
こんばんわ、がぶの実でございます。
第一話投稿させていただきました。・・・がなんか短い気がします。あれ?
本来ならば【天使】といえば神=髪のあの人を出す予定だったんですが・・・今回横島くんの一人称に挑戦しましたがなんか横島っぽくないかな。
あとメインヒロイン?の【天使】こと【てんし】を登場させたんですが本当に文章にするって難しいですね。もう少し可愛くかけないものかと反省しております。
な、なんとこんな自分のこんな文章に暖かいメッセージ送ってくれる人がいるなんて・・・(涙)ハ、ハンカチはどこ~
お返事を返させていただきます
東雲様
>処女作とおっしゃっていましたが、面白かったです
ありがとうございます~!!PCの前で泣きそうになってしまいました。
これからもがんばります!
DOM様
>さて、天使の方はどんな子になるんでしょうね?
スイマセン、こんな風になっちゃいました。
>はっきりと分かっていることは文章の流れからいくと美女又は美少女であることだ!
惜しい!正解は美幼女でした(笑)
アミーゴ様
>処女作とのことですが、焦らずゆっくり続けていけばよろしいんじゃないでしょうか。完結目指して頑張ってください
お心遣いありがとうございます。一応ラストまでの大筋はできてるんですがどうにも文章力が・・・(涙)
趙孤某様
>同じ初心者同士、頑張っていきましょう!
うわ、ヴァンパイア大作戦の作者様ではないですか!応援ありがとうございます!がんばりましょう!
鹿苑寺様
>「てんたま」とのクロスでしょうか?
すいません。自分は無知なもので「てんたま」がわからないです(土下座)
緋鷺様
>「よつばと!」とのクロスかと思いました…タイトルから
ギ、ギク!確かにタイトルなどはあれからとりました。いや、あのほのぼのした感が大好きなんですよ。ただ私の力ではクロスオーバー作品なんて無理です。(涙)
最後になりましたが皆様本当にありがとうございました。完結目指して何とかがんばりますので、どうかひとつよろしくお願いします。