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「スランプ・オーバーズ! スピンオフ1後編 (GS+オリジナル)」

竜の庵 (2007-05-10 18:06)
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 弓式に限らず、除霊術とはあらゆる方位に気を配るものだ。
 霊は肉体を持たず、重力に縛られず、常識に囚われない。
 上空地下、火の中水の中草の中森の中…あらゆる場所から襲ってくる相手に対し、術者は備えを怠ってはならない。


 「―――!」


 弓かおりは弓式の基礎を修め、奥義の習得を許可された身。常日頃から父にも、そして伊達雪之丞にも言われているように…油断せずにいた。

 結界の弾けた現場は弓家の周囲でも最も狭い路地である。車は元より、自転車がすれ違うのも難しいほどの狭さ。
 人が隠れられるスペースも、それこそ隣家の壁を乗り越えるくらいでしか確保出来ない。
 そして、かおりが感じた気配の主は、愚直にもその例に則って奇襲を仕掛けてきた。


 「何者っ!!」

 「ぐっ!?」


 壁向こうからギンギンに感じていた殺気の主は、かおりが気付かないフリをして通り過ぎた瞬間、意外な速度で壁を越えて背後から襲い掛かった。
 かおりは体を沈めると同時に相手の下腹部へ、体ごと捻りこむように掌底を打ち込む。奇襲を完全な不意打ちで仕返され、敵はたたらを踏む。


 「私を闘龍寺の跡取り、弓かおりと知っての狼藉ですか? 未熟者さん」

 「……けっ」


 水晶観音を纏っていないかおりの腕力では、大したダメージは与えられない。こうして相対した敵は大の男であり、そこそこ鍛えてもいるようだった。
 しかもその手には、安物の神通棍が握られている。
 かおりは鼻で笑うと、憎憎しげに自分をねめつける男に向けて構えをとった。


 「さっきの結界への悪戯も、あなたが犯人ね? 我が家に用があるのなら、正々堂々と門を叩いてくださいな」

 「…ガキが知ったような口を聞くな。一発まぐれで決まったくらいで…」

 「そのガキに一発喰らった自分の未熟さと愚かさを自覚したのなら、出直してきなさい? 私を貶めれば貶めるほど、己の格を下げていると理解していて?」

 「………舐めんなあああああああっ!!」


 三十代後半くらいと見積もった男の額に青筋が浮かぶ。神通棍に霊気が通り武器の体裁が整う。
 一丁前に棍を構えて突進してくる男の姿に、かおりは吐き気を催した。GSの武器は人間に向けるものではない。ましてや弱者に振るうものでも。


 「…ま、私は弱者じゃないけど!!」


 六道女学院主席の肩書きは伊達ではない。
 冷静に男の動きを見極め、こちらを女子供と侮って単調になっている軌道の外へと体を逃がす。左右は壁に囲まれているため、必然的に後方へと。
 鈍い音を立てて、棍が左側の壁にぶつかった。衝撃で霊波が揺らいでいるところを見ると、その集束率は高くない。六道の教師レベルより遥かに劣るだろう。


 「事情は、倒してから聞かせてもらうわ!」


 男の実力は見切った。修行中の自分でも十分に組み伏せられる相手だ。
 路地を抜けて正門のある大通りへと出れば更に楽になるだろうが、こそこそと人を誘き出すような真似をする相手である。こちらが退けば、無理に追ってはこないかも知れない。
 チンピラでも霊能を用いている以上、父の仕事関係のトラブルではとかおりは推測する。ならば、ここで逃がしては後々面倒になる可能性も高い。
 密かに気配を探ってみても、目の前の男以外の霊圧、気配は感じられない。単独犯ならここで捕らえてしまえば全て終わる。
 かおりは長く細い深呼吸をすると、首の数珠に手を掛けた。


 「奥義・水晶観音!!」

 「!」


 GSの武器は人間に向けるものではない…が、自己防衛のためなら已む無しである。それが悪を駆逐するためなら尚更。
 全力で叩きのめす、とかおりは水晶に覆われた全身に霊気を漲らせた。


 「…特別な力、かよ。お前らがそうやって派手にやりやがるから、俺達底辺のGSは仕事が無くなっちまうんだ……」

 「はん! 己の非力を嘆く時間があるのなら、高める努力をなさることね!」

 「うるせえ!! いつもいつもいつもいつもそうだ。お前らは上からものを言いやがる。違う、上から『しか』ものを言わねえ!! 弱者を根本から差別しやがってクソ共が!!」

 「吠えても強くはなれないわよ! 悔しいのならその醜い嫉妬、力に変えてみなさい!」


 「小娘がいい気になるんじゃねえええええええええええええっ!!!」


 「―――――――!?」


 ギラついた、ドス黒い咆哮を一身に叩きつけられ、思わずかおりは身を竦ませる。
 どんなに彼女が精神的に強いといっても、それはまだ暴風雨に晒されたことのない防波堤のようなもの。打たれること、汚れることに不慣れなのは事実だ。


