「こんな…このような奴、どうしろと!?」
山伏装束に身を包み、半ばから折れた錫杖を震えながらも構えるその男は、挫けようとする意志を何とか奮い立たせて、叫ぶように、喘ぐように声を張った。
「…未熟。甚だ未熟よ、人間」
「主の努力、主の才能…なるほど及第点を与えるに吝かではない。が」
「ひぃっ!?」
威厳に溢れるその声に、若い山伏の精神力は限界を迎えた。破れた破魔札や、壊れた霊具の類が散らばる地面へと、折れた錫杖を強張った指から零す。
彼の前には、絶対不倒の象徴…霊能者としての自分の全てを否定する、高く険しい…そう、この妙神山の如き一対の巨躯が矮小な己を見下ろしている。
「分を弁えぬ行いは、単なる恥。主は未だこの門を潜るには値せん」
「出直してくるがいい。我らを前にここまで戦えた…その事実を誉れと抱き、更なる精進の糧とせよ」
「今よりも強く…我らよりも強くなったと、曇りの無い己が心が認めたのなら…また足を運べ。我ら鬼門、その日を楽しみに待っておるでな」
「く…くそ……鬼門殿…次は、次こそは…必ずお二方を地に伏させてみせようぞ!」
濁りかけていた山伏の目に、力が戻る。そう、それでいい。
左右の鬼門は、若い修行者の様子に内心で笑みを返す。何度でも向かって来い、と。
「妙神山修行場が守り手、右の鬼門!」
「同じく、左の鬼門!」
「「この門越えたくば、我らが屍、踏み越えていくがいい!!」」
あー。
あの頃は良かったなー…
「『門』は本当に付いたかしら~? 太郎くんと花子ちゃん~、とかそんなのだったかも~」
修行希望者の人間がさ、ワシら見上げては驚愕の余り腰を抜かして…
「冥子さん柔らか頭っ! えっと、じゃあもしかしたら…右山さんと左川さんとか!」
撒き散らしていった札とか、箒で掃くのも苦にならなかったもんなー。
「あの…氷室さん、冥子さん?」
そりゃあ、ワシらだって鬼だけど鬼じゃないぞ。有望そうな人間の名は小竜姫様に伝えて、次の機会には便宜をはかってやったり……
「…あの、門番の方がどこか、取り戻せない過去を懐かしむような表情で遠くを見ておられるんですけど…」
約10分後、おキヌが天啓の如く舞い降りた直感を頼りに無理くり閃き出した鬼門の二文字に、冥子がぽんと手を打って。
「お久しぶりです、鬼門様! …あれ?」
「おキヌちゃんあっち~」
清々しい笑顔で挨拶しようとしたおキヌの前に、鬼門の姿は既に無く。
「どーせワシらなんか路傍の石以下…躓いたことにも気付かぬ塵芥のような存在よ…」
「嫌いじゃ美神の仲間なんて…」
「あの、元気出して下さい? 明けない夜はありませんから。え、えっと…歌でも歌いましょうか?」
冥子の指差す方向には、岩壁に向かって膝小僧を抱える二匹の鬼を、梓が励まそうとしている痛々しい光景が。
「鬼門様、何かあったんでしょうか?」
「さあ~? お腹でも痛いのかしら~」
揃って首を傾げる二人に、健二がかける言葉は一つである。
「…鬼殺しですか、あんたら」
スランプ・オーバーズ! 15
「目標」
「改めて、お久しぶりです鬼門様。お元気そうで何よりでした」
「小竜姫様も息災でいらっしゃいますか~?」
落ち沈み込む鬼門を励ましたり勇気付けたり、薄キャラの星を健二が並んで指差したりすること数分。
気を持ち直した鬼門相手に、おキヌは深々とお辞儀した。
小竜姫と会う時、大抵セットでついてくる鬼門。事務所前で待機する人型鬼門に熱いお茶を差し入れたり、おキヌは割と彼らとも接点を持っていた。
…なのに名前を完全忘却していたのは酷い。
「氷室キヌと六道冥子……何じゃお主ら、修行に来たのか?」
「後ろの人間達は知らぬ顔だが?」
門前に腕を組んで立ちはだかる鬼門二人。いつも美神や横島が一緒にいたせいか、それほどの脅威や威圧感を感じたことはないのだが、今回はやけに大きく見えていた。
やはり、面と向き合う鬼門は怖い。
鬼門の試しの存在を、鬼門ごと忘れていたおキヌは対策も何も考えていなかった。
「初めまして、鬼門様。私は久遠梓と申します。GS目指して勉強中の身です」
「俺…私は、宮下健二と言います。私達は日本が誇る霊能修行場を一目見学させて頂きたいと思い、氷室さんに無理を言って連れてきてもらいました」
ファーストコンタクトの情けない印象から、梓も健二も気後れすることなく鬼門に来訪の目的を告げる。
見学目的で訪れる霊能者の数は少なくない。鬼門へと到達するだけなら、時間をかければ可能なのだから。
けれど。
「この妙神山修行場は、己の霊能に限界を感じ、命を賭してでも更なる飛躍を求めんと欲する者に…その覚悟に見合う力量を持つ者にのみ、門戸を開放する聖地」
「昨日今日霊能に目覚めたばかりの若輩者では、学ぶ事すら至難也。それでも宜しいか?」
鬼門の宣告は、尤もな内容だ。
霊能修行場、それも武神直轄の道場に全くの素人が入門したところで、学べるものがあるだろうか。言葉も文字も分からない環境に放り出されるようなものだ。
