「いくわよっ!!」
美神さんの掛け声に全員が動き出す。
まず先陣を切ったのはエミさんのブーメラン!!
「フン!」
パシッ!
が、あっさりと勘九郎に受け止められてしまう。
「ゲ!?な・・・なに!?こいつの霊力強すぎない!?」
「ワッシの心理攻撃の届かんですケー!!」
タイガーの攻撃は相手が強すぎるのか届きすらしない。
「やっておしまい〜〜!!」
冥子ちゃんは式神ビカラをけしかける。
「ブギャーーッ!!」
ドカッ!!
叫び声のような声をあげながらのビカラの体当たりは勘九郎をとらえる。が、
「目ざわりよ、虫ケラがっ!!」
ズキャ!!
「きゃ・・・!?」
「冥子ちゃん!?」
勘九郎の柄の一撃を受け姿をけした。
「ヒャクメ!冥子ちゃんを!!」
「わかったのね〜!!」
叫び声を上げ、倒れた冥子ちゃんにヒャクメが向かう。
「気をつけて!私達とはまるで力の質が違うわ!普通のGSは妖怪や悪霊と戦うための力を使うけどこいつの力は霊力を使う人間に最も効果的に作用するわ!」
美神さんが勘九郎の力を分析しだす。
「こいつら多分GSを倒すための修行をつんでる・・・!!ゴーストスイーパー・バスターってわけね!?」
「それじゃどうすれば!?」
「まともにやりあっちゃ不利だわ!ヒャクメ!!あんたなにか相手の弱点を透視できない!?」
美神さんはヒャクメに問いかける。
「・・・特にないのね〜!」
「ど、どー言うことよ!?」
ヒャクメの返答に美神さんが詰め寄る。
「霊力の収束がほぼ完璧なのね〜。あの魔装術は完成されてるのね〜。ほぼ全身をバランスよく覆っているから弱点らしいところは無いのね〜。」
「なにか手はないのか!?」
俺は更にヒャクメに問いかける。
「無い事も無いのね〜。いくらなんでも常にあんなに強力な霊力を放出していられるとは思えないから相手の霊力が尽きるまで待てばいいのね〜。」
「持久戦!?冗談じゃ「美神さん!危ない!!」なっ!?」
美神さんの言葉を遮るようにおキヌちゃんの声が響く。
見ると勘九朗が大刀を振り下ろすところだった。
「きゃーーーーーーっ!!」
誰かの叫び声が響く。
美神さん達が飛びのいて避ける。
「ヒャクメ!?」
俺は一瞬意識を冥子ちゃんの介抱をしていたヒャクメに向けた。
駄目だ!!避けたらヒャクメと冥子ちゃんが!!
俺は手にしていた覇璃扇をガードにまわす。
ガッ!!
俺と勘九郎の霊力が弾きあう。
「お、重!?」
予想以上に重い!?ヤバイ!!!
「横島さん!?」
ドカァァァァァ!!
勘九郎の大刀が床に叩きつけられる。
「しゃ、シャレにならん・・・」
俺はそれをなんとかそらすことでやり過ごし、衝撃からは覇璃扇を広げることでしのいだ。
「あら、思ったよりやるみたいね。でもいつまで続くかしら?」
勘九郎は余裕の台詞をはく。
「ヒャクメ!!早く冥子ちゃんを安全なところへ!!」
「わかったのね〜!!」
ヒャクメは急いでその場を離れる。
「さて、と。」
俺は改めて勘九郎に向き直そうとしたが、
ガン!!
