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▽レス始

「最強の二人・その後(GS)」

ラッフィン (2007-04-27 00:08)
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数日後、冥子は無事に横島家に預けられた。そのときにはすでに百合子は結婚しており、姓が横島となっていて専業主婦として日々の生活を送っている。
冥子を連れてくる過程は徹底して用心に用心を重ね慎重に行われた。その過程を思い出すと乾いた笑いしか出せなくなりそうだが、逆に言うとそこまでしなければならない状態であったという危険性も考えられたのだ。いくら秘密裏だとは言えどこから情報が漏れるかわからないのだから。そのため用心のために一計を投じる。
保育園に通っている冥子を迎えに行きそのまま横島家に移動させ、荷物はその日の夕方に家に送られてくる予定であった。しかし、ただ迎えに行くのでは反冥奈派に何かされる恐れもあることから、まずはいつも通りの車で冥子を迎えに行き、冥子を車に乗せた直後式神の力を使い近くに待機している百合子の車にテレポートさせるという作戦を決行したのだった。

「今日からここであなたは暮らすのよ」
「は〜い」

冥子は意外にもすんなりと横島家にやってくる。母がいないと知って泣いて暴走するかと思っていた百合子であったのだが、嬉しい誤算だった。実は冥子は母の冥奈から百合子のことを聞いていたため、信用出来る人物として認識していたからなのだが、そんなことを小さい子が説明できるはずがなく百合子は真実を知ることはなかった。

数週間後・・・

まだ2歳の冥子に家事やらなにやらをやらせるには早いと何かと世話をしていた百合子に異変が起こる。

「う!」

ダダダダダダダダダダダ・・・・バタン

突然吐き気を催してトイレに駆け込んだ。その様子に驚いてしまう冥子、何かあったのかとトイレから出てきた百合子に泣きそうになりながら問いかけると百合子は笑って。

「病院にいかなくちゃ」

といってしまったものだから、さあ大変。

「百合子母様はやっぱり病気なの〜?ふ、ふぇ!」

病気になったと勘違いした冥子が泣きそうになってしまったのだ。ようやく自分の失言に気付いた百合子は必死で宥め、なんとか暴走を回避できた。これからは言動に注意しなければ・・・と心に誓う百合子だった。ちなみに冥子は冥奈のことをお母様、百合子のことを百合子母様と呼んでいる。これ夫妻が「あなたは私達の娘でもあるの」といったため、純粋な冥子はそう呼ぶようになっていた。

「おめでとうございます。3ヶ月目です」

病院で検査してもらった結果である。百合子は内心歓喜の絶叫を上げていた。早速、夫の会社に電話をかける。今まで仕事中に電話をかけることがなかったので大樹のほうは驚いたものの、百合子からの話を聞くと仕事中にもかかわらず大声で喜びを表わした。その後の大樹の仕事振りはそりゃもう凄いものがあったと後に部下が語っている。
電話を切った百合子は傍に立っていた冥子にやっとこさ説明をしてあげた。

「冥子、実はね。あなたはお姉ちゃんになるのよ」
「お姉ちゃんに〜?」
「そう、赤ちゃんがここにいるの。だから来年、あなたはお姉ちゃんになるのよ」

そういって冥子の手をとり、自分のお腹にそっと当てる。冥子はよくわかっていないようだが、お姉ちゃんになるという言葉だけは理解した。

「私、お姉ちゃんになるのね〜」
「そうよ。まだ弟か妹かわからないけど、面倒を見てあげてね?」
「うん〜、冥子頑張るの〜」
「そう、私も安心できるわ」

二人は手を繋いで笑顔で帰宅したのだった。
その夜、残業のはずの夫が帰宅した。

「ただいま〜!」
「あら、おかえりなさいあなた。今日は残業のはずじゃ・・・」
「それなら終らせて来た!そんなことより、昼間の話は本当か?」
「ええ、3ヶ月よ」
「でかしたああああああああああ!」
「こ、こら!」

大樹は百合子を抱きしめた。それでも無理をさせないように優しくしているとこはさすがである。後ろから冥子もおでむかえに出てくる。

「大樹お父さん〜、おかえりなさ〜い」
「おお、冥子。ただいま〜」

今度は冥子を抱きしめる。これはこの家ではごく当たり前の風景だったりする。大樹は再び百合子に向き直ると長い紙を取り出して見せた。その紙には漢字がズラ〜っと並んでいる。