「構いません。雰囲気だけでも身に覚えさせておけば、今後の糧となるでしょうから」
大舞台に慣れた梓ならではの発想と見方だった。
「よかろう! とは言っても修行希望者の二名が、我らの試しを突破出来ればの話だがな!」
門に付いた鬼の強面が、おキヌをぎらりと睨みつける。
出会った経緯や関わった事件の異常性から、鬼門が軽んじられる傾向にあるのは、おキヌや冥子のせいではない。
小竜姫や美神の影に隠れて、お互い霊能の使い手としては相対しなかったし。
巨躯から発せられる霊圧は、なるほど真正面からぶつかるとたじろぐほどに強烈だった。
とはいえ、受けるプレッシャーの大きさを純粋な霊力量で換算すれば、過去に今以上の霊圧を放つ相手は少なくない。美神流除霊術の方針から、強大な相手とやり合うための術や呼吸の仕方は学んでいた。
「ではお願いします鬼門様!」
おキヌはリュックを健二に託すと深呼吸を数度繰り返し、肌をチリチリと刺激する鬼門の霊圧に負けないよう、声を張って龍笛を構えた。
「「その意気や良し! では参る!!」」
「え? あの、鬼門様…そちらは二人がかりなのですか?」
「む? …久遠梓と言ったな? その認識から既に、お主は間違えておる」
「その通り。我ら二鬼程度を相手に出来ぬ者に…妙神山修行場で修行を受ける資格は無い!」
「はあ。鬼門様は前座なのですね…」
「久遠さん…それじゃ鬼門様が噛ませ犬とか戦闘員Aとか四天王の一人目とか、そんな風だって言ってるみたいですよ」
…言っておくが、梓にもおキヌにも他意は無い。悪気も無い。あるのは果てしなく透明で純粋な『天なる然』の心のみ。
「「…………………………」」
「鬼殺し…」
無言で涙の川を作る鬼門と、健二の呟きが雄弁に彼らの心情を語っていた。
やけっぱち気味に霊圧が上がった感のある鬼門に、おキヌは咳払いを一つしてから改めて向き合う。
落ち着いて、龍笛を奏でれば何とかなる…!
おキヌの作戦は至ってシンプルだ。
鬼門の攻撃を掻い潜り、左右どちらかの鬼門へ感応波を送り込んで支配する。霊力の差はあれど、精神攻撃に特化して霊波を繰り出せば片方だけ、そして短時間なら操れるはず。
…心、脆そうだし。
支配出来たら後はもう片方に組み付いて倒れ込ませれば終わる。『倒す』の意味が転倒でいいなら、勝機は十分だ。
これがもし、鬼門のKOが条件だったならおキヌに勝ち目は薄い。龍笛を吹き続けて支配するには、鬼門の霊力は強すぎる。物理的な体力の差でも、押し切られてしまう。
六道女学院に転校した年に行われたクラス対抗戦、決勝。あの場で露呈したおキヌの弱点は、今でも彼女のアキレス腱のままだ。
「「情け容赦一切無し!! 参る!!」」
「!」
勝ち方のイメージを思い描くヒマも無く、鬼門達が数歩の間合いを一挙動で詰めて拳を振り下ろしてくる。鈍重な動きでも、リーチの長さと連携による隙の消し方が巧みで、おキヌはひとまず逃げ回ることしか出来ない。
美神ほどの体術があれば、自分の動きを囮にして同士討ちを誘ったり、笛を吹く数秒の隙を捻り出す事も可能だろうけれど。
おキヌの体育の成績は、『もっとがんばりましょう』である。具体的には2。
「氷室さんファイトっ!」
「落ち着いてー! 動きを良く見るんですー!」
梓と健二の声が、凄く心強かった。
(あれ…? 冥子さん何やってるんだろ…?)
両手をメガホンにして応援してくれる二人の横で、冥子はなにやら後ろ向きにしゃがみこんでリュックの中身を漁っていた。
嫌な予感が否応無くおキヌの脳裏を支配するも、鬼門の攻撃から逃れるのに精一杯の今では、梓達に確認してもらう余裕も無い。
(ああああっ!? 何だかとっても冥子さんが怖いけど、今は集中しなきゃっ!)
鬼門の動きは単調だ。
巨躯である事と二体である事、その利点を最大限に生かして連撃を繰り出してくるが、コンビネーションのリズムは取りやすい。
まず攻撃方法が左右の拳による打撃一辺倒。攻撃の密度も、一撃が重い分思いのほか薄い。
逃げ回ってばかりだったおキヌの足が、砂利を蹴って方向を変えた。
「「ぬっ!」」
見切ったなんて傲慢な物言いはしないけれど。
生まれた隙は、計算通り。
打撃目標がずれて、意図せず左右の鬼門の拳が揃って振り上げられた、そのタイミング。巨体の間に出来た僅かな空白へ、おキヌは頭から飛び込んでいった。
「上手いっ!」
健二の喝采が聞こえた。
授業で習った受身の要領で丸めた体を勢い良く前転させて、そのまま止まらずに立ち上がり駆け出す。後頭部を少しだけ打って涙目になりつつ。
走りながら龍笛を唇に当てて、最初の一音を高く、澄んだ空気を震わせるように鳴り響かせる。全てはこれからだ。おキヌは途切れがちになる吹奏をしっかり維持しながら、神経を集中させていく。
「ぐあっ!? これは精神感応かっ!?」
「左の!?」
ピュリ、リリリリ、リリリリリリリリリリリィッ!!
