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!警告!バイオレンス有り

「闇に染まる第九話(GS)」

アイク (2007-03-10 22:43)
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―第九話  代償は何か  ―

目覚めた異形ゆっくりと立ち上がり歩を進めた。
大型のディスプレイの光で異形の姿を横島に見せる。
3つの鳥の様な頭に一対の翼、
そして蛇の様な尾が生えた、人型に近い化け物だ。

「くは!くはははははははは!
 いくら君でもコイツは倒せないぞ!私達の生み出した最高傑作!
 君のクローンをベースにガルーダ等の因子を取り込ませた人工魔族!
 最高の合成魔獣ヴァリアントは!」

山岡のこの叫びは何だったのだろうか・・・
自信の表れ?それとも、少しでも恐怖を和らげ様としたのだろうか?

「ケェエエア!」

(間に合わねぇ!)

横島をしばらく見ていたヴァリアントだったが、敵として認識したのだろう。
奇声をあげ、横島に襲い掛かる。
横島は咄嗟に文珠で自分の身体能力を【強化】した。

ヴァリアントは己の爪で裂こうとし、その一撃を横島は剣の腹で受ける。

ガキャッ

「ぐっ・・・」

「キュアッ!」

金属同士が激しくぶつかった様な音がした。
ヴァリアントの力は強く、その攻撃に耐えた横島は苦悶の声を洩らし、
それをチャンスと判断したのだろう、
ヴァリアントはもう片方の腕を振り下ろす。

ザッ

「つぅ・・・なんつー馬鹿力だ」

バックステップでなんとか避ける事に成功した横島だったが、
左の鎖骨から腹にかけ切られた。だが傷は浅い様だ。

ヴァリアントの攻撃で両手が軽く痺れ、浅いが傷の痛みを忌々しく思い、
ヴァリアントを睨みつけそう呟いた。
一方ヴァリアントは三つの頭を横島に向ける。

「グルゥゥッ  キュアアァアアアア!

ヴァリアントは喉を鳴らし、
そして絶叫と共に口から強力な光の束が放たれた。

横島は咄嗟に等身大のサイキックソーサーを盾とし、更に剣の腹を向ける。

そして、レーザー砲の様な霊波砲が着弾した。

ピキッ  パリィイイイン!

「チッ」

ズオオオォオオオォオオオオオオン!!!

氷にヒビが入る様な音がし、
ガラスが割れる様な音をたてて、ソーサーは砕けた。
横島は舌打ちをしながら剣から手を放し、転がる様に避ける。

霊波砲は横島クローンの失敗作を呑み込んだ。
そして、建物を震わせる轟音を轟かす。

ボウッ

霊波砲により宙を待っていた剣は床に刺さる前に黒き炎となり消える。

「あは、あはははははははは!
 無駄だよ無駄!諦めて命乞いをしたらどうだい!?」

(ミスったな。サイキックソーサーじゃなくて文珠を使えばよかった。
 あの霊波砲の威力は文珠1つじゃあ防げないだろうな。
 溜めが要るみたいだから、その隙に殺れば問題無いか・・・
 さて、どうするか・・・)

山岡は壊れたかの様に笑い、そう言った。
自分の生き残る可能性が出来た為だろうが、テンションが高い。
そんな山岡の言葉なぞ横島は聞かず、どう行動するか考えているのみ。

「聞いているのかい?」

「・・・・・・・・・・・・」

山岡の問いに横島は沈黙をもって答える。
山岡の言葉を一言も聞く気は横島には無く、この問いすら聞いていないのだ。
沈黙以外にどう答えろと?
例え聞いていたとしても、挑発の為無視するだろうが。

「もういい。行け!」

「ギュルアッ!」

横島の態度に苛立った山岡はヴァリアントにそう命じ、
ヴァリアントは返事をする様に一鳴きし、横島へ襲い掛かった。

「考えるヒマはねぇか」

横島はそう小さく呟き右手に霊気を集中させ栄光の手を発動させた。
具現化された霊気の籠手はその形を変えていた。
手の甲にあった玉らしきモノは無くなり、硬質感が強く鬼を思わせる形状。
そして、色も黒が基盤になっている。

(変わっている?まあいい。今は・・・)

栄光の手の変化に気付いた横島だが気にせずヴァリアントを見、
霊波刀を発動させた。
霊波刀も以前とは異なり、霊気で出来た結晶の様な剣を、
籠手状態の栄光の手で持っているという状態だ。
空や海を思わせる藍い霊気の剣でヴァリアントの爪を受ける。

ピキッ

(くっ・・・強化しないと十秒も持たないな)

ヴァリアントの爪を止めた霊波刀だが、ソーサー同様砕けそうになる。
ヒビの入った霊波刀にそう判断した横島は左手に文珠を4つ取り出し、
内2つに【爆撃】と込め、ヴァリアントに投げつけた。

ドォオオオオォオオオン!

「なっ!」

劫火と爆風が暴れる。
その破壊力に山岡は左手で顔を庇いながら驚き、
爆風に吹き飛ばされそうになるのを必死で耐える。

「これでどうだ?」

残りの2つの文珠で【守護】と込め、身を爆炎から守り、
爆風を利用し後方へ跳び移動した横島は静かにそう呟き、文珠の結界を解く。

「ギョワアアア!」

ボフッ

「至近距離で喰らってもまだ死なねえか」

ヴァリアントはまだ死ななかった。
火達磨になったというのに雄たけびをあげ、身を焼く炎を振り解く。
爆炎で右側の頭部は潰れ、重度の火傷を負い、
大ダメージを受けてはいるがまだまだ戦闘は可能の様だ。

そんなヴァリアントの様子に横島は忌々しく思いそう呟きながら、
一度霊波刀を消し、込める霊気を増やし再度出す。

「ゲギョアッ!」

(!?速くなりやがった!まさかパワーも!?)

