インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「妖との仲介人 19件目(GS)」

ラッフィン (2006-10-29 22:44/2006-10-29 22:45)
BACK< >NEXT


二人の男がある塚の前で会話している。一人は、この前横島達とやりあったGS、もう一つは六道の刺繍の入った服をきている男であった。

「霊力が足りないが、それはどうするんだ?」
「ああ、それはウチの生徒を使う。いざとなったら悪霊でも取り込ませるさ」
「いいのか?自分の教え子だろ?」
「ふ、何かを為すためには犠牲を伴うものだよ」

この男、前年までは学年主任を任されており、教頭に一番近いと言われていたのだが、鬼道が入ってから1年で評価は逆転し、学年主任から外されてしまったのだ。今の学年主任は鬼道になっていて、教頭を通り越し、将来は理事になるだろうと言われている。教師と言ってもGSライセンス試験に毎年3割の合格者を出す六道女学院の権限は決して低くなく、理事になればそれなりの地位なのだ。それを、最近入ってきた落ちぶれた血筋の若造に持ってかれるのは我慢が出来なかった。そこにGSの協力要請。これは利用できそうだと、自分の野望―鬼道をどん底に突き落とし再び、地位の回復―に協力してくれるならと条件をつけて了承したのだった。

「「ふははははははははは」」

二人は自分達の計画が成功するのは確実とばかりに高らかに笑った。

――六道女学院――

「え〜、では今度行われる社会科見学について話をする」

放課後のHRの時間に今度1年の霊能科で行われる社会科見学のしおりが配られた。今回の場所は2箇所、京都にある鵺神社と大阪にある鵺塚を回るらしい。

「後日。鵺についてのレポートを提出してもらうからな」

最後に課題を言いHRが終了した。担任が出て行った後、生徒は集まって談笑し始める。話題はもちろん今度の社会科見学のことだ。

「授業はなくてラッキーだけど、レポートがだりぃな〜」
「そんなこといって結局は泣きついてくるのはどなたかしら?」
「まーまー。それより、大阪と京都ですよ。楽しみですね〜」
「遊びに行くんじゃないですのよ?氷室さん」
「まぁ、かてぇこと言うなって」

2年に進級しても同じクラスだったキヌ、魔理、かおりの3人。口ではそういってるがかおりも楽しみにしているのは内緒である。

後に事件に巻き込まれるとは知らずに・・・。


―社会科見学当日―

「みんな集まったか〜?」
「はい、全員集合しています」
「では、今からクラスごとにバスに乗り込んで」

今日は社会科見学当日。京都にある鵺神社と大阪にある鵺塚を見に行く。
近衛天皇を苦しめていた鵺という怪物は源氏の武将・源頼政に退治され、頼政は鵺の屍骸をうつほ舟に押し入れて淀川に流したと伝えられている。それが流れ着いたという場所が、淀川も河口付近の都島。漂着した鵺の屍骸は、周辺の村人の手によって埋葬され、さらに祟りを恐れて塚を建てて懇ろに祀ったというのが鵺塚の由来である。

「ありゃ、池っても埋められてるじゃん」
「危ないからって埋めちゃったそうですよ?」
「この石碑・・・何て書いてあるのかわかりませんわ」

各クラスおのおの自由に見回っている。といっても神社なのでそんなに見回るところがあるはずもないが。

「そろそろか・・・・」

神社の境内の死角にいた元学年主任の先生が印を組み、呪文を唱え始める。

「〜〜〜〜〜〜陣!!」

GSの掛け声と共に、神社全体が結界に包まれる。当然、そこを見学していた生徒達も結界の中に閉じ込められてしまった。

「なんですの?」
「何が起こったんですか??」
「け・・・結界!?」

除霊実習でもないのに結界の中に閉じ込められる事態に陥ったためにパニックになる生徒も出てくる。

「吸引開始!!」

GSは工程を進める。結界を張った後、札を一枚上空に放つ。その札は結界の中心で停止すると周囲から霊気を吸収し始めたのだ。もちろん霊気の吸引ターゲットは六道女学院の生徒である。