 「く、この……!?」


 真正面から激しい憎悪をぶつけられ、言葉を失ってしまう。体が、萎縮してしまう。
 男は神通棍を投げ捨てると、懐に手を入れて銀色のケースを取り出した。乱暴に蓋を開け、中にあった印鑑のようなものを自分の胸に当てる。


 「特別な力なんざなあ、金さえありゃ買えんだよ!! 成功者気取りのお前らクソ共が必死こいて手に入れたもんよりもずっと上等で強力なもんがな!! 見やがれ!!」


 プシュ、と男の胸元で空気の洩れる音がした。印鑑のようなものの正体は、特別な注射器具のようだった。
 かおりが唇を噛み締めて三対の腕に力を込め直した瞬間、男からそれまでになく強力な霊気が放射される。男の両眼が赤黒い輝きに染まった。
 放射された霊気は男の全身を泥のように包み込み、禍々しい姿へと形作っていく。その度に霊圧が跳ね上がっていった。


 「これが、『魔装薬』の力だ!!」


 黒い霊波がじくじくと、ぐずぐずと男の全身を覆い尽くすのに五秒は掛かった。かおりは幾らでも攻撃のチャンスがあったにも関わらず…その間、全く動けない。
 かおりが知る魔装の技。
 雪之丞のそれは洗練されたフォルムで一種の美しさすらある。
 けれど、この男の魔装は醜い。
 かおりは知らないが、男の魔装は嘗ての雪之丞の同僚…陰念が纏った姿とそっくりだった。未熟な魔装が生む歪みが、そのまま外観にまで現れている。


 「本当はお前の親父を誘き出して、この前の借りを返すつもりだったんだがな…予定変更だ。女、てめえをダシにさせてもらう」

 「ふ…ふざけないで!? そんな紛い物の力で、水晶観音に勝てるとでも…」

 「おらああああああああああああああ!!」


 対応する暇も無かった。咄嗟にクロスさせた三対の腕の上へ、弾けるようにして接近してきた男の霊波拳が打ち込まれる。たった一撃で水晶の腕は砕かれ、一本は根元から千切れて路地に転がった。
 ガードはほとんど無意味に終わる。圧倒的な力…暴力の差の前に、かおりは打ちのめされる。


 「あ、くあ………」

 「分かったか? 俺が一本十万足らずで買った薬の力が、お前らの歴史を否定したんだ。安いよなあ歴史やら伝統の力なんてよ!? この世界、一度ケチがついたらとことん不運ってのはついてまわる。俺の不幸は弓一徳に縄張りを荒らされて始まった! ならあいつに責任とってもらうのが筋ってもんだろ!? ああ!?」


 片腕一本で首を掴み、吊り下げたかおりに向けて、男はハイテンションに暴言を浴びせかける。
 かおりは反論しようにも、水晶観音を砕かれた反動とダメージで意識を保つのが精一杯だった。


 (雪之、丞…)


 男の哄笑がけたたましく響く中、かおりはさっきまで一緒だった彼氏の事を思い出しながら…視界を暗く閉ざしていった。


          スランプ・オーバーズ! スピンオフ 1

              「Snow & Bow」 (後編)


 弓一徳は一人、道場の床に片膝を着いて荒い呼吸を繰り返していた。
 雪之丞の姿は疾うに無く、道場を覆っていた彼の霊気も嘘のように霧散している。


 「あの、男……あの、力。一体、何のために手に入れた…?」


 雪之丞がかおりの腕…そう、『水晶観音の右腕』を見た瞬間に迸らせた凄まじい霊圧。一徳は以前、世界最高のGSと謳われる美神令子の仕事風景を見学する機会があったのだが…明らかに、雪之丞の霊圧は彼女を凌駕している。
 魔装術は魔族との契約によって力を得る禁術。代償は魂と肉体、魔族の齎す力に優しさなどない。その力に呑み込まれれば、人としての形を失うという。
 水晶観音は己の霊力を宝玉数珠を媒介に凝縮し、鎧状の外骨格を形成する技。結果としての強さは魔装術と似ているが、忌むべき魔と取引を行って得られる力とは比べてほしくなかった。

 けれども、だ。

 雪之丞の強さがどこに根ざすのか、一徳には分からない。
 殺意を煮詰めに煮詰めて、悪意と敵意をスパイスに瓶ごとぶちまけたようなさっきの霊圧…正しく悪魔のようなあの霊圧は、彼が純粋にかおりを案じたために生じたもの。
 魔装を極めるとは、魔族と等しくなることに他ならないのでは? ならば伊達雪之丞は人在らざる身に堕ちているのでは?
 一徳の疑問は、雪之丞の三白眼に宿る強さの本質の在り処。

 見極めねばならない。

 雪之丞の強さが、人としてのものなのか。

 それとも、悪魔としてのものなのか。

 水晶観音の腕は、既に砕けて大気に溶けている。一徳は腕の亀裂にねじ込まれていたメモ用紙の中身を見ると、奥歯を噛み締めて紙片を握り潰した。


 「…かおり。待っていろ」


 殴り書きにされていた住所は、つい先日一徳が悪霊の除霊を行った場所だ。
 そういえば、仕事の後にいちゃもんをつけてきた若いGSがいた。この仕事に縄張りや慣習も何もあったものではないのに、そのGSはヤクザ紛いの恫喝でショバ代を要求してきた。

