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「スランプ・オーバーズ!25(GS+オリジナル)」

竜の庵 (2007-04-14 22:29)
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 「それじゃあおキヌちゃん。小竜姫様の看病よろしくね〜」

 「はい、冥子さん。美神さんには、もう少し妙神山に滞在しますから、って伝えてもらえますか?」

 「は〜い。ショウちゃんチリちゃんもまたね〜」

 「冥子…見違えたぞ、お主。今のお主を見て、誰が弱虫と罵ろうか」

 「冥子様、本当にお強くなられました。ご立派です」


 妙神山修行を始めて十八日目。
 六道冥子は小竜姫から修行終了を言い渡され、晴れて下山の日を迎えていた。
 教えたい事はまだまだあるが、それはもう、ここでなくても学べる内容ばかりだ。暴走した自分を押さえ込むほどの実力者に成長した今、妙神山での修行は区切りとするべきだった。小竜姫は情けない思いに囚われながら、そう冥子に告げた。
 神族から正式な感謝状の一枚でも手渡したいところだが、小竜姫は昏睡から目覚めたばかりで、上体を起こすのが精一杯な有様である。
 なので、見送りにも出てきていない。


 「うむ! 確かに六道冥子よ、お主から感じるその強く穏やかな霊気…一皮剥けたようだ」

 「剥ける前からワシらは瞬殺じゃったがな」


 一昨日、謎の侵入者によって倒された鬼門であったが、傷は思ったよりも浅く既に正門守護の任に戻っていた。
 ある意味妙神山の顔なので、いないとそれはそれで寂しいもの。絶対に必要か、と問われれば…まあ雰囲気的にはいた方がいいかもと思ったりみたいなと誰もが言葉を濁すだろうが。


 「それじゃ行くわね〜。また令子ちゃんのところで会いましょう〜」


 大きなリュックを背負い、登山時の賑やかさとは正反対に孤独な一人旅となってしまった冥子だが、彼女の顔は晴れやかであった。

 正門が見えなくなるまで冥子は振り返り振り返り、手を振って。

 完全におキヌ達が視界から消えたところで、彼女はいつも快晴の妙神山の青空を見上げて立ち止まった。


 「…私、胸を張っていいんだよね? ころめちゃん…」


               (もちろんよ、冥子ちゃん!)


 「―――――!」


 空耳、に決まっている。彼女はもう、冥子の言葉に返事を返してはくれない。
 それでも、冥子は笑みを深めた。笑うことで、沈みそうになる気持ちを支えた。


 「…うん。貴女がそう言ってくれるんなら〜…令子ちゃんに、胸を張ってただいま、って言えるわ〜」


 肩からずり落ちそうになったリュックを掛けなおし、冥子はまた歩き始めた。
 ぽてぽてと歩く様は登山時と変わらない幼い風貌でも、彼女はもう以前の六道冥子ではない。
 断崖絶壁の過酷な山道を、心ここに在らずの状態で事も無げに進む彼女に、昔の危なっかしさはどこにもない。
 風が吹けば飛ばされそうだった脆さも、どこか仔犬を連想させた弱弱しさも何もかも。


 「ふわ、そういえば〜…お土産忘れたわ〜。修行場にお饅頭とかテナントとか売ってなかったっけ〜?」


 ただ、彼女らしさだけがここにはある。
 何にも勝る冥子の象徴として、強さの証としての六道冥子の姿が。


 「麓の売店で買えばいいか〜…あ、まだ気を抜いちゃだめね〜…お家に帰るまでが修行ですよっておキヌちゃんも言ってたし〜」


 少しだけ早足になった冥子は、重い荷物も悪い足場も一向に気にせず、鼻歌混じりに山道を下っていくのだった。


               スランプ・オーバーズ! 25

                    「十三」


 小竜姫の暴走を止めるべく斉天大聖を頼りに走り、何故か頼りがいとは正反対の空気をまったりと醸し出す神族調査官、ヒャクメと合流してしまったおキヌとショウ。
 失望感も露に彼女に事情を説明して、異界の事件に全く気付いていなかった彼の神族に、更なる失望も覚えつつ。
 彼女達は、それでも一応神族のはしくれではあるヒャクメに解決の一縷の望みを託しつつ、異界へと急いでいた。

 「でもどうしてヒャクメ様が老師様のお部屋に?」

 「そうじゃ! あそこまで不審なオーラを出されたら、誰でも蹴りの一発もお見舞いしたくなるというものっ」

 「生意気な付喪神なのね…お陰でまだ足がふらつくわよう…」

 屋敷の廊下を走るヒャクメの足取りは危うい。

 「私は単に、老師と入れ替わりで天界からこっちに降りてきただけなのね。その時、老師に留守番を頼まれたの! 来たばっかなんだから、こっちで何が起こってるのとか見てなくたって仕方ないじゃないっ!?」

