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「光と影のカプリス 第38話(GS)」

クロト (2006-11-07 18:59)
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 横島は小山事務所の執務室で、ついに会得した小竜気・両腕発現を師匠に披露していた。
 両腕とも肘までだから面積は今までと同じだが、これに加えて片腕全部Verと拳に1点集中Verの3形態を用途に合わせて使い分けられるのだから、かなり便利になったといえるだろう。
 とっくの昔に全身装着を達成したカリンに比べればまだまだだが、進歩した事に変わりはない。弟子の成長に小竜姫も相好を崩した。

「横島さんもがんばっているんですね。でも学校の勉強も忙しいでしょうし、そんなに無理しなくてもいいんですよ?」
「あ、いえ。これは俺がやれないと不便かなーって思ったことなんで。でも足の方がちょっと面倒なんスよ」

 脚の方も両足の足首まで出せるようになった。加速にはこれで十分なのだが、いざ実験してみると減速やカーブの方が大変だったのだ。急ブレーキをかけると体に負担がかかるし、力を入れないと制動距離が長くなってしまう。
 マッキーの時はスライディングと蹴りがブレーキの役割を果たしたが、要するに体当たりと逃走くらいしか使い道がないのだった。人間相手の格闘なら実に有用だが、悪霊退治にはあまり向かない。

「公園の灯柱に真正面から体当たりしてたもんね。横島じゃなかったら顔がへこんでたわよ、きっと」
「どやかましい!」

 タマモに恥ずかしい失敗談を暴露された横島が顔を真っ赤にして怒鳴りたてる。何も女神さまの前で公開しなくても良いではないか。
 以前なら梅干とか唇開きとかで制裁を加えていた所だが、いまは恋人。さらにキラキラとつぶらな瞳で見上げられては武力行使に訴えるわけにもいかない。

「くっ、おまえいつの間にそんな大技を……!?」

 脂汗を流しながらうめく横島に、タマモはふんと胸をそらして言い放った。

「私も研究は怠っていないのよ。感心した?」

 何の研究なのかは不明だが、妙な方向に偏っているのは確かであろう。しかもまだ完成には至っていないようだった。
 うるうる見上げアタックは標的としっかり目を合わせてこそ有効な技である。まして偉そうな素振りを見せるなど論外なのだ。

「―――隙あり!」
「ふにゃっ!?」

 技を破られたタマモが横島にほっぺたを引っ張られて、腑抜けた猫のような声を上げる。

「未熟者め! 保護者に逆らうとどーなるか、その体に叩き込んでくれるわ!」
「ひゃ、ひゃにゃしにゃひゃいよー!」

「……」

 小竜姫はじゃれ合う2人を冷めた半眼でみつめていたが、それは急に鳴った電話の音で中断された。唐巣教会の名前が液晶画面に表示されている。

「はい、小山除霊事務所です。……いえ、こちらこそ。……え、おキヌちゃんがですか? ……え、本当ですか!? ……はい、はい。……分かりました、お待ちしています」

 と小竜姫が話を終えて受話器を置くと、いつの間にか和解していた横島とタマモが自分の様子をうかがっていた。口を開いたのは保護者の少年の方だ。

「小竜姫さま、今おキヌちゃんがどーとかって言ってませんでした?」
「……」

 小竜姫はそんな2人の様子にどこか今までと違う雰囲気を感じつつも、笑顔をつくって従業員の質問に答えてやった。

「ええ、とってもいい話ですよ。今の電話は唐巣さんからだったんですが、おキヌちゃんが東京に来ているそうです。記憶が戻ったので挨拶に来たと言ってました」

 そしてついさっき小山事務所に向かったところらしい。
 キヌは横島に会うために教会に行ったのだが、彼が小山事務所に転職したことは知らなかった。それで唐巣がここの住所を教えたのだが、キヌは慌てていたせいかアポも取らずに出て行ってしまったので、代わりに唐巣が在否の確認をしたというわけだ。
 普通なら美智恵か令子が一緒に来るべきところだが、2人とも多忙らしい。まあ記憶が戻ったのならかって住んでいた街だし、特に問題はないだろう。

