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「GS横島!!極楽トンボ大作戦!! 第十八話(GS)TS有り注意」

球道 (2006-09-21 08:57)
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約一ヶ月前 

犬神族 隠れ里


蝋燭の灯りが、ゆらり、ゆらりと揺れている。

寝所の布団には、小さい子供が静かに眠っている。

その顔色は、既に精気を失っており、蒼白。

元々は炎のように紅い髪だったのだろう、その髪は、所々色素が薄れ、白くなっていた。


その幼い命は、失われかけていた。


「……、ううむ、今日、明日が峠じゃろう、しかし、越えることが出来たとしても、此処までの症状は聞いたことが無い、

何かしらの障害が残る可能性がある、犬塚よ、覚悟をしておけ」

白衣を着た初老の男は、呆然と立ち尽くす、父親、犬塚タロウに声をかける。

「…………長老、助かる……、助かる方法は?」

「……、人狼としての生命力……、それに賭けるしか……」

そのまま言葉を濁す。

「…………」

唇を噛み締める、握り締めた拳からは血が滴り落ちる。

「……、一つ」


「一つだけじゃが……、無い事も無い」

「!?」


「天狗、天狗の霊薬さえあれば……」

「天狗の……、霊薬……」


草鞋をきつく縛り付ける。

ぎゅ、ぎゅ、と、踏みしめると、脇に置いてあった編み笠を手を取り、立ち上がる。


暗い夜道を音も無く歩く。

時間は、余りに少ない。

タロウは、焦りが腹から這い上がってくるのを感じた。

掌は汗で濡れ、呼吸は乱れている。

娘の看病で疲れきった身体に鞭を撃つ、今が自らの生涯を賭ける時だとでも言うかの如く。


その時、タロウの前に立ちふさがる者がいた。


「……犬飼」

その者は犬飼ポチ、タロウの幼馴染にして、好敵手である。

「犬塚よ、行くのだな?」


「うむ」

「貴様と拙者の勝負は、決着しておらん」

犬飼が、ぎり、と、歯を噛み締める。

「勿論、拙者とて死ぬ気で行くわけでは無い」

「では、決着は」


「うむ、その時に……」


タロウは前を見据える。


「シロよ……、父が、父が必ず助ける!」


と、その時である。


夜であった筈の、空が明るい。

「!?こ、これは!?まだ、明けるには早い筈だ!」


「!?犬塚!あれを!!」

犬飼が空を指し示す。

そこには、天まで伸びるような光の柱。

あの方角は……!?


「シロ!!」

タロウは我を忘れて我が子の元へ向かった。


GS横島!!

極楽トンボ大作戦!!

十八話


あれから一ヶ月。


森に二人の男女、男は着流しに二本差しで、武士の様相を呈していた。

女は年の頃、15、6程であろうか、女、と言うよりは、少女と言った方が正しいかもしれない。

前髪は燃える様に紅く、後ろ髪は、透き通るような長い銀色、さらさらと光を跳ね返し、輝いている。

眉はキリリ、と、意志の強さを表すように切れ上がり、瞳は力強く光を湛えている。

スラリと通った鼻筋に、淡く色付いた唇、美少女である。

身体は少女と言うには余りにも成熟し、色香が体から滲み出るようだ、しかし、それを淫靡にさせないのは、この少女の健康的な笑顔と、「もののふ!」と書かれたTシャツの所為に違いない。間違いない。

しかし、十人に聞いたら、十人が美人と答える、そんな美少女だった。


「シロよ、本当に行くのか」

「父上、拙者、己の力を試してみたいのでござる、それに、きっと世界には拙者を必要としてくれる御仁がいる筈でござる」


シロと呼ばれた少女は、目を輝かせて、父、タロウに夢を話す。


「そして拙者は、必ず、必ず、でっかい女になるでござる!」

ギュ、と、拳を握り締めるシロ。

ざっぱ〜〜ん、一瞬、日本海の荒れた海が見えた気がした。


「シ!シロよ!!」

タロウは娘の拳を覆うように握る。

感動したのか?

