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「GSユータロー極楽大作戦十話(GS)」

ミアフ (2006-10-22 22:09)
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十話『穿たれた傷痕』


カオスの地下秘密研究所。

「なんだこれは?」

リクライニングルームでお茶を啜っていた男はいぶかしげに声を上げる。
女が六枚の紙切れを男に突きつける。

「なにってレジャープールの無料招待券よ」

ひらひらと六枚の券を女は見せびらかす。

「どうしたんだそれ?」

ここの所、地下にこもりっきりだった男と女にそんなものを手に入れる機会はなかったはずである。

「ええとね。この間、新聞屋さんがくれたのよ」

カオスの個人的な趣味で新聞を取るはめになった。。
女の話では粘りに粘って交渉し、粗品をありったけふんだくってから契約を交したらしい。
その券は粗品の一部だった。

「よく見たら、この券の期限、明日までなのよね・・・・・・もったいないから、泳ぎにいこ♪」

久しぶりのデートにウキウキとしながら女は男を誘う。
男の方も多少戸惑いながらも頷いた。

「・・・・・・まあ、『仕事』も一段落ついたし、俺は別にいいけど
・・・・・・カオスとヴラドーの方はいいのか?」

男の疑問に女はノープログレムと胸を逸らした。

「カオスはマリアとテレサの耐水装備を試すって言ってるし、ヴラドーは自作の水着が完成したから丁度いいって喜んでたわ」

「なんだ俺以外に根回し済みかよ・・・・・・そういや俺、水着がないな
・・・・・・」

一番重要なことを男は思い出す。
日本に来てから泳ぐ機会などなかったため、水着なんて持っていない。

「じゃ、ちょっと買いに行きましょ?」

男と女は連れ立って、地上へと向かう。
男の手をとった女の顔はとても幸せそうだった。


芦総合インフィニサマーランド。
東京ドームと同規模の面積の敷地に人工の波と人工の砂浜を敷き詰めた、超大型総合レジャー施設。
ウォータースライダーにカフェバー、ナイター設備と宿泊施設まで兼ね備えた日本、いや世界最大級のレジャープールである。


「ここって芦さんの実家が造った施設よね・・・・・・」

と、水着姿の令子は訊ねた。

「ええ、僕は勘当される、ちょっと前に完成した施設ですね。話には聞いてたが、ここまで豪勢な施設とは知らなかったな」

令子の隣を歩いているのは優太郎。
優太郎はブーメランタイプでブラックの水着を。
令子はブルーカラーのハイレグの水着にシースルーのジャケットを羽織っていた。
格好からすると、ここの利用者と大して変わらないが、二人はこのレジャー施設に遊びに来たわけではなかった。
令子がこのレジャープールに現れる幽霊退治を引き受けたのだ。

「しかっし、気分転換になるかと思って受けた依頼だったけど失敗だったかしらね。
アホ臭いナンパヤローの放つ下心の波動で頭が痛いわ。
虫除けに芦さんを連れて歩いているのに、ちょっかい掛けてくる大馬鹿もいるし・・・・・・ったく、アタシには連れがいるのよ!
ナンパはお断り!!」

令子が群がってくるナンパ男をしっしと手で払う。
その様子に優太郎は苦笑した。

令子達がこのレジャープールに通いつめてもう三日も立つ。
当初の予定では、さっくりとここにでる幽霊をしばいて、のんびりと海水浴を楽しむつもりだった。
だが、なぜか、目標の幽霊は現れず、空振りばかり。
無駄に時間ばかりが過ぎていく。

実はこの依頼の直前、小笠原エミとの第二回目の戦闘があった。
今回は幻術をつかう大男を連れたエミの催眠術によって大変酷い目にあわされた。
幻影のジャングルで邪精霊に襲われ、あげく霊能力を封じられたと思い込まされたのだ。
まあ、相手の暴走によって勝負はお流れ。
いつものようになんとかなったのだが、精神的に疲れた。
そのため、休養を兼ねてこの依頼を引き受けたのだが・・・・・・

