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「心の声が よそぢ目(GS)」

寿 (2006-10-21 10:45/2006-10-28 02:04)
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GS資格試験二日目。

昨日と同じ会場で俺は試合場に向かったんですが・・・

「九能市氷雅、18歳です。お手柔らかにお願いしますわ。」

俺の相手の九能市さんは上半身を覆い隠すマントに身を包んだ女性でした。

・・・棄権して良いですか?

(横島さん、いったいどうしたのね〜?)

昨日と同じように俺のバンダナに取り付いているヒャクメが声を掛けてきた。

「どうしたもこうしたも・・・流石に女の人とはやりあいたくないよ。」

(そんなことでどうするのね〜。大体小竜姫も女性だし、一緒に修行したエミさんも女性なのね〜。)

「小竜姫様達と一緒にするなよ。あの人たちとは稽古はしたけど流石に真剣勝負したことは無いぞ。流石に真剣勝負で女性とやりあうのは勘弁して欲しいぞ。」

大体、小竜姫様たちに攻撃してもあたりゃしませんし、やっぱり稽古なわけで実戦とは違います。

(そんな事言っていいのね〜?今の言葉を小竜姫やエミさんが聞いたらどう思うのね〜?)

・・・え〜と・・・

小竜姫様の場合。

「え?女性とは戦えない?それは困りましたね。でもその考えは危険ですね。実戦で女性と出会ってしまえば横島さんの命が危険にさらされかねません。うん!いいでしょう!!ちょうど私も女性ですし、横島さんのその考えの危険性をじっくりと教えてあげましょう!!」

そう言って笑顔で神剣を手に取る小竜姫様・・・死ぬな。

エミさんの場合。

「女とは戦えない?なに甘えた事言ってるワケ?その言葉は私達女を馬鹿にしてるとも取れるワケ。その性根叩きなおしてやるワケ!!」

そう言って踊りだすエミさん・・・小竜姫様よりはましだろうが・・・死ぬな。

「・・・ごめんなさい。勘弁してください。」

(ふっふっふ、それが正しい反応なのね〜。)

小竜姫様の怒りをよくくらっているヒャクメは自信満々にそう言った。・・・自慢にならん。

俺達が話しこんでいると・・・

「試合開始!!」

突然審判が試合を始める合図を叫んだ!!

「ちょ!?」

(横島さん!!来るのね〜!!)

俺が審判に声を掛けようとした瞬間、ヒャクメが大声をあげた。

俺はその言葉に反応して九能市さんのほうを向く。

「ふ。」

ビュッ!!

その瞬間・・・九能市さんはマントの下に隠し持っていたらしい刀を抜き、俺に切りかかってきた。

「うおっ!?」

俺はそれを何とかかわす。ヒャクメの声がなければアウトだったな。

「サンキュー、ヒャクメ。」

(どういたしましてなのね〜。)

俺は九能市さんから急いで距離をとり、とりあえずヒャクメに礼を言った。

「おや・・・?私の居合いをおかわしになりましたのね・・・」

九能市さんは試合開始前と違い鋭い目つきをしてそういった。

「なんとか、ね。しかしこの結界内では物理的攻撃は無効になるはずじゃないんですか?」

「これは霊刀ヒトキリマル。これを使えば刃ではなく霊力で相手を切れますの。」

「それはまた・・・ぶっそうな。」

「実を申しますと私、生きた人間を切るの初めてなんですの。」

出来れば一生そんな経験はして欲しくないな。

「ああ・・・楽しみですわ・・・!!」

九能市さんはそう言って笑った。

楽しみ?

人を切るのが?

あなたは人を笑いながら切るというのか?

「気が変わった。」

「?なんですの?」

先ほどの九能市さんの言葉で俺の女性を傷つけたくないと言う考えを完璧に上回る考えが俺の中に生まれた。

「本気で行きます。」

人を・・・人を笑いながら殺したいなんて考え認めてたまるか!!!


横島さんはそういうと九能市さんに向かいながら右手に霊波刀を出した。

いや、違う!!いつもの霊波刀より短い!!あれは・・・

「うおぉぉぉぉぉ!!」

「!?くっ!!」

ガキィ!!

