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▽レス始

「リスタート 第十四話 (GS)」

(´ω`) (2007-05-20 00:41)
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7月10日 PM08:10


――横島家


「う〜ん……」

ルシオラは賃貸情報雑誌のページを捲っては首を傾げていた

「ルシオラ?」

「東京って家賃高いのねえ……」

「ん?部屋探しか?」

「ええ…9月頃には神父が研修の終了届けを協会に出してくれるって
言うから。そしたらいよいよ独立でしょ?だから今の内に事務所借りる
場所に目星つけておこうと思ったの」

新人GSの研修終了期間は監督するGSの裁量に一任されているが
通常は3ヶ月から半年で、長くても一年で研修は終了する。

「あー事務所探しか……でもルシオラ結構金溜まっただろ?
大抵の処は借りられるんじゃねーの?いくら位溜まったのかは
知らないけど」

3月からルシオラは神父の処に行く日は殆どといって良い程
除霊をこなしていた――その中には神父を頼って来た余り裕福で
ない人達の除霊も少なからずあったが――その為、結構な金額が
通帳に記載されているはずである。神父は当初研修に適した
比較的簡単で料金もそれなりな除霊を紹介していたが、イタリア
から戻ってきてからは難易度が高く、料金もそれに見合った
金額の依頼もルシオラに紹介するようになった。

――この時揉めたのが神父の取り分で、金額が8桁かそれ以上の
料金の依頼が少なからずあり、神父はそれまで25%を受け取って
いたが、流石に余りにも巨額な為、それまで通り受け取ることに
難色を示した。結局ルシオラや横島、それになんと令子までもが
神父を説得し、それまで通り25%受け取ることに渋々ながらも
同意した。

「うーんとね……これぐらいかな?」

取り出した通帳(東京○菱銀行)を横島の前に広げる

「えーと、……いち、じゅう、ひゃく、せん、ま…………」


プルプルプル…


突如横島の身体が細かく震えだした


「え……や、やだヨコシマ!?どうしたの!?


――どうしていきなり目から血を流すの!?」


「ちくしょーっ!!!
やっぱり俺は搾取されてたんやーっ!!
あの銭ゲバ女に骨までしゃぶられてたんやぁぁぁぁっ!!
美神さんのアホーっ!!
資本主義のブタ女ーっ!
なんだかとってもちくしょーっ!!!!」

「ヨコシマっ!何だか良く解らないけどお前の哀しさが
痛いほど
伝わったからもうやめてっ!!」

ルシオラの通帳に並んだゼロの数――その数8個――
見て、血涙を迸らせて慟哭する横島を抱きしめるルシオラ

「解ってくれるのかルシオラっ!?」

「うんっ!何だか良く解らないけどお前が物凄く哀しいのは
伝わってきたわっ!!」

「ルシオラっ!」

「ヨコシマっ!」

ひしと抱き合うヨコシマとルシオラ


一方その頃……


――ピシリ


「……どうしてかしら?何故か無性に横島クンを
シバきたくなったわ…」

良い気分で湯船に浸かっていた令子の額に特大の井桁が浮かんだ


――もう一人の君がいけないのだよ、美神令子君


――リスタート――
  第十四話


7月11日 PM03:20


――唐巣教会


「事務所かぁ……」

「ルシオラさんなら何処に事務所開いても繁盛間違い無し
じゃない。そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないの?」

横島の素振りを脇目に、霊能関係の書籍に目を通していた
令子がそう嘯く。

令子の言う通り、ルシオラは除霊にアイテムを殆ど使わない
スタイルなので余り経費を気にしないで済む。
つまり赤字を殆ど気にしなくて良いので極論すれば、
家賃と事務に関わる雑費、それに生活費を一ヶ月に
稼げればOKなのである。

「別に繁盛しなくてもそれなりにやっていければ
私はそれでいいのよ。別にお金が欲しい訳でもないし」

だって魔族だもん

「……そういう所は神父と貴女って師弟なのよね」

「別に神父程に無欲って訳じゃないわ。でも基本的にGSって
高給取りじゃない?だからがっつかなくても、ね」

横島を眺めながらルシオラはそう考える。

――そう、私はお金が欲しくてGSになるんじゃない
…全てはヨコシマと私のあるべき未来の為なのだ――

「私には無理な考え方だわ。ああ…早くGSになって
バカな悪霊シバいてボロ儲けしたいっ……!!」


――あの世界の美神さんよりは確実に性格丸いけど
やっぱり美神さんは美神さん(だな)なのね……

瞳を$マークに輝かせて天を仰ぐ令子を見て
師弟の心中はシンクロした…


(主よ、ユダの銀貨に惑わされし哀れな子羊を導く術を
持たぬ我をどうか許したまえ……)


