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▽レス始

「リスタート 第十二話 (GS)」

(´ω`) (2007-05-18 00:02)
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作者注 今回は一切ギャグはありませんので
    ご了承くださいませ


6月15日 PM04:15


――イタリア領海上船舶


「もうすぐ日が沈む時間、か」

「ええ、日が沈めば父の…いえ、ブラドーの支配する時間です」

ヨコシマの懸念は当たった。今回のピートさんの相談というのは
やはり父親の事だったんだけど…

「ねえ、ピートさんのお父さんってどんな人なの?」

「……そう、ですね…眠りに就く前の、僕が幼かった頃の印象は
寡黙で、人前では滅多に笑わない人でしたが…僕や母には困った
ような、それでいて優しげな笑みを向ける不器用な父…ですね」

そういってピートさんも困ったような優しい笑みを浮かべた。
ピートさんって父親似かしら?

「…そっか」

どうもピートさんの話を聞く限り、ヨコシマの言っていたような
時代錯誤を通り越した大ボケをかますような父親っていう感じ
ではなさそうなのよね…ピートさんも父親を嫌っていたり憎んで
いるという様子じゃないし。

「…でも」

「?」

「母がいなくなってからの父は…変わりました。それからの父は
皆さんが思い描く通りの、人間に災厄を撒き散らす最悪の魔物…
――吸血鬼と呼ばれるに相応しい所業を繰り返し、結局は人間に
打ち倒されて長い眠りについた闇の支配者…もっとも、僕が父の
行った所業を知ったのは、父が眠りに就いてからの事ですが…」

「…じゃあピートさんには最後まで不器用なお父さん、だったんだ」

「……母がいなくなってから父は殆ど僕の前には姿を
見せなくなったので…どうなんでしょうね」

「…ごめんゾクリ「何か来るっ!」っ!!」


水平線の向こうに小さな島影が見えてきたのと同時にソレは
やってきた


――リスタート――
  第十二話


「ピート君、ルシオラ君!気をつけるんだ!!」

「先生!」

ソレの気配を察知した神父も甲板に出てきた。まだ太陽は沈んで
ないのに!


――ピエトロか


甲板の上に現れたソレ――黒い霧――は人の形を成して
ピートさんに瓜二つの姿を見せた

「父さん!目覚めていたのかっ!」

父さんって事は…この人がブラドー伯爵!?
予想はしてたけどヨコシマから聞いていたのと全然雰囲気が違う!
真祖の威厳って奴が伝わってくるわ…!


――うろたえるでない。今此処に見せる姿は幻に過ぎぬ


これが幻!?
いいえ、コレは眷属を利用したのね


――息子よ


――引き返すが良い


「何だって!?」


――父親としての情だ。それに連なる者共々引くのだ


「父さん!一体何を考えているんだ!?」


――お前が知る必要は無い


「っ!そ「世界征服でも目論んでいるのかしら?夜の支配者さん?」
ルシオラさん?」


――汝はいずこの者か


「息子さんのお友達よ…で、私の質問には答えて頂けるのかしら?」


――支配など無意味。既にその価値は失われて久しい。故に我は
我の血の宿業の命ずる侭に生くるのみ


「……宣戦布告、と受け止めて良いみたいね」


吸血鬼の真祖が宿業の命じるままに生きる
――意味なんて考えるまでも無い


――抗うか、まつろわぬ血族の娘よ


「何の事かしら?私はゴーストスイーパー
――ルシオラ=蛍=芦よっ!!


ズドムッ!

ノーモーションで撃ち出した霊波砲が伯爵の
身体に風穴を開ける、が――


――これが返答か?息子よ


まるで効いてない、か…


「父さ…ブラドー伯爵!貴方が人間を狩るというのであれば僕は
………貴方を止めるっ!


――……良かろう。なれば我が居城へ来るが良い。待っているぞ


息子よ


……一瞬だけ、姿がかき消えるほんの一瞬だけ、ブラドー伯爵が
見せた表情が、先程ピートさんが見せた表情と重なった


――困ったような、それでいて優しげな笑み


「……父さん…貴方は…」


ピートさんの呟きは潮の鳴き声に消されて
誰の耳にも入ることは無かった


6月15日 PM05:20


――ブラドー島


「「「ピート様!」」」

「みんな!無事だったのか!?」


島に着いた私達を島の住人の方たちが出迎えてくれた
…さすが吸血鬼の隠れ里ね、みんな幾許かの魔力が
混じってるわ………でも…
――どういう事?

