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▽レス始

「リスタート 第一話(GS)」

(´ω`) (2007-05-05 00:22/2007-05-05 00:26)
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――恋は実らなかったけど・・・私達、何も失くしてないわ


ああ


――魔族に生まれ変わりは別れじゃないのよ


またこの夢か


――今回は千年も待ってた人に譲ってあげる


おまえはそう言うけど


――パパ


それでも俺は


・・・・・・・・・シマ――


お前が隣に居て欲しかったよ


・・・・・・ヨコシマ――


ルシオラ


「ヨコシマ!」


―――リスタート―――

    第一話


「ヨコシマ!」
「「忠夫!」」


ああもう煩いな

せっかく久しぶりにルシオラが夢に出てきてるんだから
もうしばらくいい夢見させてくれよ

「ヨコシマ!」
「忠夫!・・・母さんやっぱり救急車を」
「わ、わかったわ」

ああもう親父もお袋もルシオラも煩いなぁ・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・ルシオラ?


―――ガバッ!


「ヨコシマぁぁぁぁぁ!」

涙目で微笑むルシオラが妙にリアルな感触を伴って背中から抱きついてきた

「忠夫!大丈夫なのか!?い、いや、それよりもそのお嬢さんとは
一体どーゆう関係なんだ!?
忠夫のクセに生意気「・・・アナタ?」イヤ忠夫トニカク気ガツイテヨカッタヨカッタ」

「・・・ルシオラには有り得ないおっぱいの柔らかな感触に
何故か若返ってる親父とお袋・・・・・・まだ夢の中か」


―――ピシリ


「だ・れ・が・若返ってるって〜?」

前方からはドス黒い灼熱のオーラを放つグレートマザー百合子

「・・・何がありえないのかしら?ヨコシマ?」

背中からは絶対零度の気配を漂わせる魔王三姉妹の長姉ルシオラ

「あああああああっ!夢なのになんで脂汗がっ!?
しかもあったかくて柔らかいハズの背中がものごっつ冷たいっ!!
いったい何が夢で何が現実なのかっ!?
こーなったらぼかぁーもう何故か柔らかいルシオラの胸の中で
ワンスモア・スゥイィートドリーミんぶべらっ!」

「意味不明な言動でセクハラするんじゃないバカ息子!!!!」

「"何故"か柔らかくて悪かったわねっ!!!!」

前後から突っ込みを入れられ頭から"しゅうしゅう"と音を立てて横島は沈黙した

「あー百合子もそっちのお嬢さんもそろそろいいかな?」


いきなりの超展開を避難しつつ傍観していた横島家の大黒柱・横島大樹が
逝かれる夜叉に声をかけた


「で、だ忠夫。説明して欲しいことが山ほどあるんだが、
まずそちらのお嬢さんはお前の知り合いでいいのか?」

あの後30秒程で復活して人外ぶりを見せ付けた横島だが
見慣れているのか両親は華麗にスルーして応接間のソファーで
忠夫と見知らぬ少女と向かい合っていた

「ああ・・・彼女はルシオラ。俺の命の恩人で・・・恋人だよ」

「ヨコシマ・・・」

少しためらいがちに、しかしハッキリと横島は両親に告げた

「こ、恋人ってその、ルシオラさん、だったかしら?その人はどう見ても
お前よりずっと年上じゃないの?それに命の恩人って・・・」

「その件に答える前に一つだけ質問があるんだ」

「「質問?」」

「今は何年何月何日で俺は何歳だ?」


天使が通り過ぎたような軽い沈黙が応接間を支配した

「忠夫?おまえやっぱりどこか悪いんじゃ「大事なことなんだ」・・・・・・」

「頼む」

ミニ四駆をやりたいと頼み込んできた時も忠夫なりに真剣だった
だが今のこの真剣、いや真摯さはなんだ?こいつは何時から
こんな顔ができるようになった?
隣に座る少女を気遣う雰囲気はどこで覚えた?
俺はこいつの父親というポジションでこいつを見守ってきた
だから断言できる
今のこの忠夫とほんの数時間前の忠夫が繋がらない
別人だというんじゃない、でも何かが繋がらない

