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▽レス始

「闇に染まる改め 『魔神の後継者』 第二十話(GS)」

アイク (2007-05-04 08:19/2007-05-04 10:50)
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    余りにも勝手ですが、この度タイトルを変更しました。
    第二十話で、一応区切りがつき調度良いと判断した為です。
    今後も宜しくお願いします。

    それでは本編をどうぞ。
                                           アイク
                                                *

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―第二十話  思い  ―

横島の言った一言は妙神山の居間に、重い空間を作り出した。

「・・・お主がそう言えば最高指導者から修行をつけろと言われておる為問題は無い」

(サッちゃん・・・マジで何考えてんだ?)

猿神は淡々と言う。
横島はサッちゃんが何を考えているのかハッキリと掴めずにいた。
自分の体を守る為・・・とは一概には言えないが、術式をかけてくれたのはまあ感謝している。
本人に言ってくれればきちんと感謝しただろう。
サッちゃんはその術式の詳細の一部を横島が理解すれば猿神に修行を頼むと考えていたのだろう。
でなければ、このような事を依頼はしない。
問題は何時そう考えたかだ。
横島の対談の後で行動したならば、余りにも早すぎる。
つまり・・・

(全ては掌の上・・・ってか?まあ、あれでも魔界最高指導者だもんな)

横島は全てがサッちゃんのシナリオ通りだったのだと理解した。
シナリオ通りに動くのは微妙ではあるが、今の所問題は無い。
横島は素直に、サッちゃんの先読みの良さに納得し、感心する。

「じゃが・・・魔族側が何を隠しておるのか教えてはくれんかのう?」

「ワルキューレ、どういう事なのですか?」

「私も知らん。横島、どういう事だ?」

猿神の一言で、小竜姫は真面目な顔をしてワルキューレに問う。
問われたワルキューレは軍人にあるまじき行動だが、横島に、かなり重要で秘密な事であろう事を聞いた。
ヒャクメは何も言わないが、静かに横島を見ている。
横島を見る4対+1の瞳。

「・・・まだハッキリとしていない事だから言うつもりは無かったんだが、
 簡単に言えば、アシュタロスの尻拭い・・・かな?」

「「「!?」」」

「ふむ・・・」

横島の言った事は小竜姫、ワルキューレ、ヒャクメ3人を絶句させるには十分な事だった。
もう一つ言い方をすれば、あの事件はまだ終わってはいないという事。
猿神は眼鏡の奥の目を鋭く光らせる。

「アシュタロス派の残党は狩られる前に考えた。どうする?と・・・
 厄介な事に復讐を選択したんだよ。
 そして自分達の足がつかない様に人間を使って俺とおキヌちゃんを監禁した」

「「「・・・・・・・・・・・・・」」」

横島は即興で話を作り出す。
猿神は何も言わず聞き手になり、猿神とパピリオを除く3人も何も言わず、ただ真剣に聞く。

「奴等は俺の能力である文珠を欲した奴等はおキヌちゃんを人質にし、俺の動きを封じた。
 俺は文珠に関する件で何点か嘘をつき、ストックの数をばれない様に増やした。
 俺にとって幸いだったのは、奴等は俺に関する事を全て人間任せにした事だ。
 傲慢と過信は隙を生む。俺にとってそれは絶好の好機だった。
 ただ、奴等はアシュタロスの技術を流用した結界でおキヌちゃんを隠し、
 俺はその為になかなか探し出せずにいた事で脱出が遅れて、おキヌちゃんを死なせた」

横島の言い終わると居間を沈黙が支配した。横島は実に淡々と言い、その心の変わりようを知らせる。
その沈黙を破ったのは小竜姫だった。

「・・・横島さんはいつ魔族の介入を知ったんです?」

「小竜姫様達が到着する少し前ですよ。
 調度この右腕が人造魔族、ヴァリアント・・・(だったか?)に引き千切られ、再生した時です」

「人造魔族・・・あの南部グループの作り出した贋作の事か?」

「ああ」

ワルキューレは横島の発した『人造魔族』という単語に、以前報告の有った事を思い出す。
神妙な顔をし、それを横島に問い、確認を取る。
肯定の意にワルキューレは考える。

(何を隠しているんだ?私達にも言えない事とは?)

(ふむ・・・嘘が2割程といった所かのう?)

