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「闇に染まる 第十八話(GS)」

アイク (2007-05-01 00:26)
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―第十八話 口は災いの元? ―

中国の奥深くの様に周りを険しい山々に囲まれ、その一部の頂上に位置する神族の修行場妙神山。
並の者ではその門を潜る事は決してなく、修行で命を落とす者も出る厳しい修行場でもある。

当然その門を守る者は存在する。彼等は・・・

「暇じゃのう左の・・・」

「口に出すでない・・・余計に暇と感じるじゃろうが・・・・・・」

門を守る2体の鬼門は途轍もなくヒマだった。
当たり前だろう。並の修行者では妙神山に来れるかも分からず、
生き残る事が出来ればその力を飛躍的に大きくする事が出来るとはいえ、死ぬ確立の方が圧倒的大きく、
厳しい修行場に行く者は神族に用が有る者や特殊な人種(例:伊達 雪之丞)以外は存在しない。

まして、世はデタント・・・
魔族が進行してくる事はそうそうある事では無い。

そんなヒマな彼等の前に転移してくる者達がいた。

スタッ

「っと・・・へえ、マジ妙神山に着いてやがる」

「だから言っただろう?アレはゲートだと」

彼等の前に現れたのは横島とワルキューレだった。2人は小さな音をたてて着地する。
横島は周りを軽く見渡し、ワルキューレの方を見ながらそう言う。
一方のワルキューレは信じていなかった横島の様子に呆れ気味の様だ。

「おお!ワルキューレ殿!」

「久しぶりですな!それにしても珍しい、我等の前に転移して来るとは」

突然の来訪に鬼門達は驚くでもなく、警戒するでもなくそう言う。
来客に嬉しかったのか、鬼門達の声は少し軽い。
先程までのテンションの低さは無くなり、逆にMAXになっている。

「ああ。それは・・・」

「久しぶりだから一応お前達の顔でも見ようと思ったんだよ(俺が)」

ワルキューレが左の鬼門の疑問に答えようとすると、横島がそう言った。
鬼門の前に出たのは単なる横島の気まぐれだった用だ。
鬼門達は暫らくキョトンと横島を見る。

「おお、ワルキューレ殿もついにご結婚なさるのですか!おめでとうございまする!」

「わざわざ我等にも知らせて頂けるとは・・・感無量でございまする!」

喜色に満ちた声でそう言う鬼門達。右の鬼門なんぞその目から涙を滝の様に流している。
鬼門達の言い分に横島は疑問に思う。
一方のワルキューレは鬼門の言った事にナニを思ったのか、顔を赤くする。

(?何がどうなってワルキューレの結婚に繋がるんだ?)

「ち、違うぞ!私達は・・・」

「しかし、ワルキューレ殿が結婚するとは・・・」

「うむ。小竜姫様もそろそろ嫁に行くお歳。男の影がまったく無いのは問題であろう・・・」

顔を真っ赤にし、否定の意を伝えようとするワルキューレを鬼門達は完全に無視し、
ドコから出したのかお猪口と神酒を取り出し杯を交わしながら、
小竜姫本人が聞けば激怒する様な事を平気で言う。
一口で酔えるのは経済的だが問題は有る。そう、確実に。イロイロと・・・

(???完っ全に、ワケが分かんねえ)

「いや、横島が相手なら・・・」

完全に置いてきぼりをくらう横島。
一方のワルキューレ鬼門の一言で何を思ったのか、真っ赤な顔の小声でそう呟き、
横島に気付かれない様にチロチロと見る。
そんな二人を無視する鬼門達。
どうやら鬼門達は横島が分からなかった様で、
ワルキューレが結婚の挨拶に相手を斉天大聖や小竜姫達に紹介に来たと思った様だ。

横島の顔の造形は悪くは無い。だが、その馬鹿さ加減等がマイナスに働き三枚目キャラになっていた。
人の魅力は中身と言う人がいる。横島の場合はどうか?
普段の馬鹿な部分を有る程度目を瞑るとアラ不思議。
優しさ満点で明るいムードメイカー。更にここ一番で頼りになる男でもある。
その為横島の魅力に気付く者は、気付いたとしても普段の様子になかなか思いを言えないのだ。
実際アシュタロス側から帰ってきた時横島の笑顔やその後に見せた真剣な表情は美神達を驚かせた。

今の横島はマイナスに働いていたオチャラケな部分がかなり減少し、
シリアス風味で真面目な表情な為、
イケメンとまではいかないが、顔もドコに出しても恥ずかしくない程整っている。
しかも今はワルキューレも横島同様魔界正規軍の正装を着ている為、
鬼門達がそう思っても仕方が無い・・・のだろうか?

