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「GSユータロー極楽大作戦十一話(GS)」

ミアフ (2006-10-27 22:33)
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十一話『窮極変神仮面!!前編』


「しっかし、せっかく水着のネーちゃんたちを堪能した後で、あんなにおぞましいモン見せられたくは無かったなぁー」

「私は仮面だけならオシャレだと思うんですけど・・・・・・」

「「それオシャレ間違ってるッ!!」」

令子、横島、おキヌの水着談義。
C・ヴラドーの卑猥な水着について頭を抱えながら語っていた。
どこかズレたおキヌのオシャレに令子と横島は頭を抱えた。

「おキヌちゃん、今度、ちゃんとしたオシャレについてしっかりと話し合いましょ」

そんな三人を余所に蒼い顔で芦総合レジャープールの駐車場に向かっていた優太郎はズキズキと痛む左胸に意識を割いた。
傷など無いはずなのに流れ出した血液。
丁度心臓の位置から痛みを感じていた。
ニシマタダヤ、ミアンキュービィ。
Drカオスの友人と名乗っていたその二人に出会ってから、突然この鈍痛に襲われたのだ。
まる焼けた鉄棒を胸に押し付けられるかのような鈍い痛み。

(・・・・・・いったいなんだというんだ。この胸の痛みは?それに、あの二人から感じたデジャ・ヴュは何なんだ?)

頭の中で一瞬、映画の一シーンのような光景が浮かぶ。
宵闇の森。
巨大な魔方陣。
黄金に光る手。
目の前に立ちふさがる一組の男女。
ずぶりと胸にのめり込む刃。
朧げで霞が掛かったようにはっきりとしないなにか。
考えても考えても答えは出ない。
まるで遠い昔の記憶を思い出そうとしているような感じである。

「あの〜大丈夫ですかユータローさん?」

「おキヌちゃんか・・・・・・ちょっと気分が悪いだけだよ」

優太郎は力なく手を振った。
あまりに考え込んでいた優太郎の顔色が悪かったのかおキヌが優太郎の顔を覗き込んでいた。
おキヌは右の手を自分の額に当て、左手を優太郎の額に当てて。

「・・・・・・う〜ん、私に比べてすごい熱です!?」

驚愕の表情を浮かべたおキヌ。
だが優太郎は冷静に突っ込む。

「いや、おキヌちゃん幽霊だから体温無いだけでしょ」

「あ、そうでした」

そんなおキヌの様子にちょっとだけ、優太郎の気持ちがほぐれた。
いくら考えても答えがでないのはしょうがない。
一旦は気持ちを切り替えて、前を向くべきだ、と。


「じゃあ、このまま今日は首都高あらしを退治しにいくわよ!」

コブラに乗った令子に横島は訊ねた。

「首都高あらしって、どんな奴ッスか?」

令子は資料のような物を取り出した。
写真付きの書類には一対の角と二対の眼を持つ鬼のような妖魔が写っていた。
その隣には高速で走っている新幹線が写っている。

「推定速度は時速200Kmオーバーで走る奴よ。ポルシェ5台にフェラーリ8台、パトカー3台が壊されているわね・・・・・・妖怪にしろ悪霊にしろ、相当に性質の悪い奴ね」

「ひえぇぇぇ、そんなのとやり合うんすか?」

「ええ、久方ぶりに億越えの依頼よ!横島君も芦さんも気合入れていくわよ!!」

そこで令子は初めて優太郎の様子に気が付いた。

「あら、芦さん・・・・・・なにか元気が無いみたいだけど大丈夫なの?
今日のはかなり危険な除霊だから、体調が悪いんなら・・・・・・」

珍しく他人を思いやる令子に優太郎は笑みを浮かべた。

「いえ、おキヌちゃんにも言ったけど、大丈夫です。やれます」

この判断が後々、優太郎を後悔させることになる。


首都高を走っていたスポーツカーが盛大な音を立て爆発した。

「わーっはっはっは!!遅い!この程度の亀は消えろッ!!」

霊波砲を放ったのは、インドの僧衣のような服装の鬼。
韋駄天九兵衛(キュウベエ)。
夜な夜な首都高を走り回り、自分より速い車を見つけては追いかけ、追い抜いた車を破壊していく都市伝説のような行動を取っている鬼神だった。
元は仏法に帰依する下級神族一員だったが、九兵衛は本来の属性である鬼へと戻りかけていた。
速さに対する妄執と一連の破壊での死者の怨念を受け、魔性へと堕ちかけていたのだ。
最早、九兵衛の頭には速さを極めることしか残っていない。