横島の言っている事は一見筋が通っている様で通っていない。
ワルキューレの目はまるで獲物を狙う鷹か鷲の様に鋭い。
猿神は横島の言っている事の全てが真実ではないと気付いている。
この場で気付いていないのは寝ているパピリオと小竜姫の2人だけだ。

「・・・小僧。なぜ力を求める?」

「最低でも自分の身、傲慢だと思うだろうが、出来れば皆を護りたいからだ。
 例え護る対象に嫌われても・・・護り通す・・・・・・それだけでいいんだよ」

猿神は横島という人物を測りにかかった。横島は嘘偽りの無い答えを返す。
真直ぐと猿神の目を見、思いを吐き出す。
その瞳は、氷刃の如く冷たい光と太陽の様に暖かい光が鋼の如く固い覚悟が混同し、
見えない左目にも強い意志を灯す。
緋色の双眸は語っているのだ。その心を。
横島はただアスタロトの殲滅の為だけに力を求めるワケではないのだ。
殲滅はただの使い方にすぎない。その根元に有るのはただ護りたいという意志。
これは魔族化が進行しようとも、魔族化しようとも変わる事の無い不変の誓いであり戒めだ。
その誓いは両刃の剣。
嫌われる事で自らの心を傷つけようとも構わない。その人達が笑っていてくれれば・・・
心の痛みには耐えられる。笑顔でいてくれるならそんなものどうでも良い。
横島の誓いは言い換えればこうなってしまうのだ。
横島の皆を思う心に、小竜姫とワルキューレは思わず見とれてしまった。
ヒャクメもその言葉に聞き入っていたが、
自分専用パソコンで仕事・・・今回の件に関する神界上層部へ提出するレポートの作成をしていた。

「よかろう。お主の修行を加速空間にて行う」

「今すぐ・・・ってワケにはいかなそうだな」

「うむ。準備というものがあるからの」

猿神は横島の修行を認める。
横島は一刻も早く修行に移りたかったが、自分の体だけでも問題が山の様に有るのだ。
この体で加速空間に入れば何が起こるか分かったモノではない。
猿神はそう言い残すと居間から出る。恐らく準備をしに行ったのだろう。

「ところで・・・おキヌちゃんはどうしたんです?まだ寝ているんですか?それとも・・・・・・・・・」

「安心して下さい。既に俗界へ帰したんです。
 今は美神さんやおかるとGめんが護衛しているんです。
 おキヌさんには悪いと思いますが、美神さんの事務所で一種の軟禁生活をおくってもらっているんですよ」

優先的にやらなければならない対アスタロト用な用件が一段落つき、
実は聞くのが怖かったおキヌの事を不安、自責の詰まった表情で聞く。
そんな横島に、小竜姫は少し困った様な顔をし、答えた。

「そうなんですか・・・って、軟禁!?」

「ああ。私かジークの護衛だけで十分と言ったんだが美神令子が「念には念を」と言ってな・・・」

(美神さん・・・心配なのは分かりますが・・・・・・・・・)

小竜姫の言葉に安心する横島だったが、軟禁の一言に驚愕し小竜姫とワルキューレを交互に見る。
ワルキューレがコメカミを軽く抑えながら言い、
横島は引き攣った笑みを見せ、内心冷や汗を流し続けていた。

カタカタカタ・・・カタッ
「やあ〜っと終わったのね〜
 小竜姫、私は一度このレポートを提出しに神界へ戻るのね〜それじゃあ横島さん。また。なのね〜」

「おお・・・ヒャクメは当事者である俺の証言を待っていたんですか?」

「ええ。なんでもデータがあまり取れなかったそうですから」

ヒャクメは素早くパソコンをバックモードにすると、挨拶を手早く済ませ転移していった。
その急いでいる様子を見た横島はふとそう思い、小竜姫に聞く。
小竜姫は苦笑いの様な困った顔をする。

「なんでまた?」

「おまえが大暴れしたからに決まっているだろう」

「・・・・・・マジ?」

「ああ」

横島の何気ない一言にワルキューレはその直後の事を思い出し、青筋を浮かべる。
ワルキューレの様子にマジで起こっていると判断した横島は嫌な予感を感じながらもそう問い、
そっけなく肯定され、余計に状況が悪くなったと思った。

「おまえが大暴れした結果、鑑識がネチネチと救出へ向かった私とジークにネチネチと・・・
 そもそもだなあ!

「ま、待ってくれ!小竜姫様パピリオを寝室へ連れて行ってください!」

今にも横島に掴みかからんとするワルキューレ。
横島は焦った様子で小竜姫にまだ抱いたままだったパピリオを渡し、パピリオの事を頼む。
その様は妻に詰め寄られ、知り合いに娘を預けようとするダメ亭主に見えなくも無い。

「分かりました」

「いいか!?おまえのお陰で私は文句を言われるは!瓦礫撤去にくりだされ、減給処分を受け・・・」

そんなダメっぷりも小竜姫にとって、以前の馬鹿をやっていた横島と重なり、
変わらない所を見た為か、クスリと笑い居間を出た。
襖が閉められワルキューレの文句を聞かない様に手早くパピリオの部屋へ向かう。
ワルキューレはそう言っていたが、小竜姫の気配が一定以上離れると、喋るのを止めた。