「忠夫、おまえ・・・」
「今日は平成XX年の3月2日で4月からおまえも中学生でしょう?」

「百合子・・・」
「お袋・・・」

「あなた、この子は間違いなく私がお腹を痛めて生んだバカ息子よ」

真っ直ぐに大樹の顔を見つめ、揺ぎ無い口調で百合子は断言した

「母親が息子のことをまちがえるもんですか」

「父親だって自分の息子のことは間違えんさ」

そういって横島夫妻はお互いの顔を見比べてどちらからともなく吹き出した

「さて質問が終わりなら今度は俺達の質問にも答えてくれるか?」

「一気に5年も飛ばされたんか・・・道理で周りが妙に大きくみえるハズだ・・・
文珠で解毒されたのは確かだけど間に合わずにここまで・・・」

「忠夫?」

「ああごめん、・・・えーっと・・・今から説明するけど
その前にまず見て欲しいモノがあるんだ」

「見て欲しいもの?」

「何をみせてくれるんだい?」

「ゴーストスイーパーって知ってるか?」

「妖怪とか幽霊を退治するあのゴーストスイーパーの事か?」

「そう、そのゴーストスイーパーが使う力が・・・出てくれよ・・・」

キィィィィィィィィン・・・・・・

横島の右手が輝きを放ち始めた

「「なっ!」」

突然の出来事に思わずソファーから身を乗り出す大樹と百合子

横島の右手から放たれる光はやがて収束し光が収まると
そこには淡い光を放つ六角形の板の様なモノが現れた

「霊能力だ」

「霊能力ってお前いつからそんな力が・・・百合子、お前は知っていたのか?」

「い、いいえ、私だって今初めて・・・」

「サイキックソーサーが出せるならコイツも出せるはず・・・よっと」

六角形の板――サイキックソーサーが瞬時に消え失せたかと思うと今度は
横島の右手が篭手の様なもので覆われた

「こいつが栄光の手・・・ハンズ・オブ・グローリー」

最早言葉もないという感じの夫妻

「そして最後にもう一つ・・・頼む、出てくれよ」

ハンズ・オブ・グローリーを戻して目を瞑り精神を統一して霊力を集中する右手を
それまで黙って見ていたルシオラが優しく包み込んだ

「ルシオラ?」

「いまのお前の霊力じゃ無理よ。栄光の手だってかなり無理してたでしょう?
だから私の力を少し分けてあげる」

「分けるって大丈夫なのか?それにお前どうやって復活できたんだ?
いや、勿論物凄くうれしいんだけど・・・」

更に何か言い募ろうとする横島の唇をルシオラは人差し指で優しく封じた

「それを説明――推論でしかないけど――するためにも私も力を貸してあげる。大丈夫
私も今は7割ぐらいの力しか無いけどあくまでも私の力を触媒にするだけだからもう
"あんな事"にはならないわ。約束する」

そう約束するルシオラの瞳にはあの時――東京タワーで見せたような儚げな灯火ではなく
何か横島を安心させる輝きが宿っていた

「ルシオラ・・・」

「ね?」

「わかった、じゃあキッチリ成功させるためにも・・・
その柔らかな桃源郷から直接力をーっ!!!!!」

「真面目にやりなさい!!!!」

今までのやり取りを無視するかのようなル○ンダイブを迎撃して
ルシオラはさっさと横島に力を送り込む

ルシオラから送り込まれた魔力を横島が収束し先程よりも更に眩い光が生まれ
それは一つの奇跡の力を生み出す

「出来た・・・」

「な、なんだそりゃ?ビー玉か?」

「それもお前がつくったのかい?」

横島の掌に転がるビー玉――

三界でも稀有な奇跡の神器

文珠がそこにあった


「口で説明するより見てもらった方が早いから今から俺の記憶を見せるよ」

そう言って横島は念を込めると文珠に一つの文字が浮かび上がってくる


    "伝"