 「その割に、ゲームは面が進んでおったのう」

 「ひぐっ…! アレは、動体視力を養うのに丁度良いツールだと思っただけであって、決して『君にこの弾幕が見切れるか!?』という煽り文句にプライドがスパークしたわけではないのねって、ああっ! おキヌちゃんの心が引き潮のように私から離れていくーーっ!?」

 かむばーっく、と叫ぶヒャクメを置き去りにしつつ、おキヌは逸る気持ちを抑えて屋敷から飛び出した。
 こちら側に小竜姫の出てくる気配が無いのは、冥子が上手くやれている証拠だ。とは言っても、彼女をいつまでも危険の真正面に立たせるわけにはいかない。
 一刻も早く合流するべく、おキヌは更に足を速める。

 「キヌ姉様ーーっ! 大変です、鬼門様がっ!」

 そこに、正門から息を切らせて戻ってきたチリが合流した。彼女は鬼門二人が何者かの手により倒された事をおキヌに伝えると、不安そうに修行着の裾を掴んでくる。
 おキヌはそんなチリを安心させるように微笑み、汗ばんだほっぺたに手を添える。

 「大丈夫、冥子さんが頑張ってくれてるし…ほら、ヒャクメ様だって……い、いないよりはマシだしっ!」

 「わーおキヌちゃん本心から言ってるしー…」

 歯に衣着せぬ、おキヌである。本人も相当動転しているようで、闇色のエフェクトに包まれて虚ろに笑うヒャクメを気にかける余裕はなさそうだ。
 チリはチリで、ヒャクメを見ても微塵も不安感が拭えずにいる。眼がいっぱいで少し怖かったりもした。

 鬼門の事は心配だったが、今は小竜姫を止めるほうが先決だ。

 「小竜姫ったら、常在戦場がどうとか武神としての心構えとか…何だかこれっぽっちも役に立ってない気がするわねえ…可哀想に」

 美神と関わって以降、小竜姫は大きく変わったとヒャクメから見ても思える。それが彼女にとってプラスかマイナスか、はたまた幸か不幸なのかは、出くわした事件の大きさから外野が判断出来る筋合いのものではない。
 どんなに面白そうで弄り甲斐があっても、踏み込んでいい領域へは立ち入らないのが、ヒャクメの神族としての矜持である。
 親友の気安さから表層を覗く程度は、毎度のことだし。言ってみれば横島のセクハラと同系列の悪癖だった。

 「落ち込むサマが目に浮かぶのねー…自分ちの庭で襲われたなんて、彼女にとっては大恥だもの」

 「それだけ相手も凄かったんですよ、きっと! もう、そんなのはいいですからヒャクメ様も考えて下さい! 小竜姫様を止める方法!」

 脱衣場が見えてきて、おキヌの焦りもピークを迎えている。このまま異界へ戻っても、頼りにしていた援軍がヒャクメでは…ぶっちゃけ足手纏いが増えただけだ。

 「落ち着くのね。さっきちらっと見たけど…どうやら戦闘は終わってる。小竜姫の竜気も霊圧も正常に戻ってるし、六道さんの霊圧も衰弱気味だけど感じるわ。皆無事よ」

 「えええ!? 冥子さん、もしかして一人であの小竜姫様を…!?」

 「なあああ…んともまあ、規格外な奴に育ったもんじゃの、冥子も…」

 流石は千里眼の持ち主であり、情報分析スペシャリストのヒャクメだった。おキヌがあたふたしている間に、正確な現状を一目…否、百目で把握・分析し終わっていた。腐っていても神族調査官の肩書きは伊達ではない。

 「ちなみに鬼門の二人も命に別状はないのね。ほっとけばすぐに回復すると思う。正門周辺から妙神山中腹辺りまで不審な霊圧を探ってみたけど、こっちは成果無し。でも不自然に霊気の乱れたスポットを幾つか見つけたから、犯人が何か霊気痕跡を誤魔化す装備でも使ったのかも知れない」

 すらすらすらっと流れるような口上で、ヒャクメは切迫的な危機はもう去ったことをおキヌ達に説明する。ショウはぽかんと口を開けて、目の前の神族を見上げていた。

 「さ、怪我人の介抱に行くわよおキヌちゃん。…ん、どしたの?」

 「…ヒャクメ様、まるで情報収集のプロみたい!」

 「紛れも無くプロだから! これでご飯食べてるからっ!!」

 一時は心眼を渡して訓練までしたというのに、ヒャクメに対するおキヌの点の辛さは一体なんだろう。
 本気の本気で自分を見直している元教え子の視線に、ヒャクメは複雑な思いに駆られた。


 その後、四人は異界空間で倒れていた小竜姫と冥子を保護し、ついでに鬼門も助けに行った。が、如何せんあの巨体を女子供の腕力で介護することは難しく、その場で神域によるヒーリングを施して放置するに留まった。仰向けにするだけで重労働である。

