その頃、バブルランドのとある施設の地下
其処は、一寸したプールのようになっており、一方向から線路のような物が真直ぐに伸びている
どうやらこの施設は、バブルランドのアトラクションの1つらしく、他にも色々な設備が見受けられる
そんな空間には、その暗い雰囲気に似つかわしくない、大小の様々な風船が無数にプカプカと浮かんでいた
『…来た様だね…。』
その声は何処からとも無く聞こえてくる
すると、徐々にプールの水面が盛り上がり、中から熊と見間違うような大きさのネズミが姿を現した
『…もう直ぐ…。もう直ぐだ。
やっと、金の針を我が手に取り戻すことができる…。』
自分の使い魔であるネズミから、テレパシーで送られてくる忠夫達の様子を見て“くっくっく”と楽しそうに笑う大ネズミ
これから自分を襲う悲劇を知りもせずに…
バブルランドに入り、ようやく落ち着きを取り戻した忠夫達
先ずは、唐巣神父であろう少年を救出すべく、辺りを警戒しながら少年が吊るされている設備のそばまで来る
「さて、ここまではとりあえずたどり着けたけど、どうやって助け出そうか?」
その場にいる全員に意見を求める忠夫
「誰かが、あそこまで行って縄を解くしかなさそうだけど…。」
美智恵が首をかしげながら言う
「となると、ある程度身が軽くて、辺りの警戒を出来る者になると思うのですが?」
千姫のその台詞で、美神母娘以外の面子がタマモの方に視線を向ける
「…判ったわ。私が神父の所に行って縄を解いて来るわ。」
タマモが自分が行くことを承諾すると
「ちょ、一寸待って!幾らなんでも彼女1人じゃ拙いでしょう!?それに一体どうやって、あそこまで行くって言うの?」
令子が少し声を荒げて抗議する
「大丈夫っす。タマモならパイパーが側にいるかどうか匂いで判りますし、救出方法の事を考えてもタマモが適任なんすよ。」
そう答えながら忠夫がタマモを見ながら軽く頷くと、其れを確認したタマモが
「変化!!」
という掛声と同時に、両腕を鳥の翼に変化させる
その姿を見た美智恵と令子は、一瞬呆気にとられたが、忠夫が考えていたことが“タマモが空を飛んで神父を助け出す”事だと判り納得する
「じゃ、いってくるわ。」
タマモはそう言い残し、唐巣神父救出に羽ばたいていった
とりあえず何事も無く目標地点に到達すると、狐火で唐巣神父を縛っていたロープを焼き切り、上手い具合に背中に乗せ、転落しないようにナインテールで軽く包み込むようにし、忠夫達の元へ戻って来た
…戻ってきた時、神父がまるで長い金髪の○ラをつけているように見えた為、噴出しそうになっていた人物が数人いたが、それは序の口に過ぎず、本当の悲劇はタマモの背から神父が下ろされた時に待っていた…
― そう…
― タマモが唐巣神父を吊るしていたロープを狐火で焼き切った時、その熱量の為、残されていた神父の毛髪が…
― 全て“パーマ”状態というか、アフロ状態になっていたのである…
― その姿をみた瞬間
― 時は止まった… ―
「し、神父…。」
逸早く忠夫が正気を取り戻し、変わり果てた唐巣神父に近づいて行こうとするのとほぼ同時に
≪ ちゅら ちゅら ちゅら ちゅら ちゅら ちゅららー♪ ちゅら ちゅら ちゅら ちゅーらー らー♪ ≫
笛の音が響き渡り…
「!?ッ!しまった…!」
忠夫は急いで自分達を包み込むようにサイキックソーサーの発展系の1つで、結界効力を持つ“サイキックフィールド”を展開するが、自分と千姫・幸姫、タマモと唐巣神父を包み込んだ時点で
『へいっ!!』
パイパーの声が術の執行を宣言する
― バシュッ!! ―
眩い閃光の後に残されていたのは……
「「びえぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」」
