チャオ! 私は伊達タマモ! ピッカピカの高校一年生!
金髪ナインテールの制服狐っ子美少女よ!
……、恥ずかしいわね、ちょっと。
コホン! えーと……、うん、そうそう、狐っ子って言ったから解ると思うけど。
私ね、実は人間じゃないのよ、うん実は。
ちょっとした有名狐……、ちょっと変ね、……、で、その有名狐の生まれ変わりが、私。
まあ、色々割愛して、今に至るんだけど。
え? 割愛じゃ解らない?
説明しろ?
え~、めんど……、ううん、長くなるから~、ごめんね?
ええっと、生まれ変わって、人間達に追われていた時に横島に会って~、それから~。
※中略
それで、『世界』ってのに頼まれて、『世界』を救う為に時間を戻ったんだけど……。
雪之丞は雪乃って女の子になってるし、すっごっく可愛いし、何か知らないけれど私のお姉ちゃんになっちゃって……。
横島を好きになってたし、横島も満更じゃなさそうだし……。
……、何かムカついてきたわ。
確かにお姉ちゃんはちっちゃくって可愛くて綺麗で、胸もあって……、ってあの胸は反則よ!!
スポーツも万能で、勉強も出来て、家事も炊事洗濯掃除にいたるまで完璧……、今日の夕飯何かしら?
…………。
………。
……。
あ、そうだったわ、忘れてた、今日は買い物当番だったじゃない。
早く買って帰らないと……。
私は目の前のきつねうどん、その中にある油揚げに貪りついた。
GS横島!!
極楽トンボ大作戦!!
第十九話
ふんふふ~~ん♪
買い物籠を右手に持ってスーパーで買い物中。
今日は何を買って来るように言われたんだったかしら……?
携帯のメールを確認すると……。
うん、今日は鶏がメインみたいねー、んー、唐揚げかしら?
横島が昨日食べたいって言ってたし……。
あ、今日鶏肉、セールなんだ、なるほどね、流石お姉ちゃん、抜け目が無いわ。
と、その時。
『せんせぇ~~~~~~~~~~~!!!!』
突然の衝撃波がスーパーを襲った。
軽く震度4はありそうな揺れだったけど立って居られない程ではないわね。
……、それにしても。
「……、あの馬鹿犬……#」
衝撃波の発生源の出鱈目さに、若干の立ち眩みを憶えるタマモであった。
「……、あー、早く帰らないといけないかも知れないわね……、説明とか説明とか、……説明とか」
あの馬鹿犬の事だから絶対お姉ちゃんに突っかかっていく筈だし……。
拙者と言うものがありながら~! とか、言って喚き散らしそうだし……、っていうか喚き散らすわね。
あー、最悪泣くかも知れないわねー、困ったなぁ。
あの犬、泣き出すと幼児退行するから嫌なのよねぇ……、前なんか……。
※今現在、タマモの脳裏には、幼児退行を起こしたシロとの思い出(三部作)がノーカット版で流れています。 少々お待ちください。
……、やめ! 想いだすのやめ!!
う~! あいつが泣く前に帰らなきゃ……! きっと取り返しのつかないことになるわ! 私が!!
「……憂鬱だわ」
恐らくこれから自分に訪れるであろう、不幸な運命に、私は溜息を吐いた。
「せんせぇ~~~~!!」
バギン!!
シロが横島の部屋のドアを勢い余ってぶち破ると、そこには……。
最愛の師が、見知らぬ少女と、まさに『本気でKissする0.5秒前』状態で固まっていた。
静寂が支配する空間で、師弟の視線が交じり合う。
そして時は動き出す……!
「シ、シロッ!?」
浮気現場を押さえられた様に狼狽する横島忠夫。
「……ん~」
そして、横島の右手を自らの胸の前で祈るように握り締め、ナニかを待つかのように目を閉じる少女の姿。
「シ、シロ!こ、これはだな!色々と深い訳がだな!?」
ちなみにその体勢で言い訳しても効果はなさそうだ。
「……、どういう……」
ほら、
「如何言う事でござるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ね?