「そもそも小竜姫様は堅くていかん!あそこまで堅ければ誰も嫁に欲しがらんやもしれん」

「昔はお転婆娘だったんだがの〜」

鬼門達は更にエキサイトし始めた。横島はそんな鬼門の様子に何も言わずただ見ているのみ。

ゾクッ

「っ!?・・・なんだ?」

「小竜姫様、このままでは完全に行き遅・・・」

見ているだけだった横島は突如悪寒を感じた。悪寒に横島は不意に鬼門から目を離す。
左の鬼門が続きの言葉を噤む事は無かった。

ドコァッ!!!

「ぬうぅおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

「ひ、左のおぉぉおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

ドサッ

何故なら轟音と共に吹き飛んだからだ。左の門は崖の下に真っ逆さまに落ちていく。
相棒に起きた突然の不幸に右の鬼門は叫んだ。左の鬼門の体が力無く倒れ、鈍い音をたてた。
余りにも突拍子も無い事に横島は唖然とし、ワルキューレは我に返るも驚愕に固まる。

「右の鬼門!あなたも吹き飛びなさい!」

バキ!ベキィ!

「小竜姫様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ」

右の鬼門はその体ごと谷底へその姿を消していく。
どんどん小さくなっていく鬼門を見ながら我に返った横島は静かに合掌した。

「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・・・・・・・
 誰が・・・誰が行き遅れ間近の貧乳竜神ですか・・・
 大体私が結婚しないのはまだまだ武の道を進みたいが為です。
 でも、でも・・・なんで?やっぱり貧乳がいけないんですか?女は胸だと言うのですか!?

(うっわ〜・・・)

暴走後、暴走中の某人型決戦兵器の初号の如く息を整える小竜姫。
息を整え終わると小竜姫は俯きながら小声でそう言い始めた。
背に背負う空気が真っ黒な瘴気となり暗い雰囲気になっていく。何時の間にか体操座りになっている。
暗い雰囲気に拍車がかかる。
そんな小竜姫に横島は若干引き気味。意図的に視界に入れない様にする。

「ヨ〜コ〜チ〜マ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

ドムッ!

「ぐっ!?・・・ひ、久しぶりだな、パピリオ。出来ればもう少し優しく来てくれないか?」

そんな時、横島に弾丸と化した少女が襲い掛かった。
鈍い音をたてながらも横島は受け止める。3m程後退していた。

「ヨコチマ〜〜〜〜」

パピリオは横島の言葉を完全無視。横島の胸は自分専用と言わんばかりに笑顔で顔を擦り付ける。
横島はパピリオの様子に苦笑いし、抱いたまま優しくパピリオの頭を撫でる。

「♪〜〜〜〜〜」

その手が心地良いのか、猫の様に目を細めご機嫌な様子を横島に見せる。
そんな二人を見るのは小竜姫とワルキューレ。
羨ましいのか、人差し指を第一関節まで銜えいる。
どうやらインパクト時の横島の体がたてた鈍い音に二人とも我に返った様だった。

「「いいなあ・・・!!?」」

(・・・悪夢か?)

異口同音に言った一言に、お互い言った相手が相手なので純粋に驚き、何故か睨み合う。
視線で火花が散っているのを見た横島は見ないふりをする。

「ヨコチマ魔族化しかけているんでちゅね。パピ、びっくりしたでちゅよ?」

「小竜姫様から聞いたのか?」

「そうでちゅ。いきなり倒れたと聞いたんでちゅ。
 下手に人間に戻そうとすれば死んでしまうから、魔界に連れて行ったと聞いたんでちゅ」

「(情報操作か?まあ結構へヴィな内容だから感謝だな)心配してくれたのか?ありがとな」

「えへへへぇ」

頭を撫で終わると、パピリオは心配気味な表情でそう言った。
パピリオが言った事にある程度そう思いながらも、そんな様子をまったく表に出さず、
横島はパピリオの頭を再び撫でる。
パピリオは恥ずかしいのか、照れているのか、ほんのり顔を赤く染めた。

