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「魔神の後継者 第二十一話(GS)」

アイク (2007-05-12 17:37/2007-05-13 07:55)
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―第二十一話 得るものは何か ―

小竜姫に連れられ、横島が案内されたところ。門を潜れば、そこは一面、荒野だった。
雑草一つ生えていない黄色い地肌。それは死をイメージさせる。

「小竜姫様。ここは・・・」

「さあ?私は老師に案内する様言われただけですから。私もこんな所が有るとは知りませんでした」

横島は軽く周りを見渡すと小竜姫に問う。
小竜姫も同様に周りを見、驚いている事から、本当に知らない様だ。

「来たか。小僧」

「「老師」」

背後から声がし、2人が振り向けば猿神がキセルを吹かせて立っていた。

「老師、ここは一体・・・」

「新たな修行空間を作ろうと思ってのう。
 じゃが、小僧にどういった修行を行うかまだ聞いとらん為に内装が手付かずなのじゃ。
 早速じゃが、どういった修行をする」

小竜姫の問いに答える猿神。その内容から、ここは加速空間だと分かる。
横島は猿神の問いに、考えておいた事を言う。

「知識がないから座学と剣術や体術に霊視のやり方、霊気の練り方等を基礎から頼む」

「ふむ?」

「横島さん。知識が無く、霊気の練り方を知らないってどういう事ですか?」

横島の言った事に猿神と小竜姫は不可思議といった顔をする。

「実は、霊力の使い方は全部感覚でやっていたんで、練り方を知らないんです。
 効率が悪くてしかたがないんですよ。特に霊波刀はその性質上霊気垂れ流し状態ですから・・・
 美神さんも特に霊力の使い方を教えてくれませんでしたし、俺も聞かなかったもんですから。
 オカルト系の知識は美神さんの軽い説明で理解した点が数点、
 霊視にいたっては美神さんの所では霊視ゴーグルを使っているんでやり方を知らないんですよ」

横島の言い分に小竜姫は驚愕を通り越し呆れてしまっていた。
猿神は何時の間にかパイプを取り出し、吹かしている。
どうやら横島への質問を小竜姫に一任する気なのか、それとも聞くだけにするつもりなのか。

「・・・本当ですか?ソレ」

「嘘言ってどうするんですか・・・」

何とか言葉を紡いだ小竜姫だったが、横島はその反応に首を捻る。
横島はただ単に事実を言ったまでだからだ。
それ故横島は自分の言った事がどれ程規格外なのか分かっていない。
小竜姫は信じられないといった顔をし、その一言に横島は微妙といった顔をする。

「いえ、以前老師との修行で見た霊波刀は出力が多少不足ですが、
 完成度はなかなかだったと思っていたので、まさか霊気の練り方を知らないとは・・・」

「そんなに意外だったんですか?」

「ええ。
(ちょっと待って下さい。ではあの霊波刀は垂れ流している霊気を束ねただけって事じゃあ・・・
 本格的に鍛え、霊力の使い方、練り方を修め、完全に魔族化すればどうなるんでしょう?)」

横島の問いを肯定した小竜姫は横島の言い分に、その背に何かを感じた。
横島が言ったのは全て感覚で使い覚え、それを修行もせず実戦のみで鍛えたという事。(除霊、美神の手伝い)
基礎から学ばず、正に門前の小僧習わぬ経を読むを体現している。
それであの戦闘力。普通ならば決して有り得ない事だ。

(!?・・・私は今・・・横島さんに恐怖した?)ズキッ

小竜姫は理解する。背中に感じたのは悪寒だと・・・それを理解し、そんな自分に驚愕し、
それと同時に、胸に痛みを感じたのだった。
小竜姫は自分も気付かない内に悲しそうな顔をする。

「小竜姫様?」

「は、はい!あっ・・・な、なんですか?」

「いえ・・・何か悲しそうな顔をしていたので」

「!?(私は・・・)」

横島の一言で内心混乱気味な小竜姫。小竜姫の様子に心配そうな横島。

「・・・小僧。小竜姫よ」

「「何(ですか)だ?」」

「修行の方針は小竜姫、お主に任せる。基本を教えた後にワシを呼べ。一応空間はコレで良いじゃろう?」

ドン!

