カァァァァァァン・・・・・
乾いた音が響く。
会場の動きが全て止まり、皆がその一点を見つめている。
「これはいったい何のつもりだ?」
横島さんは静かに音の発生した場所に近づき、地面に落ちていたイヤリングを拾い上げながら言った。
「あら、落としたみたいね。悪いわね、わざわざ拾ってもらって。」
男はシナを作りながら悪びれることなくそう言った。
(お、オカマみたいな男なのね〜。)
「・・・・」
横島さんは何も答えず。あっ、少し腰が引けてるのね〜。まぁあんな大男がシナを作れば誰でも引くのね〜。
「あら、どうしたの?怖い顔して。具合が悪いなら私が看病してあげましょうか?」
「それは勘弁してくれ。と、とりあえずふざけるのはこれ位にしてくれないか?」
「そう?残念ねぇ。それでなんの用かしら?」
男は再びシナを作りながら言う。うう、気色悪いのね〜。
「あんたこのイヤリングで何をするつもりだったんだ?」
「さっきも言ったわよ。落としただけ。」
男は白を切る。
「落としたにしては勢いが良すぎたな。それに霊力まで込めて。」
「あら、そうだったかしら?でもどこにそんな証拠があって?私はただ落とした。それだけよ。」
証拠?それなら・・・
「証拠は「証拠は私なのね〜。」お、おい!?」
私は横島さんの言葉を遮りながらバンダナからもとの姿に戻る。
「私は神族調査官ヒャクメなのね〜。あなたのしたことは私の眼が確かに見届けたのね〜!なんなら会場に備え付けられてる監視カメラで確認してもいいのね〜!!」
私は一気にそうまくし立てた。
「・・・」
男は私の出現に驚きを隠せないようで顔にわずかにあせりの色が見えた。
「あなたが込めた霊力、その量、威力共に試合中に使われる結界を破るには十分だったのね〜。もしこれが結界を破ってコートの中に入っていたら・・・」
「おい勘九郎!!てめぇ何してやがる!?」
私の言葉を遮りながら試合中のコートから男の声をあげた。
「黙ってなさい雪乃丞!!」
「なんだとてめぇ!!俺がこいつに負けるとでも思ったのか!?」
「黙りなさい!!あの方からの「あの方?」!?」
私は勘九郎と呼ばれた男のあの方と言う言葉に反応した。勘九郎は私の呟きにあからさまに慌てだした。
「な、なんのことかしら?」
「いや、そんな汗だらだらで言われても・・・」
勘九郎のあまりのあせりように横島さんは素直な感想を述べた。
「あなた・・・邪魔ね。」
勘九朗はそう呟きながら今までの態度が嘘のように鋭い視線で睨みつけてきた。
「・・・」
横島さんが無言で私の前に立つ。
一瞬即発な空気が辺りに立ち込める。そして・・・
「ハーハッハッハ!!面白くなってきたじゃないか!!」
それを打ち破るようにメドーサの声が響き渡った。
面白い!
小竜姫と横島とか言う小僧に気を取られすぎてヒャクメの存在に気づけなかった時点でこの作戦は失敗していたのは認めてやる。
だが面白い!!
お前達から火蓋を切ってくれるというのか?
もともと穏便に済むなんて思っちゃいない。お前達から面白くしてくれるのか!!!
「メドーサ・・・少しでも動けば私が黙っていませんよ?」
「それはそれで魅力的だがね。いいのかい?ここでやりあえば回りも無事にはすまないよ?」
「くっ!!」
小竜姫は悔しそうに顔をゆがめる。くくく、いい顔だね。
「勘九郎!!雪乃丞!!もう良い!!派手にやりな!!」
「よろしいので?」
勘九郎の問いかけに私は頷くことで答える。
「かしこまりました。行くわよ!!雪乃丞!!」
勘九郎はそう呼びかける。
「好きにしろ。俺は抜けさせてもらう!!」
「な、そんなことメドーサ様が認めると思って!?」
「知るか!!もともとお前達の仲間になったのは強くなるためだ!!こんなちゃちゃまで入れられてお前達に従う気はない!!」
くっくっく、どこまでも愚かしいねぇ
「かまうな勘九郎!ついでに雪乃丞もかわいがってやりな!!」
「・・・はい。メドーサ様。」
そう言いながら勘九郎は再びヒャクメと横島に向き合う。
「神族もいることだし私の本当の実力を見せてあげるわ。魔装術はね、磨きをかけて完成させると・・・」
勘九郎は言いながら自身に霊力を覆い尽くす。
「こんなに美しくなるものなのよ!!!」
そして勘九郎の魔装術が完成する。
くっくっく、さぁ、楽しいショーの始まりだねぇ。
「さぁ、お二人さん。待たせて悪かったわね。まずはあなた達から相手をしてあげるわ。」
そういいながら勘九郎は魔装術展開と同時に手にしていた巨大な刀を構える。
「くっ!!ヒャクメ!下がってろ!!」
俺はそういいながら覇璃扇を作り出す。
「横島さん!!相手が悪いのね〜!!」
そんなこたぁ言われなくてもわかってる!!だがここでどうにかしないと周りがやばい!!
