「…唐巣神父…っ(ファーザー・カラス)!」
神父の変わり果てた頭部を見て、とうとうその場に座り込んでしまう忠夫
「横島君…。」
そんな忠夫を心配そうに見つめる令子
「…忠夫君。
無念なのは判るけど、こんな所でじっとしてても仕方ないわ!
早く、神父たちを救い出してあげないと…!」
美智恵はそう言うと、荷物の中から愛用の神通棍を出し装備する
「そうですよ?忠夫さま。
早く、唐巣神父達を助け出して差し上げないと。」
その美智恵の意見に同意しながら、陰陽扇を取り出し両手に構える幸姫
「唐巣神父達の無念は、私達が晴らせば良いことです。」
千姫も千変万華を手に忠夫に言う
「姫子達の位置なら、もう少し近づけば私の鼻で判ると思うわ。
だから…。」
タマモも忠夫を心配そうに見つめながら言う
「皆…。」
忠夫がその場にいる全員の顔を1人1人見渡す
「そうよ!横島君!こんな一銭にもなりそうに無い事は、とっとと終わらせて東京に帰るのよっ!」
ググッと握り拳を握り締め、声を大に叫ぶ令子
「令子…。」
「「「「……。」」」」
そんな娘の叫びに呆れた視線を向ける母美智恵と、未来の世界殆ど、そのまんまな令子の様子に“この人はこのまま変わらんのか…”と少し呆れと感心が入った表情で見る忠夫・タマモ・千姫・幸姫の4人
「ふ、ふふふ、ア~ッハッハッハッハッハッハッハッハ……。」
少しなんとも言えない空気が漂った後、突然忠夫が大声で笑い出す
そんな忠夫を驚いた様子で見つめる、美智恵・タマモ・千姫・幸姫
「そうですね。令子さん。とっととあの腐れハゲピエロぶっ飛ばして、東京に帰りましょう!」
そう言いながら、ニッコリと微笑み令子を見つめる忠夫
≪ ボンッ! ≫
その微笑を真正面から受け止めた令子の顔が、一瞬で茹蛸のように赤くなる
そんな令子の変化に驚いた忠夫が令子に
「どうしたんっすか?令子さん?」
顔を覗き込みながら問う
「ど、どうもしないわよ!」
動揺しながらも、そう忠夫に言いつつ顔をそらす令子
「?そうっすか?なら良いんですけど…。」
と、忠夫は右頬を右手の人差し指で掻きながら、令子から離れる
そんな2人の様子を千姫・幸姫は羨ましそうに見つめ、タマモは何だか懐かしものを見るような視線で見つめている
彼等のその様子を美智恵だけは冷静に見ていた
「(…さっきまでの雰囲気とは明らかに違うわね。
変な気負いが全く無くなったわ。
これなら問題なくいけるかも…。
この効果を狙ってやったなら、たいしたものだわ。
将来が楽しみね。令子…。)
さぁ?そろそろ良いかしら?
どこぞの海賊団のお頭の出来損ないを退治に行くわよ!?」
気合を込めた声で言う美智恵
「あ、一寸待って下さい。美智恵さん。」
忠夫がそんな気合を入れた美智恵に水を差す
「如何したのかしら?忠夫君?」
何事かという表情で忠夫を見やる美智恵
「…令子さん…。
忘れてるかもしれませんが…
パイパーには、国連から賞金がかかってますよ…?」
……忠夫がそう言うと
「何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
と、魂の絶叫をあげる令子
…その瞬間、令子の両目の瞳には“¥”の文字が浮かび、一瞬ではあるが凄まじい霊力が感じられ、彼女のやる気も先程までとはまるで違い“やってや○ぜ!”とばかりにグングン上昇して行く
それを見た美智恵が“あちゃ~”という風に、右手で自分の顔を覆い天を仰ぐ
どうやら、美智恵はワザと令子に賞金の事は教えていなかったらしい
忠夫は令子のそんな様子を見ると、懐かしそうに目を細めクスクスとわらっていた
「(やっぱり、美神さんはこうでなくちゃな…。)
さぁ、美智恵さん…。
今度こそいきましょうか?」
満足そうに頷きながら美智恵に話しかける忠夫
「…ええ。(はぁ…。)」
美智恵が大きく溜息をつくと
≪ ぱんっ ≫
と、自分の頬を両手で叩き、気合を入れなおし
「行くわよ!」
気合の篭った声をあげる
「「「「「おうっ!」」」」」
忠夫達もそれに気合の篭った声で答え、全員そろってバブルランドへと足先を向けるのであった
その様子を離れた所から、聞き耳を立てながら観察していた小さな動物に気付かないまま…
忠夫達は、辺りを警戒しながら、ゆっくりとバブルランドの入り口へと向かい、その門の側までやってきていた