猿神はそう言うと如意棒を大地に突き立てた。如意棒が刺さった所から緑が、自然が広がっていく。
荒れ果てていた荒野は一瞬にして森へとその、命を思わせる森となる。
横島はその変化を凄いと感じた。
一方の小竜姫は猿神の言った事で、思考が停止する。

「って!老師!横島さんの修行は・・・」

「先程言ったじゃろう?お主がつけるのじゃ。他人に教えれば分からぬ事を知り、気付くじゃろうて」

我に返った小竜姫に猿神はそう言い、何時の間に出来たのか、奥へ続く中華風の建物に入っていく。
それを見た小竜姫は項垂れてしまった。

「小竜姫様?」

「はぁ・・・横島さん。準備は良いですか?」

「ええ」


こうして横島の修行が始まった。
先ずは霊気の基本的な使い方、練り方にコントロール。更に剣術や体術の基礎をやりながら模擬戦。
最初はマンツーマンだったが、パピリオが横島の修行に参加。
魔力を捻り出す事に成功した横島は、魔力の使い方も修行取り入れる。

横島は砂漠が水を吸うかのように技術を飲み込んでいく。

加速空間で、3年半の月日が経った。


「!ワルキューレが来た様ですね」

横島がその身の周りに菱形のサイキックソーサーを20枚程浮かべ、
縦横無尽に取り扱う修行を行っている時に小竜姫は小さくそう呟いた。
先程までパピリオは横島と模擬戦をしていたのだが、今は奥で猿神とゲーム対決をしていたりする。

「小竜姫。横島はここにいるか?」

「ええ。あそこで修行をしています」

十数分後、ワルキューレはやっと辿り着く。どうやらこの空間は防護結界の効果も有るようだ。
外の霊波を感じる事が出来、内側の霊波は外に洩らさないらしい。

「・・・・・・・・・久しぶりだな。ワルキューレ」

「私にとっては約2週間ぶりなんだが・・・まあいい。・・・・・・・・・コレが例の物だ」

ワルキューレはそう言いながら横島に渡す。
それは首飾りだった。
悪魔の羽をモチーフにし、その中心には紅い珠が埋め込まれている。

「これが?」

「そうだ。擬似的な魔族化をさせ、抑えられている力の半分程を解放する魔導具、『魔創の導き』だ」

「!?ワルキューレ!そんなモノを使えば横島さんの体は!」

「・・・最高指導者様曰く大丈夫らしい。私も百聞は一見にしかずと言われていて、詳しい事は知らないんだ」

ワルキューレの言った事に、小竜姫はワルキューレに問いただす。
一方のワルキューレは、本当に知らないんだろう。そう疲れた様に言う。
そんな2人を他所に横島は魔創の導きを首にかける。

「で?どう使うんだ?」

「魔力を魔創の導きに込めればいいそうだ」

横島はワルキューレの言った通りに魔力を込める。

ヴゥン   メキメキッ!

「「「!!?」横島(さん)!!」」

魔創の導きに埋め込まれた紅い珠に、瞳孔が縦に割れた様な模様が浮かぶと、
魔創の導きはその姿を変え、横島の体を覆い始めた。
その動きを封じられた横島。
横島が装備している状態に近い為、下手に攻撃出来ない小竜姫とワルキューレ。

パシパシッ! パシュッ!