「だから一人でやろうなんて馬鹿なことしてんじゃないわよ!!」
美神さんに殴られました。
「美、美神さん、手加減してください・・・」
ええ、マジで痛いです。
「聞きなさい!今の面子のなかで接近戦が出来るのは私とあんただけよ!あんた、ガードの力は並以上みたいだからガードに専念しなさい!!攻撃は私がしてあげるわ!!」
美神さんは俺の言葉を無視して指示を飛ばしてくる。
「わ、わかりました!!」
俺は美神さんのあまりの迫力に返事を返してしまった。
美神さんの指示から1対2の戦いが始まった。
美神さんが剣となり、横島さんが盾となる。
幾度か仕事を共にしたのが功をそうし、二人の連携はなかなか上手くいっている。
が、それでも一進一退を繰り返している。
勘九郎の攻撃は空を切る、もしくは横島さんに防がれる。
しかし、美神さんの攻撃も悲しいかな効果が出ない。
防がれる、もしくはあたっても勘九郎の防御を貫くことが出来ない。
美神さんの霊力を持ってすれば貫けなくはないが、如何せん付け焼刃のコンビネーションではなかなか全力で攻撃できる隙がない。
でもおかしい。これだけの攻防を繰り返しているのに勘九朗が一向に疲れを見せない。
「・・・・まさか!!」
「きゃ!ど、どうしたんですかヒャクメ様?」
私の声におキヌちゃんが声を掛けてくるが返事をするのも時間が惜しい。
私は再び勘九郎を霊視してみる。
やっぱりなのね〜・・・
「勘九朗のやつ、半ば人間じゃなくなってるのね〜!」
「な、どういうことですかいノー?」
タイガーさんが当然の疑問を口にする。
「勘九朗は魔装術を完璧に使いこなしているのね〜。あそこまで完璧に霊力を実体化させるということは、逆に肉体を力の付属物におとしめることなのね〜。つまり・・・」
「存在的には既に人間より魔族に近いってワケ!?」
エミさんの台詞に私は黙って頷いた。
「やばいのね〜。人間対魔族では体力勝負は分が悪すぎるのね〜。」
私がどうすべきか考え始めた矢先、
「人間ごときが!!下等な虫けらがいつまでも私にたかってくるんじゃないわよ!!」
ドカッ!!
「グッ!!」
横島さんが勘九郎に吹き飛ばされた。
「危ないですじゃー!!」
「タイガー!ナイス!!」
運よく私達のほうに飛ばされたので床に衝突する前にタイガーさんが受け止めた。
「横島さん!!大丈夫なのね〜!?」
「ゲホッ!!な、なんとか・・・」
横島さんは苦しそうに返事をした。
「それよりヒャクメ、あいつまったくばてる様子がないんだが?」
「それは・・・」
私は横島さんに勘九郎の現状を説明した。
「つまり持久戦じゃ勝機はほとんどないんだな?それじゃいったいどうすれば・・・」
「手がないわけじゃないのね〜。勘九郎の動きを一瞬でもいいから止めることが出来れば美神さんの力なら防御を貫けるのね〜。」
「そんなことそう簡単には出来ないワケ。冥子の式神なら出来るかもしれないけど・・・」
エミさんの言葉に全員が冥子ちゃんに視線を向ける。が、
「むにゃむにゃ令子ちゃん〜〜冥子おなかいっぱい〜〜。」
そこには幸せそうに眠る冥子ちゃんがいるだけ。
「おきろーーー!!!」
「え、エミさん、もう少しお手柔らかに・・・」
その姿にキレたエミさんが乱暴に起こそうとするが冥子ちゃんは一向に起きず、あわてておキヌちゃんが止めに入る。
「小竜姫が動いてくれれば一番いいのね〜。でも・・・」
小竜姫が動けばメドーサが黙っているはずは無い。
「小竜姫様!?そうだ!!」
私の呟きに横島さんが声をあげる。
「小竜姫がどうしたのね〜?」
「神装術だ!!小竜姫様から貰った神装術なら!!」
「!!」
確かに・・・小竜姫から与えられた神装術なら可能性はある。
でも!!
「駄目なのね〜!!あれはまだ試したこともないのね〜!発動したら横島さんにどんな影響が出るか想像も出来ないのね〜!!しかもそんなに体力も霊力も使ってる状態では・・・」
私は全力で否定する。危険すぎる!!失敗したらそれこそどうなるかわからない。最悪小竜姫の霊力を制御しきれず、横島さんの体がざくろのように弾けてしまうかもしれない。
「そうも言ってられないだろう。ここで使わなけりゃみんなどうなるかわからないんだから。」
「どうなるかわからないってことはどうにもならないこともあるのね〜!横島さんがそこまで危ない橋を渡る必要はないのね〜!!」
「ヒャクメ・・・」
横島さんはとても穏やかな顔をして、
「俺の力は小竜姫様から貰った護る力だ。その力でみんなを・・・ヒャクメ達を護れるのなら・・・俺はそれを使う!!」
硬い決意を口にした。
「横島さんが死ぬかもしれないのね〜・・・」
私は横島さんの顔を見ることが出来ず、うつむいてそう呟いた。
「死なないよ。小竜姫様から貰った力だ。俺はそれを信じてるし、俺の中にはヒャクメの力もある。きっとお前の力が俺のことを護ってくれるさ。」
「!!」
横島さんの言葉に思わず顔をあげた。その瞬間・・・
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
横島さんを神族の霊力が覆い尽くした。
「横島さん!!」
それは私の神装術をはるかに上回る霊力だった。
私の眼が冷静に状況を分析する。
人間にこの霊力を御することなど不可能だと・・・
だが私の考えはそれを否定する。横島さんを信じているから・・・
たとえ自分の力であってもそれを否定する。横島さんなら絶対に成功する!!
