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「闇に染まる 第十一話(GS)」

アイク (2007-03-19 00:15)
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― 第十一話  謎だらけ   ―


「っ、がはぁ・・・っ!」

ヴァリアントが崩れ去り、横島はヴァリアントに止めを刺した姿勢のまま動かなかったが、
急に片膝を付いた。
横島の魔を思わせていた右手はいつの間にか人のソレになっており、
膝を付いた横島突如血を吐いた。そして自分の血の色に驚愕し、目を見開いた。

「どういう事だ!?」

横島の血の色は人間の赤でも無ければ、魔族の紫でも無く、
その二色を混ぜ合わせた赤紫色をいていた。ただ、赤の割合が多めの様で、
一見何ら変わりが無い様にも見える。
だが、良く見ればすぐに異なっている事に気付く。
そして、その血からは魔力と霊力の二つが感じられる。

横島の驚愕は当たり前のものだった。
ヴァリアントと戦い、その時に流した血の色は間違いなく赤だった。
その証拠に床についた、まだ乾いていない血の色は赤だ。

そして驚くべき点は霊力と魔力、両方を含んでいる事だ。

魔力、霊力、神通力、

これ等は名前が異なるが、本質的には大差は無い。
だが、大きく異なっている点が有る。

それは、性質だ。

神通力は神族。つまりプラス、陽に部類され、魔力はその逆、マイナス、陰に部類される。
そして霊力は陰陽両方の中間、そしてどちらでもある。

神族と魔族がコインの裏表である様にその力も同じ様に対なのだ。
そして、力は所詮力。力自体に善悪は無く、使う者の心構えでそのあり方を変える。

だが、性質が変わる事によりこの三種の力はお互いに反発や同調、対消滅したりするのだ。
それ故これ等が一つの物体に、同時に感じられる事はかなり少ない。

「ぐっ・・・それよりも山岡を追わないと・・・」

少しの間頭がフリーズした横島だったが、己の目的を思い出し、
行動しようと考え、【回復】の文珠で体を癒し立ち上がった。

「っ、ゴホッゴパァッ・・・!
 はぁ、はぁ、はぁ・・・くそっ!・・・なんで、だ!?」

だが横島は再び床に膝を付き、血を吐いた。
荒い息を整えながら立ち上がろうとするが立ち上がれない。
自分の吐いた血を睨みつけ、まるで自分の体に聞く様に言った。
つい声を荒げてしまう。だがそれは仕方が無い事だ。自分の体なのに思う様に動けない。
しかも、時間が無いというのにだ。

「くっ・・・」

横島はそのままうつ伏せに倒れた。
そして調度その時、自分が通った道から人の声がするのを聞いた。
足音からして人数はおそらく4人が此方に向かってくる。

「っ・・・!、くっ・・・!」

横島は文珠【回復】を再び使い、無理やり立ち上がる。
先程まで感じていた魔力は無く、回復の文珠で少しだけ回復したなけなしの霊力で霊波刀を成す。
霊波刀は短刀程の長さしかなく弱々しい。

「ここがそうなの?ヒャクメ?」

「たぶん、そうなのね〜」

「しかし・・・これはどういう事だ?」

「そうですね姉上・・・!待て!誰かいる」

女3人男1人の聞き覚えのある声に横島は動きを止める。
そして、男が横島の気配に気付いた様だ。

「!?小、竜姫様・・・ワル、キューレに、ジーク・・・」

「「「「横島(さん)!?」」」」

そうして彼等の姿がハッキリと確認した横島はそう言いながら再び倒れる。
張り詰めていた緊張の糸が切れたのだろう。
実に力なく倒れた。
一方彼等は目の前の人物が横島だと、声でやっと気付いた様だ。

「ひさし、ぶりです・・・」

「しっかりして下さい横島さん!」

「そうだぞ横島!」

「喋らない方が良い!体にさわる!」

彼等、小竜姫達は急ぎ横島へ駆け寄り、うつ伏せに倒れた横島を仰向けにした。
そう弱々しく言う横島に励ましに近い言葉を贈る小竜姫、ワルキューレ、ジークの3柱。
ヒャクメは横島をまるで幽霊を見る様な驚愕に満ちた目で見ている。
横島は【治癒】の文珠を使った。
すると、効果が無かった文珠の効果が一気に利き始める。

