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▽レス始

「妖との仲介人 23件目(GS)」

ラッフィン (2007-01-23 00:21)
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数秒前まで雪蛍”だった”雪に手をつき泣いている横島。そんな様子にそれを見ていた人達――おキヌ、タマモ、小鳩――はかける言葉が見つからない。つらいのは自分達も同じだが、横島はそれの比ではないだろう。最愛の人を2度も亡くしたのだから。ただ黙ってみているしかできない自分を悔しく思いつつ、悲しみに耐えている。雪蛍を失った悲しみと想い人を助けることができない無念さを抱きつつ。

「雪蛍ぉ」

鬼道が連れて行ってしまったためにGSと教師の姿はもうここにはない。怒りをぶつける相手がいないために、横島はひたすらに自分を責め上げる。だが、いくら責めても怒りが、後悔が、悔しさが、無力さが、その他様々な感情を沈めることができない。

「くそ、なんであのときに俺は」

思い出すのは先ほどの雪蛍が自分を庇って落雷に打たれたときのこと。美神の助手として除霊現場に同行したときに、美神に口がすっぱくなるほど言われたことだった。『相手が完全に除霊できたと確認するまで油断しちゃ駄目よ』と。霊によっては巧妙に姿を隠し、油断したところを襲うという狡猾なものもいるのだ。それによって命を落としたGSは何人もいる。その行動を今回はできなかった。否、しなかったために雪蛍が身代わりとなってしまった。
自分の失態が招いた結果、最愛の妹を失った。この事実は横島を打ちのめすには最高の結果だった。

「うあああああああああああああああああああああああああああああああ」

横島の絶叫。ルシオラの死のときよりも響いていた。


ポウ・・・


横島が泣き叫んでいるとき、横島の懐で暖かな光を発するものがあった。しかし、横島の様子が気になっていて誰一人その光に気がつく者はいない。発狂寸前の横島もしかり。
その光は、横島の懐から飛び出し、横島の手が置かれている雪の塊に降りていく。それは一匹の蛍だった。ただの蛍ではない。横島が愛した魔族、ルシオラの魂の欠片である蛍である。
蛍は雪の塊に降り立つと、それにもぐりこんでいく。深く、深くもぐりこんだ先にあったのは拳大の大きさの氷の塊だった。そして、蛍はその氷の中に溶け込むように中に入り込み、やがて一つになった。その瞬間である。

「ぐっ!」
「「「横島(さん)!!」」」

横島は体の力を根こそぎ持っていかれるような錯覚に陥る。正確には雪の塊についている手から霊力を吸い取られているのだ。横島とおキヌはこの感じに覚えがあった。それは雪蛍と初めて出会ったときのこと。二人の頭に「もしかしたら!」と希望の光が見えたのだった。そして、発光。辺りは光に包まれる。

「うん、なんとか体は構成できたみたいね」

光が収まり、現れたのは雪蛍の姿。だが、横島には違和感を感じる。何か雪蛍とは違うが、自分はこの感じを知っている。そんな違和感を感じたのだが、今はそんなこと関係ない。雪蛍が復活したのだから、今は喜ぼうと。

「雪蛍〜〜〜!!!」

横島は力いっぱい雪蛍を抱きしめた。泣きながら。でも、それは悲しみからではなく嬉しさからくる涙だ。後ろで見ていたおキヌ、小鳩、タマモも笑顔を浮かべている。
次の雪蛍の言葉を聞くまでは。


「きゃ!もう、みんな見てるのに、ヨコシマったら。でもでも、ヨコシマが望むなら外でも・・・って私ったら何いってるの!」


なにやら一人でテンパっている雪蛍。それよりも気になるのが横島への呼び方だ。前の雪蛍は横島のことを「お兄ちゃん」と呼んでいたはず。今の雪蛍はなんとよんだ?それに気がついた横島は体を離し、雪蛍(?)に問いただす。

「お前、雪蛍だよな?」
「答えはYESよ。でも、正確には少し違うわ」
「違うのか?でも、雪蛍なんだよな?」
「ええ、私は雪蛍なのはあってるわ」
「じゃあ、何が違うんだ?」

雪蛍(?)の言っていることがわからない横島。後ろの三人もわからないとばかりに頭に?を浮かべて首を捻っている。そんな横島達の様子に笑みを浮かべて雪蛍(?)は答えると共に横島に抱きついた。