「詳しい事情は本人が自分で話したいだろうという事で聞けませんでしたが、もうすぐ来ると思います」
「おキヌちゃんが……?」

 寝耳に水の椿事だが、事実なら大変めでたいことだ。横島はさっそく歓迎の準備を始めることにした。

「タマモも手伝ってくれ。あ、カリンも呼んどくか」

 知らない仲じゃないし、直接話をさせてやるべきだろう。横島はカリンを呼び出すと、せっかくなので彼女にも支度を手伝わせることにする。

「話は分かったが、あまり豪勢にすることもあるまい。夕食にはまだ早いし、おやつ程度にした方がおキヌ殿も気が楽だろう」
「それもそだな。じゃ、何か適当にみつくろって買って来てくれ。あ、お揚げはナシな」

 タマモが何か言いかけた機先を制して横島はそう言ったが、その報復は一瞬の間もおかずに行われた。

「横島の馬鹿ーーーッ!」

 さっきつねられた恨みもこもっているのか、タマモのスーパーデスブロウには微塵の手加減もなかった。きりもみ回転して顔面から床に突っ込む横島。
 それでも数秒もかからずに立ち上がって、不当な暴力に抗議の声をあげる。

「い、いきなり何しやがる。おキヌちゃんが主役なのにおまえの好物出すのは変だろうが」
「だからこそよ! おキヌちゃんは料理は上手だけど、美味しいものの味はまだそんなに知らないはずよ。私みずから作ったお揚げを食べさせれば、きっとお揚げ道の同志になってくれるはずだわ」
「この確信犯の女狐がーーーっ!」

 何も知らない少女を魔界に引きずり込もうとする狐娘の悪謀に、横島は正義の怒りを爆発させた。力づくでも更生させるべく、強烈なベアハッグで反省を迫る。
 実はタマモをきつく抱いてるだけだとか、キヌがお揚げばかり作るようになったら自分が困るとか、そんな邪な発想は少ししか混じっていない、はずだ。たぶん。

「……」

 小竜姫はさっきよりさらに冷たい視線で2人を見やっていたが、やがてはあっとため息をつくと、

「台所の戸棚にかしわ餅があったと思います。出しておいてくれますか?」

 と自分と同じように横タマを白っぽい眼で眺めていたカリンに声をかけたのだった。


 唐巣に書いてもらった地図でようやく小山事務所にたどり着いたキヌは、久闊を叙する挨拶もあらばこそ、扉を開けた横島にいきなり飛びついた。

「ただいまっ、横島さん……!」

 彼の顔を見るのは久しぶりだったが、だからこそ、こうして生き返った生身の体で再会できた感慨は深い。キヌは横島を抱きしめたまましばらく離さなかった。
 横島もそっとキヌの体を抱き返す。そのあたたかい体の感触が、少女が確かに帰ってきたという実感をわきたたせた。
 カリンも来ていたが、事情が事情だから止めるような野暮はしない。キヌが自分から離れるのを待ってから、改めて声をかけた。

「久しぶりだな、おキヌ殿。とりあえず中に入ってくれ」
「え!? あ、は、はい。カリンさんもお久しぶりです」

 一部始終をしっかり見学されていた事に気づいたキヌがかーっと頬を赤らめる。その視線から逃げるように中に入って、小竜姫とタマモに挨拶したのだった。


 その後は当然、キヌから死津喪比女事件以来の経過を聞くことになる。
 死津喪が退治された後は氷室神社で普通に暮らしていたのだが、先日突然悪霊に襲われて身体を奪われかけたのだという。
 その悪霊たちはキヌに「おまえの肉体と魂は何かズレがある」と言った。300年も幽霊をやっていたせいで、まだ完全に重なり切っていないのである。
 そういう人間は幽体と肉体が離れやすい。つまりキヌの幽体を引き摺り出して自分がその後の体に入れば生き返ることができるのだ。いまだ生に執着する死霊がそれを嗅ぎつけて寄って来たのである。
 ただし所詮は他人の体だからまた別の霊に奪われる可能性が高いのだが、彼らにはその程度の判断力も残っていなかったのだ。

「お姉ちゃんたちを巻き込みたくなかったからとりあえず神社から出たんですけど、そのとき何故か、東京に行けば助けてくれる人がいるって思ったんです」

 いま思い返せばそれは失われた記憶の一部だったのだが、ともかくキヌは東京まで何とかたどり着いたあと、霊団が起こした騒ぎを察知して駆けつけてきた令子に保護してもらった。
 しかし霊団はその間に規模が大きくなってしまっていたため、普通の方法では祓い切れない。そこで美智恵はネクロマンサーの笛による一括浄化をもくろんで―――みごとキヌが吹きこなしたという次第である。