その様子を少し離れて紅茶を傾けつつ見守っていた神父は
心の中でそっと懺悔した


――自らの"カミ"に見放される事の無いように
強い願いを込めて…


7月11日 PM07:00


――横島家

4人揃って食卓を囲む一時の団欒である


「へえ、じゃもうすぐ一人前のGSとして認められるんだ。
おめでとう、ルシオラさん」

「ありがとうございます百合子さん。
でも、もう少し先の話ですから」

「しかしあれだな、ゴーストスイーパーといってもやっぱり
家賃だの経費だのを考えなきゃならないってのは俺達と
余り変わらないんだな」

ビールの入ったコップを空にしながら大樹は
そんな感想を口にした

「あのなぁ…GSが使うアイテム一体幾らすると思ってんだ?
破魔札なんか高いのは豪邸建てられる位の値段なんだぞ」

未来の令子が普段使っていたアイテムはどれ一つとっても
それ1個で家が建つ位の代物だった。
おまけに装飾品として身に付けていた精霊石など横島は口にする
のも腹立だしい値段なのだ。

「浮世離れした商売だと思ってたけど以外と大変なのねぇ…」

「まぁ俺やルシオラはそんな高価なアイテム使わなくても
やっていけるから、その点では他のGSよりマシだけどな
……でも事務所はなぁ…」

いっその事、横島は渋鯖男爵邸を手に入れる事も考えたが
却下した。人工幽霊一号が供給して欲しいのはあくまでも
「霊力」であって「魔力」ではない。
ならば自分が、とも思ったが今の自分の霊力で
人工幽霊一号がこちらに誘いを掛けるとも思えない。
はやりあそこは美神さんが主になるのが相応しい…
というのも理由の一つだが。

横島はここで一つだけ勘違いをしていた。
自分の今の霊力では見向きもされない、と考えていたが
今の彼の霊力ならば人工幽霊一号はギリギリで及第点を
与えていただろう。
相変わらず自分を客観視できないのが良くも悪くも横島と
いう人間なのであった。


「ふむ……ルシオラちゃんが気に入るかは解らんが
何件か心当たりがある」

「「へ?」」

「確か…会社の去年の決算で不良債権として
整理部署に送られた都内の不動産が何件か有ったな。
承認が下り次第、整理部署の方で処理する
筈だったが…たしか霊的不良物件もその中にあったぞ。
……恐らく競売に掛けるんだろうが
――まぁ買い手は付かないだろうな」

「そんなもんGSに依頼すればいいんじゃないのか?」

そういう依頼が山の様にあるから未来の美神令子の様な
GSがいるのだから

「バカモン、GSに除霊してもらっても、その料金を
払ったら結局はそっちの方が赤字が大きくなるんだよ。
だから競売で二束三文で売っ払うんだろうが」

「GSに依頼して黒字になるなら私だって迷わず
そう指示するわね。つまりそういう事よ」

百合子がお茶を淹れながら大樹に同意する

「……」

横島の商才がこれはチャンスだと告げていた。
大樹はGSに除霊を頼んだら料金で赤字になる、
と言った。つまりGSに依頼したらかなりの
金額になるタチの悪い霊的不良債権なのだろう。

――しかし自分とルシオラなら話は別だ。
いくらタチの悪い悪霊といえどもルシオラ
の手に掛かれば正に赤子の手を捻るよりも
簡単に除霊できる。よしんば力押しが利かない
ケースであったとしても自分には何とかなる。

――そう、文珠使いであるこの横島忠夫ならば
(無論文珠を作るにはまだルシオラの協力が必要だが)
文珠数個でなんとかなる話である。ならばこの話…

「…ルシオラ」

隣にいるルシオラと頷きあう

「ええヨコシマ…
――大樹さん


――その話、詳しく聞かせてもらえませんか?」


(へぇ……良い顔するじゃないの、ルシオラさん…


――昔の私にそっくり♪)


3人が百合子の瞳が光った事に気付く事は無かった


続く


皆様こんばんわ
(´ω`)でございます

リスタート第十四話をお送りいたします
前回から打って変わってほのぼの?としたノリです
人工幽霊一号に関しては、やはりあれは美神さんが
相応しいと思って今回の展開と相成りました。

事務所欲しい時に霊的不良物件が云々というのは
以前某所で拝見したSSからアイデアを拝借させて
頂きました。最初にこの展開考えた作者様は
天才だと思います。なんという説得力と便利さを
併せ持った展開でしょうか。
この場を借りて敬意を表させていただきます。

あと前回の話でピート君にルシオラフラグktkrという
感想を幾つか頂きましたが一ルシオラーとしての矜持に掛けて
そのフラグは有りませんのでルシオラーの皆様はご安心下さい
それ以外の方はごめんなさいです


以下レス返しを…


返+42


(´ω`)

(´ω:;.:...  