「神父……島の人達は操られている風には見えないのですが…」

「ああ…既に島は伯爵の支配下と考えていたから警戒していたん
だけど、しかしこれは一体…」


神父は黙り込んで何かを考えている
私も神父と同様、操られた島の住民が襲ってくるものと考えていた。
幻覚と麻酔で対処しようと思っていたけど…

「みんな大丈夫なのか?誰かと…ブラドーに操られてしまった人は
いないのか?」

ピートさんが島の人に尋ねてみたけど、
城の敷地に入れなくなった以外は特に島に異変は無いし、
いなくなった人もいないという話だった

「兎に角、無用な争いが避けられたのは幸いです。
先生もルシオラさんも今日はゆっくりと休んで下さい
長旅でお疲れでしょうから」

「いや、夜が更けるまで休息を取って城へ向かおう。
時間を与えて伯爵が島の住人に手を出してからでは
此方が不利になる。幸い今晩は新月で真祖といえども
その魔力が落ちている筈だからね。今晩中に決着を
つけてしまおう」

「私も神父に賛成だわ。伯爵が何を考えているのかは
解らないけど、折角此方に有利な条件が揃っているのだから
下手にあちらに時間を与えたくないわ」

ここまで有利な条件が揃っているのならさっさと
決着をつけてしまうのがGSのセオリーよね
ヨコシマに貰った文珠も、もしかしたら使わずに済むかも


「そう、ですね…解りました。では夜が更けるまで
島の人に部屋を借りますので其方でお休みください」

「ああ、ありがたく使わせて貰おう」

「そうね、私も飛行機と船に揺られっ放しで
チョット疲れちゃった」

島の人に案内されて私たちは暫しの休息を得るために
宿に向かった。


――決戦は新月の夜、か…


少しロマンチックかもね


6月15日 PM11:10


――伯爵居城正門前


「此処まで来るのに何の妨害も罠も無し…
流石伯爵様ともなると紳士なのね」

村から城まで拍子抜けする位に
本当に何も起こらなかった
……舐められてるのかしら?

「この調子で城の中もいけると良いのだがね。
――さて、敷地内には入れないという話だったが…」


ギギギギギギィィィィィ……


神父の言葉を待っていたかのように閉ざされていた
巨大な木の門扉が耳障りな音を立てて開いた


「……どうやら我々を歓迎してくれるらしいね
ならば素直に招待に預かろうじゃないか。
ピート君、ルシオラ君」

「そうですね、折角の伯爵のお招きですもの」

「…何を考えている…?ブラドー…」


――城内エントランス


薄暗い燭台の明かりで照らされたホールは
耳が痛くなるくらいに静まり返っていた

「ここも誰もいない、か……」

「……気をつけてください。何処に敵が
潜んでいるか解りません」

ピートさんの案内で私と神父は静まり返った
エントランスを進んで行く

「豪華絢爛というわけではないけど品の良いお城ね」

とても吸血鬼の真祖の居城とは信じられないくらいに
気品が感じられるわ…

「ピート君もここに住んでいたのかね?」

「…ええ、母が生きていた頃は此処で親子三人
で暮らしていました」

神父の質問にピートさんは何かを懐かしむかのように
少しだけ穏やかな表情を浮かべた


エントランスを抜け、螺旋階段を昇るが
何も現れない

気配もない


――…一体どういうつもりなのかしら?


階段を昇り、城主の間に続く回廊に足を
踏み入れた刹那――


冷たく


静かで


気圧される様な濃密な魔力が回廊の奥から伝わってきた


「…ブラドーはこの奥です。先生、ルシオラさん
準備はいいですか?」

「ああ、私はいつでもいけるよ。ルシオラ君も
大丈夫だね?」

「勿論です神父」


真祖の魔力が立ち込める回廊を慎重に進み
城主の間の入り口に着いた

「結局此処まで何も無し、か…」


「……行きましょう」


キィィ……


軽い音を立てて城主の間の扉は開いた

――中に入ると其処には

玉座に腰掛け

ワイングラスを傾けているブラドー伯爵その人が

一人で私達を出迎えてくれた


「――久しいな。我が息子よ…
こうして直接会うのは何時以来のことであるか?」

息子に声を掛けるブラドー伯爵のその姿は
正に夜の支配者の威厳を備えていた

船で見たニセモノとは違う、
これが本物の威厳ってやつね…


――本気出さなきゃ不味いかも


「父さ……ブラドー…戦う前に貴様に聞きたい事があるっ!」

「――ほう…」

戦う、という言葉を聞いて
真紅の瞳でピートさんを興味深げに見やる

「――余は今、非常に気分が良い…
――質問を許す」

「なぜ此処に来るまで僕達の邪魔をしなかった!?
それに村の人達にも何故手出しをしなかった!?」

それは確かに私も神父も気になっていた

「――我は真祖にして至高……
宿業を為すに代の者の手は要らぬ」

「貴様の目的は何だ!?」

「――言ったであろう?既にこの世に余が統べる価値は非ず…
故に我は古き闇の眷属としての宿業にのみ生きる…と」

「何故今更宿業にこだわるっ!?今また人間の血を啜り
その身に罪科の枷を嵌めると言うのか!?」

なおも詰め寄るピートさんをじっと見つめる伯爵


――?