おキヌとて闇雲に逃げ回っていた訳ではない。
鬼門をすり抜けた先には、妙神山入口の門、即ち鬼門フェイスがあった。こうなるよう、位置取りをしていたのだ。おキヌの精神感応の矛先は、近かった左の鬼門フェイスへと向けて全力発信される。
(鬼門様! ほんの少しだけ、私の命令に従ってください!!)
「ぬおおおおおおおおおあああ!? 負けるかぁぁあっぁぁあっ!!」
雄叫びを上げて抵抗する鬼門・左。だが、何よりも慈愛が先に立つおキヌの霊波に、前座発言その他諸々でささくれていた彼の心は、意外とあっさり侵入を許し始めてしまう。
「ぬっがあああああ!? 癒される、癒されていくぅぅぅぅぅっ!? あああああっ!?」
「左のおおおっ!?」
おキヌを追って振り返った鬼門の片方の体が、がくがくと不自然に震える。
ピュリリリリリリリリリリイッ!!
鬼門・左が動きを止めたことで、おキヌの演奏に力が入る。短期決戦でしか、自分には勝ち目がないから。
「ぐああああああ!! 日々のストレスで病んでいた心に染み渡るぅぅぅっ!?」
「気をしっかりも…ぐはっ!?」
身悶えている相棒の体をゆさゆさと揺さぶっていた鬼門・右に、その相棒の低い姿勢からのタックルが炸裂した。
「駄目だああああっ!! 済まぬ、右のおおぉぉぉっ!!」
「ぬはあああああっ!?」
おキヌの龍笛が導くまま、鬼門・左は鬼門・右の片足を抱え取り、全身の体重をかけて…地面へと押し倒した。
粉塵が舞い、震動が走る。
全てが落ち着いた後、残ったのは縺れるようにして倒れ伏す、二体の鬼の姿のみ。
「く…っ!! 合格だ、氷室キヌ!」
「何故だか涙が止まらん…! くううううう…ワシの心、そんなに擦り切れておったのかああああ…!」
「あ、ありがとう、ございま、す…!」
荒い呼吸と、どっと噴出した汗に眩暈を感じたおキヌはその場に座り込んで、背中を門扉に預けた。
(……たった、一戦で、こんなに…消耗してた、ら……お話に、なら、ない…)
空気の薄い山頂であるハンデを除いても、とても連戦になったら耐えられるものではない。
体力は霊力よりも鍛えやすく、霊力よりも重要である。六道の教師が常々言っていた教えを、おキヌは反芻していた。
「やりましたね、氷室さん! はいお茶!」
湯気の立つカップ片手に近づいてきた健二は、些か興奮気味に顔を綻ばせている。健二目線では、おキヌが鬼門二体を翻弄して完封した…としか見えていない。
言葉少なにカップを受け取り、温かいお茶を啜るおキヌから、勝利者の雰囲気が微塵も感じられないのが不思議だった。
「ぬぬぬぬ……不覚であった」
「次は負けぬ!」
鬼門も以前横島に瞬殺されて以来、それなりに鍛錬を続けていた。剛錬武・禍刀羅守の力に頼っていた己を律し、より強靭な肉体を得るべく。
残念ながら、心の強化にまで手が回らなかったのが、今回の敗因だろう。
鬼門の試しとは、鬼門を試す意味もある…小竜姫ならば、そんな風に言ったかも知れない。
「それじゃ、次は私の番ね」
鬼門が起き上がり、門扉の前で再び構えたのを見て、冥子は静かに言った。
おキヌは健二に肩を貸してもらい、そそくさとその場から離れている。
「あ、おキヌちゃん。式神のみんな…解放しちゃっていいわよね?」
荷物と梓のいる岩場にまで避難したおキヌは、その声の落ち着きぶりに…あ、と声を上げた。
そこにいたのは、今までの冥子ではない。
「え、あれ…? なんで…あの薬は美神さんが保管してあったんじゃ…?」
「ごめんね、おキヌちゃん。でも信じて? 私は冥子ちゃんのために存在する。お薬は令子ちゃんの許可をちゃんともらってあるわ」
おキヌには、冥子が嘘をついているとは思えない。露ほどにも思っていない。
が、あれだけ薬の使用に嫌悪感を見せていた美神が、どんな心境の変化で冥子にミチガエールを返したのかが分からない。
「…私は、美神さんも冥子さんも信じますよ。当たり前ですけど」
それでも、是非も無い。
美神の判断は、時に短絡的で手荒な場合も多いが…おキヌが知る限り、正しい。それはもう、疑う余地の無いくらいに正しいのだ。半人前の自分が口を挟むなんて、ありえない。
「私達…それは、お薬の影響で現れた冥子さん、貴女も含めて。美神さんにはきっと、妙神山に来させなきゃいけない理由があったんだと思いますから」
おキヌの微笑みに釣られるようにして、冥子も微笑む。言葉には表し切れない、感謝の気持ちをいっぱいに載せて。
「うはぁ……六道さん、がらっと雰囲気変わったな…」
「…健二さん? お猿さんみたいに鼻の下が伸びてますね?」
「――――――っ!? いやほら一流のGSは違うなぁなんてね!?」
冥子スマイルの破壊力に、ぼおっとだらしなく見蕩れていた健二。
…進歩の無い男である。
