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▽レス始

「リスタート 第十五話 (GS)」

(´ω`) (2007-05-21 00:01)
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8月20日 PM02:20

――都内某所


「第×××××××号 ○番物件 締め切ります」

都内某所の不動産物件の競売が行われている
会議室に横島とルシオラはいた

「入札希望者1名。最低落札価格――万円に対し、
最高入札金額――万円。最高入札金額が最低金額に達した為、
第×××××××号 ○番物件の競売を成立とさせて頂きます」


パチパチ……


ルシオラの隣に座っていた横島が拍手をする
他に拍手をする者はいない…

――参加者は実質1名だから


「れ、霊的不良物件とは聞いていたけど……
…まさか誰も参加しないなんて…」

「まあ…アレじゃなぁ…」


並べられた座る人間のいないパイプ椅子の列に横島の拍手の音
のみが響き渡り、ルシオラの呟きはかき消された。


「では10分後に次の競売を行いますので続けて参加する場合は
このままお待ち下さい」

係員がそう言い残し隣の控え室に退室すると、
会議室は2人だけになった。


「出ましょうヨコシマ」

「……ああ」

退室する2人と入れ替わるようにスーツを着た数人のサラリーマンが入室していく。

「まさか私たち以外参加者がいないとは思わなかったわ…」

「親父も言ってたけど、あんなのGSに依頼したら美神さんじゃなくても
億単位の金要求するわ…」


件の霊的不良物件


――誤って地脈に杭を打ち込んでしまい地中を奔る霊気が吹き溜まり、それに引かれた悪霊の巣窟と化してしまい、根本的な解決策を講じなければ幾らでも悪霊が集まってしまう。建物を撤去するにもまずGSに依頼して溜まった悪霊を除霊せねばならず、更に地脈の修復も場合によっては必要かもしれない。まともな人間ならこんな物件に手を出す事は無いだろう。


「文珠が何個必要かしら……」

「手伝ってもらえば何個でも出せるから問題ないけどな」


――まともじゃない奴が此処にいた


――リスタート――
  第十五話


9月6日 PM04:00

――唐巣教会

「ルシオラ君、半年に渡る研修、本当に良く頑張ったね。
おめでとう、今日から君は正式なゴーストスイーパーだよ。
その力を是非、困っている人々の為に役立ててくれたまえ」

祝福の言葉と共に神父はルシオラに日本GS協会から発行されたGS免許証を手渡す。

「おめでとうルシオラ!」

「おめでとうルシオラさん」


パチパチパチ


横島と令子も温かい拍手と祝いの言葉を送る

「ありがとうございます神父。本当に神父にはお世話になりました。
何とお礼を言って良いのか…美神さん、ヨコシマ。貴方達も本当に
ありがとう」

少し涙ぐみながらルシオラは深々と頭を下げる

「ルシオラ君、横島君。君たちにはこれからも様々な試練や
乗り越えなければいけない壁があるだろう……
しかし決して挫けてはいけないよ。神は試練に挑む者を
決して見捨てはしないのだから」

「「はいっ!」」

「これからも偶にはこの教会に顔を出してくれたまえ。
美神君も喜ぶだろうし無論、私も大歓迎だよ」

「はいっ!…といってもこれから協会に事務所の
開業届けを提出しますので後一週間位はこちらに
お邪魔させてもらっても宜しいですか?」

「ああ、勿論だとも。私としてもその間にルシオラ君に
美神君を見てもらえるとありがたいからね」

この半年間、ルシオラと神父は互いに自分の弟子の
面倒を見てもらっていた間柄である。
その成果は今の横島と令子を見れば如何程の物か
想像に難くない。

令子はこの半年間で神通棍を中堅GSのソレと遜色ない
出力で使いこなせるようになったし、横島は下地となる
霊力の成長もさることながら致命的に欠けていた霊能関係
の知識や常識を身に付けつつあった。これは令子に付き合って
霊能関係の書籍を読み漁った事が主な要因で、令子も
横島に対抗するように瞑想や組み手に付き合った。
正に互いを高めあう理想的な修行仲間といえる関係を
令子と横島は築き上げていた。