 小竜姫は丸一日昏々と眠り続け、冥子もまた容態が安定してからは極めて健やかな寝息を立てて、ヒャクメの見立て通り翌朝には眼を覚ました。


 そして当然、眼を覚ました冥子が最初に口にしたのは…


 「ころめちゃんは〜!?」

 妙神山修行十七日目の朝。
 おキヌが冥子の額に載せてあった濡れ手拭いを取替えに部屋に入ると、彼女はややふらつきながらも襖を開いたおキヌに食って掛かり、大いに驚かせた。

 …おキヌも、気にはなっていたのだ。

 冥子が倒れている付近にも、勿論その胸元にもころめの姿が無かったことに。冥子が衰弱していたためころめの捜索は後回しにしたのだが、彼女と小竜姫の看病に追われたおキヌ達にそう時間も取れなかった。

 「…ごめんなさい、冥子さん。見つからないんです…ヒャクメ様に異界を隈なく霊視して頂いても気配が無くて…」

 水を張った桶をはだけた布団の脇に置いて、おキヌは落ちていた手拭いを拾った。冥子の顔をまともに見られず、水面に浮かぶ情けない自分の表情に、ぽちゃんと手拭いを落として散らす。
 パジャマに着替えさせた冥子は、おキヌの消沈した声を聞いてひぐっ、と一度だけ子供のようにえずいた。目尻に涙が溢れるのを…乱暴に拭って部屋を飛び出す。

 「冥子さん!? まだ体が…!」

 「探してくる〜〜!」

 ずっと看病してくれたのだろうおキヌに、内心で謝りながら冥子は走る。ころめがいなくかった事で生じた、不安でどうしようもない気持ちが自分を苛むのを感じながら。
 そしてもう一つ、冥子には不安を煽る材料があった。

 十二神将が、冥子の影にいないのだ。

 主たる冥子の意識が途絶えれば、自然に影へと舞い戻る筈の彼らが半日以上眠っていた冥子の傍に、いない。

 普通の式神は主が意識を失うと自らの巣…護符や影…へ自動的に戻る。
 供給が途絶え、自身に蓄えられた霊力の底をつけばその式神は霊体を維持出来ず消滅するからだ。六道女学院でも教えている基礎だった。
 だが冥子の十二神将を今更一般論に準えたところで、詮無きことではある。既に独立した生命体と言っても過言ではない十二神将なら、冥子との霊力ラインが途絶えても大気中に存在する霊気を取り込んで、最低限の霊体維持はこなせる。いわんやここは妙神山だ、ふんだんに上質な霊気が存在する。

 冥子は彼らが…彼らまでが消えたとは思っていないが。

 ころめや十二神将の気配を間近に感じていない今が、ただひたすらに心細かった。
 自分がどんなに強くなったといっても、土台を支えていたのは彼らである。

 幼い頃から一緒だった十二匹の家族。
 出会ったのは最近でも、ずっと自分の心の中にいた理想の自分。

 いっぺんにいなくなるなんて、考えもしなかった。
 土台の消えた冥子の精神は、魂が消えるような勢いで瓦解しかかっていた。

 (ううう………)

 それでも冥子は、妙神山でころめと培った強さを精一杯に思い出して、踏み止まる。弾けそうになる感情を、暴走しそうになる霊力を抑えながら走る。

 (ころめちゃん〜……!)

 「おろ、六道さん? もう体は大丈夫なのー…って、眼中に無いって感じね。…ふむ、お友達のことで頭が一杯か」

 廊下ですれ違ったヒャクメにも気付かない。ヒャクメもちらっと霊視して、彼女が体力的には問題無く回復しているのを見て取り、敢えて止めなかった。パジャマ姿は、まあ仕方ないのねと苦笑しつつ。