「つまり、私は雪蛍であると同時に、ルシオラでもあるの。ああ、温かい。横島のぬくもり〜♪」


そんなルシオラ(雪蛍)の台詞に横島達は思いっきり叫んだ。

「「「「ええええええええええええええええええええ!!」」」」

雪蛍(本人が雪蛍でいいと言った)の話によれば、鵺の攻撃によって雪蛍は確かに消えてしまう寸前だったが、横島の持っていた蛍を取り込むことでなんとか霊核が崩壊するのは防ぐことは出来た。問題は体を構成するだけの霊力がなかったのだが、それは前回の雪蛍誕生のとき同様横島の霊力を吸収することで解決したのだ。
次に何故、ルシオラの人格が現れたかだが、これは完全に推測になる。それによれば、消滅の危機に瀕し雪蛍の人格は希薄になっていた。そこでルシオラの魂の欠片を取り入れた。雪蛍の体は横島の霊力で出来たものなので、雪蛍の霊力事態も横島の霊力と同質になる。さらに、横島はルシオラの魂を取り込んでいた過去があるので、当然ルシオラの魔力と横島の霊力も似たものになる。ルシオラはその霊力を取り込み力をつけていった。本来なら部分的にしか似ないはずだった人格がルシオラが力をつけて融合したことにより今の状態となったと言う。

「つまり、今の私は雪蛍とルシオラが融合したものだからさっきの答えになったわけ。当然、ルシオラの記憶も雪蛍の記憶もあるわ」
「なるほどね」
「「そういうことだったんですね」」
「まぁ、雪蛍が生きているんならどうでもいいことだけどな」

一旦沈黙、そして横島は動き出す。

「雪蛍!!」
「きゃ!!ヨ、ヨコシマ!?」

雪蛍を思いっきり抱きしめる。一度引いた涙がまた溢れて来た。
さっきのことを、そしてアシュタロス事件のときのことを、自分の力が及ばなかっただけでなく、自分の不注意で失ってしまったと懺悔しながら雪蛍の存在を確かめるようにぬくもりを感じる。

「よかった。生きてて、本当によかった」
「ヨコシマ・・・」
「すまん、俺の力が足りなかったから。俺が注意を怠ったりしたから」
「いいのよ。あなたは頑張ったわ。私は今こうしてここにいる。それでいいじゃない」
「ごめん、ごめん。ルシオラ」

雪蛍は母親が子供をあやすかのように横島を抱きしめ頭を撫でていた。おキヌ、タマモ、小鳩の3人は内心では割って入りたかったのだが、雰囲気が雰囲気のために入ることが出来ずにモヤモヤしながら見ている。しばらくすると落ち着いたのか、体を離す。

「悪い、情けないとこを見せちまった」
「ヨコシマが情けないのはいつものことでしょう」
「ひでぇな」

今度はなごやかな会話になる。それはまるで恋人同士のような雰囲気で、そこまでが限界だった。3人は二人の雰囲気を壊そうと話しに割り込む。

「「「「雪蛍(さん)!!」」」
「タマモちゃん、おキヌちゃん、小鳩ちゃん?」
「体は大丈夫なんですか?」
「どっか変なとこあります?」
「私達だって心配したのよ」

まぁ、雰囲気を壊そうと割って入って相手の体調を心配する言葉が出るあたり、おキヌと小鳩、タマモの悪くなりきれない優しい心を持っていると言えるだろう。
ようやく話が明るくなり始めると思ったところ、またも地雷を踏んでしまう。

「そういえば、愛子ちゃんはどうなったの?」

この雪蛍の発言で、おキヌ以外のメンバーの顔が翳る。その様子に雪蛍が愛子がどうなってしまったか悟ったが、話がわからないおキヌは混乱してしまう。

「え?愛子さんに何かあったんですか?」

おキヌの質問に誰もが答えられない。雪蛍のことで今まで考えないでいられたが、愛子は目の前で消えていったのだ。重苦しい雰囲気が再び場を支配しようとしていた。


『待ちなさい』


が、新たな人物の登場で重苦しい雰囲気は霧散する。その人物とは?