横島さんはその右手持った霊波刀で九能市さんに切りかかる。

九能市さんは突然動いた横島さんに反応しきれず霊刀でそれを防いだ。

そのまま二人はつばぜり合いに入る。

「あなたも刀を使うんですのね?でもそんな短い剣で私を切れませんわよ?」

「・・・そうですね。でも!!」

九能市さんはそう言って笑ったが横島さんの言葉が終わるとその顔から笑みが消えた。

ガキィ!!ガキィ!!ガキィ!!・・・

横島さんはつばぜり合いから脱すると連続で霊波刀を振り下ろした。

「くっ!!なんですの!?」

九能市さんは横島さんの振り下ろしのスピードに付いて行けずヒトキリマルで防戦一方。

どうやら横島さんの剣の特性を知らないみたいなのね〜。

横島さんの出した普段より短い霊波刀、あれは小太刀。小竜姫の修行中話を聞いた横島さんが試して見たら一発で出た横島さんとの相性抜群の武器だ。

その特性は普通の剣より短い分攻撃力は劣るが小回りが利く分防御力が非常に高い、『盾として使える剣』それがこの小太刀だ。

余談だが横島さんは他にも霊波刀の長さを変えることは可能。でも佐々木小次郎の物干し竿の様に長い刀はそうそう使いこなせないので使わない。

横島さんはその小太刀の特性である小回りを利用して普段よりすばやい攻撃を可能にしている。

しかし九能市さんはそれら全てをヒトキリマルで受けきっている。

「確かにそのスピードは厄介ですが、防げないほどではありませんわよ。」

確かに。横島さんはそれでも我武者羅に霊波刀を振り下ろしている。これじゃすぐに疲れてしまう。

(横島さん、これじゃこっちが先にまいってしまうのね〜!!)

「まあ見てろって!!」

横島さんはわたしの言葉に何か考えがあるようでそう答えた。

ピシッ・・・

その時、わたしの耳にわずかな音が聞こえてきた。

ピシッ・・・ピシッ・・・

その音は繰り返し聞こえてくるようになった。これはいったい・・・

「なっ!?私のヒトキリマルに罅が!!」

九能市さんの驚愕の声にわたしはヒトキリマルに視線を向ける。

確かにヒトキリマルに罅が入っている。そうか!!

「こんなもんがあるから人を切りたいなんて思うようになるんだよ!!」

横島さんはそう叫ぶと渾身の力で霊波刀を振り下ろした。

パキィィィィィィ・・・

あたりに澄んだ音が響いた。

「わ、私のヒトキリマルが・・・」

横島さんの攻撃についにヒトキリマルは折れた。

(これが狙いだったのね〜。)

「そういうことだ。さて、どうしますか?」

横島さんはわたしの言葉に返事をすると、続けて九能市さんに声をかけた。

「まだですわ!!」

横島さんの言葉に九能市さんはそう叫んだ。

「刀など不要!!忍びの極意は己の全てを凶器とすること!!霊的格闘モードチェーンジ!!」

そう叫びながら着ていた上着を破り捨ててこちらに飛び掛ってきた。

「はぁーーーーーー!!」

「・・・悲しい極意だな。」

横島さんはそれをかわす。

確かによく訓練された動きだ。スピードも昨日の相手とは比べようも無い。

「まだまだぁ!!」

九能市さんは続けて打撃を繰り出してくる。しかし悲しいかなそれは全て空を切る。

無駄なのね〜。確かに早い動きだが、横島さんの眼をごまかせる動きではない。

しかも刀を折られたせいか怒りで本来の動きが出来ていない。忍びと言うならそれなりの格闘術を持っているだろうに・・・

横島さんは九能市さんの攻撃をかわすと、

「・・・」

黙って霊波刀を九能市さんの首筋に突きつけた。

「くぅぅぅ!!!なめないでください!!私に勝ちたかったら私を切ることですわ!!」

九能市さんは一瞬体を止めるが、すぐに逆上して攻撃を繰り返す。

しかしそれは同じことの繰り返しでしかなく、

「・・・」

再び横島さんに霊波刀を突きつけられた。

「なんでですの!!なんで私を切らないんですの!?この試合はたとえ相手を殺しても事故で処理されるのに!!」

ついに九能市さんはあきらめたらしく完璧に動きを止め、叫び声をあげた。

「・・・」

横島さんは何も答えない。・・・そして悲しい顔で霊波刀を九能市さんに触れるか触れないかの距離まで近づけた。

「ヒッ!!」

九能市さんは顔を青ざめさせた。

(横島さん!?)

わたしはあわてて横島さんに声をかけた。

「・・・どんな気分ですか?」

しかし横島さんはわたしの言葉に返事をせずそう聞いた。

「・・・・」

九能市さんは顔を青くしたままなにも答えられなかった。

「事故で処理されるとかは関係ない。人を切るということは切る側と切られる側がいると言うことだ。殴られただけで人は悲鳴をあげるほど叫ぶのに、切られたとなればなおさらだ。」

横島さんは静かに続けた。

「今の気分を覚えておいてください。それがあなたが他人に与えようとした気分です。そして俺は今の気分が・・・人を傷つけると言う今の気分がだいっ嫌いです。そこには快楽も何も無く、ただ嫌な気分になるだけです。できればあなたにもそんな気分を味わって欲しくはない・・・」

そう言い終わると横島さんは霊波刀を消した。

「俺にはあなたをこれ以上傷つけることはできません。でも、あなたがまだ人を切ってみたいというなら・・・相手になります!!」

そう言って今度は普通のサイキック・ソーサーの形である盾を出した。

それはこれ以上攻撃しないと言う横島さんの意思表示なのだろう。

しかし・・・横島さん、小竜姫に似てきたのね〜。やっぱり師弟って似るもんなのかね〜?