シロが吼える。
あおーーーーーーん!!
後ろに狼が見えた。
「説明を要求するでござるよ!!」
と、その時であった。
私は胸の奥に温かい物を感じていた。
握り締めた横島の手から伝わる横島の体温、頬に触れた横島の優しさ、肩を掴んだ横島の力強さ。
指を舐める、と言う行為にためらう気持ちが無かった訳ではなかったが、気が付けば私は横島のソレを口に含んでいた。
口にはまだ、横島の血の味が残っている、横島の、だからだろうか? ほのかに甘い気がした。
私は瞼を閉じたまま、横島を待つ。
グルグルと走馬灯のように駆け巡るのは、横島との思い出。
自分でも横島とこんな関係になるなんて思っても見なかった。
それは勿論、横島と同じ学校で、同じクラスだ、と、解った時には密かに、ほんの少しだけ、期待してもいたが。
人生とは本当に何が起こるのか、解らない物である。
こんなに横島を好きになるなんて、こんなに、こんなに愛しいなんて。
まだ中国の学校にいた頃、俺が私に、つまり、伊達雪之丞が伊達雪乃で在り続ける決意をした時から。
その時から私は、横島に、恋をしていた。
否、それよりも、ずっと前からなのかもしれない。
だから私は決断した、後悔、は多分しない。
私は、境界を越える。
その為の一歩を踏み出した。
そして……。
「何をする気でござるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
私と横島はキスをした。
……五秒。
…………十秒。
………………十五秒。
「……ぅん、よ、よこしまぁ……」
「ゆ、雪……!」
押し付けるだけの拙いキス、稚拙で、幼稚な、想いを勢い良くぶつけただけのキス。
目頭が熱い、嬉し涙だ。
やだ、私、キスで泣いちゃうくらい横島の事……って、何、喚いてるの? 横島。
も、もう一回して欲しいの、かな?
そ、そりゃあ、私だってもう一回くらい……、ううん、に、二回とか三回とかしたいけどぉ、へへぇ、言っちゃった。
あ!も、もしかして、そ、その先っ、とか、だったり!?
そ、その、きょ、今日は……、駄目! 危ない日だし、その、ね? ゴ、ゴムも無いし……。
ほら! やっぱり初めてはナマでナカが良いって、いつだったか言ってたじゃない!
ピートとタイガー達と四人で居酒屋に行った時!
き、気持ちよさが、その、どうとか……、征服感が、どうとか……。
だから、そのっ、今日はあんまり、楽しめないんじゃ……、ない、かなぁ……?
わ、私は! いつでも楽しいって言うか、う、嬉しいと思うけど……、ゴニョゴニョ。
……、よ、横島がどうしてもっ! って言うなら、……、その……、いい、よ?
も、勿論、ナカは駄目! ナカでは出しちゃ駄目なんだからね! 今日は一番危険なんだから……。
まだ、私達高校生で、収入もないし、そりゃあ横島が、すぐGSになっちゃえば、そんなのは関係ないんだけど……。
でも、今はまだ、ママとか、横島のとこの……、お、お義父さんとお義母さんに認めてもらえるだけの、社会的地位が無いと思うの!
よ、横島とだったら、か、かけおちもいいかなー? なんて思うけど、やっぱり子供の事とか、その後の事とか考えると……。
ううん! やっぱり駄目! 私、皆に私と横島の事認めてもらいたいの!
だから、子供は高校を卒業してから……。
……うん、高校卒業して……、やっぱその頃にはGSとして働いていたいよねっ、二人の名前の入った事務所立ち上げてさ。
横島&伊達除霊事務所~! みたいな?
あ、でも、その頃には私も横島になってたりして!? えへ、えへへへっ♪
家は、白い家がいいなぁ……、小高い丘の上に、ぽつんとちっちゃな家があるの。
大きな窓で、小さなドア、勿論部屋には古い暖炉があって……、真っ赤な薔薇と、白いパンジーが咲いてて、犬を飼うの!!