時間にすればほんの一瞬であったのだろう

だが大樹と百合子にはその一瞬が体感時間として何日何年にも感じられた筈である


スパイとして送り込まれ人類の敵の手先として働く日々

その日々の中で敵同士という垣根を越えて紡がれる心の交流

絶体絶命の危機を契機に惹かれあう心と夕日の抱擁

自らの存在を秤にかけて尚も貫こうとした慕情

その慕情に応えるが為の荒行

仮初の、しかし砂金の粒よりも貴重だった一時の平穏と破綻

夕焼けの東京タワーの別離

委ねられた究極の選択

自分の恋人か世界か

そして選択された世界

訪れる永き別れと人類の勝利

その掴み取った平和の中で日々を暮らす横島忠夫

そして訪れた運命の悪戯


ほんの一瞬であったがそこには息子と少女の全てが記されていた


「百合子・・・今のは・・・?」

「アナタも見えた・・・の?」

一瞬虚空を見据えていた両親の瞳が元に戻ると今見たモノを
お互いに目と目で確認し合う


「忠夫、今のもその・・・お前の霊能力って奴なのか?」

「ああ、正確には将来目覚める筈だった力だ」

「あの映像の中の高校生位の男の子はお前・・・なの?」

「17歳の横島忠夫だよ」

「てことは予知夢か何かか?」

横島は首を横に振って否定する

「いま親父とお袋が見たのは将来起こる"かも知れない"現実で・・・
"俺"にとっては既に経験した"過去"なんだよ」

「じゃああの映像は現実に起こったこと・・・なんだな?」

「・・・ああ」

「そうか」

そう言って大樹はソファーに背を預けて天井を見上げたが
瞼に写っているのは天井などではなく先程頭の中で繰り広げられた
息子の"現実"であった

荒唐無稽というには余りにもリアルであり
それでも信じ難い映像であったが――
それよりも大樹にとって重要だったのはあの映像――

恋人か世界か

そんな選択はドラマか映画の中でしか存在しないもの

現実に存在してはならないもの

だがその選択を現実に強いられたのが自分の息子だという

信じたくないが大樹の中で何かが繋がった

先程見せた真剣さ、真摯さ

やっと中学に上がろうかという忠夫には望むべくもない
それらがあの映像を見た大樹の中でパズルのピースのように
しっかりと組み合わさった


「わかった」

「「へ?」」

ハモった様に声を合わせる忠夫とルシオラ

「わかったって何が?」

「あの映像が本物でお前が正真正銘俺と百合子の息子だって事がだよ」


不思議な物でも見たようにポカンと大樹を見る


「なんだその顔は?信じてやったんだからもう少し他のリアクション
があるだろう」

「い、いやだっていきなりあんなモン見せられてハイそうですかって
信じてくれるとは思わないだろフツー。そ、それにお袋はどうなんだよ?」

「さっき言っただろう?お前は正真正銘私がお腹を痛めて生んだバカ息子だって」

なにをバカな事をと言いたげな目で見る百合子

「それよりも・・・」

にわかにリビングの気圧が下がり百合子を中心に発生した形容し難い
プレッシャーが横島に向けられる

「さっきから母親をお袋呼ばわりとは随分成長したもんだねぇ・・・忠夫?」

「ヒィッ!!!」

「自分の母親をお袋と呼ぶのはこの口かっ!!」

しなやかな百合子の指が万力もかくやという力で横島の頬を左右に引っ張る

「もーひわへあひまへんおはーはまっ!!」
※訳(もうしわけありませんおかあさまっ!!)