 …数発お仕置きしたら、捨て台詞と共に逃げていったが。

 落とし前は自分の手で着ける。
 一徳は雪之丞が『ぶち抜いていった』道場横手の壁の穴から、自分も出て行くのだった。


 赤ん坊だった自分に、母の記憶があるのは不思議だと雪之丞は思う。
 しかしまあ、世間には前世の記憶を持つ者がいるくらいだ。強い想いがあればその程度はあっておかしくない。
 母の腕の温もり。
 自分を抱く母の腕を、雪之丞は覚えている。キツい仕事をしているのか、肌荒れの進んだ手指で自分の頬や髪を梳く様子を雪之丞ははっきりと記憶していた。


 『有難うございます、こちらはWGCA−JAPANです』

 「ああ、春乃さんかい? 日曜だってのに事務所に詰めてたんだな」

 『伊達主任。そちらこそ、今日は大事な用があるから仕事は入れるなと言ってらっしゃったのに』

 「…事情は後で話す。悪いが一つ、頼まれてくれないか」

 『…珍しいですね。そちらから頼み事なんて』

 「ちょっとした調べ物をしてほしい。大至急、な」


 雪之丞は今、闘龍寺と隣家の境…かおりが攫われた路地の入口付近でしゃがみ込み、携帯電話で己の職場へ連絡を取っていた。
 闘龍寺土塀の角、目立たない場所に符が貼ってある。既に効力は切れているが。


 「特殊な結界札を扱ってる業者を探してる。消音・制震・霊抑効果…ついでに札そのものも隠蔽効果のある奴だ」

 『凄い性能ですね…正規のルートでいいなら絞り込むのは簡単ですけど…』

 「…人を攫うのに使いやがった馬鹿がいる。多分、まともな店じゃ買ってねえ」

 『人を…!? 伊達主任、トラブルに?』

 「時間が無えんだ…! 早くしねえと、あいつが…」

 『オカルト事件に巻き込まれたなら、警察に…』

 「だから! んな時間は無えんだよ! 頼む春乃さん!」


 脳裏に過ぎるのは、あの、右腕。
 真っ白に沸騰した心のままに、雪之丞はかおりの霊気痕跡を追ってこの路地へ来た。最短距離を焦るあまり、道場の壁を破壊したような気もするが気のせいだろう。
 霊気が途切れていた路地で見つけたのは、無造作に貼られた四枚の結界札。だが、貼り方は素人でも札の術式は複雑に編まれた高度なもの。その辺のオカルトショップで手に入る代物ではない。
 出所を洗えば、犯人の目星もつくだろう。
 焦燥感だけが募るのを、雪之丞は必死に落ち着かせる。
 ぼろぼろの喪服姿の男が、路地の角でハアハア言っている姿は不審極まりなかったが…


 『…分かりました。個人的なコネも使って、表と裏双方から探ってみます。伊達主任、この貸しは職務で返して頂きますよ』

 「ありがてえ! 旦那に悟られないように頼むぜ? あの人、意外とおせっかいだからな」

 『だっ、誰が誰の旦那ですか!? 貴方までそんな根も葉もない噂に…』

 「ああ? ロディマスの旦那に変な噂でもあんのか? んな事より早めに頼むぜ」

 『あ、ちょっと!? まだ話は…』


 急にしどろもどろになって口調の崩れた春乃に首を傾げる雪之丞。
 しかし、彼女の情報収集の手腕は確かである。数分もすれば何かしらの手がかりは見つけてくるだろう。
 それまで、雪之丞に出来るのはシンプルな行為だけ。
 袖の千切れた上着を脱ぎ捨て、ワイシャツのポケットに携帯を突っ込む。ネクタイも捨てた。


 「霊視ってのはあまり得意じゃねえが…しょうがねえよな」


 まだそれほどの時間が経ったわけではない。手当たり次第に霊視を行い、引っかかった霊圧の場所へ急行、外れならまた霊視と繰り返す。
 かおりの霊圧なら、雪之丞はどんな僅かな痕跡でも見落とさない自信がある。


 「かおり、待ってろよ…!」

 「待つのは君だ、伊達さん」


 奇しくも一徳と同じ台詞を呟いて、一気にその場から駆け出そうとした雪之丞を当の一徳の声が引き留めた。
 僧形に笠を被り、錫を携えた正装の一徳がそこに立っていた。纏う空気の清冽さはそのままに、雪之丞があの日病室で感じたのと同じ怒りを湛えて。


