「うう、痛ぇ……小○が……○錦がーっ……」
アパートの自分の部屋で座椅子にもたれている横島のうめき声である。
予定通り小山事務所でカリンが超加速の修業をした後、部屋に帰って彼女を体内に戻した瞬間、例の霊体痛がやってきたのだ。
メドーサの時は傷病平癒符をありったけ使ったから回復が早かったが、あれは書くのに時間がかかるので今回はあまり使えない。
もちろん夕食を作る力など残ってはいなかったが、幸いなことにもう1人の同居人はある特定の分野については名人級の腕前を持っていた。
「はい横島、あーんして」
今夜のメニューは挑戦作、チャーハン稲荷だ。タマモはそれを箸でつまんで恋人の口まで運んでやった。
基本的にものぐさな彼女がそこまでしてやるのは小竜姫への対抗心かとも思われるが、乙女の内心を深く追及するのは不粋というものであろう。
クラスメイトの男子が見たらブチ切れること必定の幸せそうな風景だが、しかし横島忠夫という人物の属性は「ラブラブべた甘」ではなく、「お笑い芸人」なのだった。
「おお、すまんなタマモ。俺がこんな体でなけりゃ、おまえにも楽させてやれるんだが」
「おとっつあん、それは言わない約束でしょ……って何言わせるのよ」
タマモも昨晩見た時代劇がまだ頭に残っていたらしい。それとも横島といっしょに暮らしている内に毒されてきたのだろうか?
しかしすぐ真顔に戻って、
「ま、そんなに気にすることないわよ。これってけっこう気分いいし、あんたが成長すれば将来GSになった時の稼ぎも増えるわけだから」
となかなかに計算高い発言をしてくれたが、横島は別に不快には思わなかった。保護者がより金持ちになるのを望むのはある意味当然のことだし、彼女の台詞の前半は素直にうれしい。遠慮のない言い方だからこそ、逆に信用できるというものだ。
が、そんなことを言ってしまうのは彼の芸道に反するし、タマモも調子に乗るだろう。
「愛にも打算がまじってるってわけか……玉藻屋、ヌシも悪よのう」
「誰が玉藻屋よッ!?」
孝行娘から悪徳商人に格下げされたからか、タマモは今度は全く乗ってきてくれなかった。横島の口に運びかけたチャーハン稲荷を自分の口に放り込む。
「ん、思ったより美味しいわこれ。お弁当にはちょっと向かなさそうだけど」
とタマモはレパートリーがまた1つ増えたことを喜んだが、自分の分を横取りされた横島の方はたまったものではない。
「こらタマモ、いたいけな少年の食い物を奪うなんてかわいそーだと思わんのか!?」
「あんたのどこがいたいけなのよ!」
タマモは吼えた。横島の発言は明らかに美しい日本語への冒涜である。
しかしまあ、こういうおバカな所も彼の魅力の1つだと思わなくもない。退屈しないし、面倒な気遣いをせずに済むから。
前世や前々世のころは得意だったのかも知れないが、今はこの気楽な暮らしが気に入っていた。
「んー、そうねぇ。今度の日曜日にデートしてくれるんなら、口移しで食べさせてあげないこともないけど?」
「く……口移し!?」
想像のはるか斜め上をいく提案に横島は目を白黒させた。もちろん断る理由はない。
「そ、そっか。まーこれからも世話になるわけだし、そのくらいのことはしてやるのが保護者の義務ってやつだよな」
また怪しい理論武装を始めた横島の崩れた表情を見てタマモはくすっと笑ったが、特に突っ込みは入れなかった。
「じゃ、目つぶって」
「お、おう」
横島がぎこちなくそう答えて目を閉じる。
タマモはゆっくりと顔を近づけて唇を重ねると、それを自分の舌でこじ開けて―――チャーハン稲荷を恋人の口の中に流し込んだ。
「はあ、はあ……ちょ、ちょっと疲れたわね。どうやらあまり多用する技じゃなさそうだわ」
15分ほど経ってようやく皿を空にしたタマモだが、頬が赤くほてっていて息も荒い。どんな食べさせ方をしたのか、ずいぶんと気力を消費した模様である。