自分の考えを、信念を譲らず、そのためには全力を尽くす。そっくりなのね〜。

でもお願いだから・・・仏罰までつがないで欲しいのね〜。

わたしがそんなことを考えていると、

「ふ・・・ふふふふ・・・」

九能市さんが突然笑い出した。

「?」

横島さんはそれを不思議そうに見る。

「まいりましたわ。私の負けです。」

九能市さんはひとしきり笑い終わると審判にそう告げた。

「あっ・・・そ、それまで!!勝者横島!!」

審判も一瞬訳がわからないと言う顔をした後そう試合終了を告げた。

「今回は私の負けですわ。あなたの信念には勝てそうにありませんもの。」

九能市さんはまだ訳がわからないと言った顔をした横島さんに声をかけてきた。

「あなたがおっしゃったこと、忍びの道とは正反対ですけど、少し考えてみたいと思います。もしその答えが出たら・・・今日の続きをお願いいたしますわ。」

そう言って九能市さんは笑顔で右手を差し出してきた。

「は、はい。待ってます。」

横島さんは少し慌てながら握手に応じるとそう言った。

九能市さんはその返事を聞くともう一度笑顔を浮かべ、去って行った。

(横島さん、お疲れさまなのね〜。)

「はぁ〜、本当に疲れたよ。やっぱりなれないことはするもんじゃないな。」

そう言って横島さんは本当に疲れたような顔をした。

(とりあえずはおめでとうなのね〜。)

「へ?なにがだ?」

横島さんは訳がわからないと言った顔をした。

(なにがって・・・横島さん、これでGSの資格は取得できたのね〜。)

「あっ!!」

わたしの言葉に横島さんはようやく合点がいったようだ。

「はは、すっかり忘れてたよ。」

横島さんは少し照れたように頬をかきながらそう言った。

(ふふ、横島さんらしいのね〜。)

わたし達がそう笑いながら話していると、

『横島選手、GS資格取得!!!』

連絡が行ったらしいアナウンサーがそう会場中に響き渡るアナウンスをした。


あとがき
資格取らせちゃいました。そして相手は原作と同じく九能市氷雅さんでした。少し霊波刀の変化を増やしたのを書きたかったので。ちなみに霊波刀の長さの変化で横島君が使えるのはナイフみたいなもんです。使うかはわかりませんが。しかも現代のナイフのような形ではなく本当に短い剣を考えています。たとえて言えば魔法陣グル○ルにほんのすこ〜しだけ出てきたがっかりの剣を考えてください。我ながらわかりにくい。サイキック・ソーサーの変化は後一つ考えてあります。お楽しみに〜。

彗星帝国様のご指摘により誤字を訂正いたしました。彗星帝国様、ご指摘ありがとうございました。

レス返し
始めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に感謝を・・・

麒山悠青様
喜んでいただけたのなら幸いです。今後も思いついたらやるかもしれませんからお楽しみに〜。

僚様
はじめまして。基本的に私は少し古めのネタが多いです。おまけは思いつきですのでまたやるかもしれません。お楽しみに〜。

琉翠様
はじめまして。今回はヒャクメ最初以外役に立ってません。いつものことですが。その代わり今回は説明が多いです。目指せ!!説明オバサン!!

零式様
本当は小竜姫様に接吻させるべきか?接吻させるならどこがベストか?で結構悩みました。バンダナにはヒャクメがいますし、かといってヒャクメと同じく頬ではヒャクメが暴走しそうなので・・・女心と秋の空・・・複雑です。

ミアフ様
はっはっは。ごもっとも。なかなかおまけは皆様に喜んで頂けたようで嬉しい限りです。ほんとうに思いつきなので次は未定なんですがのんびり待ってやってください。お願いします。

あき様
うう、確かにそうなんですが・・・自分に扱いきれない強力な力に対しての代償とお考え下さい。でも皆さん予想できてるみたいなんですが・・・バレバレでしたね。

への様
誤字のご指摘ありがとうございます。訂正させていただきました。神装術対魔装術はやるつもりですが・・・横島君の神装術は使用限界が短いので相手誰にしましょう?

夢識様
小竜姫様の神装術はだいたい考えがまとまっています。ご期待下さい。しっかしおまけの評判が良い。嬉しい限りです。

てぃREX様
それはそれで面白そうですが流石に・・・取り合えず小竜姫様の神装術にご期待下さい。しかし頭にヒャクメ、胸に小竜姫様・・・最強?

寝羊様
私は牛あいがけカレーが大好物です。(かんけーない。)失礼しました。少し次は他の人の試合を書いてみるつもりです。横島君の次の相手ははたして・・・あ、頭の中にミカ・レイのイメージが・・・どうやっても終わってします。

内海一弘様
争奪戦・・・その辺は未定です。この試験終了後あたりにもう一人参戦させたいんですがもう少し伸びるかもしれません。そしてタイガーは・・・ほんと、どうしましょう?タイガーだしな・・・悩みます。

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