 「旦那…」

 「全く、これは弓家の問題であって君とは無関係なのだがね。私に任せて君は大人しくしていろ」

 「ああ? 旦那、何を悠長な事を言ってやがる。あの腕を見ただろうが…あれは間違いなく、かおりの腕だ。俺は絶対見間違えねえ。それは旦那だって同じだろう」

 「…もしや、伊達さん? 君はアレを…」

 「うだうだ言ってる暇は無え。問答は後にしてくれ。俺はあいつを…」


 一徳はすとん、と腑に落ちたのを感じていた。
 雪之丞がこれほどまでに焦る理由。悪魔染みた霊気を放ち、道場の壁をぶち抜いてまで猛る理由…
 それに思い至った時、一徳は自分の愚かさを苦笑した。
 伊達雪之丞を、人か悪魔かなどと勘繰った自分が恥ずかしかった。


 「…案内状が届いている。闇雲に探す必要はない」

 「んだと?」

 「一人で来い、とは書いてなかったからな。一緒に来るといい」

 「旦那…いいのか? 弓家の問題なんだろ?」


 雪之丞にとっては同じだったのだ。
 あの腕が、生身でも水晶観音でも。
 どちらも同じ、かおりのもの。掛け替えのないもの。

 いや。

 雪之丞の目には、飛び込んできた腕がどちらか…なんてことは、些細な問題に過ぎなかったのだろう。
 かおりが、トラブルに巻き込まれた。『また』自分の前で、自分が何も出来ないままに傷を負った。
 許せなかった。
 あの霊圧は、自分への怒りだったのだ。


 「…君は既に、弓家の身内だろう。少なくとも、私はそう思う。かおりと妻がなんと言うかは分からないがな」

 「その辺の話は後回しだ。旦那、パーティ会場へ急ごうや」

 「…そうだな。着いて来い」


 人か悪魔か。
 悪魔に尋ねたら、きっと鼻で笑われるだろう。
 こんな甘ちゃんと一緒にするな、と。
 雪之丞の怒りは何のことは無い…一徳と同じなのだから。何も出来なかった自分の不甲斐無さ。敵への憎悪…
 人間らしい、感情の暴走だ。


 「…かおりはともかく、妻を納得させるのは骨が折れるな…」


 芯の強さもかおりへの想いも及第点。
 一徳は走りながら、どうやって後ろからついてくる男を弓家の婿に入れるかを考えるのだった。


 「……ん、うん」


 どこかから、人の話し声が聞こえる。
 かおりが薄っすらと回復した意識の中で考えたのは、自身の置かれている状況より何より…強烈な、悔恨の思いだった。
 決して油断せず、冷静であった筈だ。
 相手を挑発はすれど、見下したり侮ったりはしなかった。必勝を期すために、水晶観音も纏った。


 (…なのに、このザマ、か。雪之丞に笑われるわね)


 下らないプライド、と雪之丞はかおりの気位の高さを一蹴したけれど、かおりの今までを支えてきたのはこの『下らないプライド』に他ならない。
 強さの根源がプライドにある以上、認めなければ先には進めない。
 氷室キヌとの出会いで得られたその先の強さは、柔軟さにも通じる懐の広さ。負けを受け入れ、弱さを認めることも強さだった。

 かおりの両手両足は固く縛られており動かせない。そして自分が埃っぽい地面に寝かされているのも確認した。薄目を開けて周囲を見回すと、窓際に複数の人間が立っているのが見える。
 窓からは夕日が射し込んでいる。西日に照らされた室内は荒れ果てて、解体寸前のオフィスビルの一室、がらんとした広い部屋だと分かった。


 「おい! 来たぞ!!」

 「一人か?」

 「ああ。馬鹿正直に弓一徳だけだ」


 と、俄かに窓際の男たちが色めき立つ。かおりが目覚めているのにも気付かず、彼らは殺意を剥き出しにして手に手に武器を取り、その場から散っていった。
 その内の一人はかおりに近づいてきた。


 「おら起きろ!」

 「…あぐっ」


 髪を掴まれて強引に起こされる。
 母譲りの艶やかな黒髪は密かな自慢だったのだが、こんな乱暴者に触られては穢れてしまう。
 かおりは髪を掴む図体のでかい男に鋭い眼光を浴びせ、怯ませるのに成功した。起きぬけとは思えないかおりの威圧感に、男は不意をつかれたようだ。
 ちっ、と唾を吐き捨てた大男に髪を引き摺られ、かおりは窓際の男達の目の前に投げ出された。けほけほと咳き込むかおりを、魔装術もどきを使ったあの男もニヤニヤと見下ろしている。


 「リーダー、こいつはどうする? 脚の一本でも折って転がしとくか?」

 「はん…数珠が無けりゃ只のガキだよ、そいつは。適当に目に付くところに捨てとけ。父親が半殺しの目に遭う様子が拝める場所にな」

 「その後のお楽しみもあるしな…傷つけるのは止めとくか」


 下卑た笑いが、かおりの全身を嘗め回す視線と共に室内に満ちる。
 かおりの手足を縛っているのは、呪縛ロープだ。雰囲気に呑まれないよう霊気を集中しようにも、ロープの効果で散ってしまう。代わりに奥歯を噛み締めた。