「そ、そーだな。せっかくのうまいメシに集中できなくなっちまうし」
と横島もなぜかそれに同意した。不可解なことだが、彼が口の中で「俺はロリじゃない、アイアムノーマル……」とぶつくさ唱えていることに謎を解くカギがあるようだ。
「……うん」
それを聞いたタマモはうれしそうに口元を綻ばせた。横島は自分の趣向も料理も喜んでくれたのだ。
少年の隣に腰を下ろして、こてんと体を預ける。
「ん? 何か今日はやけに甘えてくるなあ。どーかしたのか?」
と横島には相変わらずデリカシーというものが無いが、タマモは今さらそんなことは気にしなかった。
「んー、女の子はたまにはそんな気分になる時もあるのよ」
「……そっか」
そんなもんなのか?と横島は思ったが、あえて問い質す理由もない。少女の小さな肩を軽く抱き寄せると、髪と背中をやさしく撫でてやるのだった。
その翌朝。横島とタマモがいつも通り学校に行って席につくと、何人かの男子が2人のそばに寄ってきた。
横島はすでに用件が読めたのか激しく白っぽい眼を向けたが、その程度で動揺するようなヤワな人間はこのクラスにはいない。
「横島、おまえ相変わらずタマモちゃんと一緒なんだな……3日くらいで逃げられると思ってたのに。
まーそれはともかく。今日はあのコ呼ばないのか?」
「呼ばねーよ。だから自分の席帰れ」
昨日のイヤな予想が当たってしまった事にげんなりしつつ、邪険に手を振って男どもを追い払おうとする横島。すると級友たちは、それがまるで世にも理不尽で不当な行為であるかのように咎め出した。
「何だと!? 貴様横島のくせに、人類共有の財産であるコスプレ美少女、つーかあの絶妙なスリットとか突き出た乳とかを独り占めにする気なのか!?」
「ジャ○アンネタはもーいい! そもそもあいつは俺の霊能力なんだから俺のもんだ。見せ物にする気はねー!」
動機が何であれ、女の子を見せびらかして優越感にひたろうなどと考えない点は感心である。以前「俺のもん」扱いして粛清されていたが、今回は勘弁してもらえるかも知れない。
どちらにしても見苦しい争いだったが、今日は予鈴が鳴る前にその口論を中断させる者がいた。
「あー、ちょっといいかしら? 除霊委員に用があるんだけど」
美術の臨時講師の暮井緑先生だ。ある時系列では魔法の絵の具でつくられたドッペルゲンガーだったが、ここでは普通の人間である。
若くて美人だが今いち意欲に欠けるので生徒からの人気も今いちだったが、当人はあまり気にしていなかった。
男子たちが仕方なく散っていくと、横島は暮井が口を開く前に、
「またですか? いーかげん生徒を使うのはやめてほしいんスけど……」
彼の主張はもっともだったが暮井は微動だにせず、しょっぱなから内輪事情をぶっちゃけた。
「外に依頼すると時間かかるし、経費もないそうだから」
「「……」」
横タマに加えて愛子も大人の事情の厳しさに絶句したが、暮井はそれすらも気にせずに話を続ける。
ちなみにピートは昨晩唐巣の教会にちょっと遠出かつ緊急な依頼が来たので、今日は1日お休みだ。
「とにかく、早いとこ処理してくんないと授業できないのよ。細かいことは歩きながら話すから、今から美術室に来てくれない?」
「い、今からっスか? 俺たちも授業ありますんで、人命にかかわるとかでなかったら昼休みか放課後まで待ってほしいんですけど」
横島たちが学校に来ているのは授業を受けるためであって、無償で除霊をするためではない。彼らにしてみれば当然の返事だった。
「仕方ないわね……それじゃ昼休みに美術室まで来てちょうだい」
暮井としては昼休みまで待っていると午前中は美術室での授業ができなくなってしまうのだが、ケガ人が出たわけでもないのであまり強くも出られない。そういうことで妥協した。