「あのとき美神さんがやられそうになって、助けたいけど何もできなくて。幽霊たちが生き返りたいっていう気持ちはなぜか分かって、でもそんな事してもつらいのは終わらないってことも分かって……その時、自分も幽霊だったことを思い出したんです」

 だからこそ霊の気持ちが本当に理解できたのだ。そしてそれこそが、ネクロマンサーの笛を使いこなす条件だった。

「それで記憶も全部戻って……私、やっと戻って来れたんです」

 話し終えたキヌは少し涙ぐんでいた。話している間にいろいろなことが思い起こされて、つい感傷的になってしまったのだろう。

「そっか……よかったなおキヌちゃん」

 横島たちも心からそう言って祝福した。死津喪比女の退治には参加できなかったが、これでようやく全てにケリがついたといえるだろう。

「で、おキヌちゃんはこれからどーするの?」

 当然の流れとして横島が何気なくそう聞くと、キヌはその質問を待っていたらしく、にっこりと嬉しそうに微笑んだ。

「はい、お義父さんや美神さんたちとも相談して、東京で暮らすことにしました。美神さんがこれを機にGSに戻るそうなので、また一緒に働けるんです」

 ネクロマンサーの笛を持っていればまた霊団に襲われても身を守る事はできるが、いつ不意を突かれるか分からないのだからやはり危険だ。霊体と肉体が完全に重なるまでは令子たちの所にいた方が安全だろう。
 美智恵としてもネクロマンサーがオカルトGメンに来てくれるのは願ったり叶ったりなのだが、キヌはまだ高校生なのでそれは出来ない。
 そこで令子はキヌを連れてGSに戻ると主張した。確かにキヌを他の所に預けるのも変な話だし、これが最も自然であった。
 美智恵も拒むわけにはいかず、晴れて令子はGSに復帰することになったのである。ネクロマンサーがいれば道具もかなり節減できるから、荷物持ちがいなくても何とかなるだろうし。
 令子の精神状態がそろそろ限界に近いというのもあったけれど……。
 キヌの住居は令子が事務所用に借りるテナントの一室だ。GSのオフィスだからそれなりの霊的防御を施すので、浮遊霊程度では侵入はおろかキヌを発見する事すら出来ないだろう。
 つまりこの辺りの雑務で忙しいというのが、美智恵や令子が一緒に来なかった理由である。今日はあくまでキヌ個人の挨拶に過ぎないのだから。

「だから横島さんも美神さんの所に戻りませんか?」
「……え!?」

 キヌの言葉は彼女にとってはごく当たり前の発想だったが、横島は意表を突かれた。美神事務所をレイオフされた日に唐巣の所に行くことを決めた時は確かにその事も理由の1つになっていたのだが、いいかげん日数が経っていたために「令子=オカG」の図式が横島の脳内でデフォルトになってしまっていたのである。
 と、その口をカリンの手がふさいで彼の発言を封じ込めた。

(な、何すんだいきなり?)

 横島はそう文句を言おうとしたが、カリンは彼の方には顔を向けない。キヌの顔をじっと見据えたまま、

「誘ってくれるのは有り難いが、それは無理だ。この事務所は横島の提案で立ち上げたものだし、横島がいなければ仕事を受けることもできない。理由もなくそれを放り捨てていくなど、不義理にも程があるというものだ。
 それに時給255円では生活が成り立たないからな」
「あ……そ、それはそうですね」

 キヌはそこまでの事情は聞いていなかったが、カリンの言うことはいちいちもっともで反論の余地がない。横島が小竜姫に開業を勧めた理由も、表向きのそれはまことに立派なものだったし。
 傍らでタマモも「まったくだ」と言わんばかりに何度も頷いていた。
 横島が時給255円なら自分はせいぜい200円だろう。それでは共働きで食べていくのが精一杯ではないか。

「しかし横島が美神殿の所にいたのは事実だし、未練もあるだろう。
 と言って時給255円で引き抜かれては小竜姫殿の体面にも関わるからな。美神殿がここより良い待遇を約束するなら考えないでもない」
「……いくらもらってるんですか?」
「時給千円と、あと依頼料は山分けだ」