「れ・・・霊気が吸われていく・・・」
「もう・・・立ってられない」
「あっ・・・」

10分も立つと霊気の枯渇で倒れる生徒が続出する。霊能科の教師ですらも倒れているのだ。

「そろそろだな。霊力転送!!」

掛け声と共に札から霊力がどこかに送られ始める。転送先は、大阪にある鵺塚だ。
鵺神社から送られてきた膨大な霊力が鵺塚に向かってとんでくる。そこに待機していたのは横島達に追い返されたGSだ。

「きたな・・・さあ、今こそ目覚めよ!!我が使い魔、封魔召還、鵺!!」

霊気の奔流が塚にぶちあたり、閃光が辺りを包む。さっきまであった塚がなくなり変わりにそこにいたのは・・・。
サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビを持つ伝説の生物。

ヒョーヒョー・・・・

トラツグミの鳴き声に似た君の悪い声をあげ、堂々と立っている。異説では雷獣ではないかという説もある。

「くくく、凄い力だ。予想以上だよ。これで、妖怪どもを一層できるどころか、世界最高最強GSも夢ではない」

鵺の強大な力を目の当たりにしてGSは不敵に笑う。

「さあ、まずはあの生意気な小僧に絶望を感じてもらおうか。神経接続、視界共有・・・行け!!」

ヒョォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

一筋の稲妻が東に向かって奔る。


「では、今日のHRを終ります。解散!」

本日の日程が終了し、各自部活なり帰宅なりを始めた。

「じゃ、また明日」
「おう、仕事がんばれよ」
「またジャー。ピートサン」

ピートは除霊の仕事が入っているので、先に帰っていく。横島とタイガーは仕事が休みのために残って談笑中。雪蛍は、小鳩と愛子の3人で商店街に繰り出している。いつもは横島が小鳩を送っていたのだが、雪蛍が一緒にいるし、たまには女だけというのもいいだろうと思い行かせたのだ。

「そういや、今日は六道の社会科見学だったっけ」
「そうですジャー。鵺神社でしたかノー」

同僚と恋人がいるので六道の話題が上るも、今までが今までで苦労したことが多い二人はすぐに話題を打ち切る。そして、他の話題にしようとしていたところ外が騒がしくなった。原因がわかる横島とタイガーは「またか・・・」と呆れ顔。本当なら無視したいのだが、ここは学校で大勢の人に迷惑がかかる。しぶしぶ外に出ることにした。

「よう、遅いじゃねぇか」

玄関を出たとこで声をかけてきたのは、目つきの悪い背の低い男、名を伊達雪之丞。六道でバトルをして以来、前以上に横島とバトルをしたがりこう足を運んでくることになっていた。彼は今、恋人(本人達は否定するだろうが)の弓の実家で修行中なのだが、彼の相手をできるのが師範の弓の父親だけであり、その人は多忙で相手をしている暇がない。なので、ここにくるのだ。

「あんな〜・・・何度もいうとるやないか!!俺はもうやらん!!」
「なんでだよ!この前は戦っただろうが!!」
「この前は仕事だから仕方なくじゃ!!痛い目に合うのはごめんだ!!」
「お前、そのギリギリの緊張感が楽しいんじゃねぇか!」
「お前と一緒にすんなや〜〜〜〜!!!!」
「二人ともその辺で・・・もうやめませんかノー?」