「「横島(さん)大丈夫(ですか)か!?」」

「あ、ああ・・・」

魔創の導きが衣と化し、横島の無事な姿に急ぎ詰め寄る小竜姫とワルキューレ。
2人の様子に横島は押され気味だ。

「その姿は・・・ワルキューレはこうなると?」

「いや・・・」

「・・・?変か?」

小竜姫とワルキューレはこの時こう思った。何故?と。

横島の今の姿は、後ろ髪を紅い布で一纏めにし、体にフィットするタンクトップ。
その胸の中心に、最低限の装飾を施された紅い珠が存在する。そして、革製に見える手袋をし、
下は革製に見えるズボンに、堅いブーツを履いている。着ている物は髪を纏めている布以外全て黒一色。
その背中には蝙蝠の様な漆黒の翼が生えている。

横島は2人の視線に自分を見、そう問う。

「さてと・・・先ずは最高出力を調べないとな」

「その役目、私に任せるのね〜」

「「「・・・・・・・・・いたのか(んですか)?ヒャクメ」」」

「何時もの事だけど、酷いのね〜!」

横島が手の何度か開いたり閉じたりしながらそう言うと、後ろから声がした。
横島達はそれがヒャクメだと分かると、普通にそんな事を言う。
ヒャクメが半泣きでそう叫ぶのは仕方がないこもしれない。

「嘘泣きは止めろよヒャクメ。・・・頼むぞ」

「・・・・・・分かったのね〜」

嘘泣きとばれたヒャクメはバツの悪そうな顔をし、小竜姫とワルキューレと共に離れる。
それを確認した横島は目を瞑り、集中する。

「ふう・・・はあっ!」

ゴアッ!

息を吐き、心を落ち着かせると目を開き、気合の声と共に翼を広げ、解放する。
いきなり解放された霊圧に、横島を中心に突風が吹いた。

「・・・1200・・・2600・・・3700・・・4500・・・5200・・・
 凄い。加速度的に出力が上がってるのね・・・」

「これが横島さんの真の力・・・」

「神族のテリトリーで5000以上出す事が出来るのか・・・?」

ピシィッ!バキィ! バチバチ!!

横島に眠っている力に言葉にならない3人。
漆黒の魔力は横島の立っていた周辺の大地を削り、浮かせ、魔力で塵と化す。

「魔力、6600マイトで安定したのね〜。横島さん。もういいのね〜」

ヒャクメの一言に絶句するワルキューレ。そのワルキューレを横島と小竜姫、ヒャクメは不思議そうに見る。
横島は魔力の放出を止め、3人に近づく。

「ワルキューレ。どうしたんだ?」

「いや、横島の力が予想以上だったモノでな・・・驚いた理由を一応説明しておく。
 魔族は人界では基本、本来の40%以上の力を発揮する事ができない。
 この妙神山は神族のテリトリーな為、20%が限界なんだ」

「!?じゃあ横島さんの本当の魔力は33000マイトなのね〜!?」

「待って下さい・・・横島さんのリミッターは完全に解除されていないのでは?」

ワルキューレの様子に、横島は気遣う様に問う。
そして、ワルキューレの言い出した事に、3人の顔色は驚愕に染まる。
問い返す小竜姫とヒャクメの顔色が悪くなっていく。

「そうだ。だからこそ驚いているんだ・・・リミッターで解放されるのは半分。
 横島の今出した数字の2倍・・・それが本当の数字になる・・・」

「・・・現段階で66000マイトか」

「完全に魔族化すれば、更に上がる。爆発的にな・・・」

冷静になり、計算した横島にワルキューレは難しい顔をし、そう言った。

「横島さんは、もう8割以上魔族化しているのね〜
 これ以上は術が邪魔をして、進まない様になって、魔力の成長は緩やかになるけど、
 霊力の成長は爆発的に育ちそうなのね〜。
 ただ封印の効果で、150マイト以上は霊力も魔力も出せないみたいのね〜」

「神魔の成長は遅いのか?」

「寿命が長い分当然遅いのね〜」

(なるほど。まだまだ力を得る事は十分可能なんだな。サッちゃんはその為に封印を?感謝、だな・・・)