 ぶっちゃけ従業員の方が稼ぎが多いのだが、事務所の実質的な経営者は横島だし、小竜姫は生活費以上のお金は要らないからそれで良かった。
 カリンの言葉の意味を理解したキヌの顔から、少しばかり血の気が引いた。

「えっと、美神さんがそんなお金出すわけないと思いますけど……」
「そうだろうな。だが引き抜きというのはそういうものだと思うが?」

 こんな条件は令子でなくても承知するわけがないから、これは断りのダメ押しをしているのと同じである。もともとカリンは小竜姫の力を受けて誕生した存在なので、令子より小竜姫の方が好きなのだ。
 だからといって、カリンは横島の都合を無視して自分の私情を押し通そうとしているわけではない。キヌに言ったことは全て本心だし、小山事務所は受ける仕事のレベルが低いぶん危険も少ない。そもそも横島が令子の所にいたのは彼女の美貌に惹かれてのことだったのに、今さら戻ってどうしようというのか?
 しかし彼の判断に任せると情に流されかねないので、少し黙ってもらったのである。
 ―――もっともカリンが何もしなくても、横島はこの場でキヌの誘いにYESと答えることは出来なかっただろう。小竜姫のことはさておくとしても、時給255円ではタマモの学費もお揚げ代も払えない。時給計算なら2千円は欲しい所だが、それが叶う確率はかなり低いと思われるから。そのくらいの分別は横島にも備わっていた。

「そうですか……それなら仕方ないですね」

 いま横島を誘ったのはキヌの独断で、令子に指示されてのことではない。小竜姫もいる事だし、あまり突っ込んだ話をするのは良くないだろう。
 横島自身はまだ何も言っていないが、彼らの力関係から見て、横島がまともな根拠もなくカリンの意向を覆せるとは思えないし。
 しかし今日の話題はこれだけではなかった。

「でも学校は横島さんと同じなんですよ。よろしくお願いしますね」
「え、マジで!?」

 ようやくカリンに口を解放してもらった横島が驚きの声をあげる。
 ただし足の上にカリンのブーツのかかとが乗っているし、移籍について明確な意志があるわけでもないから、さっきの話をむし返すことは出来なかったが。
 しかしその辺の事情はキヌには分からない。笑顔で頷いて話を続けた。

「はい。学年は1つ下ですから後輩になっちゃいますけど」

 令子は霊能方面を優先して六道女学院を推したのだが、キヌの養父母は「普通の」一般常識を学んでほしかったので普通の高校を勧めた。最後はキヌの判断に委ねられたため、両親の勧める普通の学校―――横島たちと同じ高校を選んだのである。

「そっか、いや学年なんか大したことじゃないって。こっちこそよろしくな」
「はい。……あ、そうだ。これからは横島先輩って呼んだ方がいいんでしょうか?」
「へ!? うーん、おキヌちゃんにそう呼ばれると何だかくすぐったいな」

 横島は部活に入っていないから、日常的に親しくしている後輩はいない。実に新鮮かつ優越感をくすぐられる呼称であった。少なくとも学校ではそう呼んでもらうことにしよう。

「……じゃ、私もおキヌちゃんの先輩ってことになるの?」
「え? ああ、確かに理屈はそーだが……」

 遠慮がちな声で話に割り込んできたタマモに横島はそう答えた。
 ただ見た目14歳のタマモでは、逆に後輩に見えてしまうのも事実である。横島がそう言ってからかうと、タマモは意地になったのかいきなり先輩風を吹かせ始めた。

「うるさいわね! とにかくおキヌちゃん、今後は私のこともタマモ先輩と呼ぶよーに。とりあえずお揚げでも買って来てもらおうかしら」
「くぉの馬鹿狐がぁーー!」

 タマモの脳天に横島のハリセンがうなって、すぱーんと小気味いい音をあげる。横島は両手で頭を押さえて俯いた狐娘を放置して、

「あー、こいつの言うことは無視してくれていーから」
「は、はあ」

 漫才コンビにますます拍車がかかっている2人にキヌは内心で冷や汗をかいたが、今までと変わらず自分を受け入れてくれた事には安堵していた。以前とは違う立ち位置になったが、この様子なら何も心配することはないだろう。
 本当はもうしばらく思い出話でもしていたかったが、東京に来たばかりで色々と忙しい身でもある。キヌは最後にお茶を一口啜ると、椅子を立って小山事務所を辞したのだった。