 脱衣場から異界へと飛び込んだ冥子は、大声で叫んだ。不安を誤魔化すような大声で。


 「こ〜〜ろ〜〜〜め〜〜〜〜ちゃああ〜〜〜〜〜〜〜〜んっ!!」

 「みぎゃあ?!」


 何やら珍妙な悲鳴と衝撃が足元から聞こえたが、構ってなんかいられない。

 もう一度、と大きく息を吸って。


 「こ〜〜ろ〜〜「やめんか馬鹿者っ!! 鼓膜が破けるじゃろうがっ!?」…ふわ、ショウちゃん〜? ころめちゃん知らない?」


 飛び込んだ拍子にショウを蹴転がしていたらしい。逆さまになって耳を押さえているショウの前に冥子はしゃがみ込み、非難を浴びながらもころめの居場所を聞く。

 「…冥子よ、周りをよう見てみんか」

 「ふえ…あ、みんな……」

 小竜姫暴走の爪痕も生々しい異界の地。破壊された修行施設の陰や、崩れた岩塊の周辺…冥子の式神十二神将は、様々な場所に散って何かの作業をしていた。

 「どうしたの〜…何か、探してるみたい…?」

 よっこいしょと立ち上がったショウは、呆然と式神達を見やる冥子の手を取って、ある場所へと連れて行った。

 「こ奴らはな、昨晩からずっとこうして…『あるもの』を探しておる。冥子よ、これを見よ」

 破壊を免れた修行場、それは嘗て美神達がシャドウによる修行を行った方円がある舞台の、中心に。


 きらきらと輝く、透き通った薄紅色の石の欠片が集められていた。


 「あ……あああ……? これ、これ…もしかして…」

 終わったら、彼女の肩を揉んであげる約束だった。
 彼女は壊れるから、なんて言っていたけど…口調の端々から、笑みが零れていた。優しく優しく触れれば、大丈夫。絶対喜んでくれる。
 冥子はころめとの別れ際に交わした約束を、目の前の欠片を見ながら思い出す。ほんの、そう、ほんの少し前に…慌しくも心を通じ合わせた刹那の約束。

 「ころめ、ちゃん………死んじゃった……………………」

 もっと沢山お話したかった。

 もっと沢山遊びたかった。

 もっともっと、もっと。

 「……ころめちゃん…ふえ、ふええええええ……!」

 視界が一気に滲んだ。今まで塞き止めてきたマイナス感情の怒涛一切を、冥子は完全に制御下から手放そうとした。
 が。

 「馬鹿者! よーく見よ! 肉眼ではなく、まさしく心の目でその欠片をしっかと見定めよっ!!」

 ショウの甲高い怒声が響き渡る。小さな付喪神の少年は、偉そうに腕を組んでへたり込む冥子を見下ろしていた。

 「心の、目……? れ、霊視……! ふあ、わ、わわわわ……!?」

 絶望に澱もうとしていた冥子の瞳に、輝きが宿る。食い入るようにして砕けた心の欠片に見入る。

 「まだ、霊気が残ってるわ〜!? ショ、ショウちゃんショウちゃん見て見て見て〜〜〜!!」

 「分かっとるから抱きつくな! 頬ずるな! 肩を掴んで揺さぶるなあああぁぁあぁぁあぁああ!?」

 冥子の霊視は、しっかりと宝石の欠片にころめの霊力の残滓を見つけていた。それぞれの欠片にほんの僅かずつではあるが。

 「十二神将達はな、これが分かっておったんじゃ。復活の可能性があることに。ころめはこ奴らにとって、冥子と同じく主の一人じゃろうしな。ヒャクメの霊視にもこうも散り散りになっておったのでは、引っかからんだろうし」


 「そのとーりなのね! だから責めないでほしいかもっ!」


 ショウの言葉尻に被せるように、ヒャクメの声が耳朶を打つ。扉の前に立つ彼女の隣には、登山時の荷物の一つを抱えたおキヌもいた。

 「ヒャクメ様〜? いらしてたんだ〜?」

 「……薄いのね。希薄なのね……空気なのねー……」

 「く、空気って生きるのには大切ですから! ね、ヒャクメ様!?」

 向こう側が透けて見えてきたヒャクメへ、フォローだか止め? を刺すおキヌ。冥子にもおキヌにも全く他意の無い事がよーく分かるヒャクメは、さめざめと涙を流すのみである。

 「ヒャクメ様〜…? それで、ころめちゃんは助かるんでしょ〜?」

 「…心眼は、残念だけどもう存在しないわ。役目を全うして、還るべき場所へ還った。それは、本望だったろうし、大願成就でもあったはずなのね」

 「そん、な………じゃあ…」

 シリアスモードに戻ったヒャクメの言に、冥子の目尻にまた涙が浮かぶ。

 「小竜姫の竜気によって生まれる『心眼』は砕けた。でもね、六道さん。横島さんの文珠によって移された貴女の心格…『ころめ』だけなら、まだサルベージが可能なのね」

 ヒャクメはおキヌに目で合図すると、彼女は持っていた荷物の中から一冊の本を取り出した。
 それは冥子も良く知る、ちょっとだけ懐かしいもの。

 「六道女学院の……教科書〜?」

 「はい。私、修行中も学校の勉強はやらなくちゃ駄目だと思って…一式持ってきてたんです」

 霊能科の授業で用いられる教科書は、一般課程よりも霊能課程の方が種類が多い。基礎的な内容はともかく、霊能力は発達すればするほど個性に富むもの。今後の成長のための指針とする意味でも、質・量に拘る必要があった。
 おキヌが見せた教科書は、その中でも冥子にとっては馴染み深い教科のもの。

 「『式神制御のための術法II』……?」

 「よく聞いて、六道さん。ころめさんは元々、形や意志を持った存在じゃないのね。怪しげな薬で表に引っ張り出したみたいだけど、あくまでこれは貴女の心。それを文珠のデタラメな効果によって六道さんの心から乖離させ、竜気で編んだ器に注いだ」