「こぉら!!勝手に動き出すんじゃないわよ!!」
俺がどうにかヒャクメを引かせようとしていると女性の怒鳴り声が響いた。
「美、美神さん!!」
見ると美神さんが神通棍を構えながら俺に前に立つ。
「新人相手にいきがるんじゃないわよこのオカマ!!このGS美神令子が極楽に行かせてあげるわっ!!」
「おたくにばっかりおいしいとこもってかせないわよ、令子!!」
「ビカラちゃん〜〜!!あいつをおさえつけて〜〜!!」
「ワシもやるときゃやるケンノー!!」
「エミさん!冥子ちゃん!タイガーも!!」
エミさんがブーメランを構え、冥子ちゃんは式神ビカラを呼び出し、タイガーは虎に変身してそれぞれ構える。
「横島さん!!僕も!!」
ピートもそういいながらこちらに来ようとするが・・・
「ピートさん!!あなたは雪乃丞を抑えていて欲しいのね〜!」
ヒャクメがそれを押しとどめる。
「なぜですか!?あいつは抜けると!?」
「あいつには証人としていろいろ聞きたいのね〜。」
ピートはヒャクメの言葉に頷き雪乃上の方に向きなおす。
「へっ、俺は抜けはするがおとなしく捕まったりしねぇぞ!!こんな形でお前との勝負を終わらせるのはつまんねぇと思ってたんだ!!あいてしてやんぜ!!」
そういいながら雪乃上は嬉しそうに構える。
「いいでしょう!!とことんまで相手をしてあげますよ!!」
そういいながらピートも構える。
「横島さん!!」
「ああ!」
俺はヒャクメの言葉に返事を返すと勘九郎に向きなおす。
「さぁて、オカマ退治よ!!」
あとがき
勘九郎とのバトルスタートです。次でGS試験編は終われると思います。たぶん。今回の第三者はメドーサです。ちょっとまだヒャクメ、横島以外の視点は戸惑います。でもやり始めたからにはいろんな視点から書いてみたいですね。
前回久しぶりに更新したところ多くの方から温かいレスをいただけました。うう、嬉しい限りです。以前より更新に時間は掛かると思いますが頑張りますので今後ともよろしくお願いいたします。
レス返し
始めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に心より感謝を・・・
SS様
視点変更はこれからがんばります。ついでに更新もがんばります。
February様
雪ピーはピートととことんやり合っていただきます。横島君とは今後に期待ですね。NTで初めて読んだのがこれとは光栄です。これからもがんばります。
ぐだぐださん様
これからはちゃんと更新できるようにがんばります。力の限り〜!
298men様
ヒャクメがんばりました。今回はバトルもがんばってもらう予定です。乞うご期待〜。でもヒャクメだし・・・
キール様
変更点はピートVSユッキーのバトルを最後までやりあっていただくことですね。あとはこまごまと。メドーサをどう動かすかちょっと悩んでます。
wata様
禁句を堂々と使う自分に情けなさを感じながらもやってしまいました。二度と使わなくてすむよう更新がんばります。
アイク様
お褒めの言葉ありがとうございます。責任転嫁はとりあえずやめときました。証拠不十分で横島君失格処分も考えたんですが後が続きそうに無いんで。それはそれでありかもしれませんが。
百目守様
ヒャクメをヒロインにするのは正直冒険でした。ちなみに書き始める前に上がったヒロイン候補の中には魔鈴さんや小鳩ちゃんなどあまり書かれていないヒロインが多数ありました。サブキャラ大好き〜。
内海一弘様
次はバトルです。ピートVSユッキーは書けるか怪しいですが。ヒャクメは今回は調査官としての腕と勢いでやってみました。行き当たりばったりです。うう、あいかわらずなさけない。
俊様
浪速のペガサスには会っているのでその後の話で書くかもしれません。心の声が聞こえ始めたのは優勝経験後を設定していますので。しかし今の子供はミニ四駆なんて判らないでしょうね。うう、歳がばれる・・・
鹿苑寺様
あたいにほれんなよ・・・べいびー・・・
ごめんなさい。持ちキャラの一つなんです。おたまは頑丈なんです〜。まったくかんけいありません。あ、でもメイドつながりか・・・(マテ
明鴉様
はじめまして。はずかしながら帰ってまいりました寿です。今後とも更新とともにがんばりますのでよろしくお願いいたします。
無虚様
ぐはぁ!!ばれた!!一応今後のネタの一つです。どうするかはお楽しみにしておいてください。一応修行の成果の一つです。うう、仕込が甘かったか・・・って普通ばれますね。