「何これ?」
「何って子供の名前に決まっているだろ!!上が男の子の名前で、下が女の子の名前だ!」

そこには何十もの数の名前が書かれていた。気が早すぎるとは思うものの、それだけ子供が出来たことを喜んでいると思うと悪い気はいない。

「ご飯を食べたら考えましょ」
「そうだな。冥子、行こうか?」
「うん〜」

それから3人は夕飯を食べたのだった。


――誕生予定日――

数十分前から大樹は廊下を行ったり来たりしていた。近くのイスにはずっと手を組んでいる今年三歳になった冥子が座っている。予定日より少し早かったが百合子が陣痛を感じ始めたために急いで病院へやってきたのだ。幸いにもその日は仕事が休みだったので大樹はすぐに百合子の異変に気付いたのだ。
やがて部屋の中から元気な赤ちゃんの声が聞こえてくる。そして、医者が出てきた。大樹と冥子はすぐさま医者に問う。

「生まれました。元気な男の子です。さあ、お父さん、お姉ちゃん。あってあげてください」

中では百合子は愛おしそうに赤ちゃんを抱いている。二人の姿を認めると笑顔で大樹、冥子の順に話しかけた。

「どう?あなたの子供、そしてあなたには弟になるのかしらね?」
「おお!男の子か〜、一緒にキャッチボールとか夢だったんだよな〜」
「赤ちゃんが〜カワイイの〜」

息子と一緒に遊んだり、成長したら一緒に酒を飲んだり――もちろんお酌をしているのは成長した冥子――したいと大樹は嬉々として語っている。その脇で冥子は赤ちゃんの頬をツンツンとつついてカワイイを連呼していた。

「さて、冥子。この子の名前は決まったかしら?」
「おお、そうだな。生まれたからには名前をつけてあげないと、どうだ?冥子」
「んっとね〜。この名前がいいの〜」

以前に何十と考えた名前の中から5つを横島夫妻が直感から厳選し、最後は同じく家族である冥子に決定権を譲っていた。百合子の自分のことは自分でやる教育のおかげか、なるべく人に頼らず自分でやろうとする強さを持った冥子は式神を暴走させることも少なくなった――さすがに泣くと暴走してしまうが――その上、精神力が強くなったからか霊感も鋭くなった。そのため、最後に冥子の霊感で名前を決めてもらうことにしたのだ。
冥子はスカートのポケットからあの何個も名前が書かれていた紙を取り出し広げる。そこに二つの名前に赤丸がついていた。女の子だった場合と男の子だった場合を考えたためだった。そこで○をつけられていたのは”忠夫”という名前だった。

「なるほど・・・横島忠夫か」
「いいわね。なんかしっくりくるって言うか。冥子、いい名前選んでくれてありがとうね」
「ありがとう冥子」
「えへへ〜」

生まれた赤ちゃんは忠夫と名づけられた。


――忠夫3歳、冥子6歳――

「こんにちわ」
「あ、忠夫君のお母さんですね?忠夫く〜んお母さんがお迎えにきたわよ〜」
「は〜い」

保母さんに呼ばれ奥から駆けてくる忠夫。すぐに母親を見つけたが、その後ろにもう一つの影を見つける。

「あ、冥子お姉ちゃんも来てくれたの?」
「うん〜、一緒に帰ろ〜?」

冥子に気付いた忠夫は笑みを浮かべながら駆け寄るが、その冥子の影から何かが飛び出し忠夫に覆いかぶさる。

「のああああああああああ!!」
「ああ〜みんな〜やめなさ〜い!忠夫君に抱きつくのは私なの〜!!」

影から出てきたのは冥奈から受け継いだ十二神将だった。別に忠夫のことを襲っているわけではない。ただじゃれついているだけである。生まれたときから一緒の忠夫に懐き、構って欲しいとばかりに擦り寄っているのだ。後ろでは冥子がなにやら騒いでいるものの、気にしていない。やがて気が済んだのか十二神将は冥子の影に戻っていく。残ったのは今まで無視され続けて愚図った冥子だけ。百合子は後方で笑って眺めているだけで援軍は期待できそうにない。じゃれつかれてくたびれていた忠夫だが、冥子のご機嫌を治すのに再び体力を使うことになった。
幼稚園を後にした3人、冥子と忠夫は仲良く手を繋いでいる。その後ろで百合子は微笑ましそうに二人を眺めていた。

「今日の夜ご飯は何?」
「そうね〜、今日は秋刀魚の塩焼きとにくじゃがにするつもりよ」
「冥子も手伝うの〜」
「ええ、頼むわね。冥子」
「うん〜」

6歳になり小学校へと進学した冥子は少しづつ家事を手伝うようになっている。これも百合子の教育なのだが、何よりお姉ちゃんということでしっかりしなくてはという意識もあるようだ。姉弟仲は・・・後になるにつれてわかるだろう。