 「見てろよ小娘。あの野郎が血ダルマになる光景をな…ひひひ」

 「…無駄よ。お父様に人質なんて通用しない。実の娘であってもね」

 「だが現実に、あいつは来たぜ? 麗しき親子愛だな」

 「………」


 父の霊圧は確かに近づいている。かおりが少しだけ期待していた雪之丞の霊圧は…感じられない。明王化した父の折檻を受けたようだから、今頃道場で伸びているのかも知れないけれど。

 かおりは、雪之丞の霊圧ならどんなに些細でも感じ取る自信があった。


 「村木除霊事務所代表、村木隆志! 要求通り来てやったぞ! 娘を返してもらおうか!」


 メリハリの利いた低音の大声に、一瞬だが男…村木の顔が引き攣る。潜在的に残っていた彼への恐怖が、表に出たようだ。かおりは村木が例の薬を汗ばんだ手に握りこんでいるのを見て取り、鼻で嗤った。


 「何を笑ってやがる!!」

 「…別に。哀れんでいるだけよ」

 「…! その口、親父の次に利けなくしてやるからな」


 虚勢を張る姿が尚更おかしくて、足早に出口方向へ向かう村木の後姿を、かおりは失笑で見送った。

 …そして、不意に眉を上げた。次いで唇の端だけで小さく笑みを零す。


 「おら、立て!」


 先ほど髪を掴んだ大男が、またかおりに手を伸ばしてくる。

 が、かおりはそれを許さない。お気に入りの洋服が埃に塗れるのも我慢して、縛られた身体を転がし大男から逃れる。
 焦った大男が手を伸ばすより早く、こちらを向くため無防備に開いた両足の間へ…かおりは揃えた爪先を叩き込んだ。屈めた両足をバネのように撓め、勢いよく突き刺す。
 声も無く悶絶し白目を剥いた大男は、膝を落としてかおりの射程にその顎を入れた。
 再び撓められた爪先が、さっきよりも鋭角に大男の顎を抉り脳を揺らす。


 「何から何までお粗末な連中ね…数珠が無いと只のガキですって? 私を誰だと思ってるの? 六道女学院霊能科主席・弓かおりよ!」


 縛られ、横倒しになったみっともない格好ではあったが、かおりは敬愛するお姉様の口上を真似して悦に浸る。
 そのままよじよじと大男の持っていた小さなナイフを拾い、後ろ手で苦労しながらもロープを断ち切った。


 「さて、と…いるのでしょう? 雪之丞」

 「…気付いてやがったか」


 かおりは、雪之丞の霊圧ならどんなに些細でも見落とさない自信がある。
 危険を冒して大男を倒したのは、彼の霊圧を感じたからだ。それと同時に次々と減っていく周囲のチンピラ達の気配。
 油断し切っている大男一人なら、かおりだけで対処出来た。
 かおりが服の埃を叩き落としながら部屋の奥へ視線を向けると、影が染み出るように…黒い何かが気配ごと湧き出した。


 「音も気配も一切立てずに部屋中の敵を排除するなんて、流石は雪之………」


 潜入工作は本来、雪之丞の得意なジャンルでは無い。真正面からブチ当たりブチ破る、正々堂々とはまた何かが違う彼独自の美学で動くのがかおりの知る雪之丞なのだが。

 だからまあ、分からないでもない。

 でもないが、どうして。


 「…なんでマスクなんか被ってるのよ貴方は」

 「!? 顔隠すのは潜入の基本じゃねえの!?」


 驚愕に彩られたに違いない表情を、どこぞの戦隊ヒーロー物のマスクで隠した雪之丞。
 大げさに彼がよろけるのを、かおりは冷めた目で眺めた。
 とはいえ、心中に燻っていた不安が彼の登場で消し飛んだのは事実だ。ぶっちゃけ父の霊圧を感じた時よりも、安心感があった。


 「ほらよ、これ。大切なもん盗られてんじゃねえよ」

 「私の数珠…これで仕返しできるわ」

 「お前なあ……もうちょっとこう、囚われのヒロインぽくしてろよ。助けた甲斐が無えだろか」

 「私だって怪しい仮面の人に助けられるとは思ってなかったわよ! 素顔ならもっとこう、やりようもあるのに…」


 かおりの脳内では、颯爽と現れて自分を解放する雪之丞に抱きつき、感極まったところでこう、恋人らしい箇所…具体的には唇とか唇とか唇とかにキスをする光景が浮かんだり…

 が、現実は無残である。


 「あーうるせえうるせえ。さっさと旦那と合流すんぞ。残ってんのは村木の野郎一人だからな」

 「村木……ああ、なるほど。お父様の仕事の邪魔をしたとかいうGS事務所の」

 「…ま、もうちょっと裏がありそうだけどな」


 マスクの下でどんな表情をしているのか、雪之丞はかおりに背を向けるとぽつりと呟いた。


 「…どこも怪我とかしてねえな?」

 「え、あ…………うん」

 「…そうか」


 マスクの下でどんな表情をしているのか…今度はかおりにもすぐに分かった。安堵感からか、目に見えて体から力が抜けた様子が窺えたから。
 かおりは薄く微笑むと、雪之丞の小さいんだか大きいんだか分からない背中を張り飛ばし、彼の弛緩した雰囲気を窘める。