「勿論です。私としてもヨコシマの修行にプラスと
なる事ですから、此方からお願いしようと持っていた所です」

(…ヨコシマと美神さんが修行という名目で最近仲が良いのは
正直っ!物凄く警戒しなきゃいけないんだろうけど……
――駄目よルシオラっ!これはヨコシマの成長にプラス要因
といっても良い事なんだからっ!師匠として阻害する事が
あってはならないのよっ……!
…そうよっ!美神さんとヨコシマが修行を通して良い感じに
なったと言うけどそれならこの半年間の私とヨコシマとの
間の愛の軌跡修行だって美神さんに負けてないという自信が
あるわっ!…ふふっ♪最近のヨコシマったら大分霊力に
余裕が出てきたから一晩で何度も
……って
きゃー♪私ったらもー♪昼間からはしたないわっ♪)


「え、えーとルシオラさん?ど、どうしたの?」

いきなり何か考え込んでいるかと思ったらイキナリ
身を捩じらせて有らぬ方向に瞳を輝かせたルシオラに
美神は遠慮がちに声をかけた…

「え?…はっ!う、ううん何でもないのよっ!
美神さんこれかも修行頑張ってねっ!私に出来る事が
あるなら手伝うからっ!」

美神の両手を取ってそう捲し立てるルシオラの眼が
少し怖かった、と美神は後に述懐した。

「え、ええ…これからもヨロシク、ね?
…と、所でどこら辺に事務所を借りたの?場所を
教えてくれたらこっちからも顔を出しに行くし…
先生もいいですよね?」

「ああ、そうだね。ルシオラ君の邪魔にならない時
なら、私もお邪魔させてもらって良いかな?
何でも霊的不良物件を格安で譲り受けたと聞いて
いたけど其方の方は大丈夫なのかい?」

「え?じゃ……自前の事務所なの!?」

新人GSがイキナリ自前の事務所を購入――
普通なら有り得ないことである。


――そう、普通なら


「ええ…自前といっても最寄駅から結構歩くし、
周りにも余り建物がない場所なの。静かで良いけどね。
霊的不良物件といってもすぐに解決しましたし…かなり
お買い得だったかも知れませんね」

ルシオラは事も無げに言ったが其れはあくまでも
横島とルシオラの師弟コンビが解決させたからである


件の物件は唐巣の教会から二駅先でそこから更に
小高い丘の上まで歩いた場所に建てられた
日本風家屋だった。

敷地も相当広い上、家屋自体も部屋数が多く
普通に購入すればとんでもない金額になる筈だが、
土地建物の所有者登録も終わり(成人するまでは百合子が
法定代理人になった)、現物を見たルシオラと横島は
些かゲンナリとした。

まず外から見ただけは解らないが、霊視してみると
かなりの数の悪霊が集まっているのが見て取れた。
通常の除霊では手間がかかりすぎると判断した
横島とルシオラは、この一月のうちに溜めておいた
文珠を使うことを決断した。

バンダナをはずした横島は
まず文珠を4個取り出してルシオラのサポートで
"浄" "霊" "浄" "化"

と連動して発動し、溜まった悪霊を一掃。

敷地内に入って悪霊が一掃されたのを確認して
問題の地脈を探り出し

"地" "脈" "移" "動" "修" "復"

で地脈を建物から離れた場所に移動させて修復した。

この作業を行った横島は流石に疲労が激しかったのか
その場にへたり込んだが、この一連の除霊作業で
問題は解決した。普通のGSがやろうとすれば
数人掛かりで日数も金もかなり使う嵌めに
なったであろう除霊を、僅か1時間程度で解決させた
手腕は残念ながら誰にも知られることは無かった。

これが宣伝されれば商売繁盛間違いなしだが
ルシオラも横島もあえて宣伝せず、事前調査のみで
正式にGS協会に依頼も行っていなかった為、
協会にも簡単な報告しか行なわず、件の幽霊屋敷は
実は大した事のない、新人GS程度でも除霊できる物
だったという事でこの一件は幕を閉じた。