そんな九兵衛に一台のコブラと一台のバイクが近づいていく。
コブラには令子と横島、それにおキヌ。
大型バイクに跨っているのは優太郎。
首都高あらしを追っているのだ。

「見つけたわ!あいつが首都高あらしね!!」

「く、17台目の被害者が出てしまいましたね。どうします令子さん?」

「うっわ〜速い〜」

「一体何キロでとんだこの車?」

令子と優太郎は互いに用意していたトランシーバーで言葉を交す。
令子の策では首都高の出口付近に仕掛けた結界によるトラップで九兵衛を足止めし、退治する予定だった。
だが、予定より九兵衛の脚が速い。

「拙いわね・・・・・・かなり高レベルの妖魔だわ。今仕掛けてある結界じゃ、追いつく前に逃げられるかもしれないわ」

令子が焦ったような声を上げる。

「なら僕が奴の注意を惹き付けます。その間にギリギリまで距離を詰めてください!」

バイクに跨っていた優太郎がギア比を変えた。

「おい芦、あのバケモンに追いつけるのか?アイツそーとーにはえーぞ」

「大丈夫だ横島、このカワサキカスタム。湘南で時速300kmを出したいわく付きの一品だ。
乗り手さえ耐えられれば、アイツをぶち抜くことが出来る!!」

優太郎がトランシーバー越しに怒鳴る。

「先に行きます令子さん!」

「気をつけて芦さん!!」

限界を超えたスピードに挑む優太郎。
伝説の教師が駆ったバイクが今、再び伝説を創る。


「く、この俺に追いついてくるだとぉぅ!?」

後方から自分以上の速さで近づくバイクに九兵衛は気づいた。
優太郎の駆るカワサキカスタムである。
単純な速度なら九兵衛よりも速い。
九兵衛も全力で追い抜かれまいとするがじょじょに差は縮まっていく。
そして、ついに優太郎が九兵衛を僅かに抜いた。

「これでも喰らえ!!」

優太郎が九兵衛の足元に向かって破魔札を数枚ばら撒く。
あまり強力な札ではないが、九兵衛の足元で小爆発を起こし、その体勢を大きく崩した。

「よし、このまま予定の場所まで誘導する」

調査では首都高あらしは自分より速く走るものを追いかける習性があるようだ。
一定間隔で破魔札による牽制をしかけ、自分がバイクで結界まで誘導する。
その後、後ろから追いかけてきた令子がトドメを刺せばいいだけだ。

「もう一回、牽制を・・・・・・!?」

優太郎が後ろを振り向き。

「あれは!?」

後方から凄まじいスピードで迫ってくる物体が一つ。
かなり遠いのでぼんやりとしか分からないが首都高あらしにどこか似た雰囲気を持っている。

「まさか、もう一匹いたのか!?」

そうなると、作戦の内容もかなり変わる。
元々首都高あらしは一匹だと思っていたため、令子の張った結界は小規模だ。
それに、元から足止め用のため、それほど強力ではない。
一匹でも短時間の足止めが精一杯なのにもう一匹は無茶だった。


九兵衛も後ろから迫ってくる存在に気が付いていた。
韋駄天八兵衛(ハチベエ)。
韋駄天で九兵衛よりもホンの僅かに上位の存在。

(く、あのクソ真面目が追ってきやがったか!どうする!?)

神界では八兵衛の方が九兵衛よりも足が速かった。
現状ではほぼ互角か九兵衛の方がまだわずかに遅いだろう。
しばし九兵衛は考え込む。
自分の前を走っている人間についてだ。

(まだ速さの極意を掴んでねえ俺では奴に勝てん。だが、この人間に負けたまま、逃げるのは癪だ。
俺のプライドも許さねえ・・・・・・)

九兵衛はちらっと後ろを見る。
凄まじい勢いで八兵衛が迫ってくる。

(そうだ!アレをすればいい。今の俺ならそれくらいはできる!!)