 もう、言葉はいらなかった。

 かおりは雪之丞と肩を並べると、数珠を首に掛けて霊気を整えた。いつでも全力を出せるように。彼の背中を守れるように。


 弓かおりの胸に、不安はもう…どこにも無かった。


 「見たか!! これが魔装薬の力…俺の力だ!!」


 村木が纏ってみせた魔装術を見て、一徳は改めてその危うさを再認識していた。

 一徳が除霊するまで、この廃ビルは定期的に悪霊が湧き出す一種の霊的スポットの様相を呈していた。地脈や霊相との兼ね合いで、抜本的な改善策を施さない限りは状況が変わらない…けれど、GS側にしてみれば定期的に需要の起こるおいしい場所でもある。
 村木GS事務所は最初にここの除霊を行ったGSで、それ以来一月に一度程度の割合で除霊を適度にこなし、報酬を手にしていた。
 対症療法では限界があるのを知りながら、彼らは依頼人に対して延々と虚偽の報告を続けていた。素人相手と高を括り、適当な説明でお茶を濁して。

 その性根の悪さが、村木の魔装術には現れている。ぐずぐずと気色悪い霊気の鎧は、なるほど魔族が齎す力に相応しい。


 「醜いな」


 見るに耐えないとばかりに笠の縁を目深に下げ、一徳は村木の姿を視界から排除した。瘴気のような霊気の波動も気色悪い限りである。


 「その醜い俺に、お前はぶちのめされるんだよ。娘を無傷で返して欲しかったら…」

 「ああ待て。村木さん、あんたもプロのGSなら今の状況を認識出来るだろうに」

 「ああ? 状況も何も、弓一徳、お前を半殺しにするのは決定事項だ。娘の見てる前で手足をぐちゃぐちゃに潰されてな!!」

 「……まともに霊視も出来んのか。…ふむ、これも一つのチャンスだな。今日は夢が叶う日だ…」


 一徳の意味不明な台詞に、村木は顔を歪めた。冷静に見えても、実は娘を人質に取られたショックで錯乱してるな、と…全く的外れな結論に至る村木。
 一徳は錫を持っていない方の手で、村木の背後を指差した。

 そして言った。


 「志村ー、後ろ後ろー」


 棒読み甚だしいふざけた言葉に対し、村木は唾を吐き捨てることで答える。イカれた親父には、もう用は無いとばかりに。


 「もう死ね。抵抗したら娘を殺すから、下手な真似はする、んじゃ…あああああああああああああ!?」


 魔装した昂揚感と、一徳に借りを返せる歪んだ達成感から、村木の霊圧は自分史上最大にまで上がっている。一流どころとタメを張れると自負出来るくらいに。

 けれど、その自負は唐突に背後に現れた巨大な霊圧のプレッシャーによって、瓦解した。


 「何だ…な、何だ本当に何だお前えええええええ!?」

 「失礼な奴だなあオイ…正義のヒーロー・タオブラック様に向かってよ」

 「名前あったのねソレ…」


 恐怖心の赴くままに背後を振り返った村木の目に、成分の八割は怪しさで出来ているようなマスク姿の男が飛び込んでくる。ぼろぼろのシャツとスラックスに、黒いヒーローのマスク。本能的な恐怖を呼び覚ます装いに、村木はパニックに陥った。
 マスク男の隣で呆れ気味の声を出すかおりにも気付かない。