双子じゃないか?と思いたくなるような、幼児化した泣き叫ぶ美智恵と令子の姿と、空中に浮きながら不適な笑みを浮かべるパイパーの姿であった
「パイパーァァァァァッ!!貴様ーッ!!!」
すぐさまサイキックソーサーを創り、パイパー目掛けて投擲する
― ドカン! ―
ソーサーはパイパーの右腕を吹き飛ばすが、それでもパイパーは不適な笑みを浮かべたままだ
『くっくっく…。これで、邪魔者も残すはお前達4人のみ…。
…もう直ぐだ…。もう直ぐオイラの野望が達成する…。
ホ、ホーッホッホッ!!』
忠夫達を見下したように高笑いをするパイパー
「喧しいッ!!消え失せろッ!!!」
叫ぶと同時に、再びソーサーを投げつける
ソーサーはパイパーの本体に命中し、それによりピエロのようなパイパーの姿は跡形も無く消し飛んだ
「くっ!申し訳ありません。忠夫殿。油断いたしました…。」
千姫が俯きながら忠夫に謝罪する
「それを言うなら俺も同じだ。…あまり気にするな…。」
「ですが、私達がもう少し周囲に気を配っていれば…こんな事態には…。」
「…気にするなと言ったろう?かえって都合が良いかも知れないんだから…な?」
「都合が良いって…。どういう意味?ヨコシマ?」
タマモが幸姫の台詞に返した言葉に疑問を投げかける
「ん?ああ、それはな…。第1に、あの3人があーゆー状態なら俺達が本気で戦っても覚えてないだろうから問題ないだろう。」
そう言いながら忠夫は唐巣神父・美智恵・令子だった子供達の方を見る
すると其処には…
「やーい!やーい!ハー○!○ーゲ!」
と唐巣神父の頭をペシペシと叩きながら追っかけまわしている“れーこちゃん”と…
「れーこ!やめなちゃい!ほんとのことでも、いっていいこととわゆいことがあゆのよっ!?」
幾らかでも自分が保護者だという自覚というか、記憶が残っているのか娘を宥めているようで、唐巣神父の傷を平然と抉るような台詞を吐く“みちえちゃん”が…
「うゎあああああん!?れーこくんとみちえくんがいぢめるぅぅぅぅっ!!」
…子供になってもあんまり境遇が変わらない凄い髪型の少年(髪の毛はとりあえず剃られただけらしい)“かずひこくん”が2人から逃げ回っていた…
≪ 哀れな… ≫
それが、この場にいる全ての者の心境だろう
“こほん”
咳払いをし、何も見なかったように視線を戻し言葉を続ける忠夫
「第2に、美智恵さんの経験と記憶の詰まっている筈の風船を上手い事利用すれば、文珠で“何故美智恵さんが死んだフリをしないでいるのか”を調べることができるかもしれんし…。」
「やーい!やーい!!」
「成程…。」
「うわぁぁぁぁぁぁん!」
「確かに…。」
「れーこっ!?」
「都合がいいかもね。」
「やーい!」
≪ ぷつん… ≫
「3人とも静かにしなさいっ!!おにーちゃん達今大事なお話してるんだからねっ!?」
“ズゴゴゴゴ”と背後に某GMを髣髴させるオーラを背負いながら“おこちゃまズ”にギンッと睨みをきかせる忠夫少年
「「「は、はひっ!」」」
その忠夫の迫力に今迄喧嘩をしていたのが嘘のように“ひしっ”と抱きあう3人のお子様
「判ればよろしい♪」
ニッコリと微笑みながら3人を見る忠夫
― その時、美智恵と令子の頬が赤く染まったのは言うまでも無い… ―
「さて、そろそろ行動を開始するか…。」
軽い打ち合わせをした4人は行動を開始すべく立ち上がる
「ヨコシマ?あの3人はどうするの?」
「そうです。もし人質にでもとられたら拙いと思うのですが?」
タマモの疑問に同意する幸姫
「ああ、それならちゃんと考えてるよ。」
爽やかな表情で答える忠夫
「それは、一体どの様な?」
千姫は忠夫の爽やかな表情の裏にある“何か”を感じ取り後頭部にデッカイ汗を垂らしながら尋ねる
「ん~♪それはな?