「よろしい」

パチンと音を立てて元に戻った頬をさする横島を尻目に百合子は
ルシオラに向き合った

「ルシオラさん、だったかしら?」

「は、はい?」

いきなり話を振られて何故かピンと背筋を伸ばしてしまったルシオラに
百合子は深々と頭を下げた

「あ、あの?お母様?」

いきなり頭を下げられ訳がわからず困惑した声で百合子に問いかける

「さっきの映像で見たわ。どういう理屈かわからないけど貴女は
死にそうだったウチの息子を助けてくれた。
それも自分の命を引き換えに・・・
こんなバカでお調子者でも私にとってはたった一人の息子です
助けてくれて本当に、本当にありがとう」

百合子はルシオラの手を取りその掌を押し頂いて頭を下げた

「お母様・・・」

「あら、私のことを"お義母さま"と呼んでくれるのは嬉しいけど
お祖母ちゃんと呼ばれるのはまだイヤよ?」

顔を上げた百合子が悪戯っぽい笑みでルシオラをからかう

「えっ・・・そっそんな・・・」

「か、母さん!」

桜色に頬を染めるルシオラと茹蛸のように耳まで赤くする横島

「それにあなた達のことでまだ聞かなきゃいけないことも
あるしね?」

「おお、そうだぞ忠夫。あの映像とお前が本物だということは解ったが
あの映像だけじゃ正直解らないことも多いしそれに・・・」

「それに?」

「見たところあの映像の中でルシオラさんは死んでしまったのだろう?
なのになぜ今ここにいるのかその辺の説明もちゃんとしてくれないか?」

「それは私から説明します」

「ルシオラ?」

「大丈夫よ、ヨコシマ。私に任せて」

「じゃあまず君のことから聞いてもいいかな?」

「はい。私に答えられる範囲の事でしたら」

「まずその・・・息子の命の恩人に対して失礼な言い方になるかもしれないが
君は人間・・・ではないようだが?」

「親父っ!」

大樹の不躾な質問に対して色めき立つ横島を手で制するルシオラ

「いいのよヨコシマ・・・・・・はい、仰るとおり私は人間ではありません
・・・・・・魔族です」

伏し目がちにしかしルシオラはハッキリと自分の正体を告白した

「成る程・・・で、次の質問だが・・・」

しかしあっさりスルーして次の質問に移る大樹

「だあぁぁぁっ!」

「なんだ忠夫、騒々しい。お前にはあとでキリキリ吐かせるから大人しくしてろ」

「何を吐かせるっちゅーねんっ!ってそうじゃなくてあっさりスルーかよ!?」

「何だそんな事・・・こんな美しいお嬢さんなら妖怪だろうが幽霊だろうがそんな
ケチくさい事を問題にすること自体が間違いだろうが。
・・・ああ話の腰を折って済まなかったね。で、次の質問だが君に姉妹はいるかな?
出来れば年の少し離れたお姉さんだと嬉しいんだgぐぼぁっ!!!」

「「ひぃっ!」」

大樹の脇腹(レバー)に百合子の黄金の左が杭のように打ち込まれ
大樹は口から黒い血と呻き声を吐いて沈黙した

「ほほほ・・・ごめんなさいねルシオラさん。うちの人って少し妄言癖があるけど
気にしないでね?」

額に井桁を張り付かせ、返り血を浴びながらもにこやかな笑顔で対応する百合子に
横島とルシオラは抱き合って濡れ鼠のように震えながらガクガクと首を縦に振った

少し出ちゃった、と横島とルシオラは後に述懐した
何が出たのかは本人達の名誉の為に伏せておく

その後は百合子の質問に少々怯えの入ったルシオラがハキハキと答えて
和やかという範疇にギリギリ収まる雰囲気で進んでいった


大樹?あ、なんか口から出てる・・・


「なるほどねぇ・・・要するにその時空消滅内服液だっけ?それが貴女が
生き返るきっかけになったって言う事でいいのかしら?」

「はい、ヨコシマの霊気構造の7割は私のそれで補っていましたがこの時代の
ヨコシマは霊気構造は欠損していませんから私の霊気構造は余分なモノ・・・
異物として身体が認識してしまったので」