妖怪(?)が現れたのは昨日の午後のことである。1本の絵筆が宙に浮かんで、握る者もいないのにひとりで動き回って絵を描き続けているのだ。
邪魔なので捕まえようとすると器用に逃げ回って、天井のすみなどに退避してしまう。嫌がらせにキャンバスを取り上げてみたら、仕返しのつもりか壁に絵を描き始めた。
絵の具は要らないようなのでキャンバスさえ与えておけば実害はないのだが、生徒たちは気になって授業に集中できないのである。
ちなみに画力はたいしたことはなく、暮井から見れば十把一からげ程度の腕らしい。
「……はあ、分かりました」
横島はまだ納得したわけではないのだが、この流れでは断るのはもう無理っぽい。仕方なくそう答える。
その返事に満足した暮井が帰っていくと、さっきの男子たちがまた寄ってきた。
「おお、除霊委員出動だな。今日はピートもいないし、もしかしてあのコが『踊るGS』みたいなアクションするんか!?」
「俺としてはカンフーアクションの方を期待したいぞ」
「つーか横島に弁当作ってくれるくらいだから、天使みたいないーコだろ? 頼んだら俺たちの分も作ってくれんかな」
実のところ、彼らがカリンに執着するのはこの3番目の男子が述べた理由によるところが大きい。横島の一部とはいえ体も心も別だから、普通に「かわいい女の子にお弁当つくってもらえた」気分を味わえるだろう。もしかしたらそれ以上のイベントもあるかも知れない。
が、むろんそんなことを「本体」が承服できるわけもなく。
「帰れ!!」
横島は叫んだ。
そして昼休み。急いで弁当を食べた横島・タマモ・キヌと愛子が美術室へと歩いている後ろには、2年5組男子の面々が背後霊のごとく憑いていた。
カリンのことはもちろんだが、ネクロマンサーだと聞く下級生女子がどんな芸を見せてくれるかという点にも興味がある。
横島がしっしっと手を振って、
「野次馬は来るんじゃねー! ジャマだ」
「何でだよー、一般人を霊障から守るのがGSの仕事なんじゃないのか?」
「タダで男なんぞ守ってられるか!」
GSに期待されるモラルという点では男子たちの言い分も間違ってはいないが、法的な義務ではないから横島の主張は正当である。
まして止められたのに押しかけて来るようでは論外だが、それでもケガ人が出れば横島たちはやはり不手際を非難されることになるだろう。
だから彼らは今まで部外者はシャットアウトしていたのだが、そういうこともあって除霊の現場を実見できる機会はまれである。男子たちが野次馬根性を刺激されたのはある意味当然のことだった。
(つーか赤字なんだよな……はあ)
横島が今持っている「手提げ袋」には、自作の破魔札や結界札などが入っている。せめて手間賃くらいは出して欲しいと思うのだが、今までに受け取った報酬は松村の件でもらったデジャヴーランドのタダ券2枚だけだった。
考えてみれば理不尽な話である。まあそれでも「ある時系列」に比べればよほどマシな暮らしができているのだが。
「というか、帰りたいのは私の方なんだけど……」
「私も」
愛子とタマモが小声でささやき合っているが、他の者には聞こえていないようだった。まあ世の中なんてこんなものである。
そんなこんなで横島たちが美術室にたどり着くと、暮井が教室の前で腕組みしながら立っていた。来訪者の数の多さを気にすることもなく、先頭の横島に話しかける。
「やっと来たわね。とりあえず中を覗いて見てくれる? それだけなら何も反応しないから」
「……はい」
少しだけ開いていた扉の隙間から横島がそっと中を見てみると、部屋の片隅に立てられたイーゼルに向かって謎の絵筆がひたすら腕を振るっていた。中央の台の上に果物の入ったかごが置いてあるので、たぶんそれを描いているのだろう。