「あははははは…ほんと、横島さんそっくり…」
特にいらん所ばかりが。
人心地ついたおキヌの呟きは、遠く離れた彼の想い人の鼻腔を擽り、盛大なくしゃみを引き起こしたのだった。
ほうれん草をさっと湯から上げて、粗熱を取ってからざくざくと切り分ける。
出汁を薄く張った器に盛り付け、削った鰹節をさらっと振り掛けて、醤油を一垂らしすればお浸しの完成。
次にくつくつと小さな泡が昇ってきていた鍋から昆布を引き上げ、わかめ投入。少し待ってから、刻んだ油揚げと豆腐を入れて、味噌も溶き入れて。
「あつっ!」
一口味見して、味噌の按配に一人満足したのは、魔族の少女パピリオだ。出汁が若干薄いが、この位が姉の好みだった。
「ご飯もー…OKっと。ふっふっふ…我ながら見事でちゅね」
妙神山修行場の厨房は、昔ながらの竃だ。ガス・電気は当然通っていないので、米を炊くにも湯を沸かすにも、いちいち薪をくべて火加減を逐一調整する必要があった。
…尤も電気はとある一部屋にのみ供給されている。ここ妙神山でも霊格の高い超有名神族の部屋に。パピリオの部屋にも、そこからコードを引いてゲームの電源にしているが。
食事の用意は、小竜姫とパピリオが交替で行う取り決めになっている。修行の一環、と小竜姫はパピリオに言っていたが…危なっかしく包丁を振るうパピリオを見守る小竜姫の視線は、どう見ても師匠ではなく姉のそれだった。
踏み台からとんと降りて、お盆に出来上がった一汁三菜の器を並べて運べば、お昼の準備は終了。
「猿じいちゃんは籠もってるから無し、と。小竜お姉ちゃんとパピの分だけー♪」
二人分の食事を作るのにかかった時間は、都合30分。包丁捌きも堂に入ったもので、小竜姫が教えることは無くなったと言っても過言ではない。
様々な分野で成長してみせるパピリオの姿に、お猿の目も緩みがち。勿論、小竜姫も。
「ご飯の準備出来まちたよーーっ! 小竜お姉ーーー…って、何やってるんでちゅかあの姉は…」
厨房からお盆片手に廊下に出たパピリオは、その先に姉の姿を見つけて声を掛けたのだが。
当の小竜姫は、何やら雑誌片手に柱をじっと眺めたり、床板を叩いてみたりと謎めいた仕草を真剣に行っていた。
パピリオの声にも気付いていない。
「………」
取りあえず食事を居間の卓袱台に置いて、食後のお茶のためにやかんを火に掛けて。
妙神山の湧き水は清浄で冷たいため、沸くまで時間が掛かる。弱火で今から仕掛けておけば、丁度いい時間に湯が沸いた。その辺のコツも、最近になってパピリオが覚えた成果の一つだった。
「小竜お姉ちゃん!! お昼ごはんの時間でちゅよっ!!」
「うひゃあうっ!? も、もうそんな時間でしたか…」
何を思ったのか、廊下の天井板を外して上半身を突っ込んでいた小竜姫の背後から、パピリオは思いっきり大声で呼びかけた。面白いくらい、びくっと姉の体が硬直して妹は小さく舌を出す。うん計算どおり。
「何やってるんでちゅか一体。ほらー、顔と手洗ってこないとお昼抜きでちゅよ!」
「分かっています。それよりパピリオ、厨房にどこか異常はありませんでしたか?」
鼻の頭や額を黒くした小竜姫は、真面目に質問してくる。呆れ気味のパピリオがチラっと小竜姫の持つ雑誌に目を向けると。
「…『欠陥住宅の恐怖! あなたの背後にも傾いた柱が!』……何でちゅかこれは?」
相当読み込んだのだろうその雑誌には、ビー玉が南に転がっていく居間だとか、基礎工事の不備によって機能していない柱などの、欠陥例がずらり記載されている。
「パピリオにはよく分からないかも知れませんが…これは由々しき事態なのです!」
雑誌を握り締め、小竜姫は低い声音で白い目のパピリオを見つめ返す。
「実は先日から嫌な予感が絶えなくて…鼻緒が切れたり帯が解けたり神剣がすっぽ抜けて壷を割ったり!」
「ただの不注意じゃないでちゅか…」
「いーえ! 私の予感は当たるんです…これは、妙神山修行場倒壊の前触れ…過去三度の崩壊から私が得た、虫の知らせに違いないのです!」
「それと欠陥住宅に何の関係が?」
三度のどれも、ある意味不可抗力だった気もするが。
その内一度の崩壊の現行犯でもあったパピリオは、気になって続きを促した。
「早いのです」
「へ?」
「美神さんに頼んで来て頂いた建築業者の方々のお仕事は、とっても仕事が早かったのですよ!? この本によると、予定工期の前倒しが進み過ぎている物件は、やっつけの可能性があると書かれています! 手抜き工事っ!」
「…だから、お姉の予感だか悪寒と併せて、またここが崩壊するんじゃないか、と?」
「正直…考えすぎだとは自分でも理解しているのですが…うー」
無駄に生真面目で融通の効かない性格である。パピリオは不安がる小竜姫の背中を押して、洗面所へと向かわせた。この人本当に勇猛果敢な竜神で武神なんだろうかと思いつつ。