「・・・大丈夫っすよ。文珠の効果がやっと効いてきましたから」

「ですが・・・」

「大丈夫っす。(まだ、な・・・)」

横島は心配に声をかける小竜姫にそう言い、立ち上がった。
だが、内心呟いた事を聞ける者がいるのを失念していた。

「何が大丈夫なのね!そんなにボロボロで!いつ死んでもおかしく無いのね!」

「・・・いたのか。ヒャクメ」

「誤魔化そうたってそうはいかないのね!」

ヒャクメが驚愕に満ちた目で横島を見ていたのはこの為だ。
ヒャクメの目には見えていたのだ。
いつ死んでもおかしくない程弱りきった横島の霊其構造と肉体が。

そして、今いる事に気付いたかの様に振舞う事で誤魔化そうとした横島に怒鳴る。
ヒャクメの言葉に小竜姫、ワルキューレ、ジークの3柱は、
横島の顔を先のヒャクメ同様驚愕に満ちた顔、そして信じられないといった目で見る。

(ちっ・・・ヒャクメの趣味が他人の心を読むって事を忘れていた)

「ふざけるのはいい加減にするのね!」

「何をだよ」

「誰の趣味が他人の心を読むって事なのね〜!」

「それは「「「おまえ(あなたでしょう)だろう」」」」

「もういいのね。それで・・・」

(上手くいったか?)

異口同音に言われた一言にヒャクメは意気消沈し、がっくりとする。
ヒャクメのキャラクター性で内心誤魔化す事に成功したかと思う横島。
だが、そうは問屋(宇宙意志?)が卸さない。

「横島!その手は!」

「っ!?それにその眼はどうしたんです!?」

心に余裕が出来たワルキューレと小竜姫は横島の変化に気が付いた様で、
焦った様な驚いた様な顔で横島の右手と目を見ている。
ヒャクメは不貞腐れ、横島達から背を向けブツブツと言っている。
一方ジークは周りを警戒しながらも、横島達の話しに耳を傾けている。

「・・・右手は俺にもワケが分からない。
 それより小竜姫様、よく気が付きましたね。俺の左眼が見えていない事に」

「えっ!?そうなんですか!?」

「・・・横島、小竜姫が言ったのはおまえの両目の色が変わっている事だと思うぞ」

横島は渋々といった感じで話し出した。
横島が小竜姫にそう言うと逆に驚いた小竜姫に横島は首を傾げる。
そんな横島の様子にワルキューレは小竜姫の言葉を捕捉した。

「そうなのか?それより俺は急ぐんだ。道をあけてくれ」

「おい!ちょっと待て!何をしに行くというんだ!」

「そうです!」

「横島君。少しは自分の体を気遣ったらどうだ!」

「そうなのね〜!大体検査が必要なのね〜!
 右手だけが魔族化しかけているなんて、普通ありえないのね〜!」

興味を無くした様に、山岡を追おうとした横島を小竜姫、ワルキューレ、ジークが止める。
意気消沈していたヒャクメだったが復活した様で横島を止めようとするメンバーに加わる。

横島はヒャクメの一言に動きを止めた。

「ヒャクメ、今なんて言った」

「だから、横島さんの右手が魔族化しかけているって言ったのね〜」

ヒャクメの言葉が横島の頭の中でリフレインする。
いきなり動きを止めた横島を4柱は不思議そうに見る。

(右手が魔族化しかけているだと?なんで・・・
 大体、あの化け物と戦っている最中に俺の右手は・・・っ!そうだ!)

横島は自分の右手だったモノを探し始めた。
横島の行動に4柱は更に不思議そうに見るばかり。

「ヒャクメ、コレを調べてくれ!」

「い、いきなりなんなのね〜?まぁいいけど・・・」

横島がヒャクメに渡したのは横島の右手だったモノの残骸、
それは砂の様な粉末の様な感じだった。

ヒャクメは横島の行動に首を傾げながら自前のパソコンから伸びるコードに粉末を入れる。

「っ!?横島さん!コレは・・・!」

「一体どうなっているか分かるか?」

「詳しく調べてみないと分からないのね〜」

「「「「はぁ・・・」」」」

ヒャクメは自前のパソコンが出した粉末の正体に横島の右手と顔を交互に見、
実に驚愕した目で横島を見ている。
ヒャクメの行動に残りの3柱はただ静観し、ヒャクメの答えを待ったが、
ヒャクメの分からないという答えに溜め息をついた。横島も同様にだ。


ゴゴゴゴゴゴゴゴオゴオオオォォオォオオォォォ!!!