 「弓の旦那、中の連中は始末してきたぜ。残るは親玉だけだ。ついでにオカGにも通報した」

 「見事な手際だな。私と別れてものの十分か…超一流とは、何とも凄まじい」

 「な…!? あ、うえ、ガキが何でここに!? 部下どもは…あ、あああ!?」

 「三流は何とも見苦しいわね。お父様、申し訳ありませんでした。闘龍寺の名に泥を塗ってしまって…」

 「元はといえば、私の不始末だ。かおりよ、まだまだお互い修行が足りぬな」

 「精進致しますわ」


 娘のこの落ち着きっぷりは、隣に並ぶ雪之丞のせいか。どうやら深い部分で繋がりあっているらしい若い二人に、父親としては一抹の寂しさを感じて一徳は肩を竦めた。


 「旦那。そういや、俺も一生に一度は言ってみたかった台詞ってのがあったのを思い出してよ。ここで夢を叶えてもいいかい?」

 「聞かせてもらおうか」


 錯乱して声にならない奇声を洩らす村木の胸倉を掴んで、雪之丞は精一杯ドスを利かせた声で言った。やや芝居がかった、だが、ある意味とても似合う台詞を。


 「『人の女に手え出してタダで済むと思うんじゃねえぞダボコラハゲがぁ?』」


 …弓親子も、言われた村木までがその台詞を聞いた瞬間に一つの単語を脳裏に思い浮かべた。


 「……チンピラかよ」


 代表して発言したのは、錯乱状態から我に返った…村木だった。
 魔装術とマスクで良く分からないが、確かにその時、村木は雪之丞の眼を見て言った。

 シュールな光景に場が冷える。


 「…あ? 何だこの空気」

 「雪之丞……それは正義の味方が言うような台詞じゃないわ。子供の夢、大崩壊よ」

 「鉄砲玉か君は」

 「!? 決め台詞のお約束じゃねえのコレ!?」


 弓親子の冷徹なツッコミに震える雪之丞。彼にとっては映画のクライマックスで主人公がニヒルに呟くのと同等の格好良さがあったらしいがー、伝わらない。伝わるわけが無い。


 「ふ、ふざけんなあああああああああああああ!! こうなりゃ俺の魔装術で…!!」


 雪之丞の絶叫で我を取り戻した村木が、足を縺れさせながらもマスク男から距離を取り、自分を鼓舞するように叫んだ。自分が支配していた筈の空気がおかしな方向に除けられ、冷静な判断力も失っている。
 それまで以上に高まっていく霊圧を見て、一徳が数珠に手を掛けるのを、雪之丞が制した。
 村木の霊圧は高まる代わりに、徐々に蝕まれている。魂を魔装に削られた者の末路を、雪之丞は痛いほど良く知っていた。
 力に呑み込まれ、人間ですらなくなった修行仲間。
 力を呑み込んだが故に、人間としての死すら迎えず滅びたおと…否、オカマ。
 雪之丞の末路が二人と重ならなかったのは、美神達との出会いがあればこそ。そして当然、傍らの少女の存在も。


 「…そのくらいにしとけ、お前。代わりにいいもん拝ませてやっからよ」

 「どいつもこいつも馬鹿にしやがってええええ!! 俺だって力さえありゃあチンケな詐欺なんぞしねえ!! この力で、この力で…!!」


 村木の霊波の鎧が、原型を失い始める。ちらちらと垣間見える手足の色が毒色に染まり、爪が歪に伸びていく。


 「陳腐な物言いで悪いが、見せてやる――――――


  真の『魔装術』をな」


 タオブラックのマスクを外した素顔が、再び仮面に覆われた。

 顔だけでなく全身が、村木の魔装は勿論、一徳の水晶明王とも比べ物にならないくらいの霊的密度でもって鎧化する。

 正に雲泥の差。幼稚園児の粘土細工と、人間国宝の陶芸ほども技術の洗練度に違いがあった。

 一片も無駄が無く、一部の隙も無く…雪之丞の魔装術は完成する。

 妖気に近い霊気を垂れ流す村木と違い、雪之丞の魔装術は静かだ。ただ、静電気の爆ぜるような緊張感だけが場を支配している。そこにいるだけで、村木の姿など眼中に入らないだけの存在感を持っていた。


 「…お前の求める力の先なんて、高が知れてる。精々こんなもんだ。百回死ねる程度の修行すりゃあ、お前だって身に着けられるぜ?」

 「くああ、あああ、あああああああ……」


 自嘲気味に、誰に聞かせるでもなく呟かれた雪之丞の言葉は、既に理性を失いつつある村木に届いたのだろうか。
 雪之丞は仮面の下で口許を歪めると、弓親子の目にも映らぬ速さでもって村木の懐へ滑り込み、極限まで手加減した霊波砲の一撃を至近距離から見舞った。
 綺麗に霊波の鎧を吹き飛ばされた村木は、辛うじて人間のままでいた。手足の変質は、適切な治療を行えば元に戻るだろう。
 意識を失い、倒れこむ村木を…雪之丞は前蹴り一発で廃ビル内へ叩き込む。村木GS事務所の面子が気を失っている、二階の部屋へと。