二人の言い合いはタイガーの仲裁が入っても続いたが、突如3人の動きがとまる。

「なんだ・・・これは・・・」
「物凄い力を感じますケン・・・」
「嫌な予感がする・・・いくぞ!」
「「おう!」」


――雪蛍、小鳩、愛子――

「これ、可愛くない?」
「あ、本当だ。でも、こっちも捨てがたいよ〜」
「私はこっちのほうが・・・」

雑誌を見ながら3人は商店街に続く道を歩く。どっからどうみても普通の高校生にしか見えない。内二人は妖怪だと霊能者が見ない限りは気付かないであろう。

「(忌々しい妖怪どもめ・・・殲滅だ、殲滅してやる!)」

ヒョォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

けたたましい鳴き声と共に周囲に結界が広がる。雪蛍達から周囲20メートルに結界が敷かれ世界から隔離されてしまう。雪蛍と愛子はそれに気付いた。

「何?結界?」
「なんか、いるわよ。物凄い妖気を放ってる・・・」

霊感のない小鳩はわけもわからずオロオロするしかない。そんな3人の目の前に伝説の化け物が姿を現す。先ほど、大阪の塚から復活した鵺である。

ヒョオオオオオオオオオオオオオ!!

鵺が鳴いた瞬間、閃光と爆音が起こった。

ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン

「きゃぁああああああ」

小鳩は10メートルくらい吹き飛ばされてしまう。なんとか気絶はしないですんだのだが、体を強く打ちつけたために動くことができなくなった。
それでも、小鳩は雪蛍と愛子のことが心配になり周囲を見回すと。
焼け焦げた机と薄く透けている愛子と鵺に踏みつけられている雪蛍と見た。

「雪蛍さん!!愛子さん!!」

小鳩は二人に叫ぶ。気絶していない小鳩に気付いた鵺の口が開き、人間の言葉をしゃべり出す。

「小娘・・・こいつらの知り合いか?」
「なんですか!あなたは!!」
「こいつらの知り合いに髪を九本に束ねた牝とバンダナを巻いたガキがいるはずだ」
「(横島さんとタマモちゃん!!)」
「そいつらに伝えとけ!京都の鵺神社で待っているとな」

そういい残すと雪蛍をくわえて飛び去っていった。それと同時に結界が消え去る。そこに遅れて来たのが、横島、雪之丞。タイガーと途中で合流したタマモだった。

「小鳩ちゃん!!」
「なんジャー?これは」
「まだ妖気が感じられるぞ!!」

タイガーと雪之丞は周囲の警戒にあたり、横島は小鳩に駆け寄り『治』の文珠を使う。みるみる内に強打した箇所が治されていくも、それに構わず小鳩は横島に訴える。

「あっちに愛子さんが・・・」

小鳩が指差した先にあるのは焼け焦げた机と体が薄く透けている愛子である。

「タマモ、小鳩ちゃんを!」
「わかったわ」

横島は小鳩をタマモに任せて愛子に駆け寄る。

「おい!愛子!!今、回復させてやるからな!気をしっかり持て!」
「よ・・・横島君。私はもう駄目よ・・・」
「んなこというな!今、治してやるから!!」
「もう無理よ・・・九十九神である私の本体の机が焼けちゃったんだもん。今、私の姿があるのは妖力が残っていたから。それももう尽きるわ」

愛子の力のない声を聞きながら横島は『蘇』『生』や『回』『復』の文珠を使ってみたが効果がない。そうしているうちにどんどん薄くなっていく愛子、ますます焦る横島。

「私・・・楽しかったわ・・・普通に授業を受けて、友達と笑って・・・横島君のおかげよ・・・ありがとう・・・」
「俺は何にもしてねぇって。それにまだまだ楽しくしてやるんだからな!」
「もういいのよ・・・私はもう・・・横島君・・・今までありがとう。あなたのこと・・・私・・・好きよ・・・」
「黙ってろ!今、治してやるから!!」
「好きな人に看取られながら死ぬ・・・青春ね・・・」

横島が最後の文珠を使ったところで愛子の体は完全に消えてしまった。それを静かに見つめていた横島は立ち上がる。
その顔に表情がなく、それが帰って横島が激怒していることを如実に表していた。
横島は小鳩のところに歩み寄る。

「小鳩ちゃん、大丈夫か?」
「はい。横島さんのおかげで・・・そうだ!横島さんとタマモちゃんに『京都の鵺神社にこい』って私達を襲った怪物が・・・」
「!!ありがとう小鳩ちゃん・・・タマモ、文珠を渡しておく。小鳩ちゃんを送ってからきてくれ」
「わかったわ・・・」
「頼むぞ・・・」

横島が立ち上がると、タイガーと雪之丞が戻ってくる。二人とも横島の表情に驚いていたが、事情を聞くと彼らの顔にも怒りが浮かぶ。横島が文珠を取り出し、タイガーと雪之丞が横島の肩につかまる。
小鳩は鵺神社に向かう横島に向かって叫んだ。

「横島さん!!愛子さんの仇をとってきてください!」

そして、彼らの姿は消えた。


―鵺神社―

ヒョオオオオオオオオオオオオオオ

ズズゥウウウウウン!