「ナイス援護」

「減給うんぬんは嘘だが、鑑識から文句を言われたのは事実だ」

横島はそう静かに言い、ワルキューレは溜め息をしながらもそう答える。
横島が少し乾いた笑いを浮かべるのは仕方が無いだろう。
二人は事前に打ち合わせをしていたのだ。


〜回想〜

「ワルキューレ。俺がおキヌちゃんの話をしたら何とか二人で話が出来る状況を作るのを手伝ってくれ」

「別に構わないが・・・今どうなっているのか聞かないのか?」

魔界正規軍本部通路にて二人は歩きながらそんな話をしていた。
周りの軍人達が好奇の眼差しを送っていたが、横島とワルキューレは気にしない。

「今知ってしまったらボロが出るかもしれないだろう?まあ聞くのが怖いのもあるんだがな」

「そうか・・・」

横島は困った様な顔をしながらそう答えた。
ワルキューレは思う。今の横島は色々と考え、今は自分に何も言わない。その事が不満だと。
その事を感じ取ったのか横島はワルキューレの体を優しく抱き寄せ、壁際へ行き、そして止まる。

「よ、横島!?」

「・・・今は言えないが、何時か話す。それまで待ってくれ」

行き成り抱き寄せられたワルキューレは半パニック気味になっており、顔が少し赤くなっている。
横島は耳元でそう囁いた。
ある角度から見ればキスをしている様に見えるだろう。
そしてそう見える方には正規軍の皆様が信じられない様なモノを見るように2人を見ていたりする。

「ところで、俺はどん位寝てたんだ?」

「約一ヶ月だ」

「・・・マジか?」

「ああ」

話題を変えようと横島はそんな事を言う。ワルキューレは横島の胸に自分の顔を埋め、赤くなった顔を隠す。
その姿に外野はエキサイトし初めているが、気にする横島ではない。
ワルキューレは頭が微妙にショート気味な為はっきりしていないだけ。
横島はアスタロトは既に色々と準備をしているというのに、
自分は何ぐーすか寝ているんだと内心自分に腹をたて、それと同時に呆れていた。

回想終了


「で?用件はなんだ?」

「サッちゃんに俺の体の事を聞いて来て欲しいんだよ。口じゃあなくて手紙で頼む。」

ワルキューレは手短に済ますつもりなのかそう問う。
横島も小竜姫が戻ってくるまでの残り時間が少ないと理解している為素早く言った。

「・・・っ!まさか、非常時に術式を解く気なのか!?正気か!!?」

「・・・・・・・・・最終手段だ」

ワルキューレは気付いたのだ。横島の真意を。横島の言う最終手段正に最終。自爆と言っても過言ではない。
ワルキューレは横島の襟元を掴み上げ、声を荒げるも、横島は実に淡々とそう言うのみだ。

「・・・俺は死なんよ。俺が死んだら泣いてくれるんだろう?」

「頼むから使わないでくれ・・・」

横島の一言にワルキューレは掴んでいた手を放し、弱々しくそう言う。
ワルキューレは横島の事が分からなくなってきた。
打算も何も無い優しさを見せれば、冷淡に人を使おうとする目の前の男が。
ただ、心配になりそう口にするしかない。

「分かっているさ・・・頼むぞ」

「・・・でわ、な」

横島の真剣な眼差しに、ワルキューレはそう言い転移して行った。
一人になった横島は何も言わず目を瞑り壁にもたれる。

「あら?横島さん。ワルキューレはどちらに?」

「魔界に戻りましたよ」

「そうですか・・・それはそうと、老師が呼んでいます。ついて来て下さい」

数分後小竜姫が戻って来た。小竜姫はそう言うと歩き出し、横島は何も言わず着いて行く。
残された湯呑が酷く寂しそうに見えた。


―後書き―
タイトル変更しました。週1で投稿出来たら良い方な程時間が有りません。
受験生なのに何やってんだろうな。俺は・・・
まあ一種のストレス発散効果みたいなのがあるから別に・・・良いのか?
しかしまあ、話がマジで進まねえ・・・
まあ良いか。気楽に行こう。

今後も闇に染まる改め、魔神の後継者をよろしくお願いします。

タイトル変更するのに、更新早すぎたかな?


〜レス返し〜
・アミーゴ様
 何時の間にか、小竜姫とおキヌは貧乳の代名詞になっちゃってますからね。
 コミックで見る限り、大きくはないが小さくもないサイズに見えます。

 ルシオラはまあ・・・ご愁傷様で一つ・・・・・・・・・

・DOM様
 う〜ん。アキトとラピスの別れとかまったく、そんな事これっぽっちも考えていなかったのに・・・
 まあ、問題なければ別に良いか。
 とにかく、パピは確かにヒロイン候補の一人ですよ。

・趙孤某様
 使う事は誰にだって出来る。それが文珠の利点なんで使えますよ。100%の威力で。
 横島は作れなくなってしまったんです。
 文珠使いが作れなくなって、有っても使わなかったら何と呼ぶのでしょうか?

・February様
 萌えは条件が揃えば感じるもんです。多分。
 似たような変更で『魔神を継ぐ者』ってのを後に思いついたんですよ。
 なぜ執筆時に思いつかなかったのか謎です。

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