「顔洗って落ち着くでちゅよ。仕事が早かったのは、お金をたくさん使ったからでちゅ。この前だって、湯水のよーに小判を払ってたじゃないでちゅか、小竜お姉」
修行場の崩壊は管理不行き届きとして罰則の対象となる小竜姫。三度全ての建て直しには、美神を通じて人間界の業者を呼んで、最速で行わせていた。
二度目の崩壊時は不問とされたが…悔しさの余り当時の小竜姫は、そんな些事を気に掛けてはいなかったようだ。
「やっつけ仕事とは違いまちゅよ、きっと。ここはお得意様みたいなもので、工事を早く完遂すれば次回もうちに斡旋してくれる、とかそう思ったんでちゅよ」
「うう……その『次回』という響きが嫌です…」
顔を洗って出てきた小竜姫と居間へ向かうも、彼女は天井の染みや建具の歪みにばかり気が行っているようで、パピリオはため息を吐いた。
ピュリリリリリリリリリリリリリィッ!!
「…あれ? 笛の音でちゅよ小竜お姉」
「…他にもシロアリ被害とか、地下水の汲み上げによる地盤沈下とか…不安要素は山のように…あああ」
小さく聴こえてきた笛の音は紛れもなくおキヌの龍笛であったが、小竜姫はそんなことにも気付かず埒の無い思考に没頭している。
修行者の来訪にも気付かないのでは、管理人として問題があるだろう。パピリオは姉の暗い顔に喝を入れるべく、大きく息を吸った。
(…さて、なんと怒鳴ってやりまちゅかね)
妙神山預かりの魔族として、神族の怠慢を叱りつけてやるか。
それとも、姉のみっともない姿を憂う妹として、檄を入れるのがいいか。
普段隙を見せることの殆どない小竜姫に対して、こういったチャンスは少ないパピリオ。ばしーんとしっかりしたところを見せて、魔族パピリオここにありという存在感を見せつけてやらねば。
いつまでも誰かの妹でいる身分も悪くないが、早く一人前として認められ妙神山預かりの身から脱却し、好きな所へ行けるようになりたい。
(そうすれば、ヨコチマとも会い放題でちゅしね!!)
にぱーっと小竜姫とは対照的に明るい笑顔で、ひまわり色の未来に意識を飛ばしてしまったパピリオは…すっかり檄入れのことなんぞ忘れて廊下で身をくねらせるのだった。
「…あら? 誰かお客様が来て…」
しばしして。
思考が門の建て付けというか鬼門の去就にまで至っていた小竜姫の霊感に、見知った複数の霊圧が引っかかった。そういえば何やら門前が騒がしいような…
「これは…おキどごおおおおおおおおおおおおおおんっ!! ってえええええ!?」
言葉半ばで響き渡った轟音に、小竜姫はパピリオ共々慌てて修行場入口へと走っていった。
パピリオ自慢のお昼ご飯は、結局手付かずのままに。
「なーーーーーーーーーっ!?」
そうして駆けつけた妙神山正門で小竜姫が見たものは、鬼門の顔がくっ付いたまま内側に弾け飛び、衝撃の名残なのか地面でくるくると回っている二枚の門扉と。
「あ、小竜姫様。お久しぶりですー」
微妙に痙攣しながら倒れ伏す二体の鬼門の真ん中で、にこにこと笑顔を浮かべる六道冥子の姿だった。
「これが予感の正体でちゅか…? 小竜お姉」
「…貴女が今まさに感じているものが、答えです」
「…門だけで済むといいでちゅね」
「…はい」
姉妹の会話を〆るように、門の屋根瓦が一つ落下してぱりんと砕け散った。
「こちらのお二人が見学者、そして六道さんとおキヌさんが修行希望者、ですね?」
「私のことは冥子で結構ですよ、小竜姫様」
「はあ…? 何だか冥子さんは雰囲気が変わりましたね」
吹き飛んだ門扉を取りあえず片付けて、不甲斐無い鬼門への説教は後に回して。
一行は今にも桶の音が響いて来ようかというくらい、銭湯のそれにそっくりな脱衣場で話をしていた。
「あ! そうでした。小竜姫様に、美神さんから手紙を預かっていたんです」
今朝、事務所を出る際に美神から渡された封筒を、おキヌは上着のポケットから取り出す。登山行と鬼門との戦いで、若干くたびれてしまっているが。
「み、美神さんからですか…? 身に覚えのない請求書とかは、受け付けませんよ?」
俗界の細かなルールには疎い小竜姫である。修行場再建のための費用供出や、幾度と無く力の貸し借りを行った気安さもあって、美神からのアプローチは苦手な感があったりした。
「美神って人は神族様にまでんな事してるのか!? 何者ですか!?」
「あは、あはははははは……」
何をどうすれば、神族相手にそんなやり取りが可能なのか。健二には想像も付かない。
「憂鬱ですねぇ…まあ仕方ありません。…手紙とこれは…文珠じゃないですか。ふむ…」
「ねえおキヌちゃん! ヨコチマは元気にしてまちゅか?」
「パピリオちゃん。ええ…何時も通り、元気一杯に美神さんに叱られてますね」