 魂と心は全くの別物である。
 ドクター・カオスの人造人間マリアを例にとっても良く分かるように、魂が生命の源なら、心とはそれに付随して進化する魂の色や輝き、個性そのもの。
 文珠が行ったのは、魂というキャンパスに描かれた花を摘み取って、違う絵に植え替えたようなもの。デタラメとしか表現出来ない、ヒャクメにもそうとしか言いようのない方法である。

 「ある意味、横島さんに感謝なのね。文珠効果が非常識だったお陰でこんな方法が取れるんだからね。おキヌちゃん、アレ出してくれる?」

 「はい」

 おキヌは教科書をぱららっと捲ると、巻末の方に挟んであった一枚の紙を冥子に手渡した。

 「これは〜…式神ケント紙〜?」

 「そ。ここからが本題よ。心眼という器が砕けても、元々形の無いころめさんまで砕けることはないのね。十分な量の霊波片さえ集まれば、新たな器を形成してそこに移し替えられる。十二神将の子達が一生懸命集めてくれたから、量的には何とかなりそうなのね」

 十二神将達は今でも、災害現場の救助員のように、ころめの欠片を見つけては運んできてくれる。それこそ砂粒程度に砕けたものまで拾ってくれていた。

 「みんな〜……有難うね〜…昨日、いっぱい戦ってくれたのに〜」

 冥子の感動しきった声に、式神を代表してか、偶々近くにいたからか…ショウトラがばう、と一声だけ応えた。戌の式神の嗅覚を生かして、すぐに捜索に戻っていく。

 「あうう〜…泣いちゃいそう〜…みんな良い子過ぎるわ〜…」

 「泣くのはまだ早いわ。問題は、移す方法なのね。心眼も文珠も無い今、方法はたった一つ…ころめさんを、式神化すること。それだけなのね」


 「ええええええええええ〜〜!?」


 渡された式神ケント紙をうっかり握り潰しそうになる。ヒャクメは至って真剣、至って冷静に説明を続けた。

 「形が無い分、時間が経てば存在ごと彼女は薄れていく。ころめさんが不安定な存在だってことは知ってて、心眼化したのよね?」

 「……薄々は気付いてたの〜…でも、考えないようにしてたの…令子ちゃんも小竜姫様も、私を気遣って黙っててくれたんだし〜…」

 「冥子さん、知ってたんだ……」

 おキヌには初耳な事だ。自分のことでいっぱいいっぱいだったせいもあるが。

 「小竜姫が回復するのを待ってたら、助からないのね。美神さんとこにテレポートして文珠をせがむ時間も惜しい。揉めそうだし」

 「え? それなら直接横島さんにお願いすれば……」

 確かに横島に関する生殺与奪権の大半は、美神の手中にある。文珠の無駄遣いにも煩い。
 けれど、緊急事態でもあるし美神を介さず横島と直接話をし、文珠を分けてもらってもいいのではなかろうか。
 美神は鬼ではあるが、無慈悲無理解な夜叉ではない。多分。

 「あ、んー…ちょ、ちょいと今は事情があるのね。それに、彼…今遭難中みたいだし」

 「遭難中!?」

 横面に汗を垂らして物騒な方向に話題を流したヒャクメに、まんまとおキヌは引っかかってしまった。内心、ヒャクメは胸を撫で下ろす。


 (あぶなっ! 危うく喋っちゃうとこだったのねーーっ?! くわばらくわばら!)


 若干古めの言い回しで落ち着きを取り戻し、遭難って何ですかああっ!? と詰め寄ってくるおキヌをいなして、ヒャクメは続けた。

 「ともかく! 探す時間も無いので現状に出来うる手段でもって、ころめさんのサルベージを行うわ! 六道さん、式神使いなら儀式の手順は理解してるわね? 多分、小竜姫からもみっちり仕込まれたと思うし」

 小竜姫との座学の時間で、式神についてのイロハを初歩の初歩から学び直した冥子なので、その点は大丈夫だ。
 ただ実践出来るか、とは話が違う。最強最高の式神を保持する彼女が、新たに式神を手に入れる理由は無かった。
 ごくり、と冥子は手に持ったケント紙を見て喉を鳴らす。

 「幸い、ここは清浄な霊気の溢れる特級の霊場。そこに加えておキヌちゃんの神域による霊体治療効果、生粋の式神使いである六道家の血…更に対象は六道さんとも妙神山とも霊気の親和性の高い『元心眼』ころめ…これだけ条件が整えば、あとは触媒さえきちんとすれば絶対成功するわ!」

 その触媒が、この式神ケント紙というわけだ。
 教科書付属の練習用で、レベル1の最低クラスのもの。霊的素養のあるものなら、任意の型に切り抜いて霊力を流すだけで、簡単に式神とすることが出来る。
 尤も、ケント紙だけではいくら霊力のラインを構築しても絶対的な霊体の強度に限界があるため、簡易版の枠から外れることはない。

 「式神ケント紙に封じられてる術式を、六道さんの霊力で上書きする感じかしらね。そうしないと新たに式神化しても長生きしないわ。成功率を上げるために、髪の毛も使ったほうがいいかも。意味的な補強が出来るし」