(´:;....::;.:. :::;.. .....


ぉぅぃぇ

危うく灰になってしまうところでした


では改めてレス返しをさせて頂きます

容量節約の為短めになってしまいますが
ご容赦願います


燐様
ブラドーがああいう形になる話が
余り無かったというのも書いてみた理由の一つです

金平糖様
別人じゃねーかというご意見は結構な数を頂き、
正直やりすぎたかな?とも思ってしまいました

nanasi様
ずばりありがとうございます

アミーゴ様
意図したつもりは無いのですが
言われてみるとそうかもしれませんね…
今後に使える…かな?

wata様
今回の話も次回に続きますので
オチは次回までお待ちくださいませ

趙孤某様
そう言って頂けると書き上げた甲斐があります (つД`)

Grenade様
感無量です…そこまで感動してもらえるとは…

万々。様
タイガー君ですか…うーん……
……無理かなぁ…
キバヤシ氏のAAは容量が酷いので省略させていただきます

てとなみ様
因みに「弄んであげる」は
「あそんであげる」と読みます

レンジ様
横島君出さなかったのはある意味では賭けでした

蒼き炎様
正に蒼き炎様の御指摘通り
前回のピート君と伯爵のエピソードと会話は
あの2人を参考にしました。まさか知ってる方がいたとは…

ラーメン大王様
今回はちょっとオチは弱めですね
次回に繋ぐので今回はこの程度でご容赦願います

通りすがりY様
上記の通りそのフラグは気のせいです

がぶの実様
今日からバカップル再開です

アルマ様
長文のご感想誠にありがとうございます
そこまでこのSSを読んで頂けるのは作者として冥利に
尽きるの一言です。今後も是非ご愛読の程お願い申し上げます

内海一弘様
ブラドー伯爵は前回限りで今後は登場の予定は無いです
綺麗に退場したので余韻を大切にしたいと思います

ナオト様
それはもしかしてジャン○でやっていた
あの有名RPGが原作の漫画でしょうか?

東方様
ありがとうございます。まさかあのセラニアン氏の名作と
拙作を並べていただけるとは…

鈴虫様
(´;ω;`)ノ~~
カエッテキテ…

俊様
今回のギャグは横島君にお
願いしましたが如何でしょうか?

yuju様
ピート君にはエミさんをげふんげふんして貰いますので
ルシオラには触らせません。ええ絶対に。

鹿苑寺様
もしかしたら伯爵に自分の父を重ねたのかもしれませんね…

タマ様
今後の話の展開上このような形になってしまいました
何卒ご理解頂けます様よろしくお願い申し上げます

エセ様
カオス氏は原作準拠でいこうと考えてます

夢心猫様
ピート君と横島君は原作通り友達になって貰う予定ですが
当然横島君にはアレをやって貰います。お約束ですから

G様
伯爵はあの話で綺麗に退場してもらったほうが
印象に残りと思いあの形になりました

クレイドル様
闇の眷属に相応しい
哀しい話に仕立てたつもりですが
お褒めに預かり光栄です

朱雀様
ピート君はエミさんとの絡みで
ちょっと美味しいかもしれません

SS様
ルシオラって理知的なイメージが強いんですけど
原作読むと結構ブチ切れて暴走するパターンが多いんですよ

エの様
もし横島に何かあったらルシオラも
もしかしたら…

ソウシ様
そういえばブラドー伯爵が死んだSSって
無いですね…もしかしてこのSSが初めて…

氷砂糖様
横島君も逆行前は伯爵と似たような事を考えたかも知れません
ベクトルは別方向ですが

ルン様
今後の思索次第ではルン様の意にそぐわない
展開になるかもしれません。ご了承下さい…とは言えませんね…

shin様
その反動で書き上げた後は
真っ白に燃え尽きました…
慣れない事はするもんじゃないです

北斗七星様
天国で夫婦仲良くピート君を見守っていて欲しいです

えめちゃん様
ありがとうございます!以上!!

チョーやん様
前回は神父を全力で放置してしまい
その事に気付いたのは9割書き上げた後でしたorz

はに丸様
後から話を聞いた神父も同じように祈りを捧げた事でしょう

リィ様
幸いな事に皆様からご好評頂けた様なので
とても嬉しい限りです

ハルにゃん様
今回は微糖となっております
仄かな甘みをお楽しみ下さい


40を超えるレスを頂いた事は今後の
執筆の大きな励みになります
沢山のご意見ご感想誠にありがとうございました

ではまた次回のあとがきでお会いいたしましょう

おやすみなさいませ

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