「そうでちゅか。あいつ、この前ここに来た時は…凄く悩んでたんでちゅよ」
「え。この子、魔族の方なんですか? へえ…見た目は可愛らしい女の子なのに」
「パピリオちゃんって言うの。あ、おキヌちゃん? そろそろショウちゃんとチリちゃん出してあげたら?」
「あっ、そうでした」
笙と篳篥の付喪神兄妹、ショウチリはおキヌが思っていた以上に静かにしていた。絶対ショウ辺りが登山の最中に暇じゃ暇じゃと騒ぎ出すに違いない、と覚悟していたのに。
本体に戻り、リュックの中に楽器店で注文したケースに入れて突っ込んであったにも係わらず…らしくないといえば、らしくない。
「ショウ様、チリちゃん? もう出てきていいですよー」
トランクに似たハードケースを開き、絹布で包んだ本体を取り出して呼びかけてみる。
ケースは特注品で、笙と篳篥両方を収められるようにしてあった。その方が、兄妹一緒にいられるから、と。
「……っと。おうキヌ。ここが妙神山か?」
「ふわああああああ……良く寝ましたー…」
ぽん、とおキヌの声に応じて中空に現れる小さな兄妹。ショウは興味深げに脱衣場をきょろきょろと見回し、チリは眠たそうに目を擦っていた。
「何でちゅかこのちっちゃいのは?」
「…む!? 貴様、魔力を感じるな…さては魔族!? おいキヌ! 神域じゃ、神域の準備じゃ!」
「ショウ様ったら、この子は私のお友達ですよ。パピリオちゃん、こちらは付喪神のショウ様。そしてチリちゃんです」
徒手空拳の構えでパピリオを威嚇するショウと、何やら『ワレ新しいおもちゃ発見セリ』状態で、そのショウを細めた目で見据えるパピリオ。背丈はパピリオが若干上回っているようだ。
謎のプレッシャーに、ショウは何故か後ずさる。
「ふーーーーん………ショウ、でちゅか。わたちはパピリオでちゅ」
「!? な、何じゃこのオーラ…!? どことなく令子と通じる捕食者の匂い…!?」
「パピリオ様。私はチリと申します。兄共々よろしくお願い致します」
眠気も抜けたのか、チリはパピリオにきちんとした挨拶をする。相手が魔族だからとか、そんな偏見を一切見せない態度は立派なものだ。
パピリオも、久々に見る自分よりも小さな女の子(見た目だけだが)に、ショウに見せたものとはまるで違う朗らかな笑顔で応じる。
「様なんていらないでちゅよ! チリ! 今日からパピとも友達でちゅ!」
「お友達…ですか?」
兄や姉と慕う家族はいても、友達、と呼べる存在のいなかったチリ。パピリオの思いがけない言葉は、戸惑うと同時に…チリの心を、暖かくした。
「えっと、じゃあ…パピちゃん?」
「うん! チリ、あっちでゲームするでちゅよ! 鬼門に徹夜で並ばせて買ってこさせた最新機種、ゲームステーション3がパピ達を待ってるでちゅ!」
「ぬあ!? 何じゃその魅力的な遊びは!? おいこらパピリオ、オレも混ぜよ!」
因みにゲーム機購入に鬼門派遣を容認したのは、某老師である。言わずもがなではあるが。ぶっちゃけ容認というより、命令に近い。
「はー…子供達は打ち解けるの早いですねえ…」
梓が見送る先で、パピリオとショウチリの三名は転がるように走っていく。
霊能とは無関係な世界で生きてきた梓にとって、神族とは神様であり、魔族とは悪魔であった。どう転んでも相容れぬ存在、それが神魔の関係だと疑いもせずに。
けれど、どうだろう。
神族のテリトリーで魔族が暮らし、人間はその魔族を友達だと言い、あまつさえ当の魔族が付喪神を遊びに誘う。
デタントという言葉を梓は知らないが、ある意味この光景はデタントの目指す姿の最終形態なのかも知れなかった。神魔人妖、皆等しく在る世界。
「…やっぱり凄いな、こっちの業界は」
「ん、なんか言ったかい梓?」
「健二さん。私、頑張りますね。絶対GSになってみせます」
「あ、うん。俺も手伝うけど…どうしたんだ一体」
微笑を湛えたまま改めて決意表明を行う梓を、健二は要領を得ないまま眩しげに見やるのだった。
「……把握しました。冥子さん、今の貴女は心格…つまり元の冥子さんが望む理想像が表に出ている状態なのですね?」
「はい。私は冥子ちゃんの力になるため、あの子を助けるために顕現を許された存在です。あの子が…もしも消滅を望むなら、喜んで消えますわ」
小竜姫は、そう言ってこちらを真っ直ぐに見つめる冥子を柔らかい笑顔で制する。
「確かに貴女という存在は、不自然なものです。美神さんからの手紙には、貴女の処遇についても書かれていました」
「処遇って…お手紙には何て書いてあったんですか?」
「それはまた追々。時におキヌさん。貴女はどんな修行を受けたいのですか? 能力的に、美神さんが受けたようなシャドウを使った修行は不向きだと思いますが」
シャドウ、影法師を抜き出して戦闘させ、直接霊力を鍛える方法は効率的だが危険度も最大級だ。