 キヌが帰った後、小竜姫は後片付けを始めたカリンをつかまえて話しかけた。

「カリンさん、私のことは気にしなくていいんですよ。美神さんの所に戻りたいのなら、そうしてもらってもかまいませんから」

 修行なら当初の予定通り唐巣の所でもできる。自分のために横島の就職先を縛るのは小竜姫の本意ではなかった。
 もし彼に美神事務所に復帰する気があるのなら、あの条件が令子に伝わる前にキヌを止めねばなるまい。当人はそれほど深刻に考えてはいないようだが……。
 しかしカリンはさばさばした様子で、

「お心遣いはうれしいが、それは気にしないで欲しい。横島はタマモ殿と恋人同士になったのだから、もう美神殿の尻を追いかけるために安月給に甘んじる必要はないんだ」
「あっ、バカ!!」

 横島は顔色を変えてカリンの口をふさごうとしたが、もう遅い。小竜姫の顔にもびしりと井桁が浮かんでいた。

「へえ、そうだったんですか……いえ、別にいいんですよ? 恋愛は自由ですから」

 不倫とかでない限り、誰が誰を愛そうと自由であろう。しかしさんざん「自分はロリじゃない」だとか「大人の美人が理想」とかのたまっておきながら、結局はロリっ娘を選ぶとは何という不実さだ。
 小竜姫は壁にかけてあった木刀をさりげなく手に取った。

「お仕置きです! 受けなさい、断固仏罰剣!!」

 メドーサに敗北した屈辱を晴らすために編み出した技を、まさか人間に使うことになろうとは。
 これは連続した斬撃の軌道が「仏罰」2文字を宙に描き、最後のハネが完成すると字が閃光を発して邪悪なる者を粉砕するという恐るべき剣技なのだ。煩悩魔人へのお仕置きには最適であろう。

「たわばっ!?」

 オレンジ色の仏罰光に打ち据えられて、横島は再び床に倒れた。
 それでも煩悩は消えなかったようではあるが。


 一方キヌの話を聞いた令子もまた怒髪天を衝いていた。
 横島が戻って来るのなら再雇用するのにやぶさかではないが、利益の半分とはまた大きく出てくれたものだ。
 正確には横島ではなくカリンの発言なのだが、影法師の行動は本体の責任である。丁稚の増長に制裁を下すべく、令子はオカG備品の精霊石弾バズーカを手に取った。
 その表情からサド&マッドな殺意を読み取った美智恵が、あわてて令子を後ろから羽交い絞めにして取り押さえる。

「は、離してよママ! 今日という今日はあのバカに引導を渡すんだから!!」
「娘が犯罪者になるのを見過ごす親がいるもんですか! とにかく落ち着きなさい、条件が不満なら雇わなきゃいいだけの事でしょう」

 確かにずいぶんふっかけたものだと思うが、資格も取ったからハッタリでもかけているのだろう。単にもう戻る気はないという意志表示なのかも知れないが、できればもう少し常識的な額面にして欲しかった。ここで言っても詮ないことだが。

「おキヌちゃん、今よ! バズーカを取り上げて!」
「はっ、はい! 美神さん、落ち着いて下さいー!」
「2人とも離してーー!」

 ……はたして横島は明日の朝日を拝むことができるのか!?


 ―――つづく。

 おキヌちゃんと美神事務所は復活しましたが、横島君はカリンのせいで戻れなくなりました(ぉ
 ではレス返しを。

○零式さん
 神父は男所帯の方が気楽に過ごせる人かも知れませんねぇ。
 小竜姫さまは怒りの鉄槌を下しました。

○通りすがりのヘタレさん
 おキヌちゃんようやく復帰です。
>ピート
 きっとブラドー島にいいひとがいるんですよ(出任せ)。
>出番のないキャラ
 非才を恥じるばかりであります○(_ _○)
>小竜姫様
 メドーサに追いつくにはまだまだ修業が足りませんが(酷)。

○博仏さん
 おキヌちゃんはようやく土俵に戻ってきました。
 敵は強いですが(^^;
>教会
 今度は犬飼ポチ辺りが押しかけて来ると面白いかも知れませんねぇ(鬼)。