「父上〜〜!!」


「シロよ〜〜!!」

抱き合う二人。

ざっぱ〜〜ん、やはり日本海の荒れた海が見えた。


「見るのだ、シロよ!」

シロの肩に手を回したタロウが、空を指差す。

「ち、父上?」

シロが空を仰ぐ。

「あれだ、あの星だ……、御主はあの星になるのだ!人狼の星に……!」

「ちちうえぇぇ〜〜!!」

ちなみに、今は昼だ、星など見えない。


一ヶ月前、光の柱に慌てて帰った、タロウが見たものは、奇跡としか言いようが無いものだった。


家の前に着いた時、既に光は収まっていた。

タロウはシロを寝かせてある寝所に駆ける。


玄関の引き戸を「ええい!じれったい!」と一刀両断。

草鞋を脱ぐ事は忘れなかったが、「くわ〜〜!!こ、この!結び目が!!」と、草鞋を駄目にした。

襖など、何するものぞ、「きぇぇぇぇい!!」と、気合を飛ばし、吹き飛ばす。


「シロォォォォォォォォ!!」

がばぁ!!

娘の安否を確認するために、布団を剥ぐ。


絶句。


そこには幼い娘ではなく、若い娘がいるではないか。

長い銀髪、赤い前髪。

匂いは愛娘、シロの物であるが……、シロを産み落としてこの世を去った、妻の匂いでもあった。

この娘は、いったい?

!?もしや……?


一つだけ、思いついたことがあった。

超回復。

人狼の、娘の生きようとする力が、きっと奇跡を起こしたに違いない!

タロウは一人、涙した。


そして……、

「ぶふっ!?」

タロウは血を噴いた。


鼻から。


シロは床に伏せっているとき、浴衣を着ていた。勿論子供用だ。


それがいきなりぐんぐんと成長したのだ。

身体は大きくなり、手足は伸び、胸や尻は膨らんだ。

子供用の浴衣には堪えられるはずの無いボリュームだったのだ、勿論、肢体は浴衣の外へ零れてしまう。

熱が出ていたその身体は汗ばみ、長いその銀髪が、汗で肌に吸い付く姿は、何とも言えない艶やかさだった。


それを、それをである。

妻に先立たれ、後妻も無く、常にストイックに生きてきた男が見たら如何なるか?


つまり、鼻血で気絶しても、それは必然であったわけである。


「犬塚!!シロは如何なっ……!ぶふぁっ!!」


この犬飼、実は独身で……


中略


やはり、鼻血で気絶しても、それは必然であったわけである。


ちなみにこの時、シロは寝ていたのでは無かった。


子供用の浴衣を着ていたわけであり、ぐんぐんと成長するにしたがって、やはり胴回りも大きくなるのは当たり前である。

胴回りが大きくなったら、子供が締めていた帯は、やはり窮屈になる、窮屈になるとやはり、苦しいものでありまして。

デビ○マンや、キュー○ィーハニーの変身のように、服が破れてくれる訳も無く。


つまり、そう、シロは気絶していた。


「では、父上!行って来るでござるよ!!」

そう言ってシロは駆け出した。

物凄い速さで。

そりゃもう、凄い速さで。

当ての無い武者修行の旅の筈なのに。

まるで目的地に一直線。

何故かって?

そりゃ勿論本当は目的があるからであって。


「せ〜んせ〜〜〜〜〜〜〜いっ!!!!今、ぷりちーな弟子が行くでござるよ〜〜〜♪」


つまり、そう言う事である。


「このぐらまらすな肢体で誘惑でござる〜〜〜♪」

ドップラー効果も飛び越えて、やってくるよ犬塚シロ。


二時間後


「ふぃー、疲れたー」

卓袱台の脇に持っていた鞄を置く。

殆ど何も入ってない、もう一つの鞄をほおリ投げると、横島は畳に寝転がった。


「はい、お疲れ様」

玄関で靴をそろえていた雪乃が遅れて部屋に入る。

雪乃は座ろうともせず、台所でエプロンをつけると、やかんでお湯を沸かし始めた。

「お茶、飲むでしょ?」

おー、と、寝転がった横島からの返答。

「あ、お弁当箱だして、洗っちゃうから」

再度、おー、と、返答があり、横島が二つの鞄から一つずつ弁当箱を引っ張り出す。

引っ張り出した弁当箱を手に、横島は雪乃に言う。

「弁当箱くらい俺が洗うから、雪はちょっとゆっくりしろよ」


別にいいのに、と言う雪乃を強引に座らせると、横島は空の弁当箱を洗い始めた。


座ったまま、エプロンを外す雪乃、横島が洗物をしているのを、じぃ、と見ている。


あ、なんかちょっと幸せかも。

時々、家事をやってくれる旦那様って感じ……、だ、旦那様……。

……えへ。


と、その時である。


「せんせぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


遠くから、大地を揺るがすような、否、実際アパートは揺れたのだが……、近所迷惑をまるっきり考えていないような爆音が聞こえた。

むしろ音と言うよりは、衝撃波である。


ぐらっ!