――事の顛末を聞いたとある商社の整理部署の
担当者は歯軋りして悔しがったと言う…


「――ふーん。じゃあ霊的不良物件って言っても
大した事無かったんだ…すごいラッキーじゃないの」

「ええ、本当に幸運だったわ」

「私も事務所開く時はそういうの探そうかしら…
安上がりですむならそれに越した事は無いわ♪」

美神さんは将来、一等地にある最高の事務所が
あちらからやってきます、と言う言葉を
横島は危ういところで飲み込んだ。

「ま、まぁ将来の事は一先ず置いておいて…
神父も美神さんも是非とも遊びに来てください。
多分開業しても暫くはそんなに依頼も立て込まない
と思いますし。いつでも歓迎しますから」

「ああ、是非そうさせてもらうよ」

「まあ開業したら茶菓子でも持って挨拶に
伺うわ……頑張ってね、ルシオラさん。
ついでに横島君もね」

「ありがとうございます美神さん」

「じゃ今日はこれで失礼しますね。
また明日…ヨコシマ、帰りましょ」

「ああ、気をつけて帰りたまえ」


PM 05:30

――横島家

RRRRRRR…

「はい横島です…あらアナタ、どうしたの?……


――はあ?…どこに?
……ふーん……まあ、サラリーマンの宿命みたいな物
なんだから諦めなさい。
ああ?嵌められた?…なに泣き言いってるの…
――その程度でガチャガチャ言う様な教育をした覚えは
私は無いわよ

―とっとと実績上げて挨拶に行けば良いだけの話でしょ
…そうそう、その意気よ♪
…ええ、帰ってきたら私から言うわ…え?…うーん…
まあルシオラさんなら任せても大丈夫でしょ…
何か目的もあるみたいだし……ええ…
――その辺はキッチリと釘刺しておくから心配しないで
…うん…早く帰ってらっしゃい

――今日は慰めてあげる……アナタ…


――カチャリ


「…ふう…しかしウチの宿六もまだまだ甘いわね…
…いえ、宿六を出し抜いたあの専務さんが一枚上手
だったのかしら…?…人間、保身の為なら凄い行動力
が沸いてくる物なのよねぇ…」


電話を置いてそう一人ごちた百合子がそんな事を
考えている所にルシオラと横島が帰ってきた。


「ただいまー」

「ただいま帰りました、百合子さん」

「ああ、お帰りなさい…2人とも
一寸いいかしら?」


帰ってきた2人に百合子は座るように勧める


「何かあったのか?」

「どうかなさいましたか?」

ソファーに座った2人に百合子が表情を改めた


「実は今、父さんから電話があってね…
…忠夫、お父さんね…


――ナルニアに行く事になったの」


「「は?」」


続く


皆様こんばんわ

(´ω`)でございます

リスタート第十五話をお送りいたします

此処まで来るまで長かった……
次回いよいよルシオラが事務所を立ち上げて
時間が加速します。
ついに始まった同棲生活&本格的なGS活動
美神と小竜姫もどう出るか現在構想を
練っているところです。

仕事の関係でもしかしたら時間を頂戴するかもしれません
何時も楽しみにして頂いてる皆様ごめんなさい
出来る限り更新していきますのでお見捨てなきよう
お願い申し上げます。


明日一寸早いのでご意見ご感想を頂いた皆様方には
大変申し訳なく且つ恐縮でございますが今回のレス返しは
レスを頂いた皆様全てにこの場で
厚く御礼申し上げる事で代えさせて頂きます


いつも温かい御指摘ご感想に預かり誠に感謝に堪えません
皆様からのレスを頂ける限りの間は頑張って更新させて頂きますので
今後も御指摘ご感想をお寄せ下さいます様心よりお願い申し上げます

レスを頂いた皆様本当にありがとうございました

ではまた次回のあとがきでお会いいたしましょう

おやすみなさいませ


……課長の馬鹿 ・゜・(ノД`)・゜・

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