「貴女は忠夫の身体から追い出されたって事?」

「あくまで私の推論ですが・・・」

「ふーん・・・正直霊気構造やら魂やらって言われてもよく解らないけど
忠夫にも貴女にも別に差し障りは無いんでしょ?
なら特に問題無いんじゃないかしら?」

「ヨコシマ、身体に何か違和感とか感じる?」

「ん〜、特に違和感とかは感じないぞ?霊気が練りにくいのはこの身体じゃ
当然だしな。ルシオラはどうなんだ?」

「私も特に問題ないわ。ちょっと力が落ちてるけど、7割の霊気構造で
復活したんだから当たり前だし時間が経てば自然に回復する範囲よ」

「ならめでたしめでたし、でいいじゃない」

百合子はそう言っていつの間にか淹れてきた紅茶を一口啜った

「それで忠夫、お前はこれからどうするんだい?」

「どうするって何をだよ?」

「ルシオラさんの事も含めて今後どうするのかって事よ。お前に霊能力が
あるのはよく解ったけど、お前はまたゴーストスイーパーになるのかい?
せっかくのチャンスなんだから他の道だって開けてるんだよ?」

百合子はルシオラ達からこうなった経緯や原因等は細かく聞いたが
未来の出来事に関しては自分達の事も含めて殆ど聞かなかった。
それを不思議に思った横島はさりげなく話を振ってみたが百合子は止めた。

「未来っていうのは過程の結果に過ぎないわ。過程をすっ飛ばした結果なんて
私も父さんも欲しくないのよ。だからお前も私にとってはただの12歳の
バカ息子よ」

そう言って紅茶の香りを楽しんでいた百合子の顔が少しだけ寂し気だったのが
横島の心に小さな棘を刺したが、あえて表には出さなかった
出せばこの母の心にも棘を刺してしまうから――

横島は顔を少し俯かせた

「俺さ・・・ルシオラにもう一度会えてものすげー嬉しいんだ。今なら
分かる。吹っ切ったつもりだけどやっぱり嘘だったんだって・・・
ルシオラが隣にいるってだけでこんなにも心が弾んで、
事故みたいな事でここにいるって事すらも感謝したい位なんだ。
あの時世界を選んじまった俺にもう一度チャンスを与えてくれて
ありがとうって、ルシオラと一緒にいる事を赦してくれて
ありがとうって、だから・・・だから俺はこのチャンスを最大限
生かそうと思ってる。今度こそ俺は世界じゃなくルシオラを選ぶ。
その為にも」

隣にいるルシオラの手を無意識に握っている事に横島は気づかなかった
その表情にも――

「その為にも俺はゴーストスイーパーになる。世界の為なんかじゃない。
ルシオラの・・・惚れた女の為に俺はこのチャンスを使う」

そこには決意を秘めた男の顔があった

「ルシオラ?」

「もう少しこのままでいさせて・・・今の私、すごく変な顔・・・
してると思うから・・・」

横島の肩に顔を埋めるルシオラの肩は小さく震えていた

嬉しかった。ここまで言ってくれる人が自分にはいる――
そう想うだけでルシオラは目頭が熱くなって我慢できなくて
そんな顔を横島に見られたくないから12歳の横島の小さな
肩に顔を埋めて見られないようにして――泣いた

百合子はそんな2人を優しい――
母親の顔で見守っていた

貴女が忠夫をここまで言える男にしてくれたのね――ルシオラさん

紅茶を飲む振りをして百合子は顔を隠した
――涙が零れないように


大樹も俯いて無意識に歯を食いしばっていた


魂が逃げないように


  続く

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