『勝手に私を殺さないでちょうだい』
「「「「愛子さん!!」」」」


横島達の目の前で消えたはずの愛子本人だった。


「愛子さん!平気なんですか?」
「ええ、見ての通りよ」
「なんで?私達の前で消えたはずじゃない!どういうこと?」

愛子の最後を看取ったはずだった小鳩とタマモが愛子に詰め寄る。そんな様子に冷静に対処する愛子。さすが委員長だ(笑)

「まぁ、落ち着いて。順番に話していくから」

最初から丁寧に話をする愛子。その内心は。

『友人にわからないことを親切に教えてあげる・・・青春ね♪』

愛子節が絶好調でした(笑)
その話によれば、やはりというか横島の文珠の力だという。あのとき、消える直前だった愛子に横島が最後に使った文珠に<寄><代><変><更>と込めた。それが発動し、愛子は机から横島へと寄代を変更できたのだ。だが、移動してすぐには存在が安定しなかったために時間を要した。あの後すぐに鵺との戦いに入ってしまい安定させる余裕がなかったために今まで出て来れなかったのだという。

「出てこないから失敗したかと思ったぞ」
「ごめんね。心配かけて」
「まぁ。いいさ。無事に成功したんだからさ」
「横島君・・・」

ようやく愛子が出てきて、文珠の効果が出たことがわかり安心した横島。今度は愛子といい感じになる。それは瞬時に雪蛍を筆頭とした年下軍によって阻まれた。

「さあ、横島。こんなとこにいないでさっさと帰りましょ?」
「お、おい!わかったから引っ張るなって」
「待ってよ。雪蛍!」
「待ってください!私も一緒に行きます」
「私はどうすればいいんでしょうか?」
「もう、雪蛍ちゃんはせっかちなんだから」

横島達はその後、雪之丞達と合流。鬼道の好意によって六女の使っているバスで送ってもらえることになった。霊力は使いきり、文珠を作ることができないため、帰りはどうしようか悩んでいた横島達にとってはこの申し出はありがたかった。乗ったバスはおキヌのクラスのバスである。一応、教師の座っている席のところなので前方にいたのだが、弓、魔理はタイガーと雪之丞のことを根掘り葉掘り聞かれ始める。そんな話題に慣れていない二人は反論するも、自爆。結局は洗いざらい話してしまう。女3人寄れば姦しいという諺があるが、その10倍くらいの人数がいるためやかましいくらいであった。当然、話の内容は全部聞こえてしまい、雪之丞とタイガーは顔を真っ赤にして眠って聞かないようにしようと努力していた。通路は挟んだ隣にいる鬼道はそれを面白そうに眺めている。
一方、横島はというと?

「zzZZ♪」

気持ちよさそうに寝ていた。それはもうぐっすりと。おキヌに寄りそう形で。鵺との戦いと雪蛍の復活で霊力を使い切ってしまいフラフラだった横島は少しでも回復しようとするかのように爆睡している。愛子はまだ完全に安定したわけではないらしく、今は安定させることに専念して横島の中に戻っている。横島の隣は誰が座るかで最初は激しい討論になっていた。最終的に時間で交代することで合意し、今はおキヌの番である。彼女は本来なら弓や魔理と同じく後ろで質問攻めにあっているはずなのだが、恋する乙女はなんとやらで強引にこっちにきたらしい。横島は席に着いたとたんに眠りに入ってしまい隣に座る女の子はガッカリしたものの、しばらくしたら寄り添うような形になり、ご機嫌になる。そして、現在に至り、おキヌは顔を赤く染めているが嬉しそうである。隣では小鳩と雪蛍の目線が怖かった。

「おキヌちゃん、後2分で交代だからね」
「次は私ですよ?おキヌちゃん」

今はおキヌの番ということで、二人は機嫌が悪い。さて、一人足りないと思いませんか?そうです、狐ッ子のタマモ嬢です。
かのタマモはどうしているか?というと。

「zzZZ♪」

狐の姿になりちゃっかりと横島の懐に入って寝ていました。これは獣化ができるタマモの特権でしょう。これを最初見たとき三人は悔しそうでした。


鵺の事件から数日後、私達、横島兄妹+愛子さんは妙神山を訪れた。私の報告と調査を依頼するためみたい。お兄ちゃん(普段はこれで通すのよ)はもう一つの目的があるといっていたんだけど、教えてくれなかったの。何だろう?気になるわ。