九兵衛は全身に霊気を巡らせ、窮極の加速を発動させる。

「超加速!!」

その瞬間、世界の音が消えた。


優太郎は信じられなかった。

(なにが・・・・・・起こった?)

ホンの一瞬、首都高あらしの姿が消え、なぜか自分がバイクから放り出され宙を舞っている。
あまりに死に近づいたためか、ありとあらゆるものがスローモーションで見える。
乗っていたバイクは横転し、吹っ飛んだ自分はまもなく、後ろから迫ってくるもう一匹の首都高あらしにぶつかってしまうだろう。
およそ300kmの速度の物体と物体がぶつかれば、どんなに頑丈な物でもグシャグシャになる。
いつのまにか、テロップが流れるように頭の中に奇妙な映像が流れ込む。
大学生の頃の自分。
高校生の頃の自分。
中学生の頃の自分。
小学生の頃の自分。
何気ない日常の記憶が流れていく。

(ああ、死ぬ前に見る走馬灯という奴か)

なぜか酷く、死を目前にしているはずなのに心は安らかだ。
そのことに苦笑し、のんびりと自分の半生を振り返る優太郎。
自分の過去が流れ終わった後、良く分からない光景が映った。

(あれは・・・・・・巨大なロボット?)

目の前には生物ともロボットにも見える人型の存在。

(綺麗な宝石・・・・・・いや、結晶かな?)

手の平サイズの白く輝く結晶。

(あれ、令子さんと横島にキザロンゲ・・・・・・だれだろう、あれは?)

令子と令子に良く似た誰か、それに横島と同じく横島に似た男。
知り合いのロンゲにそっくりな誰かもいる。
もう一人、全く知らないだれかが居たが気にしない。

そして。

(あれはタダヤさんにミアンさん!?)

ついさっきあったばかりの二人が登場していた。
タダヤの黄金に光る手がローブの人物の身体を貫いていた。
そしてローブの男に何事かを囁くタダヤ。
その言葉にローブの男は驚いたような笑みを浮かべ・・・・・・


ドシン!!


優太郎の身体は何かにぶつかった。


そして、優太郎が目覚めたのは病院の一室だった。

「あ、ユータローさん!気が付きましたか!?」

「・・・・・・おキヌちゃんかい。ここは?」

「白井総合病院ですよ。覚えてますか?昨日の除霊でユータローさんはバイクから投げ出されたじゃないですか」

「え、ああー。なんか記憶が曖昧だな。確か凄い重要な事を思い出した気がするんだが?」

バイクから投げ出された後の記憶があやふやな優太郎。
走馬灯のさい、なにか非常に引っかかる光景を見た気がするのだが一考に思い出せない。

「えっと、私、美神さんたちを呼んできます!」

そう言い、病室からおキヌが飛び出していく。
今だはっきりとしない頭を引きずりながら、優太郎は自分の格好を見た。
いつのまにか、ワイシャツとスラックスから入院着に着替えさせられた以外、特におかしなところがない・・・・・・おかしなところが無い?
そう、優太郎には一切外傷が無かった。

「どういうことだ。時速300kmのバイクから投げ出されたんだぞ?良くて全身骨折、悪くてあの世にいっているくらいの大怪我コースだった?なんで、僕は無傷なんだ?」

可能性としては投げ出された優太郎をもう一匹の首都高あらしが受け止めてくれたことも考えられる。
投げ出された優太郎を反射的にキャッチしたのかもしれない。

「でも僕の感覚としては、何かにぶつかった覚えがあるんだけどな?」

納得の出来ないことだが、それはおいて置く。
今は生きていることに感謝することにしよう。

「生きているって素晴らしい・・・・・・」

この奇跡を知り合いの神様(小竜姫)に感謝し、優太郎は美神たちが来るまでもう一眠りすることにした。

・・・・・・どくん。

優太郎の中で何かが脈を打つ。

ゆらりと寝ていたはずの優太郎が起き上がった。

カッと優太郎の眼が見開き、叫んだ。

「クロス・アウッ!(脱衣)」と。


令子は横島を連れ、とある病室に向かっていた。
優太郎の病室・・・・・・ではなく、白井総合病院に長期入院している患者の所だ。
昨晩、優太郎が運び込まれた後、GSだということで令子はある相談を受けていた。