「あーさっさと出てこないかしら!そうしたら、思いっきり神通棍でド突きまわしてやるのに!」

「フラストレーションが溜まってるな令子さん」

どうも裏目に出ていた。


「横島さん差し入れですよ〜」

ライフセイバー用の監視台に座っていた横島に差し入れのジュースを運んでくるおキヌ。
こういう時、空を飛べるというのは便利である。
横島の格好はパーカーに海パン、至って安っぽい姿。
横島は無言でジュースを受け取り、双眼鏡でビーチをガン観しつつ喉を潤す。
何故か口元は苦々しげに歪んでいる。
なにかブツブツ言っているようなんでおキヌはちょっと聞き耳を立てた。

「く、わざとらしい日焼けととって付けたよーな筋肉。知り合って茶ァしばいてすっかりお友達ってか!?」

「・・・・・・横島さん?」

「あっ!!あの女はさっき俺が声かけたとき無視した奴じゃねぇか!!
なんでだ!?俺のときとは違う、媚びた様な笑顔!!あんな男についていくのか!?」

驚愕し、段々とヒートアップしてきた横島は叫ぶ。

「絶望した!!ああ絶望した!!この見る眼の無い女たちとナンパだけしかねーような筋肉馬鹿ばっかが楽しい夏に絶望したッ!!」

どこぞの高校教師の如くネガティブなことをのたまう横島。

「まあまあ、落ち着いてください横島さん」

横島の隣で浮遊していたおキヌが慰めにかかる。

「合計40人にふられたぐらいでそんな、気を落とさないでください」

「おキヌちゃんはいい子やなー」

「なんぱなんか下手でもいいじゃないですか」

慈母の如き微笑を浮かべたおキヌ。
その笑みで絶望していた横島の心に一筋の光が・・・・・・

「あ、ところであの人カッコいいいと思いませんっ!?けっこーたくましいー♪」

射さなかった。
というかはぐメタに改心の一撃。

双眼鏡を片手に、ボーイウォッチングを開始するおキヌ。
悪気はなかったのだろうが、タイミングが悪かった。

ベキン。

差し入れのジュースの缶を握り潰しながら横島は思った。

(夏なんか!夏なんか嫌いやー!!)


「おーい、そこに貧弱なボーヤー!」

と優太郎を随伴させていた令子は横島に叫んだ。

「誰がっすか!?」

令子の言葉に監視台から降り掛けていた横島は怒鳴り返す。
ちなみに横島は決して貧弱ではない。
むしろ、その反対である。
元々着やせするタイプであり、過酷な環境での荷物持ちと折檻によって、一般男性の約1.5倍の筋力
を持っている。
だが、実践的な筋肉の付き方のため、一見したところ、普通の人間と変わらないように見えるのだ。
頭が悪いため、当人はそれに気づいていないが。

降りてきた横島とおキヌに令子は告げる。

「うーん。今日も出そうに無いわね。今日はこの後、首都高あらしの除霊がはいってるから、一旦引き合げるわよ」

「こっちと違って、首都高の方は結構被害が出てますからね・・・・・・緊急性でいったら向こうの方が高いですし」

優太郎がスケジュール帳を取り出す。
美神除霊事務所のスケジュール管理を一手に引き受けているのである。

「首都高あらしは深夜から明け方にかけてでるようです。夕食と仮眠をとってから出掛けるべきだな」

「じゃあ、帰るわよ」

令子が振り返って歩こうとした瞬間。

ドスン。

何かにぶつかった。

思わず令子が文句を言う。

「ちょっと、どこ見て歩いてるのよ!」

「・・・・・・ぶつかってきたのはそっちだろうに、きちんと前を見て歩け・・・・・・って、なんだ美神ではないか」

ぶつかった男親しげにポンと令子の肩をたたいた。

「アンタ、Drカオスじゃない!?」

令子の目の前には背の高い白人の男性『ヨーロッパの魔王』Drカオスが立っていた。
パイパー事件の際、短時間だがカオスと顔合わせだけはしていた。
唐巣は懸賞金を、カオスは金の針を報酬として令子から奪取している(令子の視点で)。