 式神は『式紙』・『式髪』と呼称される場合も多い。
 ダブルならぬトリプルミーニングによって式神の形を鮮明にすれば、儀式の成功確率は格段にアップするだろう、とヒャクメは自信満々に言う。
 実際の儀式を行う冥子は顔面を蒼白にして緊張しているが。

 「じゃあ始めましょう! おキヌちゃん、神域お願いなのねっ」

 「は、はいっ! 冥子さん、頑張ってくださいね! 私も…ころめさんともっとお喋りしたいです!」

 「冥子! お主なら必ずやり遂げられる! 妙神山で学んだ全てをここに出し切るが良い!」

 「冥子様は凄く成長なされました。肉体的なもの、霊的なもの…なにより精神的なものが。貴女の心の強さを、ころめ様に自慢しちゃいましょう?」

 おキヌ、ショウチリの三人の励ましの言葉が冥子を勇気付ける。妙神山での修行の日々が、ころめから受けた数々の言葉が、十二神将とのラインから流れ込む彼らの気持ちが…冥子を、一人の霊能者、一人の式神使い・六道冥子の背中を押す。

 「……やるわ〜! もう一度ころめちゃんに会ってみせる〜!」

 冥子は目許を引き締めると前髪を数本纏めて引き抜いて、ころめの欠片と共に丁寧にケント紙で包み込んだ。一粒も零れないよう、しっかりと。
 おキヌの合図で、神域が展開する。清浄だった空気が更に浄化され、異物侵入等の外因から場を守る。舞台は整った。

 「…アンチラちゃん」

 冥子の静かな呼びかけに、音も無く卯の式神アンチラが彼女の前に跪いた。刃状の耳が真っ直ぐ空へと伸ばされ、冥子の緊張した面持ちを映し出す。
 右手の人差し指を、刃に滑らせた。指先に感じる痛みはころめ再生のために必要な痛み。勿論、もうこの程度で彼女は涙を見せたりはしない。
 アンチラが下がり、いつの間にか集っていた十二神将達の列に加わる。彼らは冥子の背後で、神妙に儀式の様子を見守っていた。

 (有難う、みんな〜…とっても心強いわ〜)

 血の粒が浮いた指を、地面に置いた式神ケント紙の上へ掲げる。

 冥子は一度大きく、大きく深呼吸してから朗々と謳い上げるようにして、儀式を開始した。


 「我、六道冥子の名に於いて―――――――――――――!」


 それは祈りの言葉。誓いの言葉。約束の言葉。


 そして、始まりの言葉だった。


 一人の、未熟だが強大な力を誇る霊能者が己の不明を知り、悩み考え、辿り着いた答えを否定されても、更なる出会いと共に成長していった物語の…本当の始まり。


 「我が第三の目・第二の心・第一の友…そして我が血・我が心の欠片たる彼の者をここに甦らせん!」


 血玉が一粒、冥子の宣言と同時に式神ケント紙の上へ落ち、じわりと染み込んでいく。


 「目覚めよ彼の者! 解けよ彼の者! 束の間の眠りより新たな器、新たな形を得てここに覚醒せよ! 汝が名は『ころめ』! 六道冥子の別ち身にして無二の存在也!」


 神域の外で儀式を見守るヒャクメには、確信がある。
 嘗ての冥子の姿しか知らないヒャクメだが、百の感覚器官が告げる今の冥子の強さは、本物だ。
 だが、そんな分析結果なんかよりも、信じられるものがヒャクメにだって存在する。

 「人間って面白いわー…特別美神さんの周りが面白いだけかも知れないけど、これだから覗…ゲフゲフ、この仕事は止められないのねっ!」

 うふふふふふ、と笑う彼女の『好奇心』こそ、もしかするとヒャクメの力の原動力なのかも知れない。好きこそものの上手なれ。


 「我は願わん! 今、ここに式神ころめが在らんことを!!」


 冥子の霊力が、惜しげもなく式神ケント紙へと注ぎ込まれる。その内部に包まれたころめの欠片達が共鳴し、増幅していく。音叉を叩いたような澄んだ共鳴音が、神域を保つ雅楽の調べとも絡み合う。


 「還ってきて、ころめちゃ〜〜〜〜んっ!!」


 儀式の最後は作法も手順も何も無い、冥子からころめへと贈る…心からの、魂からの『お願い』の言葉。
 心眼も式神も、冥子にはどっちでもどうでもいいのだろう。ただとにかく、ころめと会いたい一心で彼女は叫ぶ。