庭で子供が、走り回ってて……、横島と二人でニコニコしながらそれを見るの。
私、子供はやっぱり男の子がいいなっ、横島に似た男の子っ!
すっごい元気ないたずらっ子で、でも、横島に似て、とっても優しい子なの。
あ、でもでも、女の子も欲しいなぁ、娘の結婚式で横島がどんな反応するのか気になるし、ふふ♪
三人くらい子供欲しい? やっぱり一姫二太郎くらいがいいかな?
横島が欲しいって言うなら、私、頑張れるから……。
…………。
………。
……。
んもう! だからさっきから何、喚いてるのよ!
私達のこれからに、とっても大事な事話してるんだから……、後ろ? 後ろ後ろって、私は志○じゃないわよ?
後ろが何よ? はっは~ん、私が後ろ向いたら、後ろから抱きしめる気ね?
この、ス・ケ・!?
「な! なななな! なっ!なんで犬の嬢ちゃんがっ!?」
「な、なんでってお前、気が付いてなかったんかー!?」
「き、気が付かないって、も、もしかして見られてたの!?」
ぎゃーぎゃーと、喚きだす二人、勿論、顔はもんの凄く赤い。
正直、はっきり、ぶっちゃけ、言うと、いちゃついている様にしか見えない。
そんな状況では、
「……、説明を」
「「ひぃっ!」」
「説明を要求するでござるよ~~~~~~っ!!!」
シロが怒るのも無理も無い状況だったわけである。
「あ~あ、やっぱり暴れてる」
この時のタマモは天使に見えた、と、後に二人は語るのだった。
シロが暴れだし、タマモが駆けつけ、タマモがシロをなだめ、シロに説明を開始。
この間、一時間。
タマモの説明にシロが付いていけず、時間を費やす。
一時間経過。
シロの頭から煙が噴出す、小休止。
一時間経過。
シロの腹の虫が鳴く、食事。
一時間経過。
シロが、雪之丞を認識する、……が、
「先生方は、衆道の気があったのでござるか~~~!?」
誤認。
一時間経過。
母、春奈乱入。
「も~! 家帰ったら誰も居ないんだもん! お腹減った~!!」
話、進まず。
一時間経過。
「何? この子狼少女? わー、はじめて見たー!」
「へー、じゃあ、住む所無いんだ、シロちゃん」
「あ、勿論、戸籍とかも無いよね……、ふ~ん……」
携帯を取り出す春奈。
雪乃、いつだったか似たような事があったなぁ、と思い出す。
一時間経過。
結果。
「そんなこんなでー、新しく娘に成りましたー、シロちゃんでーす! ぱちぱちぱち~!」
「へ? へ? 如何言う事でござるか?」
「とりあえず、流石に娘って事にするにはちょーっち、無理があるってクロサキ君に、言われたから、
身元引受人って事になってるけど、おーけい?」
「身元引受人、で、ござるか??」
「うん、そーよ、名字はそのまま犬塚だけど、家の三女って事にケテーイ!」
「あ、そーそー、高校一年って事にしといたから、明日から……、は、無理だから、
明日制服買いに行って……、土日挟むから、月曜日から学校ね!」
「が、学校でござるか!?」
「うん、皆と一緒の学校よ~、楽しいわよ~!」
「せ、先生と一緒の学び舎……!」
伊達シスターズ、結成!