「お、カオスのおっさんしばらく振り」

「その節は大変お世話になりましたDr」

「おう、小僧共も元気そうでなにより・・・・・・」

のんびりと優太郎と横島と世間話をし始めるカオス。
その様子に意外な人物に遭って驚愕していた令子は落ち着きを取り戻す。

「てか、アンタなんでここにいるのよ!?」

「ん、いやタダ券を貰ってな。ダチと暇つぶしに」

まるで遊び回っている高校生のようなセリフに頭痛を覚える令子。

「Drカオス・どこ・ですか?」

「マスター!焼きそばとコーラ買ってきたわよ」

「お!マリア、テレサ。私はここだ」

ダイバースーツのような水着の美女二人がカオスに駆け寄る。
その様子に横島が血涙を流して叫んだ。

「おっさん!1000歳のくせにこんな若い美女を侍らせてやがんのか!?
あまつさえマスターってご主人様プレイだと!?
天が貴様を許してもこの横島は許さんぞ〜〜〜人誅!!」

「馬鹿止めろ横島!?」

思わず嫉妬で殴りかかろうとする横島。
それを羽交い絞めで取り押さえる優太郎。
カオスは焼きそばとコーラを受け取りながら、説明する。

「ああ、こっちのショートカットの娘はマリア、でそっちのロングへヤーの娘はテレサ。
私が造った人造人間で、娘みたいなものだ。
横島、お前の思っているような関係じゃないぞ」

「始めまして・マリア・です」

「私はテレサ、まあ、姉さん共々よろしく」

自己紹介を始めたアンドロイド姉妹におキヌが握手を求めている。
傍から見るとまったく人間と見分けがつかない。

「やはり、海で食う焼きそばにはコーラだな・・・・・・ンまい」

「おいカオスのおっさん・・・・・・」

焼きそばを立ち食いしているカオスにそっと横島が近づく。
その顔は限りなく真剣だった。

「ん、どうした?」

横島は真面目な表情で頼んだ。

「俺に何でも言うことを効いてくれるドジッ娘メイドを作ってくれ!」

「僕は正義感あふれるメガネの委員長タイプを!」

思わず、ついつい本音を洩らす優太郎。

「横島だけでなく、芦ッアンタもかッ!?」

「いや、つい」

優太郎があっちゃ〜と口元を押さえる。
令子が神通棍を振り上げ、馬鹿男二人をしばこうと・・・・・・


「ウワァァァッ!!出たぁ〜〜〜!!」


浜辺で盛大な悲鳴が上がった。


令子たちは声の方へと慌てて駆けつけた。
浜辺では人だかりが出来ていたが、なぜか綺麗に二つに分かれていた。

「なぁッ!?」

令子は思わず口元を押さえ、

「うわぁ!」

優太郎は信じられないモノを観たかのように崩れ落ち、

「きゃあ!?」

目を手で覆う・・・・・・が隙間が開いてる。

「おえっ・・・・・・」

女性至上主義の横島はその醜悪な存在に吐き気を催す。

現場に辿り着いた令子たちはそれを直視してしまった。

浜辺にたっていたのは一人の男性だった。

サラサラの金髪に白磁のような滑らかな肌。
長身でやや華奢に見えるが綺麗に鍛えられた筋肉。
まるで見事な彫刻のような体型の人物だった。
それだけをピックアップすれば。
なぜか男は蝙蝠をあしらった仮面をつけ、V字のサスペンダーのように細い紐についた布でもっこりな股間を申し訳程度に隠し、あまつさえ臀部がほぼむき出しに近い。
ある意味素っ裸より恥ずかしい格好である。
思わず猥褻物陳列罪で警察に突き出したい衝動に駆られるが、犯罪ぎりぎりで止めているのが性質が悪い。