 式神ケント紙が淡く輝く。
 冥子の想いに応え、心臓の鼓動のように、どくんどくんと明滅する。


 冥子は全てを伝えた。
 これからも一緒にいたい、と。
 共に色んなものを見ていきたい、と。


 輝きは、激しさを増す。


 冥子もおキヌ達も、ヒャクメもその眩しさから眼を背けない。


 そして。


 そして―――――――――――――――――


 翌日、妙神山正門前にて。
 冥子が下山していくのを、その姿が見えなくなるまで見送ったおキヌは、精一杯微笑んでいた表情を曇らせて俯いた。

 「…残念、でしたよね。ころめさん…」

 呟く言葉にも、力は無い。

 「仕方あるまい。冥子は、良くやったんじゃ」

 ショウの冥子を見送る目は対照的に力強い。師弟関係があったわけでもないのに、何となく弟子の免許皆伝を祝福する師匠のような気持ちになっていた。

 「冥子様、にこにこしてました。だから、あれでいいんだと思います…ね、キヌ姉様?」

 おキヌの腰にぎゅっと抱きついて見上げてくるチリの頭を撫でて、おキヌは心優しい付喪神の少女へ淡い笑みを返す。

 「言葉を交わすことが出来なくとも、今の冥子ならばへっちゃらじゃ。ふっ、令子の驚く様が目に浮かぶわ!」

 「そうですよね…冥子さん、大丈夫ですよね」


 結論から言うと…ころめの復活は、叶わなかった。


 「ヒャクメが言っておったように、ころめは満足して消えた。冥子が自分を超えて成長したと理解してな。良いではないか、それで! それに…」

 ショウは下山直前に冥子が見せた、柔らかく暖かな微笑みを思い出して…少しだけ頬を赤く染めた。ぶんぶかぶんと頭を振ってヘンな想像を追い出す。

 「それに! 冥子には式神達がついておる! 奴らがおる限り、冥子は折れんし砕けん!」

 「ショウ様…冥子さんのこと、大好きなんですね」

 「まだほっぺが赤いですよ? 兄様」

 「なあああああああああああああああああああああああ!? 何を言うておるかキヌ、チリ!? 断じて違うぞ!?」

 「いいじゃないですかー? 隠さなくてもっ」

 「お家に戻ったら、存分に甘えたらいいですわ」

 「貴様ら…面白がっておるな!? ヒャクメの悪影響かっ!?」

 会って半日で、ヒャクメの性格を見切ったショウである。
 おキヌは、追いかけっこを始めた兄妹の姿に目を細めながら、妙神山の山麓へと思いを馳せた。


 「『あの』ころめさんはもういないけど…新しいお友達も出来たし。冥子さん、お疲れ様でした…」


 冷たくて涼やかな山頂の空気を深呼吸で体内に取り込んで、おキヌは踵を返した。目覚めたばかりの小竜姫の看病を、ヒャクメに任せっきりにしてあるので。

 鬼門が開けてくれた門扉を潜り、変わらず晴天の空を見上げる。

 色々あったけれど、まだ自分の修行は終わっていない。一刻も早く終わらせて、小竜姫暴走事件の捜査に加わろう。
 小竜姫から聞いた犯人の正体から、きっと美神や横島達も全力で動くに違いないのだから。
 横島の遭難についても、理由の見当はついていた。彼は、誰よりも早く動き出したのだ。可愛がっていた人狼族の少女のために。

 おキヌは自分のこれからについて決意を新たにし、屋敷へと戻っていった。


 あっという間に中腹まで下山した冥子は、リュックの中にタオルが入れてあったのを思い出して、休憩を取ることにした。額の汗が煩わしい。
 リュックを適当な岩場に降ろし、その口を開ける。

 と。


 「なー! なー!」


 「きゃあ、『こころ』ちゃん〜、駄目よ〜大人しくしてなきゃ〜?」


 リュックの中から冥子の顔面目掛け飛び掛ってきたのは、真っ白い仔猫だった。


 「なぁぁーっ……」

 「あう、はいはい…」

 その猫は指定席とばかりに冥子の頭へ駆け上がると、ぺたんと顎をさらさらの黒髪に載せて、ご満悦気味に甘えた鳴き声を上げた。

 「も〜、影にも入ってくれないんだから〜…」


 冥子の心格にして心眼だったころめは、再生しなかった。
 とはいっても、今冥子の頭上でうたた寝中の仔猫は、正真正銘あの時の儀式によって生まれた冥子の式神である。
 周囲の、特に完全な成功を疑っていなかったヒャクメの動揺を余所に、冥子は儀式によって生まれた仔猫を優しく抱き上げると、胸にかき抱いてぽろぽろと涙を流した。

 ヒャクメが詳しい霊視をしようとするのを、冥子は首を振って断った。

 彼女には、分かっていたから。

 この仔猫こそが、ころめの答えなのだと。

 心格とは、理想の姿。この仔猫は…ころめの『心格』なのだ。ころめがこうなりたいと願い、辿り着いた答え。
 守ろう、導こうと必死だった彼女が冥子と『お友達』になるために選んだ、新しい姿。

 (ころめちゃんの子供みたいなものだから、こころちゃんね〜!)