「っ!?何事だ!」

「地上の人間達が爆弾とかを使っているのね!」

「私達を生き埋めにする気でしょうか?」

「いや、それより証拠隠滅の方だと思う」

そんな時、建物に大きな衝撃が奔り、大きく揺れた。
急な事だったが皆倒れない様に踏ん張る。ヒャクメは尻餅をついたが・・・
揺れが収まり、ワルキューレの疑問に答えたのはヒャクメだった。
能力である千里眼で知った様で、彼等の行動の目的は何かと小竜姫とジークは意見交換をする。

「その両方だろうな。チッ、山岡の野朗、ふざけたマネをしやがって・・・」

ゴクッ

横島そう忌々しげに呟き、天井を睨みつける。
横島は無意識に禍々しい殺気を放ち、緋の双眸が危険な輝きを含む。
小竜姫達は横島の変わりように息を呑んだ。

「小竜姫様達はおキヌちゃんを連れて脱出してくれ」

「な、何をいっているんですか!横島さん!」

危険な光をその瞳に含みながら小竜姫の方を見、静かに言う横島に小竜姫は胸に何かを感じる。
焦った様に返す小竜姫にワルキューレとジークは自分達の任務、
本当の任務の為にどう動くか考える。

「このまま山岡を逃がしたら後々厄介です。それにおキヌちゃんの蘇生をお願いしたいんです」

「し、しかしですね!」

「いや、小竜姫とヒャクメは一足早く妙神山へ戻ったほうが良い」

「ワルキューレ!?」

静かに言う横島に小竜姫は考えを改めて貰おうとなお何か言おうとするが、ワルキューレが止めた。
予想外だったのだろう驚きに満ちた顔でワルキューレを見る。

「横島は私とジークに任せてくれ。横島は止まるつもりは無い様だ。
 心配するな。いざという時は私達が無理矢理にでも返す」

「ですが・・・」

「ヒャクメ時間が無い。この文珠でおキヌちゃんの居場所が分かる」

「・・・分かったのね〜」

「ヒャクメ!?」

小竜姫を説得するワルキューレを尻目に横島はヒャクメに【知】と込めてある文珠を渡す。
横島の真剣な、否、鬼気をも見える瞳にヒャクメは首を縦に振った。
ヒャクメの行動に小竜姫は文句を言おうとすうるのかヒャクメに近づく。

「横島さん。【保存】の文珠は後どれ位持つのね〜?」

「あと2時間位だ」

「というワケで時間が無いのね〜」

小竜姫はヒャクメの言いたい事は理解した。だが納得はしていない。
小竜姫の目には明らかな不満が有る。

「・・・仕方が無い。ジーク、小竜姫とヒャクメを頼む」

「はい。行きますよ」

「ちょっ!ちょっと待ってください!」

「じゃあ行くのね〜」

ワルキューレの指示にジークは小竜姫の手をとり、小竜姫の言葉を無視し、
文珠の効果で位置を把握したヒャクメと共に転移した。


「・・・何のつもりだ」

「今は時間が無い。そうじゃないか?」

「・・・確かにな」

3柱が転移し、横島はワルキューレにそう言う。声音にはなぜ?という色が有るが、
ワルキューレがニヤリと笑いながら言った言葉に、
何かを言うのを止め、そう締めくくり横島は走りだす。
そんな横島にワルキューレは何も言わず後を追う。


宴は、まだまだ終わりそうには無い。


―後書き―
あ〜疲れた。もう疲れたよパト○ッシュ・・・って、何パロッてんだ俺は・・・
『ある男の歩いた道』のレスが見たら7件になっていてビックリだ。
今回は特に何も(?)無しです。

マジでシロとタマモどうしよう・・・出すか出さないか・・・う〜ん・・・

この『闇に染まる』より好評気味だし。
『ある男の歩いた道』のレス返しは21か22日位にレスに書く事にします。

では失礼します。


〜レス返し〜
・February様
 なるほど。確かにそう取れますね。結論から言えば女は怖いで良いのか?
 ちなみに第二、第三のヴァリアントは出ます。

・アミーゴ様
 とりあえず現状維持にしました。
 実はこれ以上どう増やすか考えるのが面倒になったので。

・DOM様
 覚醒と言えば覚醒ですが不完全です。

 『時の流れに』をサイトで直に読むとマジ疲れます。実際俺がそうでしたから。

・皇 翠輝様
 それは秘密です。まぁ、まだ死にはしませんがね。
 楽に死んでもらっちゃあ困るんで・・・

・物体X様
 わざわざありがとうございます。
 そうか、学名からか・・・確かにストレートに英訳だとブラックリリーだもんな。なんか締りが無い。

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