「む、先ほどからやたらと余の周りが騒がしいな・・・・・・このような布切れでは余の魅力が溢れてしまうのであろうか・・・・・・美しさとはまさしく、罪」

陶酔したようなポージング。
完全に自分の世界に陶酔しきっている。

「「あんたの存在が罪だぁぁぁぁぁ!!」」

ドゲシッ!!

「ぷろぶぅっ!?」

奇妙な悲鳴をあげ、放物線を描いてそれは吹っ飛んだ。
令子と横島のツインハリケンキックがその蝙蝠仮面の男を人工海へと蹴っ飛ばした。


人工海に叩き込まれた蝙蝠仮面の男が抗議の声を上げる。

「貴様ら、余に恨みでもあるのか?人がのんびりと海水浴を楽しんでおったというに!!」

あまりに危険な水着のまま蝙蝠仮面が迫ってくる。

だが令子は神通棍を構えながら威嚇する。

「これ以上近づくなこの変態!!」

「な!?誰が変態だ!!」

腰に手をあて、蝙蝠仮面はふんぞり返った。

「ったく、どいつもこいつもこのエレガントな水着を否定しおって。
これほど、着ているものの魅力を引き出す水着というのも滅多にないのだぞ」

「だからその水着はやめろとゆーただろうが・・・・・・」

蝙蝠仮面に令子達の後を追ってきたカオスがため息をつきながら言った。

「なに?アンタこの変態の知り合いなの?」

「うむ」

令子の問いにカオスが頷く。

「私の古い友人で、名前は・・・・・・」

そこで蝙蝠仮面が偉そうに名を名乗る。

「余はヴラドー。愛を込めて、キャプテン・ヴラドーとでも呼んでくれ!」

グッと親指を突き出し、やたらと白い犬歯を光らせる。

「・・・・・・馬鹿ねコイツ」

「まあ、否定はせんよ・・・・・・」

忌憚無き令子の意見にカオスは視線を逸らしながら答える。
こんな友人がいるのを心底恥ずかしく思っているようだ。
周りから、頭が可哀想な人に向けられる視線を受けるヴラドー・・・・・・本人は気にしてないが。