がしゃ〜〜ん!!

部屋が大きく揺れ、ガラス製のコップは無残にもシンクに破片を撒き散らした。


「あいたっ!」

横島の右手の人差し指に、赤い球が出来る。

シンクに散らばったガラスの破片で指を切ったのだ。


「あっ!大丈夫?」

駆け寄る雪乃、横島の右手を取る。

「ああ、全然、こんなの舐めときゃ治るって」

心配そうに人差し指を見つめる雪乃に、横島は笑った。

「それより破片をあつめ『ちゅぷ……』ね、え……と」

人差し指が生温かい何かに包まれた、勿論目の前にあるのだ、何なのかは横島にだって解る。

しかし、その脳髄を駆け上がっていくような、感触に横島はついていけなかった。

「んぅ、らいりょうう?」

雪乃は、横島の人差し指を咥えていた。

「……、あ、ああ」

横島はそんな返事しか出来なかった。

雪乃の頬が紅い、雪乃も自分が何をしているか、どのような意味があるのか、解っているのだ。


雪乃の舌が人差し指を慈しむ様に這う。

「ゆ、雪……」

横島は雪乃の頬に左手を伸ばす。

「んぅ、ちゅぱ……」

触れた左手が、ゆっくりと、頬を撫ぜる。

頬から首筋へ、ゆっくりと、ゆっくりと下に。

首筋から鎖骨、そして肩へ、横島の手が、雪乃の肩を掴んだ。


「ん、よ、よこしま」

いつの間にか指を放していた雪乃が、横島を見つめ、そして、目を閉じた。

最早、言葉など何の意味も成さない、そこにあるべきなのは、行動あるのみ。


そして横島は、雪乃に覆いかぶさるように……。


「せんせぇ〜〜〜〜!!」

バギン!!


時が止まった。


あとがき


ふふふ!見えていることが逆に恐怖だろう?

どうも、球道です。


シロ、出てきました。

シロのメッシュの髪型に対して独自の解釈を入れてみました、ありえねぇ、と、自分も思いました。

あ、あと、シロが高熱を発し、父が天狗に薬を貰いに行くシーンですが、原作と大きく異なっております。

そこの所は、『あー、まあ平行世界って話だしね、多少の差異があるんでしょ?』と、納得していただけたら幸いです。


最近、内容がヤバくなりがちな傾向が……、ど、どこから十五禁なんだろうか??

正直、解りません、教えてください。


kamui08様

>隠し味がとっても良かったです。

そう言っていただけると、混入して良かったと思えます。

苦味は甘さを引き立たせるためには必要ですからね、菓子業界では必須です。


Bonze様

>あんま〜い!

摂取しすぎますと、精神体に悪影響がでる恐れがあります、用法用量を守って正しくお読みください。


ゆん様

>このままくっつけコノヤロー!

私もそう思います。


東雲様

>デートの描写がリアルっぽくて好きです。

……、リアルなんでしょうか……?私は余りしたこと無いので解らないです(涙)


内海一弘様

>甘いですね。

>けどまだまだいけますよ!!

ええっ!?まだいけるんですか!?胸焼けとか起こしたりしてませんか?貴方の体が心配です。


焔片様

>雪乃とお揃いのマグカップ……うらやましい。

私のベスト萌えシチュエーションのうちの一つです、気に入って頂けましたでしょうか?


孔明様

>あなたも相当な策士ですな(笑)

ふっふっふっ、孔明様ほどではありませんぜー。


さてさて、結局、横島はやっちゃったのでしょうか?はたまた未遂で終わってしまったのでしょうか?

その答えは、次回!

GS横島!!極楽トンボ大作戦!!第十九話で、明らかに!?


ではでは、ばっちこーい!

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