次いでタマモと愛子、キヌも同様に中を窺い、暮井から詳しい事情を聞いた上で作戦会議に入る。
「愛子のに似てる妖気を感じるわ。器物妖怪の類じゃないかしら」
「器物妖怪か……うかつに触らん方がいーかもな」
タマモの観察に、横島は意外に慎重な判断を下した。
シメサバ丸の例もある。絵筆ごときに大したことはできないだろうが、妖怪を見た目だけで判断するのは禁物だ。
「ま、妖怪ならおキヌちゃんは留守番だな。あと先生、こいつら連れて下がってて下さい」
男どもは自分の言うことは聞かなかったが、教師の指示なら従うだろう。横島はそれを期待したのだが、やはり現実は非情だった。
「いい機会だから私も見物してみたいんだけど、ダメ? あの絵筆、別に攻撃してくるわけじゃないし」
「……」
ブルータス、おまえもか。横島は深く失望したが、もはや説得する気力はわいてこなかった。
「……何があっても俺たちは責任取りませんからね。それでいーなら好きにして下さい」
と普段より当社比45.43%ほど投げやりな態度で踵を返して、美術室の中に足を踏み入れる。すると後ろから、
「気をつけて下さいね、横島先輩」
と、珍しい呼び方で彼を励ましてくれる声が聞こえた。
今回は補欠とされたキヌである。心やさしい彼女だから、先頭に立つ少年にせめて声援くらいはと考えたのは当然のことであろう。
「おう、任せとけおキヌちゃん!」
微妙な面映さでハートを刺激するその呼称に、横島がいきなり元気度を全回復させて余裕の笑みなど浮かべてみせる。その豹変っぷりにタマモはちょっとばかり額に縦線効果を入れたが、今は追及する気はないようだ。
横島を先頭にしてタマモと愛子が続いたが、絵筆は絵を描くのに夢中なのか、2mくらいの近距離まで近づいたのに何も反応してこない。もっとも暮井の言葉を信じるならば、手を伸ばせる所まで行けば逃げてしまうのだろうが……。
絵筆の動きは道具のそれにしか見えない。横島は試しに、金縛りの術でそれを止めてみることにした。
「鋭っ!」
横島の右手の指が突きつけられると同時に絵筆がぴたりと停止する。そしてブラシの反対側の端から、もやもやと煙のようなものが吐き出されてきた。
毒ガスか!?と横島たちはあわてて飛び退いたが、それは思い過ごしだった。煙は絵筆の傍らで固まって人間のような形を結ぶと、実際にほぼ人間同然の外見になったのだ。どこか浮世離れした感じの、20代半ばくらいの男性だった。
「やっぱり妖怪!?」
「……ひどいじゃないか、人をいきなり身動きとれなくするなんて」
と妖怪(?)は横島を責めたが、その声色はそれほど剣呑ではなかった。やはりあまり戦闘的な性格ではないとみえる。
「……と、おや? そこにいるのは愛子クンじゃないか」
「そーいうあなたは……次郎?」
なんと2人は顔見知りだったようだ。横島が驚いて、
「知り合いなのか!?」
「ええ、私と同じ付喪神の学校妖怪よ。絵を描くのが生きがいだし特殊な能力もないから、危険はまったくないんだけど……」
と、愛子の説明はなぜか少し歯切れが悪かった。
しかし危険がないのなら、除霊委員としてはあえて退治する必要はない。人に迷惑をかけないよう、説得するのが次の仕事だ。
暮井たちは固唾を呑んで成り行きを見守っている。横島はその視線を背に受けながら、次郎と呼ばれた絵筆妖怪に声をかけた。
「あんたの素性は分かったけど、部外者が昼間からうろついてると問題になるんだ。悪いけど授業中はどっかで大人しくしててくれねーか?」
横島はこれだけで相手が納得するとは思っていなかったが、しかし次郎は意外なほど物分りがよかった。
「ふむ、それは確かにそうだね……では1度誰かをモデルにして人物画を描かせてくれたら、君の言う通り人前で動き回るのは控えよう」
「……人物画?」