「きゃぁああああ」
ドサ・・・・

鵺が着地し、雪蛍は口から放り出され地面を転がる。その雪蛍に向かって声をかける人物がいた。

「よう、またあったな薄汚い化け物」

ニヤリと卑しい笑いを浮かべGSが鵺の傍らに立っている。雪蛍は瞬時にこの鵺はこのGSが使っているのだと理解する。キッとGSを睨みつけ立ち上がった。

「威勢がいいねぇ。それをぶっ潰すのはさぞかし楽しいだろうなぁ」

その睨みを余裕で流すGS、鵺の存在が彼に余裕を与えているのだ。雪蛍もあの鵺にはかなわないことを理解している。それほど鵺からは物凄い霊力が放たれているのだ。

「お前も気付いているだろう?こいつには勝てないってな。こいつがあればGS教会だって潰せるぜ。無駄なことはせず、大人しく殺されろ!」
「やってみないとわからないわ!力は大きければいいってもんじゃないもん!!」
「やってみな。悪あがきをな」

鵺が雪蛍に飛び掛る。横にとび避けると雪蛍は『アイスオブラヴァー』を展開し、戦闘体勢をとり、それを迎撃する。

「はぁああああああ!」
バキィイ!!
「嘘!!」

雪蛍が振り下ろした刀を鵺の尻尾である蛇が口で止めていた。これぞまさに真剣白歯取りである。驚愕して動きをとめた雪蛍に鵺の後ろ蹴りが炸裂。雪蛍は数メートルも吹き飛ばされた。

「くくくく・・・はははははは!無駄なあがきはよして大人しく殺されてくれや。まぁ、こっちとしては妖怪がやられている姿を見ているのは愉快だからどっちでもいいんだが」

GSは本当に愉快らしく笑いを絶やさない。明日には笑いすぎで腹筋が筋肉痛になっていることであろう。とりあえず、窒息しないくらいには呼吸をしているらしい。しかし、雪蛍も吹き飛ばされはしたがまだまだ動けなくなるほどではない。足元もしっかりしているし、大丈夫だ。

「くらいなさい!ダイヤモンドダスト!!」

自分の持つ最強の技を出す。雪蛍の周囲を氷の粒子が囲い、周囲に広がる。地面に生えていた雑草も氷の粒子に触れた瞬間に白く固まり、砂のように砕けて消える。触れたものを凍結させ、風化のように砕くダイヤモンドダスト。鵺といえど凍結させてしまうであろう。が、鵺はそれよりも上であった。

ヒョオオオオオオオオオオオオオオ!!

鵺は一説には雷獣だという。つまり、この妖怪がいると、雷が落ちてきてもおかしくないのである。
先ほどまで晴天だった空が突然、雲に覆われる。そして、腹の底に響くような低重音が響いたと思ったら、ダイヤモンドダストを一瞬で消し去る閃光が奔る。

「きゃぁああああああああああああああああああ!!」

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!