「そうそう、猫の手みたいにしてね」
「頑張る〜」

包丁を持って危なっかしい手つきでじゃがいもを切る冥子。その隣でフォローする形で百合子が立っていて、後ろでは忠夫がお皿の用意をしている。

「ただいま〜」
「「おかえりなさい(〜)」」

やがて大樹が帰ってきて忠夫と冥子が出迎えると夕食である。夕食を食べ終わるとお風呂タイムだ。

「さて、お風呂に入ってきなさい」
「「は〜い」」

子供たちは仲良くお風呂に向かう。

「じゃあ〜目を閉じてね〜」
「うん」

バシャ〜

「じゃ、次は冥子お姉ちゃんを洗ってあげる」
「お願いね〜」

ゴシゴシ・・・バシャ〜

クゥウウウン
「お、お前も洗ってあげなきゃな」
ギュウウウウ
「わかってるって順番な」
「ほらほら〜、みんな洗ってあげるから〜動かないの〜」

二人は互いに体を洗いっこをして、さらには十二神将も洗ってあげてからようやく湯船につかる。風呂からあがってしばらくテレビを見たり遊んだりすると就寝だ。二人は共同で部屋を使っていて寝るときは一緒の布団で寝る。布団の中で手を繋いで寝るのだ。

「おやすみ〜忠夫く〜ん」
「おやすみ、冥子お姉ちゃん」


――忠夫6歳、冥子9歳――

ジリリリリリリリ・・・

「ん〜?・・・ふぁああああ〜」
「んにゃ?朝か。おはよう冥子お姉ちゃん」
「おはよ〜忠夫く〜ん」

目覚ましがなったことで目を覚ます忠夫と冥子。今でも二人は同じ布団で眠っていた。寝ている格好は忠夫を抱き枕のようにして眠るという格好に変わっていたが。
二人は起きると布団をたたみ押入れにしまう。そして顔を洗った後、冥子はキッチンに、忠夫は玄関にそれぞれ向かった。

「百合子母様〜。おはよ〜ございます〜」
「あら、おはよう冥子。早速だけど野菜切ってくれる?」
「は〜い」

冥子は百合子と一緒に朝ごはんの支度をするのが日課であった。一方、玄関に向かった忠夫は。

「よし、いくぞ忠夫!」
「うん」

大樹と一緒にランニングするのが日課になっている。『忠夫は男の子だから冥子お姉ちゃんを守らないとね?』と百合子に言われたことがきっかけで始めていた。では何故大樹も一緒にやっているかというと、『忠夫一人じゃ危ないから』である。実は冥子が娘になってから大樹は浮気をすることがなくなっていた。が、その分親馬鹿になっていた。ようは子供を溺愛しているのだ。たぶん、カワイイ娘が出来たことが嬉しかったのだろう。というわけで二人はランニングをしている。ランニングが終ると軽く汗を流して朝食である。

「「いってきま〜す」」

忠夫も小学生になったので同じ学校へ通うことができるようになった二人は、一緒に学校へと登校する。もちろん、手を繋いでいるのは当然である。冥子は苗字こそ六道で通っているが、事情だけに有名な六道家の娘であることを隠している。そのため、純粋に友達になろうとする子が多く冥子は友達がたくさん出来た。そのことが影響したのか、むやみやたらと式神を出すことがなくなり、今では式神を出すのは忠夫と一緒にいるときだけである。というか、そのときは式神が勝手に出てきてしまうだけなのだが。そんなわけで冥子は楽しい学校生活を送っていた。

「じゃ〜放課後にね〜」
「うん、また後でね」

下駄箱で二人はそれぞれの教室に向かうために分かれる。

「おっはよ〜!」
「お、横っち。今日もお姉ちゃんと一緒に登校か?」
「おう!」
「横っちのお姉ちゃん、優しいから羨ましいで」
「えへへ、自慢のお姉ちゃんやで」

教室に入ると忠夫と大の仲良しである銀一が話しかける。最初の話題は冥子のことであったが、この話題をすると機嫌が悪くなる子が一人だけいた。

「ふん。何や。ウチだっていつも横っちに優しくしてるやんか。そんなにお姉ちゃんがええんか・・・横っちの馬鹿」

「えっと・・・夏子?おはよう」
「・・・おはよう」

ブツブツと呟いていた夏子に引き攣りながらも挨拶をする忠夫だったが、夏子の反応は冷たかった。忠夫は隣にいる銀一にそっと囁く。

「夏子の奴どうしたんや?機嫌悪いで?」
「わいにもわからん。さっきまでは普通やのに・・・」

夏子の機嫌が悪くなった原因は男にはわからなかったようである。一方、冥子のほうは・・・。

「おはよ〜」
「あ、おはよう。冥ちゃん!」
「あ、冥ちゃんや〜」
「おっは〜冥ちゃん」

教室に入って来た冥子に気付き女子達が次々に話かけてくる。忠夫のお姉ちゃんという自覚を持ったためか、勉強も真面目にやるようになっているので成績は悪くない。むしろ、良いほうであるから、みんなから頼られる。それが嬉しいからもっと頑張るという感じで冥子はクラスの人気者になっていた。そんな冥子を想う男の子もいるのだが。