○ミアフさん
>おキヌちゃん
 脱落と見せかけて復帰、と見せかけて(以下削除)。
 とにかく令子が倒れる前でよかったです<マテ

○キールさん
 おキヌちゃんは美神事務所に就職しました。
 高卒資格がないとGメンには入れないのですー。

○KOS-MOSさん
 神父に幸が訪れるのはいつの日になるんでしょうねぇ。
 おキヌちゃんは自ら虎口に飛び込みました。

○遊鬼さん
>ピート
 雪之丞とは戦闘スタイル似てますからねー。
 唐巣のスタイルとは離れて行くかも知れませんが(ぉ
>令子&キヌ
 1番有効な策はカリンを味方にする事なのですが<超マテ

○LINUSさん
>魔鈴さん
 接点をつくるのが難しかこつばってんなのです○(_ _○)

○KEIZUさん
 まずは小竜姫さまにバレました。当然制裁です。
 魔鈴さんはそろそろ出したいと思ってはいるのですがorz

○whiteangelさん
>横島はタマモのことを話してないのですね 小竜姫の場合
 話してもメリットないですから(ぉ
 おキヌちゃんにはまだバレてませんがどうなる事やら。
>黒絹ちゃん
 書く人にも恐怖を与えるので出しづらいのではないでしょうか。

○ロムさん
>横タマ分
 突っ込みに容赦がないのは、互いに気心が知れてる事の表れなのです(ぇー

○読石さん
>神父の頭の上を霊視すると貧乏神が髪毟ってるんだろうなぁ
 ひどい話ですねぇ(涙)。
 彼の心が折れないことを祈るばかりです。
>ピートのツメの甘さをユッキーが補うって感じで
 コンビでGメンに行ったりするかも知れませんですな。
>横島
 自分自身か親しい女性が危機に直面しないと根性出ないタイプですからねぃ。
 しかしタマモの方が年下のはずなのにまだまだと言われる横島っていったい(^^;

○HALさん
>アン・ヘルシング嬢
 きっと神父に除霊してもらうために来たんですよ(ぇー
>小竜姫
 言行不一致な不埒者に仏罰を下しました。
>令子
 カリンが怒らせたのでますます遠のきましたです。
>美智恵さん横島についてはある程度追跡調査してたんですねえ
 神父と茶飲み話でもすれば分かることですしねぇ。
 GSとしてはともかく、荷物持ちとしては優秀ですから<マテ
>おキヌちゃん
 桃キヌvs19歳Verタマモ……横島君には天国ですね。

○UEPONさん
>で、経由して美神親子にバレる、どこまで?
 女性関係はまだ知られてないようですが、要らない所で怒らせてます。
>前作ルシの苦労は代わりにカリンがすればいいし<酷
 つまりカリンがシバいた後でタマモが寛大に許してやる、と……まさしく飴と鞭ですな、怖いっスー(^^;

○とろもろさん
>教会がまともに戻るには、一体いくらかかる事やら
 礼拝堂ですからすぐ直さなきゃいけませんしねぇ。
 主の試練は厳しいですな。
>おキヌちゃん
 出番はある……はずです、きっと(ちょっと弱気)。

○わーくんさん
>影の薄かったキャラに光を
 そこはそれ、神父とかピートとか(ぇー
 あと魔鈴さんも何と出番増やしたいものです。
>タマモ、カリン、小竜姫様で3股
 横島君の甲斐性次第ではありますが……(汗)。

○TA phoenixさん
>「面白そうだから」とか言われそうですね。キーやんに
 ひどい、ひど過ぎますw
>裕福な神父に宇宙意志が働くのは仕方が無いことですよね
 つまり直し終わった頃にまた暴漢が来るんですね(ぉぃ
>おキヌちゃんと横島君の縁
 あとの問題はタマモに対抗できるかどうかで○(_ _○)

○アレクサエルさん
 お褒めいただきありがとうございます。
 令子は横島を再雇用する気はあったようですが、今現在絶望的な状況になっております(^^;
 給料については、原作では文珠習得の後やっと300円(?)+自分でやった仕事の5%(?)ですから、たぶん今までと同じ条件を考えてたと思われます。
>オカルトGメンが、令子の替わりに報酬を払おうとしたら
 それはどう考えても有り得ませんねぇ。令子を更生させるためにオカGに入れたのに、自分が犯罪に手を染めるわけがありませんです。

○内海一弘さん
 神父は稼ごうと思えば稼げるんでしょうけど、そこで自分の信念との板挟みになっちゃうんですよねぇ。
 いっそオカGに入るとか?

   ではまた。

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