閃光の正体は雪蛍に降り注いだ雷の光だった。しかし、幸いにも雪蛍の使っていたダイヤモンドダストにより、雪蛍自身の体が濡れており電気がその水の表面を伝っていったために、感電死は免れたのであるが、大量の電気を浴びたのは確かなのだ。体が麻痺して思うように動けなくなってしまう。

「く・・・」
「ありゃ?逃げるのか・・・無様だね〜・・・まぁ、無駄な努力だけど」

雪蛍はボロボロの体に活を入れ、撤退を開始する。プライド?意地?そんなものが命より大事なものか!と、ここらへんは横島の妹である。教えられなくても理解している。命があればリベンジできるのだ。危険の多いGSの大事なことの一つ、引き際を見極めるである。雷を喰らったので少し遅いと思うが、まだ間に合うはずだ。
鵺は確かに速いが、雪蛍は障害物に隠れ隠れ進んでいる。それに邪魔をされて雪蛍を攻撃することができないのだ。

「ちょこまかと!!」

なかなか攻撃できないことに苛立ちを感じているGS、それを尻目に雪蛍は林を抜け、目の前の光景に驚愕する。
数百人の同じ制服を着た女生徒が地面に倒れているのだから。その光景を目にしたときに動きがとまる。そのときを狙ったかのように雪蛍の体に呪縛ロープが巻き付けられ、身動きがとれなくなってしまった。

「何やってんだ?こんな小娘一人に・・・」
「うるさい!これからやるとこだったんだよ」

鵺に乗っているGSに声をかけているのは六道女学院の元学年主任の教師だった。

「あんた達、あれはどうゆうことなの!?」
「あれとは?」
「あの倒れている六女の生徒達よ!!」
「ああ、彼女らはこいつの召還のための霊力をもらったのだよ」

悪びれず応えるGSと元学年主任。二人の目に浮かんでいるのは欲望と権力に取り付かれた邪悪な心を映し出すかのような濁った色である。

「あんた・・・その刺繍があるってことはあの子達の教師でしょ!なんで教え子にあんなことができるわけ!!」
「いや〜、私の出世のために力をかしてくれるなんてね。教師思いの生徒達だよ」

自分の行いに全く罪の意識とかを持っていない。雪蛍の言葉は暖簾に腕押しで全然届いていなかった。

「んなことはどうでもいい。そろそろ目障りになってきた。消えろ!」

ヒョォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

ガラガラピシャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
「きゃあああああああああああああああああああ」

GSはいい加減じれてきて、雪蛍を本格的に消しにかかる。鵺の声に反応するかのように雷が雪蛍に降りかかる。先ほどの一瞬の一撃ではなく、継続した攻撃だ。
雪蛍に抗う術はなかった。


「なんだこりゃ!?」
「魔里しゃん!」
「弓!!」

横島達が転移してきて、最初に見たのは倒れ付している六女の生徒達の姿だった。タイガーと雪之丞は真っ先に自分の恋人を見つけ駆け寄る。横島も二人と同じようにおキヌを発見し駆け寄る。

「おい!しっかりしろ!」
「大丈夫ですか?ワシがわかりますかノー?」
「おキヌちゃん!・・・って霊力が少ない!」

横島達はおキヌ達が倒れている原因が霊力の減少であると理解した。これなら少し休めば大丈夫だと安心する。そのとき、雪之丞に抱き上げられている弓、タイガーに抱き上げられている魔理、横島に抱き上げられているおキヌが目を覚ます。

「な!雪之丞!!」
「タイガー!どうして!!」
「よ、横島さん!!」

目を覚ませばいきなり思い人の顔のアップがあり、軽いパニックになる3人娘。驚かれたほうも三者三様の反応をする。

「倒れてるから心配してやったってのに、その反応はなんだよ!」
「ふん、頼んだ覚えはありませんわ!」
「んだと!」
「なんですか!?」

雪之丞と弓は喧嘩を始め。

「魔里しゃあああああん!よかったですジャーー!!!」
「わわわ!タイガー!こら、抱きつくな!!苦しいって!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「む〜〜〜〜〜!!!!!」

魔理が無事だと知って喜びのあまりきつく抱きつくタイガーと抱擁で息が出来ない結構ピンチな魔理。

「よかった。おキヌちゃん、どこかおかしいとこはない?」
「は、はい!大丈夫です!私元気ですよ!!」
「本当によかった・・・」
「横島さん・・・」

おキヌの無事に本気で安心する横島。その様子におキヌは嬉しさにいっぱいになる。
そのとき、閃光と共に轟音が鳴り響く。6人は同時に音の発生源の方向に振り向く。発生源と思われる場所から煙が見えた。