その思いが通じたのか、それまで渦巻いていた霊力が形を作り出す。
それは陰念と同じような形態だった。しかしまだ霊力は変化をやめない。
「あ、ああああああああああああああああああ!!!!!」
突然横島さんが叫び声をあげる。
「よ、横島さん!?いったいどうしたのね〜!?」
「ちょ、ちょっとこれ!?」
エミさんが驚愕の声をあげる。
私もそれは感じた。
それは突然現れた。起こるはずがないはずなのにそれは突然現れた。
横島さんの霊力から現れたもの。
それは・・・・魔力。
「横島さん!?返事をして欲しいのね〜!!!」
私はあらん限りの声を絞り出す。
「嘘だ嘘だ嘘だ!!!!」
横島さんは半狂乱になったように叫び声をあげる。
「何でだ!!なんで聞こえるんだよ!!」
聞こえる?まさか!!!
「なんで心の声が聞こえるんだよ!!!!」
あとがき
いつものことながら・・・終わりませんでした!!!次こそ〜。目指せ!!有言実行!!さてさて今回は小竜姫様の神装術の発動でした。完璧にピートVSユッキーは心の棚に上げてます。しかも第三者視点は今回は無しです。使いどころが無かったので。次でバトルはラストです。・・・多分本当ですよ?
レス返し
始めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に感謝を・・・
俊様
神装術発動しました。正式な格好はまだ悩み中です。ユッキーもどうにかしなくては・・・問題山積みですががんばります。
February様
入りのタイミングでかなり悩んだんで強攻策にでました。今回はヒャクメ微妙に活躍?解説役も大事ですよね?
{(´ω`)様
冒険中です。ヒャクメは色々やってくれますしシリアス以外は結構活躍してくれます。問題は山積みですけどね。
内海一弘様
今回は久しぶりにタイトルに触れました。なんかタイトル以外で久しぶりに書きましたよ。ピートVSユッキー・・・書くべきか書かざるべきか・・・それが問題だ・・・てシリアスに哲学しても解決しませんね。どうしましょう?
キール様
神装術発動しました。問題山積みですけど・・・色々考えていますので楽しみにしていてくださいね。
鹿苑寺様
ドルオーラ・・・その手があったか!!!(マテ
メド様は完璧に悪役です。ちなみに以前は横島君の師匠候補に上がったこともあったりします。どうしてか完璧に悪役です。
アイク様
それも確かに。試合の妨害を止めて普通にピートVSユッキーに試合させてその後ってのも考えたんですが妨害の止め方でいいのが思いつかなかったんですよ。うう、実力不足です。
ジェミナス様
四人組みはどうしようか考え中です。ユッキーとの関係をどうするか考え中。とりあえず親密差はどうなるかわかりませんが、ユッキーは今後も使うつもりです。今後は少しづつ更新していきたいと思ってますので気長にまっててくださいね。
百目守様
メド様関連は基本的にシリアスで行きます。今回はどうなることやら。シリアスもいいんですが復帰後のギャグ一発目を少し考え中です。さてさてどんな仏罰がいいかな・・・
ぱん様
ヒャクメは結構いい感じに動いてくれます。見た目はラブリーですしね。今後もがんばります!!
趙孤某様
少し流れが強引かとも考えています。まだまだ未熟者です。ちなみにヒャクメはたまにポカします。それをいつやるかも今後の課題ですね。
十六夜様
始めまして。今後とも楽しんでいただけるようがんばりますので読んでいただけたら幸いです。