 「終わりだな。オカGの連中が来る前に撤収しようや。事情聴取なんざ御免だ」

 「強く、なったわね」

 「ああ? さっきも言ったろうが。こんなもん、死ぬほど修行すりゃあ誰でも到達出来る。かおり、お前でもな」

 「…遠慮するわ、流石に…って、雪之丞、貴方顔ぼっこぼこ…」

 「ああ、私が付けた傷だな。かおり、家で手当てして差し上げろ。母さんにも紹介するから、心積もりをしておくように」

 「ええええ!? ちょ、お父様!? それって何だか弓家的に大事なイベントになってませんか!? まだ、まだ早いですわ!?」

 「伊達さん、いや、雪之丞君。晩飯をご馳走するから、寄っていきなさい」

 「お、有難え。財布が空っぽなもんでな…今日もダチんとこにたかりに行こうかと思ってたんだ」


 具体的にはバンダナ巻いた悪友のところに。


 「そういえば雪之丞…貴方、結局何をしに家に来たの? 私に用があったのよね?」

 「あ? ………ああああああ!? しまった、上着捨てちまったあああ!?」

 「あそこのゴミステーションに捨てた服か? 残念だが、今の時間ならとっくに収集車に持っていかれてるな」

 「? 上着と用事にどんな関係が…」

 「くはああああああああああ…………」


 …捨てられた上着のポケットに、無造作に突っ込んであったもの。

 雪之丞が武者修行の旅の最中に立ち寄った、オカルト技術立身国、ザンス王国。

 彼の国で見つけた、透き通った紅色の珍しい精霊石。

 速攻で買い取り、指輪に仕立てて常に持ち歩いていた。

 いつか、かおりに手渡そうと…ついでに、そう、あくまでついでだが…今まで一度も言ったことの無い台詞も、同時に伝えようと考えていた。


 今となっては、詮無き事この上ないが…


 「…まあ、いい。まだそういう時期じゃねえんだ、きっと。時間はあるさ」

 「何なの、気持ち悪い…お父様に殴られて脳の配線に異常が?」

 「困るな、将来弓家の跡取りになるかも知れんのに」

 「お父様!? やっぱりそんな話をするつもりで…!!」

 「まだまだ俺は弱え……今の百倍修行して、自信つけてから再挑戦してやらあ…にしても高かったんだぞアレ……くそ、村木の野郎にもうちょい憂さ晴らしするんだったな…」


 この後。

 雪之丞にタオブラックマスクを届けたタオピンクとかおりの間で、噛みあわない論戦が始まったり…
 闘龍寺境内に村木が雇ったチンピラ十数名が伸びており、それをやったのがかおりの母と知って雪之丞が戦慄したり…
 魔装薬の出所が最近密入国してきたという稀代の闇商人…魔填楼であると、春乃の情報で判明したりしたが…

 それは別のお話。


 「おいピンク!? 何でお前まで飯食ってやがる!?」

 「主任の彼女さんと朝まで生討論の約束したんです! 議題は『伊達主任の気持ちは誰にあるか!?』と極めて直球です!」

 「いいのかかおりいいいいいいいっ!?」

 「はん! 売られた喧嘩は買うのが弓かおりよ!! 全力で叩き潰す!!」

 「はっはっは。かおりは負けず嫌いだからな」

 「いいのか旦那あああああああああああっ!?」

 「弓家の将来に関わる大事な話だ。きっちり決着を着けるがいいさ」

 「はいお父様! 闘龍寺の誇りにかけて!!」

 「私も負けません! あの熱い一夜を忘れたとは言わせませんよ伊達主任!」

 「仕事で徹夜しただけじゃねえかあああああああああ誤解を招く言い方すんなああああっ!!」

 「隅に置けないな、雪之丞君も! かおり、私は信じているぞ?」

 「お父様の信頼に応えるためにも、私は必ず勝ってみせます!」

 「だあああああああかあああああああらああああよおおおおお…」


 「…食事中は、お静かにね?」


 「「「「ごめんなさい許して下さい」」」」(土下座)


 伊達雪之丞の長い一日は、まだ終わらないようだった。


 終わり


 後書き

 竜の庵です。
 雪弓後編をお送りしました。もっと戦闘シーンを派手にやらかすつもりでしたが、パワーバランスが余りに酷くて、まともな戦闘になりませんでしたな。課題ばかりが山積中。
 投稿頻度もガタ落ちですね……スランプ本編は勿論、短編も書きたいしなあ。忙しいのも功罪ありきです。一週間に一編はもう無理。


 ではレス返しです。


 February様
 腕は、水晶観音でした。いあ本物なら流石に親父さんもああまでクールじゃないでしょう。雪之丞にとっては同じ意味であった、と。ぼかしてぼかして…上手くない方法でした。
 大暴れさせるには、敵が弱すぎた…現状、全力の雪之丞の相手が出来る人間はレギュラー陣でも一部にしかおりません。神魔族を含めれば増えますが。


 内海一弘様
 表現が曖昧だったので、バイオレンス指定を付けさせて頂きました。腕。
 雪之丞を暴れさせられる舞台は、本編で整えておりますれば…もう少々お待ちを。派手にやりますので。


 kazucq様
 後編、kazucq様の御眼鏡に叶いましたかどーか…褒められると臆病になる作者です。緊張感溢れる展開!! とか大手を振って言えればいいんですけど。
 外伝も本編も、物語の芯がしっかりしてないと駄目ですね。思い知りました。もっと褒めてもらえる文章を目指し精進致します。


 柳野雫様
 冥子編はああいう形で色んなものに決着を着けましたが、ころめの処遇は最初から決まってました。アリかなあ、と悩みつつですが。ハッピーエンドと受け取ってもらえたなら成功ですね。有難いことです。
 結果として、二人の形は変わらず、と。ゆるゆるとお互いの関係を深めていってほしいものです、雪弓は。


 以上レス返しでした。皆様有難うございました。


 今回レス返しをしてて気付いたのですがー…19からずーっとレス数4が続いておりました。大変有難いんですが、何だろうこの死(4)のロード。何かの伏線か!
 で、次回。魔填楼編が始まります。別名犬神編と称して、出番のほとんど無かった人狼妖狐のお二人に頑張ってもらいますよ。主役主役ー。
 軽くあらすじを冒頭に入れようかとも思ってます。自分でも物語の状態を確かめるために…

 ではこの辺で。最後までお読みいただき、本当に有難うございました!

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