「いくか?」
「「おう!!」」

男3人はそこに向かうことにする。3人娘も同行するといってきたので6人で向かうことになった。慎重かつ迅速に移動する6人、彼らにはその先に膨大な霊力を持った生物がいるのを感じていたのだ。男3人のほうはなんとなく予想がついた。先ほど、愛子と雪蛍を襲い、さらっていった奴だということに。

「きゃああああああああああああ」
「雪蛍!!」

雪蛍の悲鳴を聞いた横島は目にも留まらぬ速さで駆け抜け、他の5人は置いてかれてしまう。そこには落雷を受けている雪蛍の姿が、横島はすぐに『護』の文珠を投げ雪蛍をその結界で包む。

「文珠!?」
「来たか!!!!」

落雷が弾かれたことで乱入者の存在を知るGSと雪蛍。乱入者の横島は両者の間に割ってはいると雪蛍を背に庇い鵺と向き合う。

「なんじゃ?この化け物は!!」
「これは平家物語に出てくる伝説の生き物『鵺』だよ」
「鵺って・・・雷獣!?」
「そのような説もあるな・・・・だから、コイツにもそういう力がついている!」

ヒョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

ゴロガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

「ちっ・・・」

サイキックソーサーを展開し、落雷を防ぐ横島。

「ほう、強力な霊能だな・・・」
「お前は!」
「久しぶりだな。あんときは世話になっ・・・」
「男のことなんていちいち覚えてねぇ!」
「っく。どこまで俺を苛立たせれば気が済んだ!」

横島らしさが炸裂し、青筋が破裂しそうなくらいに浮きだっているGS。ちなみに言おう。横島は本気である。
そんな苛立っているGSを無視して、横島は雪蛍に話しかける。

「雪蛍!!」
「あ・・・やっぱり・・・お兄ちゃんだったんだね」

全身に雷を浴び、ボロボロの雪蛍。横島はすぐに回復させようとしたが。

ヒョオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

「ちぃ!」

鵺が攻撃を再開。今度は雷ではなく直接攻撃できたために雪蛍を抱き上げ回避する。そこにちょうど雪之丞達が追いついた。

「「「「「横島(さん)」」」」」
「雪蛍を頼む!」

有無を言わせず雪蛍と2個の文珠(結界という文字を込めた)をおキヌに託した横島は、栄光の手を出現させ鵺に突っ込んでいった。

「横島!俺もやる。てめぇだけでこんな面白い相手と戦うんじゃねぇ!」
「ワッシが援護しますケン!」

横島の後に雪之丞が続き、タイガーは精神感応能力で鵺をかく乱する。
雪蛍を託されたおキヌはすぐに結界を発動する。
一方、鵺との戦いはタイガー、雪之丞、横島の3人の連携により一方的になっている。

「おらぁあああああああ!」
「はぁああああああああ!」

ズドム!ドシュゥウウウ!!

雪之丞の魔装術の拳が鵺の腹を下から突き上げ、横島の栄光の手(霊波刀形態)が顔を切り裂く。左右に別れ、細かく動き回り鵺を翻弄する二人。
鵺も爪で切り裂いたり、牙で噛み砕いたりしようとするも、タイガーの精神感応により感覚を狂わされデタラメな方向に攻撃してしまっていて全く当たらない。
鵺の力に酔いしれていたGSは焦る。絶対な力だと思っていたのに、たかだか小僧二人に(タイガーの精神感応に気がついていない)手も足も出ないなんて、悪夢でしかない。