「ヨコチマの目の色、キレイでちゅね〜」

「(そう言えばあの時小竜姫様がそんな事を言っていた様な・・・)
 そうなのか?で?何色なんだ?実は色が変わったのは知っているんだが、何色かまでは知らないんだ」

パピリオは頭を撫でられながら右手で横島の顔に触れながら、その瞳に見惚れる。
横島はそんなパピリオに笑いかけ、そう尋ねた。

「そうなんでちゅか?」

「ああ。実は起きてから2時間もたっていなかったりするんだ」

「そうなんでちゅか・・・まあいいでちゅ。
 そうでちゅね〜・・・・・・オレンジに少し赤を混ぜた様な感じでちゅ」

「へえ・・・そうなのか。まあ後で見るか・・・・・・」

パピリオの言った事に横島は想像してみるもあまりイメージが固まらなかった。
まあ見るのは幸いにも自分の瞳、時間が有る時にでも見れば問題ない。

「ヨコチマ・・・いい加減目を逸らすのは止めて、覚悟を決めるでちゅ」

「・・・・・・人には、認めたく無い事や見たくないモノには自然と目を逸らすもんなんだよ」

パピリオは当然同じ空間に起こっている一種の怪奇な事を知っていたりする。
それと同時に横島がソレを無意識に自分に見せないようにしている事も。

「ヨコチマがそんな難しい事を言うとは思っていなかったでちゅ」

「ほっとけ・・・」

「・・・目を逸らしても現実が変わるワケでもないでちゅよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「見たくないのは分かるでちゅ。けど見ないと何も進まないでちゅよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かったよ」

横島はパピリオの説得に屈し、パピリオを下ろすと覚悟を決め、問題の二人に近づく。

「・・・なあ」

「「なんですか(なんだ)!?横島(さん)!!!」」

二人に声をかけた横島に二人の鋭い視線が突き破りそうな勢いで突き刺さる。
百戦錬磨の戦士、修羅、羅刹・・・
様々な例えがあげられる視線に横島は無意識に後退りしそうになるも、踏みとどまる。

「いい加減中に入りたいんだが?」

「「・・・・・・すいません(すまん)」」

横島は自分に出来るだけ、鋭く睨み返し、腕を組みながらそう言った。
二人には横島の目が怒り心頭の様を伝えている様な気がして、素直に頭を下げる。
パピリオは横島の後ろで手をパチパチと拍手している。

「こほん。さて、入りましょうか。横島さん」

「・・・そうしよう。横島」

小竜姫は仕切りなおしと言わんばかりにワザと咳き込み、穏やかな笑顔を横島に向ける。
それにワルキューレも弁上する。
ワザとらしい仕草に横島は何も言わず、妙神山に入ろうとする。
だが、ふと立ち止まった。

「どうしたんだ?」

「いや・・・小竜姫様?」

「何です?」

思い出した、どうでも良いと感じる事に横島は小竜姫に問いかける。

「鬼門達はどうするんです?」

「鬼門達ですか・・・そうですね・・・・・・」

クスッ

横島の問いに小竜姫は小さく笑った。
小竜姫は笑顔だ。だが、今の小竜姫は危険だと各々の本能が3人に伝えたりする。

「・・・・・・・・・手加減してあげてくださいよ」

「死なせません♪安心して下さい♪」

かなり前、天竜童子が言った事が有る。小竜姫のお仕置きは過激だと。
横島は自分が眠れる竜(有る意味正しい)を起こしてしまった事に後悔気味でそう言う。
小竜姫の笑顔が眩しい。

「それに、簡単に死なせてしまったら意味がありませんよ。
 やっぱりゆっくりとジワジワとやらないと・・・死んでしまったら、直ぐに楽になってしまうでしょう?」

3人は小竜姫の呟きを聞かなかった事にした。


―後書き―
やっとスランプから脱出する事が出来た・・・けど、次は書く時間が無い・・・・・・
かなり、約一ヶ月ぶりの更新です。
なんか、かなりタイトルとミスマッチな作品に成りつつあるな。
次は一週間後位に更新できると良いな〜

最後に、自分はタイトルをつける才能が壊滅的と気付きました。


〜レス返し〜
・皇 翠輝様
 何秒でしょう?実際手を出すかは・・・内緒です。

・TORA様
 一応そうなります。

・ash様
 誤字の指摘ありがとうございます。急ぎで打ったので普通に間違えました。

 横島はいきなり魔王クラスではありませんよ。最終的にはそうするつもりですが。

・February様
 毎度の事ながら誤字の指摘ありがとうございます。

 魔界上層部はナデシコです。しかし、実力のある人間は変わっている所があるのもまた事実と思います。

・アミーゴ様
 タマモの登場は決定しました。
 サッちゃんを軽くしたのはなんとなくですが、好感を持てて頂き嬉しいです。
 私も一応関西人ですから、その考えには同意します。

 事故で怪我をしたとの事ですが、頑張って下さい。

・内海一弘様
 猿神の所まで行けませんでした。
 リッちゃんは、最終話までには登場させる予定です。

・DOM様
 残念ながら、現世の方々はまだ登場させる事は出来ません。遺憾です。
 うちの横島は煩悩を低めなので、微妙ですかね?

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