「しかし、紛らわしいわね。てっきり幽霊が出たのかと思ったじゃない!」

「ん、ここは幽霊がでるのか?」

「ええ、なんでも水着の女性の幽霊がでるそうですよー」

おキヌの言葉にふむふむとカオスは頷く。

「じゃ、アレのことではないのか?」

そう言ってカオスが何気なく指を指す。

人工海の中から、陰鬱な霊波を放っている女の幽霊がぼうっと浮かび上がっている。

「うらめしい〜うらめしい〜」

「あら、やっと出てきたようね」

幽霊を確認した令子は神通棍を取り出して構える。

「うらめしや〜!」

幽霊が髪を振りみだし、令子に向かって踊りかかってくる。

「やる気ね。話が早いわ!生者に害為すことなく立ち去れ!!」

破魔札を投げつけ、神通棍をで幽霊に一撃を加える。

「やった!?」

爆風に包まれた令子。
一瞬視界が激しい光によって遮られた。

「美神、油断するな!!」

「え?」

カオスの叱声。
幽霊の身体から、何かが放たれ。

「きゃぁぁぁ!?」

「おキヌちゃん!?」

幽霊の身体から放たれた光がおキヌにぶつかり。

「水着?」

そう、おキヌの服装がなぜか水着に変わっていた。

「な・・・!?苦し・・・!!」

「ああ新鮮だ!!じゃない大変だ!!」

おキヌの水着姿に喜んでいいのか驚いていのか横島。
おキヌは必死に身体を押さえ込んで、水着からの支配に抵抗している。
苦悶する表情が妙に色っぽい。

「ふむ、どうやら水着を媒介にして幽霊を操っておるようだな・・・・・・テレサよ、辺りをスキャンせい」

一見するだけで、おキヌの置かれた状況を把握するカオス。

「オーケー。マスター」

カオスの命令によってテレサの内臓レーダーが動き出す。

「マスター。13時の方向に霊的反応あり」

「討て、マリア!!」

「セーフティ解除・銃戦モード・起動」

マリアの腕から、機銃が飛び出し、海の中へと銃弾を打ち込んだ。

「ぎゃぎゃぎゃ〜〜〜!!」

悲鳴と共に海の中から醜い妖怪が飛び出してくる。
丸っこい身体に歪に歪んだ顔。
虫と両生類を掛け合わせたような体表。
蛙にも蛭にも見える。

「痛いぎゃ〜」

それが叫ぶと同時におキヌの姿が水着から袴姿に戻った。

「見たとこ妖怪のようだけど・・・・・・何者なの名乗りなさい!!」

吸印紙を突き付け、令子がそれの名を問う。

それは身もだえしながら名を名乗った。

「おでは『コンプレックス』夏の陽気のカゲにひしめく陰の気を啜る妖怪だぎゃ〜」

「聞いたこと無いわね・・・・・・最近生まれた下等妖怪ね!?」

その問答の脇で横島やおキヌ、優太郎が気持ち悪いだの醜悪な面だの陰気だの、とコンプレックスに対し

て毒舌を吐いている。
それに反応したのかコンプレックスが逆切れした。

「醜くて悪かったにゃー!暗くてゴメンよー!どーせ俺はよー!」

コンプレックスがなぜか横島に向かって同情を求めるような視線を送る。

「たとえばお前にも原因があるぎゃー」

「え、俺?」

「そうだぎゃー!!」

横島に詰め寄ってコンプレックスが叫んだ。

「おではお前のような明るくスケベ夏に憧れ、それに破れた者の怨念が集まって生まれた妖怪なんだぎゃ

〜。おではお前自身なんだぎゃ」

ビシっとコンプレックスは横島を指差し。

「おみゃーモテナイだろ?夏なんか嫌いだって思っただろ?いい思い出なんてなかっだだろ!?」

「う、うあああ・・・・・・」

思わず精神崩壊に追い込まれる横島。
コンプレックスはトドメの一言を叫んだ。

「夏なんか、明るい太陽なんか〜〜〜!!」

「嫌いだー!畜生ー!バカヤロ〜〜〜!!」

一しきり横島とコンプレックスが叫んで。

「つーわけでハイレグ女幽霊を使って、明るい青春に水を指してやりたかったんです!!」

「洗脳されんな、この大馬鹿モンっ!!」

あまりに情けない妖怪に令子は破魔札を投げつけようとし。

・・・・・・パチン!

指を鳴らす音が辺りに響き渡った。


「ぎゃ?」

コンプレックスの身体に縦一文字に亀裂が走った。

「・・・・・・まあ、お前の気持ちも共感できなくわねーけど」

パチン、パチン、パチン。

男の声と共に指を鳴らす音が続く。
そして、音と共にコンプレックスの身体が切り刻まれていく。

「まあ、年食って、それなりにいい思いするようになったからアクマでも、だけどな」

「ぎゃ・・・・・・あぁぁぁ・・・・・・」

「あらあら醜いわね・・・・・・消える時くらい安らかに消えなさいよ」

ぼぅっと切り刻まれたコンプレックスの身体が燃え上がる。

「お、おでは不滅だぎゃ〜!!夏が来れば必ず蘇る〜〜〜!!」

ぼしゅぅぅぅ・・・・・・

コンプレックスが消え去り、一組の男女がその後ろから現れた。

「ん、色々と集まっているな・・・・・・カオス、ヴラドー」

男は不敵な笑みを浮かべていた。


男の外見は三十代前半、ぼさぼさの黒髪を一房、金色にメッシュし、無精ひげを少々生やした二枚目半な

顔立ち。
纏った雰囲気は隙だらけに見えて隙がない、どこかちゃらんぽらんな存在感を放っている。
女好きのするどこか甘く苦い笑みを浮かべていた。
バミューダの海パンに白いジャケットを羽織っている。