「くがぁ!何故だ?何故こんなガキどもにいいようにあしらわれるんだ!!」

「なんだ、まだ気付いてなかったのか?」

不意打ちでタイガーに神通棍での打撃が打ち込まれる。

「ぐあああああああああ!」
「「タイガー!!」」
ヒョオオオオオオオオオオオオオ!
「「がはぁ!」」

そして、タイガーの精神感応が解けた上にタイガーの叫び声で動きを止めてしまった横島と雪之丞も鵺の強烈な一撃をくらい吹き飛ばされた。

「平気か?」
「ああ、俺は魔装術で防いだから平気だ」
「ワッシは・・・ちょっと、骨にヒビが入ってるかもしれないですジャ」
「これ使っとけ」
「感謝しますケン」

「「「先生・・・なんで?」」」

タイガーに文珠を渡し回復させる横島。
タイガーを殴った人物は元学年主任の教師である。そして、タイガーを攻撃したのが自分達の先生だと知って愕然とする弓と魔理、おキヌ。

「なるほど・・・貴様が、魔人殺しの文珠使いか・・・」
「「「「!!」」」」

教師の発言に横島、雪之丞、タイガー、おキヌが固まる。しかし、GS、魔理、弓の3人は何を言っているのかわからないという様子。

「神魔族とGS協会の一部でしか知られていない。先の大戦のときに魔神を倒したという本当の立役者だよ」
「な、なんだと!」
「「嘘!あの男が!!」」

教師の発言に信じられないという表情の3人。横島は無表情になり教師を睨みつける・・・いや、横島だけでなく雪之丞もタイガーもおキヌでさえもだ。あの大戦は横島にとって思い出したくない悲劇の事件なのだ。それなのに、英雄視されるなんて嫌味以外の何ものでもない。

「どどどどどうすんだよ!」
「落ち着け、信用できるか?こんなガキが魔神を殺したなんて」
「それはそうだが・・・」
「どっちにしろ、こいつらはただで帰すわけにはいかない」
「そうだな。ヤるか!」

教師の言葉にGSも落ち着きを取り戻したようだ。その二人に横島は問う。

「何故、お前は妖怪を憎む?そして、お前はそれに協力している?」
「答えてやる義理はねぇが、教えてやる!俺の親は妖怪どもによってたかって殺された。そのときに俺は悟った妖怪どもがどれほど残忍で汚い奴らかをな!」
「お前の目の前でか?」
「いや、親の部下だ」
「ふ〜ん・・・でお前は?」
「私は、こいつと利害が一致しているだけさ」
「利害?」
「そう、俺の出世のためだ」
「そうか・・・」

「じゃ、俺もお前らを叩き伏せていいんだよな」

横島の発言にみんな驚愕する。横島がそんなことを言うなんて思わなかったからである。一方、言われたほうのGSと教師は怒気が上がった。

「お前の理屈から言うと親を妖怪に殺されたから妖怪ども殺すってことだよな。なら俺も前に人間に殺されそうになったんだが・・・こういう場合は病院に入院くらいか?」
「なんだと?」
「俺は、魔族もろとも人間に殺されそうになったんだよ。人類の裏切り者としてな」

横島の告白に大戦を知らぬ者は反応が出来ない。GSという職業だけに妖怪やら霊やらに殺されそうになることはあっても人間には殺されそうにあったことはないのだから、固まる他ない。

「その後、ようやく出来た彼女の命と世界とを天秤にかけさせられたんだよ」
「「「「!!」」」」

さらに放たれた言葉に雪之丞、タイガーは俯き、おキヌは顔を逸らす。

「親が殺されたから憎むのはわかる・・・でも、妖怪全部を憎むなよ!良い奴もいるんだぞ!人間にも悪人、善人がいるように、妖怪にだって良い奴はいるんだ!!」

横島は心からの叫びで説得をしている・・・しかし、GSには届かない。

「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!」

「ガキの分際で大人に説教たれるんじゃねぇ!」

「妖怪は殺す!それはかわらねぇ!!」

GSの怒気に鵺が反応し雄たけびを上げた。もう、聞く言葉はないと、戦闘は避けられないというように。

「妖怪を殺されたくねぇなら、力づくでやってみろや!!」


あとがき

シリアス〜wラッフィンです。

なんか途中できっちゃいましたが、どうでしたでしょうか?楽しんでもらえましたか?
雪蛍ちゃん大ピンチですw
愛子ちゃんと小鳩ちゃん・・・久々登場だったのに、ごめんなさい・・・。
ああああああ、ファンの人もごめんなさいぃいいい!!