「うむ。私は見ての通り芸術妖怪だが、今まで静物画しか描いたことがなくてね。しかし生命の無い作り物のリンゴやブドウでは、芸術家としてのパッションが燃え立たないのだ。
山や川などの風景画も悪くはないが、やはり同質の存在である人間を極限まで観察し、その躍動する生命の一瞬の煌きを画板にみずからの魂でもって焼き付けることこそ芸術の真髄なのだよ。
……分かるかね君たち」
と次郎が己の芸術論を情熱的にまくし立てたが、残念ながら横島は1割くらいしか理解できなかった。
しかしここで「おまえ人間じゃないだろ」なんてベタなことを言っても事態は進展しない。彼の要求は特に過大でもなかったので、横島はそれを受け入れることにした。
「要するに人物画を描きたいから誰かモデルになってくれ、ってことなんだな? しゃーねーな、芸術のためだし、俺が一肌脱いでやるか」
とキヌに励まされたからか意外なやる気を見せる横島だったが、次郎は逆に不快そうに眉をひそめた。
「男が男を描いて何が楽しい!?」
「それが芸術家の言うことか!?」
横島はあやうく自慢の拳で突っ込みを入れるところだったが、除霊委員の方針に鑑みて何とか自分を抑えた。
芸術家としてはともかく、男としては次郎の気持ちはよく分かる。
「んじゃ愛子はどーだ? 同じ付喪神同士だし」
「愛子クンか……顔見知りでは今ひとつ面白みに欠けるな。何より……胸が足りない」
びしり!と何かがひび割れるような音が響いたが、次郎は聞こえなかったのか駄弁を続けた。
「体形で女性を評価するなど侮辱でありナンセンスであることは十分理解しているつもりだ。しかし男にとって女性の胸が母性の象徴であることもまた事実。母なる乳、などと駄洒落をかます気はないが、とにかくもう少しふくよかな女性はいないものか」
「……」
両目に超新星のような蒼い炎を燃やしている愛子を、タマモが必死で羽交い絞めにして取り押さえている。横島はあえてそちらには顔を向けず、次郎の希望について考慮した。
愛子のバストは標準サイズだから、彼女でダメならタマモやキヌもダメだろう。19歳Verタマモなら大丈夫だと思うが、次郎や級友たちに見せるのは激しく嫌だ。
いっそ暮井に頼むか……と横島が思案したとき、後ろから男子たちが教室の中に乱入してきた。
「横島ーっ! これはもうカリンちゃんに頼むしかないな。あのコならこいつも満足するだろ」
「来るなおまえら!」
と横島は振り向いて叫んだが、その言葉は当然ながらスルーされた。
「カリンちゃんとは?」
「黒いチャイナドレス着たかわいい娘だよ。スリット深いし乳も結構でかくて形もいい!」
「ふむ。しかしここにはいないようだが……」
「いや、呼べばすぐ来るらしい。とりあえず見るだけ見せてもらうといいと思うぞ」
「せっかくだから俺たちもいっしょに描いていーか!?」
「……………………」
横島は無言のままその狂乱の宴を見守っていたが、やがて手提げ袋から小さなパイナップルのようなものを取り出した。
何それ?と正気に戻って聞いてきた愛子に、
「これは美智恵おば……もとい。おねえさんの聖なる手榴弾だよ。こんなこともあろーかと持ってきたんだ。
芸術は爆発だってゆーだろ? だからこのさい何もかも吹っ飛ばしてケリつけるっつーのもアリだと思ってな。
ま、試作品だし誰も死なんだろ」
美智恵おねえさんの聖なる手榴弾というのは、オカGの現代的オカルト技術と古来の陰陽術と小竜気を組み合わせた横島独自の除霊具……らしいが、くわしい事はさだかではない。
野次馬どもには「何があっても責任は取らない」とあらかじめ釘を刺してあったから、巻き添えになっても文句はなかろう。
横島が逝っちゃった眼で安全ピンを引き抜く。
「つーわけで……萌えてしまえーッ!」
―――轟ッ!!!