女の方は絶世の美女だった。
健康的な白い肌、さらさらの黄金の髪を八つのポニーテールにしていた。
妖艶でありながら童女のような正反対の表情を併せ持つ顔立ち。
身体は黄金比そのものといってもいいほどのスタイル。
オレンジのビキニの水着にパレオを腰に巻いていた。
美神以上の美人である。

「おねーさん僕とお茶でも!?」

思わず女に飛び掛かろうとする横島に。

「人の女に手を出すんじゃねぇ」

男が肘うちで横島を叩き落す。

「あべしっ!」

「こら横島!!」

タイミングよく令子がストンピングで横島を折檻する。

その様子を見ていた優太郎は何故か、男と女から目が離せなかった。

(なんだ・・・・・・胸が痛む?)

そんな疑問をよそに男が優太郎に向かって自己紹介する。

「あっちはちっと取り込み中みたいだな・・・・・・俺の名は二島忠夜(ニシマタダヤ)覚えておいてくれや」

タダヤの笑みを見ているだけで優太郎の心臓が高鳴る。
まるで何かを伝えるように。
優太郎の額に脂汗が一筋流れた。

タダヤの隣にいた女も自分の名を名乗る。

「私はミアン、ミアン・キュービィそこのタダヤのまあ、相棒ね」

妖艶に微笑む。
その笑みはどこか昔に見た気がする優太郎。
気づいていないが優太郎の顔色は悪い。

「そろそろ時間だから、カオス、ヴラドー帰らないか?」

タダヤは顔色の悪い優太郎を無視して、カオスとヴラドーに訊ねた。

「ああ、私もデータはとり終えた」

「余もこのエレガントな水着で海を堪能しつくした。満足だ」

「ったく、その水着は止めろと言うたのに。
じゃ、俺らは帰るから。そこにいる連中によろしく言っていてくれ」

各々、言葉を交しながら出口へと向かっていく。
タダヤたちが去っていくのを見ながら優太郎は気が付いた。

「血・・・・・・?」

自分の左胸から紅い液体がつーと流れ出していたことに。


あとがき

第三勢力登場の巻。
これから優太郎の運命が廻り始める予定です。
なぜかパピ様の水着で渚のアイドルになったヴラドーです。
この人はギャグに徹してもらいましょう。
カッコいいヴラドーが好きな人はごめんなさい。

レス返し


とろもろさん

ヴラドーさんはどこにいくのかわかりません(待て。
一応戦闘方法はカオスに趣味で造らせた武装錬金で・・・・・・
割と凶悪な戦法を考えている予定。


スケベビッチ・オンナスキーさん

ヴラドーは良くも悪くも純真です。
なんか毒の強いものをみるとすぐ影響されます。
主役もそろそろ表に立つ時期が来ました。
プロローグ的部分は今回で終了です。


内海一弘さん

唐巣の嫁さん候補はよき魔女の目指すレストランオーナーか心優しい巨乳女子高生です。
どっちにしようかな〜
ヴラドーは頭が中世で止まっていた分、現代のカルチャーショックが強いため、オタクになってしまうんです。


azumaさん

霊能力開花までは行きませんでした。
けどお待ちかねのパピ水着INヴラドーの惨状です(誤字にあらず)
そのうちパピな格好だけではなく、偉大な導師のエレガントな服装も考えてます、金髪つながりで。

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