「そういえば、今日も弟君と一緒に登校かい?」
「本当、あんたらって仲いいやね〜」
「えへへ〜」

友達の仲がいい発言に照れる冥子。その照れる様子に悶えるクラスの男子達。話題に出ているのが弟ということで、恋愛対象にはならないと見ているために嫉妬はあまりない。

「冥ちゃん、ここ教えて〜な。わからんねん」
「いいわよ〜。ここはね〜・・・」

こうして朝の時間は過ぎていく。小学校は給食があるために昼ごはんはクラスの人達と班毎で食べる。冥子は友達と食べられることは楽しいのだが、忠夫と一緒に食べられないのはちょっと残念であった。そして放課後。

「忠夫く〜ん、おまたせ〜」
「冥子お姉ちゃん!じゃ、帰ろっか」
「うん〜」

お互いに自然に手を差し出し繋ぐ。今日は二人っきりで帰るようだ。普段はここに銀一や夏子やら、冥子の友達がいる場合が多い。そんなときでもこの二人は手を繋いでいるのは変わらないだが。そのときの周りの視線はというと。

「わぁ、いいな〜冥ちゃん。私も忠夫君と繋ぎた〜い」
「ああ、あの笑顔がいいわ〜」

冥子の同級生は内心ではこんなことを思っている。冥子と話していると確実に忠夫の話が出てくるために興味を持っていて、実際に会ってみたら想像以上だったというわけである。そして、銀一、夏子はというと。

「うわ〜、相変わらず綺麗で優しそうなお姉ちゃんやな〜。羨ましいで横っち」
「なんやなんや!あんな手つなぎよって!うらやま・・・恥ずかしくないんか!?だいたい姉弟にしては仲良すぎるんや!ウチだって、横っちと手をつなぎ・・・横っちは危なっかしいから目を放すととんでもない。だから、仕方なく手を握って逃げられないようにしなきゃ駄目なんやもんな。ああ〜イライラするねん!」

という感じである。夏子にいたっては凄い目で冥子を見るも当の本人はのほほんとして気付いてもいない。
肝心の手を繋いでいる二人についてだが。この手を繋ぐ行為に全然疑問を抱いていない。むしろ当然だと思っている節がある。ただ、冥子はその性格ゆえ、忠夫は冥子と繋ぎ続けているのでそれが当然と思うようになったのだった。

「「ただいま〜」」

家に帰ると冥子は夕飯の支度を手伝うためにキッチンへ行く。そして、夕飯を食べると忠夫はトレーニングとしてランニングに行き、冥子は洗い物を手伝うと授業の予習・復習を行うべく自分の部屋に篭るのだった。トレーニングから帰ると冥子も部屋から出てきて二人で一緒に入浴である。

カポ〜ン・・・

「「はぅ〜」」

自分達の体と十二神将の体を洗い二人は湯船につかる。そこで今日の出来事などを話し合うのだ。そして、就寝。当然のように二人は同じ布団に入り眠る。冥子が忠夫を包むように抱きしめて。

「「おやすみなさい」」


あとがき

お気に入りの漫画が完結した!?ラッフィンです。

最強の二人の後日談、冥子ちゃんの横島家での生活でした。
いかがでしょうか?
次回は冥奈も出す予定です。

では、次回にお会いしましょう。


レス返しです。


鹿苑寺様

六道母の考えは誰にも読めないのですよw

>あんたいつ天衣無縫の極みを身に付けたと小一時間…(ry
>いや、むしろ三種のカウンターか?
リズムに乗ったんでしょうね〜ww


良介様

母は強し!ってことですよ。まぁ、冥子の母は強し!っていうよりは黒し!って感じですけどねw


nao様

>最キョウですな……いや、マジで。
キョウの字はいろいろ当てはまりますねw


wata様

正直、この二人が負ける姿が想像できません・・・


whiteangel様

>マザコン&煩悩かと
あ、言われて気付きました(笑)


秋桜様

>アシュ様も裸足で逃げ出すことうけあいです
某作品ではGM化した横島君にぼこられてますしねw

もう一つの作品に関しては順調です。クロスしているのは有名なゲームなんですが、知らなくても安心して読めるように努力しています。


ZEROS様

感想ありがとうございました。コメントを覚えていないために何も返事が出来ないので申し訳ないです。

Dr.J様

私は前にコメントした通りの解釈があります。人それぞれ考え方、捉え方、千差万別にあると思いますので。


DOM様

>横島と冥子が一緒となるとポケポケでほっとけない姉とやんちゃだけどいい弟
そうですよね〜。なんか二人のキャラだとそれしか想像できませんw

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