あれ?いま一瞬……


「――質問は終わりか?
ならばこれ以上の問答は無用と知れ……

――我を止めたくばその身を秤に載せるのだな」


玉座から立ち上がり
真紅の瞳をギラギラと輝かせながら不敵な笑みを向ける


「――来るが良い
今宵は久方振りに愉快だ……


――汝等に我が糧となる栄誉を授けよう」


続く


皆様こんばんわ
(´ω`)でございます

リスタート第十二話をお送りいたします

前回の予告どおり今回はシリアスです。ギャグはありません
次回もこのノリです。
シリアスに書くのがこんなに力がいるとは思いませんでした
本当は一話で終わらせる予定がこの体たらくです
ピート氏とブラドー伯爵ですが、ピート氏は兎も角
ブラドー伯爵は正に「アンタ誰?」状態です

次回でこのノリは終わらせてその次からはまたいつもの
ルシオラ×横島の砂糖話に戻りますのでどうか皆様もう暫くの
お付き合いをよろしくお願い申し上げます


以下レス返しです


アミーゴ様
正直かなり疲れていますが
此処まできたら引くに引けません (つД`)
いけるところまで突っ走りますのでよろしくお願いします

冥様
木刀は嫌がらせだけではない…という事にしておいて下さい
ルシオラVS小竜姫ですがケンカするほど仲が良いという奴ですね

ラーメン大王様
イタリア編はシリアス一本勝負ですので
横島達はお休みさせて頂きます

万魔殿様
いやいやちゃんと帰ってきますのでご安心下さい

金平糖様
それはそれ、これはこれというやつですね
まあルシオラの予想範囲であれば浮気とみなされない訳で…

万々。様
イギリスのロン毛様の登場は恐らく
原作準拠になると思います
メド様も基本は原作準拠です

鳳仙花様
タマモは何時頃出しましょうかねぇ…
アシュ編終わってから登場というのが悩みのタネです

名称詐称主義様
西条→ルシオラはルシオラーの一人として
絶対にありえませんのでご安心下さい
西条は原作とほぼ変わりない役回りになると思います

内海一弘様
ブラドー伯爵ですが
このような形になりましたがいかがでしょうか?

鹿苑寺様
まあ横島君はかなりうらで美味しい思いしてますから
コレ位は苦労してもらわないと

トトロ様
お初でございます
流石にそれは想定の範囲外ですね

寿様
当たりでしたかー
そういえばブ○マも美神さんのなk(都合に寄り削除されました

レンジ様
横島君はまだ中学生ですので地味な修行を
積んでもらいます

アイク様
基本は素手です
試合結果はおいおい語られると思います

俊様
今回このような形になりましたが
いかがでしょうか?

チョーやん様
あまり大風呂敷は広げないように注意してますが
今回はちょっと広げてみました

118様
いやいやナイチチはハイスペックの証ですよ
え?何故棒読みかって?ハハハイヤダナァ

woo様
鈍器に関しては目から鱗でした
でも横島君は栄光の手がありますから…

Grenade様
横島君は基本的にルシオラLOVEですので
横から掻っ攫われる可能性があるとすれば……

趙孤某様
趙孤某様のあの発想は正直凄いと思いました
あれは思いつかなかった…しかし愛子…何故だ…orz

wata様
8:2位ですね
背中に背負うのと両手に持って素振りするのとでは
また違うものなんだと解釈して頂ければ幸いです

yuju様
1000年待った人は免許取ってからが本番です
どうぞご期待下さい

十六夜様
十六夜様の後ろに2対の夜叉が…

パチモン様
>オラなんだかワクワクしてきたぞ
それが(´ω`)がきいたパチモン様のさいごのことばでした……

rysol様
この後のピート氏に関してどうするか
現在思案中でございます

氷砂糖様
お初でございます
ここのピート君は薔薇属性はありませんので
悪しからずご了承くださいますようお願い申し上げます


いつも沢山のご意見ご感想誠にありがとうございます

正直もう引くに引けないというのが本音でございますが
このままいけるトコまで突っ走りますので
今後ももう暫くのお付き合いを頂けたら幸いです

ではまた次回のあとがきでお会いいたしましょう

おやすみなさいませ

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