それともう一つ、もう六道はやらないとか前に宣言したはずなのに、やってしまいました〜・・・ごめんなさい。

大学のほうでレポートが多くて連日徹夜なんてザラになっちゃいまして、遅くなってしまいました。これからもこんな、場合によってはもっと遅くなりますが、これからもよろしくお願いします。

では、また次回にお会いしましょうwえ?もう会いたくない?そんなこといわずにね?


れすかえしですぅ!

whiteangel様

あ、それは大丈夫ですよ?なでなでは横島に好意を持っている人にしか効きませんから。ベスパ、パピリオ、雪蛍、タマモは親がいないので撫でられると父親に撫でてもらったような安心感が出てくるんですよw

リクエストがでたのでやってみようかなwなでなでw


ういっす様

君は萌宇宙(コスモ)を感じたことはあるか?


アイク様

馬鹿なこと考えた阿呆再登場です。
梓糸子ちゃんは一発ですね〜・・・出てくるかな?

横島にはすでにロリの称号はついているはずですよwタマモがいるのでw


零式様

甘いですか?塩分いります?私は甘党のようであまりキツくはなかったんですが・・・

パピはゲームやっているって文字だけでしたね・・・考えねば。


盗猫様

だって、ルシオラとパピリオの姉妹ですよ?横島好き好き〜ってなっても不思議じゃないじゃないですか〜www
パピは・・・ガンバレw


内海一弘様

ベスパ、妹+姉御肌、ツンデレ。
雪蛍、妹、デレデレ。
タマモ、妹、ツンデレ。

ベスパのほうが属性多いからリードしているんです(マテ
パピは邪魔しないで正々堂々奪いにくると思います!


放浪の道化師様

再登場ですかwむ〜・・・横島がさらに深くロリと言う名の海にもぐりこんでいくようなw

馬鹿が再登場ですw同期合体してやっちゃってくださいw


ヒガンバナ様

ぬお!小癪な!!精神コマンド「必中」&「熱血」!!
次ははずさねっぇえええええええええ!!!(挨拶返し返し!

御馬鹿GS再登場wさて、次回はどんな展開になることやらw

>あの後女性陣が其方へ向かってったのはそういうことですか
ぬお!精神コマンド「加速」
地の果てまでも逃げてやるぅううううううううううううう!!!

>数多のピンクの鎖がさらに強固なものに…(滝汗
もう身動きとれないぐらいに雁字搦めw


秋桜様

ふふぉふぉふぉふぉふぉwラブ優先の後はシリ優先だぁ!
というか向こうもシリ、こっちもシリ、次回も両方シリ・・・気分が暗くなりそうですよ・・・
ここで一発ギャグとかいれられないですかねw

妹ハーレム、もう形成されてません?え?足りない?これ以上は増えないと宣言しましたよ〜w妹ではなく妹分ならよし?それがあったか!!(嘘)

こっちより、向こうのほうが筆のスピードがはやいです(汗)


寝羊様

ベスパばかり優先すんな!私たちのも書けとボコボコにされたラッフィンです・・・

ヨコシマン!!懐かしいですねw
ほのぼのの後はシリアスにw気分が一気に下降しましたw
ああ、やっぱり足りなかったな〜・・・もっと甘く書ければ・・・


太一様

いえ、私の萌宇宙が萌え上がっただけですw
もっともっと甘く書けとお告げがありました。ど、どうすればいいんだ!

しばらくまた出番がこないのでこれくらいはしてあげないとねw


わーくん様

ふ、ふ、ふぇええええええええええええええええええん!
(何故か式神暴走w)

さぁさぁさぁさぁ、御馬鹿ちゃん再登場ですwやっちゃってくださいw

次は雪タマメインでいくかな・・・ボソ

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

e[NECir Yahoo yV LINEf[^[z500~`I
z[y[W NWbgJ[h COiq@COsI COze