聖なる力の奔流が美術室を所狭しと駆けめぐった。
絵筆妖怪はどうにか一命は取り留めたものの、こんな危険人物がのさばっている学校にとてもじゃないが居座れないので、早々に荷物をまとめて(?)どこか遠くに去って行った。
級友たちのケガと美術室の損傷は、もともとこの手榴弾が物理的破壊を目的としたものではなかったので軽微だった。おかげで横島の行為は学校側に対しては前後の事情でお構いなしと相成ったが……。
「横島、私は妖狐だからあーゆーのって痛いのよね。この責任はどう取ってくれるのかしら?」
「右に同じ」
「俺のせいじゃねー! 文句があるならあの連中に言ってくれ」
タマモと愛子に罪はなかったはずなのに、受けたダメージは男子たちより大きかったのだ。理不尽な仕打ちに憤怒の相をあらわにした美少女2人に横島は恐れをなして逃げ出したが―――結局つかまってお仕置きされたらしい。
―――つづく。
ラストで横島が妙な新兵器を持ち出してますが、原作でも西条初登場の時はホテルに吶喊したりしてますので、嫉妬に狂うとかなり見境のないこともする、と考えました。
ではレス返しを。
○minoさん
楽しんでいただけてうれしいですー。
>小竜姫さま
彼女はお嬢様かつ箱入りなので、異性関係には免疫が少ないのであります。
ぜひこのまま伝統を守ってほしいですな<マテ
>カリンってまだ学校では認知されてなかったんですね
実は今まで除霊委員以外の級友たちには1度も見せてなかったのですよ。
理由はもうお分かりですよね?(笑)
>「横島、お待たせアル♪」
なんて面白、もとい可哀そうな罰ゲームなんだ(笑)。
○零式さん
お久しぶりです。
フラグといっても恋愛感情は伴ってないのが面白い、いや難しい所であります。
横島はハーレムを目指すかも知れませんが、そのたびにカリンと小竜姫にしばかれまくることでしょう。
○遊鬼さん
>カリンのことがクラスメートに知られましたか
横島の学校生活がますます騒がしくなりそうです。
>高校生に美少女のチャイナは過激すぎですよね(w
ミカ・レイの服のスリットが両側になったような感じですからして、まことにおっしゃる通りであります。今回の男子たちの行動もごく当然なことと言えましょう<マテ
○通りすがりのヘタレさん
>彼女に自我があるという所だ!
まさにその通りなのです(ぉ
もしカリンが令子の影法師みたいなタイプだったら、横島も男子たちもあまり執着しなかったでしょうねぇ。
>小竜姫
納得していただけたようで安心しました(ぉ
相手が横島じゃなかったら、もう少し悩みも軽くなるんですが。
>横島のカリンに対する独占欲
自分の一部なんですからある意味当たり前なんですが、横島だと違う心理だとしか思えませんよねぇ。
>横島の覗き
成功しなくても十分幸せしてますので、むしろ嘲笑ってやって下さい(酷)。
○whiteangelさん
>前半で逝き地獄を観ることに、後半は天国が来ますよ?
それはつまり、本当にあの世に行けと仰っているわけですね?(笑)
まあ筆者も同感でありますが(ぉ
○銭形刑事さん
>カリンが超加速を使えるようになったら横島まで使えるようになるじゃないですか
は、いかにもその通りでありますが、超加速を使うには竜神の装具(通常版)が必要という設定なので、横島の覗きには使えません。安心設計です(ぇ
加速率を下げるとか効果範囲を狭めるとかすれば人間の霊力でも使えるかも知れませんけど、そんな器用な芸は筆者が許しませんとも。
○Februaryさん
>特技
声優さんはとにかく、音声化は実に羨ましいです(笑)。たとえば恋の告白のシーンとか(以下検閲により削除)。
>ヨコシマ・ハーレム(仮)の人外比率は100%
横島もときどき人間とは思えないマネしてますから、むしろ自然なことかも知れませんな。
法律婚可能というアドバンテージが唯一でなくなったおキヌちゃんの明日はどっちだ<マテ
>タイガー
このお話ではまだ国外にいるのであります(酷)。
○内海一弘さん
>小竜姫様
本人にとっては非常に不本意なフラグではありますが(^^;
>クラスメート
横島の級友ですから、常識的な行動などありえないのです。
野菜だなんてカケラも思ってませんとも(ぉ
>そして担任がもはや横島が「手遅れ」だということを知る日が来るのか!!