一行は、入り口の手前で一度歩みを止めると、もう一度お互い顔を合わせ、大きく頷くと、美智恵を先頭に入り口へと入っていく
入り口は、鉄骨が剥き出しのままの状態で、辛うじて天井部分が板で覆われている程度で、その左右の壁側には、開園していればこのバブルランドの、チケット売り場の窓口になっていたであろう筈の物が設置されている
入り口を過ぎると今度は、天井が同じく剥き出しの鉄骨で、アーチ状に組まれた通路らしき物が10メートル程続いていた
忠夫達が、その通路の出口付近に差し掛かった時それは起こった
― カツーン ―
何かが上から落ちて来たかと思ったその時
― ガラガラーン! ―
と一部の鉄骨が忠夫達を目掛け、タイミングを計ったかのように落ちて来た
「危ないッ!!」
忠夫をそう叫ぶと、大地を勢いよく蹴り、美智恵の所までジャンプすると彼女を抱き抱え、その勢いのままバブルランドへと飛び込んだ
千姫は令子を、幸姫もタマモを其々抱き上げ、忠夫と同様に一気に飛び込む
― ガラガラン!ガコーン!! ―
その後直ぐに次々と、忠夫達がいた所に向かって、鉄骨が落ちていくのを忠夫達は見ていた
「…ふう…。危なかった…。」
忠夫が一言そう呟くと、他の面子も其々安堵の溜息をついた
そして…
「「「「忠夫殿!?(さま)(ヨコシマ)(ママ)」」」」
と叫ぶ千姫・幸姫・タマモ・令子の4人
「ん?何だ?どうした?」
「どうしたの?令子?」
その叫び声に戸惑いの声をあげる忠夫と美智恵
「如何したもこうしたも!」
と令子
「忠夫殿!その格好は…!?」
と千姫
「忠夫さまっ!次は私をっ!」
と千姫
「…羨ましい…。」
とタマモ
「「格好って…?
あ゛…!?(汗)(ポッ)」」
忠夫と美智恵は、自分達の今の姿を確認すると、お互いに戸惑いの声をあげた
今の忠夫達は、美智恵を助ける為に抱きかかえた時の状態そのままなのである
つまり、俗に言う『お姫様抱っこ♪』と呼ばれる結構恥ずかしい状態なのだ
忠夫と美智恵はお互いに顔を合わせると、慌てて離れる
「あ、あははは。すんませんっす。美智恵さん。(汗)」
と忠夫が顔を真っ赤にして美智恵に謝罪する
「い、いえ、良いのよ。それより、助けてくれて有難う…。」
と、美智恵も同じく顔を真っ赤にして礼を言うのであった
― これが、後の忠夫の12の必殺技の1つになる、幻の必殺技とよばれた『お姫様抱っこ』の初めての発動であった ―
あとがき?
ども。零式ですよ?
とゆーわけで、
ごじゅうろっかいめのれんぞくとうこう
けん
第六十話です。
なかなかすすまない…。
一応、次回で決着までいければと思うのですが、こればっかりは書いてみないとわかりません。
なんか、ほんとに何気に人妻フラグがたちそーだ(汗)
で、レス返しですよ?
BLESS様
こんばんは^^
唐巣神父とパイパーの絶叫は次回ですねー。
いしゅたる様
ども^^
次回までどうなるかは持越しです。
けっこーひどいですよ?
誰にとってかは内緒ですが。
whiteangel様
こんばんは^^
姫子と芽衣の状態は、次回のお話で
海様
こんばんは^^
えーと、ある程度まとめて書き上げてはあるのですが、文章で切りの良いところと言う事で考えると、前回はあの時点で切るのが丁度良かったのです。
申し訳ありませんでした。
DOM様
ども^^
ばーさーかーとゆーか、なんとゆーか…。
待て次回です。
ベルルン&モリリン様
ども^^
パイパーにはある意味悲劇的結果がw
がんばってくださーい。
内海様
こんばんは^^
忠夫君は育ち盛りで、体鍛えてますから、前回より体格は良い設定ですね。
すんません。文章の切りのよさで考えたらあのようになりました。
秋桜様
まいど^^
人妻フラグ真面目に立ちそうです。
神父の髪については待て次回ですね。
盗猫様
ども^^
結構名言だと思うのですが。
まぁ、染めた相手が横島ですし…。(マテ
亀豚様
こんばんは^^
ほんと哀れすぎですな。唐巣神父。
姫子と芽衣については次回ですねー。
アイク様
どもー^^
美智恵さん手だしちゃいそーです(笑)
やっぱ、黒い唐巣神父じゃないとまずいですか?
somosomo様
こんばんは^^
ハゲピエロの調理は次回ですねー^^
ひのめについては、きちんとかんがえてありますよ?
では、皆様次回更新で。
明日はちょっと投稿無理かもですな~どーなることやら。
では~ノシ