美神のような万能型で、メインの除霊方法が戦闘による駆除ならばいい。単純に攻撃力・防御力を鍛えれば戦力となるから。
おキヌを霊能的に分類すると、カテゴリは支援型、完全後衛タイプなのは間違いない。更に死霊使いの特殊能力を保持し、立ち位置としては後衛の中でもまた特別である。
シャドウ鍛錬によって霊的攻撃力・防御力を上げることが無意味とは言わないが、どちらかというとかつて小笠原エミが受けた修行のように、己の得意分野を更に伸ばす方向、おキヌなら交霊・精神感応系の能力を鍛えた方が身になるだろう。
「私の修行は、冥子さんが終わってからで構いません。ここに来る間、冥子さんには色々教えてもらいましたし」
「そうですか? お二人はあの人みたいに、短時間でどーんとパワーアップ、なんて無茶は言わないんですね。本来修行とはこうあるべきなのですが…どうも美神さんの派閥の方は…」
「派閥って…」
お互い、乾いた笑いで遠くを見る小竜姫とおキヌ。見据える先には高笑いをしながら札束を数える某・GSの姿があったとか無かったとか。
イメージとは恐ろしいものである。
「では今日のところは、お二人の修行方針を決める段階だけにしておきましょう。冥子さんの修行を見ている間、おキヌさんには私が作る自主練のノルマをこなしてもらうということで」
「よろしくお願いします、小竜姫様」
「よろしくお願いします!」
「はい、こちらこそ。何だか真っ当な修行者の方を教えるのって…凄く久しぶりな気がします。美神さんは………普通じゃないし……」
つつがなく修行を行えたのは、それこそエミが最後ではなかろうか。
「あれ、おかしいなー…ちょっぴり涙が出そうになりました。あははははは…」
「虎口を逃れて竜穴に入るって、今の小竜姫様のお姿よね、おキヌちゃん」
「私達って災難なんですか!?」
「…後で、小竜姫様と美神さん達の間で何があったのか、教えてもらいましょうね健二さん」
「神族にトラウマ残すって……ほんとに何者だよ美神令子…」
鬼門といい小竜姫といい、人の価値観を容易く転覆させていく彼女らに、健二の戦慄はますます深まっていくのであった。
「……ごっそさん。さて、レアモンスの張り込みに戻るかの…」
その頃、冷め切った昼食はのろのろと現れたお猿の老師が綺麗に食べていきました。二人分。
後にパピリオに叱られ、しょんぼりと小さくなった老師の姿を見て、健二が更なる価値観の崩壊に見舞われるのは…このすぐ後の出来事。
「あれ、朱肉ってどこにあるんだっけ…」
がらがっしゃん。
「一昨年の除霊記録ってここの棚?」
ばさばさどさどさ。
「あれー? 顧客リストどこいったか分かんなくなっちゃった…さっきまでこの辺に…」
ひっくり返して裏返して。
「………はっ!? いつの間にか所長室が混沌空間に!? おキヌちゃん、おキヌちゃーーーーんっ!?」
諸悪の根源もとい、トラウマの元凶たる美神令子本人は、ある意味天罰のような状況に陥っていた。おキヌが出発してたった半日後の姿である。
「迂闊だったわ…! 分かりきっていた事なのにっ!?」
自業自得って知ってますかとは、とても聞けない人工幽霊一号であった。
つづく
後書き
竜の庵です。
何故だろう、鬼門の出番を増やしてしまう自分が不思議でなりません。お陰で修行まで行かなかったじゃないか! 馬鹿! 自分馬鹿!
今回、梓や健二には『オカルト業界の外からの視点』を担当してもらっているのですが、どうしても今後の展開で必要になるので入れています。伏線との絡みが。
ではレス返しを。
カエル様
苦狼門分かる人いるのかなと思いましたが…分かるもんなのですねぇ。
冥子の体力は並以下なのは間違いないでしょう。ある意味、歪んだ成長をしていると思います。その分、矯正されたらとんでもなく凄いGSに育つ…心の部分も含めると大変でしょうけれど。
おキヌ・冥子・梓のトリオですね。あれ健二いないや。まあいいか。
スケベビッチ・オンナスキー様
梓という恋人が存在する時点で、彼の神は唾吐き捨てて舌打ちしてお空へ還っていくでしょうけれど。その分、齎される災厄は大きいかと。健二超頑張れ。
冥子の成長を描くのは、「冥子らしさ」を失くしていく作業のように思います。だからこそ、挑戦のし甲斐はあるのですが。心格冥子という一つの理想像、成長の到達点を提示したのはちょっと卑怯だったかも…じりじりじわじわと進めたいと思いますよ。
エミの外伝のように、隙間を埋める物語がGSキャラにはもっとあって良かったですねぇ。あ、カオスとマリアのもあったか。尤も、二次創作する上ではその隙間が有難いかと。
役どころが被ってしまうのです…横島と健二。そうなるように書いたんですけど。悪いのは作者か!