「いらっしゃい、横島さん。雪蛍さん、タマモちゃん。あら?そちらの方は初めましてですね」
「ども、お久しぶりです。小竜姫様」
「「お久しぶりです」」
「初めまして。私は元・机妖怪の愛子です」

出迎えてくれたのは、管理人の小竜姫様。私達は奥の居間まで案内された。

「それで、彼女が・・・」
「そうです。ルシオラの記憶を復活させました。ただ、どこに問題があるかわからないのでヒャクメに霊視をお願いしようかと」
「なるほど。わかりました。彼女を呼んできますね」

そう、今は問題なくしているけどもしかしたらどこかに問題があるかもしれないってことで、ここで視てもらうことにしたのよね。それと横島の体も見てもらう。愛子さんを憑かせたことの影響があるかもしれないから。
小竜姫様がヒャクメさんを呼ぼうと席を立ったとき、後ろの襖が乱暴に開けられて、誰かが部屋に入ってきたの。

バン!
「ぎゃあああああああ」

「小竜姫〜〜!!ルシオラちゃんがくるって本当でちゅか!?」

入ってきたのはパピリオだったわ。小竜姫様に食って掛かるように詰め寄っていったの。ただ、その拍子に進行路上にいた横島は踏みつけられちゃってたけどね。
あ、這うようにして脱出してきたわね。

「お兄ちゃん、大丈夫?」
「な、なんとか」

さすが横島は頑丈だけど、パピリオも気をつけてもらわなきゃね。魔族と人間じゃスペックが全然違うんだから。でも、それで終わりじゃなかったの。

「小竜姫!?姉さんがくるって本当かい!?」

グシャ!
「のおおおおおおおおおおおおおおおおお」

今度はベスパがパピリオと同じような精神状態で入って来たわ。おかげでまた横島が(文字通り)潰された。今度のはヤバイかしら?

「どうなんでちゅか?小竜姫。ルシオラちゃんはどこでちゅか!」
「姉さんは生き返ったのかい?え?小竜姫!!」
「おおお、落ち着いて!パピリオ。ペスパ。今、説明しますから!」
「むぅ」
「そうか、すまん」

数分の問答の末に落ち着きを取り戻した二人は素直に離れたわ。それにしてもいい加減にこっちにも気がついて欲しいのだけど。まぁ、私が来るって聞いてあんなに取り乱したわけだから嬉しいんだけどね。これでようやく話に入れるわ。

「えっと、まずお二人の質問に答えると、ルシオラさんはそこにいます」
「「え?」」

二人は同時にこっちに振り返って来た。私は笑みを浮かべて手を振って見せたわ。

「あれ?雪蛍じゃないでちゅか」
「そうだよ。姉さんに似てるのは確かだけど」

二人は私をルシオラと認識できないみたい。まぁ、当然よね。

「ペスパ、パピリオ。小竜姫様の言っていることは本当よ。私はルシオラなの」
「「へ?」」

二人は目が点になってたわ。ちょっと面白かった。

「ちょっといろいろあって、記憶が戻ったのよ。今は雪蛍であり、ルシオラでもあるの」

その後、二人に私が復活してからの話をしてあげたわ。最後には納得してくれてよかった。
それからはちょっと予想外なことがあったけど。

「ルシオラちゃん・・・」
「姉さん・・・」

ポロ・・・

二人が急に涙を流しちゃったのよ。その後に二人は抱きついてきてワンワン泣き出しちゃった。私は抱きしめられるだろうとは思ったけど泣き出しちゃうとは思ってなかったから驚いたわ。それ以上に二人に辛い思いをさせちゃった罪悪感を感じたの。ごめんなさい二人とも。

「私達っていらない子?」
「しょうがないだろ。今は我慢だ」
「姉妹の感動の再会。青春だわ!!でも、蚊帳の外は寂しいわ」

お兄ちゃん達は隅っこでいじけてたわ。忘れてるわけじゃないのよ?
私達が再開の抱擁をしている間、小竜姫様はヒャクメさんを呼んできてくれたみたい。

「お久しぶりなのね〜。ヒャクメちゃんの登場よ〜♪」

相変わらずのヒャクメさん。すぐに私とお兄ちゃんの霊視をしてくれたわ。霊視の結果は。

「二人とも問題なし。健康そのものよ〜」

だそうで、ひとまずはホッとしたわ。それで、私の復活した原因だけど。

「私にもわかんないのよ。たぶん、雪蛍ちゃんの推測の通りだと思うんだけど。何せこんな事例は初めてだしね〜」

だって。そのとき、パピリオが『役立たずでちゅ』っていってたのを聞いて落ち込んじゃったの。全くパピリオは『本当のこといったらかわいそうでしょ!』っていったらもっと落ち込んじゃったわ。私、変なこと言ったかしら?
そして、お兄ちゃんは小竜姫様に相談事と修行をつけてもらうために別室に移動することになったの。