ワルキューレの言い分を補足説明するヒャクメ。横島はそう推測し、内心サッちゃんに感謝する。

「なるほどのう・・・」

「「「「老師!?」」」」

何時並か猿神が立っていた。いつも通りキセルを吹かせている。

「?あの、老師。パピリオはどうしたんです?」

「パピリオなら寝とる。さすがに24時間耐久でゲームをやるのはちと辛かったか」

パピリオの不在に横島が問うと、猿神はなんでもない様な事を言うように言った。
その言い分に、猿神以外は、パピリオの冥福(まだ死んでない)を祈る。

パチ  バシュッ

「「「「!!?」」」」

(ふむ?・・・いきなり解けるとはどういう事じゃ?)

胸の珠に火花が散ると、横島の変身が解かれ、衣服など、魔導の導きにその姿を戻す。

ビキッ・・・  ドサッ

「か、体中が、痛い・・・」

「「だ、大丈夫か(ですか)!?横島(さん)!!?・・・!!!」」

横島の体にガラスにヒビが入った様な音がし、激痛が襲い、行き成り仰向けに倒れる。
小竜姫とワルキューレは急ぎ抱きかかえようとするが、同時に行動し、張り合ってしまう。
ヒャクメは原因究明の為、霊視中だ。

「・・・横島さん。『魔導の導き』にはタイムリミットが有るようなのね。
 しかも、解放する力と比例して短くなる上、解除以降一定時間はそうやって動けないようなのね〜」

「こ、この激痛の、は?」

「横島さんの体が悲鳴をあげているのね〜。
 魔導の導きは魔装術の応用みたいなモノで、その装甲で体を内側の魔力を封印と共鳴する事で発動し、
 半分以上の力を解放しない様にする為、体が限界になると・・・」

「こ、こうなる、ワケか・・・」

体の激痛に耐え、なんとか言葉をそのままの姿勢で問う横島にヒャクメは解説する。
猿神は何を考えているのか、キセルを吹かすだけだ。
小竜姫とワルキューレは睨み合ったままだ。

「因みに、霊的治療は効果ない上、しばらく・・・と言っても数時間だけど発動出来ないのね〜」

(ハ、ハイリスクだな・・・サッちゃんはワルキューレにこの事を言っ・・・たわけじゃあないのか?)

「ふむ・・・まあ良い。ヒャクメよ。横島に霊視を教えておいてくれんか?頼んだぞい」

「老師・・・ってもういないのね!?」

猿神は小竜姫に横島の修行を頼んだ時と同じ様に言い残し、その姿は既に無い。
ヒャクメの驚きは、誰も気にしなかった。

横島の修行は続く。


―後書き―
休みの日に勉強なんぞしてられるかー!書いてやる!と思い、書きました。

修行編・・・と言っても省略気味で行きました。一応前編です。
そして、やっと横島が変身しました。
変身のモデルはデビ○ビ(小学館)という漫画の『魔王の○章』です。
このネタ分かる人いるかな?マイナーぽい気がするんだけど・・・

責任丸投げな猿神でした。猿神にも考えが有るんですがね。

では失礼。


〜レス返し〜
・February様
 すいません。単純なミスでした。すぐにちゃんと修正しました。

 横島自身は落としている自覚、欠片もありませんよ。

・趙孤某様
 剣術の習得は、霊波刀を使うのだから絶対に必要です。最低でも接近戦時、防御に使える様にしないと。
 魔剣はどうしよっか・・・

・DOM様
 やっと本題に入っていきそうです。アウトゾーンは一応有りますよ。
 ストライクゾーンは恐らく、外見年齢10〜35歳位で♪

・アミーゴ様
 励ましの言葉、ありがとうございます。

 猿な師匠との色気の無い2人きりなんぞ、許しません!
 横島の戦い方に関しては、その中間あたりですかね?罠にはめ、トドメを刺す。みたいな感じで。

 基礎は大変です。俺も柔道やってましたから。

 最後に、横島くんは天然です。

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