怒り狂ったヴァリアントはその身体能力を上げ襲い掛かった。
その速さに力も増していると思った横島は【強化】の文珠を霊波刀し使う。

霊波刀はその霊力の強さからか強く輝き、その大きさを1.5倍程増し、
蒼い雷光を刀身にバチッバチバチと音をたてながら纏い、
そして、横島の手は己の霊力に耐えられないのか、
毛細血管が弾け、黒い籠手の下を赤く染める。

ズシャッ

「ギャギョワアッ!」

爪と霊波刀のぶつかり合いは霊波刀が勝利し、
ヴァリアントの左腕を縦に斬り裂いき、横島はヴァリアントの後ろを取った。

だが、紫の体液を撒き散らすもヴァリアントは怯む事は無いく、
振り向こうと体を捻る。

「!?なにっ!?」

霊波刀を振り下ろし、ヴァリアントを一刀両断にしようとした横島だが、
ヴァリアントの尾が横島の右手首に巻きつく事でその動きを止める。

(やばい!)

ザシュッ

横島の驚きの声にヴァリアントは器用にも口の端を上げる。
その表情に危険と霊感が最大級のアラームを鳴らし、
横島は反射的に右手を無理矢理動かし、ヴァリアントの胸を貫こうとする。
しかしヴァリアントの力は強く、貫いたのは左側の頭だった。

「ギョギョァ!」

ブチブチブチッ  グギャ  ブチィイイッ!

「ぐがぁあああああ!(コレでも喰らえ!)」

ドカァアアン!

左側の頭を貫かれたヴァリアントだが、
横島の右手を掴み、その怪力で力任せに引き千切る。
筋繊維を無理矢理引き裂かれ、骨を砕かれ、
横島の右腕は肘の少し上から千切られた。

横島は激痛に叫びながらヴァリアントの胴体を蹴り、
更に左手に【爆】の文珠を一つ出し発動させた。

横島は爆風と共にヴァリアントから離れる。

「ぐっ・・・」

転がる様に着地した横島はヴァリアントを睨みつけながら、
【治療】を使い、更に【復元】の文珠を使った。
だが・・・

(!?右手が!?とりあえず血を止めないと)

【爆】の文珠で受けたダメージを癒す事には成功したが、
右手は復元せず、【止】で血を止める。
だが、気を失いそうな激痛はマシになる事は無い。

ジュウゥゥゥゥ

「!!?!」

(一体何なんだい?)

爆風と共に横島の千切れた右腕が地につくと同時に、
突如黒い煙をあげ、石の様になり崩れたのだ。

その現象に山岡は好奇心で恐怖を忘れ、
食い入る様な目で横島の崩れた右手を見、
当の腕の持ち主だった横島はヴァリアントの生死よりも、
崩れた自分の右腕を唖然と見るだけだ。


―後書き―
いきなりですが、
シリアス全快(?)真っ黒な横島は需要が少ないですね〜
時間が有ったら本来のギャグな短編を書いてみようかな?
実は試しに一回書いてみてダメだこりゃな作品で、
シリアス街道まっしぐらなこの作品が誕生したんです。

俺の見解で具現化と物質化は異なります。
具現化は霊気が形を変化した状態。霊波刀等で、
物質化は霊気が形になった状態。魔装術等です。
まぁ、具現化が水の状態変化(だったかな?)で液体や気体な状態。
物質化が固体の氷と思って下さい。

異形の名前がヴァリアントなのは単なる思い付きで、
異形という単語をyahoo!JAPANの翻訳機能で訳して、
A variant が出てきたからです。英語は苦手でこう読むのか?と思って、
ヴァリアントにしました。
ちなみに更新が遅れたのは、
皆さんの作品を読んでいたら、自分の分を書き忘れたです。
今度はそうならない様気をつけるんで見捨てないで下さい。

言い忘れていましたが・・・
ヴァリアントは実は、横島とガルーダの子供と言っても良いモノです。
まぁ、横島も例えヴァリアントが自分の子供みたいなものでも、
こんな子供は要らないでしょう。
実際、子を虐待して殺す親もいますしね。

あと、前回はあつかましくレスをお願いしてすいません。
あの時は物凄く凹んでいたもんですから・・・
でも、書いて頂いたら嬉しいです。元気がでるんで。
風邪がなんぼのもんじゃ〜!なテンションになります。


〜レス返し〜
・内海一弘様
 魔族因子暴走等は後々分かります。
 残念ながら、美神さんは・・・まだ登場しません。
 と言うより、ヴァリアントとの戦いは横島君とのガチンコです。

・皇 翠輝様
 『模』しただけじゃないですがね。
 先に言っときますが・・・ラスボスはルシオラ寄りですよ。
 何話かで細かく書きますがね。
 年齢制限はアダルト以外分かりません。

・February様
 初めまして。
 レスありがとうございます。あと、我が儘を聞いてくれてすいません。
 元気がでました。

・DOM様
 どこまでも・・・です。
 『呪い』の鎧も別の形で出しますしね。

・アミーゴ様
 ここまで来たら突っ走るしか無いですよ。
 最初から退路は無い。有っても行く気は無いですよ。

・紅様
 憶えてますよ。今まで一度でもレスを書いてくれた人達の、
 ハンドルネームは別のファイルに保存してますから。
 期待してくれるのは嬉しいです。

・零式様
 いえいえ。俺は貴方の作品は好きですから気にせずに。

・yuju様
 半分は当ってます。どれが当たりかは後々分かりますよ。

・冬至様
 ドコまで堕ちるのかは作者の俺も分かりません。

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