「お兄ちゃん、小竜姫様に変なことしちゃ駄目だからね!」
「しねぇって、今回は真面目な話なんだから」
「どうだか・・・お兄ちゃんだし」

私の言葉に落ち込んじゃったみたい。でも、今までの行動が行動だから当然よね?
お兄ちゃん達が出て行ったところで、パピリオはみんなでゲームをやろうって言い出したんだけど、ペスパに2人っきりで話しがあるっていって呼び出されたから断ったわ。幸い、タマモちゃんと愛子さんがいたからパピリオの相手をしてもらうことにしたの。まぁ、タマモちゃんはノリノリだったからいいかな。愛子さんが苦労しそうだけどね。それにしても、ベスパったら私に何のようかしら?


「ベスパ。来たわよ。何のようなの?」

修行場の外へ出ると、空を見上げているベスパに声をかける。顔を見ると何かを決意したような顔をしていたわ。

「姉さん・・・ごめん」

ベスパはいきなり頭を下げて謝って来た。私はすぐにあのとき――私が消えた原因――のことだと察することが出来た。

「あのときはお互いに譲れなかったのだし。仕方ないわよ。今更とやかく言うつもりはないわ」
「でも・・・でも、私が姉さんを殺したのは事実だよ。けじめをつけなきゃいけない」
「けじめって言っても、私は何もする気はないんだけど」
「義兄さんと同じだね。義兄さんも何もしてくれなかった。それどころか私のことを許してくれたの。」
「まぁ、ヨコシマだからね。女の子に手をあげることは出来ないでしょ?」
「それでも、私は罰が欲しかった」
「しょうがないわね」

いつまでも意固地な妹にため息をつき、私は罰を与えることにした。

フワ・・・
「え?姉さん?」
「じっとしてなさい。今、私はあなたに罰を与えているんだから」

私はベスパを抱きしめる。この子はずっと罪悪感に苛まれていたから。もういいんだよって言い聞かせるように。無言の訴え。少しでもこの気持ちが伝わるように。

「姉さん、ありがとう」

ベスパもわかってくれたようね。よかったわ。
しばらくしてベスパが落ち着いたところを見計らって解いてあげたわ。

「もう大丈夫だよ。姉さん」
「ん。でも、ベスパがこんな泣き虫だったなんて初めて知ったわ」

『んな!そんなことあるわけないだろ!』って反応を期待してたんだけど、実際は期待してた展開とは全然違ったの。

「これも義兄さんのせいだよ///」
「(え?何この反応?)どういう意味なの?」
「義兄さんが優しくするから私は泣き虫になっちゃったみたい///」
「へぇ、いい兄さんしてるのね」
「うん///」

ちょっとちょっと、どういうことなの?これは!なんなの?このベスパの反応は!!同姓なのに、凄くかわいいと思っちゃったじゃない!
私というものがありながら、これは浮気?浮気なの?これは、ヨコシマにきっちりと説明してもらうしかないわね。私は固い決意をすると、今は関係ないので心の奥底に置きベスパとの話を続行した。今のベスパを見て聞かずにはいられない。

「ねぇ、ベスパ。あなたはヨコシマのことをどう思ってるの?」
「え!?それは・・・///」

あ、なんか聞かなくてもわかっちゃったわ。

「す・・・すき・・・」
「一応、聞くけどライクのほう?それともラブ?」
「えっと・・・ラ、ラブ・・・」

そう、そうなのね。ベスパ、あなたも敵なのね。確かにヨコシマは普段は情けないけど、いざとなったらカッコイイわ。それは認めるけど・・・。人の恋人に手を出すってどうなのよ?(注:まだ出してません)これは、はっきりさせたほうがいいわね。