 ネーミングセンスの微妙さはまあ、いつものこと。

 生まれたばかりのこころに、特殊な能力の類は一切無かった。これは冥子の式神製作スキルがほとんどゼロであった事と、そんなものを望まなかった冥子の意志が作用した結果でもある。

 「なぁぁぁ…」

 「…何だか、前の私みたいに甘えんぼ〜…令子ちゃんの気持ちがちょっと分かったかも〜」

 冥子の影に入ろうとせず、サ〇シのピ〇チュウのように傍に居たがるこころは、冥子に少しだけ懐かしくも恥ずかしい感想を抱かせた。

 でも、愛しい。可愛い。

 「さ、帰ろうこころちゃん。貴女に私の大事なお友達、たくさん紹介するからね〜」

 「なぁー!」

 こころの首には、瞳の色と同じく薄紅色の宝石がきらきらと輝いている。細い革のベルトに、比較的大き目の欠片を勾玉状に整形して三つほど通してあった。
 ヒャクメが餞別代りに天界の知り合いに頼んで、ころめの欠片を加工して首輪へと仕立ててもらってきたのだ。恐ろしく素早い手際の仕事である。

 改めてリュックを背負った冥子と、頭の上で暢気な声を上げるこころ。

 一人と一匹、そして影の中の十二の異形は、妙神山山道をてくてくと降りていくのだった。


 …こうして、冥子の妙神山修行は幕を閉じた。

 下山した彼女には、まだまだやるべきこと、遭遇する事件が多いだろう。

 でも、今の六道冥子は何も恐れない。

 再会した美神令子をして、『初めて年上に見えた』と言わしめた風格は張りぼてでもお飾りでもない。

 『十三』匹の式神を従えて微笑む冥子の姿は、一見どこも変わっていない。

 けれど、冥子を知る者ならば、その化学反応にも似た劇的な変化の凄まじさに、戦慄を覚えることだろう。


 式神使役者六道冥子。


 その名が、家名を超えて世界中に轟くのは…まだもう少し先のことである。


 つづく


 後書き

 竜の庵です。
 冥子編のエピローグを、ようやくお届けすることが出来ましたー…
 オーバーズの大半を冥子編に費やしたことになりますね。構成力が無いんだな自分。反省。
 ころめを悼むお言葉を頂戴しましたが、彼女の復活はやはり無理ですね。しかし今回のような締め方も、一つの王道ではないでしょうか。うーん、引く人も多いだろうな…

 ではレス返しです。


 木藤様
 どうしようも無かったのです……生かす方向にはどうしても物語が作れませんでした。作者も吠えてきます、不甲斐無いぞコラァ! って。


 内海一弘様
 素のころめ。冥子の理想像だったとはいえ、やはり身を別てば性格には違いが出るものです。はっちゃけ気味に。作者的にもお気に入りのキャラでしたよ。
 老師とは残念ながら出会えず。字数の関係でがっつりカットしてしまい、老師がお出かけした理由などは語れませんでした。秋葉原に行ったわけではありませんよ?
 ヒャクメって、横島に似てますよね。能力はあるのに報われないというか、性格に難があるせいで評価されないというか。実際大ポカが多いせいもありますが。
 エピローグは如何でしたでしょうか。率直な感想がもらえると有難やー、です。


 霧島勇気様
 ころめは最初から、こうすることに決定済みでした。変更しようにも、どうにもならず。はふぅー…
 楽観視・楽観的という見方は、信頼もあるがこそ、でもあると思います。美神なんかは、それに加えて自信もあるでしょうしね、事態を打開する自信が。
 煩雑な視点移動は、悩みの種です…明確な主人公を設定していないので、柱となる視点がシリーズ毎にぽんぽん変わるために起こる弊害であります。元々スランプ〜は魅力的なキャラがいっぱいのGS世界で、色んな人物の話を書こうと思って作ったSSなので、こうなることは予想出来て然るべきでした。要改善・ですね。
 ご意見を頂けるのは、喜ばしいことです。死ね! とか言われない限り前向きに受け止めますよ!


 カシム様
 お久しぶりですー!
 10日前後で一本投稿のペースなので、感慨もひとしおですな。冥子編如何でしたかー?
 冥子は最終的に、やっぱり馬鹿みたいに強くなってしまいました。決して頭の悪い娘じゃないので、要領を得たら加速度的に成長してしまって。動くことと考えることを並列でやり遂げちゃったような印象です。
 ころめはいなくなりましたが、おっしゃる通り彼女の遺志はしっかりと冥子が受け継いでおります。補助輪は取れても、サイドミラーとかクラクションとかは残りますしね。
 地の文が拙いので…どうしても会話文中心に進めるため、結果としてキャラが際立つ作りになって…るのか…な…? 自信ねえーーーっ!!


 以上、レス返しでした。皆様有難うございました。


 さて次回、冥子編が長引いたのでクールダウンする意味でも、外伝でも書こうかと思っております。主役は目つき悪い人。

 ではこの辺で。最後までお読みいただき有難うございました!

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