「……、はて? 某は先程何で怒っていたのだったでござったか?」
「……馬鹿犬#」
「「あ、あはははは……」」
「あ、そうだわ、忘れてたわ!」
「??」
「私の事は、ママって呼んでね♪」
「母上……で、ござるか?」
「マーマ」
「は、母上……?」
「ノンノン!マーマ!」
「母上!母上母上!!」
「いや、だからママって……」
「ははうえ~~♪」
「だから、ママ……」
…………。
………。
……。
「はっはうえ~~♪」
「はぁ、もういいわ、母上で……」
深夜二時、伊達家御一行を家まで送った、帰り道。
横島は、星を見ていた。
漆黒の闇にキラキラと輝く星、星座に興味のかけらの無い横島だったが、星を見るのは好きだった。
たとえば、雪之丞との鍛錬の後、野原にゴロンと横になって見上げた星空。
痛む体で、互いに悪口や冗談を言い合って、笑いあって……。
馬鹿みたいに楽しかったな、と、ふと思い出す。
今度、雪と星でも見に行こうかな。
そんな事を考えているうちに、思い出した。
「……キス、したんやなぁ」
指先で唇を触る。
可笑しな事に、まだ感触が残っているような気がした。
あとがき
こんにちわー。
おくれましたー、球道です。
しちゃったね、キス。
って事で、ますますGS本編とは絡みにくく成って参りましたー。
このままラブコメで逝ってしまうのでしょうかね?
今回は雪乃の妄想が大暴走~! の巻、でしたー。
勿論、世界からの呪いだったりしますー、世界を狙える妄想癖(横島専用)とかそんな感じで、ひとつ。
スケベビッチ・オンナスキー様
>雪乃嬢の雪之丞含有率減ってませんか?そりゃすごい勢いで!
ええ、減ってますね!そりゃすごい勢いで!
今回で更に減りましたしね、グングン減りますよ、グ~ングン減りますよー!
桜川様
>横雪カップルは一体どこまで行くんでしょうか いや、もうどこまでも行ってほしいものですが血が足りるかどうか
たぶん何処までも逝くのでしょうね……、血の件については、肉を食べてください、肉。
東雲様
>んにゃ~!雪乃ぉ~!どんどん進んでいくな。パパは許しませんよ!
雪乃はロマンチックが止まらなくなっているので、東雲パパに言われても止まりませんでした、申し訳ない。
ゆん様
>糖分薄いよ!何やってんの?
ブ!ブ○イト艦長!? もっと甘くってそんな無茶な!?
焔片様
>け、血糖値が上がりすぎました。
萌尿病には気を付けて下さい。
アイク様
>楽しいです。
嬉しいです。
シヴァさん様
>ピンク期待してます!
……、む、無理っす! 書けねぇっすよ!!
夢識様
>ばっちこーい!!
よーし、じゃあ次は6-4-3だ! いくぞー!
おりゃぁ!! (ぶん!) かきーん!!
kamui08様
>俺もされてみた…ゲフンゲフン!
そりゃ勿論、球道もされてみた…ゲフンゲフン!!
unamu様
>この雪乃の乙女チック(死語か?)さにはかなわねーなー
恋する乙女は無敵なのです。 と、誰かが言っていた気がします。
内海一弘様
>横島君、いけ!いってしまえ!!むしろ逝ってしまえっ!!
>この状況で手を出さないなら君はただのへたれだ!!(笑)
むしろ雪乃が逝ってしまいました(笑)
勿論横島はへタレ確定ですね。
見習い悪魔様
>怪我した横島の指を雪乃がちゅぱちゅぱ舐める前戯のシーンなんか吐血ものですよ!
おかーさん! 洗面器洗面器!! 血ぃ吐いた血ぃ吐いた!!
孔明様
>横島が羨ましいぜコノヤローーー!!!
俺もだぜコノヤローーー!!!
盗猫様
>大変面白いので続き待ってます(^^)
待たせてしまったようで、申し訳ないです!
頑張って書きますね!!ファイトだ、俺!!
さて、次回の雪乃ちゃんは~~!?
雪乃、はぢめてのお泊り!?
シロ、マーキングする!
タマモ、飛んでったお揚げの行方!?
の、三本です!
ジャン! ケン!
ばっちこ~~い!!
うふふふふっ!?
※この次回予告はフィクションです、確実に次回の内容とは関係ありません。期待されても困ります。正直、すまんかったです。
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