「ベスパ、いっとくけど。ヨコシマは私の恋人なの。人の恋人に手を出さないでくださる?」
「私はそんなつもりじゃ・・・」
「どうだかね〜。まぁ、手を出さないならいいんだけど」
「(ムカ)そう、姉さんに謝らなきゃいけないことが一つ増えたわ」
「何よ?」
「義兄さんは私がもらう」
「なんですって!ヨコシマは私の恋人なのよ」
「元だろ?今は兄妹。姉さんはそう思ってなくても義兄さんはどうかね?」
「な、な、な!」
「そういえば、人間界には戸籍とかってのもあるんだろ?さすがに兄妹でって論理的によくないんじゃないかい?」
「うぅ・・・」
「それに対して私に戸籍とか関係ないし。今まで妹として接してこられた姉さんと違うわよ」
「妹だったら、あなたも同じじゃない!」
「恋人の妹と義理とはいえ自分の妹じゃ、全然違うわ」
「ななななな!」

あれ?私、もしかしてすっごい強敵を作っちゃったの?ヨコシマは自分の恋人だって主張して、牽制しようとしただけなのに。なんでこんなことになるのよ。ベスパは綺麗だし、性格も最近すっごい可愛くなっちゃったし。何より・・・・あのスタイルだし。スケベなヨコシマは一発でまいっちゃうわ!!っていうかなんなのよ!あの胸は!!メロンでもつめてるの!私達は姉妹でしょ?なんでこんなに差が出るのよ!私が蛍でベスパが蜂だから?蛍は儚いから胸も儚いくらいないっていうの?ベスパは蜂だから毒針のように胸もボイ〜ンって飛び出てるわけ?ムキィイイイ!!納得いかな〜〜〜い!って、私としたことが!?暴走しちゃった。
ふふ、面白いじゃない。相手にとって不足はないわ!恋に障害はつきものよ!どんな相手にも負けないわ!必ず私はヨコシマとゴールしてみせる!じっちゃんの名にかけて!!

「その勝負受けてたとうじゃない!たとえ、妹でもヨコシマは譲らないわよ!」
「コソコソするのは嫌いだからね、真っ向勝負よ!」
「「決闘ね。・・・・ップ、アハハハハハ」」

これで、ようやく以前のように仲良く姉妹で話せたわ。よかったよかった。でも、強敵を作っちゃったのは事実なのよね。仲良くなれたのはいいとして、先が思いやられるわ。


あとがき

どうも、やっとシリアス展開を抜け出してホッとしたラッフィンです。

これからはやっとほのぼのやギャグなどを入れていけるので嬉しいですw
鵺編に入ってからはテンション下降ギミだったので、ここでいっきにテンションを高め完結までもってきたいと思ってます。

今回はベスパ、姉に宣戦布告って感じでした。それに伴い、ちょっと雪蛍(ルシオラ)の性格が悪くなっちゃったかなって思います。不快に思った方がいたら謝罪します。

ルシオラ復活の理由は納得できない方はご都合主義ってことでどうか一つ!

さて、次回は学校の日常編です。鵺編が終った後の学校の日常を書きたいと思います。そして、次の仕事へ繋いでいくという感じです。それと横島が妙神山へ訪れたもう一つの目的を書きます。

次回もよろしくお願いします。

レス返しです。(今回はみなさんが同じような意見だったので回答もまとめちゃいます。ご了承ください)

MASA様、植木様、whiteangel様、DOM様、もも様、秋桜様、いしゅたる様、太一様iota様、kkhn様、LINUS様、一休様、。。。様
ご感想ありがとうございました。

鵺についてですが、まず六道が関係しているということで、日本の妖怪を使うことに決めました。それで日本の妖怪で協力なものを九尾の狐以外で私なりに調べたのですが、鵺とヤマタノオロチくらいしかわからなかったので、鵺を使いました。

強さですが、六道の霊能科一年の全員の霊力を吸収しているので、本物よりか強くなっていると解釈しました。使役方法はエミがベリアルを使役していたのと同じ方法を教師とGS二人係でやったということで・・・。

最後に同期合体ですが、今までの戦闘で霊力を散々使っていたのであまり強力なものにならなかったと解釈してください。

今回のことで、表現の拙さ、設定の説明不足と設定の無理さ、説明不足、私の作文力のなさがモロに出てしまったということで、皆様に不快感を与えたことをお詫びします。

PS,雪蛍、愛子の死の表現があったとき、やはりダーク表記を入れるべきでしたね。重ね重ねお詫び申し上げます。

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