「霊障?」

「単なる肺炎での入院だったのだが、一行に病状が改善せず、ナースたちがそういう噂を立ててな。
私はともかく、他の患者たちが不安がってしまってね。ちょっと見てくれるだけでいいんだ」

そう白衣のDrは言いながら、病室のドアを開け。

「ぎゃぁ〜〜〜はっはっは!!」

宙にパジャマ姿の男が浮かび、周囲のベットやら花瓶やらが激しく渦巻いていた。

「な?単なる発作だろう」

と、Drがのたまった。

「ってポルターガイスト現象じゃないの!?」

「違う〜あれは単なる発作!発作なんだ〜!入院していた時はいたって普通の患者だったのに〜!」

現代医学がどーのこーのとDrが言っているが令子は無視した。

「あれは病魔に取り付かれているのね。前に似たようなケースを見たことがあるわ」

「わわわ!?来ますよ美神さん!!」

「きょんわー!!」

花瓶が令子に向かって飛んでいく。
それを神通棍で叩き落し。

「まずはあの人の動きを止めないとね・・・・・・そこのDr、後で除霊代は請求するわよ!」

神通棍に御札を構え、令子はいつもの口上を述べようとした。

「このGS美神令子があんたを極楽へ逝かせ「待てぃ!!」って誰!?」

口上に割り込まれ、病室の窓から影が飛び込んでくる。

「・・・・・あ、芦さん?」

令子は思わず目の前に現れた男に疑問符付きで訊ねた。
願望としては優太郎であって欲しくない。
なぜなら彼の格好は・・・・・・

黒いブーメランパンツを顔に被った、ブリーフ一枚だけの半裸だったから。
なぜかブリーフの腰ゴムはサスペンダーのように肩まで伸び、クロスで引っ掛けられている。
そう、C・ヴラドーの着ていた水着に酷似した格好だった。

優太郎と思わしき男はビシっと効果音付きで名乗った。

「断じて私は芦優太郎という、美形で善人な青年ではない!!
我が名は変神仮面!!この世の悪と闘う正義の味方だぁッ!!フォォォォォッッッ!!」

そして、お稲荷さんが宙を舞った。


あとがき

優太郎霊能開花の前編です。
ヨコシマンではなく、変神仮面です。
最初の予定ではカブトとか真っ当なヒーローっぽくしようと思っていたのですが。
そーするとギャグっぽくならないので。
九兵衛との闘いではお稲荷さんが舞い、チマキがぶつかることになるでしょう・・・・・・
うわ、最悪な地獄絵図だ。ちょっと後悔。

レス返し


スケベビッチ・オンナスキー

ブラボーな技はしませんがパピとバタフライのパクリをします。
ああ、そう言われればあの秘書さんも同じ名前でしたね。
メジャーな狐妖怪の名前から取ってたんですが、本編では二年近く出てないので忘れてました。
ここ最近だと主人公よりサムライガールと嫁さんが目立ってるし。

内海一弘さん

私の書くヴラドーはオタク化からは逃れられないようです。
しかも筋金入りなので、並大抵のことではめげません。
カオスに頼んで核金を開発してもらってたり・・・・・・窮極のコスプレイヤー化してます。

とろもろさん

バレバレの方のご登場でした。
一応500年振りの対面です。
魔鈴さんなら年齢さえクリアすれば唐巣さんにくっつきそうな思想の持ち主なので候補の一人に。
白魔女なら、土着の神の力を借りるので唐巣神父も受け入れるでしょう。

azumaさん

ヴラドーの友人たちは皆他人のふりしてました。
変態仮面は優太郎になりました。
これで霊能が開花する予定です。

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