お~い♪かずひこくん・みちえちゃん・れーこちゃん♪
こっちおいで~♪」
ニコニコと3人を手招きしながら呼び寄せる忠夫
「ん~?」
「な~に~?」
「どうちたの?ただおおにーちゃん?」
何の疑いも無く駆け寄ってくる3人
「あのね~?」
「「「うん。うん。」」」
「えいっ♪」
と純粋な?お子様達に向かって文珠を発動させる忠夫
その文珠には【眠】とハッキリと浮かんでいた…
なんの抵抗もせずに深い眠りに落ちるお子様達
更にその後、美智恵の荷物から“借りた”結界ロープで逃げ出せないように縛り上げ、爽やかに
「後は、幸姫が結界をはって、更に文珠で結界をはれば、あんな腐れピエロモドキなんて問題ないよねっ♪
で、事が済んだら、この部分だけ【忘】の文珠で忘れさせれば完璧!」
“ふふふ…”と、とっても素敵な笑み(ブラックスマイル発動)を浮かべながら言い切る忠夫
…何気にパイパーの度重なる唐巣神父への神、否、髪に対する行動で壊れかけているらしい(今更という気もするが…。)
そんな忠夫に対し
「「「あぁ~。忠夫殿(さま)(ヨコシマ)。」」」
と頬を染める千姫・幸姫・タマモの3人であった…(この3人に関しては何も言いません。)
あとがき?
ふ、ふふふふふふふふ。
Night Talkerよっ!私は帰ってきたっ!(管理人様すんません;;)
皆様お久しぶりです。零式でございます。約2ヶ月ぶりの投稿です。
と言うか、帰ってきても宜しかったのでしょうか?
なんとか正に“地獄”と呼べる状況(体重6㎏減りました;;)を抜け出しつつありますので、連続投稿時の勢いを取り戻せるかは判りませんが、少しずつ投稿できると思います。
しかし、今思えば50回以上の連続投稿って…無茶したなぁ…(笑)
さて、パイパー編ですが、今回で終わらせるつもりが、もう一寸だけ長引きそうです…許してくださいね;;
(だって、ネタが次々と;;)
それで、久しぶりの投稿なので、文面に御見苦しい所があるかと思いますがお許し下さい。
で、久しぶりのレス返しです。
彗星帝国様
ご無沙汰しております。
頭なでなではどーでしょうねー?
お姫様抱っこは出す予定ですよ?
盗猫様
ご無沙汰しております。その2
根本的なところは同じつもりなんですが。その内元に戻るでしょう。
ひのめは…(ニヤリ)
DOM様
ご無沙汰しております。その3
微笑だけだけではありませんよ?
まぁ、美神(令子)さんについては、お金好きじゃないと美神さんじゃない!という拘りもあります。
横島については…どーなんでしょう?問題もありますしね。
whiteangel様
ご無沙汰しております。その4
どーでしょーねー?持病?がありますからねー(笑)
BLESS様
ご無沙汰しております。その5
美智恵さんに関しては、“女性はいつまでたっても乙女”らしいですよ?
フラグに関しては、まぁ、横島ですしね~^^;
12の必殺技に関しては、異性堕としの技ですんで今の所。
アシュ様に関しては考えがありますのでお楽しみに。
アイク様
ご無沙汰しております。その6
…美智恵さんの事だから無理やりどうにかしそうな気が(汗)
夢らしいですよ?お姫様抱っこって…(なんだかな~)
さかな様
お初の方ですね?
今後も精進しますのでよろしくお願いします^^
内海様
ご無沙汰しております。その7
技を増やすとどうしても犠牲者も増やさないとバランスが(汗)
その内中毒症状が出てくるキャラがいたりして(笑)
私の中でも“美神=お金好き”ですね~。どうしても。
秋桜様
ご無沙汰しております。その8
すんません;;
56回で止まりました。続いていれば今頃100回逝ってましたなー。( ゜Д゜)y─┛~~
必殺技…。考えておかんとな~。(笑)
で、感想読んでて思ったんですが、秋桜様ってうわ…いえ何でもありません。
今後どうなるかは判りませんが、書き続けますんでよろしくお願いします。
SOMOSOMO様
ご無沙汰しております。その9
美智恵さんは未だ完全に落ちてはいない設定です。今の所ですが。
パイパーの調理法についてはもう少しお待ち下さい。
への様
公彦さんについては私も好きなキャラですんで悪い方向には持っていきたくないんですが。
どうなるんでしょうか?
お姫様抱っこについては、多分その通りかと。作中では何回か出す予定ではありますが。
以上です。
今後の投稿ペースですが、今も少し忙しい状態が続いておりますので連続投稿は難しいと思います。
一応無理が出ないペースで投稿させて頂きたいと思いますので、管理人様をはじめ、このSSを読んで下さる方々にもご迷惑にならないようなペース、内容で行きたいと思います。
今後ともよろしくお願い申し上げます。