横島の担任になってしまったのが運の尽きでありますな。
>超加速
上述の通り小竜姫さまにアイテムを貸してもらわないと使えませんので、使ってる間は確かに無敵っぽいですが普段は元のままです。
○読石さん
小竜姫さまは淑女なのです。この決定は覆りません。
でもベッドの上では(中略)だといいなぁ<超マテ
>もっと頑張るんだ横島くん!
まったくですな。
でも彼がわけもなくがんばるはずがないのが難しい所です(酷)。
>横島くんだけの技
原理的にありえない話ですからねぇ。やはり煩悩パワーしか……うーん。
○UEPONさん
>さすが影法師は横島クン第一主義だな、というお話でした
おおっ、なんと鋭い。カリンは口には出しませんし地の文でも触れませんでしたが、実際にそういう意図はあったんですよー。
もちろんお仕置きはお仕置きとして本気でシバきましたが(笑)。
>カリンのコスチュームはより横島の煩悩を刺激する方向に変化していってますね
おお、これも言われてみればその通りですね。
カリンにそんな意図があるわけはないので、これはやはり横島の煩悩のせいでしょうな。
パワーアップしてもその分セクハラ被害も増えるとはヒドい話です(ぉ
>「一瞬! だけど閃光のように!」
本当にそんなこと言って口説きだしそうで怖いですな(笑)。
確かにタマモの方も伝承通りなら神族並みの寿命持ってそうですし、ここは一発人間やめちゃうのが幸せかも知れませんねー。
以前ブラドーに咬まれた経験を活かして吸血鬼になるか、それとも小竜気を極めて神族になるか。横島にはやはり前者が似合ってますが(酷)。
>横島は結婚には弱腰なので
原作でも小鳩には手を出しませんでしたからねぇ。嫌がられてないのに何とヘタレな。
しかしそれでは小竜姫さまは射止められないぞ!(ぉ
>タマモ
確かにぐーたらですが(マテ)、カリンやキヌはともかく小竜姫さまに家事やらせて自分は食っちゃ寝というのはさすがに無理かと(笑)。
ああ、だから反論したのか<超マテ
○KOS-MOSさん
>小竜姫さま
いろいろ面白いことさせたいですな。
>横島の分身といっても見た目かわいければきっとそんなこと気にせずに突撃してくれるだろう
漢とはそういうものです(ぇー
○ばーばろさん
プレッシャーについてはお気になさらず。
横島の幸せっぷりは筆者も羨ましいです。そのぶんヒドい目にも遭ってますが(笑)。
>あ〜んな事やこ〜んな事
このSSは年齢指定なしなので秘密です(ぉ
>これで級友達が「タマモンお手つき」と知ったら
恐ろし過ぎてもはや想像もできませぬ(^^;
>ヨコシマへの小竜姫さまからのお仕置きでしょうか
なるほど、そういう見方もアリですねぇ。まさに一石二鳥、小竜姫さまもなかなか賢いです。
ヒャクメもそのうちたっぷりいたぶられることでしょう。嫁ぎ先がどうなんて軽口叩けなくなるくらいに(笑)。
○とろもろさん
>一夫多妻
確かにタマモや小竜姫が近代以前の男女観を持っているなら、さほど抵抗はないかも知れませんねぇ。横島がそれに値する高貴な身分であれば(笑)。
しかしカリンとグレートマザーを丸め込むのは大変そうです。
>超加速の特訓
内容はまた次回にでも書きますのでー。
>と言うことは、80話までは確実に続くと・・・
目標は100話であります。
末永いお憑き合いをよろしくです。
ではまた。