かっこいい鬼門を書きたくて、冒頭のシーンを入れました。そんなに鬼門好きなのかと自問自答中。
チリが一番影響を受けているのは、当然おキヌで。おキヌが影響を受けているのが美神で…負の連鎖がずらずらっと連なって、とばっちりを受けるのが横島やショウ、と。良く出来ていますね?(何が
カシム様
ちょ、誤解を生みますから! 撫でたのは頭だけですから!
健二は横島と違ってまだまだ節操が残ってますから、理性が切れて袴萌えぇぇぇ!! 的な展開にはならないと信じたい今日この頃です。こっそり前シリーズで萌えてましたが、一般人レベルですのでご心配無く。
もう開き直って、展開自体はゆっくりめに推移させています。焦ると書こうとしていた内容を吹っ飛ばす可能性があるので。申し訳ありません。
原作の持ち味がシリアス&コメディの混在でしたし、今作はどうにかその空気を再現出来るよう四苦八苦しております。絵と文の違いはありますが…どうにか。もっともっと精進します、マニアックな方向に! あれ!?
謎神様は降臨するんじゃない、君の心の中に既にいるんだ…と、教典の隅っこに書いてありました。健二はあらゆる意味で一般人のつもりで描いている人物です。注意力なんかも人並み。妙神山の道行きの困難さを、彼の体を借りて書いていったらこうなりました。人災もありますが。
煩悩から濁りを取り去ったものが本能なのか、そのまた逆なのか。お釈迦様なら答えてくれるでしょうねー…小竜姫…いや無理か彼女じゃ(失礼な
木藤様
鬼門スキー同盟にご参加有難うございます!(身勝手なご挨拶
ピアノを担ぐための鍛錬は、きちんとやってますよ健二。今回は間に合いませんでしたが、次の登山時には…! ご期待に沿えられ…でも死ぬかそれじゃ。転落じゃなくて、転滑くらいなら…
美神のことを友達として想い、ライバルとして認識し、目標として定めるまでの葛藤…二番目はまだ思ってもいないだろう冥子ですが、まあ順番はともかく彼女は大人の付き合い方、というのを学んでいる最中なのではと思います。悪い意味で距離を置くのではなく、寄りかからなくても倒れない距離で並ぶ、その按配を冥子は一生懸命に模索している、ってな感じでしょうかねー。それが達成できれば、自然と目標としている相手からも認められるでしょうから。
チェストベルト…? そもそも体格に合わないリュックを使っている時点で、ちょっとずれてる気もしますね。あ、撫で肩の人とかにはいいのか…便利は便利そう。本職の登山家の方には、神装備なんでしょうか。
寄せて上げて~…はまあ、おキヌには詮の無いお話…いえ何でもありませんごめんなさいごめんなさいごめんなs
内海一弘様
プロの演奏家の方は、一度のリサイタルやコンサートで体重を何キロも落とす…なんて話を聞いたことがありまして。事前に蓄えてあったエネルギー分を使い切ってしまう意味だとは思いますが。一般人とはいえ、そんな世界の梓ならおキヌや冥子より体力面で秀でていておかしくないかと。うわ説明長っ。
自宅に帰った健二が梓に何をするのか…ぱっとコトを思い浮かべた内海様の背後に謎神様のお姿が! 逃げて! 逃げて!
登場キャラが多いと、自然と絡みも多くなりますね。冥子編なのに、おキヌや梓が台頭してしまうのは問題があります。今後は冥子の成長をメインにお話は進んで行く、と思います多分。
今回、ちょっぴり美化されたモノローグで始めてみました。鬼門にだってあんな時代はあったのです。鬼門に愛の手をもっと差し伸べてやりたかった…
柳野雫様
ピアノを背負える頃には、足なんか競輪選手みたいになってそうですね健二。
まだまだ、大人とは言えない冥子です。彼女の主観では、きちんとしっかりした大人の女性=美神なのですから。道のりは果てしないでしょう。でも周囲からすれば、そうやって目標を見据えて動く冥子を確認するだけで、凄く成長したと思えるでしょうね。応援したくなる性格。
鬼門はどうしても、どうしても前座扱いに…! 主役に据えるのは無理でも、もうちょっとこう、せめて本来の強さを見せられないかと足掻いた結果が、今回の対おキヌ戦でした。成功した、とは言えないでしょうね…冥子には瞬殺されてますし。今後の課題とするほど、鬼門って重要でもないのが悩ましいっ。
以上レス返しでした。皆様有難うございました。
次回、冥子修行地獄変。小竜姫の体育会系っぷりが炸裂したりしなかったりします。
何とか年内の投稿が間に合って良かった。
ではこの辺で。最後までお読み頂き、有難うございました!
良いお年を。そして良い迎年を。